創世記

第一章

1はじめにかみてんとを創造そうぞうされた。 2かたちなく、むなしく、やみがふちのおもてにあり、かみれいみずのおもてをおおっていた。

3かみは「ひかりあれ」とわれた。するとひかりがあった。 4かみはそのひかりて、しとされた。かみはそのひかりとやみとをけられた。 5かみひかりひるづけ、やみをよるづけられた。ゆうとなり、またあさとなった。だいにちである。

6かみはまたわれた、「みずあいだにおおぞらがあって、みずみずとをけよ」。 7そのようになった。かみはおおぞらをつくって、おおぞらのしたみずとおおぞらのうえみずとをけられた。 8かみはそのおおぞらをてんづけられた。ゆうとなり、またあさとなった。だいにちである。

9かみはまたわれた、「てんしたみずひとところあつまり、かわいたあらわれよ」。そのようになった。 10かみはそのかわいたりくづけ、みずあつまったところうみづけられた。かみて、しとされた。 11かみはまたわれた、「青草あおくさと、たねをもつくさと、種類しゅるいにしたがってたねのあるむす果樹かじゅとをうえにはえさせよ」。そのようになった。 12青草あおくさと、種類しゅるいにしたがってたねをもつくさと、種類しゅるいにしたがってたねのあるむすとをはえさせた。かみて、しとされた。 13ゆうとなり、またあさとなった。だいにちである。

14かみはまたわれた、「てんのおおぞらにひかりがあってひるよるとをけ、しるしのため、季節きせつのため、のため、としのためになり、 15てんのおおぞらにあってらすひかりとなれ」。そのようになった。 16かみは二つのおおきなひかりつくり、おおきいひかりひるをつかさどらせ、ちいさいひかりよるをつかさどらせ、またほしつくられた。 17かみはこれらをてんのおおぞらにいてらさせ、 18ひるよるとをつかさどらせ、ひかりとやみとをけさせられた。かみて、しとされた。 19ゆうとなり、またあさとなった。だいにちである。

20かみはまたわれた、「みずものれでち、とりうえてんのおおぞらをべ」。 21かみうみおおいなるけものと、みずむらがるすべてのうごものとを、種類しゅるいにしたがって創造そうぞうし、またつばさのあるすべてのとりを、種類しゅるいにしたがって創造そうぞうされた。かみて、しとされた。 22かみはこれらを祝福しゅくふくしてわれた、「めよ、ふえよ、うみみずちよ、またとりにふえよ」。 23ゆうとなり、またあさとなった。だいにちである。

24かみはまたわれた、「もの種類しゅるいにしたがっていだせ。家畜かちくと、うものと、けものとを種類しゅるいにしたがっていだせ」。そのようになった。 25かみけもの種類しゅるいにしたがい、家畜かちく種類しゅるいにしたがい、またうすべてのもの種類しゅるいにしたがってつくられた。かみて、しとされた。

26かみはまたわれた、「われわれのかたちに、われわれにかたどってひとつくり、これにうみうおと、そらとりと、家畜かちくと、のすべてのけものと、のすべてのうものとをおさめさせよう」。 27かみ自分じぶんのかたちにひと創造そうぞうされた。すなわち、かみのかたちに創造そうぞうし、おとこおんなとに創造そうぞうされた。 28かみかれらを祝福しゅくふくしてわれた、「めよ、ふえよ、ちよ、したがわせよ。またうみうおと、そらとりと、うごくすべてのものとをおさめよ」。 29かみはまたわれた、「わたしはぜんのおもてにあるたねをもつすべてのくさと、たねのあるむすぶすべてのとをあなたがたにあたえる。これはあなたがたの食物しょくもつとなるであろう。 30またのすべてのけものそらのすべてのとりうすべてのもの、すなわちいのちあるものには、食物しょくもつとしてすべての青草あおくさあたえる」。そのようになった。 31かみつくったすべてのものられたところ、それは、はなはだかった。ゆうとなり、またあさとなった。だいにちである。

第二章

1こうしててんと、その万象ばんしょうとが完成かんせいした。 2かみだいにちにその作業さぎょうえられた。すなわち、そのすべての作業さぎょうおわってだいにちやすまれた。 3かみはそのだいにち祝福しゅくふくして、これを聖別せいべつされた。かみがこのに、そのすべての創造そうぞうのわざをおわってやすまれたからである。

4これが天地てんち創造そうぞう由来ゆらいである。

しゅなるかみてんとをつくられたとき 5にはまだもなく、またくさもはえていなかった。しゅなるかみあめらせず、またつちたがやひともなかったからである。 6しかしからいずみがわきあがってつち全面ぜんめんうるおしていた。 7しゅなるかみつちのちりでひとつくり、いのちいきをそのはなきいれられた。そこでひときたものとなった。 8しゅなるかみひがしのかた、エデンに一つのそのもうけて、そのつくったひとをそこにかれた。 9またしゅなるかみは、うつくしく、べるにいすべてのつちからはえさせ、さらその中央ちゅうおういのちと、善悪ぜんあくとをはえさせられた。 10また一つのかわがエデンからながそのうるおし、そこからわかれて四つのかわとなった。 11そのだい一のはピソンといい、きんのあるハビラのぜんをめぐるもので、 12そのきんく、またそこはブドラクと、しまめのうとをさんした。 13だい二のかわはギホンといい、クシのぜんをめぐるもの。 14だい三のかわはヒデケルといい、アッスリヤのひがしながれるもの。だい四のかわはユフラテである。

15しゅなるかみひとれてってエデンのそのき、これをたがやさせ、これをまもらせられた。 16しゅなるかみはそのひとめいじてわれた、「あなたはそののどのからでもこころのままにってべてよろしい。 17しかし善悪ぜんあくからはってべてはならない。それをってべると、きっとぬであろう」。

18またしゅなるかみわれた、「ひとがひとりでいるのはくない。かれのために、ふさわしいたすつくろう」。 19そしてしゅなるかみのすべてのけものと、そらのすべてのとりとをつちつくり、ひとのところへれてきて、かれがそれにどんなをつけるかをられた。ひとがすべてものあたえるは、そのとなるのであった。 20それでひとは、すべての家畜かちくと、そらとりと、のすべてのけものとにをつけたが、ひとにはふさわしいたすつからなかった。 21そこでしゅなるかみひとふかねむらせ、ねむったときに、そのあばらぼねの一つをって、そのところにくでふさがれた。 22しゅなるかみひとからったあばらぼねでひとりのおんなつくり、ひとのところへれてこられた。 23そのとき、ひとった。
「これこそ、ついにわたしのほねほね
わたしのにくにく
おとこからったものだから、
これをおんなづけよう」。
24それでひとはそのちちはははなれて、つまむすい、一体いったいとなるのである。 25ひととそのつまとは、ふたりともはだかであったが、ずかしいとはおもわなかった。

第三章

1さてしゅなるかみつくられたもののうちで、へびがもっと狡猾こうかつであった。へびはおんなった、「そのにあるどのからもってべるなと、ほんとうにかみわれたのですか」。 2おんなはへびにった、「わたしたちはそのべることはゆるされていますが、 3ただその中央ちゅうおうにあるについては、これをってべるな、これにれるな、んではいけないからと、かみわれました」。 4へびはおんなった、「あなたがたはけっしてぬことはないでしょう。 5それをべると、あなたがたのひらけ、かみのように善悪ぜんあくものとなることを、かみっておられるのです」。 6おんながそのると、それはべるにく、にはうつくしく、かしこくなるにはこのましいとおもわれたから、そのってべ、またともにいたおっとにもあたえたので、かれべた。 7すると、ふたりのひらけ、自分じぶんたちのはだかであることがわかったので、いちじくのをつづりわせて、こしいた。

8かれらは、すずしいかぜくころ、そのなかしゅなるかみあゆまれるおといた。そこで、ひととそのつまとはしゅなるかみかおけて、そのあいだかくした。 9しゅなるかみひとびかけてわれた、「あなたはどこにいるのか」。 10かれこたえた、「そのなかであなたのあゆまれるおとき、わたしははだかだったので、おそれてかくしたのです」。 11かみわれた、「あなたがはだかであるのを、だれがらせたのか。べるなと、めいじておいたから、あなたはってべたのか」。 12ひとこたえた、「わたしと一緒いっしょにしてくださったあのおんなが、からってくれたので、わたしはべたのです」。 13そこでしゅなるかみおんなわれた、「あなたは、なんということをしたのです」。おんなこたえた、「へびがわたしをだましたのです。それでわたしはべました」。 14しゅなるかみはへびにわれた、
「おまえは、このことを、したので、
すべての家畜かちくのすべてのけもののうち、
もっとものろわれる。
おまえははらで、いあるき、
一生いっしょう、ちりをべるであろう。
15わたしはうらみをおく、
おまえとおんなとのあいだに、
おまえのすえとおんなのすえとのあいだに。
かれはおまえのかしらをくだき、
おまえはかれのかかとをくだくであろう」。
16つぎにおんなわれた、
「わたしはあなたのみのくるしみをおおいにす。
あなたはくるしんでむ。
それでもなお、あなたはおっとしたい、
かれはあなたをおさめるであろう」。
17さらひとわれた、「あなたがつま言葉ことばいて、べるなと、わたしがめいじたからってべたので、
はあなたのためにのろわれ、
あなたは一生いっしょうくるしんでから食物しょくもつる。
18はあなたのために、いばらとあざみとをしょうじ、
あなたはくさべるであろう。
19あなたはかおあせしてパンをべ、ついにつちかえる、
あなたはつちからられたのだから。
あなたは、ちりだから、ちりにかえる」。

20さて、ひとはそのつまをエバとづけた。彼女かのじょがすべてきたものははだからである。 21しゅなるかみひととそのつまとのためにかわ着物きものつくって、かれらにせられた。

22しゅなるかみわれた、「よ、ひとはわれわれのひとりのようになり、善悪ぜんあくるものとなった。かれべ、いのちからもってべ、永久えいきゅうきるかもれない」。 23そこでしゅなるかみかれをエデンのそのからして、ひとつくられたそのつちたがやさせられた。 24かみひとし、エデンのそのひがしに、ケルビムと、まわほのおのつるぎとをいて、いのちみちまもらせられた。

第四章

1ひとはそのつまエバをった。彼女かのじょはみごもり、カインをんでった、「わたしはしゅによって、ひとりのひとた」。 2彼女かのじょはまた、そのおとうとアベルをんだ。アベルはひつじものとなり、カインはつちたがやものとなった。 3がたって、カインは産物さんぶつってきて、しゅそなものとした。 4アベルもまた、そのれのういごとえたものとをってきた。しゅはアベルとそのそなものとをかえりみられた。 5しかしカインとそのそなものとはかえりみられなかったので、カインはおおいにいきどおって、かおせた。 6そこでしゅはカインにわれた、「なぜあなたはいきどおるのですか、なぜかおせるのですか。 7ただしいことをしているのでしたら、かおをあげたらよいでしょう。もしただしいことをしていないのでしたら、つみ門口かどぐちせています。それはあなたをしたもとめますが、あなたはそれをおさめなければなりません」。

8カインはおとうとアベルにった、「さあ、野原のはらこう」。かれらがにいたとき、カインはおとうとアベルにちかかって、これをころした。 9しゅはカインにわれた、「おとうとアベルは、どこにいますか」。カインはこたえた、「りません。わたしがおとうと番人ばんにんでしょうか」。 10しゅわれた、「あなたはなにをしたのです。あなたのおとうとこえつちなかからわたしにさけんでいます。 11いまあなたはのろわれてこの土地とちはなれなければなりません。この土地とちくちをあけて、あなたのからおとうとけたからです。 12あなたが土地とちたがやしても、土地とちは、もはやあなたのためにむすびません。あなたは地上ちじょう放浪者ほうろうしゃとなるでしょう」。 13カインはしゅった、「わたしのばつおもくていきれません。 14あなたは、きょう、わたしをのおもてから追放ついほうされました。わたしはあなたをはなれて、地上ちじょう放浪者ほうろうしゃとならねばなりません。わたしを見付みつけるひとはだれでもわたしをころすでしょう」。 15しゅはカインにわれた、「いや、そうではない。だれでもカインをころものは七ばい復讐ふくしゅうけるでしょう」。そしてしゅはカインを見付みつけるものが、だれもかれころすことのないように、かれに一つのしるしをつけられた。 16カインはしゅまえって、エデンのひがし、ノドのんだ。

17カインはそのつまった。彼女かのじょはみごもってエノクをんだ。カインはまちて、そのまちをそのにしたがって、エノクとづけた。 18エノクにはイラデがうまれた。イラデのはメホヤエル、メホヤエルのはメトサエル、メトサエルのはレメクである。 19レメクはふたりのつまをめとった。ひとりのはアダといい、ひとりのはチラといった。 20アダはヤバルをんだ。かれ天幕てんまくんで、家畜かちくもの先祖せんぞとなった。 21そのおとうとはユバルといった。かれことふえるすべてのもの先祖せんぞとなった。 22チラもまたトバルカインをんだ。かれ青銅せいどうてつのすべての刃物はものきたえるものとなった。トバルカインのいもうとをナアマといった。
23レメクはそのつまたちにった、
「アダとチラよ、わたしのこえけ、
レメクのつまたちよ、わたしの言葉ことばみみかたむけよ。
わたしはけるきずのために、ひところし、
けるきずのために、わたしは若者わかものころす。
24カインのための復讐ふくしゅうが七ばいならば、
レメクのための復讐ふくしゅうは七十七ばい」。

25アダムはまたそのつまった。彼女かのじょおとこみ、そのをセツとづけてった、「カインがアベルをころしたので、かみはアベルのかわりに、ひとりのをわたしにさづけられました」。 26セツにもまたおとこうまれた。かれはそのをエノスとづけた。このとき人々ひとびとしゅはじめた。

第五章

1アダムの系図けいずつぎのとおりである。かみひと創造そうぞうされたときかみをかたどってつくり、 2かれらをおとこおんなとに創造そうぞうされた。かれらが創造そうぞうされたときかみかれらを祝福しゅくふくして、そのをアダムとづけられた。 3アダムは百三十さいになって、自分じぶんにかたどり、自分じぶんのかたちのようなおとこみ、そのをセツとづけた。 4アダムがセツをんでのちきたとしは八百ねんであって、ほかに男子だんし女子じょしんだ。 5アダムのきたとしわせて九百三十さいであった。そしてかれんだ。

6セツは百五さいになって、エノスをんだ。 7セツはエノスをんだのち、八百七ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。 8セツのとしわせて九百十二さいであった。そしてかれんだ。

9エノスは九十さいになって、カイナンをんだ。 10エノスはカイナンをんだのち、八百十五ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。 11エノスのとしわせて九百五さいであった。そしてかれんだ。

12カイナンは七十さいになって、マハラレルをんだ。 13カイナンはマハラレルをんだのち、八百四十ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。 14カイナンのとしわせて九百十さいであった。そしてかれんだ。

15マハラレルは六十五さいになって、ヤレドをんだ。 16マハラレルはヤレドをんだのち、八百三十ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。 17マハラレルのとしわせて八百九十五さいであった。そしてかれんだ。 18ヤレドは百六十二さいになって、エノクをんだ。 19ヤレドはエノクをんだのち、八百ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。 20ヤレドのとしわせて九百六十二さいであった。そしてかれんだ。

21エノクは六十五さいになって、メトセラをんだ。 22エノクはメトセラをんだのち、三百ねんかみとともにあゆみ、男子だんし女子じょしんだ。 23エノクのとしわせて三百六十五さいであった。 24エノクはかみとともにあゆみ、かみかれられたので、いなくなった。

25メトセラは百八十七さいになって、レメクをんだ。 26メトセラはレメクをんだのち、七百八十二ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。 27メトセラのとしわせて九百六十九さいであった。そしてかれんだ。

28レメクは百八十二さいになって、おとこみ、 29「このこそ、しゅをのろわれたため、骨折ほねおはたらくわれわれをなぐさめるもの」とって、そのをノアとづけた。 30レメクはノアをんだのち、五百九十五ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。 31レメクのとしわせて七百七十七さいであった。そしてかれんだ。

32ノアは五百さいになって、セム、ハム、ヤペテをんだ。

第六章

1ひとのおもてにふえはじめて、むすめたちがかれらにうまれたとき 2かみたちはひとむすめたちのうつくしいのをて、自分じぶんこのものつまにめとった。 3そこでしゅわれた、「わたしのれいはながくひとなかにとどまらない。かれにくにすぎないのだ。しかし、かれとしは百二十ねんであろう」。 4そのころ、またそののちにも、にネピリムがいた。これはかみたちがひとむすめたちのところにはいって、むすめたちにませたものである。かれらはむかし勇士ゆうしであり、有名ゆうめい人々ひとびとであった。

