列王紀上

第一章

1ダビデ王(おう)は年(とし)がすすんで老(お)い、夜着(よぎ)を着(き)せても暖(あたた)まらなかったので、 2その家来(けらい)たちは彼(かれ)に言(い)った、「王(おう)わが主(しゅ)のために、ひとりの若(わか)いおとめを捜(さが)し求(もと)めて王(おう)にはべらせ、王(おう)の付添(つきそ)いとし、あなたのふところに寝(ね)て、王(おう)わが主(しゅ)を暖(あたた)めさせましょう」。 3そして彼(かれ)らはあまねくイスラエルの領土(りょうど)に美(うつく)しいおとめを捜(さが)し求(もと)めて、シュナミびとアビシャグを得(え)、王(おう)のもとに連(つ)れてきた。 4おとめは非常(ひじょう)に美(うつく)しく、王(おう)の付添(つきそ)いとなって王(おう)に仕(つか)えたが、王(おう)は彼女(かのじょ)を知(し)ることがなかった。

5さてハギテの子(こ)アドニヤは高(たか)ぶって、「わたしは王(おう)となろう」と言(い)い、自分(じぶん)のために戦車(せんしゃ)と騎兵(きへい)および自分(じぶん)の前(まえ)に駆(か)ける者(もの)五十人(にん)を備(そな)えた。 6彼(かれ)の父(ちち)は彼(かれ)が生(うま)れてこのかた一度(ど)も「なぜ、そのような事(こと)をするのか」と言(い)って彼(かれ)をたしなめたことがなかった。アドニヤもまた非常(ひじょう)に姿(すがた)の良(よ)い人(ひと)であって、アブサロムの次(つぎ)に生(うま)れた者(もの)である。 7彼(かれ)がゼルヤの子(こ)ヨアブと祭司(さいし)アビヤタルとに相談(そうだん)したので、彼(かれ)らはアドニヤに従(したが)って彼(かれ)を助(たす)けた。 8しかし祭司(さいし)ザドクと、エホヤダの子(こ)ベナヤと、預言者(よげんしゃ)ナタンおよびシメイとレイ、ならびにダビデの勇士(ゆうし)たちはアドニヤに従(したが)わなかった。

9アドニヤはエンロゲルのほとりにある「へびの石(いし)」のかたわらで、羊(ひつじ)と牛(うし)と肥(こ)えた家畜(かちく)をほふって、王(おう)の子(こ)である自分(じぶん)の兄弟(きょうだい)たち、および王(おう)の家来(けらい)であるユダの人々(ひとびと)をことごとく招(まね)いた。 10しかし預言者(よげんしゃ)ナタンと、ベナヤと、勇士(ゆうし)たちと、自分(じぶん)の兄弟(きょうだい)ソロモンとは招(まね)かなかった。

11時(とき)にナタンはソロモンの母(はは)バテシバに言(い)った、「ハギテの子(こ)アドニヤが王(おう)となったのをお聞(き)きになりませんでしたか。われわれの主(しゅ)ダビデはそれをごぞんじないのです。 12それでいま、あなたに計(はか)りごとを授(さづ)けて、あなたの命(いのち)と、あなたの子(こ)ソロモンの命(いのち)を救(すく)うようにいたしましょう。 13あなたはすぐダビデ王(おう)のところへ行(い)って、『王(おう)わが主(しゅ)よ、あなたは、はしために誓(ちか)って、おまえの子(こ)ソロモンが、わたしに次(つ)いで王(おう)となり、わたしの位(くらい)に座(ざ)するであろうと言(い)われたではありませんか。そうであるのに、どうしてアドニヤが王(おう)となったのですか』と言(い)いなさい。 14あなたがなお王(おう)と話(はな)しておられる間(あいだ)に、わたしもまた、あなたのあとから、はいって行(い)って、あなたの言葉(ことば)を確認(かくにん)しましょう」。

15そこでバテシバは寝室(しんしつ)にはいって王(おう)の所(ところ)へ行(い)った。(王(おう)は非常(ひじょう)に老(お)いて、シュナミびとアビシャグが王(おう)に仕(つか)えていた)。 16バテシバは身(み)をかがめて王(おう)を拝(はい)した。王(おう)は言(い)った、「何(なに)の用(よう)か」。 17彼女(かのじょ)は王(おう)に言(い)った、「わが主(しゅ)よ、あなたは、あなたの神(かみ)、主(しゅ)をさして、はしために誓(ちか)い、『おまえの子(こ)ソロモンがわたしに次(つ)いで王(おう)となり、わたしの位(くらい)に座(ざ)するであろう』と言(い)われました。 18そうであるのに、ごらんなさい、今(いま)アドニヤが王(おう)となりました。王(おう)わが主(しゅ)よ、あなたはそれをごぞんじないのです。 19彼(かれ)は牛(うし)と肥(こ)えた家畜(かちく)と羊(ひつじ)をたくさんほふって、王(おう)の子(こ)たち、および祭司(さいし)アビヤタルと、軍(ぐん)の長(ちょう)ヨアブを招(まね)きましたが、あなたのしもべソロモンは招(まね)きませんでした。 20王(おう)わが主(しゅ)よ、イスラエルのすべての目(め)はあなたに注(そそ)がれ、だれがあなたに次(つ)いで、王(おう)わが主(しゅ)の位(くらい)に座(ざ)すべきかを告(つ)げられるのを望(のぞ)んでいます。 21王(おう)わが主(しゅ)が先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)られるとき、わたしと、わたしの子(こ)ソロモンは謀叛(むほん)人(ひと)とみなされるでしょう」。

22バテシバがなお王(おう)と話(はな)しているうちに、預言者(よげんしゃ)ナタンがはいってきた。 23人々(ひとびと)は王(おう)に告(つ)げて、「預言者(よげんしゃ)ナタンがここにおります」と言(い)った。彼(かれ)は王(おう)の前(まえ)にはいり、地(ち)に伏(ふ)して王(おう)を拝(はい)した。 24そしてナタンは言(い)った、「王(おう)わが主(しゅ)よ、あなたは、『アドニヤがわたしに次(つ)いで王(おう)となり、わたしの位(くらい)に座(ざ)するであろう』と仰(おお)せられましたか。 25彼(かれ)はきょう下(くだ)っていって、牛(うし)と、肥(こ)えた家畜(かちく)と羊(ひつじ)をたくさんほふって、王(おう)の子(こ)たちと、軍(ぐん)の長(ちょう)ヨアブと、祭司(さいし)アビヤタルを招(まね)きました。彼(かれ)らはアドニヤの前(まえ)で食(く)い飲(の)みして、『アドニヤ万歳(ばんざい)』と言(い)いました。 26しかし、あなたのしもべであるわたしと、祭司(さいし)ザドクと、エホヤダの子(こ)ベナヤと、あなたのしもべソロモンを招(まね)きませんでした。 27この事(こと)は王(おう)わが主(しゅ)がさせられた事(こと)ですか。あなたはしもべたちに、だれがあなたに次(つ)いで王(おう)わが主(しゅ)の位(くらい)に座(ざ)すべきかを告(つ)げられませんでした」。

28ダビデ王(おう)は答(こた)えて言(い)った、「バテシバをわたしのところに呼(よ)びなさい」。彼女(かのじょ)は王(おう)の前(まえ)にはいってきて、王(おう)の前(まえ)に立(た)った。 29すると王(おう)は誓(ちか)って言(い)った、「わたしの命(いのち)をすべての苦難(くなん)から救(すく)われた主(しゅ)は生(い)きておられる。 30わたしがイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)をさしてあなたに誓(ちか)い、『あなたの子(こ)ソロモンがわたしに次(つ)いで王(おう)となり、わたしに代(かわ)って、わたしの位(くらい)に座(ざ)するであろう』と言(い)ったように、わたしはきょう、そのようにしよう」。 31そこでバテシバは身(み)をかがめ、地(ち)に伏(ふ)して王(おう)を拝(はい)し、「わが主(しゅ)ダビデ王(おう)が、とこしえに生(い)きながらえられますように」と言(い)った。

32ダビデは言(い)った、「祭司(さいし)ザドクと、預言者(よげんしゃ)ナタンおよびエホヤダの子(こ)ベナヤをわたしの所(ところ)に呼(よ)びなさい」。やがて彼(かれ)らは王(おう)の前(まえ)にきた。 33王(おう)は彼(かれ)らに言(い)った、「あなたがたの主君(しゅくん)の家来(けらい)たちを連(つ)れ、わが子(こ)ソロモンをわたしの騾馬(らば)に乗(の)せ、彼(かれ)を導(みちび)いてギホンに下(くだ)り、 34その所(ところ)で祭司(さいし)ザドクと預言者(よげんしゃ)ナタンは彼(かれ)に油(あぶら)を注(そそ)いでイスラエルの王(おう)としなさい。そしてラッパを吹(ふ)いて、『ソロモン王(おう)万歳(ばんざい)』と言(い)いなさい。 35それから、あなたがたは彼(かれ)に従(したが)って上(のぼ)ってきなさい。彼(かれ)はきて、わたしの位(くらい)に座(ざ)し、わたしに代(かわ)って王(おう)となるであろう。わたしは彼(かれ)を立(た)ててイスラエルとユダの上(うえ)に主君(しゅくん)とする」。 36エホヤダの子(こ)ベナヤは王(おう)に答(こた)えて言(い)った、「アァメン、願(ねが)わくは、王(おう)わが主君(しゅくん)の神(かみ)、主(しゅ)もまたそう仰(おお)せられますように。 37願(ねが)わくは、主(しゅ)が王(おう)わが主君(しゅくん)と共(とも)におられたように、ソロモンと共(とも)におられて、その位(くらい)をわが主君(しゅくん)ダビデ王(おう)の位(くらい)よりも大(おお)きくせられますように」。

38そこで祭司(さいし)ザドクと預言者(よげんしゃ)ナタンおよびエホヤダの子(こ)ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとは下(くだ)って行(い)って、ソロモンをダビデ王(おう)の騾馬(らば)に乗(の)せ、彼(かれ)をギホンに導(みちび)いて行(い)った。 39祭司(さいし)ザドクは幕屋(まくや)から油(あぶら)の角(つの)を取(と)ってきて、ソロモンに油(あぶら)を注(そそ)いだ。そしてラッパを吹(ふ)き鳴(な)らし、民(たみ)は皆(みな)「ソロモン王(おう)万歳(ばんざい)」と言(い)った。 40民(たみ)はみな彼(かれ)に従(したが)って上(のぼ)り、笛(ふえ)を吹(ふ)いて大(おお)いに喜(よろこ)び祝(いわ)った。地(ち)は彼(かれ)らの声(こえ)で裂(さ)けるばかりであった。

41アドニヤおよび彼(かれ)と共(とも)にいた客(きゃく)たちは皆(みな)食事(しょくじ)を終(おわ)ったとき、これを聞(き)いた。ヨアブはラッパの音(おと)を聞(き)いて言(い)った、「町(まち)の中(なか)のあの騒(さわ)ぎは何(なに)か」。 42彼(かれ)の言葉(ことば)のなお終(おわ)らないうちに、そこへ祭司(さいし)アビヤタルの子(こ)ヨナタンがきたので、アドニヤは彼(かれ)に言(い)った、「はいりなさい。あなたは勇敢(ゆうかん)な人(ひと)で、よい知(し)らせを持(も)ってきたのでしょう」。 43ヨナタンは答(こた)えてアドニヤに言(い)った、「いいえ、主君(しゅくん)ダビデ王(おう)はソロモンを王(おう)とせられました。 44王(おう)は祭司(さいし)ザドクと預言者(よげんしゃ)ナタンおよびエホヤダの子(こ)ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとをソロモンと共(とも)につかわされたので、彼(かれ)らはソロモンを王(おう)の騾馬(らば)に乗(の)せて行(い)き、 45祭司(さいし)ザドクと預言者(よげんしゃ)ナタンはギホンで彼(かれ)に油(あぶら)を注(そそ)いで王(おう)としました。そして彼(かれ)らがそこから喜(よろこ)んで上(のぼ)って来(く)るので、町(まち)が騒(さわ)がしいのです。あなたが聞(き)いた声(こえ)はそれなのです。 46こうしてソロモンは王(おう)の位(くらい)に座(ざ)し、 47かつ王(おう)の家来(けらい)たちがきて、主君(しゅくん)ダビデ王(おう)に祝(いわ)いを述(の)べて、『願(ねが)わくは、あなたの神(かみ)がソロモンの名(な)をあなたの名(な)よりも高(たか)くし、彼(かれ)の位(くらい)をあなたの位(くらい)よりも大(おお)きくされますように』と言(い)いました。そして王(おう)は床(ゆか)の上(うえ)で拝(はい)されました。 48王(おう)はまたこう言(い)われました、『イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はほむべきかな。主(しゅ)はきょう、わたしの位(くらい)に座(ざ)するひとりの子(こ)を与(あた)えて、これをわたしに見(み)せてくださった』と」。

49その時(とき)アドニヤと共(とも)にいた客(きゃく)はみな驚(おどろ)き、立(た)っておのおの自分(じぶん)の道(みち)に去(さ)って行(い)った。 50そしてアドニヤはソロモンを恐(おそ)れ、立(た)って行(い)って祭壇(さいだん)の角(つの)をつかんだ。 51ある人(ひと)がこれをソロモンに告(つ)げて言(い)った、「アドニヤはソロモンを恐(おそ)れ、今(いま)彼(かれ)は祭壇(さいだん)の角(つの)をつかんで、『どうぞ、ソロモン王(おう)がきょう、つるぎをもってしもべを殺(ころ)さないとわたしに誓(ちか)ってくださるように』と言(い)っています」。 52ソロモンは言(い)った、「もし彼(かれ)がよい人(ひと)となるならば、その髪(かみ)の毛(け)ひとすじも地(ち)に落(お)ちることはなかろう。しかし彼(かれ)のうちに悪(あく)のあることがわかるならば、彼(かれ)は死(し)ななければならない」。 53ソロモンは人(ひと)をつかわして彼(かれ)を祭壇(さいだん)からつれて下(くだ)らせた。彼(かれ)がきてソロモンを拝(はい)したので、ソロモンは彼(かれ)に「家(いえ)に帰(かえ)りなさい」と言(い)った。

第二章

1ダビデの死(し)ぬ日(ひ)が近(ちか)づいたので、彼(かれ)はその子(こ)ソロモンに命(めい)じて言(い)った、 2「わたしは世(よ)のすべての人(ひと)の行(い)く道(みち)を行(い)こうとしている。あなたは強(つよ)く、男(おとこ)らしくなければならない。 3あなたの神(かみ)、主(しゅ)のさとしを守(まも)り、その道(みち)に歩(あゆ)み、その定(さだ)めと戒(いまし)めと、おきてとあかしとを、モーセの律法(りっぽう)にしるされているとおりに守(まも)らなければならない。そうすれば、あなたがするすべての事(こと)と、あなたの向(む)かうすべての所(ところ)で、あなたは栄(さか)えるであろう。 4また主(しゅ)がさきにわたしについて語(かた)って『もしおまえの子(こ)たちが、その道(みち)を慎(つつし)み、心(こころ)をつくし、精神(せいしん)をつくして真実(しんじつ)をもって、わたしの前(まえ)に歩(あゆ)むならば、おまえに次(つ)いでイスラエルの位(くらい)にのぼる人(ひと)が、欠(か)けることはなかろう』と言(い)われた言葉(ことば)を確実(かくじつ)にされるであろう。

5またあなたはゼルヤの子(こ)ヨアブがわたしにした事(こと)、すなわち彼(かれ)がイスラエルのふたりの軍(ぐん)の長(ちょう)ネルの子(こ)アブネルと、エテルの子(こ)アマサにした事(こと)を知(し)っている。彼(かれ)はこのふたりを殺(ころ)して、戦争(せんそう)で流(なが)した地(ち)を太平(たいへい)の時(とき)に報(むく)い、罪(つみ)のない者(もの)の血(ち)をわたしの腰(こし)のまわりの帯(おび)と、わたしの足(あし)のくつにつけた。 6それゆえ、あなたの知恵(ちえ)にしたがって事(こと)を行(おこな)い、彼(かれ)のしらがを安(やす)らかに陰府(よみ)に下(くだ)らせてはならない。 7ただしギレアデびとバルジライの子(こ)らには恵(めぐ)みを施(ほどこ)し、彼(かれ)らをあなたの食卓(しょくたく)で食事(しょくじ)する人々(ひとびと)のうちに加(くわ)えなさい。彼(かれ)らはわたしがあなたの兄弟(きょうだい)アブサロムを避(さ)けて逃(に)げた時(とき)、わたしを迎(むか)えてくれたからである。 8またバホリムのベニヤミンびとゲラの子(こ)シメイがあなたと共(とも)にいる。彼(かれ)はわたしがマハナイムへ行(い)った時(とき)、激(はげ)しいのろいの言葉(ことば)をもってわたしをのろった。しかし彼(かれ)がヨルダンへ下(くだ)ってきて、わたしを迎(むか)えたので、わたしは主(しゅ)をさして彼(かれ)に誓(ちか)い、『わたしはつるぎをもってあなたを殺(ころ)さない』と言(い)った。 9しかし彼(かれ)を罪(つみ)のない者(もの)としてはならない。あなたは知恵(ちえ)のある人(ひと)であるから、彼(かれ)になすべき事(こと)を知(し)っている。あなたは彼(かれ)のしらがを血(ち)に染(ぞ)めて陰府(よみ)に下(くだ)らせなければならない」。

10ダビデはその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って、ダビデの町(まち)に葬(ほうむ)られた。 11ダビデがイスラエルを治(おさ)めた日数(にっすう)は四十年(ねん)であった。すなわちヘブロンで七年(ねん)、エルサレムで三十三年(ねん)、王(おう)であった。 12このようにしてソロモンは父(ちち)ダビデの位(くらい)に座(ざ)し、国(くに)は堅(かた)く定(さだ)まった。

13さて、ハギテの子(こ)アドニヤがソロモンの母(はは)バテシバのところへきたので、バテシバは言(い)った、「あなたは穏(おだ)やかな事(こと)のためにきたのですか」。彼(かれ)は言(い)った、「穏(おだ)やかな事(こと)のためです」。 14彼(かれ)はまた言(い)った、「あなたに申(もう)しあげる事(こと)があります」。バテシバは言(い)った、「言(い)いなさい」。 15彼(かれ)は言(い)った、「ごぞんじのように、国(くに)はわたしのもので、イスラエルの人(ひと)は皆(みな)わたしが王(おう)になるものと期待(きたい)していました。しかし国(くに)は転(てん)じて、わたしの兄弟(きょうだい)のものとなりました。彼(かれ)のものとなったのは、主(しゅ)から出(で)たことです。 16今(いま)わたしはあなたに一つのお願(ねが)いがあります。断(ことわ)らないでください」。バテシバは彼(かれ)に言(い)った、「言(い)いなさい」。 17彼(かれ)は言(い)った、「どうかソロモン王(おう)に請(こ)うて、――王(おう)はあなたに断(ことわ)るようなことはないでしょうから――シュナミびとアビシャグをわたしに与(あた)えて妻(つま)にさせてください」。 18バテシバは言(い)った、「よろしい。わたしはあなたのために王(おう)に話(はな)しましょう」。

19バテシバはアドニヤのためにソロモン王(おう)に話(はな)すため、王(おう)のもとへ行(い)った。王(おう)は立(た)って迎(むか)え、彼女(かのじょ)を拝(はい)して王座(おうざ)に着(つ)き、王(おう)母(はは)のために座(ざ)を設(もう)けさせたので、彼女(かのじょ)は王(おう)の右(みぎ)に座(ざ)した。 20そこでバテシバは言(い)った、「あなたに一つの小(ちい)さいお願(ねが)いがあります。お断(ことわ)りにならないでください」。王(おう)は彼女(かのじょ)に言(い)った、「母上(ははうえ)よ、あなたの願(ねが)いを言(い)ってください。わたしは断(ことわ)らないでしょう」。 21彼女(かのじょ)は言(い)った、「どうぞ、シュナミびとアビシャグをあなたの兄弟(きょうだい)アドニヤに与(あた)えて、妻(つま)にさせてください」。 22ソロモン王(おう)は答(こた)えて母(はは)に言(い)った、「どうしてアドニヤのためにシュナミびとアビシャグを求(もと)められるのですか。彼(かれ)のためには国(くに)をも求(もと)めなさい。彼(かれ)はわたしの兄(あに)で、彼(かれ)の味方(みかた)には祭司(さいし)アビヤタルとゼルヤの子(こ)ヨアブがいるのですから」。 23そしてソロモン王(おう)は主(しゅ)をさして誓(ちか)って言(い)った、「もしアドニヤがこの言葉(ことば)によって自分(じぶん)の命(いのち)を失(うしな)うのでなければ、どんなにでもわたしを罰(ばっ)してください。 24わたしを立(た)てて、父(ちち)ダビデの位(くらい)にのぼらせ、主(しゅ)が約束(やくそく)されたように、わたしに一家(いっか)を与(あた)えてくださった主(しゅ)は生(い)きておられる。アドニヤはきょう殺(さつ)されなければならない」。 25ソロモン王(おう)はエホヤダの子(こ)ベナヤをつかわしたので、彼(かれ)はアドニヤを撃(う)って殺(ころ)した。

26王(おう)はまた祭司(さいし)アビヤタルに言(い)った、「あなたの領地(りょうち)アナトテへ行(い)きなさい。あなたは死(し)に当(あた)る者(もの)ですが、さきにわたしの父(ちち)ダビデの前(まえ)に神(かみ)、主(しゅ)の箱(はこ)をかつぎ、またすべてわたしの父(ちち)が受(う)けた苦(くる)しみを、あなたも共(とも)に苦(くる)しんだので、わたしは、きょうは、あなたを殺(ころ)しません」。 27そしてソロモンはアビヤタルを主(しゅ)の祭司(さいし)職(しょく)から追放(ついほう)した。こうして主(しゅ)がシロでエリの家(いえ)について言(い)われた主(しゅ)の言葉(ことば)が成就(じょうじゅ)した。

28さてこの知(し)らせがヨアブに達(たっ)したので、ヨアブは主(しゅ)の幕屋(まくや)にのがれて、祭壇(さいだん)の角(つの)をつかんだ。ヨアブはアブサロムを支持(しじ)しなかったけれども、アドニヤを支持(しじ)したからである。 29ヨアブが主(しゅ)の幕屋(まくや)にのがれて、祭壇(さいだん)のかたわらにいることを、ソロモン王(おう)に告(つ)げる者(もの)があったので、ソロモン王(おう)はエホヤダの子(こ)ベナヤをつかわし、「行(い)って彼(かれ)を撃(う)て」と言(い)った。 30ベナヤは主(しゅ)の幕屋(まくや)へ行(い)って彼(かれ)に言(い)った、「王(おう)はあなたに、出(で)て来(く)るようにと申(もう)されます」。しかし彼(かれ)は言(い)った、「いや、わたしはここで死(し)にます」。ベナヤは王(おう)に復命(ふくめい)して言(い)った、「ヨアブはこう申(もう)しました。またわたしにこう答(こた)えました」。 31そこで王(おう)はベナヤに言(い)った、「彼(かれ)が言(い)うようにし、彼(かれ)を撃(う)ち殺(ころ)して葬(ほうむ)り、ヨアブがゆえなく流(なが)した血(ち)のとがをわたしと、わたしの父(ちち)の家(いえ)から除(のぞ)き去(さ)りなさい。 32主(しゅ)はまたヨアブが血(ち)を流(なが)した行為(こうい)を、彼(かれ)自身(じしん)のこうべに報(むく)いられるであろう。これは彼(かれ)が自分(じぶん)よりも正(ただ)しいすぐれたふたりの人(ひと)、すなわちイスラエルの軍(ぐん)の長(ちょう)ネルの子(こ)アブネルと、ユダの軍(ぐん)の長(ちょう)エテルの子(こ)アマサを、つるぎをもって撃(う)ち殺(ころ)し、わたしの父(ちち)ダビデのあずかり知(し)らない事(こと)をしたからである。 33それゆえ、彼(かれ)らの血(ち)は永遠(えいえん)にヨアブのこうべと、その子孫(しそん)のこうべに帰(き)すであろう。しかしダビデと、その子孫(しそん)と、その家(いえ)と、その位(くらい)とには、主(しゅ)から賜(たま)わる平安(へいあん)が永久(えいきゅう)にあるであろう」。 34そこでエホヤダの子(こ)ベナヤは上(のぼ)っていって、彼(かれ)を撃(う)ち殺(ころ)した。彼(かれ)は荒野(あらの)にある自分(じぶん)の家(いえ)に葬(ほうむ)られた。 35王(おう)はエホヤダの子(こ)ベナヤを、ヨアブに代(かわ)って軍(ぐん)の長(ちょう)とした。王(おう)はまた祭司(さいし)ザドクをアビヤタルに代(かわ)らせた。

36また王(おう)は人(ひと)をつかわし、シメイを召(め)して言(い)った、「あなたはエルサレムのうちに、自分(じぶん)のために家(いえ)を建(た)てて、そこに住(す)み、そこからどこへも出(で)てはならない。 37あなたが出(で)て、キデロン川(かわ)を渡(わた)る日(ひ)には必(かなら)ず殺(ころ)されることを、しかと知(し)らなければならない。あなたの血(ち)はあなたのこうべに帰(き)すであろう」。 38シメイは王(おう)に言(い)った、「お言葉(ことば)は結構(けっこう)です。王(おう)、わが主(しゅ)の仰(おお)せられるとおりに、しもべはいたしましょう」。こうしてシメイは久(ひさ)しくエルサレムに住(す)んだ。

39ところが三年(ねん)の後(のち)、シメイのふたりの奴隷(どれい)が、ガテの王(おう)マアカの子(こ)アキシのところへ逃(に)げ去(さ)った。人々(ひとびと)がシメイに告(つ)げて、「ごらんなさい、あなたの奴隷(どれい)はガテにいます」と言(い)ったので、 40シメイは立(た)って、ろばにくらを置(お)き、ガテのアキシのところへ行(い)って、その奴隷(どれい)を尋(たず)ねた。すなわちシメイは行(い)ってその奴隷(どれい)をガテから連(つ)れてきたが、 41シメイがエルサレムからガテへ行(い)って帰(かえ)ったことがソロモン王(おう)に聞(きこ)えたので、 42王(おう)は人(ひと)をつかわし、シメイを召(め)して言(い)った、「わたしはあなたに主(しゅ)をさして誓(ちか)わせ、かつおごそかにあなたを戒(いまし)めて、『あなたが出(で)て、どこかへ行(ゆ)く日(ひ)には、必(かなら)ず殺(ころ)されることを、しかと知(し)らなければならない』と言(い)ったではないか。そしてあなたは、わたしに『お言葉(ことば)は結構(けっこう)です。従(したが)います』と言(い)った。 43ところで、あなたはなぜ主(しゅ)に対(たい)する誓(ちか)いと、わたしが命(めい)じた命令(めいれい)を守(まも)らなかったのか」。 44王(おう)はまたシメイに言(い)った、「あなたは自分(じぶん)の心(こころ)に、あなたがわたしの父(ちち)ダビデにしたもろもろの悪(あく)を知(し)っている。主(しゅ)はあなたの悪(あく)をあなたのこうべに報(むく)いられるであろう。 45しかしソロモン王(おう)は祝福(しゅくふく)をうけ、ダビデの位(くらい)は永久(えいきゅう)に主(しゅ)の前(まえ)に堅(かた)く立(た)つであろう」。 46王(おう)がエホヤダの子(こ)ベナヤに命(めい)じたので、彼(かれ)は出(で)ていってシメイを撃(う)ち殺(ころ)した。こうして国(くに)はソロモンの手(て)に堅(かた)く立(た)った。

