列王紀下

第一章

1アハブが死(し)んだ後(のち)、モアブはイスラエルにそむいた。

2さてアハジヤはサマリヤにある高殿(たかどの)のらんかんから落(お)ちて病気(びょうき)になったので、使者(ししゃ)をつかわし、「行(い)ってエクロンの神(かみ)バアル・ゼブブに、この病気(びょうき)がなおるかどうかを尋(たず)ねよ」と命(めい)じた。 3時(とき)に、主(しゅ)の使(つかい)はテシベびとエリヤに言(い)った、「立(た)って、上(のぼ)って行(い)き、サマリヤの王(おう)の使者(ししゃ)に会(あ)って言(い)いなさい、『あなたがたがエクロンの神(かみ)バアル・ゼブブに尋(たず)ねようとして行(い)くのは、イスラエルに神(かみ)がないためか』。 4それゆえ主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『あなたは、登(のぼ)った寝台(しんだい)から降(お)りることなく、必(かなら)ず死(し)ぬであろう』」。そこでエリヤは上(のぼ)って行(い)った。

5使者(ししゃ)たちがアハジヤのもとに帰(かえ)ってきたので、アハジヤは彼(かれ)らに言(い)った、「なぜ帰(かえ)ってきたのか」。 6彼(かれ)らは言(い)った、「ひとりの人(ひと)が上(のぼ)ってきて、われわれに会(あ)って言(い)いました、『おまえたちをつかわした王(おう)の所(ところ)へ帰(かえ)って言(い)いなさい。主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、あなたがエクロンの神(かみ)バアル・ゼブブに尋(たず)ねようとして人(ひと)をつかわすのは、イスラエルに神(かみ)がないためなのか。それゆえあなたは、登(のぼ)った寝台(しんだい)から降(お)りることなく、必(かなら)ず死(し)ぬであろう』」。 7アハジヤは彼(かれ)らに言(い)った、「上(のぼ)ってきて、あなたがたに会(あ)って、これらの事(こと)を告(つ)げた人(ひと)はどんな人(ひと)であったか」。 8彼(かれ)らは答(こた)えた、「その人(ひと)は毛(け)ごろもを着(き)て、腰(こし)に皮(かわ)の帯(おび)を締(し)めていました」。彼(かれ)は言(い)った、「その人(ひと)はテシべびとエリヤだ」。

9そこで王(おう)は五十人(にん)の長(ちょう)を、部下(ぶか)の五十人(にん)と共(とも)にエリヤの所(ところ)へつかわした。彼(かれ)がエリヤの所(ところ)へ上(のぼ)っていくと、エリヤは山(やま)の頂(いただき)にすわっていたので、エリヤに言(い)った、「神(かみ)の人(ひと)よ、王(おう)があなたに、下(くだ)って来(く)るようにと言(い)われます」。 10しかしエリヤは五十人(にん)の長(ちょう)に答(こた)えた、「わたしがもし神(かみ)の人(ひと)であるならば、火(ひ)が天(てん)から下(くだ)って、あなたと部下(ぶか)の五十人(にん)とを焼(や)き尽(つく)すでしょう」。そのように火(ひ)が天(てん)から下(くだ)って、彼(かれ)と部下(ぶか)の五十人(にん)とを焼(や)き尽(つく)した。

11王(おう)はまた他(た)の五十人(にん)の長(ちょう)を、部下(ぶか)の五十人(にん)と共(とも)にエリヤにつかわした。彼(かれ)は上(のぼ)っていってエリヤに言(い)った、「神(かみ)の人(ひと)よ、王(おう)がこう命(めい)じられます、『すみやかに下(くだ)ってきなさい』」。 12しかしエリヤは彼(かれ)らに答(こた)えた、「わたしがもし神(かみ)の人(ひと)であるならば、火(ひ)が天(てん)から下(くだ)って、あなたと部下(ぶか)の五十人(にん)とを焼(や)き尽(つく)すでしょう」。そのように神(かみ)の火(ひ)が天(てん)から下(くだ)って、彼(かれ)と部下(ぶか)の五十人(にん)とを焼(や)き尽(つく)した。

13王(おう)はまた第(だい)三の五十人(にん)の長(ちょう)を部下(ぶか)の五十人(にん)と共(とも)につかわした。第(だい)三の五十人(にん)の長(ちょう)は上(のぼ)っていって、エリヤの前(まえ)にひざまずき、彼(かれ)に願(ねが)って言(い)った、「神(かみ)の人(ひと)よ、どうぞ、わたしの命(いのち)と、あなたのしもべであるこの五十人(にん)の命(いのち)をあなたの目(め)に尊(たっと)いものとみなしてください。 14ごらんなさい、火(ひ)が天(てん)からくだって、さきの五十人(にん)の長(ちょう)ふたりと、その部下(ぶか)の五十人(にん)ずつとを焼(や)き尽(つく)しました。しかし今(いま)わたしの命(いのち)をあなたの目(め)に尊(たっと)いものとみなしてください」。 15その時(とき)、主(しゅ)の使(つかい)はエリヤに言(い)った、「彼(かれ)と共(とも)に下(くだ)りなさい。彼(かれ)を恐(おそ)れてはならない」。そこでエリヤは立(た)って、彼(かれ)と共(とも)に下(くだ)り、王(おう)のもとへ行(い)って、 16王(おう)に言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられます、『あなたはエクロンの神(かみ)バアル・ゼブブに尋(たず)ねようと使者(ししゃ)をつかわしたが、それはイスラエルに、その言葉(ことば)を求(もと)むべき神(かみ)がないためであるか。それゆえあなたは、登(のぼ)った寝台(しんだい)から降(お)りることなく、必(かなら)ず死(し)ぬであろう』」。

17彼(かれ)はエリヤが言(い)った主(しゅ)の言葉(ことば)のとおりに死(し)んだが、彼(かれ)に子(こ)がなかったので、その兄弟(きょうだい)ヨラムが彼(かれ)に代(かわ)って王(おう)となった。これはユダの王(おう)ヨシャパテの子(こ)ヨラムの第(だい)二年(ねん)である。 18アハジヤのその他(た)の事績(じせき)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。

第二章

1主(しゅ)がつむじ風(かぜ)をもってエリヤを天(てん)に上(のぼ)らせようとされた時(とき)、エリヤはエリシャと共(とも)にギルガルを出(で)て行(い)った。 2エリヤはエリシャに言(い)った、「どうぞ、ここにとどまってください。主(しゅ)はわたしをベテルにつかわされるのですから」。しかしエリシャは言(い)った、「主(しゅ)は生(い)きておられます。またあなたも生(い)きておられます。わたしはあなたを離(はな)れません」。そして彼(かれ)らはベテルへ下(くだ)った。 3ベテルにいる預言者(よげんしゃ)のともがらが、エリシャのもとに出(で)てきて彼(かれ)に言(い)った、「主(しゅ)がきょう、あなたの師事(しじ)する主人(しゅじん)をあなたから取(と)られるのを知(し)っていますか」。彼(かれ)は言(い)った、「はい、知(し)っています。あなたがたは黙(だま)っていてください」。

4エリヤは彼(かれ)に言(い)った、「エリシャよ、どうぞ、ここにとどまってください。主(しゅ)はわたしをエリコにつかわされるのですから」。しかしエリシャは言(い)った、「主(しゅ)は生(い)きておられます。またあなたも生(い)きておられます。わたしはあなたを離(はな)れません」。そして彼(かれ)らはエリコへ行(い)った。 5エリコにいた預言者(よげんしゃ)のともがらが、エリシャのもとにきて彼(かれ)に言(い)った、「主(しゅ)がきょう、あなたの師事(しじ)する主人(しゅじん)をあなたから取(と)られるのを知(し)っていますか」。彼(かれ)は言(い)った、「はい、知(し)っています。あなたがたは黙(だま)っていてください」。

6エリヤはまた彼(かれ)に言(い)った、「どうぞ、ここにとどまってください。主(しゅ)はわたしをヨルダンにつかわされるのですから」。しかし彼(かれ)は言(い)った、「主(しゅ)は生(い)きておられます。またあなたも生(い)きておられます。わたしはあなたを離(はな)れません」。そしてふたりは進(すす)んで行(い)った。 7預言者(よげんしゃ)のともがら五十人(にん)も行(い)って、彼(かれ)らにむかって、はるかに離(はな)れて立(た)っていた。彼(かれ)らふたりは、ヨルダンのほとりに立(た)ったが、 8エリヤは外套(がいとう)を取(と)り、それを巻(ま)いて水(みず)を打(う)つと、水(みず)が左右(さゆう)に分(わか)れたので、ふたりはかわいた土(つち)の上(うえ)を渡(わた)ることができた。

9彼(かれ)らが渡(わた)ったとき、エリヤはエリシャに言(い)った、「わたしが取(と)られて、あなたを離(はな)れる前(まえ)に、あなたのしてほしい事(こと)を求(もと)めなさい」。エリシャは言(い)った、「どうぞ、あなたの霊(れい)の二つの分(ぶん)をわたしに継(つ)がせてください」。 10エリヤは言(い)った、「あなたはむずかしい事(こと)を求(もと)める。あなたがもし、わたしが取(と)られて、あなたを離(はな)れるのを見(み)るならば、そのようになるであろう。しかし見(み)ないならば、そのようにはならない」。 11彼(かれ)らが進(すす)みながら語(かた)っていた時(とき)、火(ひ)の車(くるま)と火(ひ)の馬(うま)があらわれて、ふたりを隔(へだ)てた。そしてエリヤはつむじ風(かぜ)に乗(の)って天(てん)にのぼった。 12エリシャはこれを見(み)て「わが父(ちち)よ、わが父(ちち)よ、イスラエルの戦車(せんしゃ)よ、その騎兵(きへい)よ」と叫(さけ)んだが、再(ふたた)び彼(かれ)を見(み)なかった。

そこでエリシャは自分(じぶん)の着物(きもの)をつかんで、それを二つに裂(さ)き、 13またエリヤの身(み)から落(お)ちた外套(がいとう)を取(と)り上(あ)げ、帰(かえ)ってきてヨルダンの岸(きし)に立(た)った。 14そしてエリヤの身(み)から落(お)ちたその外套(がいとう)を取(と)って水(みず)を打(う)ち、「エリヤの神(かみ)、主(しゅ)はどこにおられますか」と言(い)い、彼(かれ)が水(みず)を打(う)つと、水(みず)は左右(さゆう)に分(わか)れたので、エリシャは渡(わた)った。

15エリコにいる預言者(よげんしゃ)のともがらは彼(かれ)の近(ちか)づいて来(く)るのを見(み)て、「エリヤの霊(れい)がエリシャの上(うえ)にとどまっている」と言(い)った。そして彼(かれ)らは来(き)て彼(かれ)を迎(むか)え、その前(まえ)に地(ち)に伏(ふ)して、 16彼(かれ)に言(い)った、「しもべらの所(ところ)に力(ちから)の強(つよ)い者(もの)が五十人(にん)います。どうぞ彼(かれ)らをつかわして、あなたの主人(しゅじん)を尋(たず)ねさせてください。主(しゅ)の霊(れい)が彼(かれ)を引(ひ)きあげて、彼(かれ)を山(やま)か谷(たに)に投(な)げたのかも知(し)れません」。エリシャは「つかわしてはならない」と言(い)ったが、 17彼(かれ)の恥(は)じるまで、しいたので、彼(かれ)は「つかわしなさい」と言(い)った。それで彼(かれ)らは五十人(にん)の者(もの)をつかわし、三日(か)の間(あいだ)尋(たず)ねたが、彼(かれ)を見(み)いださなかった。 18エリシャのなおエリコにとどまっている時(とき)、彼(かれ)らが帰(かえ)ってきたので、エリシャは彼(かれ)らに言(い)った、「わたしは、あなたがたに、行(い)ってはならないと告(つ)げたではないか」。

19町(まち)の人々(ひとびと)はエリシャに言(い)った、「見(み)られるとおり、この町(まち)の場所(ばしょ)は良(よ)いが水(みず)が悪(わる)いので、この地(ち)は流産(りゅうざん)を起(おこ)すのです」。 20エリシャは言(い)った、「新(あたら)しい皿(さら)に塩(しお)を盛(も)って、わたしに持(も)ってきなさい」。彼(かれ)らは持(も)ってきた。 21エリシャは水(みず)の源(みなもと)へ出(で)て行(い)って、塩(しお)をそこに投(な)げ入(い)れて言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『わたしはこの水(みず)を良(よ)い水(みず)にした。もはやここには死(し)も流産(りゅうざん)も起(おこ)らないであろう』」。 22こうしてその水(みず)はエリシャの言(い)ったとおりに良(よ)い水(みず)になって今日(こんにち)に至(いた)っている。

23彼(かれ)はそこからベテルへ上(のぼ)ったが、上(のぼ)って行(い)く途中(とちゅう)、小(ちい)さい子供(こども)らが町(まち)から出(で)てきて彼(かれ)をあざけり、彼(かれ)にむかって「はげ頭(あたま)よ、のぼれ。はげ頭(あたま)よ、のぼれ」と言(い)ったので、 24彼(かれ)はふり返(かえ)って彼(かれ)らを見(み)、主(しゅ)の名(な)をもって彼(かれ)らをのろった。すると林(はやし)の中(なか)から二頭(とう)の雌(め)ぐまが出(で)てきて、その子(こ)供(とも)らのうち四十二人(にん)を裂(さ)いた。 25彼(かれ)はそこからカルメル山(やま)へ行(い)き、そこからサマリヤに帰(かえ)った。

第三章

1ユダの王(おう)ヨシャパテの第(だい)十八年(ねん)にアハブの子(こ)ヨラムはサマリヤでイスラエルの王(おう)となり、十二年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。 2彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)をおこなったが、その父母(ふぼ)のようではなかった。彼(かれ)がその父(ちち)の造(つく)ったバアルの石柱(せきちゅう)を除(のぞ)いたからである。 3しかし彼(かれ)はイスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムの罪(つみ)につき従(したが)って、それを離(はな)れなかった。

4モアブの王(おう)メシャは羊(ひつじ)の飼育(しいく)者(もの)で、十万の小羊(こひつじ)と、十万の雄羊(おひつじ)の毛(け)とを年々(ねんねん)イスラエルの王(おう)に納(おさ)めていたが、 5アハブが死(し)んだ後(のち)、モアブの王(おう)はイスラエルの王(おう)にそむいた。 6そこでヨラム王(おう)はその時(とき)サマリヤを出(で)て、イスラエルびとをことごとく集(あつ)め、 7また、人(ひと)をユダの王(おう)ヨシャパテにつかわし、「モアブの王(おう)はわたしにそむきました。あなたはモアブと戦(たたか)うために、わたしと一緒(いっしょ)に行(い)かれませんか」と言(い)わせた。彼(かれ)は言(い)った、「行(い)きましょう。わたしはあなたと一つです。わたしの民(たみ)はあなたの民(たみ)と一つです。わたしの馬(うま)はあなたの馬(うま)と一つです」。 8彼(かれ)はまた言(い)った、「われわれはどの道(みち)を上(のぼ)るのですか」。ヨラムは答(こた)えた、「エドムの荒野(あらの)の道(みち)を上(のぼ)りましょう」。

9こうしてイスラエルの王(おう)はユダの王(おう)およびエドムの王(おう)と共(とも)に出(で)て行(い)った。しかし彼(かれ)らは回(まわ)り道(みち)をして、七日(なぬか)の間(あいだ)進(すす)んだが、軍勢(ぐんぜい)とそれに従(したが)う家畜(かちく)の飲(の)む水(みず)がなかったので、 10イスラエルの王(おう)は言(い)った、「ああ、主(しゅ)は、この三人(にん)の王(おう)をモアブの手(て)に渡(わた)そうとして召(め)し集(あつ)められたのだ」。 11ヨシャパテは言(い)った、「われわれが主(しゅ)に問(と)うことのできる主(しゅ)の預言者(よげんしゃ)はここにいませんか」。イスラエルの王(おう)のひとりの家来(けらい)が答(こた)えた、「エリヤの手(て)に水(みず)を注(そそ)いだシャパテの子(こ)エリシャがここにいます」。 12ヨシャパテは言(い)った、「主(しゅ)の言葉(ことば)が彼(かれ)にあります」。そこでイスラエルの王(おう)とヨシャパテとエドムの王(おう)とは彼(かれ)のもとへ下(くだ)っていった。

13エリシャはイスラエルの王(おう)に言(い)った、「わたしはあなたとなんのかかわりがありますか。あなたの父上(ちちうえ)の預言者(よげんしゃ)たちと母上(ははうえ)の預言者(よげんしゃ)たちの所(ところ)へ行(い)きなさい」。イスラエルの王(おう)は彼(かれ)に言(い)った、「いいえ、主(しゅ)がこの三人(にん)の王(おう)をモアブの手(て)に渡(わた)そうとして召(め)し集(あつ)められたのです」。 14エリシャは言(い)った、「わたしの仕(つか)える万軍(ばんぐん)の主(しゅ)は生(い)きておられます。わたしはユダの王(おう)ヨシャパテのためにするのでなければ、あなたを顧(かえり)み、あなたに会(あ)うことはしないのだが、 15いま楽人(がくじん)をわたしの所(ところ)に連(つ)れてきなさい」。そこで楽人(がくじん)が楽(がく)を奏(そう)すると、主(しゅ)の手(て)が彼(かれ)に臨(のぞ)んで、 16彼(かれ)は言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『わたしはこの谷(たに)を水(みず)たまりで満(み)たそう』。 17これは主(しゅ)がこう仰(おお)せられるからである、『あなたがたは風(かぜ)も雨(あめ)も見(み)ないのに、この谷(たに)に水(みず)が満(み)ちて、あなたがたと、その家畜(かちく)および獣(けもの)が飲(の)むであろう』。 18これは主(しゅ)の目(め)には小(ちい)さい事(こと)である。主(しゅ)はモアブびとをも、あなたがたの手(て)に渡(わた)される。 19そしてあなたがたはすべての堅固(けんご)な町(まち)と、すべての良(よ)い町(まち)を撃(う)ち、すべての良(よ)い木(き)を切(き)り倒(たお)し、すべての水(みず)の井戸(いど)をふさぎ、石(いし)をもって地(ち)のすべての良(よ)い所(ところ)を荒(あら)すであろう」。 20あくる朝(あさ)になって、供(そな)え物(もの)をささげる時(とき)に、水(みず)がエドムの方(ほう)から流(なが)れてきて、水(みず)は国(くに)に満(み)ちた。

21さてモアブびとは皆(みな)、王(おう)たちが自分(じぶん)たちを攻(せ)めるために上(のぼ)ってきたのを聞(き)いたので、よろいを着(き)ることのできる者(もの)を、老(お)いも若(わか)きもことごとく召集(しょうしゅう)して、国境(こっきょう)に配置(はいち)したが、 22朝(あさ)はやく起(お)きて、太陽(たいよう)がのぼって水(みず)を照(てら)したとき、モアブびとは目(め)の前(まえ)に血(ち)のように赤(あか)い水(みず)を見(み)たので、 23彼(かれ)らは言(い)った、「これは血(ち)だ、きっと王(おう)たちが互(たがい)に戦(たたか)って殺(ころ)し合(あ)ったのだ。だから、モアブよ、ぶんどりに行(い)きなさい」。 24しかしモアブびとがイスラエルの陣営(じんえい)に行(い)くと、イスラエルびとは立(た)ちあがってモアブびとを撃(う)ったので、彼(かれ)らはイスラエルの前(まえ)から逃(に)げ去(さ)った。イスラエルびとは進(すす)んで、モアブびとを撃(う)ち、その国(くに)にはいって、 25町々(まちまち)を滅(ほろ)ぼし、おのおの石(いし)を一つずつ、地(ち)のすべての良(よ)い所(ところ)に投(な)げて、これに満(み)たし、水(みず)の井戸(いど)をことごとくふさぎ、良(よ)い木(き)をことごとく切(き)り倒(たお)して、ただキル・ハラセテはその名(な)を残(のこ)すのみとなったが、石(いし)を投(な)げる者(もの)がこれを囲(かこ)んで撃(う)ち滅(ほろ)ぼした。 26モアブの王(おう)は戦(たたか)いがあまりに激(はげ)しく、当(あた)りがたいのを見(み)て、つるぎを抜(ぬ)く者(もの)七百人(にん)を率(ひき)い、エドムの王(おう)の所(ところ)に突(つ)き入(はい)ろうとしたが、果(はた)さなかったので、 27自分(じぶん)の位(くらい)を継(つ)ぐべきその長子(ちょうし)をとって城壁(じょうへき)の上(うえ)で燔祭(はんさい)としてささげた。その時(とき)イスラエルに大(おお)いなる憤(いきどお)りが臨(のぞ)んだので、彼(かれ)らは彼(かれ)をすてて自分(じぶん)の国(くに)に帰(かえ)った。

第四章

1預言者(よげんしゃ)のともがらの、ひとりの妻(つま)がエリシャに呼(よ)ばわって言(い)った、「あなたのしもべであるわたしの夫(おっと)が死(し)にました。ごぞんじのように、あなたのしもべは主(しゅ)を恐(おそ)れる者(もの)でありましたが、今(いま)、債(さい)主(しゅ)がきて、わたしのふたりの子供(こども)を取(と)って奴隷(どれい)にしようとしているのです」。 2エリシャは彼女(かのじょ)に言(い)った、「あなたのために何(なに)をしましょうか。あなたの家(いえ)にどんな物(もの)があるか、言(い)いなさい」。彼女(かのじょ)は言(い)った、「一びんの油(あぶら)のほかは、はしための家(いえ)に何(なに)もありません」。 3彼(かれ)は言(い)った、「ほかへ行(い)って、隣(となり)の人々(ひとびと)から器(うつわ)を借(か)りなさい。あいた器(うつわ)を借(か)りなさい。少(すこ)しばかりではいけません。 4そして内(うち)にはいって、あなたの子供(こども)たちと一緒(いっしょ)に戸(と)の内(うち)に閉(と)じこもり、そのすべての器(うつわ)に油(あぶら)をついで、いっぱいになったとき、一つずつそれを取(と)りのけておきなさい」。 5彼女(かのじょ)は彼(かれ)を離(はな)れて去(さ)り、子供(こども)たちと一緒(いっしょ)に戸(と)の内(うち)に閉(と)じこもり、子供(こども)たちの持(も)って来(く)る器(うつわ)に油(あぶら)をついだ。 6油(あぶら)が満(み)ちたとき、彼女(かのじょ)は子供(こども)に「もっと器(うつわ)を持(も)ってきなさい」と言(い)ったが、子供(こども)が「器(うつわ)はもうありません」と言(い)ったので、油(あぶら)はとまった。 7そこで彼女(かのじょ)は神(かみ)の人(ひと)のところにきて告(つ)げたので、彼(かれ)は言(い)った、「行(い)って、その油(あぶら)を売(う)って負債(ふさい)を払(はら)いなさい。あなたと、あなたの子供(こども)たちはその残(のこ)りで暮(くら)すことができます」。

8ある日(ひ)エリシャはシュネムへ行(い)ったが、そこにひとりの裕福(ゆうふく)な婦人(ふじん)がいて、しきりに彼(かれ)に食事(しょくじ)をすすめたので、彼(かれ)はそこを通(とお)るごとに、そこに寄(よ)って食事(しょくじ)をした。 9その女(おんな)は夫(おっと)に言(い)った、「いつもわたしたちの所(ところ)を通(とお)るあの人(ひと)は確(たし)かに神(かみ)の聖(せい)なる人(ひと)です。 10わたしたちは屋上(おくじょう)に壁(かべ)のある一つの小(ちい)さいへやを造(つく)り、そこに寝台(しんだい)と机(つくえ)といすと燭台(しょくだい)とを彼(かれ)のために備(そな)えましょう。そうすれば彼(かれ)がわたしたちの所(ところ)に来(く)るとき、そこに、はいることができます」。

11さて、ある日(ひ)エリシャはそこにきて、そのへやにはいり、そこに休(やす)んだが、 12彼(かれ)はそのしもべゲハジに「このシュネムの女(おんな)を呼(よ)んできなさい」と言(い)った。彼(かれ)がその女(おんな)を呼(よ)ぶと、彼女(かのじょ)はきてエリシャの前(まえ)に立(た)ったので、 13エリシャはゲハジに言(い)った、「彼女(かのじょ)に言(い)いなさい、『あなたはこんなにねんごろに、わたしたちのために心(こころ)を用(もち)いられたが、あなたのためには何(なに)をしたらよいでしょうか。王(おう)または軍勢(ぐんぜい)の長(ちょう)にあなたの事(こと)をよろしく頼(たの)むことをお望(のぞ)みですか』」。彼女(かのじょ)は答(こた)えて言(い)った、「わたしは自分(じぶん)の民(たみ)のうちに住(す)んでいます」。 14エリシャは言(い)った、「それでは彼女(かのじょ)のために何(なに)をしようか」。ゲハジは言(い)った、「彼女(かのじょ)には子供(こども)がなく、その夫(おっと)は老(お)いています」。 15するとエリシャが「彼女(かのじょ)を呼(よ)びなさい」と言(い)ったので、彼女(かのじょ)を呼(よ)ぶと、来(き)て戸口(とぐち)に立(た)った。 16エリシャは言(い)った、「来年(らいねん)の今(いま)ごろ、あなたはひとりの子(こ)を抱(だ)くでしょう」。彼女(かのじょ)は言(い)った、「いいえ、わが主(しゅ)よ、神(かみ)の人(ひと)よ、はしためを欺(あざむ)かないでください」。 17しかし女(おんな)はついに身(み)ごもって、エリシャが彼女(かのじょ)に言(い)ったように、次(つぎ)の年(ねん)のそのころに子(こ)を産(う)んだ。