5しゅひとあくにはびこり、すべてそのこころおもいはかることが、いつもわることばかりであるのをられた。 6しゅうえひとつくったのをいて、こころいため、 7「わたしが創造そうぞうしたひとのおもてからぬぐいろう。ひとけものも、うものも、そらとりまでも。わたしは、これらをつくったことをいる」とわれた。 8しかし、ノアはしゅまえめぐみをた。

9ノアの系図けいずつぎのとおりである。ノアはその時代じだい人々ひとびとなかただしく、かつまったひとであった。ノアはかみとともにあゆんだ。 10ノアはセム、ハム、ヤペテの三にんんだ。

11ときかみまえみだれて、暴虐ぼうぎゃくちた。 12かみられると、それはみだれていた。すべてのひとうえでそのみちみだしたからである。 13そこでかみはノアにわれた、「わたしは、すべてのひとやそうと決心けっしんした。かれらは暴虐ぼうぎゃくたしたから、わたしはかれらをとともにほろぼそう。 14あなたは、いとすぎの箱舟はこぶねつくり、箱舟はこぶねなかにへやをもうけ、アスファルトでそのうちそとをりなさい。 15そのつくかたつぎのとおりである。すなわち箱舟はこぶねながさは三百キュビト、はばは五十キュビト、たかさは三十キュビトとし、 16箱舟はこぶね屋根やねつくり、うえへ一キュビトにそれを仕上しあげ、また箱舟はこぶね戸口とぐちをそのよこもうけて、一かいと二かいと三かいのある箱舟はこぶねつくりなさい。 17わたしはうえ洪水こうずいおくって、いのちいきのあるにくなるものを、みなてんしたからほろぼしる。にあるものは、みなえるであろう。 18ただし、わたしはあなたと契約けいやく結ぼむすぼう。あなたはらと、つまと、らのつまたちととも箱舟はこぶねにはいりなさい。 19またすべてのもの、すべてのにくなるもののなかから、それぞれ二つずつを箱舟はこぶねれて、あなたとともにそのいのちたもたせなさい。それらはおすめすとでなければならない。 20すなわち、とりはその種類しゅるいにしたがいけものはその種類しゅるいにしたがい、またのすべてのうものも、その種類しゅるいにしたがって、それぞれ二つずつ、あなたのところにれて、いのちたもたせなさい。 21また、すべての食物しょくもつとなるものをとって、あなたのところにたくわえ、あなたとこれらのものとの食物しょくもつとしなさい」。 22ノアはすべてかみめいじられたようにした。

第七章

1しゅはノアにわれた、「あなたと家族かぞくとはみな箱舟はこぶねにはいりなさい。あなたがこの時代じだい人々ひとびとなかで、わたしのまえただしいひとであるとわたしはみとめたからである。 2あなたはすべてのきよけものなかからおすめすとを七つずつり、きよくないけものなかからおすめすとを二つずつり、 3またそらとりなかからおすめすとを七つずつって、その種類しゅるいぜんのおもてにのこるようにしなさい。 4七日なぬかのち、わたしは四十にち四十あめらせて、わたしのつくったすべてのものを、のおもてからぬぐいります」。 5ノアはすべてしゅめいじられたようにした。

6さて洪水こうずいったとき、ノアは六百さいであった。 7ノアはらと、つまと、らのつまたちととも洪水こうずいけて箱舟はこぶねにはいった。 8またきよけものと、きよくないけものと、とりと、うすべてのものとの、 9おすめすとが、二つずつノアのもとにきて、かみがノアにめいじられたように箱舟はこぶねにはいった。 10こうして七日なぬかのち洪水こうずいった。

11それはノアの六百さいの二がつ十七にちであって、そのおおいなるふちみなもとは、ことごとくやぶれ、てんまどひらけて、 12あめは四十にち四十そそいだ。 13そのおなに、ノアと、ノアのセム、ハム、ヤペテと、ノアのつまと、そのらの三にんつまとはとも箱舟はこぶねにはいった。 14またすべての種類しゅるいけものも、すべての種類しゅるい家畜かちくも、のすべての種類しゅるいうものも、すべての種類しゅるいとりも、すべてのつばさあるものも、みなはいった。 15すなわちいのちいきのあるすべてのにくなるものが、二つずつノアのもとにきて、箱舟はこぶねにはいった。 16そのはいったものは、すべてにくなるもののおすめすとであって、かみかれめいじられたようにはいった。そこでしゅかれのうしろのざされた。

17洪水こうずいは四十にちのあいだ地上ちじょうにあった。みずして箱舟はこぶねうかべたので、箱舟はこぶねからたかがった。 18またみずがみなぎり、したので、箱舟はこぶねみずのおもてにただよった。 19みずはまた、ますますにみなぎり、てんしたたか山々やまやまみなおおわれた。 20みずはそのうえ、さらに十五キュビトみなぎって、山々やまやままったくおおわれた。 21うえうごくすべてにくなるものは、とり家畜かちくけものも、むらがるすべてのうものも、すべてのひともみなほろびた。 22すなわちはないのちいきのあるすべてのもの、りくにいたすべてのものはんだ。 23のおもてにいたすべてのものは、ひと家畜かちくも、うものも、そらとりもみなからぬぐいられて、ただノアと、かれとも箱舟はこぶねにいたものだけがのこった。 24みずは百五十にちのあいだ地上ちじょうにみなぎった。

第八章

1かみはノアと、箱舟はこぶねなかにいたすべてのものと、すべての家畜かちくとをこころにとめられた。かみかぜうえかせられたので、みず退しりぞいた。 2またふちみなもとと、てんまどとはざされて、てんからあめらなくなった。 3それでみずはしだいにうえからいて、百五十にちのちにはみずり、 4箱舟はこぶねは七がつ十七にちにアララテのやまにとどまった。 5みずはしだいにって、十がつになり、十がつにち山々やまやまいただきあらわれた。

6四十にちたって、ノアはそのつくった箱舟はこぶねまどひらいて、 7からすをはなったところ、からすはうえからみずがかわききるまで、あちらこちらへびまわった。 8ノアはまたのおもてから、みずがひいたかどうかをようと、かれところから、はとをはなったが、 9はとはあしうらをとどめるところつからなかったので、箱舟はこぶねのノアのもとにかえってきた。みずがまだぜんのおもてにあったからである。かれべて、これをとらえ、箱舟はこぶねなかかれのもとにれた。 10それから七日なぬかってふたたびはとを箱舟はこぶねからはなった。 11はとは夕方ゆうがたになってかれのもとにかえってきた。ると、そのくちばしには、オリブの若葉わかばがあった。ノアはからみずがひいたのをった。 12さらに七日なぬかってまた、はとをはなったところ、もはやかれのもとにはかえってこなかった。

13六百一さいの一がつにちになって、うえみずはかれた。ノアが箱舟はこぶねのおおいをのぞいてると、つちのおもては、かわいていた。 14がつ二十七にちになって、まったくかわいた。 15このときかみはノアにわれた、 16「あなたはつまと、らと、らのつまたちととも箱舟はこぶねなさい。 17あなたは、ともにいるにくなるすべてのもの、すなわちとり家畜かちくと、のすべてのうものとをれてて、これらのものがむらがり、うえにふえひろがるようにしなさい」。 18ノアはともにいたらと、つまと、らのつまたちとをれてた。 19またすべてのけもの、すべてのうもの、すべてのとり、すべてうえうごくものはみな種類しゅるいにしたがって箱舟はこぶねた。

20ノアはしゅ祭壇さいだんきずいて、すべてのきよけものと、すべてのきよとりとのうちからって、燔祭はんさい祭壇さいだんうえにささげた。 21しゅはそのこうばしいかおりをかいで、こころわれた、「わたしはもはや二ひとのゆえにをのろわない。ひとこころおもはかることは、おさなときからわるいからである。わたしは、このたびしたように、もう二と、すべてのきたものをほろぼさない。 22のあるかぎり、たねまきのときも、刈入かりいれのときも、あつさむさも、なつふゆも、ひるよるもやむことはないであろう」。

第九章

1かみはノアとそのらとを祝福しゅくふくしてかれらにわれた、「めよ、ふえよ、ちよ。 2のすべてのけものそらのすべてのとりうすべてのもの、うみのすべてのうおおそれおののいて、あなたがたの支配しはいふくし、 3すべてきてうごくものはあなたがたの食物しょくもつとなるであろう。さきに青草あおくさをあなたがたにあたえたように、わたしはこれらのものをみなあなたがたにあたえる。 4しかしにくを、そのいのちであるのままで、べてはならない。 5あなたがたのいのちながすものには、わたしはかなら報復ほうふくするであろう。いかなるけものにも報復ほうふくする。兄弟きょうだいであるひとにも、わたしはひといのちのために、報復ほうふくするであろう。
6ひとながすものは、ひとながされる、
かみ自分じぶんのかたちにひとつくられたゆえに。
7あなたがたは、めよ、ふえよ、
むらがり、うえにふえよ」。

8かみはノアおよびともにいるらにわれた、 9「わたしはあなたがたおよびあなたがたののち子孫しそん契約けいやくてる。 10またあなたがたとともにいるすべてのもの、あなたがたとともにいるとり家畜かちくのすべてのけもの、すなわち、すべて箱舟はこぶねからたものは、のすべてのけものにいたるまで、わたしはそれと契約けいやくてよう。 11わたしがあなたがたとてるこの契約けいやくにより、すべてにくなるものは、もはや洪水こうずいによってほろぼされることはなく、またほろぼす洪水こうずいは、ふたたおこらないであろう」。 12さらにかみわれた、「これはわたしと、あなたがたおよびあなたがたとともにいるすべてのものとのあいだ代々よよかぎりなく、わたしがてる契約けいやくのしるしである。 13すなわち、わたしはくもなかに、にじをく。これがわたしととのあいだ契約けいやくのしるしとなる。 14わたしがくもうえおこすとき、にじはくもなかあらわれる。 15こうして、わたしは、わたしとあなたがた、およびすべてにくなるあらゆるものとのあいだてた契約けいやくおもいおこすゆえ、みずはふたたび、すべてにくなるものほろぼす洪水こうずいとはならない。 16にじがくもなかあらわれるとき、わたしはこれをて、かみ地上ちじょうにあるすべてにくなるあらゆるものとのあいだてた永遠えいえん契約けいやくおもいおこすであろう」。 17そしてかみはノアにわれた、「これがわたしとにあるすべてにくなるものとのあいだに、わたしがてた契約けいやくのしるしである」。

18箱舟はこぶねからたノアのらはセム、ハム、ヤペテであった。ハムはカナンのちちである。 19この三にんはノアのらで、ぜんたみかれらからて、ひろがったのである。

20さてノアは農夫のうふとなり、ぶどうはたけをつくりはじめたが、 21かれはぶどうしゅんでい、天幕てんまくなかはだかになっていた。 22カナンのちちハムはちちはだかて、そとにいるふたりの兄弟きょうだいげた。 23セムとヤペテとは着物きものって、かたにかけ、うしろきにあゆって、ちちはだかをおおい、かおをそむけてちちはだかなかった。 24やがてノアはいがさめて、すえかれにしたことったとき、 25かれった、
「カナンはのろわれよ。
かれはしもべのしもべとなって、
その兄弟きょうだいたちにつかえる」。
26またった、
「セムのかみしゅはほむべきかな、
カナンはそのしもべとなれ。
27かみはヤペテをおおいならしめ、
セムの天幕てんまくかれまわせられるように。
カナンはそのしもべとなれ」。

28ノアは洪水こうずいのち、なお三百五十ねんきた。 29ノアのとしわせて九百五十さいであった。そしてかれんだ。

第一〇章

1ノアのセム、ハム、ヤペテの系図けいずつぎのとおりである。洪水こうずいのちかれらにうまれた。 2ヤペテの子孫しそんはゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メセク、テラスであった。   3ゴメルの子孫しそんはアシケナズ、リパテ、トガルマ。 4ヤワンの子孫しそんはエリシャ、タルシシ、キッテム、ドダニムであった。 5これらから海沿うみぞいの国民こくみんわかれて、おのおのその土地とちにおり、その言語げんごにしたがい、その氏族しぞくにしたがって、その国々くにぐにんだ。

6ハムの子孫しそんはクシ、ミツライム、プテ、カナンであった。 7クシの子孫しそんはセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカであり、ラアマの子孫しそんはシバとデダンであった。 8クシのはニムロデであって、このニムロデは権力者けんりょくしゃとなった最初さいしょひとである。 9かれしゅまえちからある狩猟者しゅりょうしゃであった。これから「しゅまえちからある狩猟者しゅりょうしゃニムロデのごとし」ということわざがった。 10かれくに最初さいしょシナルのにあるバベル、エレク、アカデ、カルネであった。 11かれはそのからアッスリヤにて、ニネベ、レホボテイリ、カラ、 12およびニネベとカラとのあいだにあるおおいなるまちレセンをてた。 13ミツライムからルデぞく、アナミぞく、レハビぞく、ナフトぞく 14パテロスぞく、カスルぞく、カフトリぞくた。カフトリぞくからペリシテぞくた。

15カナンからその長子ちょうしシドンがて、またヘテがた。 16そのエブスびと、アモリびと、ギルガシびと、 17ヒビびと、アルキびと、セニびと、 18アルワデびと、ゼマリびと、ハマテびとがた。のちになってカナンびとの氏族しぞくがひろがった。 19カナンびとのさかいはシドンからゲラルをてガザにいたり、ソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムをて、レシャにおよんだ。 20これらはハムの子孫しそんであって、その氏族しぞくとその言語げんごとにしたがって、その土地とちと、その国々くにぐににいた。

21セムにもうまれた。セムはエベルのすべての子孫しそん先祖せんぞであって、ヤペテのあにであった。 22セムの子孫しそんはエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラムであった。 23アラムの子孫しそんはウヅ、ホル、ゲテル、マシであった。 24アルパクサデのはシラ、シラのはエベルである。 25エベルにふたりのうまれた。そのひとりのをペレグといった。これはかれたみわかれたからである。そのおとうとをヨクタンといった。 26ヨクタンにアルモダデ、シャレフ、ハザルマウテ、エラ、 27ハドラム、ウザル、デクラ、 28オバル、アビマエル、シバ、 29オフル、ハビラ、ヨバブがうまれた。これらはみなヨクタンのであった。 30かれらがんだところはメシャからひがし山地さんちセパルにおよんだ。 31これらはセムの子孫しそんであって、その氏族しぞくとその言語げんごとにしたがって、その土地とちと、その国々くにぐににいた。

32これらはノアのらの氏族しぞくであって、血統けっとうにしたがって国々くにぐにんでいたが、洪水こうずいのち、これらから地上ちじょうしょ国民こくみんわかれたのである。

第一一章

1ぜんおな発音はつおんおな言葉ことばであった。 2とき人々ひとびとひがしうつり、シナルの平野へいやて、そこにんだ。 3かれらはたがいった、「さあ、れんがをつくって、よくこう」。こうしてかれらはいしかわりに、れんがを、しっくいのかわりに、アスファルトをた。 4かれらはまたった、「さあ、まちとうとをてて、そのいただきてんとどかせよう。そしてわれわれはげて、ぜんのおもてにるのをまぬかれよう」。 5ときしゅくだって、ひとたちのてるまちとうとをて、 6われた、「たみは一つで、みなおな言葉ことばである。かれらはすでにこのことをしはじめた。かれらがしようとすることは、もはや何事なにごともとどめないであろう。 7さあ、われわれはくだってって、そこでかれらの言葉ことばみだし、たがい言葉ことばつうじないようにしよう」。 8こうしてしゅかれらをそこからぜんのおもてにらされたので、かれらはまちてるのをやめた。 9これによってそのまちはバベルとばれた。しゅがそこでぜん言葉ことばみだされたからである。しゅはそこからかれらをぜんのおもてにらされた。

10セムの系図けいずつぎのとおりである。セムは百さいになって洪水こうずいの二ねんのちにアルパクサデをんだ。 11セムはアルパクサデをんでのち、五百ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。

12アルパクサデは三十五さいになってシラをんだ。 13アルパクサデはシラをんでのち、四百三ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。

14シラは三十さいになってエベルをんだ。 15シラはエベルをんでのち、四百三ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。

16エベルは三十四さいになってペレグをんだ。 17エベルはペレグをんでのち、四百三十ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。

18ペレグは三十さいになってリウをんだ。 19ペレグはリウをんでのち、二百九ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。

20リウは三十二さいになってセルグをんだ。 21リウはセルグをんでのち、二百七ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。

22セルグは三十さいになってナホルをんだ。 23セルグはナホルをんでのち、二百ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。