第三章

1ソロモン王(おう)はエジプトの王(おう)パロと縁(ふち)を結(むす)び、パロの娘(むすめ)をめとってダビデの町(まち)に連(つ)れてきて、自分(じぶん)の家(いえ)と、主(しゅ)の宮(みや)と、エルサレムの周囲(しゅうい)の城壁(じょうへき)を建(た)て終(おわ)るまでそこにおらせた。 2そのころまで主(しゅ)の名(な)のために建(た)てた宮(みや)がなかったので、民(たみ)は高(たか)き所(ところ)で犠牲(ぎせい)をささげていた。

3ソロモンは主(しゅ)を愛(あい)し、父(ちち)ダビデの定(さだ)めに歩(あゆ)んだが、ただ彼(かれ)は高(たか)き所(ところ)で犠牲(ぎせい)をささげ、香(こう)をたいた。 4ある日(ひ)、王(おう)はギベオンへ行(い)って、そこで犠牲(ぎせい)をささげようとした。それが主要(しゅよう)な高(たか)き所(ところ)であったからである。ソロモンは一千の燔祭(はんさい)をその祭壇(さいだん)にささげた。 5ギベオンで主(しゅ)は夜(よ)の夢(ゆめ)にソロモンに現(あらわ)れて言(い)われた、「あなたに何(なに)を与(あた)えようか、求(もと)めなさい」。 6ソロモンは言(い)った、「あなたのしもべであるわたしの父(ちち)ダビデがあなたに対(たい)して誠実(せいじつ)と公義(こうぎ)と真心(まごころ)とをもって、あなたの前(まえ)に歩(あゆ)んだので、あなたは大(おお)いなるいつくしみを彼(かれ)に示(しめ)されました。またあなたは彼(かれ)のために、この大(おお)いなるいつくしみをたくわえて、今日(こんにち)、彼(かれ)の位(くらい)に座(ざ)する子(こ)を授(さづ)けられました。 7わが神(かみ)、主(しゅ)よ、あなたはこのしもべを、わたしの父(ちち)ダビデに代(かわ)って王(おう)とならせられました。しかし、わたしは小(ちい)さい子供(こども)であって、出入(でい)りすることを知(し)りません。 8かつ、しもべはあなたが選(えら)ばれた、あなたの民(たみ)、すなわちその数(かず)が多(おお)くて、数(かぞ)えることも、調(しら)べることもできないほどのおびただしい民(たみ)の中(なか)におります。 9それゆえ、聞(き)きわける心(こころ)をしもべに与(あた)えて、あなたの民(たみ)をさばかせ、わたしに善悪(ぜんあく)をわきまえることを得(え)させてください。だれが、あなたのこの大(おお)いなる民(たみ)をさばくことができましょう」。

10ソロモンはこの事(こと)を求(もと)めたので、そのことが主(しゅ)のみこころにかなった。 11そこで神(かみ)は彼(かれ)に言(い)われた、「あなたはこの事(こと)を求(もと)めて、自分(じぶん)のために長命(ちょうめい)を求(もと)めず、また自分(じぶん)のために富(とみ)を求(もと)めず、また自分(じぶん)の敵(てき)の命(いのち)をも求(もと)めず、ただ訴(うった)えをききわける知恵(ちえ)を求(もと)めたゆえに、 12見(み)よ、わたしはあなたの言葉(ことば)にしたがって、賢(かしこ)い、英明(えいめい)な心(こころ)を与(あた)える。あなたの先(さき)にはあなたに並(なら)ぶ者(もの)がなく、あなたの後(のち)にもあなたに並(なら)ぶ者(もの)は起(おこ)らないであろう。 13わたしはまたあなたの求(もと)めないもの、すなわち富(とみ)と誉(ほまれ)をもあなたに与(あた)える。あなたの生(い)きているかぎり、王(おう)たちのうちにあなたに並(なら)ぶ者(もの)はないであろう。 14もしあなたが、あなたの父(ちち)ダビデの歩(あゆ)んだように、わたしの道(みち)に歩(あゆ)んで、わたしの定(さだ)めと命令(めいれい)とを守(まも)るならば、わたしはあなたの日(ひ)を長(なが)くするであろう」。

15ソロモンが目(め)をさましてみると、それは夢(ゆめ)であった。そこで彼(かれ)はエルサレムへ行(い)き、主(しゅ)の契約(けいやく)の箱(はこ)の前(まえ)に立(た)って燔祭(はんさい)と酬恩祭(しゅうおんさい)をささげ、すべての家来(けらい)のために祝宴(しゅくえん)を設(もう)けた。

16さて、ふたりの遊女(ゆうじょ)が王(おう)のところにきて、王(おう)の前(まえ)に立(た)った。 17ひとりの女(おんな)は言(い)った、「ああ、わが主(しゅ)よ、この女(おんな)とわたしとはひとつの家(いえ)に住(す)んでいますが、わたしはこの女(おんな)と一緒(いっしょ)に家(いえ)にいる時(とき)、子(こ)を産(う)みました。 18ところがわたしの産(う)んだ後(のち)、三日(か)目(め)にこの女(おんな)もまた子(こ)を産(う)みました。そしてわたしたちは一緒(いっしょ)にいましたが、家(いえ)にはほかにだれもわたしたちと共(とも)にいた者(もの)はなく、ただわたしたちふたりだけでした。 19ところがこの女(おんな)は自分(じぶん)の子(こ)の上(うえ)に伏(ふ)したので、夜(よる)のうちにその子(こ)は死(し)にました。 20彼女(かのじょ)は夜中(よなか)に起(お)きて、はしための眠(ねむ)っている間(あいだ)に、わたしの子(こ)をわたしのかたわらから取(と)って、自分(じぶん)のふところに寝(ね)かせ、自分(じぶん)の死(し)んだ子(こ)をわたしのふところに寝(ね)かせました。 21わたしは朝(あさ)、子(こ)に乳(ちち)を飲(の)ませようとして起(お)きて見(み)ると死(し)んでいました。しかし朝(あさ)になってよく見(み)ると、それはわたしが産(う)んだ子(こ)ではありませんでした」。 22ほかの女(おんな)は言(い)った、「いいえ、生(い)きているのがわたしの子(こ)です。死(し)んだのはあなたの子(こ)です」。初(はじ)めの女(おんな)は言(い)った、「いいえ、死(し)んだのがあなたの子(こ)です。生(い)きているのはわたしの子(こ)です」。彼(かれ)らはこのように王(おう)の前(まえ)に言(い)い合(あ)った。

23この時(とき)、王(おう)は言(い)った、「ひとりは『この生(い)きているのがわたしの子(こ)で、死(し)んだのがあなたの子(こ)だ』と言(い)い、またひとりは『いいえ、死(し)んだのがあなたの子(こ)で、生(い)きているのはわたしの子(こ)だ』と言(い)う」。 24そこで王(おう)は「刀(かたな)を持(も)ってきなさい」と言(い)ったので、刀(かたな)を王(おう)の前(まえ)に持(も)ってきた。 25王(おう)は言(い)った、「生(い)きている子(こ)を二つに分(わ)けて、半分(はんぶん)をこちらに、半分(はんぶん)をあちらに与(あた)えよ」。 26すると生(い)きている子(こ)の母(はは)である女(おんな)は、その子(こ)のために心(こころ)がやけるようになって、王(おう)に言(い)った、「ああ、わが主(しゅ)よ、生(い)きている子(こ)を彼女(かのじょ)に与(あた)えてください。決(けっ)してそれを殺(ころ)さないでください」。しかしほかのひとりは言(い)った、「それをわたしのものにも、あなたのものにもしないで、分(わ)けてください」。 27すると王(おう)は答(こた)えて言(い)った、「生(い)きている子(こ)を初(はじ)めの女(おんな)に与(あた)えよ。決(けっ)して殺(ころ)してはならない。彼女(かのじょ)はその母(はは)なのだ」。 28イスラエルは皆(みな)王(おう)が与(あた)えた判決(はんけつ)を聞(き)いて王(おう)を恐(おそ)れた。神(かみ)の知恵(ちえ)が彼(かれ)のうちにあって、さばきをするのを見(み)たからである。

第四章

1ソロモン王(おう)はイスラエルの全(ぜん)地(ち)の王(おう)であった。 2彼(かれ)の高官(こうかん)たちは次(つぎ)のとおりである。ザドクの子(こ)アザリヤは祭司(さいし)。 3シシャの子(こ)エリホレフとアヒヤは書記官(しょきかん)。アヒルデの子(こ)ヨシャバテは史官(しかん)。 4エホヤダの子(こ)ベナヤは軍(ぐん)の長(ちょう)。ザドクとアビヤタルは祭司(さいし)。 5ナタンの子(こ)アザリヤは代官(だいかん)の長(ちょう)。ナタンの子(こ)ザブデは祭司(さいし)で、王(おう)の友(とも)であった。 6アヒシャルは宮内卿(くないきょう)。アブダの子(こ)アドニラムは徴募(ちょうぼ)の長(ちょう)であった。

7ソロモンはまたイスラエルの全(ぜん)地(ち)に十二人(にん)の代官(だいかん)を置(お)いた。その人々(ひとびと)は王(おう)とその家(いえ)のために食物(しょくもつ)を備(そな)えた。すなわちおのおの一年(ねん)に一月(つき)ずつ食物(しょくもつ)を備(そな)えるのであった。 8その名(な)は次(つぎ)のとおりである。エフライムの山地(さんち)にはベンホル。 9マカヅと、シャラビムと、ベテシメシと、エロン・ベテハナンにはベンデケル。 10アルボテにはベンヘセデ、(彼(かれ)はソコとヘペルの全(ぜん)地(ち)を担当(たんとう)した)。 11ドルの高地(こうち)の全部(ぜんぶ)にはベン・アビナダブ、(彼(かれ)はソロモンの娘(むすめ)タパテを妻(つま)とした)。 12アヒルデの子(こ)バアナはタアナクとメギドと、エズレルの下(した)、ザレタンのかたわらにあるベテシャンの全(ぜん)地(ち)を担当(たんとう)して、ベテシャンからアベル・メホラに至(いた)り、ヨクメアムの向(む)こうにまで及(およ)んだ。 13ラモテ・ギレアデにはベンゲベル、(彼(かれ)はギレアデにあるマナセの子(こ)ヤイルの村々(むらむら)を担当(たんとう)し、またバシャンにあるアルゴブの地方(ちほう)の城壁(じょうへき)と青銅(せいどう)の貫(かん)の木(き)のある大(おお)きな町(まち)六十を担当(たんとう)した)。 14マハナイムにはイドの子(こ)アヒナダブ。 15ナフタリにはアヒマアズ、(彼(かれ)もソロモンの娘(むすめ)バスマテを妻(つま)にめとった)。 16アセルとベアロテにはホシャイの子(こ)バアナ。 17イッサカルにはパルアの子(こ)ヨシャパテ。 18ベニヤミンにはエラの子(こ)シメイ。 19アモリびとの王(おう)シホンの地(ち)およびバシャンの王(おう)オグの地(ち)なるギレアデの地(ち)にはウリの子(こ)ゲベル。彼(かれ)はその地(ち)のただひとりの代官(だいかん)であった。

20ユダとイスラエルの人々(ひとびと)は多(おお)くて、海(うみ)べの砂(すな)のようであったが、彼(かれ)らは飲(の)み食(く)いして楽(たの)しんだ。 21ソロモンはユフラテ川(かわ)からペリシテびとの地(ち)と、エジプトの境(さかい)に至(いた)るまでの諸国(しょこく)を治(おさ)めたので、皆(みな)みつぎ物(もの)を携(たずさ)えてきて、ソロモンの一生(いっしょう)のあいだ仕(つか)えた。

22さてソロモンの一日(にち)の食物(しょくもつ)は細(こま)かい麦粉(むぎこ)三十コル、荒(あら)い麦粉(むぎこ)六十コル、 23肥(こ)えた牛(うし)十頭(とう)、牧場(まきば)の牛(うし)二十頭(とう)、羊(ひつじ)百頭(とう)で、そのほかに雄(お)じか、かもしか、こじか、および肥(こ)えた鳥(とり)があった。 24これはソロモンがユフラテ川(かわ)の西(にし)の地方(ちほう)をテフサからガザまで、ことごとく治(おさ)めたからである。すなわち彼(かれ)はユフラテ川(かわ)の西(にし)の諸王(しょおう)をことごとく治(おさ)め、周囲(しゅうい)至(いた)る所(ところ)に平安(へいあん)を得(え)た。 25ソロモンの一生(いっしょう)の間(あいだ)、ユダとイスラエルはダンからベエルシバに至(いた)るまで、安(やす)らかにおのおの自分(じぶん)たちのぶどうの木(き)の下(した)と、いちじくの木(き)の下(した)に住(す)んだ。 26ソロモンはまた戦車(せんしゃ)の馬(うま)の、うまや四千と、騎兵(きへい)一万二千を持(も)っていた。 27そしてそれらの代官(だいかん)たちはおのおの当番(とうばん)の月(つき)にソロモン王(おう)のため、およびすべてソロモン王(おう)の食卓(しょくたく)に連(つら)なる者(もの)のために、食物(しょくもつ)を備(そな)えて欠(か)けることのないようにした。 28また彼(かれ)らはおのおのその割当(わりあて)にしたがって馬(うま)および早馬(はやうま)に食(く)わせる大麦(おおむぎ)とわらを、その馬(うま)のいる所(ところ)に持(も)ってきた。

29神(かみ)はソロモンに非常(ひじょう)に多(おお)くの知恵(ちえ)と悟(さと)りを授(さづ)け、また海(うみ)べの砂原(すなはら)のように広(ひろ)い心(こころ)を授(さづ)けられた。 30ソロモンの知恵(ちえ)は東(ひがし)の人々(ひとびと)の知恵(ちえ)とエジプトのすべての知恵(ちえ)にまさった。 31彼(かれ)はすべての人(ひと)よりも賢(かしこ)く、エズラびとエタンよりも、またマホルの子(こ)ヘマン、カルコル、ダルダよりも賢(かしこ)く、その名声(めいせい)は周囲(しゅうい)のすべての国々(くにぐに)に聞(きこ)えた。 32彼(かれ)はまた箴言(しんげん)三千を説(と)いた。またその歌(うた)は一千五首(しゅ)あった。 33彼(かれ)はまた草木(くさき)のことを論(ろん)じてレバノンの香柏(こうはく)から石(いし)がきにはえるヒソプにまで及(およ)んだ。彼(かれ)はまた獣(けもの)と鳥(とり)と這(は)うものと魚(うお)のことを論(ろん)じた。 34諸国(しょこく)の人々(ひとびと)はソロモンの知恵(ちえ)を聞(き)くためにきた。地(ち)の諸王(しょおう)はソロモンの知恵(ちえ)を聞(き)いて人(ひと)をつかわした。

第五章

1さてツロの王(おう)ヒラムは、ソロモンが油(あぶら)を注(そそ)がれ、その父(ちち)に代(かわ)って、王(おう)となったのを聞(き)いて、家来(けらい)をソロモンにつかわした。ヒラムは常(つね)にダビデを愛(あい)したからである。 2そこでソロモンはヒラムに人(ひと)をつかわして言(い)った、 3「あなたの知(し)られるとおり、父(ちち)ダビデはその周囲(しゅうい)にあった敵(てき)との戦(たたか)いのゆえに、彼(かれ)の神(かみ)、主(しゅ)の名(な)のために宮(みや)を建(た)てることができず、主(しゅ)が彼(かれ)らをその足(あし)の裏(うら)の下(した)に置(お)かれるのを待(ま)ちました。 4ところが今(いま)わが神(かみ)、主(しゅ)はわたしに四方(しほう)の太平(たいへい)を賜(たま)わって、敵(てき)もなく、災(わざわい)もなくなったので、 5主(しゅ)が父(ちち)ダビデに『おまえに代(かわ)って、おまえの位(くらい)に、わたしがつかせるおまえの子(こ)、その人(ひと)がわが名(な)のために宮(みや)を建(た)てるであろう』と言(い)われたように、わが神(かみ)、主(しゅ)の名(な)のために宮(みや)を建(た)てようと思(おも)います。 6それゆえ、あなたは命令(めいれい)を下(くだ)して、レバノンの香柏(こうはく)をわたしのために切(き)り出(だ)させてください。わたしのしもべたちをあなたのしもべたちと一緒(いっしょ)に働(はたら)かせます。またわたしはすべてあなたのおっしゃるとおり、あなたのしもべたちの賃銀(ちんぎん)をあなたに払(はら)います。あなたの知(し)られるとおり、わたしたちのうちにはシドンびとのように木(き)を切(き)るに巧(たく)みな人(ひと)がないからです」。

7ヒラムはソロモンの言葉(ことば)を聞(き)いて大(おお)いに喜(よろこ)び、「きょう、主(しゅ)はあがむべきかな。主(しゅ)はこのおびただしい民(たみ)を治(おさ)める賢(かしこ)い子(こ)をダビデに賜(たま)わった」と言(い)った。 8そしてヒラムはソロモンに人(ひと)をつかわして言(い)った、「わたしはあなたが申(もう)しおくられたことを聞(き)きました。香柏(こうはく)の材木(ざいもく)と、いとすぎの材木(ざいもく)については、すべてお望(のぞ)みのようにいたします。 9わたしのしもべどもにそれをレバノンから海(うみ)に運(はこ)びおろさせましょう。わたしはそれをいかだに組(く)んで、海路(かいろ)、あなたの指示(しじ)される場所(ばしょ)まで送(おく)り、そこでそれをくずしましょう。あなたはそれを受(う)け取(と)ってください。また、あなたはわたしの家(いえ)のために食物(しょくもつ)を供給(きょうきゅう)して、わたしの望(のぞ)みをかなえてください」。 10こうしてヒラムはソロモンにすべて望(のぞ)みのように香柏(こうはく)の材木(ざいもく)と、いとすぎの材木(ざいもく)を与(あた)えた。 11またソロモンはヒラムにその家(いえ)の食物(しょくもつ)として小麦(こむぎ)二万コルを与(あた)え、またオリブをつぶして取(と)った油(あぶら)二万コルを与(あた)えた。このようにソロモンは年々(ねんねん)ヒラムに与(あた)えた。 12主(しゅ)は約束(やくそく)されたようにソロモンに知恵(ちえ)を賜(たま)わった。またヒラムとソロモンの間(あいだ)は平和(へいわ)であって、彼(かれ)らふたりは条約(じょうやく)を結(むす)んだ。

13ソロモン王(おう)はイスラエルの全(ぜん)地(ち)から強制的(きょうせいてき)に労働者(ろうどうしゃ)を徴募(ちょうぼ)した。その徴募(ちょうぼ)人員(じんいん)は三万人(にん)であった。 14ソロモンは彼(かれ)らを一か月(げつ)交代(こうたい)に一万人(にん)ずつレバノンにつかわした。すなわち一か月(げつ)レバノンに、二か月(げつ)家(いえ)にあり、アドニラムは徴募(ちょうぼ)の監督(かんとく)であった。 15ソロモンにはまた荷(に)を負(お)う者(もの)が七万人(にん)、山(やま)で石(いし)を切(き)る者(もの)が八万人(にん)あった。 16ほかにソロモンには工事(こうじ)を監督(かんとく)する上役(うわやく)の官吏(かんり)が三千三百人(にん)あって、工事(こうじ)に働(はたら)く民(たみ)を監督(かんとく)した。 17王(おう)は命(めい)じて大(おお)きい高価(こうか)な石(いし)を切(き)り出(だ)させ、切(き)り石(いし)をもって宮(みや)の基(もとい)をすえさせた。 18こうしてソロモンの建築者(けんちくしゃ)と、ヒラムの建築者(けんちくしゃ)およびゲバルびとは石(いし)を切(き)り、材木(ざいもく)と石(いし)とを宮(みや)を建(た)てるために備(そな)えた。

第六章

1イスラエルの人々(ひとびと)がエジプトの地(ち)を出(で)て後(のち)四百八十年(ねん)、ソロモンがイスラエルの王(おう)となって第(だい)四年(ねん)のジフの月(つき)すなわち二月(がつ)に、ソロモンは主(しゅ)のために宮(みや)を建(た)てることを始(はじ)めた。 2ソロモン王(おう)が主(しゅ)のために建(た)てた宮(みや)は長(なが)さ六十キュビト、幅(はば)二十キュビト、高(たか)さ三十キュビトであった。 3宮(みや)の拝殿(はいでん)の前(まえ)の廊(ろう)は宮(みや)の幅(はば)にしたがって長(なが)さ二十キュビト、その幅(はば)は宮(みや)の前(まえ)で十キュビトであった。 4彼(かれ)は宮(みや)に、内側(うちがわ)の広(ひろ)い枠(わく)の窓(まど)を造(つく)った。 5また宮(みや)の壁(かべ)につけて周囲(しゅうい)に脇屋(わきや)を設(もう)け、宮(みや)の壁(かべ)すなわち拝殿(はいでん)と本殿(ほんでん)の壁(かべ)の周囲(しゅうい)に建(た)てめぐらし、宮(みや)の周囲(しゅうい)に脇間(わきま)があるようにした。 6下(した)の脇間(わきま)は広(ひろ)さ五キュビト、中(なか)の広(ひろ)さ六キュビト、第(だい)三のは広(ひろ)さ七キュビトであった。宮(みや)の外側(そとがわ)には壁(かべ)に段(だん)を造(つく)って、梁(はり)を宮(みや)の壁(かべ)の中(なか)に差(さ)し込(こ)まないようにした。

7宮(みや)は建(た)てる時(とき)に、石(いし)切(き)り場(ば)で切(き)り整(ととの)えた石(いし)をもって造(つく)ったので、建(た)てている間(あいだ)は宮(みや)のうちには、つちも、おのも、その他(た)の鉄器(てっき)もその音(おと)が聞(きこ)えなかった。

8下(した)の脇間(わきま)の入口(いりぐち)は宮(みや)の右側(みぎがわ)にあり、回(まわ)り階段(かいだん)によって中(なか)の脇間(わきま)に、中(なか)の脇間(わきま)から第(だい)三の脇間(わきま)にのぼった。 9こうして彼(かれ)は宮(みや)を建(た)て終(おわ)り、香柏(こうはく)のたるきと板(いた)をもって宮(みや)の天井(てんじょう)を造(つく)った。 10また宮(みや)につけて、おのおの高(たか)さ五キュビトの脇間(わきま)のある脇屋(わきや)を建(た)てめぐらし、香柏(こうはく)の材木(ざいもく)をもって宮(みや)に接続(せつぞく)させた。

11そこで主(しゅ)の言葉(ことば)がソロモンに臨(のぞ)んだ、 12「あなたが建(た)てるこの宮(みや)については、もしあなたがわたしの定(さだ)めに歩(あゆ)み、おきてを行(おこな)い、すべての戒(いまし)めを守(まも)り、それに従(したが)って歩(あゆ)むならば、わたしはあなたの父(ちち)ダビデに約束(やくそく)したことを成就(じょうじゅ)する。 13そしてわたしはイスラエルの人々(ひとびと)のうちに住(す)み、わたしの民(たみ)イスラエルを捨(す)てることはない」。

14こうしてソロモンは宮(みや)を建(た)て終(おわ)った。 15彼(かれ)は香柏(こうはく)の板(いた)をもって宮(みや)の壁(かべ)の内側(うちがわ)を張(は)った。すなわち宮(みや)の床(ゆか)から天井(てんじょう)のたるきまで香柏(こうはく)の板(いた)で張(は)った。また、いとすぎの板(いた)をもって宮(みや)の床(ゆか)を張(は)った。 16また宮(みや)の奥(おく)に二十キュビトの室(しつ)を床(ゆか)から天井(てんじょう)のたるきまで香柏(こうはく)の板(いた)をもって造(つく)った。すなわち宮(みや)の内(うち)に至聖所(しせいじょ)としての本堂(ほんどう)を造(つく)った。 17宮(みや)すなわち本殿(ほんでん)の前(まえ)にある拝殿(はいでん)は長(なが)さ四十キュビトであった。 18宮(みや)の内(うち)側(がわ)の香柏(こうはく)の板(いた)は、ひさごの形(かたち)と、咲(さ)いた花(はな)を浮彫(うきぼり)りにしたもので、みな香柏(こうはく)の板(いた)で、石(いし)は見(み)えなかった。 19そして主(しゅ)の契約(けいやく)の箱(はこ)を置(お)くために、宮(みや)の内(うち)の奥(おく)に本殿(ほんでん)を設(もう)けた。 20本殿(ほんでん)は長(なが)さ二十キュビト、幅(はば)二十キュビト、高(たか)さ二十キュビトであって、純金(じゅんきん)でこれをおおった。また香柏(こうはく)の祭壇(さいだん)を造(つく)った。 21ソロモンは純金(じゅんきん)をもって宮(みや)の内(うち)側(がわ)をおおい、本殿(ほんでん)の前(まえ)に金(きん)の鎖(くさり)をもって隔(へだ)てを造(つく)り、金(きん)をもってこれをおおった。 22また金(きん)をもって残(のこ)らず宮(みや)をおおい、ついに宮(みや)を飾(かざ)ることをことごとく終(お)えた。また本殿(ほんでん)に属(ぞく)する祭壇(さいだん)をことごとく金(きん)でおおった。

23本殿(ほんでん)のうちにオリブの木(き)をもって二つのケルビムを造(つく)った。その高(たか)さはおのおの十キュビト。 24そのケルブの一つの翼(つばさ)の長(なが)さは五キュビト、またそのケルブの他(た)の翼(つばさ)の長(なが)さも五キュビトであった。一つの翼(つばさ)の端(はし)から他(た)の翼(つばさ)の端(はし)までは十キュビトあった。 25他(た)のケルブも十キュビトであって、二つのケルビムは同(おな)じ寸法(すんぽう)、同(おな)じ形(かたち)であった。 26このケルブの高(たか)さは十キュビト、かのケルブの高(たか)さも同(おな)じであった。 27ソロモンは宮(みや)のうちの奥(おく)にケルビムをすえた。ケルビムの翼(つばさ)を伸(の)ばしたところ、このケルブの翼(つばさ)はこの壁(かべ)に達(たっ)し、かのケルブの翼(つばさ)はかの壁(かべ)に達(たっ)し、他(た)の二つの翼(つばさ)は宮(みや)の中(なか)で互(たがい)に触(ふ)れ合(あ)った。 28彼(かれ)は金(きん)をもってそのケルビムをおおった。