18その子(こ)が成長(せいちょう)して、ある日(ひ)、刈入(かりい)れびとの所(ところ)へ出(で)ていって、父(ちち)のもとへ行(い)ったが、 19父(ちち)にむかって「頭(あたま)が、頭(あたま)が」と言(い)ったので、父(ちち)はしもべに「彼(かれ)を母(はは)のもとへ背負(せお)っていきなさい」と言(い)った。 20彼(かれ)を背負(せお)って母(はは)のもとへ行(い)くと、昼(ひる)まで母(はは)のひざの上(うえ)にすわっていたが、ついに死(し)んだ。 21母(はは)は上(あ)がっていって、これを神(かみ)の人(ひと)の寝台(しんだい)の上(うえ)に置(お)き、戸(と)を閉(と)じて出(で)てきた。 22そして夫(おっと)を呼(よ)んで言(い)った、「どうぞ、しもべひとりと、ろば一頭(とう)をわたしにかしてください。急(いそ)いで神(かみ)の人(ひと)の所(ところ)へ行(い)って、また帰(かえ)ってきます」。 23夫(おっと)は言(い)った、「どうしてきょう彼(かれ)の所(ところ)へ行(い)こうとするのか。きょうは、ついたちでもなく、安息日(あんそくにち)でもない」。彼女(かのじょ)は言(い)った、「よろしいのです」。 24そして彼女(かのじょ)はろばにくらを置(お)いて、しもべに言(い)った、「速(はや)く駆(か)けさせなさい。わたしが命(めい)じる時(とき)でなければ、歩調(ほちょう)をゆるめてはなりません」。 25こうして彼女(かのじょ)は出発(しゅっぱつ)してカルメル山(やま)へ行(い)き、神(かみ)の人(ひと)の所(ところ)へ行(い)った。

神(かみ)の人(ひと)は彼女(かのじょ)の近(ちか)づいてくるのを見(み)て、しもべゲハジに言(い)った、「向(む)こうから、あのシュネムの女(おんな)が来(く)る。 26すぐ走(はし)って行(い)って、彼女(かのじょ)を迎(むか)えて言(い)いなさい、『あなたは無事(ぶじ)ですか。あなたの夫(おっと)は無事(ぶじ)ですか。あなたの子供(こども)は無事(ぶじ)ですか』」。彼女(かのじょ)は答(こた)えた、「無事(ぶじ)です」。 27ところが彼女(かのじょ)は山(やま)にきて、神(かみ)の人(ひと)の所(ところ)へくるとエリシャの足(あし)にすがりついた。ゲハジが彼女(かのじょ)を追(お)いのけようと近(ちか)よった時(とき)、神(かみ)の人(ひと)は言(い)った、「かまわずにおきなさい。彼女(かのじょ)は心(こころ)に苦(くる)しみがあるのだから。主(しゅ)はそれを隠(かく)して、まだわたしにお告(つ)げにならないのだ」。 28そこで彼女(かのじょ)は言(い)った、「わたしがあなたに子(こ)を求(もと)めましたか。わたしを欺(あざむ)かないでくださいと言(い)ったではありませんか」。 29エリシャはゲハジに言(い)った、「腰(こし)をひきからげ、わたしのつえを手(て)に持(も)って行(い)きなさい。だれに会(あ)っても、あいさつしてはならない。またあなたにあいさつする者(もの)があっても、それに答(こた)えてはならない。わたしのつえを子供(こども)の顔(かお)の上(うえ)に置(お)きなさい」。 30子供(こども)の母(はは)は言(い)った、「主(しゅ)は生(い)きておられます。あなたも生(い)きておられます。わたしはあなたを離(はな)れません」。そこでエリシャはついに立(た)ちあがって彼女(かのじょ)のあとについて行(い)った。 31ゲハジは彼(かれ)らの先(さき)に行(い)って、つえを子供(こども)の顔(かお)の上(うえ)に置(お)いたが、なんの声(こえ)もなく、生(い)きかえったしるしもなかったので、帰(かえ)ってきてエリシャに会(あ)い、彼(かれ)に告(つ)げて「子供(こども)はまだ目(め)をさましません」と言(い)った。

32エリシャが家(いえ)にはいって見(み)ると、子供(こども)は死(し)んで、寝台(しんだい)の上(うえ)に横(よこ)たわっていたので、 33彼(かれ)ははいって戸(と)を閉(と)じ、彼(かれ)らふたりだけ内(うち)にいて主(しゅ)に祈(いの)った。 34そしてエリシャが上(あ)がって子供(こども)の上(うえ)に伏(ふ)し、自分(じぶん)の口(くち)を子供(こども)の口(くち)の上(うえ)に、自分(じぶん)の目(め)を子供(こども)の目(め)の上(うえ)に、自分(じぶん)の両手(りょうて)を子供(こども)の両手(りょうて)の上(うえ)にあて、その身(み)を子供(こども)の上(うえ)に伸(の)ばしたとき、子供(こども)のからだは暖(あたた)かになった。 35こうしてエリシャは再(ふたた)び起(お)きあがって、家(いえ)の中(なか)をあちらこちらと歩(あゆ)み、また上(うえ)がって、その身(み)を子供(こども)の上(うえ)に伸(の)ばすと、子供(こども)は七たびくしゃみをして目(め)を開(ひら)いた。 36エリシャはただちにゲハジを呼(よ)んで、「あのシュネムの女(おんな)を呼(よ)べ」と言(い)ったので、彼女(かのじょ)を呼(よ)んだ。彼女(かのじょ)がはいってくるとエリシャは言(い)った、「あなたの子供(こども)をつれて行(い)きなさい」。 37彼女(かのじょ)ははいってきて、エリシャの足(あし)もとに伏(ふ)し、地(ち)に身(み)をかがめた。そしてその子(こ)供(とも)を取(と)りあげて出(で)ていった。

38エリシャはギルガルに帰(かえ)ったが、その地(ち)にききんがあった。預言者(よげんしゃ)のともがらが彼(かれ)の前(まえ)に座(ざ)していたので、エリシャはそのしもべに言(い)った、「大(おお)きなかまをすえて、預言者(よげんしゃ)のともがらのために野菜(やさい)の煮物(にもの)をつくりなさい」。 39彼(かれ)らのうちのひとりが畑(はたけ)に出(で)ていって青物(あおもの)をつんだが、つる草(くさ)のあるのを見(み)て、その野(の)うりを一包(つつみ)つんできて、煮物(にもの)のかまの中(なか)に切(き)り込(こ)んだ。彼(かれ)らはそれが何(なに)であるかを知(し)らなかったからである。 40やがてこれを盛(も)って人々(ひとびと)に食(た)べさせようとしたが、彼(かれ)らがその煮物(にもの)を食(た)べようとした時(とき)、叫(さけ)んで、「ああ神(かみ)の人(ひと)よ、かまの中(なか)に、たべると死(し)ぬものがはいっています」と言(い)って、食(た)べることができなかったので、 41エリシャは「それでは粉(こな)を持(も)って来(き)なさい」と言(い)って、それをかまに投(な)げ入(い)れ、「盛(も)って人々(ひとびと)に食(た)べさせなさい」と言(い)った。かまの中(なか)には、なんの毒物(どくぶつ)もなくなった。

42その時(とき)、バアル・シャリシャから人(ひと)がきて、初穂(はつほ)のパンと、大麦(おおむぎ)のパン二十個(こ)と、新穀(しんこく)一袋(ふくろ)とを神(かみ)の人(ひと)のもとに持(も)ってきたので、エリシャは「人々(ひとびと)に与(あた)えて食(た)べさせなさい」と言(い)ったが、 43その召使(めしつかい)は言(い)った、「どうしてこれを百人(にん)の前(まえ)に供(そな)えるのですか」。しかし彼(かれ)は言(い)った、「人々(ひとびと)に与(あた)えて食(た)べさせなさい。主(しゅ)はこう言(い)われる、『彼(かれ)らは食(た)べてなお余(あま)すであろう』」。 44そこで彼(かれ)はそれを彼(かれ)らの前(まえ)に供(そな)えたので、彼(かれ)らは食(た)べてなお余(あま)した。主(しゅ)の言葉(ことば)のとおりであった。

第五章

1スリヤ王(おう)の軍勢(ぐんぜい)の長(ちょう)ナアマンはその主君(しゅくん)に重(おも)んじられた有力(ゆうりょく)な人(ひと)であった。主(しゅ)がかつて彼(かれ)を用(もち)いてスリヤに勝利(しょうり)を得(え)させられたからである。彼(かれ)は大(だい)勇士(ゆうし)であったが、らい病(びょう)をわずらっていた。 2さきにスリヤびとが略奪(りゃくだつ)隊(たい)を組(く)んで出(で)てきたとき、イスラエルの地(ち)からひとりの少女(しょうじょ)を捕(とら)えて行(い)った。彼女(かのじょ)はナアマンの妻(つま)に仕(つか)えたが、 3その女(おんな)主人(しゅじん)にむかって、「ああ、御(ご)主人(しゅじん)がサマリヤにいる預言者(よげんしゃ)と共(とも)におられたらよかったでしょうに。彼(かれ)はそのらい病(びょう)をいやしたことでしょう」と言(い)ったので、 4ナアマンは行(い)って、その主君(しゅくん)に、「イスラエルの地(ち)からきた娘(むすめ)がこういう事(こと)を言(い)いました」と告(つ)げると、 5スリヤ王(おう)は言(い)った、「それでは行(い)きなさい。わたしはイスラエルの王(おう)に手紙(てがみ)を書(か)きましょう」。

そこで彼(かれ)は銀(ぎん)十タラントと、金(きん)六千シケルと、晴(は)れ着(ぎ)十着(ちゃく)を携(たずさ)えて行(い)った。 6彼(かれ)がイスラエルの王(おう)に持(も)って行(い)った手紙(てがみ)には、「この手紙(てがみ)があなたにとどいたならば、わたしの家来(けらい)ナアマンを、あなたにつかわしたことと御(ご)承知(しょうち)ください。あなたに彼(かれ)のらい病(びょう)をいやしていただくためです」とあった。 7イスラエルの王(おう)はその手紙(てがみ)を読(よ)んだ時(とき)、衣(ころも)を裂(さ)いて言(い)った、「わたしは殺(ころ)したり、生(い)かしたりすることのできる神(かみ)であろうか。どうしてこの人(ひと)は、らい病人(びょうにん)をわたしにつかわして、それをいやせと言(い)うのか。あなたがたは、彼(かれ)がわたしに争(あらそ)いをしかけているのを知(し)って警戒(けいかい)するがよい」。

8神(かみ)の人(ひと)エリシャは、イスラエルの王(おう)がその衣(ころも)を裂(さ)いたことを聞(き)き、王(おう)に人(ひと)をつかわして言(い)った、「どうしてあなたは衣(ころも)を裂(さ)いたのですか。彼(かれ)をわたしのもとにこさせなさい。そうすれば彼(かれ)はイスラエルに預言者(よげんしゃ)のあることを知(し)るようになるでしょう」。 9そこでナアマンは馬(うま)と車(くるま)とを従(したが)えてきて、エリシャの家(いえ)の入口(いりぐち)に立(た)った。 10するとエリシャは彼(かれ)に使者(ししゃ)をつかわして言(い)った、「あなたはヨルダンへ行(い)って七たび身(み)を洗(あら)いなさい。そうすれば、あなたの肉(にく)はもとにかえって清(きよ)くなるでしょう」。 11しかしナアマンは怒(いか)って去(さ)り、そして言(い)った、「わたしは、彼(かれ)がきっとわたしのもとに出(で)てきて立(た)ち、その神(かみ)、主(しゅ)の名(な)を呼(よ)んで、その箇所(かしょ)の上(うえ)に手(て)を動(うご)かして、らい病(びょう)をいやすのだろうと思(おも)った。 12ダマスコの川(かわ)アバナとパルパルはイスラエルのすべての川(かわ)水(みず)にまさるではないか。わたしはこれらの川(かわ)に身(み)を洗(あら)って清(きよ)まることができないのであろうか」。こうして彼(かれ)は身(み)をめぐらし、怒(いか)って去(さ)った。 13その時(とき)、しもべたちは彼(かれ)に近(ちか)よって言(い)った、「わが父(ちち)よ、預言者(よげんしゃ)があなたに、何(なに)か大(おお)きな事(こと)をせよと命(めい)じても、あなたはそれをなさらなかったでしょうか。まして彼(かれ)はあなたに『身(み)を洗(あら)って清(きよ)くなれ』と言(い)うだけではありませんか」。 14そこでナアマンは下(くだ)って行(い)って、神(かみ)の人(ひと)の言葉(ことば)のように七たびヨルダンに身(み)を浸(ひた)すと、その肉(にく)がもとにかえって幼(おさ)な子(ご)の肉(にく)のようになり、清(きよ)くなった。

15彼(かれ)はすべての従者(じゅうしゃ)を連(つ)れて神(かみ)の人(ひと)のもとに帰(かえ)ってきて、その前(まえ)に立(た)って言(い)った、「わたしは今(いま)、イスラエルのほか、全(ぜん)地(ち)のどこにも神(かみ)のおられないことを知(し)りました。それゆえ、どうぞ、しもべの贈(おく)り物(もの)を受(う)けてください」。 16エリシャは言(い)った、「わたしの仕(つか)える主(しゅ)は生(い)きておられる。わたしは何(なに)も受(う)けません」。彼(かれ)はしいて受(う)けさせようとしたが、それを拒(こば)んだ。 17そこでナアマンは言(い)った、「もしお受(う)けにならないのであれば、どうぞ騾馬(らば)に二駄(だ)の土(つち)をしもべにください。これから後(のち)しもべは、他(た)の神(かみ)には燔祭(はんさい)も犠牲(ぎせい)もささげず、ただ主(しゅ)にのみささげます。 18どうぞ主(しゅ)がこの事(こと)を、しもべにおゆるしくださるように。すなわち、わたしの主君(しゅくん)がリンモンの宮(みや)にはいって、そこで礼(れい)拝(はい)するとき、わたしの手(て)によりかかることがあり、またわたしもリンモンの宮(みや)で身(み)をかがめることがありましょう。わたしがリンモンの宮(みや)で身(み)をかがめる時(とき)、どうぞ主(しゅ)がその事(こと)を、しもべにおゆるしくださるように」。 19エリシャは彼(かれ)に言(い)った、「安(やす)んじて行(い)きなさい」。

ナアマンがエリシャを離(はな)れて少(すこ)し行(い)ったとき、 20神(かみ)の人(ひと)エリシャのしもべゲハジは言(い)った、「主人(しゅじん)はこのスリヤびとナアマンをいたわって、彼(かれ)が携(たずさ)えてきた物(もの)を受(う)けなかった。主(しゅ)は生(い)きておられる。わたしは彼(かれ)のあとを追(お)いかけて、彼(かれ)から少(すこ)し、物(もの)を受(う)けよう」。 21そしてゲハジはナアマンのあとを追(お)ったが、ナアマンは自分(じぶん)のあとから彼(かれ)が走(はし)ってくるのを見(み)て、車(くるま)から降(ふ)り、彼(かれ)を迎(むか)えて、「変(かわ)った事(こと)があるのですか」と言(い)うと、 22彼(かれ)は言(い)った、「無事(ぶじ)です。主人(しゅじん)がわたしをつかわして言(い)わせます、『ただいまエフライムの山地(さんち)から、預言者(よげんしゃ)のともがらのふたりの若者(わかもの)が、わたしのもとに来(き)ましたので、どうぞ彼(かれ)らに銀(ぎん)一タラントと晴(は)れ着(ぎ)二着(ちゃく)を与(あた)えてください』」。 23ナアマンは、「どうぞ二タラントを受(う)けてください」と言(い)って彼(かれ)にしい、銀(ぎん)二タラントを二つの袋(ふくろ)に入(い)れ、晴(は)れ着(ぎ)二着(ちゃく)を添(そ)えて、自分(じぶん)のふたりのしもべに渡(わた)したので、彼(かれ)らはそれを負(お)ってゲハジの先(さき)に立(た)って進(すす)んだが、 24彼(かれ)は丘(おか)にきたとき、それを彼(かれ)らの手(て)から受(う)け取(と)って家(いえ)のうちにおさめ、人々(ひとびと)を送(おく)りかえしたので、彼(かれ)らは去(さ)った。 25彼(かれ)がはいって主人(しゅじん)の前(まえ)に立(た)つと、エリシャは彼(かれ)に言(い)った、「ゲハジよ、どこへ行(い)ってきたのか」。彼(かれ)は言(い)った、「しもべはどこへも行(い)きません」。 26エリシャは言(い)った、「あの人(ひと)が車(くるま)をはなれて、あなたを迎(むか)えたとき、わたしの心(こころ)はあなたと一緒(いっしょ)にそこにいたではないか。今(いま)は金(きん)を受(う)け、着物(きもの)を受(う)け、オリブ畑(はたけ)、ぶどう畑(はたけ)、羊(ひつじ)、牛(うし)、しもべ、はしためを受(う)ける時(とき)であろうか。 27それゆえ、ナアマンのらい病(びょう)はあなたに着(つ)き、ながくあなたの子孫(しそん)に及(およ)ぶであろう」。彼(かれ)がエリシャの前(まえ)を出(で)ていくとき、らい病(びょう)が発(はっ)して雪(ゆき)のように白(しろ)くなっていた。

第六章

1さて預言者(よげんしゃ)のともがらはエリシャに言(い)った、「わたしたちがあなたと共(とも)に住(す)んでいる所(ところ)は狭(せま)くなりましたので、 2わたしたちをヨルダンに行(い)かせ、そこからめいめい一本(ぽん)ずつ材木(ざいもく)を取(と)ってきて、わたしたちの住(す)む場所(ばしょ)を造(つく)らせてください」。エリシャは言(い)った、「行(い)きなさい」。 3時(とき)にそのひとりが、「どうぞあなたも、しもべらと一緒(いっしょ)に行(い)ってください」と言(い)ったので、エリシャは「行(い)きましょう」と答(こた)えた。 4そしてエリシャは彼(かれ)らと一緒(いっしょ)に行(い)った。彼(かれ)らはヨルダンへ行(い)って木(き)を切(き)り倒(たお)したが、 5ひとりが材木(ざいもく)を切(き)り倒(たお)しているとき、おのの頭(あたま)が水(みず)の中(なか)に落(お)ちたので、彼(かれ)は叫(さけ)んで言(い)った。「ああ、わが主(しゅ)よ。これは借(か)りたものです」。 6神(かみ)の人(ひと)は言(い)った、「それはどこに落(お)ちたのか」。彼(かれ)がその場所(ばしょ)を知(し)らせると、エリシャは一本(ぽん)の枝(えだ)を切(き)り落(おと)し、そこに投(な)げ入(い)れて、そのおのの頭(あたま)を浮(うか)ばせ、 7「それを取(と)りあげよ」と言(い)ったので、その人(ひと)は手(て)を伸(の)べてそれを取(と)った。

8かつてスリヤの王(おう)がイスラエルと戦(たたか)っていたとき、家来(けらい)たちと評議(ひょうぎ)して「しかじかの所(ところ)にわたしの陣(じん)を張(は)ろう」と言(い)うと、 9神(かみ)の人(ひと)はイスラエルの王(おう)に「あなたは用心(ようじん)して、この所(ところ)をとおってはなりません。スリヤびとがそこに下(くだ)ってきますから」と言(い)い送(おく)った。 10それでイスラエルの王(おう)は神(かみ)の人(ひと)が自分(じぶん)に告(つ)げてくれた所(ところ)に人(ひと)をつかわし、警戒(けいかい)したので、その所(ところ)でみずからを防(ふせ)ぎえたことは一、二回(かい)にとどまらなかった。

11スリヤの王(おう)はこの事(こと)のために心(こころ)を悩(なや)まし、家来(けらい)たちを召(め)して言(い)った、「われわれのうち、だれがイスラエルの王(おう)と通(つう)じているのか、わたしに告(つ)げる者(もの)はないか」。 12ひとりの家来(けらい)が言(い)った、「王(おう)、わが主(しゅ)よ、だれも通(つう)じている者(もの)はいません。ただイスラエルの預言者(よげんしゃ)エリシャが、あなたが寝室(しんしつ)で語(かた)られる言葉(ことば)でもイスラエルの王(おう)に告(つ)げるのです」。 13王(おう)は言(い)った、「彼(かれ)がどこにいるか行(い)って捜(さが)しなさい。わたしは人(ひと)をやって彼(かれ)を捕(とら)えよう」。時(とき)に「彼(かれ)はドタンにいる」と王(おう)に告(つ)げる者(もの)があったので、 14王(おう)はそこに馬(うま)と戦車(せんしゃ)および大軍(たいぐん)をつかわした。彼(かれ)らは夜(よる)のうちに来(き)て、その町(まち)を囲(かこ)んだ。

15神(かみ)の人(ひと)の召使(めしつかい)が朝(あさ)早(はや)く起(お)きて出(で)て見(み)ると、軍勢(ぐんぜい)が馬(うま)と戦車(せんしゃ)をもって町(まち)を囲(かこ)んでいたので、その若者(わかもの)はエリシャに言(い)った、「ああ、わが主(しゅ)よ、わたしたちはどうしましょうか」。 16エリシャは言(い)った、「恐(おそ)れることはない。われわれと共(とも)にいる者(もの)は彼(かれ)らと共(とも)にいる者(もの)よりも多(おお)いのだから」。 17そしてエリシャが祈(いの)って「主(しゅ)よ、どうぞ、彼(かれ)の目(め)を開(ひら)いて見(み)させてください」と言(い)うと、主(しゅ)はその若者(わかもの)の目(め)を開(ひら)かれたので、彼(かれ)が見(み)ると、火(ひ)の馬(うま)と火(ひ)の戦車(せんしゃ)が山(やま)に満(み)ちてエリシャのまわりにあった。 18スリヤびとがエリシャの所(ところ)に下(くだ)ってきた時(とき)、エリシャは主(しゅ)に祈(いの)って言(い)った、「どうぞ、この人々(ひとびと)の目(め)をくらましてください」。するとエリシャの言葉(ことば)のとおりに彼(かれ)らの目(め)をくらまされた。 19そこでエリシャは彼(かれ)らに「これはその道(みち)ではない。これはその町(まち)でもない。わたしについてきなさい。わたしはあなたがたを、あなたがたの尋(たず)ねる人(ひと)の所(ところ)へ連(つ)れて行(い)きましょう」と言(い)って、彼(かれ)らをサマリヤへ連(つ)れて行(い)った。

20彼(かれ)らがサマリヤにはいったとき、エリシャは言(い)った、「主(しゅ)よ、この人々(ひとびと)の目(め)を開(ひら)いて見(み)させてください」。主(しゅ)は彼(かれ)らの目(め)を開(ひら)かれたので、彼(かれ)らが見(み)ると、見(み)よ、彼(かれ)らはサマリヤのうちに来(き)ていた。 21イスラエルの王(おう)は彼(かれ)らを見(み)て、エリシャに言(い)った、「わが父(ちち)よ、彼(かれ)らを撃(う)ち殺(ころ)しましょうか。彼(かれ)らを撃(う)ち殺(ころ)しましょうか」。 22エリシャは答(こた)えた、「撃(う)ち殺(ころ)してはならない。あなたはつるぎと弓(ゆみ)をもって、捕虜(ほりょ)にした者(もの)どもを撃(う)ち殺(ころ)すでしょうか。パンと水(みず)を彼(かれ)らの前(まえ)に供(そな)えて食(く)い飲(の)みさせ、その主君(しゅくん)のもとへ行(い)かせなさい」。 23そこで王(おう)は彼(かれ)らのために盛(さか)んなふるまいを設(もう)けた。彼(かれ)らが食(く)い飲(の)みを終(おわ)ると彼(かれ)らを去(さ)らせたので、その主君(しゅくん)の所(ところ)へ帰(かえ)った。スリヤの略奪(りゃくだつ)隊(たい)は再(ふたた)びイスラエルの地(ち)にこなかった。

24この後(のち)スリヤの王(おう)ベネハダデはその全(ぜん)軍(ぐん)を集(あつ)め、上(のぼ)ってきてサマリヤを攻(せ)め囲(かこ)んだので、 25サマリヤに激(はげ)しいききんが起(た)った。すなわち彼(かれ)らがこれを攻(せ)め囲(かこ)んだので、ついに、ろばの頭(あたま)一つが銀(ぎん)八十シケルで売(う)られ、はとのふん一カブの四分(ぶん)の一が銀(ぎん)五シケルで売(う)られるようになった。 26イスラエルの王(おう)が城壁(じょうへき)の上(うえ)をとおっていた時(とき)、ひとりの女(おんな)が彼(かれ)に呼(よ)ばわって、「わが主(しゅ)、王(おう)よ、助(たす)けてください」と言(い)ったので、 27彼(かれ)は言(い)った、「もし主(しゅ)があなたを助(たす)けられないならば、何(なに)をもってわたしがあなたを助(たす)けることができよう。打(う)ち場(ば)の物(もの)をもってか、酒(さか)ぶねの物(もの)をもってか」。 28そして王(おう)は女(おんな)に尋(たず)ねた、「何事(なにごと)なのですか」。彼女(かのじょ)は答(こた)えた、「この女(おんな)はわたしにむかって『あなたの子(こ)をください。わたしたちは、きょうそれを食(た)べ、あす、わたしの子(こ)を食(た)べましょう』と言(い)いました。 29それでわたしたちは、まずわたしの子(こ)を煮(に)て食(た)べましたが、次(つぎ)の日(ひ)わたしが彼女(かのじょ)にむかって『あなたの子(こ)をください。わたしたちはそれを食(た)べましょう』と言(い)いますと、彼女(かのじょ)はその子(こ)を隠(かく)しました」。 30王(おう)はその女(おんな)の言葉(ことば)を聞(き)いて、衣(ころも)を裂(さ)き、――王(おう)は城壁(じょうへき)の上(うえ)をとおっていたが、民(たみ)が見(み)ると、その身(み)に荒布(あらぬの)を着(つ)けていた―― 31そして王(おう)は言(い)った「きょう、シャパテの子(こ)エリシャの首(くび)がその肩(かた)の上(うえ)にすわっているならば、神(かみ)がどんなにでもわたしを罰(ばっ)してくださるように」。