24ナホルは二十九さいになってテラをんだ。 25ナホルはテラをんでのち、百十九ねんきて、男子だんし女子じょしんだ。

26テラは七十さいになってアブラム、ナホルおよびハランをんだ。

27テラの系図けいずつぎのとおりである。テラはアブラム、ナホルおよびハランをみ、ハランはロトをんだ。 28ハランはちちテラにさきだって、そのうまれた、カルデヤのウルでんだ。 29アブラムとナホルはつまをめとった。アブラムのつまはサライといい、ナホルのつまはミルカといってハランのむすめである。ハランはミルカのちち、またイスカのちちである。 30サライはうまずめで、がなかった。

31テラはそのアブラムと、ハランのであるまごロトと、アブラムのつまであるよめサライとをれて、カナンのこうとカルデヤのウルをたが、ハランにいてそこにんだ。 32テラのとしは二百五さいであった。テラはハランでんだ。

第一二章

1ときしゅはアブラムにわれた、「あなたはくにて、親族しんぞくわかれ、ちちいえはなれ、わたしがしめきなさい。 2わたしはあなたをおおいなる国民こくみんとし、あなたを祝福しゅくふくし、あなたのおおきくしよう。あなたは祝福しゅくふくもといとなるであろう。
3あなたを祝福しゅくふくするものをわたしは祝福しゅくふくし、
あなたをのろうものをわたしはのろう。
のすべてのやからは、
あなたによって祝福しゅくふくされる」。

4アブラムはしゅわれたようにいでった。ロトもかれともった。アブラムはハランをたとき七十五さいであった。 5アブラムはつまサライと、おとうとロトと、あつめたすべての財産ざいさんと、ハランで人々ひとびととをたずさえてカナンにこうとしていでち、カナンのにきた。 6アブラムはそのとおってシケムのところ、モレのテレビンののもとにいた。そのころカナンびとがそのにいた。 7ときしゅはアブラムにあらわれてわれた、「わたしはあなたの子孫しそんにこのあたえます」。アブラムはかれあらわれたしゅのために、そこに祭壇さいだんきずいた。 8かれはそこからベテルのひがしやまうつって天幕てんまくった。西にしにはベテル、ひがしにはアイがあった。そこにかれしゅのために祭壇さいだんきずいて、しゅんだ。 9アブラムはなおすすんでネゲブにうつった。

10さて、そのにききんがあったのでアブラムはエジプトに寄留きりゅうしようと、そこにくだった。ききんがそのはげしかったからである。 11エジプトにはいろうとして、そこにちかづいたとき、かれつまサライにった、「わたしはあなたがうつくしいおんなであるのをっています。 12それでエジプトびとがあなたをとき、これはかれつまであるとってわたしをころし、あなたをかしておくでしょう。 13どうかあなたは、わたしのいもうとだとってください。そうすればわたしはあなたのおかげで無事ぶじであり、わたしのいのちはあなたによってたすかるでしょう」。 14アブラムがエジプトにはいったときエジプトびとはこのおんなて、たいそううつくしいひとであるとし、 15またパロの高官こうかんたちも彼女かのじょてパロのまえでほめたので、おんなはパロのいえれられた。 16パロは彼女かのじょのゆえにアブラムをあつくもてなしたので、アブラムはおおくのひつじうし雌雄しゆうのろば、男女だんじょ奴隷どれいおよび、らくだをた。

17ところでしゅはアブラムのつまサライのゆえに、はげしい疫病えきびょうをパロとそのいえくだされた。 18パロはアブラムをせてった、「あなたはわたしになんということをしたのですか。なぜ彼女かのじょつまであるのをわたしにげなかったのですか。 19あなたはなぜ、彼女かのじょはわたしのいもうとですとったのですか。わたしは彼女かのじょつまにしようとしていました。さあ、あなたのつまはここにいます。れてってください」。 20パロはかれことについて人々ひとびとめいじ、かれとそのつまおよびそのすべてのものおくらせた。

第一三章

1アブラムはつまとすべてのものたずさえ、エジプトをて、ネゲブにのぼった。ロトもかれとものぼった。

2アブラムは家畜かちく金銀きんぎん非常ひじょうんでいた。 3かれはネゲブから旅路たびじすすめてベテルにかい、ベテルとアイのあいだの、さきに天幕てんまくったところった。 4すなわちかれはじめにきずいた祭壇さいだんところき、そのところでアブラムはしゅんだ。 5アブラムとともったロトもひつじうしおよび天幕てんまくっていた。 6そのかれらをささえてともませることができなかった。かれらの財産ざいさんおおかったため、ともめなかったのである。 7アブラムの家畜かちく牧者ぼくしゃたちとロトの家畜かちく牧者ぼくしゃたちのあいだあらそいがあった。そのころカナンびととペリジびとがそのんでいた。

8アブラムはロトにった、「わたしたちは身内みうちものです。わたしとあなたのあいだにも、わたしの牧者ぼくしゃたちとあなたの牧者ぼくしゃたちのあいだにもあらそいがないようにしましょう。 9ぜんはあなたのまえにあるではありませんか。どうかわたしとわかれてください。あなたがひだりけばわたしはみぎきます。あなたがみぎけばわたしはひだりきましょう」。 10ロトがげてヨルダンの低地ていちをあまねくわたすと、しゅがソドムとゴモラをほろぼされるまえであったから、ゾアルまでしゅそののように、またエジプトののように、すみずみまでよくうるおっていた。 11そこでロトはヨルダンの低地ていちをことごとくえらびとってひがしうつった。こうしてかれらはたがいわかれた。 12アブラムはカナンのんだが、ロトは低地ていち町々まちまちみ、天幕てんまくをソドムにうつした。 13ソドムの人々ひとびとはわるく、しゅたいして、はなはだしいつみびとであった。

14ロトがアブラムにわかれたのちに、しゅはアブラムにわれた、「をあげてあなたのいるところからきたみなみひがし西にしわたしなさい。 15すべてあなたがわたすは、永久えいきゅうにあなたとあなたの子孫しそんあたえます。 16わたしはあなたの子孫しそんのちりのようにおおくします。もしひとのちりをかぞえることができるなら、あなたの子孫しそんかぞえられることができましょう。 17あなたはって、そのをたてよこにめぐりなさい。わたしはそれをあなたにあたえます」。 18アブラムは天幕てんまくうつしてヘブロンにあるマムレのテレビンののかたわらにみ、そのところしゅ祭壇さいだんきずいた。

第一四章

1シナルのおうアムラペル、エラサルのおうアリオク、エラムのおうケダラオメルおよびゴイムのおうテダルのに、 2これらのおうはソドムのおうベラ、ゴモラのおうビルシャ、アデマのおうシナブ、ゼボイムのおうセメベル、およびベラすなわちゾアルのおうたたかった。 3これら五にんおうはみな同盟どうめいしてシデムのたに、すなわちしおうみかってった。 4すなわちかれらは十二ねんあいだケダラオメルにつかえたが、十三ねんにそむいたので、 5十四ねんにケダラオメルはかれ連合れんごうしたおうたちとともにきて、アシタロテ・カルナイムでレパイムびとを、ハムでズジびとを、シャベ・キリアタイムでエミびとをち、 6セイルの山地さんちでホリびとをって、荒野あらののほとりにあるエル・パランにおよんだ。 7かれらはかえしてエン・ミシパテすなわちカデシへって、アマレクびとのくにをことごとくち、またハザゾン・タマルにむアモリびとをもった。 8そこでソドムのおう、ゴモラのおう、アデマのおう、ゼボイムのおうおよびベラすなわちゾアルのおうてシデムのたにかれらにかい、たたかいのじんをしいた。 9すなわちエラムのおうケダラオメル、ゴイムのおうテダル、シナルのおうアムラペル、エラサルのおうアリオクの四にんおうたいする五にんおうであった。 10シデムのたににはアスファルトのあなおおかったので、ソドムのおうとゴモラのおうげてそこにちたが、のこりのものやまにのがれた。 11そこでかれらはソドムとゴモラの財産ざいさん食料しょくりょうとをことごとくうばってり、 12またソドムにんでいたアブラムのおとうとロトとその財産ざいさんうばってった。

13ときに、ひとりのひとがのがれてきて、ヘブルびとアブラムにげた。このときアブラムはエシコルの兄弟きょうだい、またアネルの兄弟きょうだいであるアモリびとマムレのテレビンののかたわらにんでいた。かれらはアブラムと同盟どうめいしていた。 14アブラムは身内みうちもの捕虜ほりょになったのをき、訓練くんれんしたいえ三百十八にんれてダンまでってき、 15そのしもべたちをけて、よるかれらをめ、これをってダマスコのきた、ホバまでかれらをった。 16そしてかれはすべての財産ざいさんかえし、また身内みうちものロトとその財産ざいさんおよびおんなたちとたみとをかえした。

17アブラムがケダラオメルとその連合れんごうおうたちをやぶってかえったとき、ソドムのおうはシャベのたに、すなわちおうたにかれむかえた。 18そのとき、サレムのおうメルキゼデクはパンとぶどうしゅとをってきた。かれはいとたかかみ祭司さいしである。 19かれはアブラムを祝福しゅくふくしてった、
ねがわくは天地てんちしゅなるいとたかかみが、
アブラムを祝福しゅくふくされるように。
20ねがわくはあなたのてきをあなたのわたされた
いとたかかみがあがめられるように」。
アブラムはかれにすべてのものの十ぶんの一をおくった。 21ときにソドムのおうはアブラムにった、「わたしにはひとをください。財産ざいさんはあなたがりなさい」。 22アブラムはソドムのおうった、「天地てんちしゅなるいとたかかみしゅをあげて、わたしはちかいます。 23わたしはいとぽんでも、くつひも一ぽんでも、あなたのものはなににもけません。アブラムをませたのはわたしだと、あなたがわないように。 24ただし若者わかものたちがすでにべたものべつです。そしてわたしとともった人々ひとびとアネルとエシコルとマムレとにはそのぶんらせなさい」。

第一五章

1これらのことのちしゅ言葉ことばまぼろしのうちにアブラムにのぞんだ、
「アブラムよおそれてはならない、
わたしはあなたのたてである。
あなたのけるむくいは、
はなはだおおきいであろう」。
2アブラムはった、「しゅなるかみよ、わたしにはがなく、わたしのいえものはダマスコのエリエゼルであるのに、あなたはわたしになにをくださろうとするのですか」。 3アブラムはまたった、「あなたはわたしにたまわらないので、わたしのいえうまれたしもべが、あとつぎとなるでしょう」。 4このときしゅ言葉ことばかれのぞんだ、「このものはあなたのあとつぎとなるべきではありません。あなたのからものがあとつぎとなるべきです」。 5そしてしゅかれそとしてわれた、「てんあおいで、ほしかぞえることができるなら、かぞえてみなさい」。またかれわれた、「あなたの子孫しそんはあのようになるでしょう」。 6アブラムはしゅしんじた。しゅはこれをかれみとめられた。

7またしゅかれわれた、「わたしはこのをあなたにあたえて、これをがせようと、あなたをカルデヤのウルからみちびしたしゅです」。 8かれった、「しゅなるかみよ、わたしがこれをぐのをどうしてることができますか」。 9しゅかれわれた、「三さい雌牛めうしと、三さいやぎと、三さい雄羊おひつじと、やまばとと、いえばとのひなとをわたしのところれてきなさい」。 10かれはこれらをみなれてきて、二つにき、いたものをたがいかいわせていた。ただし、とりかなかった。   11あらとり死体したいうえりるとき、アブラムはこれをはらった。

12るころ、アブラムがふかねむりにおそわれたときおおきなおそろしいくらやみがかれのぞんだ。 13ときしゅはアブラムにわれた、「あなたはよくこころにとめておきなさい。あなたの子孫しそんくにたびびととなって、その人々ひとびとつかえ、その人々ひとびとかれらを四百ねんあいだなやますでしょう。 14しかし、わたしはかれらがつかえたその国民こくみんをさばきます。そののちかれらはおおくの財産ざいさんたずさえてるでしょう。 15あなたはやすらかに先祖せんぞのもとにきます。そして高齢こうれいたっしてほうむられるでしょう。 16だいになってかれらはここにかえってるでしょう。アモリびとのあくがまだちないからです」。

17やがてり、くらやみになったときけむりつかまど、ほのおるたいまつが、いたもののあいだとおぎた。 18そのしゅはアブラムと契約けいやくむすんでわれた、
「わたしはこのをあなたの子孫しそんあたえる。
エジプトのかわから、かの大川おおかわユフラテまで。
19すなわちケニびと、ケニジびと、カドモニびと、 20ヘテびと、ペリジびと、レパイムびと、 21アモリびと、カナンびと、ギルガシびと、エブスびとのあたえる」。

第一六章

1アブラムのつまサライはまなかった。彼女かのじょにひとりのつかえめがあった。エジプトのおんなをハガルといった。 2サライはアブラムにった、「しゅはわたしにをおさづけになりません。どうぞ、わたしのつかえめのところにおはいりください。彼女かのじょによってわたしはをもつことになるでしょう」。アブラムはサライの言葉ことばきいれた。 3アブラムのつまサライはそのつかえめエジプトのおんなハガルをとって、おっとアブラムにつまとしてあたえた。これはアブラムがカナンのに十ねんんだのちであった。 4かれはハガルのところにはいり、ハガルはをはらんだ。彼女かのじょ自分じぶんのはらんだのをて、おんな主人しゅじん見下みさげるようになった。 5そこでサライはアブラムにった、「わたしがけたがいはあなたの責任せきにんです。わたしのつかえめをあなたのふところにあたえたのに、彼女かのじょ自分じぶんのはらんだのをて、わたしを見下さげます。どうか、しゅがあなたとわたしのあいだをおさばきになるように」。 6アブラムはサライにった、「あなたのつかえめはあなたののうちにある。あなたのきなように彼女かのじょにしなさい」。そしてサライが彼女かのじょくるしめたので、彼女かのじょはサライのかおけてげた。

7しゅ使つかい荒野あらのにあるいずみのほとり、すなわちシュルのみちにあるいずみのほとりで、彼女かのじょい、 8そしてった、「サライのつかえめハガルよ、あなたはどこからきたのですか、またどこへくのですか」。彼女かのじょった、「わたしはおんな主人しゅじんサライのかおけてげているのです」。 9しゅ使つかい彼女かのじょった、「あなたはおんな主人しゅじんのもとにかえって、そのまかせなさい」。 10しゅ使つかいはまた彼女かのじょった、「わたしはおおいにあなたの子孫しそんして、かぞえきれないほどにおおくしましょう」。 11しゅ使つかいはまた彼女かのじょった、「あなたは、みごもっています。あなたはおとこむでしょう。をイシマエルとづけなさい。しゅがあなたのくるしみをかれたのです。 12かれろばのようなひととなり、そのはすべてのひとさからい、すべてのひとかれさからい、かれはすべての兄弟きょうだいてきしてむでしょう」。 13そこで、ハガルは自分じぶんかたられたしゅんで、「あなたはエル・ロイです」とった。彼女かのじょが「ここでも、わたしをていられるかたのうしろをおがめたのか」とったことによる。 14それでその井戸いどは「ベエル・ラハイ・ロイ」とばれた。これはカデシとベレデのあいだにある。

15ハガルはアブラムにおとこんだ。アブラムはハガルがんだをイシマエルとづけた。 16ハガルがイシマエルをアブラムにんだとき、アブラムは八十六さいであった。

第一七章

1アブラムの九十九さいときしゅはアブラムにあらわれてわれた、
「わたしは全能ぜんのうかみである。
あなたはわたしのまえあゆみ、まったものであれ。
2わたしはあなたと契約けいやくむすび、
おおいにあなたの子孫しそんすであろう」。
3アブラムは、ひれした。かみはまたかれわれた、
4「わたしはあなたと契約けいやくむすぶ。
あなたはおおくの国民こくみんちちとなるであろう。
5あなたのは、もはやアブラムとはわれず、
あなたのはアブラハムとばれるであろう。
わたしはあなたをおおくの国民こくみん
ちちとするからである。
6わたしはあなたにおおくの子孫しそんさせ、国々くにぐにたみをあなたからおこそう。また、おうたちもあなたからるであろう。 7わたしはあなたおよのち代々よよ子孫しそん契約けいやくてて、永遠えいえん契約けいやくとし、あなたとのち子孫しそんとのかみとなるであろう。 8わたしはあなたとのち子孫しそんとにあなたの宿やどっているこの、すなわちカナンのぜん永久えいきゅう所有しょゆうとしてあたえる。そしてわたしはかれらのかみとなるであろう」。