29彼(かれ)は宮(みや)の周囲(しゅうい)の壁(かべ)に、内外(ないがい)の室(しつ)とも皆(みな)ケルビムと、しゅろの木(き)と、咲(さ)いた花(はな)の形(かたち)の彫(ほ)り物(もの)を刻(きざ)み、 30宮(みや)の床(ゆか)は、内外(ないがい)の室(しつ)とも金(きん)でおおった。

31本殿(ほんでん)の入口(いりぐち)にはオリブの木(き)のとびらを造(つく)った。そのとびらの上(うえ)のかまちと脇(わき)柱(ばしら)とで五辺(へん)形(けい)をなしていた。 32その二つのとびらもオリブの木(き)であって、ソロモンはその上(うえ)にケルビムと、しゅろの木(き)と、咲(さ)いた花(はな)の形(かたち)を刻(きざ)み、金(きん)をもっておおった。すなわちケルビムと、しゅろの木(き)の上(うえ)に金(きん)を着(き)せた。

33こうしてソロモンはまた拝殿(はいでん)の入口(いりぐち)のためにオリブの木(き)で四角(しかく)の形(かたち)に脇(わき)柱(ばしら)を造(つく)った。 34その二つのとびらはいとすぎであって、一つのとびらは二つにたたむ折(お)り戸(と)であり、他(た)のとびらも二つにたたむ折(お)り戸(と)であった。 35ソロモンはその上(うえ)にケルビムと、しゅろの木(き)と、咲(さ)いた花(はな)を刻(きざ)み、金(きん)をもって彫(ほ)り物(もの)の上(うえ)を形(かたち)どおりにおおった。 36また切(き)り石(いし)三かさねと、香柏(こうはく)の角材(かくざい)ひとかさねとをもって内庭(うちにわ)を造(つく)った。

37第(だい)四年(ねん)のジフの月(つき)に主(しゅ)の宮(みや)の基(もとい)をすえ、 38第(だい)十一年(ねん)のブルの月(つき)すなわち八月(がつ)に、宮(みや)のすべての部分(ぶぶん)が設計(せっけい)どおりに完成(かんせい)した。ソロモンはこれを建(た)てるのに七年(ねん)を要(よう)した。

第七章

1またソロモンは自分(じぶん)の家(いえ)を建(た)てたが、十三年(ねん)かかってその家(いえ)を全部(ぜんぶ)建(た)て終(おわ)った。

2彼(かれ)はレバノンの森(もり)の家(いえ)を建(た)てた。長(なが)さ百キュビト、幅(はば)五十キュビト、高(たか)さ三十キュビトで、三列(れつ)の香柏(こうはく)の柱(はしら)があり、その柱(はしら)の上(うえ)に香柏(こうはく)の梁(はり)があった。 3四十五本(ほん)の柱(はしら)の上(うえ)にある室(しつ)は香柏(こうはく)の板(いた)でおおった。柱(はしら)は各(かく)列(れつ)十五本(ほん)あった。 4また窓(まど)わくが三列(れつ)あって、窓(まど)と窓(まど)と三段(だん)に向(む)かい合(あ)っていた。 5戸口(とぐち)と窓(まど)はみな四角(しかく)の枠(わく)をもち、窓(まど)と窓(まど)と三段(だん)に向(む)かい合(あ)った。

6また柱(はしら)の広間(ひろま)を造(つく)った。長(なが)さ五十キュビト、幅(はば)三十キュビトであった。柱(はしら)の前(まえ)に一つの広間(ひろま)があり、その玄関(げんかん)に柱(はしら)とひさしがあった。

7またソロモンはみずから審判(しんぱん)をするために玉座(ぎょくざ)の広間(ひろま)、すなわち審判(しんぱん)の広間(ひろま)を造(つく)った。床(ゆか)からたるきまで香柏(こうはく)をもっておおった。

8ソロモンが住(す)んだ宮殿(きゅうでん)はその広間(ひろま)のうしろの他(た)の庭(にわ)にあって、その造作(ぞうさ)は同(おな)じであった。ソロモンはまた彼(かれ)がめとったパロの娘(むすめ)のために家(いえ)を建(た)てたが、その広間(ひろま)と同(おな)じであった。

9これらはみな内外(ないがい)とも、土台(どだい)から軒(のき)まで、また主(しゅ)の宮(みや)の庭(にわ)から大庭(おおにわ)まで、寸法(すんぽう)に合(あ)わせて切(き)った石(いし)、すなわち、のこぎりでひいた高価(こうか)な石(いし)で造(つく)られた。 10また土台(どだい)は高価(こうか)な石(いし)、大(おお)きな石(いし)、すなわち八キュビトの石(いし)、十キュビトの石(いし)であった。 11その上(うえ)には寸法(すんぽう)に合(あ)わせて切(き)った高価(こうか)な石(いし)と香柏(こうはく)とがあった。 12また大庭(おおにわ)の周囲(しゅうい)には三かさねの切(き)り石(いし)と、一かさねの香柏(こうはく)の角材(かくざい)があった。主(しゅ)の宮(みや)の内(うち)庭(にわ)と宮殿(きゅうでん)の広間(ひろま)の庭(にわ)の場合(ばあい)と同(おな)じである。

13ソロモン王(おう)は人(ひと)をつかわしてツロからヒラムを呼(よ)んできた。 14彼(かれ)はナフタリの部族(ぶぞく)の寡婦(かふ)の子(こ)であって、その父(ちち)はツロの人(ひと)で、青銅(せいどう)の細工人(さいくにん)であった。ヒラムは青銅(せいどう)のいろいろな細工(さいく)をする知恵(ちえ)と悟(さと)りと知識(ちしき)に満(み)ちた者(もの)であったが、ソロモン王(おう)のところにきて、そのすべての細工(さいく)をした。

15彼(かれ)は青銅(せいどう)の柱(はしら)二本(ほん)を鋳(い)た。一本(ぽん)の柱(はしら)の高(たか)さは十八キュビト、そのまわりは綱(つな)をもって測(はか)ると十二キュビトあり、指(ゆび)四本(ほん)の厚(あつ)さで空洞(くうどう)であった。他(た)の柱(はしら)も同(おな)じである。 16また青銅(せいどう)を溶(と)かして柱頭(ちゅうとう)二つを造(つく)り、柱(はしら)の頂(いただき)にすえた。その一つの柱頭(ちゅうとう)の高(たか)さは五キュビト、他(た)の柱頭(ちゅうとう)の高(たか)さも五キュビトであった。 17柱(はしら)の頂(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)のために鎖(くさり)に編(あ)んだ飾(かざ)りひもで市松(いちまつ)模様(もよう)の網(あみ)細工(ざいく)二つを造(つく)った。すなわちこの柱頭(ちゅうとう)のために一つ、かの柱頭(ちゅうとう)のために一つを造(つく)った。 18またざくろを造(つく)った。すなわち二並(なら)びのざくろを一つの網(あみ)細工(ざいく)の上(うえ)のまわりに造(つく)って、柱(はしら)の頂(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)を巻(ま)いた。他(た)の柱頭(ちゅうとう)にも同(おな)じようにした。 19この廊(ろう)の柱(はしら)の頂(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)の上(うえ)に四キュビトのゆりの花(はな)の細工(さいく)があった。 20二つの柱(はしら)の上端(じょうたん)の丸(まる)い突出(とっしゅつ)部(ぶ)の上(うえ)にある網(あみ)細工(ざいく)の柱頭(ちゅうとう)の周囲(しゅうい)には、おのおの二百のざくろが二並(なら)びになっていた。 21この柱(はしら)を神殿(しんでん)の廊(ろう)に立(た)てた。すなわち南(みなみ)に柱(はしら)を立(た)てて、その名(な)をヤキンと名(な)づけ、北(きた)に柱(はしら)を立(た)てて、その名(な)をボアズと名(な)づけた。 22その柱(はしら)の頂(いただき)にはゆりの花(はな)の細工(さいく)があった。こうしてその柱(はしら)の造作(ぞうさ)ができあがった。

23また海(うみ)を鋳(い)て造(つく)った。縁(ふち)から縁(ふち)まで十キュビトであって、周囲(しゅうい)は円形(えんけい)をなし、高(たか)さ五キュビトで、その周囲(しゅうい)は綱(つな)をもって測(はか)ると三十キュビトであった。 24その縁(ふち)の下(した)には三十キュビトの周囲(しゅうい)をめぐるひさごがあって、海(うみ)の周囲(しゅうい)を囲(かこ)んでいた。そのひさごは二並(なら)びで、海(うみ)を鋳(い)る時(とき)に鋳(い)たものである。 25その海(うみ)は十二の牛(うし)の上(うえ)に置(お)かれ、その三つは北(きた)に向(む)かい、三つは西(にし)に向(む)かい、三つは南(みなみ)に向(む)かい、三つは東(ひがし)に向(む)かっていた。海(うみ)はその上(うえ)に置(お)かれ、牛(うし)のうしろは皆(みな)内(うち)に向(む)かっていた。 26海(うみ)の厚(あつ)さは手(て)の幅(はば)で、その縁(ふち)は杯(はい)の縁(ふち)のように、ゆりの花(はな)に似(に)せて造(つく)られた。海(うみ)には水(みず)が二千バテはいった。

27また青銅(せいどう)の台(だい)を十個(こ)造(つく)った。台(だい)は長(なが)さ四キュビト、幅(はば)四キュビト、高(たか)さ三キュビトであった。 28その台(だい)の構造(こうぞう)は次(つぎ)のとおりである。台(だい)には鏡板(かがみいた)があり、鏡板(かがみいた)は枠(わく)の中(なか)にあった。 29枠(わく)の中(なか)にある鏡板(かがみいた)には、ししと牛(うし)とケルビムとがあり、また、ししと牛(うし)の上(うえ)と下(した)にある枠(わく)の斜面(しゃめん)には花(はな)飾(かざ)りが細工(さいく)してあった。 30また台(だい)にはおのおの四つの青銅(せいどう)の車輪(しゃりん)と、青銅(せいどう)の車軸(しゃじく)があり、その四すみには洗盤(せんばん)のささえがあった。そのささえは、おのおの花(はな)飾(かざ)りのかたわらに鋳(い)て造(つく)りつけてあった。 31その口(くち)は一キュビト上(うえ)に突(つ)き出(で)て、台(だい)の頂(いただき)の内(うち)にあり、その口(くち)は丸(まる)く、台座(だいざ)のように造(つく)られ、深(ふか)さ一キュビト半(はん)であった。またその口(くち)には彫(ほ)り物(もの)があった。その鏡板(かがみいた)は四角(しかく)で、丸(まる)くなかった。 32四つの車輪(しゃりん)は鏡板(かがみいた)の下(した)にあり、車軸(しゃじく)は台(だい)に取(と)り付(つ)けてあり、車輪(しゃりん)の高(たか)さはおのおの一キュビト半(はん)であった。 33車輪(しゃりん)の構造(こうぞう)は戦車(せんしゃ)の車輪(しゃりん)の構造(こうぞう)と同(おな)じで、その車軸(しゃじく)と縁(ふち)と輻(や)と轂(こしき)とはみな鋳物(いもの)であった。 34おのおのの台(だい)の四すみに四つのささえがあり、そのささえは台(だい)の一部(いちぶ)をなしていた。 35台(だい)の上(うえ)には高(たか)さ半(はん)キュビトの丸(まる)い帯(おび)輪(わ)があった。そして台(だい)の上(うえ)にあるその支柱(しちゅう)と鏡板(かがみいた)とはその一部(いちぶ)をなしていた。 36その支柱(しちゅう)の表面(ひょうめん)と鏡板(かがみいた)にはそれぞれの場所(ばしょ)に、ケルビムと、ししと、しゅろを刻(きざ)み、またその周囲(しゅうい)に花(はな)飾(かざ)りを施(ほどこ)した。 37このようにして十個(こ)の台(だい)を造(つく)った。それはみな同(おな)じ鋳方(いかた)、同(おな)じ寸法(すんぽう)、同(おな)じ形(かたち)であった。

38また青銅(せいどう)の洗盤(せんばん)を十個(こ)造(つく)った。洗盤(せんばん)はおのおの四十バテの水(みず)がはいり、洗盤(せんばん)はおのおの四キュビトであった。十個(こ)の台(だい)の上(うえ)にはおのおの一つずつの洗盤(せんばん)があった。 39その台(だい)の五個(こ)を宮(みや)の南(みなみ)の方(ほう)に、五個(こ)を宮(みや)の北(きた)の方(ほう)に置(お)き、宮(みや)の東南(とうなん)の方(ほう)に海(うみ)をすえた。

40ヒラムはまたつぼと十能(じゅうのう)と鉢(はち)を造(つく)った。こうしてヒラムはソロモン王(おう)のために主(しゅ)の宮(みや)のすべての細工(さいく)をなし終(お)えた。 41すなわち二本(ほん)の柱(はしら)と、その柱(はしら)の頂(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)の二つの玉(たま)と、柱(はしら)の頂(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)の二つの玉(たま)をおおう二つの網(あみ)細工(ざいく)と、 42その二つの網(あみ)細工(ざいく)のためのざくろ四百。このざくろは一つの網(あみ)細工(ざいく)に、二並(なら)びにつけて、柱(はしら)の頂(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)の二つの玉(たま)を巻(ま)いた。 43また十個(こ)の台(だい)と、その台(だい)の上(うえ)の十個(こ)の洗盤(せんばん)と、 44一つの海(うみ)と、その海(うみ)の下(した)の十二の牛(うし)とであった。

45さてつぼと十能(じゅうのう)と鉢(はち)、すなわちヒラムがソロモン王(おう)のために造(つく)った主(しゅ)の宮(みや)のこれらの器(うつわ)はみな光(ひかり)のある青銅(せいどう)であった。 46王(おう)はヨルダンの低地(ていち)で、スコテとザレタンの間(あいだ)の粘土(ねんど)の地(ち)でこれらを鋳(い)た。 47ソロモンはその器(うつわ)が非常(ひじょう)に多(おお)かったので、皆(みな)それをはからずにおいた。その青銅(せいどう)の重(おも)さは、はかり得(え)なかった。

48またソロモンは主(しゅ)の宮(みや)にあるもろもろの器(うつわ)を造(つく)った。すなわち金(きん)の祭壇(さいだん)と、供(そな)えのパンを載(の)せる金(きん)の机(つくえ)、 49および純金(じゅんきん)の燭台(しょくだい)。この燭台(しょくだい)は本殿(ほんでん)の前(まえ)に、五つは南(みなみ)に、五つは北(きた)にあった。また金(きん)の花(はな)と、ともしび皿(さら)と、心(こころ)かきと、 50純金(じゅんきん)の皿(さら)と、心切(しんき)りばさみと、鉢(はち)と、香(こう)の杯(はい)と、心取(しんと)り皿(ざら)と、至聖所(しせいじょ)である宮(みや)の奥(おく)のとびらのためおよび、宮(みや)の拝殿(はいでん)のとびらのために、金(きん)のひじつぼを造(つく)った。

51こうしてソロモン王(おう)が主(しゅ)の宮(みや)のために造(つく)るすべての細工(さいく)は終(おわ)った。そしてソロモンは父(ちち)ダビデがささげた物(もの)、すなわち金銀(きんぎん)および器物(うつわもの)を携(たずさ)え入(はい)り、主(しゅ)の宮(みや)の宝蔵(ほうぞう)の中(なか)にたくわえた。

第八章

1ソロモンは主(しゅ)の契約(けいやく)の箱(はこ)をダビデの町(まち)、すなわちシオンからかつぎ上(のぼ)ろうとして、イスラエルの長老(ちょうろう)たちと、すべての部族(ぶぞく)のかしらたちと、イスラエルの人々(ひとびと)の氏族(しぞく)の長(ちょう)たちをエルサレムでソロモン王(おう)のもとに召(め)し集(あつ)めた。 2イスラエルの人(ひと)は皆(みな)エタニムの月(つき)すなわち七月(がつ)の祭(まつり)にソロモン王(おう)のもとに集(あつ)まった。 3イスラエルの長老(ちょうろう)たちが皆(みな)来(き)たので、祭司(さいし)たちは箱(はこ)を取(と)りあげた。 4そして彼(かれ)らは主(しゅ)の箱(はこ)と、会見(かいけん)の幕屋(まくや)と、幕屋(まくや)にあるすべての聖(せい)なる器(うつわ)をかつぎ上(のぼ)った。すなわち祭司(さいし)とレビびとがこれらの物(もの)をかつぎ上(のぼ)った。 5ソロモン王(おう)および彼(かれ)のもとに集(あつ)まったイスラエルの会衆(かいしゅう)は皆(みな)彼(かれ)と共(とも)に箱(はこ)の前(まえ)で、羊(ひつじ)と牛(うし)をささげたが、その数(かず)が多(おお)くて調(しら)べることも数(かぞ)えることもできなかった。 6祭司(さいし)たちは主(しゅ)の契約(けいやく)の箱(はこ)をその場所(ばしょ)にかつぎ入(い)れた。すなわち宮(みや)の本殿(ほんでん)である至聖所(しせいじょ)のうちのケルビムの翼(つばさ)の下(した)に置(お)いた。 7ケルビムは翼(つばさ)を箱(はこ)の所(ところ)に伸(の)べていたので、ケルビムは上(うえ)から箱(はこ)とそのさおをおおった。 8さおは長(なが)かったので、さおの端(はし)が本殿(ほんでん)の前(まえ)の聖所(せいじょ)から見(み)えた。しかし外(そと)には見(み)えなかった。そのさおは今日(こんにち)までそこにある。 9箱(はこ)の内(うち)には二つの石(いし)の板(いた)のほか何(なに)もなかった。これはイスラエルの人々(ひとびと)がエジプトの地(ち)から出(で)たとき、主(しゅ)が彼(かれ)らと契約(けいやく)を結(むす)ばれたときに、モーセがホレブで、それに納(おさ)めたものである。 10そして祭司(さいし)たちが聖所(せいじょ)から出(で)たとき、雲(くも)が主(しゅ)の宮(みや)に満(み)ちたので、 11祭司(さいし)たちは雲(くも)のために立(た)って仕(つか)えることができなかった。主(しゅ)の栄光(えいこう)が主(しゅ)の宮(みや)に満(み)ちたからである。

12そこでソロモンは言(い)った、
「主(しゅ)は日(ひ)を天(てん)に置(お)かれた。
しかも主(しゅ)は自(みずか)ら濃(こ)き雲(くも)の中(なか)に住(す)まおうと言(い)われた。
13わたしはあなたのために高(たか)き家(いえ)、
とこしえのみすまいを建(た)てた」。
14王(おう)は身(み)をめぐらして、イスラエルのすべての会衆(かいしゅう)を祝福(しゅくふく)した。その時(とき)イスラエルのすべての会衆(かいしゅう)は立(た)っていた。 15彼(かれ)は言(い)った、「イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はほむべきかな。主(しゅ)はその口(くち)をもってわたしの父(ちち)ダビデに約束(やくそく)されたことを、その手(て)をもってなし遂(と)げられた。主(しゅ)は言(い)われた、 16『わが民(たみ)イスラエルをエジプトから導(みちび)き出(だ)した日(ひ)から、わたしはわたしの名(な)を置(お)くべき宮(みや)を建(た)てるために、イスラエルのもろもろの部族(ぶぞく)のうちから、どの町(まち)をも選(えら)んだことがなかった。ただダビデを選(えら)んで、わが民(たみ)イスラエルの上(うえ)に立(た)たせた』と。 17イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)の名(な)のために宮(みや)を建(た)てることは、わたしの父(ちち)ダビデの心(こころ)にあった。 18しかし主(しゅ)はわたしの父(ちち)ダビデに言(い)われた、『わたしの名(な)のために宮(みや)を建(た)てることはあなたの心(こころ)にあった。あなたの心(こころ)にこの事(こと)のあったのは結構(けっこう)である。 19けれどもあなたはその宮(みや)を建(た)ててはならない。あなたの身(み)から出(で)るあなたの子(こ)がわたしの名(な)のために宮(みや)を建(た)てるであろう』と。 20そして主(しゅ)はその言(い)われた言葉(ことば)を行(おこな)われた。すなわちわたしは父(ちち)ダビデに代(かわ)って立(た)ち、主(しゅ)が言(い)われたように、イスラエルの位(くらい)に座(ざ)し、イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)の名(な)のために宮(みや)を建(た)てた。 21わたしはまたそこに主(しゅ)の契約(けいやく)を納(おさ)めた箱(はこ)のために一つの場所(ばしょ)を設(もう)けた。その契約(けいやく)は主(しゅ)がわれわれの先祖(せんぞ)をエジプトの地(ち)から導(みちび)き出(だ)された時(とき)に、彼(かれ)らと結(むす)ばれたものである」。

22ソロモンはイスラエルの全(ぜん)会衆(かいしゅう)の前(まえ)で、主(しゅ)の祭壇(さいだん)の前(まえ)に立(た)ち、手(て)を天(てん)に伸(の)べて、 23言(い)った、「イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)よ、上(うえ)の天(てん)にも、下(した)の地(ち)にも、あなたのような神(かみ)はありません。あなたは契約(けいやく)を守(まも)られ、心(こころ)をつくしてあなたの前(まえ)に歩(あゆ)むあなたのしもべらに、いつくしみを施(ほどこ)し、 24あなたのしもべであるわたしの父(ちち)ダビデに約束(やくそく)されたことを守(まも)られました。あなたが口(くち)をもって約束(やくそく)されたことを、手(て)をもってなし遂(と)げられたことは、今日(こんにち)見(み)るとおりであります。 25それゆえ、イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)よ、あなたのしもべであるわたしの父(ちち)ダビデに、あなたが約束(やくそく)して『おまえがわたしの前(まえ)に歩(あゆ)んだように、おまえの子孫(しそん)が、その道(みち)を慎(つつし)んで、わたしの前(まえ)に歩(あゆ)むならば、おまえにはイスラエルの位(くらい)に座(ざ)する人(ひと)が、わたしの前(まえ)に欠(か)けることはないであろう』と言(い)われたことを、ダビデのために守(まも)ってください。 26イスラエルの神(かみ)よ、どうぞ、あなたのしもべであるわたしの父(ちち)ダビデに言(い)われた言葉(ことば)を確認(かくにん)してください。

27しかし神(かみ)は、はたして地上(ちじょう)に住(す)まわれるでしょうか。見(み)よ、天(てん)も、いと高(たか)き天(てん)もあなたをいれることはできません。ましてわたしの建(た)てたこの宮(みや)はなおさらです。 28しかしわが神(かみ)、主(しゅ)よ、しもべの祈(いのり)と願(ねが)いを顧(かえり)みて、しもべがきょう、あなたの前(まえ)にささげる叫(さけ)びと祈(いのり)をお聞(き)きください。 29あなたが『わたしの名(な)をそこに置(お)く』と言(い)われた所(ところ)、すなわち、この宮(みや)に向(む)かって夜昼(よるひる)あなたの目(め)をお開(ひら)きください。しもべがこの所(ところ)に向(む)かって祈(いの)る祈(いのり)をお聞(き)きください。 30しもべと、あなたの民(たみ)イスラエルがこの所(ところ)に向(む)かって祈(いの)る時(とき)に、その願(ねが)いをお聞(き)きください。あなたのすみかである天(てん)で聞(き)き、聞(き)いておゆるしください。

31もし人(ひと)がその隣(とな)り人(びと)に対(たい)して罪(つみ)を犯(おか)し、誓(ちか)いをすることを求(もと)められる時(とき)、来(き)てこの宮(みや)であなたの祭壇(さいだん)の前(まえ)に誓(ちか)うならば、 32あなたは天(てん)で聞(き)いて行(おこな)い、あなたのしもべらをさばき、悪人(あくにん)を罰(ばっ)して、そのおこないの報(むく)いをそのこうべに帰(き)し、義人(ぎじん)を義(ぎ)として、その義(ぎ)にしたがって、その人(ひと)に報(むく)いてください。

33もしあなたの民(たみ)イスラエルが、あなたに対(たい)して罪(つみ)を犯(おか)したために敵(てき)の前(まえ)に敗(やぶ)れた時(とき)、あなたに立(た)ち返(かえ)って、あなたの名(な)をあがめ、この宮(みや)であなたに祈(いの)り願(ねが)うならば、 34あなたは天(てん)にあって聞(き)き、あなたの民(たみ)イスラエルの罪(つみ)をゆるして、あなたが彼(かれ)らの先祖(せんぞ)に賜(たま)わった地(ち)に彼(かれ)らを帰(かえ)らせてください。

35もし彼(かれ)らがあなたに罪(つみ)を犯(おか)したために、天(てん)が閉(と)ざされて雨(あめ)がなく、あなたが彼(かれ)らを苦(くる)しめられる時(とき)、彼(かれ)らがこの所(ところ)に向(む)かって祈(いの)り、あなたの名(な)をあがめ、その罪(つみ)を離(はな)れるならば、 36あなたは天(てん)で聞(き)き、あなたのしもべ、あなたの民(たみ)イスラエルの罪(つみ)をゆるし、彼(かれ)らに歩(あゆ)むべき良(よ)い道(みち)を教(おし)えて、あなたが、あなたの民(たみ)に嗣(し)業(ぎょう)として与(あた)えられた地(ち)に雨(あめ)を降(ふ)らせてください。

37もし国(くに)にききんがあるか、もしくは疫病(えきびょう)、立(た)ち枯(が)れ、腐(くさ)り穂(ほ)、いなご、青虫(あおむし)があるか、もしくは敵(てき)のために町(まち)の中(なか)に攻(せ)め囲(かこ)まれることがあるか、どんな災害(さいがい)、どんな病気(びょうき)があっても、 38もし、だれでも、あなたの民(たみ)イスラエルがみな、おのおのその心(こころ)の悩(なや)みを知(し)って、この宮(みや)に向(む)かい、手(て)を伸(の)べるならば、どんな祈(いのり)、どんな願(ねが)いでも、 39あなたは、あなたのすみかである天(てん)で聞(き)いてゆるし、かつ行(おこな)い、おのおのの人(ひと)に、その心(こころ)を知(し)っておられるゆえ、そのすべての道(みち)にしたがって報(むく)いてください。ただ、あなただけ、すべての人(ひと)の心(こころ)を知(し)っておられるからです。 40あなたが、われわれの先祖(せんぞ)に賜(たま)わった地(ち)に、彼(かれ)らの生(い)きながらえる日(ひ)の間(あいだ)、常(つね)にあなたを恐(おそ)れさせてください。

41またあなたの民(たみ)イスラエルの者(もの)でなく、あなたの名(な)のために遠(とお)い国(くに)から来(く)る異邦人(いほうじん)が、 42――それは彼(かれ)らがあなたの大(おお)いなる名(な)と、強(つよ)い手(て)と、伸(の)べた腕(うで)とについて聞(き)き及(およ)ぶからです、――もしきて、この宮(みや)に向(む)かって祈(いの)るならば、 43あなたは、あなたのすみかである天(てん)で聞(き)き、すべて異邦人(いほうじん)があなたに呼(よ)び求(もと)めることをかなえさせてください。そうすれば、地(ち)のすべての民(たみ)は、あなたの民(たみ)イスラエルのように、あなたの名(な)を知(し)り、あなたを恐(おそ)れ、またわたしが建(た)てたこの宮(みや)があなたの名(な)によって呼(よ)ばれることを知(し)るにいたるでしょう。