32さてエリシャはその家(いえ)に座(ざ)していたが、長老(ちょうろう)たちもきて彼(かれ)と共(とも)に座(ざ)した。王(おう)は自分(じぶん)の所(ところ)から人(ひと)をつかわしたが、エリシャはその使者(ししゃ)がまだ着(つ)かないうちに長老(ちょうろう)たちに言(い)った、「あなたがたは、この人(ひと)を殺(ころ)す者(もの)がわたしの首(くび)を取(と)るために、人(ひと)をつかわすのを見(み)ますか。その使者(ししゃ)がきたならば、戸(と)を閉(と)じて、内(うち)に入(い)れてはなりません。彼(かれ)のうしろに、その主君(しゅくん)の足音(あしおと)がするではありませんか」。 33彼(かれ)がなお彼(かれ)らと語(かた)っているうちに、王(おう)は彼(かれ)のもとに下(くだ)ってきて言(い)った、「この災(わざわい)は主(しゅ)から出(で)たのです。わたしはどうしてこの上(うえ)、主(しゅ)を待(ま)たなければならないでしょうか」。

第七章

1エリシャは言(い)った、「主(しゅ)の言葉(ことば)を聞(き)きなさい。主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『あすの今(いま)ごろサマリヤの門(もん)で、麦粉(むぎこ)一セアを一シケルで売(う)り、大麦(おおむぎ)二セアを一シケルで売(う)るようになるであろう』」。 2時(とき)にひとりの副官(ふくかん)すなわち王(おう)がその人(ひと)の手(て)によりかかっていた者(もの)が神(かみ)の人(ひと)に答(こた)えて言(い)った、「たとい主(しゅ)が天(てん)に窓(まど)を開(ひら)かれても、そんな事(こと)がありえましょうか」。エリシャは言(い)った、「あなたは自分(じぶん)の目(め)をもってそれを見(み)るであろう。しかしそれを食(た)べることはなかろう」。

3さて町(まち)の門(もん)の入口(いりぐち)に四人(にん)のらい病人(びょうにん)がいたが、彼(かれ)らは互(たがい)に言(い)った、「われわれはどうしてここに座(ざ)して死(し)を待(ま)たねばならないのか。 4われわれがもし町(まち)にはいろうといえば、町(まち)には食物(しょくもつ)が尽(つ)きているから、われわれはそこで死(し)ぬであろう。しかしここに座(ざ)していても死(し)ぬのだ。いっその事(こと)、われわれはスリヤびとの陣営(じんえい)へ逃(に)げて行(い)こう。もし彼(かれ)らがわれわれを生(い)かしておいてくれるならば、助(たす)かるが、たといわれわれを殺(ころ)しても死(し)ぬばかりだ」。 5そこで彼(かれ)らはスリヤびとの陣営(じんえい)へ行(い)こうと、たそがれに立(た)ちあがったが、スリヤびとの陣営(じんえい)のほとりに行(い)って見(み)ると、そこにはだれもいなかった。 6これは主(しゅ)がスリヤびとの軍勢(ぐんぜい)に戦車(せんしゃ)の音(おと)、馬(うま)の音(おと)、大軍(たいぐん)の音(おと)を聞(き)かせられたので、彼(かれ)らは互(たがい)に「見(み)よ、イスラエルの王(おう)がわれわれを攻(せ)めるために、ヘテびとの王(おう)たちおよびエジプトの王(おう)たちを雇(やと)ってきて、われわれを襲(おそ)うのだ」と言(い)って、 7たそがれに立(た)って逃(に)げ、その天幕(てんまく)と、馬(うま)と、ろばを捨(す)て、陣営(じんえい)をそのままにしておいて、命(いのち)を全(まっと)うしようと逃(に)げたからである。 8そこでらい病人(びょうにん)たちは陣営(じんえい)のほとりに行(い)き、一つの天幕(てんまく)にはいって食(く)い飲(の)みし、そこから金銀(きんぎん)、衣服(いふく)を持(も)ち出(だ)してそれを隠(かく)し、また来(き)て、他(た)の天幕(てんまく)に入(はい)り、そこからも持(も)ち出(だ)してそれを隠(かく)した。

9そして彼(かれ)らは互(たがい)に言(い)った、「われわれのしている事(こと)はよくない。きょうは良(よ)いおとずれのある日(ひ)であるのに、黙(だま)っていて、夜明(よあ)けまで待(ま)つならば、われわれは罰(ばつ)をこうむるであろう。さあ、われわれは行(い)って王(おう)の家族(かぞく)に告(つ)げよう」。 10そこで彼(かれ)らは来(き)て、町(まち)の門(もん)を守(まも)る者(もの)を呼(よ)んで言(い)った、「わたしたちがスリヤびとの陣営(じんえい)に行(い)って見(み)ると、そこにはだれの姿(すがた)も見(み)えず、また人声(ひとごえ)もなく、ただ、馬(うま)とろばがつないであり、天幕(てんまく)はそのままでした」。 11そこで門(もん)を守(まも)る者(もの)は呼(よ)ばわって、それを王(おう)の家族(かぞく)のうちに知(し)らせた。 12王(おう)は夜(よる)のうちに起(お)きて、家来(けらい)たちに言(い)った、「スリヤびとがわれわれに対(たい)して図(はか)っている事(こと)をあなたがたに告(つ)げよう。彼(かれ)らは、われわれの飢(う)えているのを知(し)って、陣営(じんえい)を出(で)て野(の)に隠(かく)れ、『イスラエルびとが町(まち)を出(で)たら、いけどりにして、町(まち)に押(お)し入(い)ろう』と考(かんが)えているのだ」。 13家来(けらい)のひとりが答(こた)えて言(い)った、「人々(ひとびと)に、ここに残(のこ)っている馬(うま)のうち五頭(とう)を連(つ)れてこさせてください。ここに残(のこ)っているこれらの人々(ひとびと)は、すでに滅(ほろ)びうせたイスラエルの全(ぜん)群衆(ぐんしゅう)と同(おな)じ運命(うんめい)にあうのですから。わたしたちは人(ひと)をやってうかがわせましょう」。 14そこで彼(かれ)らはふたりの騎兵(きへい)を選(えら)んだ。王(おう)はそれをつかわし、「行(い)って見(み)よ」と言(い)って、スリヤびとの軍勢(ぐんぜい)のあとをつけさせたので、 15彼(かれ)らはそのあとを追(お)ってヨルダンまで行(い)ったが、道(みち)にはすべて、スリヤびとがあわてて逃(に)げる時(とき)に捨(す)てていった衣服(いふく)と武器(ぶき)が散(ち)らばっていた。その使者(ししゃ)は帰(かえ)ってきて、これを王(おう)に告(つ)げた。

16そこで民(たみ)が出(で)ていって、スリヤびとの陣営(じんえい)をかすめたので、麦粉(むぎこ)一セアは一シケルで売(う)られ、大麦(おおむぎ)二セアは一シケルで売(う)られ、主(しゅ)の言葉(ことば)のとおりになった。 17王(おう)は自分(じぶん)がその人(ひと)の手(て)によりかかっていた、あの副官(ふくかん)を立(た)てて門(もん)を管理(かんり)させたが、民(たみ)は門(もん)で彼(かれ)を踏(ふ)みつけたので、彼(かれ)は死(し)んだ。すなわち、王(おう)が神(かみ)の人(ひと)のところに下(くだ)ってきた時(とき)、神(かみ)の人(ひと)が言(い)ったとおりであった。 18これは神(かみ)の人(ひと)が王(おう)にむかって、「あすの今(いま)ごろ、サマリヤの門(もん)で大麦(おおむぎ)二セアを一シケルで売(う)り、麦粉(むぎこ)一セアを一シケルで売(う)るようになるであろう」と言(い)ったときに、 19その副官(ふくかん)が神(かみ)の人(ひと)に答(こた)えて、「たとい主(しゅ)が天(てん)に窓(まど)を開(ひら)かれても、そんな事(こと)がありえようか」と言(い)ったからである。そのとき神(かみ)の人(ひと)は「あなたは自分(じぶん)の目(め)をもってそれを見(み)るであろう。しかしそれを食(た)べることはなかろう」と言(い)ったが、 20これはそのとおり彼(かれ)に臨(のぞ)んだ。すなわち民(たみ)が門(もん)で彼(かれ)を踏(ふ)みつけたので彼(かれ)は死(し)んだ。

第八章

1エリシャはかつて、その子(こ)を生(い)きかえらせてやった女(おんな)に言(い)ったことがある。「あなたは、ここを立(た)って、あなたの家族(かぞく)と共(とも)に行(い)き、寄留(きりゅう)しようと思(おも)う所(ところ)に寄留(きりゅう)しなさい。主(しゅ)がききんを呼(よ)び下(くだ)されたので、七年(ねん)の間(あいだ)それがこの地(ち)に臨(のぞ)むから」。 2そこで女(おんな)は立(た)って神(かみ)の人(ひと)の言葉(ことば)のようにし、その家族(かぞく)と共(とも)に行(い)ってペリシテびとの地(ち)に七年(ねん)寄留(きりゅう)した。 3七年(ねん)たって後(のち)、女(おんな)はペリシテびとの地(ち)から帰(かえ)ってきて、自分(じぶん)の家(いえ)と畑(はたけ)のために王(おう)に訴(うった)えようと出(で)ていった。 4時(とき)に王(おう)は神(かみ)の人(ひと)のしもべゲハジにむかって「エリシャがしたもろもろの大(おお)きな事(こと)をわたしに話(はな)してください」と言(い)って、彼(かれ)と物語(ものがた)っていた。 5すなわちエリシャが死人(しにん)を生(い)きかえらせた事(こと)を、ゲハジが王(おう)と物語(ものがた)っていたとき、その子(こ)を生(い)きかえらせてもらった女(おんな)が、自分(じぶん)の家(いえ)と畑(はたけ)のために王(おう)に訴(うった)えてきたので、ゲハジは言(い)った、「わが主(しゅ)、王(おう)よ、これがその女(おんな)です。またこれがその子(こ)で、エリシャが生(い)きかえらせたのです」。 6王(おう)がその女(おんな)に尋(たず)ねると、彼女(かのじょ)は王(おう)に話(はな)したので、王(おう)は彼女(かのじょ)のためにひとりの役人(やくにん)に命(めい)じて言(い)った、「すべて彼女(かのじょ)に属(ぞく)する物(もの)、ならびに彼女(かのじょ)がこの地(ち)を去(さ)った日(ひ)から今(いま)までのその畑(はたけ)の産物(さんぶつ)をことごとく彼女(かのじょ)に返(かえ)しなさい」。

7さてエリシャはダマスコに来(き)た。時(とき)にスリヤの王(おう)ベネハダデは病気(びょうき)であったが、「神(かみ)の人(ひと)がここに来(き)た」と告(つ)げる者(もの)があったので、 8王(おう)はハザエルに言(い)った、「贈(おく)り物(もの)を携(たずさ)えて行(い)って神(かみ)の人(ひと)を迎(むか)え、彼(かれ)によって主(しゅ)に『わたしのこの病気(びょうき)はなおりましょうか』と言(い)って尋(たず)ねなさい」。 9そこでハザエルは彼(かれ)を迎(むか)えようと、ダマスコのもろもろの良(よ)い物(もの)をらくだ四十頭(とう)に載(の)せ、贈(おく)り物(もの)として携(たずさ)え行(い)き、エリシャの前(まえ)に立(た)って言(い)った、「あなたの子(こ)、スリヤの王(おう)ベネハダデがわたしをあなたにつかわして、『わたしのこの病気(びょうき)はなおりましょうか』と言(い)わせています」。 10エリシャは彼(かれ)に言(い)った、「行(い)って彼(かれ)に『あなたは必(かなら)ずなおります』と告(つ)げなさい。ただし主(しゅ)はわたしに、彼(かれ)が必(かなら)ず死(し)ぬことを示(しめ)されました」。 11そして神(かみ)の人(ひと)がひとみを定(さだ)めて彼(かれ)の恥(は)じるまでに見(み)つめ、やがて泣(な)き出(だ)したので、 12ハザエルは言(い)った、「わが主(しゅ)よ、どうして泣(な)かれるのですか」。エリシャは答(こた)えた、「わたしはあなたがイスラエルの人々(ひとびと)にしようとする害悪(がいあく)を知(し)っているからです。すなわち、あなたは彼(かれ)らの城(しろ)に火(ひ)をかけ、つるぎをもって若者(わかもの)を殺(ころ)し、幼(おさ)な子(ご)を投(な)げうち、妊娠(にんしん)の女(おんな)を引(ひ)き裂(さ)くでしょう」。 13ハザエルは言(い)った、「しもべは一匹(ぴき)の犬(いぬ)にすぎないのに、どうしてそんな大(おお)きな事(こと)をすることができましょう」。エリシャは言(い)った、「主(しゅ)がわたしに示(しめ)されました。あなたはスリヤの王(おう)となるでしょう」。 14彼(かれ)がエリシャのもとを去(さ)って、主君(しゅくん)のところへ行(い)くと、「エリシャはあなたになんと言(い)ったか」と尋(たず)ねられたので、「あなたが必(かなら)ずなおるでしょうと、彼(かれ)はわたしに告(つ)げました」と答(こた)えた。 15しかし翌日(よくじつ)になってハザエルは布(ぬの)を取(と)って水(みず)に浸(ひた)し、それをもって王(おう)の顔(かお)をおおったので、王(おう)は死(し)んだ。ハザエルは彼(かれ)に代(かわ)って王(おう)となった。

16イスラエルの王(おう)アハブの子(こ)ヨラムの第(だい)五年(ねん)に、ユダの王(おう)ヨシャパテの子(こ)ヨラムが位(くらい)についた。 17彼(かれ)は王(おう)となったとき三十二歳(さい)で、八年(ねん)の間(あいだ)エルサレムで世(よ)を治(おさ)めた。 18彼(かれ)はアハブの家(いえ)がしたようにイスラエルの王(おう)たちの道(みち)に歩(あゆ)んだ。アハブの娘(むすめ)が彼(かれ)の妻(つま)であったからである。彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)をおこなったが、 19主(しゅ)はしもべダビデのためにユダを滅(ほろ)ぼすことを好(この)まれなかった。すなわち主(しゅ)は彼(かれ)とその子孫(しそん)に常(つね)にともしびを与(あた)えると、彼(かれ)に約束(やくそく)されたからである。

20ヨラムの世(よ)にエドムがそむいてユダの支配(しはい)を脱(だっ)し、みずから王(おう)を立(た)てたので、 21ヨラムはすべての戦車(せんしゃ)を従(したが)えてザイルにわたって行(い)き、その戦車(せんしゃ)の指揮(しき)官(かん)たちと共(とも)に、夜(よ)のうちに立(た)ちあがって、彼(かれ)を包囲(ほうい)しているエドムびとを撃(う)った。しかしヨラムの軍隊(ぐんたい)は天幕(てんまく)に逃(に)げ帰(かえ)った。 22エドムはこのようにそむいてユダの支配(しはい)を脱(だっ)し、今日(こんにち)に至(いた)っている。リブナもまた同時(どうじ)にそむいた。 23ヨラムのその他(た)の事績(じせき)および彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、ユダの歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 24ヨラムはその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)って、ダビデの町(まち)にその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に葬(ほうむ)られ、その子(こ)アハジヤが代(かわ)って王(おう)となった。

25イスラエルの王(おう)アハブの子(こ)ヨラムの第(だい)十二年(ねん)にユダの王(おう)ヨラムの子(こ)アハジヤが位(くらい)についた。 26アハジヤは王(おう)となったとき二十二歳(さい)で、エルサレムで一年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。その母(はは)は名(な)をアタリヤと言(い)って、イスラエルの王(おう)オムリの孫娘(まごむすめ)であった。 27アハジヤはまたアハブの家(いえ)の道(みち)に歩(あゆ)み、アハブの家(いえ)がしたように主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)をおこなった。彼(かれ)はアハブの家(いえ)の婿(むこ)であったからである。

28彼(かれ)はアハブの子(こ)ヨラムと共(とも)に行(い)って、スリヤの王(おう)ハザエルとラモテ・ギレアデで戦(たたか)ったが、スリヤびとらはヨラムに傷(きず)を負(お)わせた。 29ヨラム王(おう)はそのスリヤの王(おう)ハザエルと戦(たたか)うときにラマでスリヤびとに負(お)わされた傷(きず)をいやすため、エズレルに帰(かえ)ったが、ユダの王(おう)ヨラムの子(こ)アハジヤはアハブの子(こ)ヨラムが病(や)んでいたので、エズレルに下(くだ)って彼(かれ)をおとずれた。

第九章

1時(とき)に預言者(よげんしゃ)エリシャは預言者(よげんしゃ)のともがらのひとりを呼(よ)んで言(い)った、「腰(こし)をひきからげ、この油(あぶら)のびんを携(たずさ)えて、ラモテ・ギレアデへ行(い)きなさい。 2そこに着(つ)いたならば、ニムシの子(こ)ヨシャパテの子(こ)であるエヒウを尋(たず)ね出(だ)し、内(うち)にはいって彼(かれ)をその同僚(どうりょう)たちのうちから立(た)たせて、奥(おく)の間(あいだ)に連(つ)れて行(い)き、 3油(あぶら)のびんを取(と)って、その頭(あたま)に注(そそ)ぎ、『主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、わたしはあなたに油(あぶら)を注(そそ)いでイスラエルの王(おう)とする』と言(い)い、そして戸(と)をあけて逃(に)げ去(さ)りなさい。とどまってはならない」。

4そこで預言者(よげんしゃ)であるその若者(わかもの)はラモテ・ギレアデへ行(い)ったが、 5来(き)て見(み)ると、軍勢(ぐんぜい)の長(ちょう)たちが会議(かいぎ)中(ちゅう)であったので、彼(かれ)は「将軍(しょうぐん)よ、わたしはあなたに申(もう)しあげる事(こと)があります」と言(い)うと、エヒウが答(こた)えて、「われわれすべてのうちの、だれにですか」と言(い)ったので、彼(かれ)は「将軍(しょうぐん)よ、あなたにです」と言(い)った。 6するとエヒウが立(た)ちあがって家(いえ)にはいったので、若者(わかもの)はその頭(あたま)に油(あぶら)を注(そそ)いで彼(かれ)に言(い)った、「イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はこう仰(おお)せられます、『わたしはあなたに油(あぶら)を注(そそ)いで、主(しゅ)の民(たみ)イスラエルの王(おう)とする。 7あなたは主君(しゅくん)アハブの家(いえ)を撃(う)ち滅(ほろ)ぼさなければならない。それによってわたしは、わたしのしもべである預言者(よげんしゃ)たちの血(ち)と、主(しゅ)のすべてのしもべたちの血(ち)をイゼベルに報(むく)いる。 8アハブの全家(ぜんか)は滅(ほろ)びるであろう。アハブに属(ぞく)する男(おとこ)は、イスラエルにいて、つながれた者(もの)も、自由(じゆう)な者(もの)も、ことごとくわたしは断(た)ち、 9アハブの家(いえ)をネバテの子(こ)ヤラベアムのようにし、アヒヤの子(こ)バアシャの家(いえ)のようにする。 10犬(いぬ)がイズレルの地域(ちいき)でイゼベルを食(く)い、彼女(かのじょ)を葬(ほうむ)る者(もの)はないであろう』」。そして彼(かれ)は戸(と)をあけて逃(に)げ去(さ)った。

11やがてエヒウが主君(しゅくん)の家来(けらい)たちの所(ところ)へ出(で)て来(く)ると、彼(かれ)らはエヒウに言(い)った、「変(かわ)った事(こと)はありませんか。あの気違(きちが)いは、なんのためにあなたの所(ところ)にきたのですか」。エヒウは彼(かれ)らに言(い)った、「あなたがたは、あの人(ひと)を知(し)っています。またその言(い)う事(こと)も知(し)っています」。 12彼(かれ)らは言(い)った、「それは違(ちが)います。どうぞわれわれに話(はな)してください」。そこでエヒウは言(い)った、「彼(かれ)はこうこう、わたしに告(つ)げて言(い)いました、『主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、わたしはあなたに油(あぶら)を注(そそ)いで、イスラエルの王(おう)とする』」。 13すると彼(かれ)らは急(いそ)いで、おのおの衣服(いふく)をとり、それを階段(かいだん)の上(うえ)のエヒウの下(した)に敷(し)き、ラッパを吹(ふ)いて「エヒウは王(おう)である」と言(い)った。

14こうしてニムシの子(こ)であるヨシャパテの子(こ)エヒウはヨラムにそむいた。(ヨラムはイスラエルをことごとく率(ひき)いて、ラモテ・ギレアデでスリヤの王(おう)ハザエルを防(ふせ)いだが、 15ヨラム王(おう)はスリヤの王(おう)ハザエルと戦(たたか)った時(とき)に、スリヤびとに負(お)わされた傷(きず)をいやすため、エズレルに帰(かえ)っていた。)エヒウは言(い)った、「もしこれがあなたがたの本心(ほんしん)であるならば、ひとりもこの町(まち)から忍(しの)び出(で)て、これをエズレルに告(つ)げてはならない」。 16そしてエヒウは車(くるま)に乗(の)ってエズレルへ行(い)った。ヨラムがそこに伏(ふ)していたからである。またユダの王(おう)アハジヤはヨラムを見舞(みま)うために下(くだ)っていた。

17さてエズレルのやぐらに、ひとりの物見(ものみ)が立(た)っていたが、エヒウの群衆(ぐんしゅう)が来(く)るのを見(み)て、「群衆(ぐんしゅう)が見(み)える」と言(い)ったので、ヨラムは言(い)った、「ひとりを馬(うま)に乗(の)せてつかわし、それに会(あ)わせて『平安(へいあん)ですか』と言(い)わせなさい」。 18そこでひとりが馬(うま)に乗(の)って行(い)き、彼(かれ)に会(あ)って言(い)った、「王(おう)はこう仰(おお)せられます、『平安(へいあん)ですか』」。エヒウ言(い)った、「あなたは平安(へいあん)となんの関係(かんけい)がありますか。わたしのあとについてきなさい」。物見(ものみ)はまた告(つ)げて言(い)った、「使者(ししゃ)は彼(かれ)らの所(ところ)へ行(い)きましたが、帰(かえ)ってきません」。 19そこで再(ふたた)び人(ひと)を馬(うま)でつかわしたので、彼(かれ)らの所(ところ)へ行(い)って言(い)った、「王(おう)はこう仰(おお)せられます、『平安(へいあん)ですか』」。エヒウは答(こた)えて言(い)った、「あなたは平安(へいあん)となんの関係(かんけい)がありますか。わたしのあとについてきなさい」。 20物見(ものみ)はまた告(つ)げて言(い)った、「彼(かれ)も、彼(かれ)らの所(ところ)へ行(い)きましたが帰(かえ)ってきません。あの車(くるま)の操縦(そうじゅう)はニムシの子(こ)エヒウの操縦(そうじゅう)するのに似(に)て、猛烈(もうれつ)な勢(いきお)いで操縦(そうじゅう)して来(き)ます」。

21そこでヨラムが「車(くるま)を用意(ようい)せよ」と言(い)ったので、車(くるま)を用意(ようい)すると、イスラエルの王(おう)ヨラムと、ユダの王(おう)アハジヤは、おのおのその車(くるま)で出(で)て行(い)った。すなわちエヒウに会(あ)うために出(で)ていって、エズレルびとナボテの地所(じしょ)で彼(かれ)に会(あ)った。 22ヨラムはエヒウを見(み)て言(い)った、「エヒウよ、平安(へいあん)ですか」。エヒウは答(こた)えた、「あなたの母(はは)イゼベルの姦淫(かんいん)と魔術(まじゅつ)とが、こんなに多(おお)いのに、どうして平安(へいあん)でありえましょうか」。 23その時(とき)ヨラムは車(くるま)をめぐらして逃(に)げ、アハジヤにむかって、「アハジヤよ、反逆(はんぎゃく)です」と言(い)うと、 24エヒウは手(て)に弓(ゆみ)をひきしぼって、ヨラムの両(りょう)肩(かた)の間(あいだ)を射(い)たので、矢(や)は彼(かれ)の心臓(しんぞう)を貫(つらぬ)き、彼(かれ)は車(くるま)の中(なか)に倒(たお)れた。 25エヒウはその副官(ふくかん)ビデカルに言(い)った、「彼(かれ)を取(と)りあげて、エズレルびとナボテの畑(はたけ)に投(な)げ捨(す)てなさい。かつて、わたしとあなたと、ふたり共(とも)に乗(の)って、彼(かれ)の父(ちち)アハブに従(したが)ったとき、主(しゅ)が彼(かれ)について、この預言(よげん)をされたことを記憶(きおく)しなさい。 26すなわち主(しゅ)は言(い)われた、『まことに、わたしはきのうナボテの血(ち)と、その子(こ)らの血(ち)を見(み)た』。また主(しゅ)は言(い)われた、『わたしはこの地所(じしょ)であなたに報復(ほうふく)する』と。それゆえ彼(かれ)を取(と)りあげて、その地所(じしょ)に投(な)げすて、主(しゅ)の言葉(ことば)のようにしなさい」。