9かみはまたアブラハムにわれた、「あなたとのち子孫しそんとはとも代々よよわたしの契約けいやくまもらなければならない。あなたがたのうち 10男子だんしはみな割礼かつれいをうけなければならない。これはわたしとあなたがたおよのち子孫しそんとのあいだのわたしの契約けいやくであって、あなたがたのまもるべきものである。 11あなたがたはまえかわ割礼かつれいけなければならない。それがわたしとあなたがたとのあいだ契約けいやくのしるしとなるであろう。 12あなたがたのうちの男子だんしはみな代々よよいえうまれたものも、また異邦人いほうじんからぎんった、あなたの子孫しそんでないものも、うまれて八割礼かつれいけなければならない。 13あなたのいえうまれたものも、あなたがぎんったものかなら割礼かつれいけなければならない。こうしてわたしの契約けいやくはあなたがたのにあって永遠えいえん契約けいやくとなるであろう。 14割礼かつれいけない男子だんし、すなわちまえかわらないものはわたしの契約けいやくやぶるゆえ、そのひとたみのうちからたれるであろう」。

15かみはまたアブラハムにわれた、「あなたのつまサライは、もはやをサライといわず、をサラといなさい。 16わたしは彼女かのじょ祝福しゅくふくし、また彼女かのじょによって、あなたにひとりのおとこさづけよう。わたしは彼女かのじょ祝福しゅくふくし、彼女かのじょ国々くにぐにたみははとしよう。彼女かのじょから、もろもろのたみおうたちがるであろう」。 17アブラハムはひれしてわらい、こころなかった、「百さいものにどうしてうまれよう。サラはまた九十さいにもなって、どうしてむことができようか」。 18そしてアブラハムはかみった、「どうかイシマエルがあなたのまえきながらえますように」。 19かみわれた、「いや、あなたのつまサラはあなたにおとこむでしょう。をイサクとづけなさい。わたしはかれ契約けいやくてて、のち子孫しそんのために永遠えいえん契約けいやくとしよう。 20またイシマエルについてはあなたのねがいをいた。わたしはかれ祝福しゅくふくしておおくの子孫しそんさせ、おおいにそれをすであろう。かれは十二にんきみたちをむであろう。わたしはかれおおいなる国民こくみんとしよう。 21しかしわたしは来年らいねんいまごろサラがあなたにむイサクと、わたしの契約けいやくてるであろう」。

22かみはアブラハムとかたえ、かれはなれて、のぼられた。 23アブラハムはかみ自分じぶんわれたように、このそのイシマエルと、すべていえうまれたものおよびすべてぎんったもの、すなわちアブラハムのいえ人々ひとびとのうち、すべての男子だんしれてきて、まえかわ割礼かつれいほどこした。 24アブラハムがまえかわ割礼かつれいけたときは九十九さい 25そのイシマエルがまえかわ割礼かつれいけたときは十三さいであった。 26このアブラハムとそのイシマエルは割礼かつれいけた。 27またそのいえ人々ひとびといえうまれたものも、ぎん異邦人いほうじんからったものみなかれとも割礼かつれいけた。

第一八章

1しゅはマムレのテレビンののかたわらでアブラハムにあらわれられた。それはひるあついころで、かれ天幕てんまく入口いりぐちにすわっていたが、 2げてると、三にんひとかれかってっていた。かれはこれをて、天幕てんまく入口いりぐちからはしってってかれらをむかえ、をかがめて、 3った、「わがしゅよ、もしわたしがあなたのまえめぐみをているなら、どうぞしもべをとおごさないでください。 4みずをすこしってこさせますから、あなたがたはあしあらって、このしたでおやすみください。 5わたしは一口ひとくちのパンをってきます。元気げんきをつけて、それからおかけください。せっかくしもべのところにおいでになったのですから」。かれらはった、「お言葉ことばどおりにしてください」。 6そこでアブラハムはいそいで天幕てんまくり、サラのところってった、「いそいでこまかい麦粉むぎこ三セヤをとり、こねてパンをつくりなさい」。 7アブラハムはうしれにはしってき、やわらかなうしって若者わかものわたしたので、いそいで調理ちょうりした。 8そしてアブラハムは凝乳ぎょうにゅう牛乳ぎゅうにゅうおよびうし調理ちょうりしたものをって、かれらのまえそなえ、したかれらのかたわらにって給仕きゅうじし、かれらは食事しょくじした。

9かれらはアブラハムにった、「あなたのつまサラはどこにおられますか」。かれった、「天幕てんまくなかです」。 10そのひとりがった、「来年らいねんはる、わたしはかならずあなたのところかえってきましょう。そのとき、あなたのつまサラにはおとこうまれているでしょう」。サラはうしろのほう天幕てんまく入口いりぐちいていた。 11さてアブラハムとサラとはとしがすすみ、老人ろうじんとなり、サラはおんなつきのものが、すでにまっていた。 12それでサラはこころなかわらってった、「わたしはおとろえ、主人しゅじんもまた老人ろうじんであるのに、わたしにたのしみなどありえようか」。 13しゅはアブラハムにわれた、「なぜサラは、わたしは老人ろうじんであるのに、どうしてむことができようかとってわらったのか。 14しゅにとって不可能ふかのうなことがありましょうか。来年らいねんはるさだめのときに、わたしはあなたのところかえってきます。そのときサラにはおとこうまれているでしょう」。 15サラはおそれたので、これをしてった、「わたしはわらいません」。しゅわれた、「いや、あなたはわらいました」。

16その人々ひとびとはそこをってソドムのほうかったので、アブラハムはかれらを見送みおくってともった。 17ときしゅわれた、「わたしのしようとすることをアブラハムにかくしてよいであろうか。 18アブラハムはかならおおきなつよ国民こくみんとなって、のすべてのたみがみな、かれによって祝福しゅくふくけるのではないか。 19わたしはかれのちらと家族かぞくとにめいじてしゅみちまもらせ、正義せいぎ公道こうどうとをおこなわせるためにかれったのである。これはしゅがかつてアブラハムについてったことかれうえのぞませるためである」。 20しゅはまたわれた、「ソドムとゴモラのさけびはおおきく、またそのつみ非常ひじょうおもいので、 21わたしはいまくだって、わたしにとどいたさけびのとおりに、すべてかれらがおこなっているかどうかをて、それをろう」。

22その人々ひとびとはそこからめぐらしてソドムのほうったが、アブラハムはなお、しゅまえっていた。 23アブラハムは近寄ちかよってった、「まことにあなたはただしいものを、わるもの一緒いっしょほろぼされるのですか。 24たとい、あのまちに五十にんただしいものがあっても、あなたはなお、そのところほろぼし、そのなかにいる五十にんただしいもののためにこれをゆるされないのですか。 25ただしいものわるものとを一緒いっしょころすようなことを、あなたはけっしてなさらないでしょう。ただしいものわるものとをおなじようにすることも、あなたはけっしてなさらないでしょう。ぜんをさばくもの公義こうぎおこなうべきではありませんか」。 26しゅわれた、「もしソドムでまちなかに五十にんただしいものがあったら、その人々ひとびとのためにそのところをすべてゆるそう」。 27アブラハムはこたえてった、「わたしはちりはいぎませんが、あえてわがしゅもうします。 28もし五十にんただしいもののうち五にんけたなら、その五にんけたためにまちまったほろぼされますか」。しゅわれた、「もしそこに四十五にんいたら、ほろぼさないであろう」。 29アブラハムはまたかさねてしゅった、「もしそこに四十にんいたら」。しゅわれた、「その四十にんのために、これをしないであろう」。 30アブラハムはった、「わがしゅよ、どうかおいかりにならぬよう。わたしはもうします。もしそこに三十にんいたら」。しゅわれた、「そこに三十にんいたら、これをしないであろう」。 31アブラハムはった、「いまわたしはあえてわがしゅもうします。もしそこに二十にんいたら」。しゅわれた、「わたしはその二十にんのためにほろぼさないであろう」。 32アブラハムはった、「わがしゅよ、どうかおいかりにならぬよう。わたしはいま一もうします、もしそこに十にんいたら」。しゅわれた、「わたしはその十にんのためにほろぼさないであろう」。 33しゅはアブラハムとかたおわり、ってかれた。アブラハムは自分じぶんところかえった。

第一九章

1そのふたりのみ使つかい夕暮ゆうぐれにソドムにいた。そのときロトはソドムのもんにすわっていた。ロトはかれらをて、ってむかえ、して、 2った、「わがしゅよ、どうぞしもべのいえ立寄たちよってあしあらい、おまりください。そしてあさはやきておちください」。かれらはった、「いや、われわれは広場ひろばごします」。 3しかしロトがしいてすすめたので、かれらはついにかれところり、いえにはいった。ロトはかれらのためにふるまいをもうけ、たねれぬパンをいてべさせた。 4ところがかれらのないうちに、ソドムのまち人々ひとびとは、わかもの老人ろうじんも、たみがみな四方しほうからきて、そのいえかこみ、 5ロトにさけんでった、「今夜こんやおまえのところにきた人々ひとびとはどこにいるか。それをここにしなさい。われわれはかれらをるであろう」。 6ロトは入口いりぐちにおるかれらのところき、うしろのじて、 7った、「兄弟きょうだいたちよ、どうかわることはしないでください。 8わたしにまだおとこらないむすめがふたりあります。わたしはこれをあなたがたに、さししますから、きなようにしてください。ただ、わたしの屋根やねしたにはいったこのひとたちには、なにもしないでください」。 9かれらはった、「退しりぞけ」。またった、「このおとこわたってきたよそものであるのに、いつも、さばきびとになろうとする。それで、われわれはかれらにくわえるよりも、おまえにおおくのがいくわえよう」。かれらはロトのはげしくせまり、すすってやぶろうとした。 10そのとき、かのふたりはべてロトをいえうちれ、じた。 11そしていえ入口いりぐちにおる人々ひとびとを、老若ろうにゃくべつなくってをくらましたので、かれらは入口いりぐちさがすのにつかれた。

12ふたりはロトにった、「ほかにあなたの身内みうちものがここにおりますか。あなたのむこ、むすこ、むすめおよびこのまちにおるあなたの身内みうちものを、みなここからしなさい。 13われわれがこのところほろぼそうとしているからです。人々ひとびとさけびがしゅまえおおきくなり、しゅはこのところほろぼすために、われわれをつかわされたのです」。 14そこでロトはって、そのむすめたちをめとるむこたちにげてった、「ってこのところからなさい。しゅがこのまちほろぼされます」。しかしそれはむこたちにはたわむむれごとにおもえた。

15けて、み使つかいたちはロトをうながしてった  「って、ここにいるあなたのつまとふたりのむすめとをしなさい。そうしなければ、あなたもこのまち不義ふぎのためにほろぼされるでしょう」。 16かれはためらっていたが、しゅかれにあわれみをほどこされたので、かのふたりはかれと、そのつまと、ふたりのむすめってし、まちそといた。 17かれらをそとしたときそのひとりはった、「のがれて、自分じぶんいのちすくいなさい。うしろをふりかえっててはならない。低地ていちにはどこにもまってはならない。やまにのがれなさい。そうしなければ、あなたはほろびます」。 18ロトはかれらにった、「わがしゅよ、どうか、そうさせないでください。 19しもべはすでにあなたのまえめぐみをました。あなたはわたしのいのちすくって、おおいなるいつくしみをほどこされました。しかしわたしはやままではのがれることができません。わざわいせまってわたしはぬでしょう。 20あのまちをごらんなさい。げていくのにちかく、またちいさいまちです。どうかわたしをそこにのがれさせてください。それはちいさいではありませんか。そうすればわたしのいのちたすかるでしょう」。 21使つかいかれった、「わたしはこのことでもあなたのねがいをいれて、あなたのうそのまちほろぼしません。 22いそいでそこへのがれなさい。あなたがそこにくまでは、わたしは何事なにごともすることができません」。これによって、そのまちはゾアルとばれた。 23ロトがゾアルにいたときうえにのぼった。

24しゅ硫黄いおうとをしゅところすなわちてんからソドムとゴモラのうえらせて、 25これらのまちと、すべての低地ていちと、その町々まちまちのすべての住民じゅうみんと、そのにはえているものを、ことごとくほろぼされた。 26しかしロトのつまはうしろをかえりみたのでしおはしらになった。 27アブラハムはあさはやき、さきにしゅまえったところって、 28ソドムとゴモラのほう、および低地ていち全面ぜんめんをながめると、そのけむりが、かまどのけむりのようにちのぼっていた。

29こうしてかみ低地ていち町々まちまちをこぼたれたとき、すなわちロトのんでいた町々まちまちほろぼされたときかみはアブラハムをおぼえて、そのほろびのなかからロトをすくされた。

30ロトはゾアルをのぼり、ふたりのむすめともやまんだ。ゾアルにむのをおそれたからである。かれはふたりのむすめともに、ほらあななかんだ。 31ときあねいもうとった、「わたしたちのちちい、またこのにはのならわしのように、わたしたちのところおとこはいません。 32さあ、ちちさけませ、ともて、ちちによってのこしましょう」。 33彼女かのじょたちはそのちちさけませ、あねがはいってちちともた。ロトはむすめたのも、きたのもらなかった。 34あくるあねいもうとった、「わたしは昨夜さくやちちました。わたしたちは今夜こんやもまたちちさけませましょう。そしてあなたがはいってともなさい。わたしたちはちちによってのこしましょう」。 35かれらはそのもまたちちさけませ、いもうとってちちともた。ロトはむすめたのも、きたのもらなかった。 36こうしてロトのふたりのむすめたちはちちによってはらんだ。 37あねむすめみ、そのをモアブとづけた。これはいまのモアブびとの先祖せんぞである。 38いもうともまたんで、そのをベニアンミとづけた。これはいまのアンモンびとの先祖せんぞである。

第二〇章

1アブラハムはそこからネゲブのうつって、カデシとシュルのあいだんだ。かれがゲラルにとどまっていたとき 2アブラハムはつまサラのことを、「これはわたしのいもうとです」とったので、ゲラルのおうアビメレクは、ひとをつかわしてサラをれた。 3ところがかみゆめにアビメレクにのぞんでわれた、「あなたはれたあのおんなのゆえになねばならない。彼女かのじょおっとのあるである」。 4アビメレクはまだ彼女かのじょちかづいていなかったのでった、「しゅよ、あなたはただしいたみでもころされるのですか。 5かれはわたしに、これはわたしのいもうとですとったではありませんか。また彼女かのじょ自分じぶんで、かれはわたしのあにですといました。わたしはこころきよく、もいさぎよく、このことをしました」。 6かみはまたゆめかれわれた、「そうです、あなたがきよこころをもってこのことをしたのをっていたから、わたしもあなたをまもって、わたしにたいしてつみおかさせず、彼女かのじょにふれることをゆるさなかったのです。 7いまかれつまかえしなさい。かれ預言者よげんしゃですから、あなたのためにいのって、いのちたもたせるでしょう。もしかえさないなら、あなたも身内みうちものもみなかならぬとらなければなりません」。

8そこでアビメレクはあさはやき、しもべたちをことごとくあつめて、これらのことをみなかたかせたので、人々ひとびと非常ひじょうおそれた。 9そしてアビメレクはアブラハムをしてった、「あなたはわれわれになにをするのですか。あなたにたいしてわたしがどんなつみおかしたために、あなたはわたしとわたしのくにとに、おおきなつみわせるのですか。あなたはしてはならぬことをわたしにしたのです」。 10アビメレクはまたアブラハムにった、「あなたはなんとおもって、このことをしたのですか」。 11アブラハムはった、「このところにはかみおそれるということが、まったくないので、わたしのつまのゆえに人々ひとびとがわたしをころすとおもったからです。 12また彼女かのじょはほんとうにわたしのいもうとなのです。わたしのちちむすめですが、ははむすめではありません。そして、わたしのつまになったのです。 13かみがわたしにちちいえはなれて、めぐらせたとき、わたしは彼女かのじょに、あなたはわたしたちのくさきざきでわたしをあにであるとってください。これはあなたがわたしにほどこめぐみであるといました」。 14そこでアビメレクはひつじうしおよび男女だんじょ奴隷どれいってアブラハムにあたえ、そのつまサラをかれかえした。 15そしてアビメレクはった、「わたしのはあなたのまえにあります。あなたのきなところみなさい」。 16またサラにった、「わたしはあなたのあにぎんせんシケルをあたえました。これはあなたのったすべてのことについて、あなたにつぐないをするものです。こうしてすべてのひとにあなたはただしいとみとめられます」。 17そこでアブラハムはかみいのった。かみはアビメレクとそのつまおよび、はしためたちをいやされたので、かれらはむようになった。 18これはしゅがさきにアブラハムのつまサラのゆえに、アビメレクのいえのすべてのものたいを、かたくざされたからである。