44あなたの民(たみ)が敵(てき)と戦(たたか)うために、あなたがつかわされる道(みち)を通(とお)って出(で)て行(い)くとき、もし彼(かれ)らがあなたの選(えら)ばれた町(まち)、わたしがあなたの名(な)のために建(た)てた宮(みや)の方(ほう)に向(む)かって、主(しゅ)に祈(いの)るならば、 45あなたは天(てん)で、彼(かれ)らの祈(いのり)と願(ねが)いを聞(き)いて彼(かれ)らをお助(たす)けください。

46彼(かれ)らがあなたに対(たい)して罪(つみ)を犯(おか)すことがあって、――人(ひと)は罪(つみ)を犯(おか)さない者(もの)はないのです、――あなたが彼(かれ)らを怒(いか)り、彼(かれ)らを敵(てき)にわたし、敵(てき)が彼(かれ)らを捕虜(ほりょ)として遠近(えんきん)にかかわらず、敵(てき)の地(ち)に引(ひ)いて行(い)く時(とき)、 47もし彼(かれ)らが捕(とら)われていった地(ち)で、みずから省(かえり)みて悔(く)い、自分(じぶん)を捕(とら)えていった者(もの)の地(ち)で、あなたに願(ねが)い、『われわれは罪(つみ)を犯(おか)しました、そむいて悪(あく)を行(おこな)いました』と言(い)い、 48自分(じぶん)を捕(とら)えていった敵(てき)の地(ち)で、心(こころ)をつくし、精神(せいしん)をつくしてあなたに立(た)ち返(かえ)り、あなたが彼(かれ)らの先祖(せんぞ)に与(あた)えられた地(ち)、あなたが選(えら)ばれた町(まち)、わたしがあなたの名(な)のために建(た)てた宮(みや)の方(ほう)に向(む)かって、あなたに祈(いの)るならば、 49あなたのすみかである天(てん)で、彼(かれ)らの祈(いのり)と願(ねが)いを聞(き)いて、彼(かれ)らを助(たす)け、 50あなたの民(たみ)が、あなたに対(たい)して犯(おか)した罪(つみ)と、あなたに対(たい)して行(い)ったすべてのあやまちをゆるし、彼(かれ)らを捕(とら)えていった者(もの)の前(まえ)で、彼(かれ)らにあわれみを得(え)させ、その人々(ひとびと)が彼(かれ)らをあわれむようにしてください。 51(彼(かれ)らはあなたがエジプトから、鉄(てつ)のかまどの中(なか)から導(みちび)き出(だ)されたあなたの民(たみ)、あなたの嗣(し)業(ぎょう)であるからです)。 52どうぞ、しもべの願(ねが)いと、あなたの民(たみ)イスラエルの願(ねが)いに、あなたの目(め)を開(ひら)き、すべてあなたに呼(よ)び求(もと)める時(とき)、彼(かれ)らの願(ねが)いをお聞(き)きください。 53あなたは彼(かれ)らを地(ち)のすべての民(たみ)のうちから区(く)別(べっ)して、あなたの嗣(し)業(ぎょう)とされたからです。主(しゅ)なる神(かみ)よ、あなたがわれわれの先祖(せんぞ)をエジプトから導(みちび)き出(だ)された時(とき)、モーセによって言(い)われたとおりです」。

54ソロモンはこの祈(いのり)と願(ねが)いをことごとく主(しゅ)にささげ終(おわ)ると、それまで天(てん)に向(む)かって手(て)を伸(の)べ、ひざまずいていた主(しゅ)の祭壇(さいだん)の前(まえ)から立(た)ちあがり、 55立(た)って大声(おおごえ)でイスラエルの全(ぜん)会衆(かいしゅう)を祝福(しゅくふく)して言(い)った、 56「主(しゅ)はほむべきかな。主(しゅ)はすべて約束(やくそく)されたように、その民(たみ)イスラエルに太平(たいへい)を賜(たま)わった。そのしもべモーセによって仰(おお)せられたその良(よ)き約束(やくそく)は皆(みな)一つもたがわなかった。 57われわれの神(かみ)がわれわれの先祖(せんぞ)と共(とも)におられたように、われわれと共(とも)におられるように。われわれを離(はな)れず、またわれわれを見捨(みす)てられないように。 58われわれの心(こころ)を主(しゅ)に傾(かたむ)けて、主(しゅ)のすべての道(みち)に歩(あゆ)ませ、われわれの先祖(せんぞ)に命(めい)じられた戒(いまし)めと定(さだ)めと、おきてとを守(まも)らせられるように。 59主(しゅ)の前(まえ)にわたしが述(の)べたこれらの願(ねが)いの言葉(ことば)が、日夜(にちや)われわれの神(かみ)、主(しゅ)に覚(おぼ)えられるように。そして主(しゅ)は日々(ひび)の事(こと)に、しもべを助(たす)け、主(しゅ)の民(たみ)イスラエルを助(たす)けられるように。 60そうすれば、地(ち)のすべての民(たみ)は主(しゅ)が神(かみ)であることと、他(ほか)に神(かみ)のないことを知(し)るに至(いた)るであろう。 61それゆえ、あなたがたは、今日(こんにち)のようにわれわれの神(かみ)、主(しゅ)に対(たい)して、心(こころ)は全(まった)く真実(しんじつ)であり、主(しゅ)の定(さだ)めに歩(あゆ)み、主(しゅ)の戒(いまし)めを守(まも)らなければならない」。

62そして王(おう)および王(おう)と共(とも)にいるすべてのイスラエルびとは主(しゅ)の前(まえ)に犠牲(ぎせい)をささげた。 63ソロモンは酬恩祭(しゅうおんさい)として牛(うし)二万二千頭(とう)、羊(ひつじ)十二万頭(とう)を主(しゅ)にささげた。こうして王(おう)とイスラエルの人々(ひとびと)は皆(みな)主(しゅ)の宮(みや)を奉献(ほうけん)した。 64その日(ひ)、王(おう)は主(しゅ)の宮(みや)の前(まえ)にある庭(にわ)の中(なか)を聖別(せいべつ)し、その所(ところ)で燔祭(はんさい)と素祭(そさい)と酬恩祭(しゅうおんさい)の脂肪(しぼう)をささげた。これは主(しゅ)の前(まえ)にある青銅(せいどう)の祭壇(さいだん)が素祭(そさい)と酬恩祭(しゅうおんさい)の脂肪(しぼう)とを受(う)けるに足(た)りなかったからである。

65その時(とき)ソロモンは七日(なぬか)の間(あいだ)われわれの神(かみ)、主(しゅ)の前(まえ)に祭(まつり)を行(おこな)った。ハマテの入口(いりぐち)からエジプトの川(かわ)に至(いた)るまでのすべてのイスラエルびとの大(おお)いなる会衆(かいしゅう)が彼(かれ)と共(とも)にいた。 66八日(か)目(め)にソロモンは民(たみ)を帰(かえ)らせた。民(たみ)は王(おう)を祝福(しゅくふく)し、主(しゅ)がそのしもべダビデと、その民(たみ)イスラエルとに施(ほどこ)されたもろもろの恵(めぐ)みを喜(よろこ)び、心(こころ)に楽(たの)しんでその天幕(てんまく)に帰(かえ)って行(い)った。

第九章

1ソロモンが主(しゅ)の宮(みや)と王(おう)の宮殿(きゅうでん)およびソロモンが建(た)てようと望(のぞ)んだすべてのものを建(た)て終(おわ)った時(とき)、 2主(しゅ)はかつてギベオンでソロモンに現(あらわ)れられたように再(ふたた)び現(あらわ)れて、 3彼(かれ)に言(い)われた、「あなたが、わたしの前(まえ)に願(ねが)った祈(いのり)と願(ねが)いとを聞(き)いた。わたしはあなたが建(た)てたこの宮(みや)を聖別(せいべつ)して、わたしの名(な)を永久(えいきゅう)にそこに置(お)く。わたしの目(め)と、わたしの心(こころ)は常(つね)にそこにあるであろう。 4あなたがもし、あなたの父(ちち)ダビデが歩(あゆ)んだように全(まった)き心(こころ)をもって正(ただ)しくわたしの前(まえ)に歩(あゆ)み、すべてわたしが命(めい)じたようにおこなって、わたしの定(さだ)めと、おきてとを守(まも)るならば、 5わたしは、あなたの父(ちち)ダビデに約束(やくそく)して『イスラエルの王位(おうい)にのぼる人(ひと)があなたに欠(か)けることはないであろう』と言(い)ったように、あなたのイスラエルに王(おう)たる位(くらい)をながく確保(かくほ)するであろう。 6しかし、あなたがた、またはあなたがたの子孫(しそん)がそむいてわたしに従(したが)わず、わたしがあなたがたの前(まえ)に置(お)いた戒(いまし)めと定(さだ)めとを守(まも)らず、他(た)の神々(かみがみ)に行(い)って、それに仕(つか)え、それを拝(おが)むならば、 7わたしはイスラエルを、わたしが与(あた)えた地(ち)のおもてから断(た)つであろう。またわたしの名(な)のために聖別(せいべつ)した宮(みや)をわたしの前(まえ)から投(な)げすてるであろう。そしてイスラエルはもろもろの民(たみ)のうちにことわざとなり、笑(わら)い草(ぐさ)となるであろう。 8かつ、この宮(みや)は荒塚(あらつか)となり、そのかたわらを過(す)ぎる者(もの)は皆(みな)驚(おどろ)き、うそぶいて『なにゆえ、主(しゅ)はこの地(ち)と、この宮(みや)とにこのようにされたのか』と言(い)うであろう。 9その時(とき)人々(ひとびと)は答(こた)えて『彼(かれ)らは自分(じぶん)の先祖(せんぞ)をエジプトの地(ち)から導(みちび)き出(だ)した彼(かれ)らの神(かみ)、主(しゅ)を捨(す)てて、他(た)の神々(かみがみ)につき従(したが)い、それを拝(おが)み、それに仕(つか)えたために、主(しゅ)はこのすべての災(わざわい)を彼(かれ)らの上(うえ)に下(くだ)したのである』と言(い)うであろう」。

10ソロモンは二十年(ねん)を経(へ)て二つの家(いえ)すなわち主(しゅ)の宮(みや)と王(おう)の宮殿(きゅうでん)とを建(た)て終(おわ)った時(とき)、 11ツロの王(おう)ヒラムがソロモンの望(のぞ)みに任(まか)せて香柏(こうはく)と、いとすぎと、金(きん)とを供給(きょうきゅう)したので、ソロモン王(おう)はガリラヤの地(ち)の町(まち)二十をヒラムに与(あた)えた。 12しかしヒラムがツロから来(き)て、ソロモンが彼(かれ)に与(あた)えた町々(まちまち)を見(み)たとき、それらは彼(かれ)の気(き)にいらなかったので、 13彼(かれ)は、「兄弟(きょうだい)よ、あなたがくださったこれらの町々(まちまち)は、いったいなんですか」と言(い)った。それで、そこは今日(こんにち)までカブルの地(ち)と呼(よ)ばれている。 14ヒラムはかつて金(きん)百二十タラントを王(おう)に贈(おく)った。

15ソロモン王(おう)が強制的(きょうせいてき)に労働者(ろうどうしゃ)を徴募(ちょうぼ)したのはこうである。すなわち主(しゅ)の宮(みや)と自分(じぶん)の宮殿(きゅうでん)と、ミロとエルサレムの城壁(じょうへき)と、ハゾルとメギドとゲゼルを建(た)てるためであった。 16(エジプトの王(おう)パロはかつて上(のぼ)ってきて、ゲゼルを取(と)り、火(ひ)でこれを焼(や)き、その町(まち)に住(す)んでいたカナンびとを殺(ころ)し、これをソロモンの妻(つま)である自分(じぶん)の娘(むすめ)に与(あた)えて婚姻(こんいん)の贈(おく)り物(もの)としたので、 17ソロモンはそのゲゼルを建(た)て直(なお)した)。また(また)下(した)ベテホロンと、 18バアラテとユダの国(くに)の荒野(あらの)にあるタマル、 19およびソロモンが持(も)っていた倉庫(そうこ)の町々(まちまち)、戦車(せんしゃ)の町々(まちまち)、騎兵(きへい)の町々(まちまち)ならびにソロモンがエルサレム、レバノンおよびそのすべての領地(りょうち)において建(た)てようと望(のぞ)んだものをことごとく建(た)てるためであった。 20すべてイスラエルの子孫(しそん)でないアモリびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残(のこ)った者(もの)、 21その地(ち)にあって彼(かれ)らのあとに残(のこ)った子孫(しそん)すなわちイスラエルの人々(ひとびと)の滅(ほろ)ぼしつくすことのできなかった者(もの)を、ソロモンは強制的(きょうせいてき)に奴隷(どれい)として徴募(ちょうぼ)をおこない、今日(こんにち)に至(いた)っている。 22しかしイスラエルの人々(ひとびと)をソロモンはひとりも奴隷(どれい)としなかった。彼(かれ)らは軍人(ぐんじん)、また彼(かれ)の役人(やくにん)、司令(しれい)官(かん)、指揮(しき)官(かん)、戦車(せんしゃ)隊長(たいちょう)、騎兵隊(きへいたい)長(ちょう)であったからである。

23ソロモンの工事(こうじ)を監督(かんとく)する上役(うわやく)の官吏(かんり)は五百五十人(にん)であって、工事(こうじ)に働(はたら)く民(たみ)を治(おさ)めた。

24パロの娘(むすめ)はダビデの町(まち)から上(のぼ)って、ソロモンが彼女(かのじょ)のために建(た)てた家(いえ)に住(す)んだ。その時(とき)ソロモンはミロを建(た)てた。

25ソロモンは主(しゅ)のために築(きず)いた祭壇(さいだん)の上(うえ)に年(ねん)に三度(ど)燔祭(はんさい)と酬恩祭(しゅうおんさい)をささげ、また主(しゅ)の前(まえ)に香(こう)をたいた。こうしてソロモンは宮(みや)を完成(かんせい)した。

26ソロモン王(おう)はエドムの地(ち)、紅海(こうかい)の岸(きし)のエラテに近(ちか)いエジオン・ゲベルで数隻(すうせき)の船(ふね)を造(つく)った。 27ヒラムは海(うみ)の事(こと)を知(し)っている船員(せんいん)であるそのしもべをソロモンのしもべと共(とも)にその船(ふね)でつかわした。 28彼(かれ)らはオフルへ行(い)って、そこから金(きん)四百二十タラントを取(と)って、ソロモン王(おう)の所(ところ)にもってきた。

第一〇章

1シバの女王(じょおう)は主(しゅ)の名(な)にかかわるソロモンの名声(めいせい)を聞(き)いたので、難問(なんもん)をもってソロモンを試(こころ)みようとたずねてきた。 2彼女(かのじょ)は多(おお)くの従者(じゅうしゃ)を連(つ)れ、香料(こうりょう)と、たくさんの金(きん)と宝石(ほうせき)とをらくだに負(お)わせてエルサレムにきた。彼女(かのじょ)はソロモンのもとにきて、その心(こころ)にあることをことごとく彼(かれ)に告(つ)げたが、 3ソロモンはそのすべての問(とい)に答(こた)えた。王(おう)が知(し)らないで彼女(かのじょ)に説明(せつめい)のできないことは一つもなかった。 4シバの女王(じょおう)はソロモンのもろもろの知恵(ちえ)と、ソロモンが建(た)てた宮殿(きゅうでん)、 5その食卓(しょくたく)の食物(しょくもつ)と、列座(れつざ)の家来(けらい)たちと、その侍臣(じしん)たちの伺候(しこう)ぶり、彼(かれ)らの服装(ふくそう)と、彼(かれ)の給仕(きゅうじ)たち、および彼(かれ)が主(しゅ)の宮(みや)でささげる燔祭(はんさい)を見(み)て、全(まった)く気(き)を奪(うば)われてしまった。

6彼女(かのじょ)は王(おう)に言(い)った、「わたしが国(くに)であなたの事(こと)と、あなたの知恵(ちえ)について聞(き)いたことは真実(しんじつ)でありました。 7しかしわたしがきて、目(め)に見(み)るまでは、その言葉(ことば)を信(しん)じませんでしたが、今見(いまみ)るとその半分(はんぶん)もわたしは知(し)らされていなかったのです。あなたの知恵(ちえ)と繁栄(はんえい)はわたしが聞(き)いたうわさにまさっています。 8あなたの奥方(おくがた)たちはさいわいです。常(つね)にあなたの前(まえ)に立(た)って、あなたの知恵(ちえ)を聞(き)く家来(けらい)たちはさいわいです。 9あなたの神(かみ)、主(しゅ)はほむべきかな。主(しゅ)はあなたを喜(よろこ)び、あなたをイスラエルの位(くらい)にのぼらせられました。主(しゅ)は永久(えいきゅう)にイスラエルを愛(あい)せられるゆえ、あなたを王(おう)として公道(こうどう)と正義(せいぎ)とを行(おこな)わせられるのです」。 10そして彼女(かのじょ)は金(きん)百二十タラントおよび多(おお)くの香料(こうりょう)と宝石(ほうせき)とを王(おう)に贈(おく)った。シバの女王(じょおう)がソロモン王(おう)に贈(おく)ったような多(おお)くの香料(こうりょう)は再(ふたた)びこなかった。

11オフルから金(きん)を載(の)せてきたヒラムの船(ふね)は、またオフルからたくさんのびゃくだんの木(き)と宝石(ほうせき)とを運(はこ)んできたので、 12王(おう)はびゃくだんの木(き)をもって主(しゅ)の宮(みや)と王(おう)の宮殿(きゅうでん)のために壁(へき)柱(ちゅう)を造(つく)り、また歌(うた)う人々(ひとびと)のために琴(こと)と立琴(たてごと)とを造(つく)った。このようなびゃくだんの木(き)は、かつてきたこともなく、また今日(こんにち)まで見(み)たこともなかった。

13ソロモン王(おう)はその豊(ゆた)かなのにしたがってシバの女王(じょおう)に贈(おく)り物(もの)をしたほかに、彼女(かのじょ)の望(のぞ)みにまかせて、すべてその求(もと)める物(もの)を贈(おく)った。そして彼女(かのじょ)はその家来(けらい)たちと共(とも)に自分(じぶん)の国(くに)へ帰(かえ)っていった。

14さて一年(ねん)の間(あいだ)にソロモンのところに、はいってきた金(きん)の目方(めかた)は六百六十六タラントであった。 15そのほかに貿易(ぼうえき)商(しょう)および商人(しょうにん)の取引(とりひき)、ならびにアラビヤの諸王(しょおう)と国(くに)の代官(だいかん)たちからも、はいってきた。 16ソロモン王(おう)は延金(のべきん)の大盾(おおだて)二百を造(つく)った。その大盾(おおだて)にはおのおの六百シケルの金(きん)を用(もち)いた。 17また延金(のべきん)の小盾(こだて)三百を造(つく)った。その小盾(こだて)にはおのおの三ミナの金(きん)を用(もち)いた。王(おう)はこれらをレバノンの森(もり)の家(いえ)に置(お)いた。 18王(おう)はまた大(おお)きな象牙(ぞうげ)の玉座(ぎょくざ)を造(つく)り、純金(じゅんきん)をもってこれをおおった。 19その玉座(ぎょくざ)に六つの段(だん)があり、玉座(ぎょくざ)の後(のち)に子(こ)牛(うし)の頭(あたま)があり、座席(ざせき)の両側(りょうがわ)にひじ掛(か)けがあって、ひじ掛(か)けのわきに二つのししが立(た)っていた。 20また六つの段(だん)のおのおのの両側(りょうがわ)に十二のししが立(た)っていた。このような物(もの)はどこの国(くに)でも造(つく)られたことがなかった。 21ソロモン王(おう)が飲(の)むときに用(もち)いた器(うつわ)は皆(みな)金(きん)であった。またレバノンの森(もり)の家(いえ)の器(うつわ)も皆(みな)純金(じゅんきん)であって、銀(ぎん)のものはなかった。銀(ぎん)はソロモンの世(よ)には顧(かえり)みられなかった。 22これは王(おう)が海(うみ)にタルシシの船隊(せんたい)を所有(しょゆう)して、ヒラムの船隊(せんたい)と一緒(いっしょ)に航海(こうかい)させ、タルシシの船隊(せんたい)に三年(ねん)に一度(ど)、金(きん)、銀(ぎん)、象牙(ぞうげ)、さる、くじゃくを載(の)せてこさせたからである。

23このようにソロモン王(おう)は富(とみ)も知恵(ちえ)も、地(ち)のすべての王(おう)にまさっていたので、 24全(ぜん)地(ち)の人々(ひとびと)は神(かみ)がソロモンの心(こころ)に授(さづ)けられた知恵(ちえ)を聞(き)こうとしてソロモンに謁見(えっけん)を求(もと)めた。 25人々(ひとびと)はおのおの贈(おく)り物(もの)を携(たずさ)えてきた。すなわち銀(ぎん)の器(うつわ)、金(きん)の器(うつわ)、衣服(いふく)、没薬(もつやく)、香料(こうりょう)、馬(うま)、騾馬(らば)など年々(ねんねん)定(さだ)まっていた。

26ソロモンは戦車(せんしゃ)と騎兵(きへい)とを集(あつ)めたが、戦車(せんしゃ)一千四百両(りょう)、騎兵(きへい)一万二千あった。ソロモンはこれを戦車(せんしゃ)の町(まち)とエルサレムの王(おう)のもとに置(お)いた。 27王(おう)はエルサレムで、銀(ぎん)を石(いし)のように用(もち)い、香柏(こうはく)を平地(へいち)にあるいちじく桑(くわ)のように多(おお)く用(もち)いた。 28ソロモンが馬(うま)を輸入(ゆにゅう)したのはエジプトとクエからであった。すなわち王(おう)の貿易(ぼうえき)商(しょう)はクエから代価(だいか)を払(はら)って受(う)け取(と)ってきた。 29エジプトから輸入(ゆにゅう)される戦車(せんしゃ)一両(りょう)は銀(ぎん)六百シケル、馬(うま)は百五十シケルであった。このようにして、これらのものが王(おう)の貿易(ぼうえき)商(しょう)によって、ヘテびとのすべての王(おう)たちおよびスリヤの王(おう)たちに輸出(ゆしゅつ)された。

第一一章

1ソロモン王(おう)は多(おお)くの外国(がいこく)の女(おんな)を愛(あい)した。すなわちパロの娘(むすめ)、モアブびと、アンモンびと、エドムびと、シドンびと、ヘテびとの女(おんな)を愛(あい)した。 2主(しゅ)はかつてこれらの国民(こくみん)について、イスラエルの人々(ひとびと)に言(い)われた、「あなたがたは彼(かれ)らと交(まじ)わってはならない。彼(かれ)らもまたあなたがたと交(まじ)わってはならない。彼(かれ)らは必(かなら)ずあなたがたの心(こころ)を転(てん)じて彼(かれ)らの神々(かみがみ)に従(したが)わせるからである」。しかしソロモンは彼(かれ)らを愛(あい)して離(はな)れなかった。 3彼(かれ)には王妃(おうひ)としての妻(つま)七百人(にん)、そばめ三百人(にん)があった。その妻(つま)たちが彼(かれ)の心(こころ)を転(てん)じたのである。 4ソロモンが年老(としお)いた時(とき)、その妻(つま)たちが彼(かれ)の心(こころ)を転(てん)じて他(た)の神々(かみがみ)に従(したが)わせたので、彼(かれ)の心(こころ)は父(ちち)ダビデの心(こころ)のようには、その神(かみ)、主(しゅ)に真実(しんじつ)でなかった。 5これはソロモンがシドンびとの女神(めがみ)アシタロテに従(したが)い、アンモンびとの神(かみ)である憎(にく)むべき者(もの)ミルコムに従(したが)ったからである。 6このようにソロモンは主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、父(ちち)ダビデのように全(まった)くは主(しゅ)に従(したが)わなかった。 7そしてソロモンはモアブの神(かみ)である憎(にく)むべき者(もの)ケモシのために、またアンモンの人々(ひとびと)の神(かみ)である憎(にく)むべき者(もの)モレクのためにエルサレムの東(ひがし)の山(やま)に高(たか)き所(ところ)を築(きず)いた。 8彼(かれ)はまた外国(がいこく)のすべての妻(つま)たちのためにもそうしたので、彼女(かのじょ)たちはその神々(かみがみ)に香(こう)をたき、犠牲(ぎせい)をささげた。

9このようにソロモンの心(こころ)が転(てん)じて、イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)を離(はな)れたため、主(しゅ)は彼(かれ)を怒(いか)られた。すなわち主(しゅ)がかつて二度(ど)彼(かれ)に現(あらわ)れ、 10この事(こと)について彼(かれ)に、他(た)の神々(かみがみ)に従(したが)ってはならないと命(めい)じられたのに、彼(かれ)は主(しゅ)の命(めい)じられたことを守(まも)らなかったからである。 11それゆえ、主(しゅ)はソロモンに言(い)われた、「これがあなたの本心(ほんしん)であり、わたしが命(めい)じた契約(けいやく)と定(さだ)めとを守(まも)らなかったので、わたしは必(かなら)ずあなたから国(くに)を裂(さ)き離(はな)して、それをあなたの家来(けらい)に与(あた)える。 12しかしあなたの父(ちち)ダビデのために、あなたの世(よ)にはそれをしないが、あなたの子(こ)の手(て)からそれを裂(さ)き離(はな)す。 13ただし、わたしは国(くに)をことごとくは裂(さ)き離(はな)さず、わたしのしもべダビデのために、またわたしが選(えら)んだエルサレムのために一つの部族(ぶぞく)をあなたの子(こ)に与(あた)えるであろう」。