27ユダの王(おう)アハジヤはこれを見(み)てベテハガンの方(ほう)へ逃(に)げたが、エヒウはそのあとを追(お)い、「彼(かれ)をも撃(う)て」と言(い)ったので、イブレアムのほとりのグルの坂(さか)で車(くるま)の中(なか)の彼(かれ)を撃(う)った。彼(かれ)はメギドまで逃(に)げていって、そこで死(し)んだ。 28その家来(けらい)たちは彼(かれ)を車(くるま)に載(の)せてエルサレムに運(はこ)び、ダビデの町(まち)で彼(かれ)の墓(はか)にその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に葬(ほうむ)った。

29アハブの子(こ)ヨラムの第(だい)十一年(ねん)にアハジヤはユダの王(おう)となったのである。

30エヒウがエズレルにきた時(とき)、イゼベルはそれを聞(き)いて、その目(め)を塗(ぬ)り、髪(かみ)を飾(かざ)って窓(まど)から望(のぞ)み見(み)たが、 31エヒウが門(もん)にはいってきたので、「主君(しゅくん)を殺(ころ)したジムリよ、無事(ぶじ)ですか」と言(い)った。 32するとエヒウは顔(かお)をあげて窓(まど)にむかい、「だれか、わたしに味方(みかた)する者(もの)があるか。だれかあるか」と言(い)うと、二、三人(にん)の宦官(かんがん)がエヒウを望(のぞ)み見(み)たので、 33エヒウは「彼女(かのじょ)を投(な)げ落(おと)せ」と言(い)った。彼(かれ)らは彼女(かのじょ)を投(な)げ落(おと)したので、その血(ち)が壁(かべ)と馬(うま)とにはねかかった。そして馬(うま)は彼女(かのじょ)を踏(ふ)みつけた。 34エヒウは内(うち)にはいって食(く)い飲(の)みし、そして言(い)った、「あののろわれた女(おんな)を見(み)、彼女(かのじょ)を葬(ほうむ)りなさい。彼女(かのじょ)は王(おう)の娘(むすめ)なのだ」。 35しかし彼(かれ)らが彼女(かのじょ)を葬(ほうむ)ろうとして行(い)って見(み)ると、頭蓋骨(ずがいこつ)と、足(あし)と、たなごころのほか何(なに)もなかったので、 36帰(かえ)って、彼(かれ)に告(つ)げると、彼(かれ)は言(い)った、「これは主(しゅ)が、そのしもべ、テシベびとエリヤによってお告(つ)げになった言葉(ことば)である。すなわち『エズレルの地(ち)で犬(いぬ)がイゼベルの肉(にく)を食(く)うであろう。 37イゼベルの死体(したい)はエズレルの地(ち)で、糞土(ふんど)のように野(の)のおもてに捨(す)てられて、だれも、これはイゼベルだ、と言(い)うことができないであろう』」。

第一〇章

1アハブはサマリヤに七十人(にん)の子供(こども)があった。エヒウは手紙(てがみ)をしたためてサマリヤに送(おく)り、町(まち)のつかさたちと、長老(ちょうろう)たちと、アハブの子供(こども)の守役(もりやく)たちとに伝(つた)えて言(い)った、 2「あなたがたの主君(しゅくん)の子供(こども)たちがあなたがたと共(とも)におり、また戦車(せんしゃ)も馬(うま)も、堅固(けんご)な町(まち)も武器(ぶき)もあるのだから、この手紙(てがみ)があなたがたのもとに届(とど)いたならば、すぐ、 3あなたがたは主君(しゅくん)の子供(こども)たちのうち最(もっと)もすぐれた、最(もっと)も適当(てきとう)な者(もの)を選(えら)んで、その父(ちち)の位(くらい)にすえ、主君(しゅくん)の家(いえ)のために戦(たたか)いなさい」。 4彼(かれ)らは大(おお)いに恐(おそ)れて言(い)った、「ふたりの王(おう)たちがすでに彼(かれ)に当(あた)ることができなかったのに、われわれがどうして当(あた)ることができよう」。 5そこで宮廷(きゅうてい)のつかさ、町(まち)のつかさ、長老(ちょうろう)たちと守役(もりやく)たちはエヒウに人(ひと)をつかわして言(い)った、「わたしたちは、あなたのしもべです。すべてあなたが命(めい)じられる事(こと)をいたします。わたしたちは王(おう)を立(た)てることを好(この)みません。あなたがよいと思(おも)われることをしてください」。 6そこでエヒウは再(ふたた)び彼(かれ)らに手紙(てがみ)を書(か)き送(おく)って言(い)った、「もしあなたがたが、わたしに味方(みかた)し、わたしに従(したが)おうとするならば、あなたがたの主君(しゅくん)の子供(こども)たちの首(くび)を取(と)って、あすの今(いま)ごろエズレルにいるわたしのもとに持(も)ってきなさい」。そのころ、王(おう)の子供(こども)たち七十人(にん)は彼(かれ)らを育(そだ)てていた町(まち)のおもだった人々(ひとびと)と共(とも)にいた。 7彼(かれ)らはその手紙(てがみ)を受(う)け取(と)ると、王(おう)の子供(こども)たちを捕(とら)えて、その七十人(にん)をことごとく殺(ころ)し、その首(くび)をかごにつめて、エズレルにいるエヒウのもとに送(おく)った。 8使者(ししゃ)が来(き)て、エヒウに告(つ)げ、「人々(ひとびと)が王(おう)の子供(こども)たちの首(くび)を持(も)ってきました」と言(い)うと、「あくる朝(あさ)までそれを門(もん)の入口(いりぐち)に、ふた山(やま)に積(つ)んでおけ」と言(い)った。 9朝(あさ)になると、彼(かれ)は出(で)て行(い)って立(た)ち、すべての民(たみ)に言(い)った、「あなたがたは正(ただ)しい。主君(しゅくん)にそむいて彼(かれ)を殺(ころ)したのはわたしです。しかしこのすべての者(もの)どもを殺(ころ)したのはだれですか。 10これであなたがたは、主(しゅ)がアハブの家(いえ)について告(つ)げられた主(しゅ)の言葉(ことば)は一(ひと)つも地(ち)に落(お)ちないことを知(し)りなさい。主(しゅ)は、そのしもべエリヤによってお告(つ)げになった事(こと)をなし遂(と)げられたのです」。 11こうしてエヒウは、アハブの家(いえ)に属(ぞく)する者(もの)でエズレルに残(のこ)っている者(もの)をことごとく殺(ころ)し、またそのすべてのおもだった者(もの)、その親(した)しい者(もの)およびその祭司(さいし)たちを殺(ころ)して、彼(かれ)に属(ぞく)する者(もの)はひとりも残(のこ)さなかった。

12さてエヒウは立(た)ってサマリヤへ行(い)ったが、途中(とちゅう)、牧者(ぼくしゃ)の集(あつ)まり場(ば)で、 13ユダの王(おう)アハジヤの身内(みうち)の人々(ひとびと)に会(あ)い、「あなたがたはどなたですか」と言(い)うと、「わたしたちはアハジヤの身内(みうち)の者(もの)ですが、王(おう)の子供(こども)たちと、王(おう)母(はは)の子供(こども)たちの安否(あんぴ)を問(と)うために下(くだ)ってきたのです」と答(こた)えたので、 14エヒウは「彼(かれ)らをいけどれ」と命(めい)じた。そこで彼(かれ)らをいけどって、集(あつ)まり場(ば)の穴(あな)のかたわらで彼(かれ)ら四十二人(にん)をことごとく殺(ころ)し、ひとりをも残(のこ)さなかった。

15エヒウはそこを立(た)って行(い)ったが、自分(じぶん)を迎(むか)えにきたレカブの子(こ)ヨナダブに会(あ)ったので、彼(かれ)にあいさつして、「あなたの心(こころ)は、わたしがあなたに対(たい)するように真実(しんじつ)ですか」と言(い)うと、ヨナダブは「真実(しんじつ)です」と答(こた)えた。するとエヒウは「それならば、あなたの手(て)をわたしに伸(の)べなさい」と言(い)ったので、その手(て)を伸(の)べると、彼(かれ)を引(ひ)いて自分(じぶん)の車(くるま)に上(のぼ)らせ、 16「わたしと一緒(いっしょ)にきて、わたしが主(しゅ)に熱心(ねっしん)なのを見(み)なさい」と言(い)った。そして彼(かれ)を自分(じぶん)の車(くるま)に乗(の)せ、 17サマリヤへ行(い)って、アハブに属(ぞく)する者(もの)で、サマリヤに残(のこ)っている者(もの)をことごとく殺(ころ)して、その一族(いちぞく)を滅(ほろ)ぼした。主(しゅ)がエリヤにお告(つ)げになった言葉(ことば)のとおりである。

18次(つ)いでエヒウは民(たみ)をことごとく集(あつ)めて彼(かれ)らに言(い)った、「アハブは少(すこ)しばかりバアルに仕(つか)えたが、エヒウは大(おお)いにこれに仕(つか)えるであろう。 19それゆえ、今(いま)バアルのすべての預言者(よげんしゃ)、すべての礼拝者(れいはいしゃ)、すべての祭司(さいし)をわたしのもとに召(め)しなさい。ひとりもこない者(もの)のないようにしなさい。わたしは大(おお)いなる犠牲(ぎせい)をバアルにささげようとしている。すべてこない者(もの)は生(い)かしておかない」。しかしエヒウはバアルの礼拝者(れいはいしゃ)たちを滅(ほろ)ぼすために偽(いつわ)ってこうしたのである。 20そしてエヒウは「バアルのために聖(せい)会(かい)を催(もよお)しなさい」と命(めい)じたので、彼(かれ)らはこれを布告(ふこく)した。 21エヒウはあまねくイスラエルに人(ひと)をつかわしたので、バアルの礼拝者(れいはいしゃ)たちはことごとく来(き)た。こないで残(のこ)った者(もの)はひとりもなかった。彼(かれ)らはバアルの宮(みや)にはいったので、バアルの宮(みや)は端(たん)から端(たん)までいっぱいになった。 22その時(とき)エヒウは衣装(いしょう)をつかさどる者(もの)に「祭服(さいふく)を取(と)り出(だ)してバアルのすべての礼拝者(れいはいしゃ)に与(あた)えよ」と言(い)ったので、彼(かれ)らのために祭服(さいふく)を取(と)り出(だ)した。 23そしてエヒウはレカブの子(こ)ヨナダブと共(とも)にバアルの宮(みや)に入(はい)り、バアルの礼拝者(れいはいしゃ)たちに言(い)った、「調(しら)べてみて、ここにはただバアルの礼拝者(れいはいしゃ)のみで、主(しゅ)のしもべはひとりも、あなたがたのうちにいないようにしなさい」。 24こうして彼(かれ)は犠牲(ぎせい)と燔祭(はんさい)とをささげるためにはいった。

さてエヒウは八十人(にん)の者(もの)を外(そと)に置(お)いて言(い)った、「わたしがあなたがたの手(て)に渡(わた)す者(もの)をひとりでも逃(のが)す者(もの)は、自分(じぶん)の命(いのち)をもってその人(ひと)の命(いのち)に換(か)えなければならない」。 25こうして燔祭(はんさい)をささげることが終(おわ)ったとき、エヒウはその侍衛(じえい)と将校(しょうこう)たちに言(い)った、「はいって彼(かれ)らを殺(ころ)せ。ひとりも逃(に)がしてはならない」。侍衛(じえい)と将校(しょうこう)たちはつるぎをもって彼(かれ)らを撃(う)ち殺(ころ)し、それを投(な)げ出(だ)して、バアルの宮(みや)の本殿(ほんでん)に入(はい)り、 26バアルの宮(みや)にある柱(はしら)の像(ぞう)を取(と)り出(だ)して、それを焼(や)いた。 27また彼(かれ)らはバアルの石柱(せきちゅう)をこわし、バアルの宮(みや)をこわして、かわやとしたが今日(こんにち)まで残(のこ)っている。

28このようにエヒウはイスラエルのうちからバアルを一掃(いっそう)した。 29しかしエヒウはイスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムの罪(つみ)、すなわちベテルとダンにある金(きん)の子(こ)牛(うし)に仕(つか)えることをやめなかった。 30主(しゅ)はエヒウに言(い)われた、「あなたはわたしの目(め)にかなう事(こと)を行(おこな)うにあたって、よくそれを行(おこな)い、またわたしの心(こころ)にあるすべての事(こと)をアハブの家(いえ)にしたので、あなたの子孫(しそん)は四代(だい)までイスラエルの位(くらい)に座(ざ)するであろう」。 31しかしエヒウはイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)の律法(りっぽう)を心(こころ)をつくして守(まも)り行(おこな)おうとはせず、イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたヤラベアムの罪(つみ)を離(はな)れなかった。

32この時(とき)にあたって、主(しゅ)はイスラエルの領地(りょうち)を切(き)り取(と)ることを始(はじ)められた。すなわちハザエルはイスラエルのすべての領域(りょういき)を侵(おか)し、 33ヨルダンの東(ひがし)で、ギレアデの全(ぜん)地(ち)、カドびと、ルベンびと、マナセびとの地(ち)を侵(おか)し、アルノン川(かわ)のほとりにあるアロエルからギレアデとバシャンに及(およ)んだ。 34エヒウのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)およびその武勇(ぶゆう)は、ことごとくイスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 35エヒウはその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)ったので、彼(かれ)をサマリヤに葬(ほうむ)った。その子(こ)エホアハズが代(かわ)って王(おう)となった。 36エヒウがサマリヤでイスラエルを治(おさ)めたのは二十八年(ねん)であった。

第一一章

1さてアハジヤの母(はは)アタリヤはその子(こ)の死(し)んだのを見(み)て、立(た)って王(おう)の一族(いちぞく)をことごとく滅(ほろ)ぼしたが、 2ヨラム王(おう)の娘(むすめ)で、アハジヤの姉妹(しまい)であるエホシバはアハジヤの子(こ)ヨアシを、殺(ころ)されようとしている王(おう)の子(こ)たちのうちから盗(ぬす)み取(と)り、彼(かれ)とそのうばとを寝室(しんしつ)に入(い)れて、アタリヤに隠(かく)したので、彼(かれ)はついに殺(ころ)されなかった。 3ヨアシはうばと共(とも)に六年(ねん)の間(あいだ)、主(しゅ)の宮(みや)に隠(かく)れていたが、その間(かん)アタリヤが国(くに)を治(おさ)めた。

4第(だい)七年(ねん)になってエホヤダは人(ひと)をつかわして、カリびとと近衛(このえ)兵(へい)との大将(たいしょう)たちを招(まね)きよせ、主(しゅ)の宮(みや)にいる自分(じぶん)のもとにこさせ、彼(かれ)らと契約(けいやく)を結(むす)び、主(しゅ)の宮(みや)で彼(かれ)らに誓(ちか)いをさせて王(おう)の子(こ)を見(み)せ、 5命(めい)じて言(い)った、「あなたがたのする事(こと)はこれです、すなわち、安息日(あんそくにち)に非番(ひばん)となって王(おう)の家(いえ)を守(まも)るあなたがたの三分(ぶん)の一は、 6宮殿(きゅうでん)を守(まも)らなければならない。(他(た)の三分(ぶん)の一はスルの門(もん)におり、三分(ぶん)の一は近衛(このえ)兵(へい)のうしろの門(もん)におる)。 7すべて安息日(あんそくにち)に当番(とうばん)で主(しゅ)の宮(みや)を守(まも)るあなたがたの二つの部隊(ぶたい)は、 8おのおのの武器(ぶき)を手(て)に取(と)って王(おう)のまわりに立(た)たなければならない。すべて列(れつ)に近(ちか)よる者(もの)は殺(ころ)されなければならない。あなたがたは王(おう)が出(で)る時(とき)にも、はいる時(とき)にも王(おう)と共(とも)にいなければならない」。

9そこでその大将(たいしょう)たちは祭司(さいし)エホヤダがすべて命(めい)じたとおりにおこなった。すなわち彼(かれ)らはおのおの安息日(あんそくにち)に非番(ひばん)となる者(もの)と、安息日(あんそくにち)に当番(とうばん)となる者(もの)とを率(ひき)いて祭司(さいし)エホヤダのもとにきたので、 10祭司(さいし)は主(しゅ)の宮(みや)にあるダビデ王(おう)のやりと盾(たて)を大将(たいしょう)たちに渡(わた)した。 11近衛(このえ)兵(へい)はおのおの手(て)に武器(ぶき)をとって主(しゅ)の宮(みや)の南側(みなみがわ)から北側(きたがわ)まで、祭壇(さいだん)と宮(みや)を取(と)り巻(ま)いて立(た)った。 12そこでエホヤダは王(おう)の子(こ)をつれ出(だ)して冠(かんむり)をいただかせ、律法(りっぽう)の書(しょ)を渡(わた)し、彼(かれ)を王(おう)と宣言(せんげん)して油(あぶら)を注(そそ)いだので、人々(ひとびと)は手(て)を打(う)って「王(おう)万歳(ばんざい)」と言(い)った。

13アタリヤは近衛(このえ)兵(へい)と民(たみ)の声(こえ)を聞(き)いて、主(しゅ)の宮(みや)に入(はい)り、民(たみ)のところへ行(い)って、 14見(み)ると、王(おう)は慣例(かんれい)にしたがって柱(はしら)のかたわらに立(た)ち、王(おう)のかたわらには大将(たいしょう)たちとラッパ手(て)たちが立(た)ち、また国(くに)の民(たみ)は皆(みな)喜(よろこ)んでラッパを吹(ふ)いていたので、アタリヤはその衣(ころも)を裂(さ)いて、「反逆(はんぎゃく)です、反逆(はんぎゃく)です」と叫(さけ)んだ。 15その時(とき)祭司(さいし)エホヤダは軍勢(ぐんぜい)を指揮(しき)していた大将(たいしょう)たちに命(めい)じて、「彼女(かのじょ)を列(れつ)の間(あいだ)をとおって出(で)て行(い)かせ、彼女(かのじょ)に従(したが)う者(もの)をつるぎをもって殺(ころ)しなさい」と言(い)った。これは祭司(さいし)がさきに「彼女(かのじょ)を主(しゅ)の宮(みや)で殺(ころ)してはならない」と言(い)ったからである。 16そこで彼(かれ)らは彼女(かのじょ)を捕(とら)え、王(おう)の家(いえ)の馬道(うまみち)へ連(つ)れて行(い)ったが、彼女(かのじょ)はついにそこで殺(ころ)された。

17かくてエホヤダは主(しゅ)と王(おう)および民(たみ)との間(あいだ)に、皆(みな)主(しゅ)の民(たみ)となるという契約(けいやく)を立(た)てさせ、また王(おう)と民(たみ)との間(あいだ)にもそれを立(た)てさせた。 18そこで国(くに)の民(たみ)は皆(みな)バアルの宮(みや)に行(い)って、これをこわし、その祭壇(さいだん)とその像(ぞう)を打(う)ち砕(くだ)き、バアルの祭司(さいし)マッタンをその祭壇(さいだん)の前(まえ)で殺(ころ)した。そして祭司(さいし)は主(しゅ)の宮(みや)に管理(かんり)人(ひと)を置(お)いた。 19次(つ)いでエホヤダは大将(たいしょう)たちと、カリびとと、近衛(このえ)兵(へい)と国(くに)のすべての民(たみ)を率(ひき)いて、主(しゅ)の宮(みや)から王(おう)を導(みちび)き下(くだ)り、近衛(このえ)兵(へい)の門(もん)の道(みち)から王(おう)の家(いえ)に入(はい)り、王(おう)の位(くらい)に座(ざ)せしめた。 20こうして国(くに)の民(たみ)は皆(みな)喜(よろこ)び、町(まち)はアタリヤが王(おう)の家(いえ)でつるぎをもって殺(ころ)されてのち、おだやかになった。 21ヨアシは位(くらい)についた時(とき)七歳(さい)であった。

第一二章

1ヨアシはエヒウの第(だい)七年(ねん)に位(くらい)につき、エルサレムで四十年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。その母(はは)はベエルシバの出身(しゅっしん)で、名(な)をヂビアといった。 2ヨアシは一生(いっしょう)の間(あいだ)、主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)をおこなった。祭司(さいし)エホヤダが彼(かれ)を教(おし)えたからである。 3しかし高(たか)き所(ところ)は除(のぞ)かなかったので、民(たみ)はなおその高(たか)き所(ところ)で犠牲(ぎせい)をささげ、香(こう)をたいた。

4ヨアシは祭司(さいし)たちに言(い)った、「すべて主(しゅ)の宮(みや)に聖別(せいべつ)してささげる銀(ぎん)、すなわちおのおのが課(か)せられて、割当(わりあて)にしたがって人々(ひとびと)の出(だ)す銀(ぎん)、および人々(ひとびと)が心(こころ)から願(ねが)って主(しゅ)の宮(みや)の持(も)ってくる銀(ぎん)は、 5これを祭司(さいし)たちがおのおのその知(し)る人(ひと)から受(う)け取(と)り、どこでも主(しゅ)の宮(みや)に破(やぶ)れの見(み)える時(とき)は、それをもってその破(やぶ)れを繕(つくろ)わなければならない」。 6ところがヨアシ王(おう)の二十三年(ねん)に至(いた)るまで、祭司(さいし)たちは主(しゅ)の宮(みや)の破(やぶ)れを繕(つくろ)わなかった。 7それで、ヨアシ王(おう)は祭司(さいし)エホヤダおよび他(た)の祭司(さいし)たちを召(め)して言(い)った、「なぜ、あなたがたは主(しゅ)の宮(みや)の破(やぶ)れを繕(つくろ)わないのか。あなたがたはもはや知人(ちじん)から銀(ぎん)を受(う)けてはならない。主(しゅ)の宮(みや)の破(やぶ)れを繕(つくろ)うためにそれを渡(わた)しなさい」。 8祭司(さいし)たちは重(かさ)ねて民(たみ)から銀(ぎん)を受(う)けない事(こと)と、主(しゅ)の宮(みや)の破(やぶ)れを繕(つくろ)わない事(こと)とに同意(どうい)した。

9そこで祭司(さいし)エホヤダは一つの箱(はこ)を取(と)り、そのふたに穴(あな)をあけて、それを主(しゅ)の宮(みや)の入口(いりぐち)の右側(みぎがわ)、祭壇(さいだん)のかたわらに置(お)いた。そして門(もん)を守(まも)る祭司(さいし)たちは主(しゅ)の宮(みや)にはいってくる銀(ぎん)をことごとくその中(なか)に入(い)れた。 10こうしてその箱(はこ)の中(なか)に銀(ぎん)が多(おお)くなったのを見(み)ると、王(おう)の書記官(しょきかん)と大(だい)祭司(さいし)が上(のぼ)ってきて、主(しゅ)の宮(みや)にある銀(ぎん)を数(かぞ)えて袋(ふくろ)に詰(つ)めた。 11そしてその数(かぞ)えた銀(ぎん)を、工事(こうじ)をつかさどる主(しゅ)の宮(みや)の監督(かんとく)者(もの)の手(て)にわたしたので、彼(かれ)らはそれを主(しゅ)の宮(みや)に働(はたら)く木工(もっこう)と建築(けんちく)師(し)に払(はら)い、 12石工(いしく)および石(いし)切(き)りに払(はら)い、またそれをもって主(しゅ)の宮(みや)の破(やぶ)れを繕(つくろ)う材木(ざいもく)と切(き)り石(いし)を買(か)い、主(しゅ)の宮(みや)を繕(つくろ)うために用(もち)いるすべての物(もの)のために費(ついや)した。 13ただし、主(しゅ)の宮(みや)にはいってくるその銀(ぎん)をもって主(しゅ)の宮(みや)のために銀(ぎん)のたらい、心切(しんき)りばさみ、鉢(はち)、ラッパ、金(きん)の器(うつわ)、銀(ぎん)の器(うつわ)などを造(つく)ることはしなかった。 14ただこれを工事(こうじ)をする者(もの)に渡(わた)して、それで主(しゅ)の宮(みや)を繕(つくろ)わせた。 15またその銀(ぎん)を渡(わた)して工事(こうじ)をする者(もの)に払(はら)わせた人々(ひとびと)と計算(けいさん)することはしなかった。彼(かれ)らは正直(しょうじき)に事(こと)をおこなったからである。 16愆祭(けんさい)の銀(ぎん)と罪祭(ざいさい)の銀(ぎん)は主(しゅ)の宮(みや)に、はいらないで、祭司(さいし)に帰(き)した。

17そのころ、スリヤの王(おう)ハザエルが上(のぼ)ってきて、ガテを攻(せ)めてこれを取(と)った。そしてハザエルがエルサレムに攻(せ)め上(のぼ)ろうとして、その顔(かお)を向(む)けたとき、 18ユダの王(おう)ヨアシはその先祖(せんぞ)、ユダの王(おう)ヨシャパテ、ヨラム、アハジヤが聖別(せいべつ)してささげたすべての物(もの)、およびヨアシ自身(じしん)が聖別(せいべつ)してささげた物(もの)、ならびに主(しゅ)の宮(みや)の倉(くら)と、主(しゅ)の宮(みや)にある金(きん)をことごとく取(と)って、スリヤ王(おう)のハザエルに贈(おく)ったので、ハザエルはエルサレムを離(はな)れ去(さ)った。

19ヨアシのその他(た)の事績(じせき)および彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 20ヨアシの家来(けらい)たちは立(た)って徒党(ととう)を結(むす)び、シラに下(くだ)る道(みち)にあるミロの家(いえ)でヨアシを殺(ころ)した。 21すなわちその家来(けらい)シメアテの子(こ)ヨザカルと、ショメルの子(こ)ヨザバデが彼(かれ)を撃(う)って殺(ころ)し、彼(かれ)をその先祖(せんぞ)と同(おな)じく、ダビデの町(まち)に葬(ほうむ)った。その子(こ)アマジヤが代(かわ)って王(おう)となった。