第二一章

1しゅは、さきにわれたようにサラをかえりみ、げられたようにサラにおこなわれた。 2サラはみごもり、かみがアブラハムにげられたときになって、年老としおいたアブラハムにおとこんだ。 3アブラハムはうまれた、サラがんだおとこをイサクとづけた。 4アブラハムはかみめいじられたように八にそのイサクに割礼かつれいほどこした。 5アブラハムはそのイサクがうまれたときさいであった。 6そしてサラはった、「かみはわたしをわらわせてくださった。ものみなわたしのことでわらうでしょう」。 7またった、「サラがちちませるだろうと、だれがアブラハムにたであろう。それなのに、わたしはかれとしとってから、んだ」。

8さて、おさなごはそだって乳離ちばなれした。イサクが乳離ちばなれしたにアブラハムはさかんなふるまいをもうけた。 9サラはエジプトのおんなハガルのアブラハムにんだが、自分じぶんイサクとあそぶのをて、 10アブラハムにった、「このはしためとそのしてください。このはしためのはわたしのイサクとともに、世継よつぎとなるべきものではありません」。 11このことで、アブラハムはそののために非常ひじょう心配しんぱいした。 12かみはアブラハムにわれた、「あのわらべのため、またあなたのはしためのために心配しんぱいすることはない。サラがあなたにうことはすべてきいれなさい。イサクにうまれるものが、あなたの子孫しそんとなえられるからです。 13しかし、はしためのもあなたのですから、これをも、一つの国民こくみんとします」。 14そこでアブラハムはくるあさはやくきて、パンとみずかわぶくろとをり、ハガルにあたえて、かたわせ、そのれてらせた。ハガルはってベエルシバの荒野あらのにさまよった。

15やがてかわぶくろみずきたので、彼女かのじょはそのしたにおき、 16「わたしはこのぬのをるにしのびない」とって、とどくほどはなれてき、子供こどもほういてすわった。彼女かのじょ子供こどもほういてすわったとき、子供こどもこえをあげていた。 17かみはわらべのこえかれ、かみ使つかいてんからハガルをんでった、「ハガルよ、どうしたのか。おそれてはいけない。かみはあそこにいるわらべのこえかれた。 18ってき、わらべをげてあなたのきなさい。わたしはかれおおいなる国民こくみんとするであろう」。 19かみがハガルのひらかれたので、彼女かのじょみず井戸いどのあるのをた。彼女かのじょってかわぶくろみずたし、わらべにませた。 20かみはわらべとともにいまし、わらべは成長せいちょうした。かれ荒野あらのんでゆみものとなった。 21かれはパランの荒野あらのんだ。ははかれのためにエジプトのくにからつまむかえた。

22そのころアビメレクとその軍勢ぐんぜいちょうピコルはアブラハムにった、「あなたが何事なにごとをなさっても、かみはあなたとともにおられる。 23それゆえ、いまここでわたしをも、わたしのをも、まごをもあざむかないと、かみをさしてわたしにちかってください。わたしがあなたに親切しんせつにしたように、あなたもわたしと、このあなたの寄留きりゅうとに、しなければなりません」。 24アブラハムはった、「わたしはちかいます」。

25アブラハムはアビメレクの家来けらいたちが、みず井戸いどうばったことについてアビメルクをめた。 26しかしアビメレクはった、「だれがこのことをしたかわたしはりません。あなたもわたしにげたことはなく、わたしもきょうまできませんでした」。 27そこでアブラハムはひつじうしとをってアビメレクにあたえ、ふたりは契約けいやくむすんだ。 28アブラハムがめす小羊こひつじとうけていたところ、 29アビメレクはアブラハムにった、「あなたがこれらのめす小羊こひつじとうけていたのは、なんのためですか」。 30アブラハムはった、「あなたはわたしのからこれらのめす小羊こひつじとうって、わたしがこの井戸いどったことの証拠しょうことしてください」。 31これによってそのところをベエルシバとづけた。かれらがふたりそこでちかいをしたからである。 32このようにかれらはベエルシバで契約けいやくむすび、アビメレクとその軍勢ぐんぜいちょうピコルはってペリシテのかえった。 33アブラハムはベエルシバに一ぽんのぎょりゅうのえ、そのところ永遠えいえんかみしゅんだ。 34こうしてアブラハムはながあいだペリシテびとのにとどまった。

第二二章

1これらのことのちかみはアブラハムをこころみてかれわれた、「アブラハムよ」。かれった、「ここにおります」。 2かみわれた、「あなたの、あなたのあいするひとりイサクをれてモリヤのき、わたしがしめやまかれ燔祭はんさいとしてささげなさい」。 3アブラハムはあさはやくきて、ろばにくらをき、ふたりの若者わかものと、そのイサクとをれ、また燔祭はんさいのたきぎをり、ってかみしめされたところかけた。 4に、アブラハムはをあげて、はるかにその場所ばしょた。 5そこでアブラハムは若者わかものたちにった、「あなたがたは、ろばと一緒いっしょにここにいなさい。わたしとわらべはこうへって礼拝れいはいし、そののち、あなたがたのところかえってきます」。 6アブラハムは燔祭はんさいのたきぎをって、そのイサクにわせ、刃物はものとをって、ふたり一緒いっしょった。 7やがてイサクはちちアブラハムにった、「ちちよ」。かれこたえた、「よ、わたしはここにいます」。イサクはった、「とたきぎとはありますが、燔祭はんさい小羊こひつじはどこにありますか」。 8アブラハムはった、「よ、かみみずから燔祭はんさい小羊こひつじそなえてくださるであろう」。こうしてふたりは一緒いっしょった。

9かれらがかみしめされた場所ばしょにきたとき、アブラハムはそこに祭壇さいだんきずき、たきぎをならべ、そのイサクをしばって祭壇さいだんのたきぎのうえせた。 10そしてアブラハムがべ、刃物はものってそのころそうとしたとき 11しゅ使つかいてんからかれんでった、「アブラハムよ、アブラハムよ」。かれこたえた、「はい、ここにおります」。 12使つかいった、「わらべをにかけてはならない。またなにかれにしてはならない。あなたの、あなたのひとりをさえ、わたしのためにしまないので、あなたがかみおそれるものであることをわたしはいまった」。 13このときアブラハムがをあげてると、うしろに、つのをやぶにけている一とう雄羊おひつじがいた。アブラハムはってその雄羊おひつじとらえ、それをそののかわりに燔祭はんさいとしてささげた。 14それでアブラハムはそのところをアドナイ・エレとんだ。これにより、人々ひとびと今日こんにちもなお「しゅやまそなえあり」とう。

15しゅ使つかいふたたてんからアブラハムをんで、 16った、「しゅわれた、『わたしは自分じぶんをさしてちかう。あなたがこのことをし、あなたの、あなたのひとりをもしまなかったので、 17わたしはおおいにあなたを祝福しゅくふくし、おおいにあなたの子孫しそんをふやして、てんほしのように、はまべのすなのようにする。あなたの子孫しそんてきもんり、 18またのもろもろの国民こくみんはあなたの子孫しそんによって祝福しゅくふくるであろう。あなたがわたしの言葉ことばしたがったからである』」。 19アブラハムは若者わかものたちのところかえり、みなって、ともにベエルシバへった。そしてアブラハムはベエルシバにんだ。

20これらのことのち、あるひとがアブラハムにげてった、「ミルカもまたあなたの兄弟きょうだいナホルにどもをみました。 21長男ちょうなんはウヅ、おとうとはブズ、つぎはアラムのちちケムエル、 22つぎはケセデ、ハゾ、ピルダシ、エデラフ、ベトエルです」。 23ベトエルのはリベカであって、これら八にんはミルカがアブラハムの兄弟きょうだいナホルにんだのである。 24ナホルのそばめで、をルマというおんなもまたテバ、ガハム、タハシおよびマアカをんだ。

第二三章

1サラの一生いっしょうは百二十七ねんであった。これがサラのきながらえたとしである。 2サラはカナンののキリアテ・アルバすなわちヘブロンでんだ。アブラハムはなかにはいってサラのためにかなしみいた。 3アブラハムは死人しにんのそばからって、ヘテの人々ひとびとった、 4「わたしはあなたがたのうちのたびもの寄留者きりゅうしゃですが、わたしの死人しにんしてほうむるため、あなたがたのうちにわたしの所有しょゆうとして一つの墓地ぼちをください」。 5ヘテの人々ひとびとはアブラハムにこたえてった、 6「わがしゅよ、おきなさい。あなたはわれわれのうちにおられて、かみのような主君しゅくんです。われわれの墓地ぼちもっとところにあなたの死人しにんほうむりなさい。その墓地ぼちこばんで、あなたにその死人しにんほうむらせないものはわれわれのうちには、ひとりもないでしょう」。 7アブラハムはちあがり、そのたみヘテの人々ひとびとれいをして、 8かれらにった、「もしわたしの死人しにんほうむるのに同意どういされるなら、わたしのねがいをいれて、わたしのためにゾハルのエフロンにたのみ、 9かれっているはたけはしのマクペラのほらあなをじゅうぶんな代価だいかでわたしにあたえ、あなたがたのうちに墓地ぼちたせてください」。 10ときにエフロンはヘテの人々ひとびとのうちにすわっていた。そこでヘテびとエフロンはヘテの人々ひとびと、すなわちすべてそのまちもんにはいる人々ひとびといているところで、アブラハムにこたえてった、 11「いいえ、わがしゅよ、おきなさい。わたしはあのはたけをあなたにさしあげます。またそのなかにあるほらあなもさしあげます。わたしのたみ人々ひとびとまえで、それをさしあげます。あなたの死人しにんほうむりなさい」。 12アブラハムはそのたみまえれいをし、 13そのたみいているところでエフロンにった、「あなたがそれを承諾しょうだくされるなら、おきなさい。わたしはそのはたけ代価だいかはらいます。おりください。わたしの死人しにんをそこにほうむりましょう」。 14エフロンはアブラハムにこたえてった、 15「わがしゅよ、おきなさい。あのぎん四百シケルですが、これはわたしとあなたのあいだで、なにほどのことでしょう。あなたの死人しにんほうむりなさい」。 16そこでアブラハムはエフロンの言葉ことばにしたがい、エフロンがヘテの人々ひとびといているところでったぎん、すなわち商人しょうにん通用つうようぎん四百シケルをはかってエフロンにあたえた。

17こうしてマムレのまえのマクペラにあるエフロンのはたけは、はたけも、そのなかのほらあなも、はたけなかおよびその周囲しゅういさかいにあるすべてのみな 18ヘテの人々ひとびとまえ、すなわちそのまちもんにはいるすべての人々ひとびとまえで、アブラハムの所有しょゆうまった。 19そののち、アブラハムはそのつまサラをカナンのにあるマムレ、すなわちヘブロンのまえのマクペラのはたけのほらあなほうむった。 20このようにはたけとそのなかにあるほらあなとはヘテの人々ひとびとによってアブラハムの所有しょゆう墓地ぼちさだめられた。

第二四章

1アブラハムはとしすすんで老人ろうじんとなった。しゅはすべてのことにアブラハムをめぐまれた。 2さてアブラハムは所有しょゆうのすべてを管理かんりさせていたいえ年長ねんちょうのしもべにった、「あなたのをわたしのもものしたれなさい。 3わたしはあなたに天地てんちかみしゅをさしてちかわせる。あなたはわたしがいま一緒いっしょんでいるカナンびとのうちから、むすめをわたしのつまにめとってはならない。 4あなたはわたしのくにき、親族しんぞくところって、わたしのイサクのためにつまをめとらなければならない」。 5しもべはかれった、「もしそのおんながわたしについてこのることをこのまないときは、わたしはあなたのをあなたの出身しゅっしんかえるべきでしょうか」。 6アブラハムはかれった、「わたしのけっしてこうへかえってはならない。 7てんかみしゅはわたしをちちいえ親族しんぞくからみちびしてわたしにかたり、わたしにちかって、おまえの子孫しそんにこのあたえるとわれた。しゅは、み使つかいをあなたのまえにつかわされるであろう。あなたはあそこからわたしのつまをめとらねばならない。 8けれどもそのおんながあなたについてることをこのまないなら、あなたはこのちかいをかれる。ただわたしのこうへかえってはならない」。 9そこでしもべは主人しゅじんアブラハムのもものしたれ、このことについてかれちかった。

10しもべは主人しゅじんのらくだのうちから十とうのらくだをってかけた。すなわち主人しゅじんのさまざまのものたずさえ、ってアラム・ナハライムにむかい、ナホルのまちった。 11かれはらくだをまちそとの、みず井戸いどのそばにさせた。とき夕暮ゆうぐれで、おんなたちがみずをくみに時刻じこくであった。 12かれった、「主人しゅじんアブラハムのかみしゅよ、どうか、きょう、わたしにしあわせをさづけ、主人しゅじんアブラハムにめぐみをほどこしてください。 13わたしはいずみのそばにっています。まち人々ひとびとむすめたちがみずをくみにてきたとき、 14むすめかって『おねがいです、あなたのみずがめをかたむけてわたしにませてください』とい、むすめこたえて、『おみください。あなたのらくだにもませましょう』とったなら、そのものこそ、あなたがしもべイサクのためにさだめられたものということにしてください。わたしはこれによって、あなたがわたしの主人しゅじんめぐみをほどこされることをりましょう」。

15かれがまだおわらないうちに、アブラハムの兄弟きょうだいナホルのつまミルカのベトエルのむすめリベカが、みずがめをかたせててきた。 16そのむすめ非常ひじょううつくしく、おとこらぬ処女しょじょであった。彼女かのじょいずみりて、みずがめをたし、がってきたとき 17しもべははしって、彼女かのじょってった、「おねがいです。あなたのみずがめのみずすこませてください」。 18すると彼女かのじょは「わがしゅよ、おみください」とって、いそいでみずがめを自分じぶんりおろしてかれませた。 19ませおわって、彼女かのじょった、「あなたのらくだもみなおわるまで、わたしはみずをくみましょう」。 20彼女かのじょいそいでかめのみずみずぶねにあけ、ふたたみずをくみに井戸いどはしってって、すべてのらくだのためにみずをくんだ。 21そのかんそのひとしゅかれたび祝福しゅくふくされるか、どうかをろうと、だまって彼女かのじょつめていた。

22らくだがおわったとき、そのひとおもはんシケルのきん鼻輪はなわ一つと、おもさ十シケルのきん腕輪うでわ二つをって、 23った、「あなたはだれのむすめか、わたしにはなしてください。あなたのちちいえにわたしどものまる場所ばしょがありましょうか」。 24彼女かのじょかれった、「わたしはナホルのつまミルカのベトエルのむすめです」。 25またかれった、「わたしどもには、わらも、飼葉かいばもたくさんあります。またまる場所ばしょもあります」。 26そのひととうげ、しゅはいして、 27った、「主人しゅじんアブラハムのかみしゅはほむべきかな。しゅはわたしの主人しゅじんにいつくしみと、まこととをしまれなかった。そしてしゅたびにあるわたしを主人しゅじん兄弟きょうだいいえみちびかれた」。

28むすめはしってって、ははいえのものにこれらのことげた。 29リベカにひとりのあにがあって、をラバンといった。ラバンはいずみのそばにいるそのひとところはしってった。 30かれ鼻輪はなわいもうとにある腕輪うでわとを、またいもうとリベカが「そのひとはわたしにこうった」というのをいて、そのひとところってみると、そのひといずみのほとりで、らくだのそばにっていた。 31そこでそのひとった、「しゅ祝福しゅくふくされたひとよ、おはいりください。なぜそとっておられますか。わたしはいえ準備じゅんびし、らくだのためにも場所ばしょ準備じゅんびしておきました」。 32そのひといえにはいった。ラバンはらくだのいて、わらと飼葉かいばをらくだにあたえ、またみずあたえてそのひとあしと、その従者じゅうしゃたちのあしあらわせた。 33そしてかれまえ食物しょくもつそなえたが、かれった、「わたしは用向ようむきをはなすまではべません」。ラバンはった、「おはなしください」。

34そこでかれった、「わたしはアブラハムのしもべです。 35しゅはわたしの主人しゅじんおおいに祝福しゅくふくして、おおいなるものとされました。しゅはまたかれひつじうしぎんきん男女だんじょ奴隷どれい、らくだ、ろばをあたえられました。 36主人しゅじんつまサラは年老としおいてから、主人しゅじんおとこみました。主人しゅじんはその所有しょゆうみなこれにあたえました。 37ところで主人しゅじんはわたしにちかわせていました、『わたしのんでいるのカナンびとのむすめを、わたしのつまにめとってはならない。 38おまえはわたしのちちいえ親族しんぞくところって、わたしのつまをめとらなければならない』。 39わたしは主人しゅじんいました、『もしそのおんながわたしについてこないときはどういたしましょうか』。 40主人しゅじんはわたしにいました、『わたしのつかえているしゅは、み使つかいをおまえと一緒いっしょにつかわして、おまえのたびにさいわいをあたえられるであろう。おまえはわたしの親族しんぞく、わたしのちちいえからわたしのつまをめとらなければならない。 41そのとき、おまえはわたしにしたちかいからかれるであろう。またおまえがわたしの親族しんぞくときかれらがおまえにそのむすめあたえないなら、おまえはわたしにしたちかいからかれるであろう』。