14こうして主(しゅ)はエドムびとハダデを起(おこ)して、ソロモンの敵(てき)とされた。彼(かれ)はエドムの王(おう)家(いえ)の者(もの)であった。 15さきにダビデはエドムにいたが、軍(ぐん)の長(ちょう)ヨアブが上(のぼ)っていって、戦死(せんし)した者(もの)を葬(ほうむ)り、エドムの男子(だんし)をことごとく打(う)ち殺(ころ)した時(とき)、 16(ヨアブはイスラエルの人々(ひとびと)と共(とも)に六か月(げつ)そこにとどまって、エドムの男子(だんし)をことごとく断(た)った)。 17ハダデはその父(ちち)のしもべである数人(すうにん)のエドムびとと共(とも)に逃(に)げてエジプトへ行(い)こうとした。その時(とき)ハダデはまだ少年(しょうねん)であった。 18彼(かれ)らがミデアンを立(た)ってパランへ行(い)き、パランから人々(ひとびと)を伴(ともな)ってエジプトへ行(い)き、エジプトの王(おう)パロのところへ行(い)くと、パロは彼(かれ)に家(いえ)を与(あた)え、食糧(しょくりょう)を定(さだ)め、かつ土地(とち)を与(あた)えた。 19ハダデは大(おお)いにパロの心(こころ)にかなったので、パロは自分(じぶん)の妻(つま)の妹(いもうと)すなわち王妃(おうひ)タペネスの妹(いもうと)を妻(つま)として彼(かれ)に与(あた)えた。 20タペネスの妹(いもうと)は彼(かれ)に男(おとこ)の子(こ)ゲヌバテを産(う)んだので、タペネスはその子(こ)をパロの家(いえ)のうちで乳離(ちばな)れさせた。ゲヌバテはパロの家(いえ)で、パロの子(こ)どもたちと一緒(いっしょ)にいた。 21さてハダデはエジプトで、ダビデがその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)ったことと、軍(ぐん)の長(ちょう)ヨアブが死(し)んだことを聞(き)いたので、ハダデはパロに言(い)った、「わたしを去(さ)らせて、国(くに)へ帰(かえ)らせてください」。 22パロは彼(かれ)に言(い)った、「わたしと共(とも)にいて、なんの不足(ふそく)があって国(くに)へ帰(かえ)ることを求(もと)めるのですか」。彼(かれ)は言(い)った、「ただ、わたしを帰(かえ)らせてください」。

23神(かみ)はまたエリアダの子(こ)レゾンを起(おこ)してソロモンの敵(てき)とされた。彼(かれ)はその主人(しゅじん)ゾバの王(おう)ハダデゼルのもとを逃(に)げ去(さ)った者(もの)であった。 24ダビデがゾバの人々(ひとびと)を殺(ころ)した後(のち)、彼(かれ)は人々(ひとびと)を自分(じぶん)のまわりに集(あつ)めて略奪(りゃくだつ)隊(たい)の首領(しゅりょう)となった。彼(かれ)らはダマスコへ行(い)って、そこに住(す)み、ダマスコで彼(かれ)を王(おう)とした。 25彼(かれ)はソロモンの一生(いっしょう)の間(あいだ)、イスラエルの敵(てき)となって、ハダデがしたように害(がい)をなし、イスラエルを憎(にく)んでスリヤを治(おさ)めた。

26ゼレダのエフライムびとネバテの子(こ)ヤラベアムはソロモンの家来(けらい)であったが、その母(はは)の名(な)はゼルヤといって寡婦(かふ)であった。彼(かれ)もまたその手(て)をあげて王(おう)に敵(てき)した。 27彼(かれ)が手(て)をあげて、王(おう)に敵(てき)した事情(じじょう)はこうである。ソロモンはミロを築(きず)き、父(ちち)ダビデの町(まち)の破(やぶ)れ口(くち)をふさいでいた。 28ヤラベアムは非常(ひじょう)に手腕(しゅわん)のある人(ひと)であったが、ソロモンはこの若者(わかもの)がよく働(はたら)くのを見(み)て、彼(かれ)にヨセフの家(いえ)のすべての強制(きょうせい)労働(ろうどう)の監督(かんとく)をさせた。 29そのころ、ヤラベアムがエルサレムを出(で)たとき、シロびとである預言者(よげんしゃ)アヒヤが道(みち)で彼(かれ)に会(あ)った。アヒヤは新(あたら)しい着物(きもの)を着(き)ていた。そして彼(かれ)らふたりだけが野(の)にいた。 30アヒヤは着(き)ている着物(きもの)をつかんで、それを十二切(き)れに裂(さ)き、 31ヤラベアムに言(い)った、「あなたは十切(き)れを取(と)りなさい。イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はこう言(い)われる、『見(み)よ、わたしは国(くに)をソロモンの手(て)から裂(さ)き離(はな)して、あなたに十部族(ぶぞく)を与(あた)えよう。 32(ただし彼(かれ)はわたしのしもべダビデのために、またわたしがイスラエルのすべての部族(ぶぞく)のうちから選(えら)んだ町(まち)エルサレムのために、一つの部族(ぶぞく)をもつであろう)。 33それは彼(かれ)がわたしを捨(す)てて、シドンびとの女神(めがみ)アシタロテと、モアブの神(かみ)ケモシと、アンモンの人々(ひとびと)の神(かみ)ミルコムを拝(おが)み、父(ちち)ダビデのように、わたしの道(みち)に歩(あゆ)んで、わたしの目(め)にかなう事(こと)を行(おこな)い、わたしの定(さだ)めと、おきてを守(まも)ることをしなかったからである。 34しかし、わたしは国(くに)をことごとくは彼(かれ)の手(て)から取(と)らない。わたしが選(えら)んだ、わたしのしもべダビデが、わたしの命令(めいれい)と定(さだ)めとを守(まも)ったので、わたしは彼(かれ)のためにソロモンを一生(いっしょう)の間(あいだ)、君(きみ)としよう。 35そして、わたしはその子(こ)の手(て)から国(くに)を取(と)って、その十部族(ぶぞく)をあなたに与(あた)える。 36その子(こ)には一つの部族(ぶぞく)を与(あた)えて、わたしの名(な)を置(お)くために選(えら)んだ町(まち)エルサレムで、わたしのしもべダビデに、わたしの前(まえ)に常(つね)に一つのともしびを保(たも)たせるであろう。 37わたしがあなたを選(えら)び、あなたはすべて心(こころ)の望(のぞ)むところを治(おさ)めて、イスラエルの上(うえ)に王(おう)となるであろう。 38もし、あなたが、わたしの命(めい)じるすべての事(こと)を聞(き)いて、わたしの道(みち)に歩(あゆ)み、わたしの目(め)にかなう事(こと)を行(おこな)い、わたしのしもべダビデがしたように、わたしの定(さだ)めと戒(いまし)めとを守(まも)るならば、わたしはあなたと共(とも)にいて、わたしがダビデのために建(た)てたように、あなたのために堅固(けんご)な家(いえ)を建(た)てて、イスラエルをあなたに与(あた)えよう。 39わたしはこのためにダビデの子孫(しそん)を苦(くる)しめる。しかし永久(えいきゅう)にではない』」。 40ソロモンはヤラベアムを殺(ころ)そうとしたが、ヤラベアムは立(た)ってエジプトにのがれ、エジプト王(おう)シシャクのところへ行(い)って、ソロモンの死(し)ぬまでエジプトにいた。

41ソロモンのそのほかの事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)およびその知恵(ちえ)は、ソロモンの事績(じせき)の書(しょ)にしるされているではないか。 42ソロモンがエルサレムでイスラエルの全(ぜん)地(ち)を治(おさ)めた日(ひ)は四十年(ねん)であった。 43ソロモンはその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って、父(ちち)ダビデの町(まち)に葬(ほうむ)られ、その子(こ)レハベアムが代(かわ)って王(おう)となった。

第一二章

1レハベアムはシケムへ行(い)った。すべてのイスラエルびとが彼(かれ)を王(おう)にしようとシケムへ行(い)ったからである。 2ネバテの子(こ)ヤラベアムはソロモンを避(さ)けてエジプトにのがれ、なおそこにいたが、これを聞(き)いてエジプトから帰(かえ)ったので、 3人々(ひとびと)は人(ひと)をつかわして彼(かれ)を招(まね)いた。そしてヤラベアムとイスラエルの会衆(かいしゅう)は皆(みな)レハベアムの所(ところ)にきて言(い)った、 4「父上(ちちうえ)はわれわれのくびきを重(おも)くされましたが、今(いま)父上(ちちうえ)のきびしい使役(しえき)と、父上(ちちうえ)がわれわれに負(お)わせられた重(おも)いくびきとを軽(かる)くしてください。そうすればわれわれはあなたに仕(つか)えます」。 5レハベアムは彼(かれ)らに言(い)った、「去(さ)って、三日(か)過(す)ぎてから、またわたしのところにきなさい」。それで民(たみ)は立(た)ち去(さ)った。

6レハベアム王(おう)は父(ちち)ソロモンの存命(ぞんめい)中(なか)ソロモンに仕(つか)えた老人(ろうじん)たちに相談(そうだん)して言(い)った、「この民(たみ)にどう返答(へんとう)すればよいと思(おも)いますか」。 7彼(かれ)らはレハベアムに言(い)った、「もし、あなたが、きょう、この民(たみ)のしもべとなって彼(かれ)らに仕(つか)え、彼(かれ)らに答(こた)えるとき、ねんごろに語(かた)られるならば、彼(かれ)らは永久(えいきゅう)にあなたのしもべとなるでしょう」。 8しかし彼(かれ)は老人(ろうじん)たちが与(あた)えた勧(すす)めを捨(す)てて、自分(じぶん)と一緒(いっしょ)に大(おお)きくなって自分(じぶん)に仕(つか)えている若者(わかもの)たちに相談(そうだん)して、 9彼(かれ)らに言(い)った、「この民(たみ)がわたしにむかって『あなたの父(ちち)がわれわれに負(お)わせたくびきを軽(かる)くしてください』というのに、われわれはなんと返答(へんとう)すればよいと思(おも)いますか」。 10彼(かれ)と一緒(いっしょ)に大(おお)きくなった若者(わかもの)たちは彼(かれ)に言(い)った、「あなたにむかって『父上(ちちうえ)はわれわれのくびきを重(おも)くされましたが、あなたは、それをわれわれのために軽(かる)くしてください』と言(い)うこの民(たみ)に、こう言(い)いなさい、『わたしの小指(こゆび)は父(ちち)の腰(こし)よりも太(ふと)い。 11父(ちち)はあなたがたに重(おも)いくびきを負(お)わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重(おも)くしよう。父(ちち)はむちであなたがたを懲(こ)らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを懲(こ)らそう』と」。

12さてヤラベアムと民(たみ)は皆(みな)、王(おう)が「三日(か)目(め)に再(ふたた)びわたしのところに来(く)るように」と言(い)ったとおりに、三日(か)目(め)にレハベアムのところにきた。 13王(おう)は荒々(あらあら)しく民(たみ)に答(こた)え、老人(ろうじん)たちが与(あた)えた勧(すす)めを捨(す)てて、 14若者(わかもの)たちの勧(すす)めに従(したが)い、彼(かれ)らに告(つ)げて言(い)った、「父(ちち)はあなたがたのくびきを重(おも)くしたが、わたしはあなたがたのくびきを、さらに重(おも)くしよう。父(ちち)はむちであなたがたを懲(こ)らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを懲(こ)らそう」。 15このように王(おう)は民(たみ)の言(い)うことを聞(き)きいれなかった。これはかつて主(しゅ)がシロびとアヒヤによって、ネバテの子(こ)ヤラベアムに言(い)われた言葉(ことば)を成就(じょうじゅ)するために、主(しゅ)が仕向(しむ)けられた事(こと)であった。

16イスラエルの人々(ひとびと)は皆(みな)、王(おう)が自分(じぶん)たちの言(い)うことを聞(き)きいれないのを見(み)たので、民(たみ)は王(おう)に答(こた)えて言(い)った、
「われわれはダビデのうちに何(なに)の分(ぶん)があろうか、
エッサイの子(こ)のうちに嗣(し)業(ぎょう)がない。
イスラエルよ、あなたがたの天幕(てんまく)へ帰(かえ)れ。
ダビデよ、今(いま)自分(じぶん)の家(いえ)の事(こと)を見(み)よ」。
そしてイスラエルはその天幕(てんまく)へ去(さ)っていった。 17しかしレハベアムはユダの町々(まちまち)に住(す)んでいるイスラエルの人々(ひとびと)を治(おさ)めた。 18レハベアム王(おう)は徴募(ちょうぼ)の監督(かんとく)であったアドラムをつかわしたが、イスラエルが皆(みな)、彼(かれ)を石(いし)で撃(う)ち殺(ころ)したので、レハベアム王(おう)は急(いそ)いで車(くるま)に乗(の)り、エルサレムへ逃(に)げた。 19こうしてイスラエルはダビデの家(いえ)にそむいて今日(こんにち)に至(いた)った。 20イスラエルは皆(みな)ヤラベアムの帰(かえ)ってきたのを聞(き)き、人(ひと)をつかわして彼(かれ)を集会(しゅうかい)に招(まね)き、イスラエルの全家(ぜんか)の上(うえ)に王(おう)とした。ユダの部族(ぶぞく)のほかはダビデの家(いえ)に従(したが)う者(もの)がなかった。

21ソロモンの子(こ)レハベアムはエルサレムに来(き)て、ユダの全家(ぜんか)とベニヤミンの部族(ぶぞく)の者(もの)、すなわちえり抜(ぬ)きの軍人(ぐんじん)十八万を集(あつ)め、国(くに)を取(と)りもどすために、イスラエルの家(いえ)と戦(たたか)おうとしたが、 22神(かみ)の言葉(ことば)が神(かみ)の人(ひと)シマヤに臨(のぞ)んだ、 23「ソロモンの子(こ)であるユダの王(おう)レハベアム、およびユダとベニヤミンの全家(ぜんか)、ならびにそのほかの民(たみ)に言(い)いなさい、 24『主(しゅ)はこう仰(おお)せられる。あなたがたは上(のぼ)っていってはならない。あなたがたの兄弟(きょうだい)であるイスラエルの人々(ひとびと)と戦(たたか)ってはならない。おのおの家(いえ)に帰(かえ)りなさい。この事(こと)はわたしから出(で)たのである』」。それで彼(かれ)らは主(しゅ)の言葉(ことば)をきき、主(しゅ)の言葉(ことば)に従(したが)って帰(かえ)っていった。

25ヤラベアムはエフライムの山地(さんち)にシケムを建(た)てて、そこに住(す)んだ。彼(かれ)はまたそこから出(で)てペヌエルを建(た)てた。 26しかしヤラベアムはその心(こころ)のうちに言(い)った、「国(くに)は今(いま)ダビデの家(いえ)にもどるであろう。 27もしこの民(たみ)がエルサレムにある主(しゅ)の宮(みや)に犠牲(ぎせい)をささげるために上(のぼ)るならば、この民(たみ)の心(こころ)はユダの王(おう)である彼(かれ)らの主君(しゅくん)レハベアムに帰(かえ)り、わたしを殺(ころ)して、ユダの王(おう)レハベアムに帰(かえ)るであろう」。 28そこで王(おう)は相談(そうだん)して、二つの金(きん)の子(こ)牛(うし)を造(つく)り、民(たみ)に言(い)った、「あなたがたはもはやエルサレムに上(のぼ)るには、およばない。イスラエルよ、あなたがたをエジプトの国(くに)から導(みちび)き上(のぼ)ったあなたがたの神(かみ)を見(み)よ」。 29そして彼(かれ)は一つをベテルにすえ、一つをダンに置(お)いた。 30この事(こと)は罪(つみ)となった。民(たみ)がベテルへ行(い)って一つを礼拝(れいはい)し、ダンへ行(い)って一つを礼拝(れいはい)したからである。 31彼(かれ)はまた高(たか)き所(ところ)に家(いえ)を造(つく)り、レビの子孫(しそん)でない一般(いっぱん)の民(たみ)を祭司(さいし)に任命(にんめい)した。 32またヤラベアムはユダで行(おこな)う祭(まつり)と同(おな)じ祭(まつり)を八月(がつ)の十五日(にち)に定(さだ)め、そして祭壇(さいだん)に上(のぼ)った。彼(かれ)はベテルでそのように行(おこな)い、彼(かれ)が造(つく)った子(こ)牛(うし)に犠牲(ぎせい)をささげた。また自分(じぶん)の造(つく)った高(たか)き所(ところ)の祭司(さいし)をベテルに立(た)てた。 33こうして彼(かれ)はベテルに造(つく)った祭壇(さいだん)に八月(がつ)の十五日(にち)に上(のぼ)った。これは彼(かれ)が自分(じぶん)で勝手(かって)に考(かんが)えついた月(つき)であった。そして彼(かれ)はイスラエルの人々(ひとびと)のために祭(まつり)を定(さだ)め、祭壇(さいだん)に上(のぼ)って香(こう)をたいた。

第一三章

1見(み)よ、神(かみ)の人(ひと)が主(しゅ)の命(いのち)によってユダからベテルにきた。その時(とき)ヤラベアムは祭壇(さいだん)の上(うえ)に立(た)って香(こう)をたいていた。 2神(かみ)の人(ひと)は祭壇(さいだん)にむかい主(しゅ)の命(いのち)によって呼(よ)ばわって言(い)った、「祭壇(さいだん)よ、祭壇(さいだん)よ、主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『見(み)よ、ダビデの家(いえ)にひとりの子(こ)が生(うま)れる。その名(な)をヨシヤという。彼(かれ)はおまえの上(うえ)で香(こう)をたく高(たか)き所(ところ)の祭司(さいし)らを、おまえの上(うえ)にささげる。また人(ひと)の骨(ほね)がおまえの上(うえ)で焼(や)かれる』」。 3その日(ひ)、彼(かれ)はまた一つのしるしを示(しめ)して言(い)った、「主(しゅ)の言(い)われたしるしはこれである、『見(み)よ、祭壇(さいだん)は裂(さ)け、その上(うえ)にある灰(はい)はこぼれ出(で)るであろう』」。 4ヤラベアム王(おう)は、神(かみ)の人(ひと)がベテルにある祭壇(さいだん)にむかって呼(よ)ばわる言葉(ことば)を聞(き)いた時(とき)、祭壇(さいだん)から手(て)を伸(の)ばして、「彼(かれ)を捕(とら)えよ」と言(い)ったが、彼(かれ)にむかって伸(の)ばした手(て)が枯(か)れて、ひっ込(こ)めることができなかった。 5そして神(かみ)の人(ひと)が主(しゅ)の言葉(ことば)をもって示(しめ)したしるしのように祭壇(さいだん)は裂(さ)け、灰(はい)は祭壇(さいだん)からこぼれ出(で)た。 6王(おう)は神(かみ)の人(ひと)に言(い)った、「あなたの神(かみ)、主(しゅ)に願(ねが)い、わたしのために祈(いの)って、わたしの手(て)をもとに返(かえ)らせてください」。神(かみ)の人(ひと)が主(しゅ)に願(ねが)ったので、王(おう)の手(て)はもとに返(かえ)って、前(まえ)のようになった。 7そこで王(おう)は神(かみ)の人(ひと)に言(い)った、「わたしと一緒(いっしょ)に家(いえ)にきて、身(み)を休(やす)めなさい。あなたに謝礼(しゃれい)をさしあげましょう」。 8神(かみ)の人(ひと)は王(おう)に言(い)った、「たとい、あなたの家(いえ)の半(なか)ばをくださっても、わたしはあなたと一緒(いっしょ)にまいりません。またこの所(ところ)では、パンも食(た)べず水(みず)も飲(の)みません。 9主(しゅ)の言葉(ことば)によってわたしは、『パンを食(た)べてはならない、水(みず)を飲(の)んではならない。また来(き)た道(みち)から帰(かえ)ってはならない』と命(めい)じられているからです」。 10こうして彼(かれ)はほかの道(みち)を行(い)き、ベテルに来(き)た道(みち)からは帰(かえ)らなかった。

11さてベテルにひとりの年老(としお)いた預言者(よげんしゃ)が住(す)んでいたが、そのむすこたちがきて、その日(ひ)神(かみ)の人(ひと)がベテルでした事(こと)どもを彼(かれ)に話(はな)した。また神(かみ)の人(ひと)が王(おう)に言(い)った言葉(ことば)をもその父(ちち)に話(はな)した。 12父(ちち)が彼(かれ)らに「その人(ひと)はどの道(みち)を行(い)ったか」と聞(き)いたので、むすこたちはユダからきた神(かみ)の人(ひと)の行(い)った道(みち)を父(ちち)に示(しめ)した。 13父(ちち)はむすこたちに言(い)った、「わたしのためにろばにくらを置(お)きなさい」。彼(かれ)らがろばにくらを置(お)いたので、彼(かれ)はそれに乗(の)り、 14神(かみ)の人(ひと)のあとを追(お)って行(い)き、かしの木(き)の下(した)にすわっているのを見(み)て、その人(ひと)に言(い)った、「あなたはユダからこられた神(かみ)の人(ひと)ですか」。その人(ひと)は言(い)った、「そうです」。 15そこで彼(かれ)はその人(ひと)に言(い)った、「わたしと一緒(いっしょ)に家(いえ)にきてパンを食(た)べてください」。 16その人(ひと)は言(い)った、「わたしはあなたと一緒(いっしょ)に引(ひ)き返(かえ)すことはできません。あなたと一緒(いっしょ)に行(い)くことはできません。またわたしはこの所(ところ)であなたと一緒(いっしょ)にパンも食(た)べず水(みず)も飲(の)みません。 17主(しゅ)の言葉(ことば)によってわたしは、『その所(ところ)でパンを食(た)べてはならない、水(みず)を飲(の)んではならない。また来(き)た道(みち)から帰(かえ)ってはならない』と言(い)われているからです」。 18彼(かれ)はその人(ひと)に言(い)った、「わたしもあなたと同(おな)じ預言者(よげんしゃ)ですが、天(てん)の使(つかい)が主(しゅ)の命(いのち)によってわたしに告(つ)げて、『その人(ひと)を一緒(いっしょ)に家(いえ)につれ帰(かえ)り、パンを食(た)べさせ、水(みず)を飲(の)ませよ』と言(い)いました」。これは彼(かれ)がその人(ひと)を欺(あざむ)いたのである。 19そこでその人(ひと)は彼(かれ)と一緒(いっしょ)に引(ひ)き返(かえ)し、その家(いえ)でパンを食(た)べ、水(みず)を飲(の)んだ。

20彼(かれ)らが食卓(しょくたく)についていたとき、主(しゅ)の言葉(ことば)が、その人(ひと)をつれて帰(かえ)った預言者(よげんしゃ)に臨(のぞ)んだので、 21彼(かれ)はユダからきた神(かみ)の人(ひと)にむかい呼(よ)ばわって言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられます、『あなたが主(しゅ)の言葉(ことば)にそむき、あなたの神(かみ)、主(しゅ)がお命(めい)じになった命令(めいれい)を守(まも)らず、 22引(ひ)き返(かえ)して、主(しゅ)があなたに、パンを食(た)べてはならない、水(みず)を飲(の)んではならない、と言(い)われた場所(ばしょ)でパンを食(た)べ、水(みず)を飲(の)んだゆえ、あなたの死体(したい)はあなたの先祖(せんぞ)の墓(はか)に行(い)かないであろう』」。 23そしてその人(ひと)がパンを食(た)べ、水(みず)を飲(の)んだ後(のち)、彼(かれ)はその人(ひと)のため、すなわちつれ帰(かえ)った預言者(よげんしゃ)のためにろばにくらを置(お)いた。 24こうしてその人(ひと)は立(た)ち去(さ)ったが、道(みち)でししが彼(かれ)に会(あ)って彼(かれ)を殺(ころ)した。そしてその死体(したい)は道(みち)に捨(す)てられ、ろばはそのかたわらに立(た)ち、ししもまた死体(したい)のかたわらに立(た)っていた。 25人々(ひとびと)はそこをとおって、道(みち)に捨(す)てられている死体(したい)と、死体(したい)のかたわらに立(た)っているししを見(み)て、かの老(ろう)預言者(よげんしゃ)の住(す)んでいる町(まち)にきてそれを話(はな)した。

26その人(ひと)を道(みち)からつれて帰(かえ)った預言者(よげんしゃ)はそれを聞(き)いて言(い)った、「それは主(しゅ)の言葉(ことば)にそむいた神(かみ)の人(ひと)だ。主(しゅ)が彼(かれ)に言(い)われた言葉(ことば)のように、主(しゅ)は彼(かれ)をししにわたされ、ししが彼(かれ)を裂(さ)き殺(ころ)したのだ」。 27そしてむすこたちに言(い)った、「わたしのためにろばにくらを置(お)きなさい」。彼(かれ)らがくらを置(お)いたので、 28彼(かれ)は行(い)って、死体(したい)が道(みち)に捨(す)てられ、ろばとししが死体(したい)のかたわらに立(た)っているのを見(み)た。ししはその死体(したい)を食(た)べず、ろばも裂(さ)いていなかった。 29そこで預言者(よげんしゃ)は神(かみ)の人(ひと)の死体(したい)を取(と)りあげ、それをろばに載(の)せて町(まち)に持(も)ち帰(かえ)り、悲(かな)しんでそれを葬(ほうむ)った。 30すなわちその死体(したい)を自分(じぶん)の墓(はか)に納(おさ)め、皆(みな)これがために「ああ、わが兄弟(きょうだい)よ」と言(い)って悲(かな)しんだ。 31彼(かれ)はそれを葬(ほうむ)って後(のち)、むすこたちに言(い)った、「わたしが死(し)んだ時(とき)は、神(かみ)の人(ひと)を葬(ほうむ)った墓(はか)に葬(ほうむ)り、わたしの骨(ほね)を彼(かれ)の骨(ほね)のかたわらに納(おさ)めなさい。 32彼(かれ)が主(しゅ)の命(いのち)によって、ベテルにある祭壇(さいだん)にむかい、またサマリヤの町々(まちまち)にある高(たか)き所(ところ)のすべての家(いえ)にむかって呼(よ)ばわった言葉(ことば)は必(かなら)ず成就(じょうじゅ)するのです」。

33この事(こと)の後(のち)も、ヤラベアムはその悪(わる)い道(みち)を離(はな)れて立(た)ち返(かえ)ることをせず、また一般(いっぱん)の民(たみ)を、高(たか)き所(ところ)の祭司(さいし)に任命(にんめい)した。すなわち、だれでも好(この)む者(もの)は、それを立(た)てて高(たか)き所(ところ)の祭司(さいし)とした。 34この事(こと)はヤラベアムの家(いえ)の罪(つみ)となって、ついにこれを地(ち)のおもてから断(た)ち滅(ほろ)ぼすようになった。

第一四章

1そのころヤラベアムの子(こ)アビヤが病気(びょうき)になったので、 2ヤラベアムは妻(つま)に言(い)った、「立(た)って姿(すがた)を変(か)え、ヤラベアムの妻(つま)であることの知(し)られないようにしてシロへ行(い)きなさい。わたしがこの民(たみ)の王(おう)となることを、わたしに告(つ)げた預言者(よげんしゃ)アヒヤがそこにいます。 3パン十個(こ)と菓子(かし)数個(すうこ)および、みつ一びんを携(たずさ)えて彼(かれ)のところへ行(い)きなさい。彼(かれ)はこの子(こ)がどうなるかをあなたに告(つ)げるでしょう」。

4ヤラベアムの妻(つま)はそのようにして、立(た)ってシロへ行(い)き、アヒヤの家(いえ)に着(つ)いたが、アヒヤは年老(としお)いたため、目(め)がかすんで見(み)ることができなかった。 5しかし主(しゅ)はアヒヤに言(い)われた、「ヤラベアムの妻(つま)が子供(こども)の事(こと)をあなたに尋(たず)ねるために来(く)る。子供(こども)は病気(びょうき)だ。あなたは彼女(かのじょ)にこうこう言(い)わなければならない」。