第一三章

1ユダの王(おう)アハジヤの子(こ)ヨアシの第(だい)二十三年(ねん)にエヒウの子(こ)エホアハズはサマリヤでイスラエルの王(おう)となり、十七年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。 2彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムの罪(つみ)を行(おこな)いつづけて、それを離(はな)れなかった。 3そこで主(しゅ)はイスラエルに対(たい)して怒(いか)りを発(はっ)し、エホアハズの治世(ちせい)の間(あいだ)、絶(た)えずイスラエルをスリヤの王(おう)ハザエルの手(て)にわたし、またハザエルの子(こ)ベネハダデの手(て)にわたされた。 4しかしエホアハズが主(しゅ)に願(ねが)い求(もと)めたので、主(しゅ)はついにこれを聞(き)きいれられた。スリヤの王(おう)によって悩(なや)まされたイスラエルの悩(なや)みを見(み)られたからである。 5それで主(しゅ)がひとりの救助者(きゅうじょしゃ)をイスラエルに賜(たま)わったので、イスラエルの人々(ひとびと)はスリヤびとの手(て)をのがれ、前(まえ)のように自分(じぶん)たちの天幕(てんまく)に住(す)むようになった。 6それにもかかわらず、彼(かれ)らはイスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたヤラベアムの家(いえ)の罪(つみ)を離(はな)れず、それを行(おこな)いつづけた。またアシラの像(ぞう)もサマリヤに立(た)ったままであった。 7さきにスリヤの王(おう)が彼(かれ)らを滅(ほろ)ぼし、踏(ふ)み砕(くだ)くちりのようにしたのでエホアハズの軍勢(ぐんぜい)で残(のこ)ったものは、ただ騎兵(きへい)五十人(にん)、戦車(せんしゃ)十両(りょう)、歩兵(ほへい)一万人(にん)のみであった。 8エホアハズその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)およびその武勇(ぶゆう)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 9エホアハズは先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)ったので、彼(かれ)をサマリヤに葬(ほうむ)った。その子(こ)ヨアシが代(かわ)って王(おう)となった。

10ユダの王(おう)ヨアシの第(だい)三十七年(ねん)に、エホアハズの子(こ)ヨアシはサマリヤでイスラエルの王(おう)となり、十六年(ねん)世(よ)を治(おさ)めた。 11彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムのもろもろの罪(つみ)を離(はな)れず、それに歩(あゆ)んだ。 12ヨアシのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)およびユダの王(おう)アマジヤと戦(たたか)ったその武勇(ぶゆう)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 13ヨアシは先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)って、ヤラベアムがその位(くらい)に座(ざ)した。そしてヨアシはイスラエルの王(おう)たちと同(おな)じくサマリヤに葬(ほうむ)られた。

14さてエリシャは死(し)ぬ病気(びょうき)にかかっていたが、イスラエルの王(おう)ヨアシは下(くだ)ってきて彼(かれ)の顔(かお)の上(うえ)に涙(なみだ)を流(なが)し、「わが父(ちち)よ、わが父(ちち)よ、イスラエルの戦車(せんしゃ)よ、その騎兵(きへい)よ」と言(い)った。 15エリシャは彼(かれ)に「弓(ゆみ)と矢(や)を取(と)りなさい」と言(い)ったので、弓(ゆみ)と矢(や)を取(と)った。 16エリシャはまたイスラエルの王(おう)に「弓(ゆみ)に手(て)をかけなさい」と言(い)ったので、手(て)をかけた。するとエリシャは自分(じぶん)の手(て)を王(おう)の手(て)の上(うえ)におき、 17「東(ひがし)向(む)きの窓(まど)をあけなさい」と言(い)ったので、それをあけると、エリシャはまた「射(い)なさい」と言(い)った。彼(かれ)が射(い)ると、エリシャは言(い)った、「主(しゅ)の救(すくい)の矢(や)、スリヤに対(たい)する救(すくい)の矢(や)。あなたはアペクでスリヤびとを撃(う)ち破(やぶ)り、彼(かれ)らを滅(ほろ)ぼしつくすであろう」。 18エリシャはまた「矢(や)を取(と)りなさい」と言(い)ったので、それを取(と)った。エリシャはまたイスラエルの王(おう)に「それをもって地(ち)を射(い)なさい」と言(い)ったので、三度(ど)射(い)てやめた。 19すると神(かみ)の人(ひと)は怒(いか)って言(い)った、「あなたは五度(ど)も六度(ど)も射(い)るべきであった。そうしたならば、あなたはスリヤを撃(う)ち破(やぶ)り、それを滅(ほろ)ぼしつくすことができたであろう。しかし今(いま)あなたはそうしなかったので、スリヤを撃(う)ち破(やぶ)ることはただ三度(ど)だけであろう」。

20こうしてエリシャは死(し)んで葬(ほうむ)られた。さてモアブの略奪(りゃくだつ)隊(たい)は年(とし)が改(あらた)まるごとに、国(くに)にはいって来(く)るのを常(つね)とした。 21時(とき)に、ひとりの人(ひと)を葬(ほうむ)ろうとする者(もの)があったが、略奪(りゃくだつ)隊(たい)を見(み)たので、その人(ひと)をエリシャの墓(はか)に投(な)げ入(い)れて去(さ)った。その人(ひと)はエリシャの骨(ほね)に触(ふ)れるとすぐ生(い)きかえって立(た)ちあがった。

22スリヤの王(おう)ハザエルはエホアハズの一生(いっしょう)の間(あいだ)、イスラエルを悩(なや)ましたが、 23主(しゅ)はアブラハム、イサク、ヤコブと結(むす)ばれた契約(けいやく)のゆえにイスラエルを恵(めぐ)み、これをあわれみ、これを顧(かえり)みて滅(ほろ)ぼすことを好(この)まず、なおこれをみ前(まえ)から捨(す)てられなかった。

24スリヤの王(おう)ハザエルはついに死(し)んで、その子(こ)ベネハダデが代(かわ)って王(おう)となった。 25そこでエホアハズの子(こ)ヨアシは、父(ちち)エホアハズがハザエルに攻(せ)め取(と)られた町々(まちまち)を、ハザエルの子(こ)ベネハダデの手(て)から取(と)り返(かえ)した。すなわちヨアシは三度(ど)彼(かれ)を撃(う)ち破(やぶ)って、イスラエルの町々(まちまち)を取(と)り返(かえ)した。

第一四章

1イスラエルの王(おう)エホアハズの子(こ)ヨアシの第(だい)二年(ねん)に、ユダの王(おう)ヨアシの子(こ)アマジヤが王(おう)となった。 2彼(かれ)は王(おう)となった時(とき)二十五歳(さい)で、二十九年(ねん)の間(あいだ)エルサレムで世(よ)を治(おさ)めた。その母(はは)はエルサレムの出身(しゅっしん)で、名(な)をエホアダンといった。 3アマジヤは主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)をおこなったが、先祖(せんぞ)ダビデのようではなかった。彼(かれ)はすべての事(こと)を父(ちち)ヨアシがおこなったようにおこなった。 4ただし高(たか)き所(ところ)は除(のぞ)かなかったので、民(たみ)はなおその高(たか)き所(ところ)で犠牲(ぎせい)をささげ、香(こう)をたいた。 5彼(かれ)は国(くに)が彼(かれ)の手(て)のうちに強(つよ)くなった時(とき)、父(ちち)ヨアシ王(おう)を殺害(さつがい)した家来(けらい)たちを殺(ころ)したが、 6その殺害者(さつがいしゃ)の子供(こども)たちは殺(ころ)さなかった。これはモーセの律法(りっぽう)の書(しょ)にしるされている所(ところ)に従(したが)ったのであって、そこに主(しゅ)は命(めい)じて「父(ちち)は子(こ)のゆえに殺(ころ)さるべきではない。子(こ)は父(ちち)のゆえに殺(ころ)さるべきではない。おのおの自分(じぶん)の罪(つみ)のゆえに殺(ころ)さるべきである」と言(い)われている。

7アマジヤはまた塩(しお)の谷(たに)でエドムびと一万人(にん)を殺(ころ)した。またセラを攻(せ)め取(と)って、その名(な)をヨクテルと名(な)づけたが、今日(こんにち)までそのとおりである。

8そこでアマジヤがエヒウの子(こ)エホアハズの子(こ)であるイスラエルの王(おう)ヨアシに使者(ししゃ)をつかわして、「さあ、われわれは互(たがい)に顔(かお)を合(あ)わせよう」と言(い)わせたので、 9イスラエルの王(おう)ヨアシはユダの王(おう)アマジヤに言(い)い送(おく)った、「かつてレバノンのいばらがレバノンの香柏(こうはく)に、『あなたの娘(むすめ)をわたしのむすこの妻(つま)にください』と言(い)い送(おく)ったことがあったが、レバノンの野獣(やじゅう)がとおって、そのいばらを踏(ふ)み倒(たお)した。 10あなたは大(おお)いにエドムを撃(う)って、心(こころ)にたかぶっているが、その栄誉(えいよ)に満足(まんぞく)して家(いえ)にとどまりなさい。何(なに)ゆえ、あなたは災(わざわい)をひき起(おこ)して、自分(じぶん)もユダも共(とも)に滅(ほろ)びるような事(こと)をするのですか」。

11しかしアマジヤが聞(き)きいれなかったので、イスラエルの王(おう)ヨアシは上(のぼ)ってきた。そこで彼(かれ)とユダの王(おう)アマジヤはユダのベテシメシで互(たがい)に顔(かお)をあわせたが、 12ユダはイスラエルに敗(やぶ)られて、おのおのその天幕(てんまく)に逃(に)げ帰(かえ)った。 13イスラエルの王(おう)ヨアシはアハジヤの子(こ)ヨアシの子(こ)であるユダの王(おう)アマジヤをベテシメシで捕(とら)え、エルサレムにきて、エルサレムの城壁(じょうへき)をエフライムの門(もん)から隅(すみ)の門(もん)まで、おおよそ四百キュビトにわたってこわし、 14また主(しゅ)の宮(みや)と王(おう)の家(いえ)の倉(くら)にある金銀(きんぎん)およびもろもろの器(うつわ)をことごとく取(と)り、かつ人質(ひとじち)をとってサマリヤに帰(かえ)った。

15ヨアシのその他(た)の事績(じせき)と、その武勇(ぶゆう)および彼(かれ)がユダの王(おう)アマジヤと戦(たたか)った事(こと)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 16ヨアシはその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)って、イスラエルの王(おう)たちと共(とも)にサマリヤに葬(ほうむ)られ、その子(こ)ヤラベアムが代(かわ)って王(おう)となった。

17ヨアシの子(こ)であるユダの王(おう)アマジヤは、エホアハズの子(こ)であるイスラエルの王(おう)ヨアシが死(し)んで後(のち)、なお十五年(ねん)生(い)きながらえた。 18アマジヤのその他(た)の事績(じせき)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 19時(とき)に人々(ひとびと)がエルサレムで徒党(ととう)を結(むす)び、彼(かれ)に敵対(てきたい)したので、彼(かれ)はラキシに逃(に)げていったが、その人々(ひとびと)はラキシに人(ひと)をつかわして彼(かれ)をそこで殺(ころ)させた。 20人々(ひとびと)は彼(かれ)を馬(うま)に載(の)せて運(はこ)んできて、エルサレムで彼(かれ)を先祖(せんぞ)たちと共(とも)にダビデの町(まち)に葬(ほうむ)った。 21そしてユダの民(たみ)は皆(みな)アザリヤを父(ちち)アマジヤの代(かわ)りに王(おう)とした。時(とき)に年(ねん)十六歳(さい)であった。 22彼(かれ)はエラテの町(まち)を建(た)てて、これをユダに復帰(ふっき)させた。これはかの王(おう)がその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)った後(のち)であった。

23ユダの王(おう)ヨアシの子(こ)アマジヤの第(だい)十五年(ねん)に、イスラエルの王(おう)ヨアシの子(こ)ヤラべアムがサマリヤで王(おう)となって四十一年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。 24彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムの罪(つみ)を離(はな)れなかった。 25彼(かれ)はハマテの入口(いりぐち)からアラバの海(うみ)まで、イスラエルの領域(りょういき)を回復(かいふく)した。イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)がガテヘペルのアミッタイの子(こ)である、そのしもべ預言者(よげんしゃ)ヨナによって言(い)われた言葉(ことば)のとおりである。 26主(しゅ)はイスラエルの悩(なや)みの非常(ひじょう)に激(はげ)しいのを見(み)られた。そこにはつながれた者(もの)も、自由(じゆう)な者(もの)もいなくなり、またイスラエルを助(たす)ける者(もの)もいなかった。 27しかし主(しゅ)はイスラエルの名(な)を天(あめ)が下(した)から消(け)し去(さ)ろうとは言(い)われなかった。そして彼(かれ)らをヨアシの子(こ)ヤラベアムの手(て)によって救(すく)われた。

28ヤラベアムのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)およびその武勇(ぶゆう)、すなわち彼(かれ)が戦争(せんそう)をした事(こと)および、かつてユダに属(ぞく)していたダマスコとハマテを、イスラエルに復帰(ふっき)させた事(こと)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 29ヤラベアムはその先祖(せんぞ)であるイスラエルの王(おう)たちと共(とも)に眠(ねむ)って、その子(こ)ゼカリヤが代(かわ)って王(おう)となった。

第一五章

1イスラエルの王(おう)ヤラベアムの第(だい)二十七年(ねん)に、ユダの王(おう)アマジヤの子(こ)アザリヤが王(おう)となった。 2彼(かれ)が王(おう)となった時(とき)は十六歳(さい)で、五十二年(ねん)の間(あいだ)エルサレムで世(よ)を治(おさ)めた。その母(はは)はエルサレムの出身(しゅっしん)で、名(な)をエコリアといった。 3彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)を行(おこな)い、すべての事(こと)を父(ちち)アマジヤが行(い)ったようにおこなった。 4ただし高(たか)き所(ところ)は除(のぞ)かなかったので、民(たみ)はなおその高(たか)き所(ところ)で犠牲(ぎせい)をささげ、香(こう)をたいた。 5主(しゅ)が王(おう)を撃(う)たれたので、その死(し)ぬ日(ひ)まで、らい病人(びょうにん)となって、離(はな)れ家(や)に住(す)んだ。王(おう)の子(こ)ヨタムが家(いえ)の事(こと)を管理(かんり)し、国(くに)の民(たみ)をさばいた。 6アザリヤのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 7アザリヤはその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)ったので、彼(かれ)をダビデの町(まち)にその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に葬(ほうむ)った。その子(こ)ヨタムが代(かわ)って王(おう)となった。

8ユダの王(おう)アザリヤの第(だい)三十八年(ねん)にヤラベアムの子(こ)ゼカリヤがサマリヤでイスラエルの王(おう)となり、六か月(げつ)世(よ)を治(おさ)めた。 9彼(かれ)はその先祖(せんぞ)たちがおこなったように主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムの罪(つみ)を離(はな)れなかった。 10ヤベシの子(こ)シャルムが徒党(ととう)を結(むす)んで彼(かれ)に敵(てき)し、イブレアムで彼(かれ)を撃(う)ち殺(ころ)し、彼(かれ)に代(かわ)って王(おう)となった。 11ゼカリヤのその他(た)の事績(じせき)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされている。 12主(しゅ)はかつてエヒウに、「あなたの子孫(しそん)は四代(だい)までイスラエルの位(くらい)に座(ざ)するであろう」と告(つ)げられたが、はたしてそのとおりになった。

13ヤベシの子(こ)シャルムはユダの王(おう)ウジヤの第(だい)三十九年(ねん)に王(おう)となり、サマリヤで一か月(げつ)世(よ)を治(おさ)めた。 14時(とき)にガデの子(こ)メナヘムがテルザからサマリヤに上(のぼ)ってきて、ヤベシの子(こ)シャルムをサマリヤで撃(う)ち殺(ころ)し、彼(かれ)に代(かわ)って王(おう)となった。 15シャルムのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)が徒党(ととう)を結(むす)んだ事(こと)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされている。 16その時(とき)メナヘムはテルザから進(すす)んでいって、タップアと、そのうちにいるすべての者(もの)、およびその領域(りょういき)を撃(う)った。すなわち彼(かれ)らが彼(かれ)のために開(ひら)かなかったので、これを撃(う)って、そのうちの妊娠(にんしん)の女(おんな)をことごとく引(ひ)き裂(さ)いた。

17ユダの王(おう)アザリヤの第(だい)三十九年(ねん)に、ガデの子(こ)メナヘムはイスラエルの王(おう)となり、サマリヤで十年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。 18彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムの罪(つみ)を一生(いっしょう)の間(あいだ)、離(はな)れなかった。 19時(とき)にアッスリヤの王(おう)プルが国(くに)に攻(せ)めてきたので、メナヘムは銀(ぎん)一千タラントをプルに与(あた)えた。これは彼(かれ)がプルの助(たす)けを得(え)て、国(くに)を自分(じぶん)の手(て)のうちに強(つよ)くするためであった。 20すなわちメナヘムはその銀(ぎん)をイスラエルのすべての富(と)める者(もの)に課(か)し、その人々(ひとびと)におのおの銀(ぎん)五十シケルを出(だ)させてアッスリヤの王(おう)に与(あた)えた。こうしてアッスリヤの王(おう)は国(くに)にとどまらないで帰(かえ)っていった。 21メナヘムのその他(た)の事績(じせき)と彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 22メナヘムは先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)り、その子(こ)ペカヒヤが代(かわ)って王(おう)となった。

23メナヘムの子(こ)ペカヒヤはユダの王(おう)アザリヤの第(だい)五十年(ねん)に、サマリヤでイスラエルの王(おう)となり、二年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。 24彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)せたネバテの子(こ)ヤラベアムの罪(つみ)を離(はな)れなかった。 25時(とき)に彼(かれ)の副官(ふくかん)であったレマリヤのペカが、ギレアデびと五十人(にん)と共(とも)に徒党(ととう)を結(むす)んで彼(かれ)に敵(てき)し、サマリヤの、王(おう)の宮殿(きゅうでん)の天守(てんしゅ)で彼(かれ)を撃(う)ち殺(ころ)した。すなわちペカは彼(かれ)を殺(ころ)し、彼(かれ)に代(かわ)って王(おう)となった。 26ペカヒヤのその他(た)の事績(じせき)と彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされている。

27レマリヤの子(こ)ペカはユダの王(おう)アザリヤの第(だい)五十二年(ねん)に、サマリヤでイスラエルの王(おう)となり、二十年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。 28彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)をおこない、イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムの罪(つみ)を離(はな)れなかった。

29イスラエルの王(おう)ペカの世(よ)に、アッスリヤの王(おう)テグラテピレセルが来(き)て、イヨン、アベル・ベテマアカ、ヤノア、ケデシ、ハゾル、ギレアデ、ガリラヤ、ナフタリの全(ぜん)地(ち)を取(と)り、人々(ひとびと)をアッスリヤへ捕(とら)え移(うつ)した。 30時(とき)にエラの子(こ)ホセアは徒党(ととう)を結(むす)んで、レマリヤの子(こ)ペカに敵(てき)し、彼(かれ)を撃(う)ち殺(ころ)し、彼(かれ)に代(かわ)って王(おう)となった。これはウジヤの子(こ)ヨタムの第(だい)二十年(ねん)であった。 31ペカのその他(た)の事績(じせき)と彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、イスラエルの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされている。

32レマリヤの子(こ)イスラエルの王(おう)ペカの第(だい)二年(ねん)に、ユダの王(おう)ウジヤの子(こ)ヨタムが王(おう)となった。 33彼(かれ)は王(おう)となった時(とき)二十五歳(さい)であったが、エルサレムで十六年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。母(はは)はザドクの娘(むすめ)で、名(な)をエルシャといった。 34彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)を行(おこな)い、すべて父(ちち)ウジヤの行(い)ったようにおこなった。 35ただし高(たか)き所(ところ)は除(のぞ)かなかったので、民(たみ)はなおその高(たか)き所(ところ)で犠牲(ぎせい)をささげ、香(こう)をたいた。彼(かれ)は主(しゅ)の宮(みや)の上(うえ)の門(もん)を建(た)てた。 36ヨタムのその他(た)の事績(じせき)と彼(かれ)がしたすべての事(こと)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 37そのころ、主(しゅ)はスリヤの王(おう)レヂンとレマリヤの子(こ)ペカをユダに攻(せ)めこさせられた。 38ヨタムは先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)って、その先祖(せんぞ)ダビデの町(まち)に先祖(せんぞ)たちと共(とも)に葬(ほうむ)られ、その子(こ)アハズが代(かわ)って王(おう)となった。

第一六章

1レマリヤの子(こ)ペカの第(だい)十七年(ねん)にユダの王(おう)ヨタムの子(こ)アハズが王(おう)となった。 2アハズは王(おう)となった時(とき)二十歳(さい)で、エルサレムで十六年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めたが、その神(かみ)、主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)を先祖(せんぞ)ダビデのようには行(おこな)わなかった。 3彼(かれ)はイスラエルの王(おう)たちの道(みち)に歩(あゆ)み、また主(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)の前(まえ)から追(お)い払(はら)われた異邦人(いほうじん)の憎(にく)むべきおこないにしたがって、自分(じぶん)の子(こ)を火(ひ)に焼(や)いてささげ物(もの)とした。 4かつ彼(かれ)は高(たか)き所(ところ)、また丘(おか)の上(うえ)、すべての青(あお)木(き)の下(した)で犠牲(ぎせい)をささげ、香(こう)をたいた。

5そのころ、スリヤの王(おう)レヂンおよびレマリヤの子(こ)であるイスラエルの王(おう)ペカがエルサレムに攻(せ)め上(のぼ)って、アハズを囲(かこ)んだが、勝(か)つことができなかった。 6その時(とき)エドムの王(おう)はエラテを回復(かいふく)してエドムの所領(しょりょう)とし、ユダの人々(ひとびと)をエラテから追(お)い出(だ)した。そしてエドムびとがエラテにきて、そこに住(す)み、今日(こんにち)に至(いた)っている。 7そこでアハズは使者(ししゃ)をアッスリヤの王(おう)テグラテピレセルにつかわして言(い)わせた、「わたしはあなたのしもべ、あなたの子(こ)です。スリヤの王(おう)とイスラエルの王(おう)がわたしを攻(せ)め囲(かこ)んでいます。どうぞ上(のぼ)ってきて、彼(かれ)らの手(て)からわたしを救(すく)い出(だ)してください」。 8そしてアハズは主(しゅ)の宮(みや)と王(おう)の家(いえ)の倉(くら)にある金(きん)と銀(ぎん)をとり、これを贈(おく)り物(もの)としてアッスリヤの王(おう)におくったので、 9アッスリヤの王(おう)は彼(かれ)の願(ねが)いを聞(き)きいれた。すなわちアッスリヤの王(おう)はダマスコに攻(せ)め上(のぼ)って、これを取(と)り、その民(たみ)をキルに捕(とら)え移(うつ)し、またレヂンを殺(ころ)した。

10アハズ王(おう)はアッスリヤの王(おう)テグラテピレセルに会(あ)おうとダマスコへ行(い)ったが、ダマスコにある祭壇(さいだん)を見(み)たので、アハズ王(おう)はその祭壇(さいだん)の作(つく)りにしたがって、その詳(くわ)しい図面(ずめん)と、ひな型(がた)とを作(つく)って、祭司(さいし)ウリヤに送(おく)った。 11そこで祭司(さいし)ウリヤはアハズ王(おう)がダマスコから送(おく)ったものにしたがって祭壇(さいだん)を建(た)てた。すなわち祭司(さいし)ウリヤはアハズ王(おう)がダマスコから帰(かえ)るまでにそのとおりに作(つく)った。 12王(おう)はダマスコから帰(かえ)ってきて、その祭壇(さいだん)を見(み)、祭壇(さいだん)に近(ちか)づいてその上(うえ)に登(のぼ)り、 13燔祭(はんさい)と素祭(そさい)を焼(や)き、灌祭(かんさい)を注(そそ)ぎ、酬恩祭(しゅうおんさい)の血(ち)を祭壇(さいだん)にそそぎかけた。 14彼(かれ)はまた主(しゅ)の前(まえ)にあった青銅(せいどう)の祭壇(さいだん)を宮(みや)の前(まえ)から移(うつ)した。すなわちそれを新(あたら)しい祭壇(さいだん)と主(しゅ)の宮(みや)の間(あいだ)から移(うつ)して、新(あたら)しい祭壇(さいだん)の北(きた)の方(ほう)にすえた。 15そしてアハズ王(おう)は祭司(さいし)ウリヤに命(めい)じて言(い)った、「朝(あさ)の燔祭(はんさい)と夕(ゆう)の素祭(そさい)および王(おう)の燔祭(はんさい)とその素祭(そさい)、ならびに国中(くにぢゅう)の民(たみ)の燔祭(はんさい)とその素祭(そさい)および灌祭(かんさい)は、この大(おお)きな祭壇(さいだん)の上(うえ)で焼(や)きなさい。また燔祭(はんさい)の血(ち)と犠牲(ぎせい)の血(ち)はすべてこれにそそぎかけなさい。あの青銅(せいどう)の祭壇(さいだん)をわたしは伺(うかが)いを立(た)てるのに用(もち)いよう」。 16祭司(さいし)ウリヤはアハズ王(おう)がすべて命(めい)じたとおりにおこなった。

17またアハズ王(おう)は台(だい)の鏡板(かがみいた)を切(き)り取(と)って、洗盤(せんばん)をその上(うえ)から移(うつ)し、また海(うみ)をその下(した)にある青銅(せいどう)の牛(うし)の上(うえ)からおろして、石(いし)の座(ざ)の上(うえ)にすえ、 18また宮(みや)のうちに造(つく)られていた安息日(あんそくにち)用(よう)のおおいのある道(みち)、および王(おう)の用(もち)いる外(そと)の入口(いりぐち)をアッスリヤの王(おう)のために主(しゅ)の宮(みや)から除(のぞ)いた。 19アハズのその他(た)の事績(じせき)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 20アハズは先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)って、ダビデの町(まち)にその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に葬(ほうむ)られ、その子(こ)ヒゼキヤが代(かわ)って王(おう)となった。