42わたしはきょう、いずみのところにきていました、『主人しゅじんアブラハムのかみしゅよ、どうかいまわたしのゆくみちにさいわいをあたえてください。 43わたしはこのいずみのそばにっていますが、みずをくみにてくるむすめかって、「おねがいです。あなたのみずがめのみずすこませてください」とい、 44「おみください。あなたのらくだのためにも、くみましょう」とわたしにうなら、そのむすめこそ、しゅがわたしの主人しゅじんのためにさだめられたおんなということにしてください』。

45わたしがこころのうちでそうおわらないうちに、リベカがみずがめをかたせててきて、みずをくみにいずみりたので、わたしは『おねがいです、ませてください』といますと、 46彼女かのじょいそいでみずがめをかたからおろし、『おみください。わたしはあなたのらくだにもませましょう』といました。それでわたしはみましたが、彼女かのじょはらくだにもませました。 47わたしは彼女かのじょたずねて、『あなたはだれのむすめですか』といますと、『ナホルとそのつまミルカのベトエルのむすめです』とこたえました。そこでわたしは彼女かのじょはな鼻輪はなわをつけ、腕輪うでわをつけました。 48そしてわたしはあたまをさげてしゅはいし、主人しゅじんアブラハムのかみしゅをほめたたえました。しゅ主人しゅじん兄弟きょうだいむすめにめとらせようと、わたしをただしいみちみちびかれたからです。 49あなたがたが、もしわたしの主人しゅじんにいつくしみと、まことをつくそうとおもわれるなら、そうとわたしにおはなしください。そうでなければ、そうでないとおはなしください。それによってわたしはみぎひだりめましょう」。

50ラバンとベトエルはこたえてった、「このことしゅからたことですから、わたしどもはあなたによしあしをうことができません。 51リベカがここにおりますかられてって、しゅわれたように、あなたの主人しゅじんつまにしてください」。

52アブラハムのしもべはかれらの言葉ことばいて、し、しゅはいした。 53そしてしもべはぎんかざりと、きんかざり、および衣服いふくしてリベカにあたえ、そのあにははとにもあたいたか品々しなじなあたえた。 54かれ従者じゅうしゃたちはいして宿やどったが、あくるあさかれらがきたとき、しもべはった、「わたしを主人しゅじんのもとにかえらせてください」。 55リベカのあにははとはった、「むすめ数日すうじつすくなくとも十、わたしどもとともにいて、それからかせましょう」。 56しもべはかれらにった、「しゅはわたしのみちにさいわいをあたえられましたから、わたしをきとめずに、主人しゅじんのもとにかえらせてください」。 57かれらはった、「むすめんでいてみましょう」。 58かれらはリベカをんでった、「あなたはこのひと一緒いっしょきますか」。彼女かのじょった、「きます」。 59そこでかれらはいもうとリベカと、そのうばと、アブラハムのしもべと、その従者じゅうしゃとをおくらせた。 60かれらはリベカを祝福しゅくふくして彼女かのじょった、
いもうとよ、あなたは、ちよろずのひとははとなれ。
あなたの子孫しそんはそのてきもんれ」。
61リベカはって侍女じじょたちとともにらくだにり、そのひとしたがってった。しもべはリベカをれてった。

62さてイサクはベエル・ラハイ・ロイからきて、ネゲブのんでいた。 63イサクは夕暮ゆうぐれあるいていたが、をあげて、らくだのるのをた。 64リベカはをあげてイサクを、らくだからおりて、 65しもべにった、「わたしたちにかって、あるいてるあのひとはだれでしょう」。しもべはった、「あれはわたしの主人しゅじんです」。するとリベカは、被衣かずきをおおった。 66しもべは自分じぶんがしたことのすべてをイサクにはなした。 67イサクはリベカを天幕てんまくれてき、リベカをめとってつまとし、彼女かのじょあいした。こうしてイサクははは死後しごなぐさめをた。

第二五章

1アブラハムはふたたつまをめとった。をケトラという。 2彼女かのじょはジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデアン、イシバクおよびシュワをんだ。 3ヨクシャンのはシバとデダン。デダンの子孫しそんはアシュリびと、レトシびと、レウミびとである。 4ミデアンの子孫しそんはエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアであって、これらはみなケトラの子孫しそんであった。 5アブラハムはその所有しょゆうをことごとくイサクにあたえた。 6またそのそばめたちのらにもアブラハムはものあたえ、なおきているあいだかれらをそのイサクからはなして、ひがしほうひがしくにうつらせた。

7アブラハムのきながらえたとしは百七十五ねんである。 8アブラハムは高齢こうれいたっし、老人ろうじんとなり、としちていきえ、んでそのたみくわえられた。 9そのイサクとイシマエルはかれをヘテびとゾハルのエフロンのはたけにあるマクペラのほらあなほうむった。これはマムレのかいにあり、 10アブラハムがヘテの人々ひとびとから、ったはたけであって、そこにアブラハムとそのつまサラがほうむられた。 11アブラハムがんだのちかみはそのイサクを祝福しゅくふくされた。イサクはベエル・ラハイ・ロイのほとりにんだ。

12サラのつかえめエジプトびとハガルがアブラハムにんだアブラハムのイシマエルの系図けいずつぎのとおりである。 13イシマエルのらの世代せだいにしたがって、そのをいえばつぎのとおりである。すなわちイシマエルの長子ちょうしはネバヨテ、つぎはケダル、アデビエル、ミブサム、 14ミシマ、ドマ、マッサ、 15ハダデ、テマ、エトル、ネフシ、ケデマ。 16これはイシマエルのらであり、むら宿営しゅくえいとによるであって、その氏族しぞくによる十二にんきみたちである。 17イシマエルのよわいは百三十七ねんである。かれいきえてに、そのたみくわえられた。 18イシマエルのらはハビラからエジプトのひがし、シュルまでのあいだんで、アシュルにおよんだ。イシマエルはすべての兄弟きょうだいひがしんだ。

19アブラハムのイサクの系図けいずつぎのとおりである。アブラハムのはイサクであって、 20イサクは四十さいとき、パダンアラムのアラムびとベトエルのむすめで、アラムびとラバンのいもうとリベカをつまにめとった。 21イサクはつままなかったので、つまのためにしゅいのねがった。しゅはそのねがいをかれ、つまリベカはみごもった。 22ところがそのらが胎内たいないったので、リベカはった、「こんなことでは、わたしはどうなるでしょう」。彼女かのじょってしゅたずねた。 23しゅ彼女かのじょわれた、
「二つの国民こくみんがあなたの胎内たいないにあり、
二つのたみがあなたのはらからわかれてる。
一つのたみたみよりもつよく、
あにおとうとつかえるであろう」。
24彼女かのじょ出産しゅっさんがきたとき、胎内たいないにはふたごがあった。 25さきにたのはあかくて全身ぜんしんごろものようであった。それでをエサウとづけた。 26そののちおとうとた。そのはエサウのかかとをつかんでいた。それでをヤコブとづけた。リベカがかれらをんだとき、イサクは六十さいであった。

27さてそのらは成長せいちょうし、エサウはたくみな狩猟者しゅりょうしゃとなり、ひととなったが、ヤコブはおだやかなひとで、天幕てんまくんでいた。 28イサクは、しかのにくきだったので、エサウをあいしたが、リベカはヤコブをあいした。

29あるヤコブが、あつものをていたとき、エサウはつかれてからかえってきた。 30エサウはヤコブにった、「わたしはつかれた。おねがいだ。あかいもの、そのあかいものをわたしにべさせてくれ」。かれをエドムとばれたのはこのためである。 31ヤコブはった、「まずあなたの長子ちょうし特権とっけんをわたしにりなさい」。 32エサウはった、「わたしはにそうだ。長子ちょうし特権とっけんなどわたしになにになろう」。 33ヤコブはまたった、「まずわたしにちかいなさい」。かれちかって長子ちょうし特権とっけんをヤコブにった。 34そこでヤコブはパンとレンズまめのあつものとをエサウにあたえたので、かれいして、った。このようにしてエサウは長子ちょうし特権とっけんかろんじた。

第二六章

1アブラハムのときにあったはじめのききんのほか、またききんがそのくににあったので、イサクはゲラルにいるペリシテびとのおうアビメレクのところった。 2そのときしゅかれあらわれてわれた、「エジプトへくだってはならない。わたしがあなたにしめにとどまりなさい。 3あなたがこのにとどまるなら、わたしはあなたとともにいて、あなたを祝福しゅくふくし、これらのくにをことごとくあなたと、あなたの子孫しそんとにあたえ、わたしがあなたのちちアブラハムにちかったちかいをはたそう。 4またわたしはあなたの子孫しそんしててんほしのようにし、あなたの子孫しそんにこれらのをみなあたえよう。そしてのすべての国民こくみんはあなたの子孫しそんによって祝福しゅくふくをえるであろう。 5アブラハムがわたしの言葉ことばにしたがってわたしのさとしと、いましめと、さだめと、おきてとをまもったからである」。

6こうしてイサクはゲラルにんだ。 7そのところ人々ひとびとかれつまのことをたずねたとき、「彼女かのじょはわたしのいもうとです」とかれった。リベカはうつくしかったので、そのところ人々ひとびとがリベカのゆえに自分じぶんころすかもしれないとおもって、「わたしのつまです」とうのをおそれたからである。 8イサクはながらくそこにいたが、あるペリシテびとのおうアビメレクはまどからそとをながめていて、イサクがそのつまリベカとたわむれているのをた。 9そこでアビメレクはイサクをしてった、「彼女かのじょたしかにあなたのつまです。あなたはどうして『彼女かのじょはわたしのいもうとです』とわれたのですか」。イサクはかれった、「わたしは彼女かのじょのゆえにころされるかもしれないとおもったからです」。 10アビメレクはった、「あなたはどうしてこんなことをわれわれにされたのですか。たみのひとりが軽々かるがるしくあなたのつまるようなことがあれば、そのときあなたはわれわれにつみわせるでしょう」。 11それでアビメレクはすべてのたみめいじてった、「このひと、またはそのつまにさわるものかならななければならない」。

12イサクはそのたねをまいて、そのとしに百ばい収穫しゅうかくた。このようにしゅかれ祝福しゅくふくされたので、 13かれみ、またますますさかえて非常ひじょう裕福ゆうふくになり、 14ひつじれ、うしおよおおくのしもべをつようになったので、ペリシテびとはかれをねたんだ。 15またペリシテびとはかれちちアブラハムのときに、ちちのしもべたちがったすべての井戸いどをふさぎ、つちめた。 16アビメレクはイサクにった、「あなたはわれわれよりも、はるかにつよくなられたから、われわれのところってください」。

17イサクはそこをり、ゲラルのたに天幕てんまくってそのところんだ。 18そしてイサクはちちアブラハムのとき人々ひとびとったみず井戸いどふたたった。アブラハムの死後しご、ペリシテびとがふさいだからである。イサクはちちがつけたにしたがってそれらにをつけた。 19しかしイサクのしもべたちがたになかって、そこにわきみず井戸いどつけたとき、 20ゲラルの羊飼ひつじかいたちは、「このみずはわれわれのものだ」とって、イサクの羊飼ひつじかいたちとあらそったので、イサクはその井戸いどをエセクとづけた。かれらがかれあらそったからである。 21かれらはまた一つの井戸いどったが、これをもあらそったので、をシテナとづけた。 22イサクはそこからうつってまた一つの井戸いどったが、かれらはこれをあらそわなかったので、そのをレホボテとづけてった、「いましゅがわれわれの場所ばしょひろげられたから、われわれはこのにふえるであろう」。

23かれはそこからベエルシバにのぼった。 24そのしゅかれあらわれてわれた、「わたしはあなたのちちアブラハムのかみである。あなたはおそれてはならない。わたしはあなたとともにおって、あなたを祝福しゅくふくし、わたしのしもべアブラハムのゆえにあなたの子孫しそんすであろう」。 25それでかれはそのところ祭壇さいだんきずいて、しゅび、そこに天幕てんまくった。またイサクのしもべたちはそこに一つの井戸いどった。

26ときにアビメレクがそのともアホザテと、軍勢ぐんぜいちょうピコルとともにゲラルからイサクのもとにきたので、 27イサクはかれらにった、「あなたがたはわたしをにくんで、あなたがたのなかからわたしをされたのに、どうしてわたしのところにこられたのですか」。 28かれらはった、「われわれはしゅがあなたとともにおられるのを、はっきりましたので、いまわれわれのあいだ、すなわちわれわれとあなたとのあいだに一つのちかいをてて、あなたと契約けいやく結ぼむすぼうとおもいます。 29われわれはあなたにがいくわえたことはなく、ただことだけをして、やすらかにらせたのですから、あなたはわれわれにわることをしてはなりません。まことにあなたはしゅ祝福しゅくふくされたかたです」。 30そこでイサクはかれらのためにふるまいをもうけた。かれらはいし、 31あくるあさ、はやくきてたがいちかった。こうしてイサクはかれらをらせたので、かれらはイサクのもとからおだやかにった。 32その、イサクのしもべたちがきて、自分じぶんたちがった井戸いどについてかれげてった、「わたしたちはみずつけました」。 33イサクはそれをシバとづけた。これによってそのまち今日こんにちにいたるまでベエルシバといわれている。

34エサウは四十さいとき、ヘテびとベエリのむすめユデテとヘテびとエロンのむすめバスマテとをつまにめとった。 35彼女かのじょたちはイサクとリベカにとってこころいたみとなった。

第二七章

1イサクは年老としおい、がかすんでえなくなったとき長子ちょうしエサウをんでった、「よ」。かれこたえてった、「ここにおります」。 2イサクはった。「わたしは年老としおいて、いつぬかもれない。 3それであなたの武器ぶき弓矢ゆみやをもってかけ、わたしのために、しかのにくをとってきて、 4わたしのきなおいしいものつくり、ってきてべさせよ。わたしはまえにあなたを祝福しゅくふくしよう」。

5イサクがそのエサウにかたるのをリベカはいていた。やがてエサウが、しかのにくようとかけたとき、 6リベカはそのヤコブにった、「わたしはいていましたが、ちちあにエサウに、 7『わたしのために、しかのにくをとってきて、おいしいものつくり、わたしにべさせよ。わたしはまえに、しゅまえであなたを祝福しゅくふくしよう』といました。 8それで、よ、わたしの言葉ことばにしたがい、わたしのうとおりにしなさい。 9れのところって、そこからやぎのいのを二とうわたしのところってきなさい。わたしはそれでちちのために、ちちきなおいしいものつくりましょう。 10あなたはそれをってってちちべさせなさい。ちちまえにあなたを祝福しゅくふくするでしょう」。 11ヤコブはははリベカにった、「あにエサウは毛深けぶかひとですが、わたしはなめらかです。 12おそらくちちはわたしにさわってみるでしょう。そうすればわたしはちちあざむものおもわれ、祝福しゅくふくけず、かえってのろいをけるでしょう」。 13ははかれった、「よ、あなたがうけるのろいはわたしがけます。ただ、わたしの言葉ことばしたがい、ってってきなさい」。 14そこでかれってやぎのり、ははところってきたので、ははちちきなおいしいものつくった。 15リベカはいえにあった長子ちょうしエサウの晴着はれぎって、おとうとヤコブにせ、 16またやぎのかわくびのなめらかなところとにつけさせ、 17彼女かのじょつくったおいしいものとパンとをそのヤコブのにわたした。