彼女(かのじょ)は来(く)るとき、他人(たにん)を装(よそお)っていた。 6しかし彼女(かのじょ)が戸口(とぐち)にはいってきたとき、アヒヤはその足音(あしおと)を聞(き)いて言(い)った、「ヤラベアムの妻(つま)よ、はいりなさい。なぜ、他人(たにん)を装(よそお)うのですか。わたしはあなたにきびしい事(こと)を告(つ)げるよう、命(めい)じられています。 7行(い)ってヤラベアムに言(い)いなさい、『イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、「わたしはあなたを民(たみ)のうちからあげ、わたしの民(たみ)イスラエルの上(うえ)に立(た)てて君(きみ)とし、 8国(くに)をダビデの家(いえ)から裂(さ)き離(はな)して、それをあなたに与(あた)えたのに、あなたはわたしのしもべダビデが、わたしの命令(めいれい)を守(まも)って一心(いっしん)にわたしに従(したが)い、ただわたしの目(め)にかなった事(こと)のみを行(おこな)ったようにではなく、 9あなたよりも先(さき)にいたすべての者(もの)にまさって悪(あく)をなし、行(い)って自分(じぶん)のために他(た)の神々(かみがみ)と鋳(い)た像(ぞう)を造(つく)り、わたしを怒(いか)らせ、わたしをうしろに捨(す)て去(さ)った。 10それゆえ、見(み)よ、わたしはヤラベアムの家(いえ)に災(わざわい)を下(くだ)し、ヤラベアムに属(ぞく)する男(おとこ)は、イスラエルについて、つながれた者(もの)も、自由(じゆう)な者(もの)もことごとく断(た)ち、人(ひと)があくたを残(のこ)りなく焼(や)きつくすように、ヤラベアムの家(いえ)を全(まった)く断(た)ち滅(ほろ)ぼすであろう。 11ヤラベアムに属(ぞく)する者(もの)は、町(まち)で死(し)ぬ者(もの)を犬(いぬ)が食(た)べ、野(の)で死(し)ぬ者(もの)を空(そら)の鳥(とり)が食(た)べるであろう。主(しゅ)がこれを言(い)われるのである」』。 12あなたは立(た)って、家(いえ)へ帰(かえ)りなさい。あなたの足(あし)が町(まち)にはいる時(とき)に、子(こ)どもは死(し)にます。 13そしてイスラエルは皆(みな)、彼(かれ)のために悲(かな)しんで彼(かれ)を葬(ほうむ)るでしょう。ヤラベアムに属(ぞく)する者(もの)は、ただ彼(かれ)だけ墓(はか)に葬(ほうむ)られるでしょう。ヤラベアムの家(いえ)のうちで、彼(かれ)はイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)にむかって良(よ)い思(おも)いをいだいていたからです。 14主(しゅ)はイスラエルの上(うえ)にひとりの王(おう)を起(おこ)されます。彼(かれ)はその日(ひ)ヤラベアムの家(いえ)を断(た)つでしょう。 15その後(のち)主(しゅ)はイスラエルを撃(う)って、水(みず)に揺(ゆ)らぐ葦(あし)のようにし、イスラエルを、その先祖(せんぞ)に賜(たま)わったこの良(よ)い地(ち)から抜(ぬ)き去(さ)って、ユフラテ川(かわ)の向(む)こうに散(ち)らされるでしょう。彼(かれ)らがアシラ像(ぞう)を造(つく)って主(しゅ)を怒(いか)らせたからです。 16主(しゅ)はヤラベアムの罪(つみ)のゆえに、すなわち彼(かれ)がみずから犯(おか)し、またイスラエルに犯(おか)させたその罪(つみ)のゆえにイスラエルを捨(す)てられるでしょう」。

17ヤラベアムの妻(つま)は立(た)って去(さ)り、テルザへ行(い)って、家(いえ)の敷居(しきい)をまたいだ時(とき)、子(こ)どもは死(し)んだ。 18イスラエルは皆(みな)彼(かれ)を葬(ほうむ)り、彼(かれ)のために悲(かな)しんだ。主(しゅ)がそのしもべ預言者(よげんしゃ)アヒヤによって言(い)われた言葉(ことば)のとおりである。 19ヤラベアムのその他(た)の事績(じせき)、彼(かれ)がどのように戦(たたか)い、どのように世(よ)を治(おさ)めたかは、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされている。 20ヤラベアムが世(よ)を治(おさ)めた日(ひ)は二十二年(ねん)であった。彼(かれ)はその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って、その子(こ)ナダブが代(かわ)って王(おう)となった。

21ソロモンの子(こ)レハベアムはユダで世(よ)を治(おさ)めた。レハベアムは王(おう)となったとき四十一歳(さい)であったが、主(しゅ)がその名(な)を置(お)くために、イスラエルのすべての部族(ぶぞく)のうちから選(えら)ばれた町(まち)エルサレムで、十七年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。その母(はは)の名(な)はナアマといってアンモンびとであった。 22ユダの人々(ひとびと)はその先祖(せんぞ)の行(おこな)ったすべての事(こと)にまさって、主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、その犯(おか)した罪(つみ)によって主(しゅ)の怒(いか)りを引(ひ)き起(おこ)した。 23彼(かれ)らもすべての高(たか)い丘(おか)の上(うえ)と、すべての青(あお)木(き)の下(した)に、高(たか)き所(ところ)と石(いし)の柱(はしら)とアシラ像(ぞう)とを建(た)てたからである。 24その国(くに)にはまた神殿(しんでん)男娼(だんしょう)たちがいた。彼(かれ)らは主(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)の前(まえ)から追(お)い払(はら)われた国民(こくみん)のすべての憎(にく)むべき事(こと)をならい行(い)った。

25レハベアムの王(おう)の第(だい)五年(ねん)にエジプトの王(おう)シシャクがエルサレムに攻(せ)め上(のぼ)ってきて、 26主(しゅ)の宮(みや)の宝物(ほうもつ)と、王(おう)の宮殿(きゅうでん)の宝物(ほうもつ)を奪(うば)い去(さ)った。彼(かれ)はそれをことごとく奪(うば)い去(さ)り、またソロモンの造(つく)った金(きん)の盾(たて)をみな奪(うば)い去(さ)った。 27レハベアムはその代(かわ)りに青銅(せいどう)の盾(たて)を造(つく)って、王(おう)の宮殿(きゅうでん)の門(もん)を守(まも)る侍衛(じえい)長(ちょう)の手(て)にわたした。 28王(おう)が主(しゅ)の宮(みや)にはいるごとに、侍衛(じえい)はそれを携(たずさ)え、また、それを侍衛(じえい)のへやへ持(も)ち帰(かえ)った。

29レハベアムのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 30レハベアムとヤラベアムの間(あいだ)には絶(た)えず戦争(せんそう)があった。 31レハベアムはその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って先祖(せんぞ)と共(とも)にダビデの町(まち)に葬(ほうむ)られた。その母(はは)の名(な)はナアマといってアンモンびとであった。その子(こ)アビヤムが代(かわ)って王(おう)となった。

第一五章

1ネバテの子(こ)ヤラベアム王(おう)の第(だい)十八年(ねん)にアビヤムがユダの王(おう)となり、 2エルサレムで三年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。その母(はは)の名(な)はマアカといって、アブサロムの娘(むすめ)であった。 3彼(かれ)はその父(ちち)が先(さき)に行(おこな)ったもろもろの罪(つみ)をおこない、その心(こころ)は父(ちち)ダビデの心(こころ)のようにその神(かみ)、主(しゅ)に対(たい)して全(まった)く真実(しんじつ)ではなかった。 4それにもかかわらず、その神(かみ)、主(しゅ)はダビデのために、エルサレムにおいて彼(かれ)に一つのともしびを与(あた)え、その子(こ)を彼(かれ)のあとに立(た)てて、エルサレムを固(かた)められた。 5それはダビデがヘテびとウリヤの事(こと)のほか、一生(いっしょう)の間(あいだ)、主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)を行(おこな)い、主(しゅ)が命(めい)じられたすべての事(こと)に、そむかなかったからである。 6レハベアムとヤラベアムの間(あいだ)には一生(いっしょう)の間(あいだ)、戦争(せんそう)があった。 7アビヤムのその他(た)の行為(こうい)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。アビヤムとヤラベアムの間(あいだ)にも戦争(せんそう)があった。 8アビヤムはその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って、ダビデの町(まち)に葬(ほうむ)られ、その子(こ)アサが代(かわ)って王(おう)となった。

9イスラエルの王(おう)ヤラベアムの第(だい)二十年(ねん)にアサはユダの王(おう)となり、 10エルサレムで四十一年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。その母(はは)の名(な)はマアカといってアブサロムの娘(むすめ)であった。 11アサはその父(ちち)ダビデがしたように主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)をし、 12神殿(しんでん)男娼(だんしょう)を国(くに)から追(お)い出(だ)し、先祖(せんぞ)たちの造(つく)ったもろもろの偶像(ぐうぞう)を除(のぞ)いた。 13彼(かれ)はまたその母(はは)マアカが、アシラのために憎(にく)むべき像(ぞう)を造(つく)らせたので、彼女(かのじょ)を太后(たいこう)の位(くらい)から退(しりぞ)けた。そしてアサはその憎(にく)むべき像(ぞう)を切(き)り倒(たお)してキデロンの谷(たに)で焼(や)き捨(す)てた。 14ただし高(たか)き所(ところ)は除(のぞ)かなかった。けれどもアサの心(こころ)は一生(いっしょう)の間(あいだ)、主(しゅ)に対(たい)して全(まった)く真実(しんじつ)であった。 15彼(かれ)は父(ちち)の献納(けんのう)した物(もの)と自分(じぶん)の献納(けんのう)した物(もの)、金銀(きんぎん)および器物(うつわもの)を主(しゅ)の宮(みや)に携(たずさ)え入(い)れた。

16アサとイスラエルの王(おう)バアシャの間(あいだ)には一生(いっしょう)の間(あいだ)、戦争(せんそう)があった。 17イスラエルの王(おう)バアシャはユダに攻(せ)め上(のぼ)り、ユダの王(おう)アサの所(ところ)に、だれをも出入(でい)りさせないためにラマを築(きず)いた。 18そこでアサは主(しゅ)の宮(みや)の宝蔵(ほうぞう)と、王(おう)の宮殿(きゅうでん)の宝蔵(ほうぞう)に残(のこ)っている金銀(きんぎん)をことごとく取(と)って、これを家来(けらい)たちの手(て)にわたし、そしてアサ王(おう)は彼(かれ)らをダマスコに住(す)んでいるスリヤの王(おう)、ヘジョンの子(こ)タブリモンの子(こ)であるベネハダデにつかわして言(い)わせた、 19「わたしの父(ちち)とあなたの父(ちち)との間(あいだ)に結(むす)ばれていたように、わたしとあなたの間(あいだ)に同盟(どうめい)を結(むす)びましょう。わたしはあなたに金銀(きんぎん)の贈(おく)り物(もの)をさしあげます。行(い)って、あなたとイスラエルの王(おう)バアシャとの同盟(どうめい)を破棄(はき)し、彼(かれ)をわたしの所(ところ)から撤退(てったい)させてください」。 20ベネハダデはアサ王(おう)の言(い)うことを聞(き)き、自分(じぶん)の軍勢(ぐんぜい)の長(ちょう)たちをつかわしてイスラエルの町々(まちまち)を攻(せ)め、イヨンとダンとアベル・ベテ・マアカおよびキンネレテの全(ぜん)地(ち)と、ナフタリの全(ぜん)地(ち)を撃(う)った。 21バアシャはこれを聞(き)き、ラマを築(きず)くことをやめて、テルザにとどまった。 22そこでアサ王(おう)はユダ全国(ぜんこく)に布告(ふこく)を発(はっ)した。ひとりも免(まぬか)れる者(もの)はなかった。すなわちバアシャがラマを築(きず)くために用(もち)いた石(いし)と材木(ざいもく)を運(はこ)びこさせ、アサ王(おう)はそれを用(もち)いて、ベニヤミンのゲバとミヅパを築(きず)いた。 23アサのその他(た)の事績(じせき)とそのすべての勲功(くんこう)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)および彼(かれ)が建(た)てた町々(まちまち)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。彼(かれ)は老年(ろうねん)になって足(あし)を病(や)んだ。 24アサはその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って、父(ちち)ダビデの町(まち)に先祖(せんぞ)と共(とも)に葬(ほうむ)られ、その子(こ)ヨシャパテが代(かわ)って王(おう)となった。

25ユダの王(おう)アサの第(だい)二年(ねん)にヤラベアムの子(こ)ナダブがイスラエルの王(おう)となって、二年(ねん)イスラエルを治(おさ)めた。 26彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、その父(ちち)の道(みち)に歩(あゆ)み、父(ちち)がイスラエルに犯(おか)させた罪(つみ)をおこなった。

27イッサカルの家(いえ)のアヒヤの子(こ)バアシャは彼(かれ)に対(たい)してむほんを企(くわだ)て、ペリシテびとに属(ぞく)するギベトンで彼(かれ)を撃(う)った。これはナダブとイスラエルが皆(みな)ギベトンを囲(かこ)んでいたからである。 28こうしてユダの王(おう)アサの第(だい)三年(ねん)にバアシャは彼(かれ)を殺(ころ)し、彼(かれ)に代(かわ)って王(おう)となった。 29彼(かれ)は王(おう)となるとすぐヤラベアムの全家(ぜんか)を撃(う)ち、息(いき)のある者(もの)をひとりもヤラベアムの家(いえ)に残(のこ)さず、ことごとく滅(ほろ)ぼした。主(しゅ)がそのしもべシロびとアヒヤによって言(い)われた言葉(ことば)のとおりであって、 30これはヤラベアムがみずから犯(おか)し、またイスラエルに犯(おか)させた罪(つみ)のため、また彼(かれ)がイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)を怒(いか)らせたその怒(いか)りによるのであった。

31ナダブのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 32アサとイスラエルの王(おう)バアシャの間(あいだ)には一生(いっしょう)の間(あいだ)戦争(せんそう)があった。

33ユダの王(おう)アサの第(だい)三年(ねん)にアヒヤの子(こ)バアシャはテルザでイスラエルの全(ぜん)地(ち)の王(おう)となって、二十四年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。 34彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、ヤラベアムの道(みち)に歩(あゆ)み、ヤラベアムがイスラエルに犯(おか)させた罪(つみ)をおこなった。

第一六章

1そこで主(しゅ)の言葉(ことば)がハナニの子(こ)エヒウに臨(のぞ)み、バアシャを責(せ)めて言(い)った、 2「わたしはあなたをちりの中(なか)からあげて、わたしの民(たみ)イスラエルの上(うえ)に君(きみ)としたが、あなたはヤラベアムの道(みち)に歩(あゆ)み、わたしの民(たみ)イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させ、その罪(つみ)をもってわたしを怒(いか)らせた。 3それでわたしは、バアシャとその家(いえ)を全(まった)く滅(ほろ)ぼし去(さ)り、あなたの家(いえ)をネバテの子(こ)ヤラベアムの家(いえ)のようにする。 4バアシャに属(ぞく)する者(もの)で、町(まち)で死(し)ぬ者(もの)は犬(いぬ)が食(た)べ、彼(かれ)に属(ぞく)する者(もの)で、野(の)で死(し)ぬ者(もの)は空(そら)の鳥(とり)が食(た)べるであろう」。

5バアシャのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がした事(こと)と、その勲功(くんこう)とは、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 6バアシャはその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って、テルザに葬(ほうむ)られ、その子(こ)エラが代(かわ)って王(おう)となった。 7主(しゅ)の言葉(ことば)はまたハナニの子(こ)預言者(よげんしゃ)エヒウによって臨(のぞ)み、バアシャとその家(いえ)を責(せ)めた。これは彼(かれ)が主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に、もろもろの悪(あく)を行(おこな)い、その手(て)のわざをもって主(しゅ)を怒(いか)らせ、ヤラベアムの家(いえ)にならったためであり、また彼(かれ)がヤラベアムの家(いえ)を滅(ほろ)ぼしたためであった。

8ユダの王(おう)アサの第(だい)二十六年(ねん)にバアシャの子(こ)エラはテルザでイスラエルの王(おう)となり、二年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。 9彼(かれ)がテルザにいて、テルザの宮殿(きゅうでん)のつかさアルザの家(いえ)で酒(さけ)を飲(の)んで酔(よ)った時(とき)、その家来(けらい)で戦車(せんしゃ)隊(たい)の半(なか)ばを指揮(しき)していたジムリが、彼(かれ)にそむいた。 10そしてユダの王(おう)アサの第(だい)二十七年(ねん)にジムリは、はいってきて彼(かれ)を撃(う)ち殺(ころ)し、彼(かれ)に代(かわ)って王(おう)となった。

11ジムリは王(おう)となって、位(くらい)についた時(とき)、バアシャの全家(ぜんか)を殺(ころ)し、その親族(しんぞく)または友(とも)だちの男子(だんし)は、ひとりも残(のこ)さなかった。 12こうしてジムリはバアシャの全家(ぜんか)を滅(ほろ)ぼした。主(しゅ)が預言者(よげんしゃ)エヒウによってバアシャを責(せ)めて言(い)われた言葉(ことば)のとおりである。 13これはバアシャのもろもろの罪(つみ)と、その子(こ)エラの罪(つみ)のためであって、彼(かれ)らが罪(つみ)を犯(おか)し、またイスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させ、彼(かれ)らの偶像(ぐうぞう)をもってイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)を怒(いか)らせたからである。 14エラのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。

15ユダの王(おう)アサの第(だい)二十七年(ねん)にジムリはテルザで七日(なぬか)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。民(たみ)はペリシテびとに属(ぞく)するギベトンにむかって陣取(じんど)っていたが、 16その陣取(じんど)っていた民(たみ)が「ジムリはむほんを起(おこ)して王(おう)を殺(ころ)した」と人(ひと)のいうのを聞(き)いたので、イスラエルは皆(みな)その日(ひ)陣営(じんえい)で、軍(ぐん)の長(ちょう)オムリをイスラエルの王(おう)とした。 17そこでオムリはイスラエルの人々(ひとびと)と共(とも)にギベトンから上(のぼ)ってテルザを囲(かこ)んだ。 18ジムリはその町(まち)の陥(おちい)るのを見(み)て、王(おう)の宮殿(きゅうでん)の天守(てんしゅ)にはいり、王(おう)の宮殿(きゅうでん)に火(ひ)をかけてその中(なか)で死(し)んだ。 19これは彼(かれ)が犯(おか)した罪(つみ)のためであって、彼(かれ)が主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、ヤラベアムの道(みち)に歩(あゆ)み、ヤラベアムがイスラエルに犯(おか)させたその罪(つみ)を行(おこな)ったからである。 20ジムリのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)が企(くわだ)てた陰謀(いんぼう)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。

21その時(とき)イスラエルの民(たみ)は二つに分(わか)れ、民(たみ)の半(なか)ばはギナテの子(こ)テブニに従(したが)って、これを王(おう)としようとし、半(なか)ばはオムリに従(したが)った。 22しかしオムリに従(したが)った民(たみ)はギナテの子(こ)テブニに従(したが)った民(たみ)に勝(か)って、テブニは死(し)に、オムリが王(おう)となった。 23ユダの王(おう)アサの第(だい)三十一年(ねん)にオムリはイスラエルの王(おう)となって十二年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。彼(かれ)はテルザで六年(ねん)王(おう)であった。 24彼(かれ)は銀(ぎん)二タラントでセメルからサマリヤの山(やま)を買(か)い、その上(うえ)に町(まち)を建(た)て、その建(た)てた町(まち)の名(な)をその山(やま)の持(も)ち主(ぬし)であったセメルの名(な)に従(したが)ってサマリヤと呼(よ)んだ。

25オムリは主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、彼(かれ)よりも先(さき)にいたすべての者(もの)にまさって悪(わる)い事(こと)をした。 26彼(かれ)はネバテの子(こ)ヤラベアムのすべての道(みち)に歩(あゆ)み、ヤラベアムがイスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させ、彼(かれ)らの偶像(ぐうぞう)をもってイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)を怒(いか)らせたその罪(つみ)を行(おこな)った。 27オムリが行(い)ったその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)があらわした勲功(くんこう)とは、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 28オムリはその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って、サマリヤに葬(ほうむ)られ、その子(こ)アハブが代(かわ)って王(おう)となった。

29ユダの王(おう)アサの第(だい)三十八年(ねん)にオムリの子(こ)アハブがイスラエルの王(おう)となった。オムリの子(こ)アハブはサマリヤで二十二年(ねん)イスラエルを治(おさ)めた。 30オムリの子(こ)アハブは彼(かれ)よりも先(さき)にいたすべての者(もの)にまさって、主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)った。 31彼(かれ)はネバテの子(こ)ヤラベアムの罪(つみ)を行(おこな)うことを、軽(かる)い事(こと)とし、シドンびとの王(おう)エテバアルの娘(むすめ)イゼベルを妻(つま)にめとり、行(い)ってバアルに仕(つか)え、これを拝(おが)んだ。 32彼(かれ)はサマリヤに建(た)てたバアルの宮(みや)に、バアルのために祭壇(さいだん)を築(きず)いた。 33アハブはまたアシラ像(ぞう)を造(つく)った。アハブは彼(かれ)よりも先(さき)にいたイスラエルのすべての王(おう)にまさってイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)を怒(いか)らせることを行(おこな)った。 34彼(かれ)の代(よ)にベテルびとヒエルはエリコを建(た)てた。彼(かれ)はその基(もとい)をすえる時(とき)に長子(ちょうし)アビラムを失(うしな)い、その門(もん)を立(た)てる時(とき)に末(すえ)の子(こ)セグブを失(うしな)った。主(しゅ)がヌンの子(こ)ヨシュアによって言(い)われた言葉(ことば)のとおりである。

第一七章

1ギレアデのテシベに住(す)むテシベびとエリヤはアハブに言(い)った、「わたしの仕(つか)えているイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)は生(い)きておられます。わたしの言葉(ことば)のないうちは、数年(すうねん)雨(あめ)も露(つゆ)もないでしょう」。 2主(しゅ)の言葉(ことば)がエリヤに臨(のぞ)んだ、 3「ここを去(さ)って東(ひがし)におもむき、ヨルダンの東(ひがし)にあるケリテ川(かわ)のほとりに身(み)を隠(かく)しなさい。 4そしてその川(かわ)の水(みず)を飲(の)みなさい。わたしはからすに命(めい)じて、そこであなたを養(やしな)わせよう」。 5エリヤは行(い)って、主(しゅ)の言葉(ことば)のとおりにした。すなわち行(い)って、ヨルダンの東(ひがし)にあるケリテ川(かわ)のほとりに住(す)んだ。 6すると、からすが朝(あさ)ごとに彼(かれ)の所(ところ)にパンと肉(にく)を運(はこ)び、また夕(ゆう)ごとにパンと肉(にく)を運(はこ)んできた。そして彼(かれ)はその川(かわ)の水(みず)を飲(の)んだ。 7しかし国(くに)に雨(あめ)がなかったので、しばらくしてその川(かわ)はかれた。

8その時(とき)、主(しゅ)の言葉(ことば)が彼(かれ)に臨(のぞ)んで言(い)った、 9「立(た)ってシドンに属(ぞく)するザレパテへ行(い)って、そこに住(す)みなさい。わたしはそのところのやもめ女(おんな)に命(めい)じてあなたを養(やしな)わせよう」。 10そこで彼(かれ)は立(た)ってザレパテへ行(い)ったが、町(まち)の門(もん)に着(つ)いたとき、ひとりのやもめ女(おんな)が、その所(ところ)でたきぎを拾(ひろ)っていた。彼(かれ)はその女(おんな)に声(こえ)をかけて言(い)った、「器(うつわ)に水(みず)を少(すこ)し持(も)ってきて、わたしに飲(の)ませてください」。 11彼女(かのじょ)が行(い)って、それを持(も)ってこようとした時(とき)、彼(かれ)は彼女(かのじょ)を呼(よ)んで言(い)った、「手(て)に一口(ひとくち)のパンを持(も)ってきてください」。 12彼女(かのじょ)は言(い)った、「あなたの神(かみ)、主(しゅ)は生(い)きておられます。わたしにはパンはありません。ただ、かめに一握(ひとにぎ)りの粉(こな)と、びんに少(すこ)しの油(あぶら)があるだけです。今(いま)わたしはたきぎ二、三本(ぼん)を拾(ひろ)い、うちへ帰(かえ)って、わたしと子供(こども)のためにそれを調理(ちょうり)し、それを食(た)べて死(し)のうとしているのです」。 13エリヤは彼女(かのじょ)に言(い)った、「恐(おそ)れるにはおよばない。行(い)って、あなたが言(い)ったとおりにしなさい。しかしまず、それでわたしのために小(ちい)さいパンを、一つ作(つく)って持(も)ってきなさい。その後(のち)、あなたと、あなたの子供(こども)のために作(つく)りなさい。 14『主(しゅ)が雨(あめ)を地(ち)のおもてに降(ふ)らす日(ひ)まで、かめの粉(こな)は尽(つ)きず、びんの油(あぶら)は絶(た)えない』とイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)が言(い)われるからです」。 15彼女(かのじょ)は行(い)って、エリヤが言(い)ったとおりにした。彼女(かのじょ)と彼(かれ)および彼女(かのじょ)の家族(かぞく)は久(ひさ)しく食(た)べた。 16主(しゅ)がエリヤによって言(い)われた言葉(ことば)のように、かめの粉(こな)は尽(つ)きず、びんの油(あぶら)は絶(た)えなかった。

17これらの事(こと)の後(のち)、その家(いえ)の主婦(しゅふ)であるこの女(おんな)の男(おとこ)の子(こ)が病気(びょうき)になった。その病気(びょうき)はたいそう重(おも)く、息(いき)が絶(た)えたので、 18彼女(かのじょ)はエリヤに言(い)った、「神(かみ)の人(ひと)よ、あなたはわたしに、何(なに)の恨(うら)みがあるのですか。あなたはわたしの罪(つみ)を思(おも)い出(だ)させるため、またわたしの子(こ)を死(し)なせるためにおいでになったのですか」。 19エリヤは彼女(かのじょ)に言(い)った、「子(こ)をわたしによこしなさい」。そして彼女(かのじょ)のふところから子供(こども)を取(と)り、自分(じぶん)のいる屋上(おくじょう)のへやへかかえて上(のぼ)り、自分(じぶん)の寝台(しんだい)に寝(ね)かせ、 20主(しゅ)に呼(よ)ばわって言(い)った、「わが神(かみ)、主(しゅ)よ、あなたはわたしが宿(やど)っている家(いえ)のやもめにさえ災(わざわい)をくだして、子供(こども)を殺(ころ)されるのですか」。 21そして三度(ど)その子(こ)供(とも)の上(うえ)に身(み)を伸(の)ばし、主(しゅ)に呼(よ)ばわって言(い)った、「わが神(かみ)、主(しゅ)よ、この子供(こども)の魂(たましい)をもとに帰(かえ)らせてください」。 22主(しゅ)はエリヤの声(こえ)を聞(き)きいれられたので、その子(こ)供(とも)の魂(たましい)はもとに帰(かえ)って、彼(かれ)は生(い)きかえった。 23エリヤはその子(こ)供(とも)を取(と)って屋上(おくじょう)のへやから家(いえ)の中(なか)につれて降(ふ)り、その母(はは)にわたして言(い)った、「ごらんなさい。あなたの子(こ)は生(い)きかえりました」。 24女(おんな)はエリヤに言(い)った、「今(いま)わたしはあなたが神(かみ)の人(ひと)であることと、あなたの口(くち)にある主(しゅ)の言葉(ことば)が真実(しんじつ)であることを知(し)りました」。