第一七章

1ユダの王(おう)アハズの第(だい)十二年(ねん)にエラの子(こ)ホセアが王(おう)となり、サマリヤで九年(ねん)の間(あいだ)、イスラエルを治(おさ)めた。 2彼(かれ)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)ったが、彼(かれ)以前(いぜん)のイスラエルの王(おう)たちのようではなかった。 3アッスリヤの王(おう)シャルマネセルが攻(せ)め上(のぼ)ったので、ホセアは彼(かれ)に隷属(れいぞく)して、みつぎを納(おさ)めたが、 4アッスリヤの王(おう)はホセアがついに自分(じぶん)にそむいたのを知(し)った。それはホセアが使者(ししゃ)をエジプトの王(おう)ソにつかわし、また年々(ねんねん)納(おさ)めていたみつぎを、アッスリヤの王(おう)に納(おさ)めなかったからである。そこでアッスリヤの王(おう)は彼(かれ)を監禁(かんきん)し、獄屋(ごくや)につないだ。 5そしてアッスリヤの王(おう)は攻(せ)め上(のぼ)って国中(くにぢゅう)を侵(おか)し、サマリヤに上(のぼ)ってきて三年(ねん)の間(あいだ)、これを攻(せ)め囲(かこ)んだ。 6ホセアの第(だい)九年(ねん)になって、アッスリヤの王(おう)はついにサマリヤを取(と)り、イスラエルの人々(ひとびと)をアッスリヤに捕(とら)えていって、ハラと、ゴザンの川(かわ)ハボルのほとりと、メデアの町々(まちまち)においた。

7この事(こと)が起(た)ったのは、イスラエルの人々(ひとびと)が、自分(じぶん)たちをエジプトの地(ち)から導(みちび)き上(のぼ)って、エジプトの王(おう)パロの手(て)をのがれさせられたその神(かみ)、主(しゅ)にむかって罪(つみ)を犯(おか)し、他(た)の神々(かみがみ)を敬(うやま)い、 8主(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)の前(まえ)から追(お)い払(はら)われた異邦人(いほうじん)のならわしに従(したが)って歩(あゆ)み、またイスラエルの王(おう)たちが定(さだ)めたならわしに従(したが)って歩(あゆ)んだからである。 9イスラエルの人々(ひとびと)はその神(かみ)、主(しゅ)にむかって正(ただしか)らぬ事(こと)をひそかに行(おこな)い、見張(みはり)台(だい)から堅固(けんご)な町(まち)に至(いた)るまで、すべての町々(まちまち)に高(たか)き所(ところ)を建(た)て、 10またすべての高(たか)い丘(おか)の上(うえ)、すべての青(あお)木(き)の下(した)に石(いし)の柱(はしら)とアシラ像(ぞう)を立(た)て、 11主(しゅ)が彼(かれ)らの前(まえ)から捕(とら)え移(うつ)された異邦人(いほうじん)がしたように、すべての高(たか)き所(ところ)で香(こう)をたき、悪事(あくじ)を行(い)って、主(しゅ)を怒(いか)らせた。 12また主(しゅ)が彼(かれ)らに「あなたがたはこの事(こと)をしてはならない」と言(い)われたのに偶像(ぐうぞう)に仕(つか)えた。 13主(しゅ)はすべての預言者(よげんしゃ)、すべての先見者(せんけんしゃ)によってイスラエルとユダを戒(いまし)め、「翻(ひるがえ)って、あなたがたの悪(わる)い道(みち)を離(はな)れ、わたしがあなたがたの先祖(せんぞ)たちに命(めい)じ、またわたしのしもべである預言者(よげんしゃ)たちによってあなたがたに伝(つた)えたすべての律法(りっぽう)のとおりに、わたしの戒(いまし)めと定(さだ)めとを守(まも)れ」と仰(おお)せられたが、 14彼(かれ)らは聞(き)きいれず、彼(かれ)らの先祖(せんぞ)たちがその神(かみ)、主(しゅ)を信(しん)じないで、強情(ごうじょう)であったように、彼(かれ)らは強情(ごうじょう)であった。 15そして彼(かれ)らは主(しゅ)の定(さだ)めを捨(す)て、主(しゅ)が彼(かれ)らの先祖(せんぞ)たちと結(むす)ばれた契約(けいやく)を破(やぶ)り、また彼(かれ)らに与(あた)えられた警告(けいこく)を軽(かる)んじ、かつむなしい偶像(ぐうぞう)に従(したが)ってむなしくなり、また周囲(しゅうい)の異邦人(いほうじん)に従(したが)った。これは主(しゅ)が、彼(かれ)らのようにおこなってはならないと彼(かれ)らに命(めい)じられたものである。 16彼(かれ)らはその神(かみ)、主(しゅ)のすべての戒(いまし)めを捨(す)て、自分(じぶん)のために二つの子(こ)牛(うし)の像(ぞう)を鋳(い)て造(つく)り、またアシラ像(ぞう)を造(つく)り、天(てん)の万象(ばんしょう)を拝(おが)み、かつバアルに仕(つか)え、 17またそのむすこ、娘(むすめ)を火(ひ)に焼(や)いてささげ物(もの)とし、占(うらな)いおよびまじないをなし、主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)をおこなうことに身(み)をゆだねて、主(しゅ)を怒(いか)らせた。 18それゆえ、主(しゅ)は大(おお)いにイスラエルを怒(いか)り、彼(かれ)らをみ前(まえ)から除(のぞ)かれたので、ユダの部族(ぶぞく)のほか残(のこ)った者(もの)はなかった。

19ところがユダもまたその神(かみ)、主(しゅ)の戒(いまし)めを守(まも)らず、イスラエルが定(さだ)めたならわしに歩(あゆ)んだので、 20主(しゅ)はイスラエルの子孫(しそん)をことごとく捨(す)て、彼(かれ)らを苦(くる)しめ、彼(かれ)らを略奪者(りゃくだつしゃ)の手(て)にわたして、ついに彼(かれ)らをみ前(まえ)から打(う)ちすてられた。

21主(しゅ)はイスラエルをダビデの家(いえ)から裂(さ)き離(はな)されたので、イスラエルはネバテの子(こ)ヤラベアムを王(おう)としたが、ヤラベアムはイスラエルに、主(しゅ)に従(したが)うことをやめさせ、大(おお)きな罪(つみ)を犯(おか)させた。 22イスラエルの人々(ひとびと)がヤラベアムのおこなったすべての罪(つみ)をおこない続(つづ)けて、それを離(はな)れなかったので、 23ついに主(しゅ)はそのしもべである預言者(よげんしゃ)たちによって言(い)われたように、イスラエルをみ前(まえ)から除(のぞ)き去(さ)られた。こうしてイスラエルは自分(じぶん)の国(くに)からアッスリヤに移(うつ)されて今日(こんにち)に至(いた)っている。

24かくてアッスリヤの王(おう)はバビロン、クタ、アワ、ハマテおよびセパルワイムから人々(ひとびと)をつれてきて、これをイスラエルの人々(ひとびと)の代(かわ)りにサマリヤの町々(まちまち)におらせたので、その人々(ひとびと)はサマリヤを領有(りょうゆう)して、その町々(まちまち)に住(す)んだ。 25彼(かれ)らがそこに住(す)み始(はじ)めた時(とき)、主(しゅ)を敬(うやま)うことをしなかったので、主(しゅ)は彼(かれ)らのうちにししを送(おく)り、ししは彼(かれ)らのうちの数人(すうにん)を殺(ころ)した。 26そこで人々(ひとびと)はアッスリヤの王(おう)に告(つ)げて言(い)った、「あなたが移(うつ)してサマリヤの町々(まちまち)におらせられたあの国々(くにぐに)の民(たみ)は、その地(ち)の神(かみ)のおきてを知(し)らないゆえに、その神(かみ)は彼(かれ)らのうちにししを送(おく)り、ししは彼(かれ)らを殺(ころ)した。これは彼(かれ)らが、その地(ち)の神(かみ)のおきてを知(し)らないためです」。 27アッスリヤの王(おう)は命(めい)じて言(い)った、「あなたがたがあそこから移(うつ)した祭司(さいし)のひとりをあそこへ連(つ)れて行(い)きなさい。彼(かれ)をあそこへやって住(す)まわせ、その国(くに)の神(かみ)のおきてをその人々(ひとびと)に教(おし)えさせなさい」。

28そこでサマリヤから移(うつ)された祭司(さいし)のひとりが来(き)てベテルに住(す)み、どのように主(しゅ)を敬(うやま)うべきかを彼(かれ)らに教(おし)えた。 29しかしその民(たみ)はおのおの自分(じぶん)の神々(かみがみ)を造(つく)って、それをサマリヤびとが造(つく)った高(たか)き所(ところ)の家(いえ)に安置(あんち)した。民(たみ)は皆(みな)住(す)んでいる町々(まちまち)でそのようにおこなった。 30すなわちバビロンの人々(ひとびと)はスコテ・ベノテを造(つく)り、クタの人々(ひとびと)はネルガルを造(つく)り、ハマテの人々(ひとびと)はアシマを造(つく)り、 31アワの人々(ひとびと)はニブハズとタルタクを造(つく)り、セパルワイムびとはその子(こ)を火(ひ)に焼(や)いて、セパルワイムの神(かみ)アデランメレクおよびアナンメレクにささげた。 32彼(かれ)はまた主(しゅ)を敬(うやま)い、自分(じぶん)たちのうちから一般(いっぱん)の民(たみ)を立(た)てて高(たか)き所(ところ)の祭司(さいし)としたので、その人々(ひとびと)は高(たか)き所(ところ)の家(いえ)で勤(つと)めをした。 33このように彼(かれ)らは主(しゅ)を敬(うやま)ったが、また彼(かれ)らが出(で)てきた国々(くにぐに)のならわしにしたがって、自分(じぶん)たちの神々(かみがみ)にも仕(つか)えた。 34今日(こんにち)に至(いた)るまで彼(かれ)らは先(さき)のならわしにしたがっておこなっている。

彼(かれ)らは主(しゅ)を敬(うやま)わず、また主(しゅ)がイスラエルと名(な)づけられたヤコブの子孫(しそん)に命(めい)じられた定(さだ)めにも、おきてにも、律法(りっぽう)にも、戒(いまし)めにも従(したが)わない。 35主(しゅ)はかつて彼(かれ)らと契約(けいやく)を結(むす)び、彼(かれ)らに命(めい)じて言(い)われた、「あなたがたは他(た)の神々(かみがみ)を敬(うやま)ってはならない。また彼(かれ)らを拝(おが)み、彼(かれ)らに仕(つか)え、彼(かれ)らに犠牲(ぎせい)をささげてはならない。 36ただ大(おお)きな力(ちから)と伸(の)べた腕(うで)とをもって、あなたがたをエジプトの地(ち)から導(みちび)き上(のぼ)った主(しゅ)をのみ敬(うやま)い、これを拝(おが)み、これに犠牲(ぎせい)をささげなければならない。 37またあなたがたのために書(か)きしるされた定(さだ)めと、おきてと、律法(りっぽう)と、戒(いまし)めとを、慎(つつし)んで常(つね)に守(まも)らなければならない。他(た)の神々(かみがみ)を敬(うやま)ってはならない。 38わたしがあなたがたと結(むす)んだ契約(けいやく)を忘(わす)れてはならない。また他(た)の神々(かみがみ)を敬(うやま)ってはならない。 39ただあなたがたの神(かみ)、主(しゅ)を敬(うやま)わなければならない。主(しゅ)はあなたがたをそのすべての敵(てき)の手(て)から救(すく)い出(だ)されるであろう」。 40しかし彼(かれ)らは聞(き)きいれず、かえって先(さき)のならわしにしたがっておこなった。

41このように、これらの民(たみ)は主(しゅ)を敬(うやま)い、またその刻(きざ)んだ像(ぞう)にも仕(つか)えたが、その子(こ)たちも、孫(まご)たちも同様(どうよう)であって、彼(かれ)らはその先祖(せんぞ)がおこなったように今日(こんにち)までおこなっている。

第一八章

1イスラエルの王(おう)エラの子(こ)ホセアの第(だい)三年(ねん)にユダの王(おう)アハズの子(こ)ヒゼキヤが王(おう)となった。 2彼(かれ)は王(おう)となった時(とき)二十五歳(さい)で、エルサレムで二十九年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。その母(はは)はゼカリヤの娘(むすめ)で、名(な)をアビといった。 3ヒゼキヤはすべて先祖(せんぞ)ダビデがおこなったように主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)を行(おこな)い、 4高(たか)き所(ところ)を除(のぞ)き、石柱(せきちゅう)をこわし、アシラ像(ぞう)を切(き)り倒(たお)し、モーセの造(つく)った青銅(せいどう)のへびを打(う)ち砕(くだ)いた。イスラエルの人々(ひとびと)はこの時(とき)までそのへびに向(む)かって香(こう)をたいていたからである。人々(ひとびと)はこれをネホシタンと呼(よ)んだ。 5ヒゼキヤはイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)に信頼(しんらい)した。そのために彼(かれ)のあとにも彼(かれ)の先(さき)にも、ユダのすべての王(おう)のうちに彼(かれ)に及(およ)ぶ者(もの)はなかった。 6すなわち彼(かれ)は固(かた)く主(しゅ)に従(したが)って離(はな)れることなく、主(しゅ)がモーセに命(めい)じられた命令(めいれい)を守(まも)った。 7主(しゅ)が彼(かれ)と共(とも)におられたので、すべて彼(かれ)が出(で)て戦(たたか)うところで功(こう)をあらわした。彼(かれ)はアッスリヤの王(おう)にそむいて、彼(かれ)に仕(つか)えなかった。 8彼(かれ)はペリシテびとを撃(う)ち敗(はい)って、ガザとその領域(りょういき)にまで達(たっ)し、見張(みはり)台(だい)から堅固(けんご)な町(まち)にまで及(およ)んだ。

9ヒゼキヤ王(おう)の第(だい)四年(ねん)すなわちイスラエルの王(おう)エラの子(こ)ホセアの第(だい)七年(ねん)に、アッスリヤの王(おう)シャルマネセルはサマリヤに攻(せ)め上(のぼ)って、これを囲(かこ)んだが、 10三年(ねん)の後(のち)ついにこれを取(と)った。サマリヤが取(と)られたのはヒゼキヤの第(だい)六年(ねん)で、それはイスラエルの王(おう)ホセアの第(だい)九年(ねん)であった。 11アッスリヤの王(おう)はイスラエルの人々(ひとびと)をアッスリヤに捕(とら)えていって、ハラと、ゴザンの川(かわ)ハボルのほとりと、メデアの町々(まちまち)に置(お)いた。 12これは彼(かれ)らがその神(かみ)、主(しゅ)の言葉(ことば)にしたがわず、その契約(けいやく)を破(やぶ)り、主(しゅ)のしもべモーセの命(めい)じたすべての事(こと)に耳(みみ)を傾(かたむ)けず、また行(おこな)わなかったからである。

13ヒゼキヤ王(おう)の第(だい)十四年(ねん)にアッスリヤの王(おう)セナケリブが攻(せ)め上(のぼ)ってユダのすべての堅固(けんご)な町々(まちまち)を取(と)ったので、 14ユダの王(おう)ヒゼキヤは人(ひと)をラキシにつかわしてアッスリヤの王(おう)に言(い)った、「わたしは罪(つみ)を犯(おか)しました。どうぞ引(ひ)き上(あ)げてください。わたしに課(か)せられることはなんでもいたします」。アッスリヤの王(おう)は銀(ぎん)三百タラントと金(きん)三十タラントをユダの王(おう)ヒゼキヤに課(か)した。 15ヒゼキヤは主(しゅ)の宮(みや)と王(おう)の家(いえ)の倉(くら)とにある銀(ぎん)をことごとく彼(かれ)に与(あた)えた。 16この時(とき)ユダの王(おう)ヒゼキヤはまた主(しゅ)の神殿(しんでん)の戸(と)および柱(はしら)から自分(じぶん)が着(き)せた金(きん)をはぎ取(と)って、アッスリヤの王(おう)に与(あた)えた。 17アッスリヤの王(おう)はまたタルタン、ラブサリスおよびラブシャケを、ラキシから大軍(たいぐん)を率(ひき)いてエルサレムにいるヒゼキヤ王(おう)のもとにつかわした。彼(かれ)らは上(のぼ)ってエルサレムに来(き)た。彼(かれ)らはエルサレムに着(つ)くと、布(ぬの)さらし場(ば)に行(い)く大路(おおじ)に沿(そ)っている上(うえ)の池(いけ)の水道(すいどう)のかたわらへ行(い)って、そこに立(た)った。 18そして彼(かれ)らが王(おう)を呼(よ)んだので、ヒルキヤの子(こ)である宮内卿(くないきょう)エリアキム、書記官(しょきかん)セブナ、およびアサフの子(こ)である史官(しかん)ヨアが彼(かれ)らのところに出(で)てきた。

19ラブシャケは彼(かれ)らに言(い)った、「ヒゼキヤに言(い)いなさい、『大王(だいおう)、アッスリヤの王(おう)はこう仰(おお)せられる。あなたが頼(たの)みとする者(もの)は何(なに)か。 20口先(くちさき)だけの言葉(ことば)が戦争(せんそう)をする計略(けいりゃく)と力(ちから)だと考(かんが)えるのか。あなたは今(いま)だれにたよって、わたしにそむいたのか。 21今(いま)あなたは、あの折(お)れかけている葦(あし)のつえ、エジプトを頼(たの)みとしているが、それは人(ひと)がよりかかる時(とき)、その人(ひと)の手(て)を刺(さ)し通(とお)すであろう。エジプトの王(おう)パロはすべて寄(よ)り頼(たの)む者(もの)にそのようにする。 22しかしあなたがもし「われわれは、われわれの神(かみ)、主(しゅ)を頼(たの)む」とわたしに言(い)うのであれば、その神(かみ)はヒゼキヤがユダとエルサレムに告(つ)げて、「あなたがたはエルサレムで、この祭壇(さいだん)の前(まえ)に礼拝(れいはい)しなければならない」と言(い)って、その高(たか)き所(ところ)と祭壇(さいだん)とを除(のぞ)いた者(もの)ではないか。 23さあ、わたしの主君(しゅくん)アッスリヤの王(おう)とかけをせよ。もしあなたの方(ほう)に乗(の)る人(ひと)があるならば、わたしは馬(うま)二千頭(とう)を与(あた)えよう。 24あなたはエジプトを頼(たの)み、戦車(せんしゃ)と騎兵(きへい)を請(こ)い求(もと)めているが、わたしの主君(しゅくん)の家来(けらい)のうちの最(もっと)も小(ちい)さい一隊長(たいちょう)でさえ、どうして撃退(げきたい)することができようか。 25わたしがこの所(ところ)を滅(ほろ)ぼすために上(のぼ)ってきたのは、主(しゅ)の許(ゆる)しなしにしたことであろうか。主(しゅ)がわたしにこの地(ち)に攻(せ)め上(のぼ)ってこれを滅(ほろ)ぼせと言(い)われたのだ』」。

26その時(とき)ヒルキヤの子(こ)エリアキムおよびセブナとヨアはラブシャケに言(い)った、「どうぞ、アラム語(ご)でしもべどもに話(はな)してください。わたしたちは、それがわかるからです。城壁(じょうへき)の上(うえ)にいる民(たみ)の聞(き)いているところで、わたしたちにユダヤの言葉(ことば)で話(はな)さないでください」。 27しかしラブシャケは彼(かれ)らに言(い)った、「わたしの主君(しゅくん)は、あなたの主君(しゅくん)とあなたにだけでなく、城壁(じょうへき)の上(うえ)に座(ざ)している人々(ひとびと)にも、この言葉(ことば)を告(つ)げるためにわたしをつかわしたのではないか。彼(かれ)らも、あなたがたと共(とも)に自分(じぶん)の糞尿(ふんにょう)を食(く)い飲(の)みするに至(いた)るであろう」。

28そしてラブシャケは立(た)ちあがり、ユダヤの言葉(ことば)で大声(おおごえ)に呼(よ)ばわって言(い)った。「大王(だいおう)、アッスリヤの王(おう)の言葉(ことば)を聞(き)け。 29王(おう)はこう仰(おお)せられる、『あなたがたはヒゼキヤに欺(あざむ)かれてはならない。彼(かれ)はあなたがたをわたしの手(て)から救(すく)いだすことはできない。 30ヒゼキヤが「主(しゅ)は必(かなら)ずわれわれを救(すく)い出(だ)される。この町(まち)はアッスリヤ王(おう)の手(て)に陥(おちい)ることはない」と言(い)っても、あなたがたは主(しゅ)を頼(たの)みとしてはならない』。 31あなたがたはヒゼキヤの言葉(ことば)を聞(き)いてはならない。アッスリヤの王(おう)はこう仰(おお)せられる、『あなたがたはわたしと和解(わかい)して、わたしに降服(こうふく)せよ。そうすればあなたがたはおのおの自分(じぶん)のぶどうの実(み)を食(た)べ、おのおの自分(じぶん)のいちじくの実(み)を食(た)べ、おのおの自分(じぶん)の井戸(いど)の水(みず)を飲(の)むことができるであろう。 32やがてわたしが来(き)て、あなたがたを一つの国(くに)へ連(つ)れて行(い)く。それはあなたがたの国(くに)のように穀物(こくもつ)とぶどう酒(しゅ)のある地(ち)、パンとぶどう畑(はたけ)のある地(ち)、オリブの木(き)と蜜(みつ)のある地(ち)である。あなたがたは生(い)きながらえることができ、死(し)ぬことはない。ヒゼキヤが「主(しゅ)はわれわれを救(すく)われる」と言(い)って、あなたがたを惑(まど)わしても彼(かれ)に聞(き)いてはならない。 33諸(しょ)国民(こくみん)の神々(かみがみ)のうち、どの神(かみ)がその国(くに)をアッスリヤの王(おう)の手(て)から救(すく)ったか。 34ハマテやアルパデの神々(かみがみ)はどこにいるのか。セパルワイム、ヘナおよびイワの神々(かみがみ)はどこにいるのか。彼(かれ)らはサマリヤをわたしの手(て)から救(すく)い出(だ)したか。 35国々(くにぐに)のすべての神々(かみがみ)のうち、その国(くに)をわたしの手(て)から救(すく)い出(だ)した者(もの)があったか。主(しゅ)がどうしてエルサレムをわたしの手(て)から救(すく)い出(だ)すことができよう』」。

36しかし民(たみ)は黙(もく)して、ひと言(こと)も彼(かれ)に答(こた)えなかった。王(おう)が命(めい)じて「彼(かれ)に答(こた)えてはならない」と言(い)っておいたからである。 37こうしてヒルキヤの子(こ)である宮内卿(くないきょう)エリアキム、書記官(しょきかん)セブナ、およびアサフの子(こ)である史官(しかん)ヨアは衣(ころも)を裂(さ)き、ヒゼキヤのもとに来(き)て、ラブシャケの言葉(ことば)を彼(かれ)に告(つ)げた。

第一九章

1ヒゼキヤ王(おう)はこれを聞(き)いて、衣(ころも)を裂(さ)き、荒布(あらぬの)を身(み)にまとって主(しゅ)に宮(みや)に入(はい)り、 2宮内卿(くないきょう)エリアキムと書記官(しょきかん)セブナおよび祭司(さいし)のうちの年長者(ねんちょうしゃ)たちに荒布(あらぬの)をまとわせて、アモツの子(こ)預言者(よげんしゃ)イザヤのもとにつかわした。 3彼(かれ)らはイザヤに言(い)った、「ヒゼキヤはこう申(もう)されます、『きょうは悩(なや)みと、懲(こら)しめと、はずかしめの日(ひ)です。胎児(たいじ)がまさに生(うま)れようとして、これを産(う)み出(だ)す力(ちから)がないのです。 4あなたの神(かみ)、主(しゅ)はラブシャケがその主君(しゅくん)アッスリヤの王(おう)につかわされて、生(い)ける神(かみ)をそしったもろもろの言葉(ことば)を聞(き)かれたかもしれません。そしてあなたの神(かみ)、主(しゅ)はその聞(き)いた言葉(ことば)をとがめられるかもしれません。それゆえ、この残(のこ)っている者(もの)のために祈(いのり)をささげてください』」。 5ヒゼキヤ王(おう)の家来(けらい)たちがイザヤのもとに来(き)たとき、 6イザヤは彼(かれ)らに言(い)った、「あなたがたの主君(しゅくん)にこう言(い)いなさい、『主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、アッスリヤの王(おう)の家来(けらい)たちが、わたしをそしった言葉(ことば)を聞(き)いて恐(おそ)れるには及(およ)ばない。 7見(み)よ、わたしは一つの霊(れい)を彼(かれ)らのうちに送(おく)って、一つのうわさを聞(き)かせ、彼(かれ)を自分(じぶん)の国(くに)へ帰(かえ)らせて、自分(じぶん)の国(くに)でつるぎに倒(たお)れさせるであろう』」。