18そこでヤコブはちちところってった、「ちちよ」。するとちちった、「わたしはここにいる。よ、あなたはだれか」。 19ヤコブはちちった、「長子ちょうしエサウです。あなたがわたしにわれたとおりにいたしました。どうぞきて、すわってわたしのしかのにくべ、あなたみずからわたしを祝福しゅくふくしてください」。 20イサクはそのった、「よ、どうしてあなたはこんなにはやれたのか」。かれった、「あなたのかみしゅがわたしにしあわせをさづけられたからです」。 21イサクはヤコブにった、「よ、近寄ちかよりなさい。わたしは、さわってみて、あなたがたしかにわがエサウであるかどうかをみよう」。 22ヤコブが、ちちイサクに近寄ちかよったので、イサクはかれにさわってみてった、「こえはヤコブのこえだが、はエサウのだ」。 23ヤコブのあにエサウののように毛深けぶかかったため、イサクはヤコブをわけることができなかったので、かれ祝福しゅくふくした。 24イサクはった、「あなたはたしかにわがエサウですか」。かれった、「そうです」。 25イサクはった、「わたしのところってきなさい。わがのしかのにくべて、わたしみずから、あなたを祝福しゅくふくしよう」。ヤコブがそれをかれところってきたので、かれべた。またぶどうしゅってきたので、かれんだ。 26そしてちちイサクはかれった、「よ、さあ、近寄ちかよってわたしにくちづけしなさい」。 27かれ近寄ちかよってくちづけしたとき、イサクはその着物きもののかおりをかぎ、かれ祝福しゅくふくしてった、
「ああ、わがのかおりは、
しゅ祝福しゅくふくされたのかおりのようだ。
28どうかかみが、てんつゆと、
えたところと、おおくの穀物こくもつと、
あたらしいぶどうしゅとをあなたにたまわるように。
29もろもろのたみはあなたにつかえ、
もろもろのくにはあなたにをかがめる。
あなたは兄弟きょうだいたちのしゅとなり、
あなたのははらは、
あなたにをかがめるであろう。
あなたをのろうものはのろわれ、
あなたを祝福しゅくふくするもの祝福しゅくふくされる」。

30イサクがヤコブを祝福しゅくふくおわって、ヤコブがちちイサクのまえからくとすぐ、あにエサウがかりからかえってきた。 31かれもまたおいしいものつくって、ちちところってきて、った、「ちちよ、きてあなたののしかのにくべ、あなたみずから、わたしを祝福しゅくふくしてください」。 32ちちイサクはかれった、「あなたは、だれか」。かれった、「わたしはあなたの長子ちょうしエサウです」。 33イサクははげしくふるえてった、「それでは、あのしかのにくって、わたしにってきたものはだれか。わたしはあなたがまえに、みんなべてかれ祝福しゅくふくした。ゆえにかれ祝福しゅくふくるであろう」。 34エサウはちち言葉ことばいたとき大声おおごえをあげ、はげしくさけんで、ちちった、「ちちよ、わたしを、わたしをも祝福しゅくふくしてください」。 35イサクはった、「あなたのおとうといつわってやってきて、あなたの祝福しゅくふくうばってしまった」。 36エサウはった、「よくもヤコブとづけたものだ。かれは二までもわたしをおしのけた。さきには、わたしの長子ちょうし特権とっけんうばい、こんどはわたしの祝福しゅくふくうばった」。またった、「あなたはわたしのために祝福しゅくふくのこしておかれませんでしたか」。 37イサクはこたえてエサウにった、「わたしはかれをあなたの主人しゅじんとし、兄弟きょうだいたちをみなしもべとしてかれあたえ、また穀物こくもつとぶどうしゅかれさづけた。わがよ、いまとなっては、あなたのためになにができようか」。 38エサウはちちった、「ちちよ、あなたの祝福しゅくふくはただ一つだけですか。ちちよ、わたしを、わたしをも祝福しゅくふくしてください」。エサウはこえをあげていた。

39ちちイサクはこたえてかれった、
「あなたのすみかはえたところからはなれ、
またうえなるてんつゆからはなれるであろう。
40あなたはつるぎをもってわたり、
あなたのおとうとつかえるであろう。
しかし、あなたがいさとき
くびから、そのくびきをおとすであろう」。

41こうしてエサウはちちがヤコブにあたえた祝福しゅくふくのゆえにヤコブをにくんだ。エサウはこころうちった、「ちちとおくはないであろう。そのときおとうとヤコブをころそう」。 42しかしリベカは長子ちょうしエサウのこの言葉ことばひとづてにいたので、ひとをやり、おとうとヤコブをんでった、「あにエサウはあなたをころそうとかんがえて、みずからなぐさめています。 43よ、いまわたしの言葉ことばしたがって、すぐハランにいるわたしのあにラバンのもとにのがれ、 44あなたのあにいかりがけるまで、しばらくかれところにいなさい。 45あにいきどおりがけて、あなたのしたことあにわすれるようになったならば、わたしはひとをやって、あなたをそこからむかえましょう。どうして、わたしは一にちのうちにあなたがたふたりをうしなってよいでしょうか」。

46リベカはイサクにった、「わたしはヘテびとのむすめどものことで、きているのがいやになりました。もしヤコブがこのの、あのむすめどものようなヘテびとのむすめつまにめとるなら、わたしはきていて、なにになりましょう」。

第二八章

1イサクはヤコブをんで、これを祝福しゅくふくし、めいじてった、「あなたはカナンのむすめつまにめとってはならない。 2ってパダンアラムへき、あなたのははちちベトエルのいえって、そこであなたのははあにラバンのむすめつまにめとりなさい。 3全能ぜんのうかみが、あなたを祝福しゅくふくし、おおくのさせ、かつふえさせて、おおくの国民こくみんとし、 4またアブラハムの祝福しゅくふくをあなたと子孫しそんとにあたえて、かみがアブラハムにさづけられたあなたの寄留きりゅうがせてくださるように」。 5こうしてイサクはヤコブをおくした。ヤコブはパダンアラムにかい、アラムびとベトエルので、ヤコブとエサウとのははリベカのあにラバンのもとへった。

6さてエサウは、イサクがヤコブを祝福しゅくふくして、パダンアラムにつかわし、そこからつまをめとらせようとしたこと、かれ祝福しゅくふくし、めいじて「あなたはカナンのむすめつまにめとってはならない」とったこと、 7そしてヤコブが父母ふぼ言葉ことばしたがって、パダンアラムへったことをったとき、 8かれはカナンのむすめちちイサクのこころにかなわないのをた。 9そこでエサウはイシマエルのところき、すでにあるつまたちのほかにアブラハムのイシマエルのむすめで、ネバヨテのいもうとマハラテをつまにめとった。

10さてヤコブはベエルシバをって、ハランへかったが、 11一つのところいたときれたので、そこに一ごし、そのところいしってまくらとし、そこにしてた。 12ときかれゆめをみた。一つのはしごがうえっていて、そのいただきてんたっし、かみ使つかいたちがそれをのぼくだりしているのをた。 13そしてしゅかれのそばにってわれた、「わたしはあなたのちちアブラハムのかみ、イサクのかみしゅである。あなたがしているを、あなたと子孫しそんとにあたえよう。 14あなたの子孫しそんのちりのようにおおくなって、西にしひがしきたみなみにひろがり、しょぞくはあなたと子孫しそんとによって祝福しゅくふくをうけるであろう。 15わたしはあなたとともにいて、あなたがどこへくにもあなたをまもり、あなたをこのかえるであろう。わたしはけっしてあなたをてず、あなたにかたったことおこなうであろう」。 16ヤコブはねむりからさめてった、「まことにしゅがこのところにおられるのに、わたしはらなかった」。 17そしてかれおそれてった、「これはなんというおそるべきところだろう。これはかみいえである。これはてんもんだ」。

18ヤコブはあさはやくきて、まくらとしていたいしり、それをててはしらとし、そのいただきあぶらそそいで、 19そのところをベテルとづけた。そのまちはじめはルズといった。 20ヤコブはちかいをててった、「かみがわたしとともにいまし、わたしのくこのみちでわたしをまもり、べるパンと着物きものたまい、 21やすらかにちちいえかえらせてくださるなら、しゅをわたしのかみといたしましょう。 22またわたしがはしらてたこのいしかみいえといたしましょう。そしてあなたがくださるすべてのものの十ぶんの一を、わたしはかならずあなたにささげます」。

第二九章

1ヤコブはそのたびつづけてひがしたみった。 2るとに一つの井戸いどがあって、そのかたわらにひつじの三つのれがしていた。人々ひとびとはその井戸いどかられにみずませるのであったが、井戸いどくちにはおおきないしがあった。 3れがみなそこにあつまると、人々ひとびと井戸いどくちからいしをころがしてひつじみずませ、そのいしをまた井戸いどくちもとのところにかえしておくのである。

4ヤコブは人々ひとびとった、「兄弟きょうだいたちよ、あなたがたはどこからこられたのですか」。かれらはった、「わたしたちはハランからです」。 5ヤコブはかれらにった、「あなたがたはナホルのラバンをっていますか」。かれらはった、「っています」。 6ヤコブはまたかれらにった、「かれ無事ぶじですか」。かれらはった、「無事ぶじです。御覧ごらんなさい。かれむすめラケルはいまひつじ一緒いっしょにここへきます」。 7ヤコブはった、「はまだたかいし、家畜かちくあつめるときでもない。あなたがたはひつじみずませてから、またっていなさい」。 8かれらはった、「わたしたちはそれはできないのです。れがみなあつまったうえで、井戸いどくちからいしをころがし、それからひつじみずませるのです」。

9ヤコブがなおかれらとかたっているときに、ラケルはちちひつじ一緒いっしょにきた。彼女かのじょひつじっていたからである。 10ヤコブはははあにラバンのむすめラケルとははあにラバンのひつじとをた。そしてヤコブはすすって井戸いどくちからいしをころがし、ははあにラバンのひつじみずませた。 11ヤコブはラケルにくちづけし、こえをあげていた。 12ヤコブはラケルに、自分じぶんがラケルのちちのおいであり、リベカのであることをげたので、彼女かのじょはしってってちちはなした。

13ラバンはいもうとヤコブがきたというらせをくとすぐ、はしってってヤコブをむかえ、これをいてくちづけし、いえれてきた。そこでヤコブはすべてのことをラバンにはなした。 14ラバンはかれった、「あなたはほんとうにわたしの骨肉こつにくです」。ヤコブは一かげつあいだかれともにいた。

15ときにラバンはヤコブにった、「あなたはわたしのおいだからといって、ただでわたしのためにはたらくこともないでしょう。どんな報酬ほうしゅうのぞみますか、わたしにってください」。 16さてラバンにはふたりのむすめがあった。あねはレアといい、いもうとはラケルといった。 17レアはよわかったが、ラケルはうつくしくてあいらしかった。 18ヤコブはラケルをあいしたので、「わたしは、あなたのいもうとむすめラケルのために七ねんあなたにつかえましょう」とった。 19ラバンはった、「彼女かのじょ他人たにんにやるよりもあなたにやるほうがよい。わたしと一緒いっしょにいなさい」。 20こうして、ヤコブは七ねんあいだラケルのためにはたらいたが、彼女かのじょあいしたので、ただ数日すうじつのようにおもわれた。

21ヤコブはラバンにった、「期日きじつちたから、わたしのつまあたえて、つまところにはいらせてください」。 22そこでラバンはそのところ人々ひとびとをみなあつめて、ふるまいをもうけた。 23夕暮ゆうぐれとなったとき、むすめレアをヤコブのもとにれてきたので、ヤコブは彼女かのじょところにはいった。 24ラバンはまた自分じぶんのつかえめジルパをむすめレアにつかえめとしてあたえた。 25あさになって、ると、それはレアであったので、ヤコブはラバンにった、「あなたはどうしてこんなことをわたしにされたのですか。わたしはラケルのためにはたらいたのではありませんか。どうしてあなたはわたしをあざむいたのですか」。 26ラバンはった、「いもうとあねよりさきにとつがせることはわれわれのくにではしません。 27まずこのむすめのために一しゅうかんごしなさい。そうすればあのむすめもあなたにあげよう。あなたは、そのためさらに七ねんわたしにつかえなければならない」。 28ヤコブはそのとおりにして、その一しゅうかんおわったので、ラバンはむすめラケルをもつまとしてかれあたえた。 29ラバンはまた自分じぶんのつかえめビルハをむすめラケルにつかえめとしてあたえた。 30ヤコブはまたラケルのところにはいった。かれはレアよりもラケルをあいして、さらに七ねんラバンにつかえた。

31しゅはレアがきらわれるのをて、そのたいひらかれたが、ラケルは、みごもらなかった。 32レアは、みごもってみ、をルベンとづけて、った、「しゅがわたしのなやみをかえりみられたから、いまおっともわたしをあいするだろう」。 33彼女かのじょはまた、みごもってみ、「しゅはわたしがきらわれるのをおきになって、わたしにこのをもたまわった」とって、をシメオンとづけた。 34彼女かのじょはまた、みごもってみ、「わたしはかれに三にんんだから、こんどこそはおっともわたしにしたしむだろう」とって、をレビとづけた。 35彼女かのじょはまた、みごもってみ、「わたしはいましゅをほめたたえる」とってをユダとづけた。そこで彼女かのじょの、むことはやんだ。

第三〇章

1ラケルは自分じぶんがヤコブにまないのをったときあねをねたんでヤコブにった、「わたしにどもをください。さもないと、わたしはにます」。 2ヤコブはラケルにかいいかってった、「あなたのたいどもをやどらせないのはかみです。わたしがかみかわることができようか」。 3ラケルはった、「わたしのつかえめビルハがいます。彼女かのじょところにおはいりなさい。彼女かのじょんで、わたしのひざにきます。そうすれば、わたしもまた彼女かのじょによってつでしょう」。 4ラケルはつかえめビルハをかれあたえて、つまとさせたので、ヤコブは彼女かのじょところにはいった。 5ビルハは、みごもってヤコブにんだ。 6そこでラケルは、「かみはわたしのうったえにこたえ、またわたしのこえいて、わたしにたまわった」とって、をダンとづけた。 7ラケルのつかえめビルハはまた、みごもってだい二のをヤコブにんだ。 8そこでラケルは、「わたしははげしいあらそいで、あねあらそってった」とって、をナフタリとづけた。

9さてレアは自分じぶんむことのやんだのをたとき、つかえめジルパをり、つまとしてヤコブにあたえた。 10レアのつかえめジルパはヤコブにんだ。 11そこでレアは、「幸運こううんがきた」とって、をガドとづけた。 12レアのつかえめジルパはだい二のをヤコブにんだ。 13そこでレアは、「わたしは、しあわせです。むすめたちはわたしをしあわせなものうでしょう」とって、をアセルとづけた。

14さてルベンはむぎりのて、こいなすびをつけ、それをははレアのもとにってきた。ラケルはレアにった、「あなたのこいなすびをどうぞわたしにください」。 15レアはラケルにった、「あなたがわたしのおっとったのはちいさなことでしょうか。そのうえ、あなたはまたわたしのこいなすびをもろうとするのですか」。ラケルはった、「それではあなたのこいなすびにえて、今夜こんやかれをあなたとともさせましょう」。 16夕方ゆうがたになって、ヤコブがからかえってきたので、レアはかれ出迎でむかえてった、「わたしのこいなすびをもって、わたしがあなたをやとったのですから、あなたはわたしのところに、はいらなければなりません」。ヤコブはそのレアとともた。 17かみはレアのねがいをかれたので、彼女かのじょはみごもって五番目ばんめをヤコブにんだ。 18そこでレアは、「わたしがつかえめをおっとあたえたから、かみがわたしにそのあたいたまわったのです」とって、をイッサカルとづけた。 19レアはまた、みごもって六番目ばんめをヤコブにんだ。 20そこでレアは、「かみはわたしに賜物たまものをたまわった。わたしは六にんおっとんだから、いまこそかれはわたしと一緒いっしょむでしょう」とって、そのをゼブルンとづけた。 21そののち彼女かのじょはひとりのむすめんで、をデナとづけた。 22つぎかみはラケルをこころにとめられ、彼女かのじょねがいをき、そのたいひらかれたので、 23彼女かのじょは、みごもっておとこみ、「かみはわたしのはじをすすいでくださった」とって、 24をヨセフとづけ、「しゅがわたしに、なおひとりのくわえられるように」とった。

25ラケルがヨセフをんだとき、ヤコブはラバンにった、「わたしをらせて、わたしの故郷こきょう、わたしのくにかせてください。 26あなたにつかえてたわたしの妻子さいしを、わたしにあたえてかせてください。わたしがあなたのためにはたらいた骨折ほねおりは、あなたがごぞんじです」。 27ラバンはかれった、「もし、あなたのこころにかなうなら、とどまってください。わたしはしゅがあなたのゆえに、わたしをめぐまれるしるしをました」。 28またった、「あなたの報酬ほうしゅうもうてください。わたしはそれをはらいます」。 29ヤコブはかれった、「わたしがどのようにあなたにつかえたか、またどのようにあなたの家畜かちくったかは、あなたがごぞんじです。 30わたしがまえには、あなたのっておられたものはわずかでしたが、ふえておおくなりました。しゅはわたしのところどこでも、あなたをめぐまれました。しかし、いつになったらわたしも自分じぶんいえすようになるでしょうか」。 31かれった、「なにをあなたにあげようか」。ヤコブはった、「なにもわたしにくださるにおよびません。もしあなたが、わたしのためにこの一つのことをしてくださるなら、わたしはいまあなたのれをい、まもりましょう。 32わたしはきょう、あなたのれをみなまわってみて、そのなかからすべてぶちとまだらのひつじ、およびすべてくろ小羊こひつじと、やぎのなかのまだらのものと、ぶちのものとをうつしますが、これをわたしの報酬ほうしゅうとしましょう。 33あとで、あなたがきて、あなたのまえでわたしの報酬ほうしゅうをしらべるとき、わたしのただしいこと証明しょうめいされるでしょう。もしも、やぎのなかにぶちのないもの、まだらでないものがあったり、小羊こひつじなかくろくないものがあれば、それはみなわたしがぬすんだものとなるでしょう」。 34ラバンはった、「よろしい。あなたのわれるとおりにしましょう」。 35そこでラバンはそのやぎのしまのあるもの、まだらのもの、すべてやぎのぶちのもの、まだらのもの、すべてしろみをおびているもの、またすべて小羊こひつじなかくろいものをうつしてらのにわたし、 36ヤコブとのあいだに三へだたりをもうけた。ヤコブはラバンののこりのれをった。