第一八章

1多(おお)くの日(ひ)を経(へ)て、三年(ねん)目(め)に主(しゅ)の言葉(ことば)がエリヤに臨(のぞ)んだ、「行(い)って、あなたの身(み)をアハブに示(しめ)しなさい。わたしは雨(あめ)を地(ち)に降(ふ)らせる」。 2エリヤはその身(み)をアハブに示(しめ)そうとして行(い)った。その時(とき)、サマリヤにききんが激(はげ)しかった。 3アハブは家(いえ)づかさオバデヤを召(め)した。(オバデヤは深(ふか)く主(しゅ)を恐(おそ)れる人(ひと)で、 4イゼベルが主(しゅ)の預言者(よげんしゃ)を断(た)ち滅(ほろ)ぼした時(とき)、オバデヤは百人(にん)の預言者(よげんしゃ)を救(すく)い出(だ)して五十人(にん)ずつほら穴(あな)に隠(かく)し、パンと水(みず)をもって彼(かれ)らを養(やしな)った)。 5アハブはオバデヤに言(い)った、「国中(くにぢゅう)のすべての水(みず)の源(みなもと)と、すべての川(かわ)に行(い)ってみるがよい。馬(うま)と騾馬(らば)を生(い)かしておくための草(くさ)があるかもしれない。そうすれば、われわれは家畜(かちく)をいくぶんでも失(うしな)わずにすむであろう」。 6彼(かれ)らは行(い)き巡(めぐ)る地(ち)をふたりで分(わ)け、アハブはひとりでこの道(みち)を行(い)き、オバデヤはひとりで他(た)の道(みち)を行(おこな)った。

7オバデヤが道(みち)を進(すす)んでいた時(とき)、エリヤが彼(かれ)に会(あ)った。彼(かれ)はエリヤを認(みと)めて伏(ふ)して言(い)った、「わが主(しゅ)エリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。 8エリヤは彼(かれ)に言(い)った、「そうです。行(い)って、あなたの主人(しゅじん)に、エリヤはここにいると告(つ)げなさい」。 9彼(かれ)は言(い)った、「わたしにどんな罪(つみ)があって、あなたはしもべをアハブの手(て)にわたして殺(ころ)そうとされるのですか。 10あなたの神(かみ)、主(しゅ)は生(い)きておられます。わたしの主人(しゅじん)があなたを尋(たず)ねるために、人(ひと)をつかわさない民(たみ)はなく、国(くに)もありません。そしてエリヤはいないと言(い)う時(とき)は、その国(くに)、その民(たみ)に、あなたが見(み)つからないという誓(ちか)いをさせるのです。 11あなたは今(いま)『行(い)って、エリヤはここにいると主人(しゅじん)に告(つ)げよ』と言(い)われます。 12しかしわたしがあなたを離(はな)れて行(い)くと、主(しゅ)の霊(れい)はあなたを、わたしの知(し)らない所(ところ)へ連(つ)れて行(い)くでしょう。わたしが行(い)ってアハブに告(つ)げ、彼(かれ)があなたを見(み)つけることができなければ、彼(かれ)はわたしを殺(ころ)すでしょう。しかし、しもべは幼(おさな)い時(とき)から主(しゅ)を恐(おそ)れている者(もの)です。 13イゼベルが主(しゅ)の預言者(よげんしゃ)を殺(ころ)した時(とき)に、わたしがした事(こと)、すなわち、わたしが主(しゅ)の預言者(よげんしゃ)のうち百人(にん)を五十人(にん)ずつほら穴(あな)に隠(かく)して、パンと水(みず)をもって養(やしな)った事(こと)を、わが主(しゅ)は聞(き)かれませんでしたか。 14ところが今(いま)あなたは『行(い)って、エリヤはここにいると主人(しゅじん)に告(つ)げよ』と言(い)われます。そのようなことをすれば彼(かれ)はわたしを殺(ころ)すでしょう」。 15エリヤは言(い)った、「わたしの仕(つか)える万軍(ばんぐん)の主(しゅ)は生(い)きておられる。わたしは必(かなら)ず、きょう、わたしの身(み)を彼(かれ)に示(しめ)すであろう」。 16オバデヤは行(い)ってアハブに会(あ)い、彼(かれ)に告(つ)げたので、アハブはエリヤに会(あ)おうとして行(い)った。

17アハブはエリヤを見(み)たとき、彼(かれ)に言(い)った、「イスラエルを悩(なや)ます者(もの)よ、あなたはここにいるのですか」。 18彼(かれ)は答(こた)えた、「わたしがイスラエルを悩(なや)ますのではありません。あなたと、あなたの父(ちち)の家(いえ)が悩(なや)ましたのです。あなたがたが主(しゅ)の命令(めいれい)を捨(す)て、バアルに従(したが)ったためです。 19それで今(いま)、人(ひと)をつかわしてイスラエルのすべての人(ひと)およびバアルの預言者(よげんしゃ)四百五十人(にん)、ならびにアシラの預言者(よげんしゃ)四百人(にん)、イゼベルの食卓(しょくたく)で食事(しょくじ)する者(もの)たちをカルメル山(やま)に集(あつ)めて、わたしの所(ところ)にこさせなさい」。

20そこでアハブはイスラエルのすべての人(ひと)に人(ひと)をつかわして、預言者(よげんしゃ)たちをカルメル山(やま)に集(あつ)めた。 21そのときエリヤはすべての民(たみ)に近(ちか)づいて言(い)った、「あなたがたはいつまで二つのものの間(あいだ)に迷(まよ)っているのですか。主(しゅ)が神(かみ)ならばそれに従(したが)いなさい。しかしバアルが神(かみ)ならば、それに従(したが)いなさい」。民(たみ)はひと言(こと)も彼(かれ)に答(こた)えなかった。 22エリヤは民(たみ)に言(い)った、「わたしはただひとり残(のこ)った主(しゅ)の預言者(よげんしゃ)です。しかしバアルの預言者(よげんしゃ)は四百五十人(にん)あります。 23われわれに二頭(とう)の牛(うし)をください。そして一頭(とう)の牛(うし)を彼(かれ)らに選(えら)ばせ、それを切(き)り裂(さ)いて、たきぎの上(うえ)に載(の)せ、それに火(ひ)をつけずにおかせなさい。わたしも一頭(とう)の牛(うし)を整(ととの)え、それをたきぎの上(うえ)に載(の)せて火(ひ)をつけずにおきましょう。 24こうしてあなたがたはあなたがたの神(かみ)の名(な)を呼(よ)びなさい。わたしは主(しゅ)の名(な)を呼(よ)びましょう。そして火(ひ)をもって答(こた)える神(かみ)を神(かみ)としましょう」。民(たみ)は皆(みな)答(こた)えて「それがよかろう」と言(い)った。 25そこでエリヤはバアルの預言者(よげんしゃ)たちに言(い)った、「あなたがたは大(だい)ぜいだから初(はじ)めに一頭(とう)の牛(うし)を選(えら)んで、それを整(ととの)え、あなたがたの神(かみ)の名(な)を呼(よ)びなさい。ただし火(ひ)をつけてはなりません」。 26彼(かれ)らは与(あた)えられた牛(うし)を取(と)って整(ととの)え、朝(あさ)から昼(ひる)までバアルの名(な)を呼(よ)んで「バアルよ、答(こた)えてください」と言(い)った。しかしなんの声(こえ)もなく、また答(こた)える者(もの)もなかったので、彼(かれ)らは自分(じぶん)たちの造(つく)った祭壇(さいだん)のまわりに踊(おど)った。 27昼(ひる)になってエリヤは彼(かれ)らをあざけって言(い)った、「彼(かれ)は神(かみ)だから、大声(おおごえ)をあげて呼(よ)びなさい。彼(かれ)は考(かんが)えにふけっているのか、よそへ行(い)ったのか、旅(たび)に出(で)たのか、または眠(ねむ)っていて起(おこ)されなければならないのか」。 28そこで彼(かれ)らは大声(おおごえ)に呼(よ)ばわり、彼(かれ)らのならわしに従(したが)って、刀(かたな)とやりで身(み)を傷(きず)つけ、血(ち)をその身(み)に流(なが)すに至(いた)った。 29こうして昼(ひる)が過(す)ぎても彼(かれ)らはなお叫(さけ)び続(つづ)けて、夕(ゆう)の供(そな)え物(もの)をささげる時(とき)にまで及(およ)んだ。しかしなんの声(こえ)もなく、答(こた)える者(もの)もなく、また顧(かえり)みる者(もの)もなかった。

30その時(とき)エリヤはすべての民(たみ)にむかって「わたしに近寄(ちかよ)りなさい」と言(い)ったので、民(たみ)は皆(みな)彼(かれ)に近寄(ちかよ)った。彼(かれ)はこわれている主(しゅ)の祭壇(さいだん)を繕(つくろ)った。 31そしてエリヤは昔(むかし)、主(しゅ)の言葉(ことば)がヤコブに臨(のぞ)んで、「イスラエルをあなたの名(な)とせよ」と言(い)われたヤコブの子(こ)らの部族(ぶぞく)の数(かず)にしたがって十二の石(いし)を取(と)り、 32その石(いし)で主(しゅ)の名(な)によって祭壇(さいだん)を築(きず)き、祭壇(さいだん)の周囲(しゅうい)に種(たね)二セヤをいれるほどの大(おお)きさの、みぞを作(つく)った。 33また、たきぎを並(なら)べ、牛(うし)を切(き)り裂(さ)いてたきぎの上(うえ)に載(の)せて言(い)った、「四つのかめに水(みず)を満(み)たし、それを燔祭(はんさい)とたきぎの上(うえ)に注(そそ)げ」。 34また言(い)った、「それを二度(ど)せよ」。二度(ど)それをすると、また言(い)った、「三度(ど)それをせよ」。三度(ど)それをした。 35水(みず)は祭壇(さいだん)の周囲(しゅうい)に流(なが)れた。またみぞにも水(みず)を満(み)たした。

36夕(ゆう)の供(そな)え物(もの)をささげる時(とき)になって、預言者(よげんしゃ)エリヤは近寄(ちかよ)って言(い)った、「アブラハム、イサク、ヤコブの神(かみ)、主(しゅ)よ、イスラエルでは、あなたが神(かみ)であること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉(ことば)に従(したが)ってこのすべての事(こと)を行(おこな)ったことを、今日(こんにち)知(し)らせてください。 37主(しゅ)よ、わたしに答(こた)えてください、わたしに答(こた)えてください。主(しゅ)よ、この民(たみ)にあなたが神(かみ)であること、またあなたが彼(かれ)らの心(こころ)を翻(ひるがえ)されたのであることを知(し)らせてください」。 38そのとき主(しゅ)の火(ひ)が下(くだ)って燔祭(はんさい)と、たきぎと、石(いし)と、ちりとを焼(や)きつくし、またみぞの水(みず)をなめつくした。 39民(たみ)は皆(みな)見(み)て、ひれ伏(ふ)して言(い)った、「主(しゅ)が神(かみ)である。主(しゅ)が神(かみ)である」。 40エリヤは彼(かれ)らに言(い)った、「バアルの預言者(よげんしゃ)を捕(とら)えよ。そのひとりも逃(に)がしてはならない」。そこで彼(かれ)らを捕(とら)えたので、エリヤは彼(かれ)らをキション川(かわ)に連(つ)れくだって、そこで彼(かれ)らを殺(ころ)した。

41エリヤはアハブに言(い)った、「大雨(おおあめ)の音(おと)がするから、上(のぼ)って行(い)って、食(く)い飲(の)みしなさい」。 42アハブは食(く)い飲(の)みするために上(のぼ)っていった。しかしエリヤはカルメルの頂(いただき)に登(のぼ)り、地(ち)に伏(ふ)して顔(かお)をひざの間(あいだ)に入(い)れていたが、 43彼(かれ)はしもべに言(い)った、「上(のぼ)っていって海(うみ)の方(ほう)を見(み)なさい」。彼(かれ)は上(のぼ)っていって、見(み)て、「何(なに)もありません」と言(い)ったので、エリヤは「もう一度(ど)行(い)きなさい」と言(い)って七度(ど)に及(およ)んだ。 44七度目(どめ)にしもべは言(い)った、「海(うみ)から人(ひと)の手(て)ほどの小(ちい)さな雲(くも)が起(た)っています」。エリヤは言(い)った、「上(のぼ)っていって、『雨(あめ)にとどめられないように車(くるま)を整(ととの)えて下(くだ)れ』とアハブに言(い)いなさい」。 45すると間(ま)もなく、雲(くも)と風(かぜ)が起(おこ)り、空(そら)が黒(くろ)くなって大雨(おおあめ)が降(ふ)ってきた。アハブは車(くるま)に乗(の)ってエズレルへ行(い)った。 46また主(しゅ)の手(て)がエリヤに臨(のぞ)んだので、彼(かれ)は腰(こし)をからげ、エズレルの入口(いりぐち)までアハブの前(まえ)に走(はし)っていった。

第一九章

1アハブはエリヤのしたすべての事(こと)、また彼(かれ)がすべての預言者(よげんしゃ)を刀(かたな)で殺(ころ)したことをイゼベルに告(つ)げたので、 2イゼベルは使者(ししゃ)をエリヤにつかわして言(い)った、「もしわたしが、あすの今(いま)ごろ、あなたの命(いのち)をあの人々(ひとびと)のひとりの命(いのち)のようにしていないならば、神々(かみがみ)がどんなにでも、わたしを罰(ばっ)してくださるように」。 3そこでエリヤは恐(おそ)れて、自分(じぶん)の命(いのち)を救(すく)うために立(た)って逃(に)げ、ユダに属(ぞく)するベエルシバへ行(い)って、しもべをそこに残(のこ)し、 4自分(じぶん)は一日(にち)の道(みち)のりほど荒野(あらの)にはいって行(い)って、れだまの木(き)の下(した)に座(ざ)し、自分(じぶん)の死(し)を求(もと)めて言(い)った、「主(しゅ)よ、もはや、じゅうぶんです。今(いま)わたしの命(いのち)を取(と)ってください。わたしは先祖(せんぞ)にまさる者(もの)ではありません」。 5彼(かれ)はれだまの木(き)の下(した)に伏(ふ)して眠(ねむ)ったが、天(てん)の使(つかい)が彼(かれ)にさわり、「起(お)きて食(た)べなさい」と言(い)ったので、 6起(お)きて見(み)ると、頭(とう)のそばに、焼(や)け石(いし)の上(うえ)で焼(や)いたパン一個(こ)と、一びんの水(みず)があった。彼(かれ)は食(た)べ、かつ飲(の)んでまた寝(ね)た。 7主(しゅ)の使(つかい)は再(ふたた)びきて、彼(かれ)にさわって言(い)った、「起(お)きて食(た)べなさい。道(みち)が遠(とお)くて耐(た)えられないでしょうから」。 8彼(かれ)は起(お)きて食(た)べ、かつ飲(の)み、その食物(しょくもつ)で力(ちから)づいて四十日(にち)四十夜(や)行(い)って、神(かみ)の山(やま)ホレブに着(つ)いた。

9その所(ところ)で彼(かれ)はほら穴(あな)にはいって、そこに宿(やど)ったが、主(しゅ)の言葉(ことば)が彼(かれ)に臨(のぞ)んで、彼(かれ)に言(い)われた、「エリヤよ、あなたはここで何(なに)をしているのか」。 10彼(かれ)は言(い)った、「わたしは万軍(ばんぐん)の神(かみ)、主(しゅ)のために非常(ひじょう)に熱心(ねっしん)でありました。イスラエルの人々(ひとびと)はあなたの契約(けいやく)を捨(す)て、あなたの祭壇(さいだん)をこわし、刀(かたな)をもってあなたの預言者(よげんしゃ)たちを殺(ころ)したのです。ただわたしだけ残(のこ)りましたが、彼(かれ)らはわたしの命(いのち)を取(と)ろうとしています」。 11主(しゅ)は言(い)われた、「出(で)て、山(やま)の上(うえ)で主(しゅ)の前(まえ)に、立(た)ちなさい」。その時(とき)主(しゅ)は通(とお)り過(す)ぎられ、主(しゅ)の前(まえ)に大(おお)きな強(つよ)い風(かぜ)が吹(ふ)き、山(やま)を裂(さ)き、岩(いわ)を砕(くだ)いた。しかし主(しゅ)は風(かぜ)の中(なか)におられなかった。風(かぜ)の後(のち)に地震(じしん)があったが、地震(じしん)の中(なか)にも主(しゅ)はおられなかった。 12地震(じしん)の後(のち)に火(ひ)があったが、火(ひ)の中(なか)にも主(しゅ)はおられなかった。火(ひ)の後(のち)に静(しず)かな細(ほそ)い声(こえ)が聞(きこ)えた。 13エリヤはそれを聞(き)いて顔(かお)を外套(がいとう)に包(つつ)み、出(で)てほら穴(あな)の口(くち)に立(た)つと、彼(かれ)に語(かた)る声(こえ)が聞(きこ)えた、「エリヤよ、あなたはここで何(なに)をしているのか」。 14彼(かれ)は言(い)った、「わたしは万軍(ばんぐん)の神(かみ)、主(しゅ)のために非常(ひじょう)に熱心(ねっしん)でありました。イスラエルの人々(ひとびと)はあなたの契約(けいやく)を捨(す)て、あなたの祭壇(さいだん)をこわし、刀(かたな)であなたの預言者(よげんしゃ)たちを殺(ころ)したからです。ただわたしだけ残(のこ)りましたが、彼(かれ)らはわたしの命(いのち)を取(と)ろうとしています」。 15主(しゅ)は彼(かれ)に言(い)われた、「あなたの道(みち)を帰(かえ)って行(い)って、ダマスコの荒野(あらの)におもむき、ダマスコに着(つ)いて、ハザエルに油(あぶら)を注(そそ)ぎ、スリヤの王(おう)としなさい。 16またニムシの子(こ)エヒウに油(あぶら)を注(そそ)いでイスラエルの王(おう)としなさい。またアベルメホラのシャパテの子(こ)エリシャに油(あぶら)を注(そそ)いで、あなたに代(かわ)って預言者(よげんしゃ)としなさい。 17ハザエルのつるぎをのがれる者(もの)をエヒウが殺(ころ)し、エヒウのつるぎをのがれる者(もの)をエリシャが殺(ころ)すであろう。 18また、わたしはイスラエルのうちに七千人(にん)を残(のこ)すであろう。皆(みな)バアルにひざをかがめず、それに口(くち)づけしない者(もの)である」。

19さてエリヤはそこを去(さ)って行(い)って、シャパテの子(こ)エリシャに会(あ)った。彼(かれ)は十二くびきの牛(うし)を前(まえ)に行(い)かせ、自分(じぶん)は十二番目(ばんめ)のくびきと共(とも)にいて耕(たがや)していた。エリヤは彼(かれ)のかたわらを通(とお)り過(す)ぎて外套(がいとう)を彼(かれ)の上(うえ)にかけた。 20エリシャは牛(うし)を捨(す)て、エリヤのあとに走(はし)ってきて言(い)った、「わたしの父母(ふぼ)に口(くち)づけさせてください。そして後(のち)あなたに従(したが)いましょう」。エリヤは彼(かれ)に言(い)った、「行(い)ってきなさい。わたしはあなたに何(なに)をしましたか」。 21エリシャは彼(かれ)を離(はな)れて帰(かえ)り、ひとくびきの牛(うし)を取(と)って殺(ころ)し、牛(うし)のくびきを燃(も)やしてその肉(にく)を煮(に)、それを民(たみ)に与(あた)えて食(た)べさせ、立(た)って行(い)ってエリヤに従(したが)い、彼(かれ)に仕(つか)えた。

第二〇章

1スリヤの王(おう)ベネハダデはその軍勢(ぐんぜい)をことごとく集(あつ)めた。三十二人(にん)の王(おう)が彼(かれ)と共(とも)におり、また馬(うま)と戦車(せんしゃ)もあった。彼(かれ)は上(のぼ)ってサマリヤを囲(かこ)み、これを攻(せ)めた。 2また彼(かれ)は町(まち)に使者(ししゃ)をつかわし、イスラエルの王(おう)アハブに言(い)った、「ベネハダデはこう申(もう)します、 3『あなたの金銀(きんぎん)はわたしのもの、またあなたの妻(つま)たちと子供(こども)たちの最(もっと)も美(うつく)しい者(もの)もわたしのものです』」。 4イスラエルの王(おう)は答(こた)えた、「王(おう)、わが主(しゅ)よ、仰(おお)せのとおり、わたしと、わたしの持(も)ち物(もの)は皆(みな)あなたのものです」。 5使者(ししゃ)は再(ふたた)びきて言(い)った、「ベネハダデはこう申(もう)します、『わたしはさきに人(ひと)をつかわして、あなたの金銀(きんぎん)、妻子(さいし)を引(ひ)きわたせと言(い)いました。 6しかし、あすの今(いま)ごろ、しもべたちをあなたにつかわします。彼(かれ)らはあなたの家(いえ)と、あなたの家来(けらい)の家(いえ)を探(さぐ)って、すべて彼(かれ)らの気(き)にいる物(もの)を手(て)に入(い)れて奪(うば)い去(さ)るでしょう』」。

7そこでイスラエルの王(おう)は国(くに)の長老(ちょうろう)をことごとく召(め)して言(い)った、「よく注意(ちゅうい)して、この人(ひと)が無理(むり)な事(こと)を求(もと)めているのを知(し)りなさい。彼(かれ)は人(ひと)をつかわして、わたしの妻子(さいし)と金銀(きんぎん)を求(もと)めたが、わたしはそれを拒(こば)まなかった」。 8すべての長老(ちょうろう)および民(たみ)は皆(みな)彼(かれ)に言(い)った、「聞(き)いてはなりません。承諾(しょうだく)してはなりません」。 9それで彼(かれ)はベネハダデの使者(ししゃ)に言(い)った、「王(おう)、わが主(しゅ)に告(つ)げなさい。『あなたが初(はじ)めに要求(ようきゅう)されたことは皆(みな)いたしましょう。しかし今度(こんど)の事(こと)はできません』」。使者(ししゃ)は去(さ)って復命(ふくめい)した。 10ベネハダデは彼(かれ)に人(ひと)をつかわして言(い)った、「もしサマリヤのちりが、わたしに従(したが)うすべての民(たみ)の手(て)を満(み)たすに足(た)りるならば、神々(かみがみ)がどんなにでも、わたしを罰(ばっ)してくださるように」。 11イスラエルの王(おう)は答(こた)えた、「『武具(ぶぐ)を帯(お)びる者(もの)は、それを脱(ぬ)ぐ者(もの)のように誇(ほこ)ってはならない』と告(つ)げなさい」。 12ベネハダデは仮(かり)小屋(ごや)で、王(おう)たちと酒(さけ)を飲(の)んでいたが、この事(こと)を聞(き)いて、その家来(けらい)たちに言(い)った、「戦(たたか)いの備(そな)えをせよ」。彼(かれ)らは町(まち)にむかって戦(たたか)いの備(そな)えをした。

13この時(とき)ひとりの預言者(よげんしゃ)がイスラエルの王(おう)アハブのもとにきて言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『あなたはこの大軍(たいぐん)を見(み)たか。わたしはきょう、これをあなたの手(て)にわたす。あなたは、わたしが主(しゅ)であることを、知(し)るようになるであろう』」。 14アハブは言(い)った、「だれにさせましょうか」。彼(かれ)は言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『地方(ちほう)の代官(だいかん)の家来(けらい)たちにさせよ』」。アハブは言(い)った、「だれが戦(たたか)いを始(はじ)めましょうか」。彼(かれ)は答(こた)えた、「あなたです」。 15そこでアハブは地方(ちほう)の代官(だいかん)の家来(けらい)たちを調(しら)べたところ二百三十二人(にん)あった。次(つぎ)にすべての民(たみ)、すなわちイスラエルのすべての人(ひと)を調(しら)べたところ七千人(にん)あった。

16彼(かれ)らは昼(ひる)ごろ出(で)ていったが、ベネハダデは仮(かり)小屋(ごや)で、味方(みかた)の三十二人(にん)の王(おう)たちと共(とも)に酒(さけ)を飲(の)んで酔(よ)っていた。 17地方(ちほう)の代官(だいかん)の家来(けらい)たちが先(さき)に出(で)ていった。ベネハダデは斥候(せっこう)をつかわしたが、彼(かれ)らは「サマリヤから人々(ひとびと)が出(で)てきた」と報告(ほうこく)したので、 18彼(かれ)は言(い)った、「和解(わかい)のために出(で)てきたのであっても、生(いけ)どりにせよ。また戦(たたか)いのために出(で)てきたのであっても、生(いけ)どりにせよ」。

19地方(ちほう)の代官(だいかん)の家来(けらい)たちと、それに従(したが)う軍勢(ぐんぜい)が町(まち)から出(で)ていって、 20おのおのその相手(あいて)を撃(う)ち殺(ころ)したので、スリヤびとは逃(に)げた。イスラエルはこれを追(お)ったが、スリヤの王(おう)ベネハダデは馬(うま)に乗(の)り、騎兵(きへい)を従(したが)えてのがれた。 21イスラエルの王(おう)は出(で)ていって、馬(うま)と戦車(せんしゃ)をぶんどり、また大(おお)いにスリヤびとを撃(う)ち殺(ころ)した。

22時(とき)に、かの預言者(よげんしゃ)がイスラエルの王(おう)のもとにきて言(い)った、「行(い)って、力(ちから)を養(やしな)い、なすべき事(こと)をよく考(かんが)えなさい。来年(らいねん)の春(はる)にはスリヤの王(おう)が、あなたのところに攻(せ)め上(のぼ)ってくるからです」。

23スリヤの王(おう)の家来(けらい)たちは王(おう)に言(い)った、「彼(かれ)らの神々(かみがみ)は山(やま)の神(かみ)ですから彼(かれ)らがわれわれよりも強(つよ)かったのです。もしわれわれが平地(へいち)で戦(たたか)うならば、必(かなら)ず彼(かれ)らよりも強(つよ)いでしょう。 24それでこうしなさい。王(おう)たちをおのおのその地位(ちい)から退(しりぞ)かせ、総督(そうとく)を置(お)いてそれに代(かわ)らせなさい。 25またあなたが失(うしな)った軍勢(ぐんぜい)に等(ひと)しい軍勢(ぐんぜい)を集(あつ)め、馬(うま)は馬(うま)、戦車(せんしゃ)は戦車(せんしゃ)をもって補(おぎな)いなさい。こうしてわれわれが平地(へいち)で戦(たたか)うならば必(かなら)ず彼(かれ)らよりも強(つよ)いでしょう」。彼(かれ)はその言葉(ことば)を聞(き)きいれて、そのようにした。