8ラブシャケは引(ひ)き返(かえ)して、アッスリヤの王(おう)がリブナを攻(せ)めているところへ行(い)った。彼(かれ)が王(おう)のラキシを去(さ)ったことを聞(き)いたからである。 9この時(とき)アッスリヤの王(おう)はエチオピヤの王(おう)テルハカについて、「彼(かれ)はあなたと戦(たたか)うために出(で)てきた」と人々(ひとびと)がいうのを聞(き)いたので、再(ふたた)び使者(ししゃ)をヒゼキヤにつかわして言(い)った、 10「ユダの王(おう)ヒゼキヤにこう言(い)いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの王(おう)の手(て)に陥(おちい)ることはない、と言(い)うあなたの信頼(しんらい)する神(かみ)に欺(あざむ)かれてはならない。 11あなたはアッスリヤの王(おう)たちがもろもろの国々(くにぐに)にした事(こと)、彼(かれ)らを全(まった)く滅(ほろ)ぼした事(こと)を聞(き)いている。どうしてあなたが救(すく)われることができようか。 12わたしの父(ちち)たちはゴザン、ハラン、レゼフ、およびテラサルにいたエデンの人々(ひとびと)を滅(ほろ)ぼしたが、その国々(くにぐに)の神々(かみがみ)は彼(かれ)らを救(すく)ったか。 13ハマテの王(おう)、アルパデの王(おう)、セパルワイムの町(まち)の王(おう)、ヘナの王(おう)およびイワの王(おう)はどこにいるのか』」。

14ヒゼキヤは使者(ししゃ)の手(て)から手紙(てがみ)を受(う)け取(と)ってそれを読(よ)み、主(しゅ)の宮(みや)にのぼっていって、主(しゅ)の前(まえ)にそれをひろげ、 15そしてヒゼキヤは主(しゅ)の前(まえ)に祈(いの)って言(い)った、「ケルビムの上(うえ)に座(ざ)しておられるイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)よ、地(ち)のすべての国(くに)のうちで、ただあなただけが神(かみ)でいらせられます。あなたは天(てん)と地(ち)を造(つく)られました。 16主(しゅ)よ、耳(みみ)を傾(かたむ)けて聞(き)いてください。主(しゅ)よ、目(め)を開(ひら)いてごらんください。セナケリブが生(い)ける神(かみ)をそしるために書(か)き送(おく)った言葉(ことば)をお聞(き)きください。 17主(しゅ)よ、まことにアッスリヤの王(おう)たちはもろもろの民(たみ)とその国々(くにぐに)を滅(ほろ)ぼし、 18またその神々(かみがみ)を火(ひ)に投(な)げ入(い)れました。それらは神(かみ)ではなく、人(ひと)の手(て)の作(つく)ったもので、木(き)や石(いし)だから滅(ほろ)ぼされたのです。 19われわれの神(かみ)、主(しゅ)よ、どうぞ、今(いま)われわれを彼(かれ)の手(て)から救(すく)い出(だ)してください。そうすれば地(ち)の国々(くにぐに)は皆(みな)、主(しゅ)であるあなただけが神(かみ)でいらせられることを知(し)るようになるでしょう」。 20その時(とき)アモツの子(こ)イザヤは人(ひと)をつかわしてヒゼキヤに言(い)った、「イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、『アッスリヤの王(おう)セナケリブについてあなたがわたしに祈(いの)ったことは聞(き)いた』。 21主(しゅ)が彼(かれ)について語(かた)られた言葉(ことば)はこうである、
『処女(しょじょ)であるシオンの娘(むすめ)は
あなたを侮(あなど)り、あなたをあざける。
エルサレムの娘(むすめ)は
あなたのうしろで頭(あたま)を振(ふ)る。
22あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。
あなたはだれにむかって声(こえ)をあげ、
目(め)を高(たか)くあげたのか。
イスラエルの聖者(せいじゃ)にむかってしたのだ。
23あなたは使者(ししゃ)をもって主(しゅ)をそしって言(い)った、
「わたしは多(おお)くの戦車(せんしゃ)をひきいて山々(やまやま)の頂(いただき)にのぼり、
レバノンの奥(おく)に行(い)き、
たけの高(たか)い香柏(こうはく)と最(もっと)も良(よ)いいとすぎを切(き)り倒(たお)し、
またその果(はて)の野営(やえい)地(ち)に行(い)き、
その密林(みつりん)にはいった。
24わたしは井戸(いど)を掘(ほ)って外国(がいこく)の水(みず)を飲(の)んだ。
わたしは足(あし)の裏(うら)で、
エジプトのすべての川(かわ)を踏(ふ)みからした」。
25あなたは聞(き)かなかったか、
昔(むかし)わたしがこれを定(さだ)めたことを。
堅固(けんご)な町々(まちまち)をあなたが荒塚(あらつか)とすることも、
いにしえの日(ひ)からわたしが計画(けいかく)して
今(いま)これをおこなうのだ。
26そのうちに住(す)む民(たみ)は力(ちから)弱(よわ)くおののき、恥(はじ)をいだいて、
野(の)の草(くさ)のように、青菜(あおな)のようになり、
育(そだ)たないで枯(か)れる屋根(やね)の草(くさ)のようになった。
27わたしはあなたのすわること、出入(でい)りすること、
わたしにむかって怒(いか)り叫(さけ)んだことをも知(し)っている。
28あなたがわたしにむかって怒(いか)り叫(さけ)んだことと、
あなたの高慢(こうまん)がわたしの耳(みみ)にはいったため、
わたしはあなたの鼻(はな)に輪(わ)をつけ、
あなたの口(くち)にくつわをはめて、
あなたをもときた道(みち)へ引(ひ)きもどすであろう』。

29『あなたに与(あた)えるしるしはこれである。すなわち、ことしは落(お)ち穂(ぼ)からはえたものを食(た)べ、二年(ねん)目(め)にはまたその落(お)ち穂(ぼ)からはえたものを食(た)べ、三年(ねん)目(め)には種(たね)をまき、刈(か)り入(い)れ、ぶどう畑(はたけ)を作(つく)ってその実(み)を食(た)べるであろう。 30ユダの家(いえ)ののがれて残(のこ)る者(もの)は再(ふたた)び下(した)に根(ね)を張(は)り、上(うえ)に実(み)を結(むす)ぶであろう。 31すなわち残(のこ)る者(もの)がエルサレムから出(で)てき、のがれた者(もの)がシオンの山(やま)から出(で)て来(く)るであろう。主(しゅ)の熱心(ねっしん)がこれをされるであろう』。

32それゆえ、主(しゅ)はアッスリヤの王(おう)について、こう仰(おお)せられる、『彼(かれ)はこの町(まち)にこない、またここに矢(や)を放(はな)たない、盾(たて)をもってその前(まえ)に来(く)ることなく、また塁(るい)を築(きず)いてこれを攻(せ)めることはない。 33彼(かれ)は来(き)た道(みち)を帰(かえ)って、この町(まち)に、はいることはない。主(しゅ)がこれを言(い)う。 34わたしは自分(じぶん)のため、またわたしのしもべダビデのためにこの町(まち)を守(まも)って、これを救(すく)うであろう』」。

35その夜(よる)、主(しゅ)の使(つかい)が出(で)て、アッスリヤの陣営(じんえい)で十八万五千人(にん)を撃(う)ち殺(ころ)した。人々(ひとびと)が朝(あさ)早(はや)く起(お)きて見(み)ると、彼(かれ)らは皆(みな)、死体(したい)となっていた。 36アッスリヤの王(おう)セナケリブは立(た)ち去(さ)り、帰(かえ)って行(い)ってニネベにいたが、 37その神(かみ)ニスロクの神殿(しんでん)で礼拝(れいはい)していた時(とき)、その子(こ)アデランメレクとシャレゼルが、つるぎをもって彼(かれ)を殺(ころ)し、ともにアララテの地(ち)へ逃(に)げて行(い)った。そこでその子(こ)エサルハドンが代(かわ)って王(おう)となった。

第二〇章

1そのころ、ヒゼキヤは病気(びょうき)になって死(し)にかかっていた。アモツの子(こ)預言者(よげんしゃ)イザヤは彼(かれ)のところにきて言(い)った、「主(しゅ)はこう仰(おお)せられます、『家(いえ)の人(ひと)に遺言(ゆいごん)をなさい。あなたは死(し)にます。生(い)きながらえることはできません』」。 2そこでヒゼキヤは顔(かお)を壁(かべ)に向(む)けて主(しゅ)に祈(いの)って言(い)った、 3「ああ主(しゅ)よ、わたしが真実(しんじつ)を真心(まごころ)をもってあなたの前(まえ)に歩(あゆ)み、あなたの目(め)にかなうことをおこなったのをどうぞ思(おも)い起(おこ)してください」。そしてヒゼキヤは激(はげ)しく泣(な)いた。 4イザヤがまだ中庭(なかにわ)を出(で)ないうちに主(しゅ)の言葉(ことば)が彼(かれ)に臨(のぞ)んだ、 5「引(ひ)き返(かえ)して、わたしの民(たみ)の君(きみ)ヒゼキヤに言(い)いなさい、『あなたの父(ちち)ダビデの神(かみ)、主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、わたしはあなたの祈(いのり)を聞(き)き、あなたの涙(なみだ)を見(み)た。見(み)よ、わたしはあなたをいやす。三日(か)目(め)にはあなたは主(しゅ)の宮(みや)に上(のぼ)るであろう。 6かつ、わたしはあなたのよわいを十五年(ねん)増(ま)す。わたしはあなたと、この町(まち)とをアッスリヤの王(おう)の手(て)から救(すく)い、わたしの名(な)のため、またわたしのしもべダビデのためにこの町(まち)を守(まも)るであろう』」。 7そしてイザヤは言(い)った、「干(ほ)しいちじくのひとかたまりを持(も)ってきて、それを腫物(はれもの)につけさせなさい。そうすれば直(なお)るでしょう」。

8ヒゼキヤはイザヤに言(い)った、「主(しゅ)がわたしをいやされる事(こと)と、三日(か)目(め)にわたしが主(しゅ)の家(いえ)に上(のぼ)ることについて、どんなしるしがありましょうか」。 9イザヤは言(い)った、「主(しゅ)が約束(やくそく)されたことを行(おこな)われることについては、主(しゅ)からこのしるしを得(え)られるでしょう。すなわち日影(ひかげ)が十度(ど)進(すす)むか、あるいは十度(ど)退(しりぞ)くかです」。 10ヒゼキヤは答(こた)えた、「日影(ひかげ)が十度(ど)進(すす)むことはたやすい事(こと)です。むしろ日影(ひかげ)を十度(ど)退(しりぞ)かせてください」。 11そこで預言者(よげんしゃ)イザヤが主(しゅ)に呼(よ)ばわると、アハズの日(ひ)時(とき)計の上(うえ)に進(すす)んだ日影(ひかげ)を、十度(ど)退(しりぞ)かせられた。

12そのころ、バラダンの子(こ)であるバビロンの王(おう)メロダクバラダンは、手紙(てがみ)と贈(おく)り物(もの)を持(も)たせて使節(しせつ)をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが病(や)んでいることを聞(き)いたからである。 13ヒゼキヤは彼(かれ)らを喜(よろこ)び迎(むか)えて、宝物(ほうもつ)の蔵(くら)、金銀(きんぎん)、香料(こうりょう)、貴重(きちょう)な油(あぶら)および武器(ぶき)倉(くら)、ならびにその倉庫(そうこ)にあるすべての物(もの)を彼(かれ)らに見(み)せた。家(いえ)にある物(もの)も、国(くに)にある物(もの)も、ヒゼキヤが彼(かれ)らに見(み)せない物(もの)は一つもなかった。 14その時(とき)、預言者(よげんしゃ)イザヤはヒゼキヤ王(おう)のもとにきて言(い)った、「あの人々(ひとびと)は何(なに)を言(い)いましたか。どこからきたのですか」。ヒゼキヤは言(い)った、「彼(かれ)らは遠(とお)い国(くに)から、バビロンからきたのです」。 15イザヤは言(い)った、「彼(かれ)らはあなたの家(いえ)で何(なに)を見(み)ましたか」。ヒゼキヤは答(こた)えて言(い)った、「わたしの家(いえ)にある物(もの)を皆(みな)見(み)ました。わたしの倉庫(そうこ)のうちには、わたしが彼(かれ)らに見(み)せない物(もの)は一つもありません」。

16そこでイザヤはヒゼキヤに言(い)った、「主(しゅ)の言葉(ことば)を聞(き)きなさい、 17『主(しゅ)は言(い)われる、見(み)よ、すべてあなたの家(いえ)にある物(もの)、および、あなたの先祖(せんぞ)たちが今日(こんにち)までに積(つ)みたくわえた物(もの)の、バビロンに運(はこ)び去(さ)られる日(ひ)が来(く)る。何(なに)も残(のこ)るものはないであろう。 18また、あなたの身(み)から出(で)るあなたの子(こ)たちも連(つ)れ去(さ)られ、バビロンの王(おう)の宮殿(きゅうでん)で宦官(かんがん)となるであろう』」。 19ヒゼキヤはイザヤに言(い)った、「あなたが言(い)われた主(しゅ)の言葉(ことば)は結構(けっこう)です」。彼(かれ)は「せめて自分(じぶん)が世(よ)にあるあいだ、平和(へいわ)と安全(あんぜん)があれば良(よ)いことではなかろうか」と思(おも)ったからである。

20ヒゼキヤのその他(た)の事績(じせき)とその武勇(ぶゆう)および、彼(かれ)が貯水池(ちょすいち)と水道(すいどう)を作(つく)って、町(まち)に水(みず)を引(ひ)いた事(こと)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 21ヒゼキヤはその先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)って、その子(こ)マナセが代(かわ)って王(おう)となった。

第二一章

1マナセは十二歳(さい)で王(おう)となり、五十五年(ねん)の間(あいだ)、エルサレムで世(よ)を治(おさ)めた。母(はは)の名(な)はヘフジバといった。 2マナセは主(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)の前(まえ)から追(お)い払(はら)われた国々(くにぐに)の民(たみ)の憎(にく)むべきおこないにならって、主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)をおこなった。 3彼(かれ)は父(ちち)ヒゼキヤがこわした高(たか)き所(ところ)を建(た)て直(なお)し、またイスラエルの王(おう)アハブがしたようにバアルのために祭壇(さいだん)を築(きず)き、アシラ像(ぞう)を造(つく)り、かつ天(てん)の万象(ばんしょう)を拝(おが)んで、これに仕(つか)えた。 4また主(しゅ)の宮(みや)のうちに数個(すうこ)の祭壇(さいだん)を築(きず)いた。これは主(しゅ)が「わたしの名(な)をエルサレムに置(お)こう」と言(い)われたその宮(みや)である。 5彼(かれ)はまた主(しゅ)の宮(みや)の二つの庭(にわ)に天(てん)の万象(ばんしょう)のために祭壇(さいだん)を築(きず)いた。 6またその子(こ)を火(ひ)に焼(や)いてささげ物(もの)とし、占(うらな)いをし、魔術(まじゅつ)を行(おこな)い、口寄(くちよ)せと魔法使(まほうつかい)を用(もち)い、主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に多(おお)くの悪(あく)を行(い)って、主(しゅ)の怒(いか)りを引(ひ)き起(おこ)した。 7彼(かれ)はまたアシラの彫像(ちょうぞう)を作(つく)って主(しゅ)の宮(みや)に置(お)いた。主(しゅ)はこの宮(みや)についてダビデとその子(こ)ソロモンに言(い)われたことがある、「わたしはこの宮(みや)と、わたしがイスラエルのすべての部族(ぶぞく)のうちから選(えら)んだエルサレムとに、わたしの名(な)を永遠(えいえん)に置(お)く。 8もし、彼(かれ)らがわたしが命(めい)じたすべての事(こと)、およびわたしのしもべモーセが命(めい)じたすべての律法(りっぽう)を守(まも)り行(おこな)うならば、イスラエルの足(あし)を、わたしが彼(かれ)らの先祖(せんぞ)たちに与(あた)えた地(ち)から、重(かさ)ねて迷(まよ)い出(だ)させないであろう」。 9しかし彼(かれ)らは聞(き)きいれなかった。マナセが人々(ひとびと)をいざなって悪(あく)を行(おこな)ったことは、主(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)の前(まえ)に滅(ほろ)ぼされた国々(くにぐに)の民(たみ)よりもはなはだしかった。

10そこで主(しゅ)はそのしもべである預言者(よげんしゃ)たちによって言(い)われた、 11「ユダの王(おう)マナセがこれらの憎(にく)むべき事(こと)を行(おこな)い、彼(かれ)の先(さき)にあったアモリびとの行(い)ったすべての事(こと)よりも悪(わる)い事(こと)を行(おこな)い、またその偶像(ぐうぞう)をもってユダに罪(つみ)を犯(おか)させたので、 12イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はこう仰(おお)せられる、見(み)よ、わたしはエルサレムとユダに災(わざわい)をくだそうとしている。これを聞(き)く者(もの)は、その耳(みみ)が二つながら鳴(な)るであろう。 13わたしはサマリヤをはかった測(はか)りなわと、アハブの家(いえ)に用(もち)いた下(さ)げ振(ふ)りをエルサレムにほどこし、人(ひと)が皿(さら)をぬぐい、これをぬぐって伏(ふ)せるように、エルサレムをぬぐい去(さ)る。 14わたしは、わたしの嗣(し)業(ぎょう)の民(たみ)の残(のこ)りを捨(す)て、彼(かれ)らを敵(てき)の手(て)に渡(わた)す。彼(かれ)らはもろもろの敵(てき)のえじきとなり、略奪(りゃくだつ)にあうであろう。 15これは彼(かれ)らの先祖(せんぞ)たちがエジプトを出(で)た日(ひ)から今日(こんにち)に至(いた)るまで、彼(かれ)らがわたしの目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(い)って、わたしを怒(いか)らせたためである」。

16マナセはまた主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(い)って、ユダに罪(つみ)を犯(おか)させたその罪(つみ)のほかに、罪(つみ)なき者(もの)の血(ち)を多(おお)く流(なが)して、エルサレムのこの果(はて)から、かの果(はて)にまで満(み)たした。

17マナセのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がおこなったすべての事(こと)およびその犯(おか)した罪(つみ)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 18マナセは先祖(せんぞ)たちと共(とも)に眠(ねむ)って、その家(いえ)の園(その)すなわちウザの園(その)に葬(ほうむ)られ、その子(こ)アモンが代(かわ)って王(おう)となった。

19アモンは王(おう)となった時(とき)二十二歳(さい)であって、エルサレムで二年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。母(はは)はヨテバのハルツの娘(むすめ)で、名(な)をメシュレメテといった。 20アモンはその父(ちち)マナセのおこなったように、主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)った。 21すなわち彼(かれ)はすべてその父(ちち)の歩(あゆ)んだ道(みち)に歩(あゆ)み、父(ちち)の仕(つか)えた偶像(ぐうぞう)に仕(つか)えて、これを拝(おが)み、 22先祖(せんぞ)たちの神(かみ)、主(しゅ)を捨(す)てて、主(しゅ)の道(みち)に歩(あゆ)まなかった。 23アモンの家来(けらい)たちはついに彼(かれ)に敵(てき)して徒党(ととう)を結(むす)び、王(おう)をその家(いえ)で殺(ころ)したが、 24国(くに)の民(たみ)は、アモン王(おう)に敵(てき)して徒党(ととう)を結(むす)んだ者(もの)をことごとく撃(う)ち殺(ころ)した。そして国(くに)の民(たみ)はアモンの子(こ)ヨシヤを王(おう)としてアモンに代(かわ)らせた。 25アモンのその他(た)の事績(じせき)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 26アモンはウザの園(その)にある墓(はか)に葬(ほうむ)られ、その子(こ)ヨシヤが代(かわ)って王(おう)となった。

第二二章

1ヨシヤは八歳(さい)で王(おう)となり、エルサレムで三十一年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。母(はは)はボヅカテのアダヤの娘(むすめ)で、名(な)をエデダといった。 2ヨシヤは主(しゅ)の目(め)にかなう事(こと)を行(おこな)い、先祖(せんぞ)ダビデの道(みち)に歩(あゆ)んで右(みぎ)にも左(ひだり)にも曲(まが)らなかった。

3ヨシヤ王(おう)の第(だい)十八年(ねん)に王(おう)はメシュラムの子(こ)アザリヤの子(こ)である書記官(しょきかん)シャパンを主(しゅ)の宮(みや)につかわして言(い)った、 4「大(だい)祭司(さいし)ヒルキヤのもとへのぼって行(い)って、主(しゅ)に宮(みや)にはいってきた銀(ぎん)、すなわち門(もん)を守(まも)る者(もの)が民(たみ)から集(あつ)めたものの総額(そうがく)を彼(かれ)に数(かぞ)えさせ、 5それを工事(こうじ)をつかさどる主(しゅ)の宮(みや)の監督(かんとく)者(もの)の手(て)に渡(わた)させ、彼(かれ)らから主(しゅ)の宮(みや)で工事(こうじ)をする者(もの)にそれを渡(わた)して、宮(みや)の破(やぶ)れを繕(つくろ)わせなさい。 6すなわち木工(もっこう)と建築(けんちく)師(し)と石工(いしく)にそれを渡(わた)し、また宮(みや)を繕(つくろ)う材木(ざいもく)と切(き)り石(いし)を買(か)わせなさい。 7ただし彼(かれ)らは正直(しょうじき)に事(こと)を行(おこな)うから、彼(かれ)らに渡(わた)した銀(ぎん)については彼(かれ)らと計算(けいさん)するに及(およ)ばない」。

8その時(とき)大(だい)祭司(さいし)ヒルキヤは書記官(しょきかん)シャパンに言(い)った、「わたしは主(しゅ)の宮(みや)で律法(りっぽう)の書(しょ)を見(み)つけました」。そしてヒルキヤがその書物(しょもつ)をシャパンに渡(わた)したので、彼(かれ)はそれを読(よ)んだ。 9書記官(しょきかん)シャパンは王(おう)のもとへ行(い)き、王(おう)に報告(ほうこく)して言(い)った、「しもべどもは宮(みや)にあった銀(ぎん)を皆(みな)出(だ)して、それを工事(こうじ)をつかさどる主(しゅ)の宮(みや)の監督(かんとく)者(もの)の手(て)に渡(わた)しました」。 10書記官(しょきかん)シャパンはまた王(おう)に告(つ)げて「祭司(さいし)ヒルキヤはわたしに一つの書物(しょもつ)を渡(わた)しました」と言(い)い、それを王(おう)の前(まえ)で読(よ)んだ。

11王(おう)はその律法(りっぽう)の書(しょ)の言葉(ことば)を聞(き)くと、その衣(ころも)を裂(さ)いた。 12そして王(おう)は祭司(さいし)ヒルキヤと、シャパンの子(こ)アヒカムと、ミカヤの子(こ)アクボルと、書記官(しょきかん)シャパンと、王(おう)の大臣(だいじん)アサヤとに命(めい)じて言(い)った、 13「あなたがたは行(い)って、この見(み)つかった書物(しょもつ)の言葉(ことば)について、わたしのため、民(たみ)のため、またユダ全国(ぜんこく)のために主(しゅ)に尋(たず)ねなさい。われわれの先祖(せんぞ)たちがこの書物(しょもつ)の言葉(ことば)に聞(き)き従(したが)わず、すべてわれわれについてしるされている事(こと)を行(おこな)わなかったために、主(しゅ)はわれわれにむかって、大(おお)いなる怒(いか)りを発(はっ)しておられるからです」。

14そこで祭司(さいし)ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シャパンおよびアサヤはシャルムの妻(つま)である女(おんな)預言者(よげんしゃ)ホルダのもとへ行(い)った。シャルムはハルハスの子(こ)であるテクワの子(こ)で、衣装(いしょう)べやを守(まも)る者(もの)であった。その時(とき)ホルダはエルサレムの下町(したまち)に住(す)んでいた。彼(かれ)らがホルダに告(つ)げたので、 15ホルダは彼(かれ)らに言(い)った、「イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はこう仰(おお)せられます、『あなたがたをわたしにつかわした人(ひと)に言(い)いなさい。 16主(しゅ)はこう言(い)われます、見(み)よ、わたしはユダの王(おう)が読(よ)んだあの書物(しょもつ)のすべての言葉(ことば)にしたがって、災(わざわい)をこの所(ところ)と、ここに住(す)んでいる民(たみ)に下(くだ)そうとしている。 17彼(かれ)らがわたしを捨(す)てて他(た)の神々(かみがみ)に香(こう)をたき、自分(じぶん)たちの手(て)で作(つく)ったもろもろの物(もの)をもって、わたしを怒(いか)らせたからである。それゆえ、わたしはこの所(ところ)にむかって怒(いか)りの火(ひ)を発(はっ)する。これは消(き)えることがないであろう』。 18ただし主(しゅ)に尋(たず)ねるために、あなたがたをつかわしたユダの王(おう)にはこう言(い)いなさい、『あなたが聞(き)いた言葉(ことば)についてイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はこう仰(おお)せられます、 19あなたは、わたしがこの所(ところ)と、ここに住(す)んでいる民(たみ)にむかって、これは荒(あ)れ地(ち)となり、のろいとなるであろうと言(い)うのを聞(き)いた時(とき)、心(こころ)に悔(く)い、主(しゅ)の前(まえ)にへりくだり、衣(ころも)を裂(さ)いてわたしの前(まえ)に泣(な)いたゆえ、わたしもまたあなたの言(い)うことを聞(き)いたのであると主(しゅ)は言(い)われる。 20それゆえ、見(み)よ、わたしはあなたを先祖(せんぞ)たちのもとに集(あつ)める。あなたは安(やす)らかに墓(はか)に集(あつ)められ、わたしがこの所(ところ)に下(くだ)すもろもろの災(わざわい)を目(め)に見(み)ることはないであろう』」。彼(かれ)らはこの言葉(ことば)を王(おう)に持(も)ち帰(かえ)った。

第二三章

1そこで王(おう)は人(ひと)をつかわしてユダとエルサレムの長老(ちょうろう)たちをことごとく集(あつ)めた。 2そして王(おう)はユダのもろもろの人々(ひとびと)と、エルサレムのすべての住民(じゅうみん)および祭司(さいし)、預言者(よげんしゃ)ならびに大小(だいしょう)のすべての民(たみ)を従(したが)えて主(しゅ)の宮(みや)にのぼり、主(しゅ)の宮(みや)で見(み)つかった契約(けいやく)の書(しょ)の言葉(ことば)をことごとく彼(かれ)らに読(よ)み聞(き)かせた。 3次(つ)いで王(おう)は柱(はしら)のかたわらに立(た)って、主(しゅ)の前(まえ)に契約(けいやく)を立(た)て、主(しゅ)に従(したが)って歩(あゆ)み、心(こころ)をつくし精神(せいしん)をつくして、主(しゅ)の戒(いまし)めと、あかしと、定(さだ)めとを守(まも)り、この書物(しょもつ)にしるされているこの契約(けいやく)の言葉(ことば)を行(おこな)うことを誓(ちか)った。民(たみ)は皆(みな)その契約(けいやく)に加(くわ)わった。

4こうして王(おう)は大(だい)祭司(さいし)ヒルキヤと、それに次(つ)ぐ祭司(さいし)たちおよび門(もん)を守(まも)る者(もの)どもに命(めい)じて、主(しゅ)の神殿(しんでん)からバアルとアシラと天(てん)の万象(ばんしょう)とのために作(つく)ったもろもろの器(うつわ)を取(と)り出(だ)させ、エルサレムの外(そと)のキデロンの野(の)でそれを焼(や)き、その灰(はい)をベテルに持(も)って行(い)かせた。 5また、ユダの町々(まちまち)とエルサレムの周囲(しゅうい)にある高(たか)き所(ところ)で香(こう)をたくためにユダの王(おう)たちが任命(にんめい)した祭司(さいし)たちを廃(はい)し、またバアルと日(ひ)と月(つき)と星宿(せいしゅく)と天(てん)の万象(ばんしょう)とに香(こう)をたく者(もの)どもをも廃(はい)した。 6彼(かれ)はまた主(しゅ)の宮(みや)からアシラ像(ぞう)を取(と)り出(だ)し、エルサレムの外(そと)のキデロン川(かわ)に持(も)って行(い)って、キデロン川(かわ)でそれを焼(や)き、それを打(う)ち砕(くだ)いて粉(こな)とし、その粉(こな)を民(たみ)の墓(はか)に投(な)げすてた。 7また主(しゅ)の宮(みや)にあった神殿(しんでん)男娼(だんしょう)の家(いえ)をこわした。そこは女(おんな)たちがアシラ像(ぞう)のために掛(か)け幕(まく)を織(お)る所(ところ)であった。 8彼(かれ)はまたユダの町々(まちまち)から祭司(さいし)をことごとく召(め)しよせ、また祭司(さいし)が香(こう)をたいたゲバからベエルシバまでの高(たか)き所(ところ)を汚(けが)し、また門(もん)にある高(たか)き所(ところ)をこわした。これらの高(たか)き所(ところ)は町(まち)のつかさヨシュアの門(もん)の入口(いりぐち)にあり、町(まち)の門(もん)にはいる人(ひと)の左(ひだり)にあった。 9高(たか)き所(ところ)の祭司(さいし)たちはエルサレムで主(しゅ)の祭壇(さいだん)にのぼることをしなかったが、その兄弟(きょうだい)たちのうちにあって種(たね)入(い)れぬパンを食(た)べた。 10王(おう)はまた、だれもそのむすこ娘(むすめ)を火(ひ)に焼(や)いて、モレクにささげ物(もの)とすることのないように、ベンヒンノムの谷(たに)にあるトペテを汚(けが)した。 11またユダの王(おう)たちが太陽(たいよう)にささげて主(しゅ)の宮(みや)の門(もん)に置(お)いた馬(うま)を、境内(けいだい)にある侍従(じじゅう)ナタンメレクのへやのかたわらに移(うつ)し、太陽(たいよう)の車(くるま)を火(ひ)で焼(や)いた。 12また王(おう)はユダの王(おう)たちがアハズの高殿(たかどの)の屋上(おくじょう)に造(つく)った祭壇(さいだん)と、マナセが主(しゅ)の宮(みや)の二つの庭(にわ)に造(つく)った祭壇(さいだん)とをこわして、それを打(う)ち砕(くだ)き、砕(くだ)けたものをキデロン川(かわ)に投(な)げすてた。 13また王(おう)はイスラエルの王(おう)ソロモンが昔(むかし)シドンびとの憎(にく)むべき者(もの)アシタロテと、モアブびとの憎(にく)むべき者(もの)ケモシと、アンモンの人々(ひとびと)の憎(にく)むべき者(もの)ミルコムのためにエルサレムの東(ひがし)、滅亡(めつぼう)の山(やま)の南(みなみ)に築(きず)いた高(たか)き所(ところ)を汚(けが)した。 14またもろもろの石柱(せきちゅう)を打(う)ち砕(くだ)き、アシラ像(ぞう)を切(き)り倒(たお)し、人(ひと)の骨(ほね)をもってその所(ところ)を満(み)たした。

15また、ベテルにある祭壇(さいだん)と、イスラエルに罪(つみ)を犯(おか)させたネバテの子(こ)ヤラベアムが造(つく)った高(たか)き所(ところ)、すなわちその祭壇(さいだん)と高(たか)き所(ところ)とを彼(かれ)はこわし、その石(いし)を打(う)ち砕(くだ)いて粉(こな)とし、かつアシラ像(ぞう)を焼(や)いた。 16そしてヨシヤは身(み)をめぐらして山(やま)に墓(はか)のあるのを見(み)、人(ひと)をつかわしてその墓(はか)から骨(ほね)を取(と)らせ、それをその祭壇(さいだん)の上(うえ)で焼(や)いて、それを汚(けが)した。昔(むかし)、神(かみ)の人(ひと)が主(しゅ)の言葉(ことば)としてこの事(こと)を呼(よ)ばわり告(つ)げたが、そのとおりになった。 17その時(とき)ヨシヤは「あそこに見(み)える石碑(せきひ)は何(なに)か」と尋(たず)ねた。町(まち)の人々(ひとびと)が彼(かれ)に「あれはあなたがベテルの祭壇(さいだん)に対(たい)して行(おこな)われたこれらの事(こと)を、ユダからきて預言(よげん)した神(かみ)の人(ひと)の墓(はか)です」と言(い)ったので、 18彼(かれ)は言(い)った、「そのままにして置(お)きなさい。だれもその骨(ほね)を移(うつ)してはならない」。それでその骨(ほね)と、サマリヤからきた預言者(よげんしゃ)の骨(ほね)には手(て)をつけなかった。 19またイスラエルの王(おう)たちがサマリヤの町々(まちまち)に造(つく)って、主(しゅ)を怒(いか)らせた高(たか)き所(ところ)の家(いえ)も皆(みな)ヨシヤは取(と)り除(のぞ)いて、彼(かれ)がすべてベテルに行(い)ったようにこれに行(い)った。 20彼(かれ)はまた、そこにあった高(たか)き所(ところ)の祭司(さいし)たちを皆(みな)祭壇(さいだん)の上(うえ)で殺(ころ)し、人(ひと)の骨(ほね)を祭壇(さいだん)の上(うえ)で焼(や)いた。こうして彼(かれ)はエルサレムに帰(かえ)った。

21そして王(おう)はすべての民(たみ)に命(めい)じて、「あなたがたはこの契約(けいやく)の書(しょ)にしるされているように、あなたがたの神(かみ)、主(しゅ)に過越(すぎこし)の祭(まつり)を執(と)り行(おこな)いなさい」と言(い)った。 22さばきづかさがイスラエルをさばいた日(ひ)からこのかた、またイスラエルの王(おう)たちとユダの王(おう)たちの世(よ)にも、このような過越(すぎこし)の祭(まつり)を執(と)り行(おこな)ったことはなかったが、 23ヨシヤ王(おう)の第(だい)十八年(ねん)に、エルサレムでこの過越(すぎこし)の祭(まつり)を主(しゅ)に執(と)り行(おこな)ったのである。

24ヨシヤはまた祭司(さいし)ヒルキヤが主(しゅ)の宮(みや)で見(み)つけた書物(しょもつ)にしるされている律法(りっぽう)の言葉(ことば)を確実(かくじつ)に行(おこな)うために、口寄(くちよ)せと占(うらな)い師(し)と、テラピムと偶像(ぐうぞう)およびユダの地(ち)とエルサレムに見(み)られるもろもろの憎(にく)むべき者(もの)を取(と)り除(のぞ)いた。 25ヨシヤのように心(こころ)をつくし、精神(せいしん)をつくし、力(ちから)をつくしてモーセのすべての律法(りっぽう)にしたがい、主(しゅ)に寄(よ)り頼(たよ)んだ王(おう)はヨシヤの先(さき)にはなく、またその後(のち)にも彼(かれ)のような者(もの)は起(おこ)らなかった。

26けれども主(しゅ)はなおユダにむかって発(はっ)せられた激(はげ)しい大(おお)いなる怒(いか)りをやめられなかった。これはマナセがもろもろの腹(はら)だたしい行(おこな)いをもって主(しゅ)を怒(いか)らせたためである。 27それゆえ主(しゅ)は言(い)われた、「わたしはイスラエルを移(うつ)したように、ユダをもわたしの目(め)の前(まえ)から移(うつ)し、わたしが選(えら)んだこのエルサレムの町(まち)と、わたしの名(な)をそこに置(お)こうと言(い)ったこの宮(みや)とを捨(す)てるであろう」。

28ヨシヤのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)が行(い)ったすべての事(こと)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 29ヨシヤの世(よ)にエジプトの王(おう)パロ・ネコが、アッスリヤの王(おう)のところへ行(い)こうと、ユフラテ川(かわ)をさして上(のぼ)ってきたので、ヨシヤ王(おう)は彼(かれ)を迎(むか)え撃(う)とうと出(で)て行(い)ったが、パロ・ネコは彼(かれ)を見(み)るや、メギドにおいて彼(かれ)を殺(ころ)した。 30その家来(けらい)たちは彼(かれ)の死体(したい)を車(くるま)に載(の)せ、メギドからエルサレムに運(はこ)んで彼(かれ)の墓(はか)に葬(ほうむ)った。国(くに)の民(たみ)はヨシヤの子(こ)エホアハズを立(た)て、彼(かれ)に油(あぶら)を注(そそ)ぎ、王(おう)として父(ちち)に代(かわ)らせた。

31エホアハズは王(おう)となった時(とき)二十三歳(さい)で、エルサレムで三か月(げつ)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。母(はは)はリブナのエレミヤの娘(むすめ)で、名(な)をハムタルといった。 32エホアハズは先祖(せんぞ)たちがすべて行(い)ったように主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)ったが、 33パロ・ネコは彼(かれ)をハマテの地(ち)のリブラにつないで置(お)いて、エルサレムで世(よ)を治(おさ)めることができないようにした。また銀(ぎん)百タラントと金(きん)一タラントのみつぎを国(くに)に課(か)した。 34そしてパロ・ネコはヨシヤの子(こ)エリアキムを父(ちち)ヨシヤに代(かわ)って王(おう)とならせ、名(な)をエホヤキムと改(あらた)め、エホアハズをエジプトへ引(ひ)いて行(い)った。エホアハズはエジプトへ行(い)ってそこで死(し)んだ。 35エホヤキムは金銀(きんぎん)をパロに送(おく)った。しかし彼(かれ)はパロの命(いのち)に従(したが)って金(かね)を送(おく)るために国(くに)に税(ぜい)を課(か)し、国(くに)の民(たみ)おのおのからその課税(かぜい)にしたがって金銀(きんぎん)をきびしく取(と)り立(た)てて、それをパロ・ネコに送(おく)った。

36エホヤキムは二十五歳(さい)で王(おう)となり、エルサレムで十一年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。母(はは)はルマのペダヤの娘(むすめ)で、名(な)をゼビダといった。 37エホヤキムは先祖(せんぞ)たちがすべて行(い)ったように主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)った。

第二四章

1エホヤキムの世(よ)にバビロンの王(おう)ネブカデネザルが上(のぼ)ってきたので、エホヤキムは彼(かれ)に隷属(れいぞく)して三年(ねん)を経(へ)たが、ついに翻(ひるがえ)って彼(かれ)にそむいた。 2主(しゅ)はカルデヤびとの略奪(りゃくだつ)隊(たい)、スリヤびとの略奪(りゃくだつ)隊(たい)、モアブびとの略奪(りゃくだつ)隊(たい)、アンモンびとの略奪(りゃくだつ)隊(たい)をつかわしてエホヤキムを攻(せ)められた。すなわちユダを攻(せ)め、これを滅(ほろ)ぼすために彼(かれ)らをつかわされた。主(しゅ)がそのしもべである預言者(よげんしゃ)たちによって語(かた)られた言葉(ことば)のとおりである。 3これは全(まった)く主(しゅ)の命(いのち)によってユダに臨(のぞ)んだもので、ユダを主(しゅ)の目(め)の前(まえ)から払(はら)い除(のぞ)くためであった。すなわちマナセがすべておこなったその罪(つみ)のため、 4また彼(かれ)が罪(つみ)なき人(ひと)の血(ち)を流(なが)し、罪(つみ)なき人(ひと)の血(ち)をエルサレムに満(み)たしたためであって、主(しゅ)はその罪(つみ)をゆるそうとはされなかった。 5エホヤキムのその他(た)の事績(じせき)と、彼(かれ)がおこなったすべての事(こと)は、ユダの王(おう)の歴代志(れきだいし)の書(しょ)にしるされているではないか。 6エホヤキムは先祖(せんぞ)たちとともに眠(ねむ)り、その子(こ)エホヤキンが代(かわ)って王(おう)となった。 7エジプトの王(おう)は再(ふたた)びその国(くに)から出(で)てこなかった。バビロンの王(おう)がエジプトの川(かわ)からユフラテ川(かわ)まで、すべてエジプトの王(おう)に属(ぞく)するものを取(と)ったからである。

8エホヤキンは王(おう)となった時(とき)十八歳(さい)で、エルサレムで三か月(げつ)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。母(はは)はエルサレムのエルナタンの娘(むすめ)で、名(な)をネホシタといった。 9エホヤキンはすべてその父(ちち)がおこなったように主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)った。

10そのころ、バビロンの王(おう)ネブカデネザルの家来(けらい)たちはエルサレムに攻(せ)め上(のぼ)って、町(まち)を囲(かこ)んだ。 11その家来(けらい)たちが町(まち)を囲(かこ)んでいたとき、バビロンの王(おう)ネブカデネザルもまた町(まち)に攻(せ)めてきた。 12ユダの王(おう)エホヤキンはその母(はは)、その家来(けらい)、そのつかさたち、および侍従(じじゅう)たちと共(とも)に出(で)て、バビロンの王(おう)に降服(こうふく)したので、バビロンの王(おう)は彼(かれ)を捕虜(ほりょ)とした。これはネブカデネザルの治世(ちせい)の第(だい)八年(ねん)であった。 13彼(かれ)はまた主(しゅ)の宮(みや)のもろもろの宝物(ほうもつ)および王(おう)の家(いえ)の宝物(ほうもつ)をことごとく持(も)ち出(だ)し、イスラエルの王(おう)ソロモンが造(つく)って主(しゅ)の神殿(しんでん)に置(お)いたもろもろの金(きん)の器(うつわ)を切(き)りこわした。主(しゅ)が言(い)われたとおりである。 14彼(かれ)はまたエルサレムのすべての市民(しみん)、およびすべてのつかさとすべての勇士(ゆうし)、ならびにすべての木工(もっこう)と鍛冶(かじ)一万人(にん)を捕(とら)えて行(い)った。残(のこ)った者(もの)は国(くに)の民(たみ)の貧(まず)しい者(もの)のみであった。 15さらに彼(かれ)はエホヤキンをバビロンに捕(とら)えて行(い)き、また王(おう)の母(はは)、王(おう)の妻(つま)たち、および侍従(じじゅう)と国(くに)のうちのおもな人々(ひとびと)をも、エルサレムからバビロンへ捕(とら)えて行(い)った。 16またバビロンの王(おう)はすべて勇敢(ゆうかん)な者(もの)七千人(にん)、木工(もっこう)と鍛冶(かじ)一千人(にん)ならびに強(つよ)くて良(よ)く戦(たたか)う者(もの)をみな捕(とら)えてバビロンへ連(つ)れて行(い)った。 17そしてバビロンの王(おう)はエホヤキンの父(ちち)の兄弟(きょうだい)マッタニヤを王(おう)としてエホヤキンに代(か)え、名(な)をゼデキヤと改(あらた)めた。

18ゼデキヤは二十一歳(さい)で王(おう)となり、エルサレムで十一年(ねん)の間(あいだ)、世(よ)を治(おさ)めた。母(はは)はリブナのエレミヤの娘(むすめ)で、名(な)をハムタルといった。 19ゼデキヤはすべてエホヤキムがおこなったように主(しゅ)の目(め)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)った。 20エルサレムとユダにこのような事(こと)の起(た)ったのは主(しゅ)の怒(いか)りによるので、主(しゅ)はついに彼(かれ)らをみ前(まえ)から払(はら)いすてられた。

さてゼデキヤはバビロンの王(おう)にそむいた。

第二五章

1そこでゼデキヤの治世(ちせい)の第(だい)九年(ねん)の十月(がつ)十日(か)に、バビロンの王(おう)ネブカデネザルはもろもろの軍勢(ぐんぜい)を率(ひき)い、エルサレムにきて、これにむかって陣(じん)を張(は)り、周囲(しゅうい)にとりでを築(きず)いてこれを攻(せ)めた。 2こうして町(まち)は囲(かこ)まれて、ゼデキヤ王(おう)の第(だい)十一年(ねん)にまで及(およ)んだが、 3その四月(がつ)九日(か)になって、町(まち)のうちにききんが激(はげ)しくなり、その地(ち)の民(たみ)に食物(しょくもつ)がなくなった。 4町(まち)の一角(いっかく)がついに破(やぶ)れたので、王(おう)はすべての兵士(へいし)とともに、王(おう)の園(その)のかたわらにある二つの城壁(じょうへき)のあいだの門(もん)の道(みち)から夜(よる)のうちに逃(に)げ出(だ)して、カルデヤびとが町(まち)を囲(かこ)んでいる間(あいだ)に、アラバの方(ほう)へ落(お)ち延(の)びた。 5しかしカルデヤびとの軍勢(ぐんぜい)は王(おう)を追(お)い、エリコの平地(へいち)で彼(かれ)に追(お)いついた。彼(かれ)の軍勢(ぐんぜい)はみな彼(かれ)を離(はな)れて散(ち)り去(さ)ったので、 6カルデヤびとは王(おう)を捕(とら)え、彼(かれ)をリブラにいるバビロンの王(おう)のもとへ引(ひ)いていって彼(かれ)の罪(つみ)を定(さだ)め、 7ゼデキヤの子(こ)たちをゼデキヤの目(め)の前(まえ)で殺(ころ)し、ゼデキヤの目(め)をえぐり、足(あし)かせをかけてバビロンへ連(つ)れて行(い)った。

8バビロンの王(おう)ネブカデネザルの第(だい)十九年(ねん)の五月(ごがつ)七日(なぬか)に、バビロンの王(おう)の臣(しん)、侍衛(じえい)の長(ちょう)ネブザラダンがエルサレムにきて、 9主(しゅ)の宮(みや)と王(おう)の家(いえ)とエルサレムのすべての家(いえ)を焼(や)いた。すなわち火(ひ)をもってすべての大(おお)きな家(いえ)を焼(や)いた。 10また侍衛(じえい)の長(ちょう)と共(とも)にいたカルデヤびとのすべての軍勢(ぐんぜい)はエルサレムの周囲(しゅうい)の城壁(じょうへき)を破壊(はかい)した。 11そして侍衛(じえい)の長(ちょう)ネブザラダンは、町(まち)に残(のこ)された民(たみ)およびバビロン王(おう)に降服(こうふく)した者(もの)と残(のこ)りの群衆(ぐんしゅう)を捕(とら)え移(うつ)した。 12ただし侍衛(じえい)の長(ちょう)はその地(ち)の貧(まず)しい者(もの)を残(のこ)して、ぶどうを作(つく)る者(もの)とし、農夫(のうふ)とした。

13カルデヤびとはまた主(しゅ)の宮(みや)の青銅(せいどう)の柱(はしら)と、主(しゅ)の宮(みや)の洗盤(せんばん)の台(だい)と、青銅(せいどう)の海(うみ)を砕(くだ)いて、その青銅(せいどう)をバビロンに運(はこ)び、 14またつぼと、十能(じゅうのう)と、心切(しんき)りばさみと、香(こう)を盛(も)る皿(さら)およびすべて神殿(しんでん)の務(つとめ)に用(もち)いる青銅(せいどう)の器(うつわ)、 15また心取(しんと)り皿(ざら)と鉢(はち)を取(と)り去(さ)った。侍衛(じえい)の長(ちょう)はまた金(きん)で作(つく)った物(もの)と銀(ぎん)で作(つく)った物(もの)を取(と)り去(さ)った。 16ソロモンが主(しゅ)の宮(みや)のために造(つく)った二つの柱(はしら)と、一つの海(うみ)と洗盤(せんばん)の台(だい)など、これらのもろもろの器(うつわ)の青銅(せいどう)の重(おも)さは量(はか)ることができなかった。 17一つの柱(はしら)の高(たか)さは十八キュビトで、その上(うえ)に青銅(せいどう)の柱頭(ちゅうとう)があり、柱頭(ちゅうとう)の高(たか)さは三キュビトで、柱頭(ちゅうとう)の周囲(しゅうい)に網(あみ)細工(さいく)とざくろがあって、みな青銅(せいどう)であった。他(た)の柱(はしら)もその網(あみ)細工(さいく)もこれと同(おな)じであった。

18侍衛(じえい)の長(ちょう)は祭司(さいし)長(ちょう)セラヤと次席(じせき)の祭司(さいし)ゼパニヤと三人(にん)の門(もん)を守(まも)る者(もの)を捕(とら)え、 19また兵士(へいし)をつかさどるひとりの役人(やくにん)と、王(おう)の前(まえ)にはべる者(もの)のうち、町(まち)で見(み)つかった者(もの)五人(にん)と、その地(ち)の民(たみ)を募(つの)った軍勢(ぐんぜい)の長(ちょう)の書記官(しょきかん)と、町(まち)で見(み)つかったその地(ち)の民(たみ)六十人(にん)を町(まち)から捕(とら)え去(さ)った。 20侍衛(じえい)の長(ちょう)ネブザラダンは彼(かれ)らを捕(とら)えて、リブラにいるバビロンの王(おう)のもとへ連(つ)れて行(い)ったので、 21バビロンの王(おう)はハマテの地(ち)のリブラで彼(かれ)らを撃(う)ち殺(ころ)した。このようにしてユダはその地(ち)から捕(とら)え移(うつ)された。

22さてバビロンの王(おう)ネブカデネザルはユダの地(ち)に残(のこ)してとどまらせた民(たみ)の上(うえ)に、シャパンの子(こ)アヒカムの子(こ)であるゲダリヤを立(た)てて総督(そうとく)とした。 23時(とき)に軍勢(ぐんぜい)の長(ちょう)たちおよびその部下(ぶか)の人々(ひとびと)は、バビロンの王(おう)がゲダリヤを総督(そうとく)としたことを聞(き)いて、ミヅパにいるゲダリヤのもとにきた。すなわちネタニヤの子(こ)イシマエル、カレヤの子(こ)ヨハナン、ネトパびとタンホメテの子(こ)セラヤ、マアカびとの子(こ)ヤザニヤおよびその部下(ぶか)の人々(ひとびと)がゲダリヤのもとにきた。 24ゲダリヤは彼(かれ)らとその部下(ぶか)の人々(ひとびと)に誓(ちか)って言(い)った、「あなたがたはカルデヤびとのしもべとなることを恐(おそ)れてはならない。この地(ち)に住(す)んで、バビロンの王(おう)に仕(つか)えなさい。そうすればあなたがたは幸福(こうふく)を得(え)るでしょう」。 25ところが七月(がつ)になって、王(おう)の血統(けっとう)のエリシャマの子(こ)であるネタニヤの子(こ)イシマエルは十人(にん)の者(もの)と共(とも)にきて、ゲダリヤを撃(う)ち殺(ころ)し、また彼(かれ)と共(とも)にミヅパにいたユダヤ人(ひと)と、カルデヤびとを殺(ころ)した。 26そのため、大小(だいしょう)の民(たみ)および軍勢(ぐんぜい)の長(ちょう)たちは、みな立(た)ってエジプトへ行(い)った。彼(かれ)らはカルデヤびとを恐(おそ)れたからである。

27ユダの王(おう)エホヤキンが捕(とら)え移(うつ)されて後(のち)三十七年(ねん)の十二月(がつ)二十七日(にち)、すなわちバビロンの王(おう)エビルメロダクの治世(ちせい)の第(だい)一年(ねん)に、王(おう)はユダの王(おう)エホヤキンを獄屋(ごくや)から出(だ)して 28ねんごろに彼(かれ)を慰(なぐさ)め、その位(くらい)を彼(かれ)と共(とも)にバビロンにいる王(おう)たちの位(くらい)よりも高(たか)くした。 29こうしてエホヤキンはその獄屋(ごくや)の衣(ころも)を脱(ぬ)ぎ、一生(いっしょう)の間(あいだ)、常(つね)に王(おう)の前(まえ)で食事(しょくじ)した。 30彼(かれ)は一生(いっしょう)の間(あいだ)、たえず日々(ひび)の分(ぶん)を王(おう)から賜(たま)わって、その食物(しょくもつ)とした。