26春(はる)になって、ベネハダデはスリヤびとを集(あつ)めて、イスラエルと戦(たたか)うために、アペクに上(のぼ)ってきた。 27イスラエルの人々(ひとびと)は召集(しょうしゅう)され、糧食(りょうしょく)を受(う)けて彼(かれ)らを迎(むか)え撃(う)つために出(で)かけた。イスラエルの人々(ひとびと)はやぎの二つの小(ちい)さい群(む)れのように彼(かれ)らの前(まえ)に陣取(じんど)ったが、スリヤびとはその地(ち)に満(み)ちていた。 28その時(とき)神(かみ)の人(ひと)がきて、イスラエルの王(おう)に言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『スリヤびとが、主(しゅ)は山(やま)の神(かみ)であって、谷(たに)の神(かみ)ではないと言(い)っているから、わたしはこのすべての大軍(たいぐん)をあなたの手(て)にわたす。あなたは、わたしが主(しゅ)であることを知(し)るようになるであろう』」。 29彼(かれ)らは七日(なぬか)の間(あいだ)、互(たがい)にむかいあって陣取(じんど)り、七日(なぬか)目(め)になって戦(たたか)いを交(まじ)えたが、イスラエルの人々(ひとびと)は一日(にち)にスリヤびとの歩兵(ほへい)十万人(にん)を殺(ころ)した。 30そのほかの者(もの)はアペクの町(まち)に逃(に)げこんだが、城壁(じょうへき)がくずれて、その残(のこ)った二万七千人(にん)の上(うえ)に倒(たお)れた。

ベネハダデは逃(に)げて町(まち)に入(はい)り、奥(おく)の間(あいだ)にはいった。 31家来(けらい)たちは彼(かれ)に言(い)った、「イスラエルの家(いえ)の王(おう)たちはあわれみ深(ふか)い王(おう)であると聞(き)いています。それでわれわれの腰(こし)に荒布(あらぬの)をつけ、くびになわをかけて、イスラエルの王(おう)の所(ところ)へ行(い)かせてください。たぶん彼(かれ)はあなたの命(いのち)を助(たす)けるでしょう」。 32そこで彼(かれ)らは荒布(あらぬの)を腰(こし)にまき、なわをくびにかけてイスラエルの王(おう)の所(ところ)へ行(い)って言(い)った、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの命(いのち)を助(たす)けてください』と申(もう)しています」。アハブは言(い)った、「彼(かれ)はまだ生(い)きているのですか。彼(かれ)はわたしの兄弟(きょうだい)です」。 33その人々(ひとびと)はこれを吉兆(きっちょう)としてすみやかに彼(かれ)の言葉(ことば)をうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟(きょうだい)です」と言(い)ったので、彼(かれ)は言(い)った、「行(い)って彼(かれ)をつれてきなさい」。それでベネハダデは彼(かれ)の所(ところ)に出(で)てきたので、彼(かれ)はこれを自分(じぶん)の車(くるま)に乗(の)せた。 34ベネハダデは彼(かれ)に言(い)った、「わたしの父(ちち)が、あなたの父上(ちちうえ)から取(と)った町々(まちまち)は返(かえ)します。またわたしの父(ちち)がサマリヤに造(つく)ったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場(しじょう)を設(もう)けなさい」。アハブは言(い)った、「わたしはこの契約(けいやく)をもってあなたを帰(かえ)らせましょう」。こうしてアハブは彼(かれ)と契約(けいやく)を結(むす)び、彼(かれ)を帰(かえ)らせた。

35さて預言者(よげんしゃ)のともがらのひとりが主(しゅ)の言葉(ことば)に従(したが)ってその仲間(なかま)に言(い)った、「どうぞ、わたしを撃(う)ってください」。しかしその人(ひと)は撃(う)つことを拒(こば)んだので、 36彼(かれ)はその人(ひと)に言(い)った、「あなたは主(しゅ)の言葉(ことば)に聞(き)き従(したが)わないゆえ、わたしを離(はな)れて行(い)くとすぐ、ししがあなたを殺(ころ)すでしょう」。その人(ひと)が彼(かれ)のそばを離(はな)れて行(い)くとすぐ、ししが彼(かれ)に会(あ)って彼(かれ)を殺(ころ)した。 37彼(かれ)はまたほかの人(ひと)に会(あ)って言(い)った、「どうぞ、わたしを撃(う)ってください」。するとその人(ひと)は彼(かれ)を撃(う)ち、撃(う)って傷(きず)つけた。 38こうしてその預言者(よげんしゃ)は行(い)って、道(みち)のかたわらで王(おう)を待(ま)ち、目(め)にほうたいを当(あ)てて姿(すがた)を変(か)えていた。 39王(おう)が通(とお)り過(す)ぎる時(とき)、王(おう)に呼(よ)ばわって言(い)った、「しもべはいくさの中(なか)に出(で)て行(い)きましたが、ある軍人(ぐんじん)が、ひとりの人(ひと)をわたしの所(ところ)につれてきて言(い)いました、『この人(ひと)を守(まも)っていなさい。もし彼(かれ)がいなくなれば、あなたの命(いのち)を彼(かれ)の命(いのち)に代(か)えるか、または銀(ぎん)一タラントを払(はら)わなければならない』。 40ところが、しもべはあちらこちらと忙(いそが)しくしていたので、ついに彼(かれ)はいなくなりました」。イスラエルの王(おう)は彼(かれ)に言(い)った、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分(じぶん)でそれを定(さだ)めたのです」。 41そこで彼(かれ)が急(いそ)いで目(め)のほうたいを取(と)り除(のぞ)いたので、イスラエルの王(おう)はそれが預言者(よげんしゃ)のひとりであることを知(し)った。 42彼(かれ)は王(おう)に言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『わたしが滅(ほろ)ぼそうと定(さだ)めた人(ひと)を、あなたは自分(じぶん)の手(て)から放(はな)して行(い)かせたので、あなたの命(いのち)は彼(かれ)の命(いのち)に代(かわ)り、あなたの民(たみ)は彼(かれ)の民(たみ)に代(かわ)るであろう』と」。 43イスラエルの王(おう)は悲(かな)しみ、かつ怒(いか)って自分(じぶん)の家(いえ)におもむき、サマリヤに帰(かえ)った。

第二一章

1さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑(はたけ)をもっていたが、サマリヤの王(おう)アハブの宮殿(きゅうでん)のかたわらにあったので、 2アハブはナボテに言(い)った、「あなたのぶどう畑(はたけ)はわたしの家(いえ)の近(ちか)くにあるので、わたしに譲(ゆず)って青物(あおもの)畑(はたけ)にさせてください。その代(かわ)り、わたしはそれよりも良(よ)いぶどう畑(はたけ)をあなたにあげましょう。もしお望(のぞ)みならば、その価(あたい)を金(きん)でさしあげましょう」。 3ナボテはアハブに言(い)った、「わたしは先祖(せんぞ)の嗣(し)業(ぎょう)をあなたに譲(ゆず)ることを断(だん)じていたしません」。 4アハブはエズレルびとナボテが言(い)った言葉(ことば)を聞(き)いて、悲(かな)しみ、かつ怒(いか)って家(いえ)にはいった。ナボテが「わたしは先祖(せんぞ)の嗣(し)業(ぎょう)をあなたに譲(ゆず)りません」と言(い)ったからである。アハブは床(とこ)に伏(ふ)し、顔(かお)をそむけて食事(しょくじ)をしなかった。

5妻(つま)イゼベルは彼(かれ)の所(ところ)にきて、言(い)った、「あなたは何(なに)をそんなに悲(かな)しんで、食事(しょくじ)をなさらないのですか」。 6彼(かれ)は彼女(かのじょ)に言(い)った、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑(はたけ)を金(かね)で譲(ゆず)ってください。もし望(のぞ)むならば、その代(かわ)りに、ほかのぶどう畑(はたけ)をあげよう』と言(い)ったが、彼(かれ)は答(こた)えて『わたしはぶどう畑(はたけ)を譲(ゆず)りません』と言(い)ったからだ」。 7妻(つま)イゼベルは彼(かれ)に言(い)った、「あなたが今(いま)イスラエルを治(おさ)めているのですか。起(お)きて食事(しょくじ)をし、元気(げんき)を出(だ)してください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑(はたけ)をあなたにあげます」。

8彼女(かのじょ)はアハブの名(な)で手紙(てがみ)を書(か)き、彼(かれ)の印(しるし)をおして、ナボテと同(おな)じように、その町(まち)に住(す)んでいる長老(ちょうろう)たちと身分(みぶん)の尊(たっと)い人々(ひとびと)に、その手紙(てがみ)を送(おく)った。 9彼女(かのじょ)はその手紙(てがみ)に書(か)きしるした、「断食(だんじき)を布告(ふこく)して、ナボテを民(たみ)のうちの高(たか)い所(ところ)にすわらせ、 10またふたりのよこしまな者(もの)を彼(かれ)の前(まえ)にすわらせ、そして彼(かれ)を訴(うった)えて、『あなたは神(かみ)と王(おう)とをのろった』と言(い)わせなさい。こうして彼(かれ)を引(ひ)き出(だ)し、石(いし)で撃(う)ち殺(ころ)しなさい」。 11その町(まち)の人々(ひとびと)、すなわち、その町(まち)に住(す)んでいる長老(ちょうろう)たちおよび身分(みぶん)の尊(たっと)い人々(ひとびと)は、イゼベルが言(い)いつかわしたようにした。彼女(かのじょ)が彼(かれ)らに送(おく)った手紙(てがみ)に書(か)きしるされていたように、 12彼(かれ)らは断食(だんじき)を布告(ふこく)して、ナボテを民(たみ)のうちの高(たか)い所(ところ)にすわらせた。 13そしてふたりのよこしまな者(もの)がはいってきて、その前(まえ)にすわり、そのよこしまな者(もの)たちが民(たみ)の前(まえ)でナボテを訴(うった)えて、「ナボテは神(かみ)と王(おう)とをのろった」と言(い)った。そこで人々(ひとびと)は彼(かれ)を町(まち)の外(そと)に引(ひ)き出(だ)し、石(いし)で撃(う)ち殺(ころ)した。 14そして人々(ひとびと)はイゼベルに「ナボテは石(いし)で撃(う)ち殺(ころ)された」と言(い)い送(おく)った。

15イゼベルはナボテが石(いし)で撃(う)ち殺(ころ)されたのを聞(き)くとすぐ、アハブに言(い)った、「立(た)って、あのエズレルびとナボテが、あなたに金(かね)で譲(ゆず)ることを拒(こば)んだぶどう畑(はたけ)を取(と)りなさい。ナボテは生(い)きていません。死(し)んだのです」。 16アハブはナボテの死(し)んだのを聞(き)くとすぐ、立(た)って、エズレルびとナボテのぶどう畑(はたけ)を取(と)るために、そこへ下(くだ)っていった。

17そのとき、主(しゅ)の言葉(ことば)がテシベびとエリヤに臨(のぞ)んだ、 18「立(た)って、下(くだ)って行(い)き、サマリヤにいるイスラエルの王(おう)アハブに会(あ)いなさい。彼(かれ)はナボテのぶどう畑(はたけ)を取(と)ろうとしてそこへ下(くだ)っている。 19あなたは彼(かれ)に言(い)わなければならない、『主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、あなたは殺(ころ)したのか、また取(と)ったのか』と。また彼(かれ)に言(い)いなさい、『主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、犬(いぬ)がナボテの血(ち)をなめた場所(ばしょ)で、犬(いぬ)があなたの血(ち)をなめるであろう』」。

20アハブはエリヤに言(い)った、「わが敵(てき)よ、ついに、わたしを見(み)つけたのか」。彼(かれ)は言(い)った、「見(み)つけました。あなたが主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)うことに身(み)をゆだねたゆえ、 21わたしはあなたに災(わざわい)を下(くだ)し、あなたを全(まった)く滅(ほろ)ぼし、アハブに属(ぞく)する男(おとこ)は、イスラエルにいてつながれた者(もの)も、自由(じゆう)な者(もの)もことごとく断(た)ち、 22またあなたの家(いえ)をネバテの子(こ)ヤラベアムの家(いえ)のようにし、アヒヤの子(こ)バアシャの家(いえ)のようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒(いか)らせた怒(いか)りのゆえ、またイスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたゆえです。 23イゼベルについて、主(しゅ)はまた言(い)われました、『犬(いぬ)がエズレルの地域(ちいき)でイゼベルを食(く)うであろう』と。 24アハブに属(ぞく)する者(もの)は、町(まち)で死(し)ぬ者(もの)を犬(いぬ)が食(く)い、野(の)で死(し)ぬ者(もの)を空(そら)の鳥(とり)が食(く)うでしょう」。

25アハブのように主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)うことに身(み)をゆだねた者(もの)はなかった。その妻(つま)イゼベルが彼(かれ)をそそのかしたのである。 26彼(かれ)は主(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)の前(まえ)から追(お)い払(はら)われたアモリびとがしたように偶像(ぐうぞう)に従(したが)って、はなはだ憎(にく)むべき事(こと)を行(おこな)った。

27アハブはこれらの言葉(ことば)を聞(き)いた時(とき)、衣(ころも)を裂(さ)き、荒布(あらぬの)を身(み)にまとい、食(しょく)を断(た)ち、荒布(あらぬの)に伏(ふ)し、打(う)ちしおれて歩(ある)いた。 28この時(とき)、主(しゅ)の言葉(ことば)がテシベびとエリヤに臨(のぞ)んだ、 29「アハブがわたしの前(まえ)にへりくだっているのを見(み)たか。彼(かれ)がわたしの前(まえ)にへりくだっているゆえ、わたしは彼(あ)の世(よ)には災(わざわい)を下(くだ)さない。その子(こ)の世(よ)に災(わざわい)をその家(いえ)に下(くだ)すであろう」。

第二二章

1スリヤとイスラエルの間(あいだ)に戦争(せんそう)がなくて三年(ねん)を経(へ)た。 2しかし三年(ねん)目(め)にユダの王(おう)ヨシャパテがイスラエルの王(おう)の所(ところ)へ下(くだ)っていったので、 3イスラエルの王(おう)はその家来(けらい)たちに言(い)った、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有(しょゆう)であることを知(し)っていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王(おう)の手(て)からそれを取(と)らずに黙(だま)っているのです」。 4彼(かれ)はヨシャパテに言(い)った、「ラモテ・ギレアデで戦(たたか)うためにわたしと一緒(いっしょ)に行(い)かれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王(おう)に言(い)った、「わたしはあなたと一つです。わたしの民(たみ)はあなたの民(たみ)と一つです。わたしの馬(うま)はあなたの馬(うま)と一つです」。

5ヨシャパテはまたイスラエルの王(おう)に言(い)った、「まず、主(しゅ)の言葉(ことば)を伺(うかが)いなさい」。 6そこでイスラエルの王(おう)は預言者(よげんしゃ)四百人(にん)ばかりを集(あつ)めて、彼(かれ)らに言(い)った、「わたしはラモテ・ギレアデに戦(たたか)いに行(い)くべきでしょうか、あるいは控(ひか)えるべきでしょうか」。彼(かれ)らは言(い)った、「上(のぼ)っていきなさい。主(しゅ)はそれを王(おう)の手(て)にわたされるでしょう」。 7ヨシャパテは言(い)った、「ここには、われわれの問(と)うべき主(しゅ)の預言者(よげんしゃ)がほかにいませんか」。 8イスラエルの王(おう)はヨシャパテに言(い)った、「われわれが主(しゅ)に問(と)うことのできる人(ひと)が、まだひとりいます。イムラの子(こ)ミカヤです。彼(かれ)はわたしについて良(よ)い事(こと)を預言(よげん)せず、ただ悪(わる)い事(こと)だけを預言(よげん)するので、わたしは彼(かれ)を憎(にく)んでいます」。ヨシャパテは言(い)った、「王(おう)よ、そう言(い)わないでください」。 9そこでイスラエルの王(おう)は役人(やくにん)を呼(よ)んで、「急(いそ)いでイムラの子(こ)ミカヤを連(つ)れてきなさい」と言(い)った。 10さてイスラエルの王(おう)およびユダの王(おう)ヨシャパテは王(おう)の服(ふく)を着(き)て、サマリヤの門(もん)の入口(いりぐち)の広場(ひろば)に、おのおのその王座(おうざ)にすわり、預言者(よげんしゃ)たちは皆(みな)その前(まえ)で預言(よげん)していた。 11ケナアナの子(こ)ゼデキヤは鉄(てつ)の角(つの)を造(つく)って言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられます、『あなたはこれらの角(つの)をもってスリヤびとを突(つ)いて彼(かれ)らを滅(ほろ)ぼしなさい』」。 12預言者(よげんしゃ)たちは皆(みな)そのように預言(よげん)して言(い)った、「ラモテ・ギレアデに上(のぼ)っていって勝利(しょうり)を得(え)なさい。主(しゅ)はそれを王(おう)の手(て)にわたされるでしょう」。

13さてミカヤを呼(よ)びにいった使者(ししゃ)は彼(かれ)に言(い)った、「預言者(よげんしゃ)たちは一致(いっち)して王(おう)に良(よ)い事(こと)を言(い)いました。どうぞ、あなたも、彼(かれ)らのひとりの言葉(ことば)のようにして、良(よ)い事(こと)を言(い)ってください」。 14ミカヤは言(い)った、「主(しゅ)は生(い)きておられます。主(しゅ)がわたしに言(い)われる事(こと)を申(もう)しましょう」。 15彼(かれ)が王(おう)の所(ところ)へ行(い)くと、王(おう)は彼(かれ)に言(い)った、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦(たたか)いに行(い)くべきでしょうか、あるいは控(ひか)えるべきでしょうか」。彼(かれ)は王(おう)に言(い)った、「上(のぼ)っていって勝利(しょうり)を得(え)なさい。主(しゅ)はそれを王(おう)の手(て)にわたされるでしょう」。 16しかし王(おう)は彼(かれ)に言(い)った、「幾(いく)たびあなたを誓(ちか)わせたら、あなたは主(しゅ)の名(な)をもって、ただ真実(しんじつ)のみをわたしに告(つ)げるでしょうか」。 17彼(かれ)は言(い)った、「わたしはイスラエルが皆(みな)、牧者(ぼくしゃ)のない羊(ひつじ)のように、山(やま)に散(ち)っているのを見(み)ました。すると主(しゅ)は『これらの者(もの)は飼主(かいぬし)がいない。彼(かれ)らをそれぞれ安(やす)らかに、その家(いえ)に帰(かえ)らせよ』と言(い)われました」。 18イスラエルの王(おう)はヨシャパテに言(い)った、「彼(かれ)がわたしについて良(よ)い事(こと)を預言(よげん)せず、ただ悪(わる)い事(こと)だけを預言(よげん)すると、あなたに告(つ)げたではありませんか」。 19ミカヤは言(い)った、「それゆえ主(しゅ)の言葉(ことば)を聞(き)きなさい。わたしは主(しゅ)がその玉座(ぎょくざ)にすわり、天(てん)の万軍(ばんぐん)がそのかたわらに、右左(みぎひだり)に立(た)っているのを見(み)たが、 20主(しゅ)は『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上(のぼ)らせ、彼(かれ)を倒(たお)れさせるであろうか』と言(い)われました。するとひとりはこの事(こと)を言(い)い、ひとりはほかの事(こと)を言(い)いました。 21その時(とき)一つの霊(れい)が進(すす)み出(で)て、主(しゅ)の前(まえ)に立(た)ち、『わたしが彼(かれ)をいざないましょう』と言(い)いました。 22主(しゅ)は『どのような方法(ほうほう)でするのか』と言(い)われたので、彼(かれ)は『わたしが出(で)て行(い)って、偽(いつわ)りを言(い)う霊(れい)となって、すべての預言者(よげんしゃ)の口(くち)に宿(やど)りましょう』と言(い)いました。そこで主(しゅ)は『おまえは彼(かれ)をいざなって、それを成(な)し遂(と)げるであろう。出(で)て行(い)って、そうしなさい』と言(い)われました。 23それで主(しゅ)は偽(いつわ)りを言(い)う霊(れい)をあなたのすべての預言者(よげんしゃ)の口(くち)に入(い)れ、また主(しゅ)はあなたの身(み)に起(おこ)る災(わざわい)を告(つ)げられたのです」。 24するとケナアナの子(こ)ゼデキヤは近寄(ちかよ)って、ミカヤのほおを打(う)って言(い)った、「どのようにして主(しゅ)の霊(れい)がわたしを離(はな)れて、あなたに語(かた)りましたか」。 25ミカヤは言(い)った、「あなたが奥(おく)の間(あいだ)にはいって身(み)を隠(かく)すその日(ひ)に、わかるでしょう」。 26イスラエルの王(おう)は言(い)った、「ミカヤを捕(とら)え、町(まち)のつかさアモンと、王(おう)の子(こ)ヨアシの所(ところ)へ引(ひ)いて帰(かえ)って、 27言(い)いなさい、『王(おう)がこう言(い)います、この者(もの)を獄屋(ごくや)に入(い)れ、わずかのパンと水(みず)をもって彼(かれ)を養(やしな)い、わたしが勝利(しょうり)を得(え)て帰(かえ)ってくるのを待(ま)て』」。 28ミカヤは言(い)った、「もしあなたが勝利(しょうり)を得(え)て帰(かえ)ってこられるならば、主(しゅ)がわたしによって語(かた)られなかったのです」。また彼(かれ)は言(い)った、「あなたがた、すべての民(たみ)よ、聞(き)きなさい」。

29こうしてイスラエルの王(おう)とユダの王(おう)ヨシャパテはラモテ・ギレアデに上(のぼ)っていった。 30イスラエルの王(おう)はヨシャパテに言(い)った、「わたしは姿(すがた)を変(か)えて、戦(たたか)いに行(い)きます。あなたは王(おう)の服(ふく)を着(つ)けなさい」。イスラエルの王(おう)は姿(すがた)を変(か)えて戦(たたか)いに行(い)った。 31さて、スリヤの王(おう)は、その戦車(せんしゃ)長(ちょう)三十二人(にん)に命(めい)じて言(い)った、「あなたがたは、小(ちい)さい者(もの)とも大(おお)きい者(もの)とも戦(たたか)わないで、ただイスラエルの王(おう)とだけ戦(たたか)いなさい」。 32戦車(せんしゃ)長(ちょう)らはヨシャパテを見(み)たとき、これはきっとイスラエルの王(おう)だと思(おも)ったので、身(み)をめぐらして、これと戦(たたか)おうとすると、ヨシャパテは呼(よ)ばわった。 33戦車(せんしゃ)長(ちょう)らは彼(かれ)がイスラエルの王(おう)でないのを見(み)たので、彼(かれ)を追(お)うことをやめて引(ひ)き返(かえ)した。 34しかし、ひとりの人(ひと)が何(なに)心(こころ)なく弓(ゆみ)をひいて、イスラエルの王(おう)の胸当(むねあて)と草摺(くさずり)の間(あいだ)を射(い)たので、彼(かれ)はその戦車(せんしゃ)の御者(ぎょしゃ)に言(い)った、「わたしは傷(きず)を受(う)けた。戦車(せんしゃ)をめぐらして、わたしを戦場(せんじょう)から運(はこ)び出(だ)せ」。 35その日(ひ)戦(たたか)いは激(はげ)しくなった。王(おう)は戦車(せんしゃ)の中(なか)にささえられて立(た)ち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮(ゆうぐれ)になって死(し)んだ。傷(きず)の血(ち)は戦車(せんしゃ)の底(そこ)に流(なが)れた。 36日(ひ)の没(ぼっ)するころ、軍勢(ぐんぜい)の中(なか)に呼(よ)ばわる声(こえ)がした、「めいめいその町(まち)へ、めいめいその国(くに)へ帰(かえ)れ」。

37王(おう)は死(し)んで、サマリヤへ携(たずさ)え行(い)かれた。人々(ひとびと)は王(おう)をサマリヤに葬(ほうむ)った。 38またその戦車(せんしゃ)をサマリヤの池(いけ)で洗(あら)ったが、犬(いぬ)がその血(ち)をなめた。また遊女(ゆうじょ)がそこで身(み)を洗(あら)った。主(しゅ)が言(い)われた言葉(ことば)のとおりである。 39アハブのそのほかの事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)と、その建(た)てた象牙(ぞうげ)の家(いえ)と、その建(た)てたすべての町(まち)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 40こうしてアハブはその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って、その子(こ)アハジヤが代(かわ)って王(おう)となった。

41アサの子(こ)ヨシャパテはイスラエルの王(おう)アハブの第(だい)四年(ねん)にユダの王(おう)となった。 42ヨシャパテは王(おう)となった時(とき)、三十五歳(さい)であったが、エルサレムで二十五年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。その母(はは)の名(な)はアズバといい、シルヒの娘(むすめ)であった。 43ヨシャパテは父(ちち)アサのすべての道(みち)に歩(あゆ)み、それを離(はな)れることなく、主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)をした。ただし高(たか)き所(ところ)は除(のぞ)かなかったので、民(たみ)はなお高(たか)き所(ところ)で犠牲(ぎせい)をささげ、香(こう)をたいた。 44ヨシャパテはまたイスラエルの王(おう)と、よしみを結(むす)んだ。

45ヨシャパテのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)があらわした勲功(くんこう)およびその戦争(せんそう)については、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 46彼(かれ)は父(ちち)アサの世(よ)になお残(のこ)っていた神殿(しんでん)男娼(だんしょう)たちを国(くに)のうちから追(お)い払(はら)った。

47そのころエドムには王(おう)がなく、代官(だいかん)が王(おう)であった。 48ヨシャパテはタルシシの船(ふね)を造(つく)って、金(きん)を獲(え)るためにオフルに行(い)かせようとしたが、その船(ふね)はエジオン・ゲベルで難破(なんぱ)したため、ついに行(い)かなかった。 49そこでアハブの子(こ)アハジヤはヨシャパテに「わたしの家来(けらい)をあなたの家来(けらい)と一緒(いっしょ)に船(ふね)で行(い)かせなさい」と言(い)ったが、ヨシャパテは承知(しょうち)しなかった。 50ヨシャパテはその先祖(せんぞ)と共(とも)に眠(ねむ)って、父(ちち)ダビデの町(まち)に先祖(せんぞ)と共(とも)に葬(ほうむ)られ、その子(こ)ヨラムが代(かわ)って王(おう)となった。

51アハブの子(こ)アハジヤはユダの王(おう)ヨシャパテの第(だい)十七年(ねん)にサマリヤでイスラエルの王(おう)となり、二年(ねん)イスラエルを治(おさ)めた。 52彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、その父(ちち)の道(みち)と、その母(はは)の道(みち)、およびかのイスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムの道(みち)に歩(あゆ)み、 53バアルに仕(つか)えて、それを拝(おが)み、イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)を怒(いか)らせた。すべて彼(かれ)の父(ちち)がしたとおりであった。