37ヤコブは、はこやなぎと、あめんどうと、すずかけののなまのえだり、かわをはいでそれにしろすじをつくり、えだしろところあらわし、 38かわをはいだえだを、れがきてみずはち、すなわちみずぶねのなかに、れにかわせていた。れはみずみにきたときに、はらんだ。 39すなわちれはえだまえで、はらんで、しまのあるもの、ぶちのもの、まだらのものをんだ。 40ヤコブはその小羊こひつじべつにおいた。かれはまたれのかおをラバンのれのしまのあるものと、すべてくろいものとにかわせた。そして自分じぶんれをべつにまとめておいて、ラバンのれには、れなかった。 41またれのつよいものが発情はつじょうしたときには、ヤコブはみずぶねのなかに、そのれのまえに、かのえだいて、えだあいだで、はらませた。 42けれどもれのよわいもののときには、それをかなかった。こうしてよわいものはラバンのものとなり、つよいものはヤコブのものとなったので、 43このひとおおいにみ、おおくのれと、男女だんじょ奴隷どれい、およびらくだ、ろばをつようになった。

第三一章

1さてヤコブはラバンのらが、「ヤコブはわれわれのちちものをことごとくうばい、ちちものによってあのすべてのとみたのだ」とっているのをいた。 2またヤコブがラバンのかおるのに、それは自分じぶんたいして以前いぜんのようではなかった。 3しゅはヤコブにわれた、「あなたの先祖せんぞくにかえり、親族しんぞくのもとにきなさい。わたしはあなたとともにいるであろう」。 4そこでヤコブはひとをやって、ラケルとレアとを、にいる自分じぶんれのところにまねき、 5彼女かのじょらにった、「わたしがあなたがたのちちかおるのに、わたしにたいして以前いぜんのようではない。しかし、わたしのちちかみはわたしとともにおられる。 6あなたがたがっているように、わたしはちからのかぎり、あなたがたのちちつかえてきた。 7しかし、あなたがたのちちはわたしをあざむいて、十もわたしの報酬ほうしゅうえた。けれどもかみかれがわたしにがいくわえることをおゆるしにならなかった。 8もしかれが、『ぶちのものはあなたの報酬ほうしゅうだ』とえば、れはみなぶちのものをんだ。もしかれが、『しまのあるものはあなたの報酬ほうしゅうだ』とえば、れはみなしまのあるものをんだ。 9こうしてかみはあなたがたのちち家畜かちくをとってわたしにあたえられた。 10またれが発情はつじょうしたとき、わたしがゆめをあげてると、れのうえっているやぎはみなしまのあるもの、ぶちのもの、しもふりのものであった。 11そのときかみ使つかいゆめなかでわたしにった、『ヤコブよ』。わたしはこたえた、『ここにおります』。 12かみ使つかいった、『げててごらん。れのうえっているやぎはみなしまのあるもの、ぶちのもの、しもふりのものです。わたしはラバンがあなたにしたことをみなています。 13わたしはベテルのかみです。かつてあなたはあそこではしらあぶらそそいで、わたしにちかいをてましたが、いまってこのて、あなたのうまれたくにかえりなさい』」。 14ラケルとレアはこたえてった、「わたしたちのちちいえに、なおわたしたちのくべきぶん、またぎょうがありましょうか。 15わたしたちはちち他人たにんのようにおもわれているではありませんか。かれはわたしたちをったばかりでなく、わたしたちのそのかねをさえ使つかたしたのです。 16かみがわたしたちのちちからりあげられたとみは、みなわたしたちとわたしたちのどものものです。だから何事なにごとでもかみがあなたにおげになったことをしてください」。

17そこでヤコブはって、らとつまたちをらくだにせ、 18またすべての家畜かちく、すなわちかれがパダンアラムで家畜かちくと、すべての財産ざいさんたずさえて、カナンのにおるちちイサクのもとへおもむいた。 19そのときラバンはひつじるためにていたので、ラケルはちち所有しょゆうのテラピムをぬすした。 20またヤコブはアラムびとラバンをあざむき、自分じぶんるのをかれげなかった。 21こうしてかれはすべてのものたずさえてげ、ってかわわたり、ギレアデの山地さんちかった。

22になって、ヤコブのったことが、ラバンにきこえたので、 23かれ一族いちぞくひきいて、七日なぬかあいだそのあとをい、ギレアデの山地さんちいついた。 24しかし、かみゆめにアラムびとラバンにあらわれてわれた、「あなたはこころしてヤコブに、よしあしをってはなりません」。

25ラバンはついにヤコブにいついたが、ヤコブがやま天幕てんまくっていたので、ラバンも一族いちぞくともにギレアデのやま天幕てんまくった。 26ラバンはヤコブにった、「あなたはなんということをしたのですか。あなたはわたしをあざむいてわたしのむすめたちをいくさのとりこのようにいてきました。 27なぜあなたはわたしにげずに、ひそかにってわたしをあざむいたのですか。わたしはつづみことよろこうたってあなたをおくりだそうとしていたのに。 28なぜわたしのまごむすめにわたしがくちづけするのをゆるさなかったのですか。あなたはおろかなことをしました。 29わたしはあなたがたにがいくわえるちからをもっているが、あなたがたのちちかみ昨夜さくやわたしにげて、『おまえはこころして、ヤコブによしあしをうな』とわれました。 30いまあなたがしたのはちちいえ非常ひじょうこいしくなったからでしょうが、なぜあなたはわたしのかみぬすんだのですか」。 31ヤコブはラバンにこたえた、「たぶんあなたがむすめたちをわたしからうばいとるだろうとおもってわたしはおそれたからです。 32だれのところにでもあなたのかみつかったら、そのものかしてはおきません。なにかあなたのものがわたしのところにあるか、われわれの一族いちぞくまえで、調しらべてみて、それをおりください」。ラケルがかみぬすんだことをヤコブはらなかったからである。

33そこでラバンはヤコブの天幕てんまくにはいり、またレアの天幕てんまくにはいり、さらにふたりのはしための天幕てんまくにはいってみたが、つからなかったので、レアの天幕てんまくてラケルの天幕てんまくにはいった。 34しかし、ラケルはすでにテラピムをって、らくだのくらのしたれ、そのうえにすわっていたので、ラバンは、くまなく天幕てんまくなかさがしたが、つからなかった。 35そのときラケルはちちった、「わたしはおんなつねのことがあって、あなたのまえがることができません。わがしゅよ、どうかおいかりにならぬよう」。かれさがしたがテラピムはつからなかった。

36そこでヤコブはいかってラバンをめた。そしてヤコブはラバンにった、「わたしにどんなあやまちがあり、どんなつみがあって、あなたはわたしのあとをはげしくったのですか。 37あなたはわたしのものをことごとくさぐられたが、なにかあなたのいえものつかりましたか。それを、ここに、わたしの一族いちぞくと、あなたの一族いちぞくまえいて、われわれふたりのあいだをさばかせましょう。 38わたしはこの二十ねん、あなたと一緒いっしょにいましたが、そのかんあなたのひつじやぎもみそこねたことはなく、またわたしはあなたのれの雄羊おひつじべたこともありませんでした。 39また野獣やじゅうが、かみいたものは、あなたのもとにってこないで、自分じぶんでそれをつぐないました。またひるぬすまれたものも、よるぬすまれたものも、あなたはわたしにそのつぐないをもとめられました。 40わたしのことをえば、ひるあつさに、よるさむさになやまされて、ねむることもできませんでした。 41わたしはこの二十ねんあなたの家族かぞくのひとりでありました。わたしはあなたのふたりのむすめのために十四ねん、またあなたのれのために六ねん、あなたにつかえましたが、あなたはじゅうもわたしの報酬ほうしゅうえられました。 42もし、わたしのちちかみ、アブラハムのかみ、イサクのかしこむものがわたしとともにおられなかったなら、あなたはきっとわたしを、かららせたでしょう。かみはわたしのなやみと、わたしの労苦ろうくとをかえりみられて昨夜さくやあなたをいましめられたのです」。

43ラバンはこたえてヤコブにった、「むすめたちはわたしのむすめどもたちはわたしのまごです。またれはわたしのれ、あなたのるものはみなわたしのものです。これらのわたしのむすめたちのため、またかれらがんだどもたちのため、きょうわたしはなにをすることができましょうか。 44さあ、それではわたしとあなたと契約けいやくむすんで、これをわたしとあなたとのあいだ証拠しょうことしましょう」。 45そこでヤコブはいしり、それをててはしらとした。 46ヤコブはまた一族いちぞくものった、「いしあつめてください」。かれらはいしって、一つの石塚いしづかつくった。こうしてかれらはその石塚いしづかのかたわらで食事しょくじをした。 47ラバンはこれをエガル・サハドタとづけ、ヤコブはこれをガルエドとづけた。 48そしてラバンはった、「この石塚いしづかはきょうわたしとあなたとのあいだ証拠しょうことなります」。それでそのはガルエドとばれた。 49またミズパともばれた。かれがこうったからである、「われわれがたがいわかれたのちも、どうかしゅがわたしとあなたとのあいだ見守みまもられるように。 50もしあなたがわたしのむすめ虐待ぎゃくたいしたり、わたしのむすめのほかにつまをめとることがあれば、たといそこにだれひとりいなくても、かみはわたしとあなたとのあいだ証人しょうにんでいらせられる」。

51さらにラバンはヤコブにった、「あなたとわたしとのあいだにわたしがてたこの石塚いしづかをごらんなさい、このはしらをごらんなさい。 52この石塚いしづかえてわたしがあなたにがいくわえず、またこの石塚いしづかとこのはしらえてあなたがわたしにがいくわえないように、どうかこの石塚いしづかがあかしとなり、このはしらがあかしとなるように。 53どうかアブラハムのかみ、ナホルのかみかれらのちちかみがわれわれのあいだをさばかれるように」。ヤコブはちちイサクのかしこむものによってちかった。 54そしてヤコブはやま犠牲ぎせいをささげ、一族いちぞくまねいて、食事しょくじをした。かれらは食事しょくじをしてやま宿やどった。

55あくるあさラバンははやき、まごむすめたちにくちづけしてかれらを祝福しゅくふくし、っていえかえった。

第三二章

1さて、ヤコブが旅路たびじすすんだとき、かみ使つかいたちがかれった。 2ヤコブはかれらをて、「これはかみ陣営じんえいです」とって、そのところをマハナイムとづけた。

3ヤコブはセイルの、エドムのあにエサウのもとに、さきだって使者ししゃをつかわした。 4すなわちそれにめいじてった、「あなたがたはわたしの主人しゅじんエサウにこういなさい、『あなたのしもべヤコブはこういました。わたしはラバンのもとに寄留きりゅうしていままでとどまりました。 5わたしはうし、ろば、ひつじ男女だんじょ奴隷どれいっています。それでわがしゅもうげて、あなたのまえめぐみをようとひとをつかわしたのです』」。

6使者ししゃはヤコブのもとにかえってった、「わたしたちはあなたのあにエサウのもとへきました。かれもまたあなたをむかえようと四百にんひきいてきます」。 7そこでヤコブはおおいにおそれ、くるしみ、ともにいるたみおよびひつじうし、らくだを二つのくみけて、 8った、「たとい、エサウがきて、一つのくみっても、のこりのくみはのがれるであろう」。

9ヤコブはまたった、「ちちアブラハムのかみちちイサクのかみよ、かつてわたしに『おまえのくにかえり、おまえの親族しんぞくけ。わたしはおまえをめぐもう』とわれたしゅよ、 10あなたがしもべにほどこされたすべてのめぐみとまことをわたしはけるにりないものです。わたしは、つえのほかなにたないでこのヨルダンをわたりましたが、いまは二つのくみにもなりました。 11どうぞ、あにエサウのからわたしをおすくいください。わたしはかれがきて、わたしをち、はは子供こどもたちにまでおよぶのをおそれます。 12あなたは、かつて、『わたしはかならずおまえをめぐみ、おまえの子孫しそんうみすなかぞえがたいほどおおくしよう』とわれました」。

13かれはそのそこに宿やどり、もののうちからあにエサウへのおくものえらんだ。 14すなわちやぎ二百、やぎ二十、ひつじ二百、雄羊おひつじ二十、 15ちちらくだ三十とその雌牛めうし四十、雄牛おうし十、ろば二十、ろば十。 16かれはこれらをそれぞれのれにけて、しもべたちのにわたし、しもべたちにった、「あなたがたはわたしのさきすすみなさい、そしてれとれとのあいだにはへだたりをおきなさい」。 17また先頭せんとうものめいじてった、「もし、あにエサウがあなたにって『だれのしもべで、どこへくのか。あなたのまえにあるこれらのものはだれのものか』とたずねたら、 18『あなたのしもべヤコブのもので、わがしゅエサウにおくるおくものです。かれもわたしたちのうしろにおります』といなさい」。 19かれだい二のものにも、だい三のものにも、またれについてくすべてのものにもめいじてった、「あなたがたがエサウにうときは、おなじようにかれげて、 20『あなたのしもべヤコブもわれわれのうしろにおります』といなさい」。ヤコブは、「わたしがさきにおくおくものをもってまずかれをなだめ、それから、かれかおよう。そうすれば、かれはわたしをむかえてくれるであろう」とおもったからである。 21こうしておくものかれ先立さきだってわたり、かれはその宿営しゅくえいにやどった。

22かれはそのきて、ふたりのつまとふたりのつかえめと十一にんどもとをれてヤボクのわたしをわたった。 23すなわちかれらをみちびいてかわわたらせ、またかれものわたらせた。 24ヤコブはひとりあとにのこったが、ひとりのひとが、夜明よあけまでかれ組打くみうちした。 25ところでそのひとはヤコブにてないのをて、ヤコブのもものつがいにさわったので、ヤコブのもものつがいが、そのひと組打くみうちするあいだにはずれた。 26そのひとった、「けるからわたしをらせてください」。ヤコブはこたえた、「わたしを祝福しゅくふくしてくださらないなら、あなたをらせません」。 27そのひとかれった、「あなたのはなんといますか」。かれこたえた、「ヤコブです」。 28そのひとった、「あなたはもはやをヤコブとわず、イスラエルといなさい。あなたがかみひととに、ちからあらそってったからです」。 29ヤコブはたずねてった、「どうかわたしにあなたのらせてください」。するとそのひとは、「なぜあなたはわたしのをきくのですか」とったが、そのところかれ祝福しゅくふくした。 30そこでヤコブはそのところをペニエルとづけてった、「わたしはかおかおをあわせてかみたが、なおきている」。 31こうしてかれがペニエルをぎるときかれうえにのぼったが、かれはそのもものゆえにびっこをいていた。 32そのため、イスラエルのらは今日こんにちまで、もものつがいのうえにあるこしすじべない。かのひとがヤコブのもものつがい、すなわちこしすじにさわったからである。

第三三章

1さてヤコブはをあげ、エサウが四百にんひきいてるのをた。そこでかれ子供こどもたちをけてレアとラケルとふたりのつかえめとにわたし、 2つかえめとそのともたちをまっさきき、レアとそのともたちをつぎき、ラケルとヨセフを最後さいごいて、 3みずからかれらのまえすすみ、七たびにかがめて、あにちかづいた。

4するとエサウははしってきてむかえ、かれき、そのくびをかかえてくちづけし、ともいた。 5エサウはをあげておんな子供こどもたちをった、「あなたと一緒いっしょにいるこれらのものはだれですか」。ヤコブはった、「かみがしもべにさづけられた子供こどもたちです」。 6そこでつかえめたちはそのともたちととも近寄ちかよってお辞儀じぎした。 7レアもまたそのともたちととも近寄ちかよってお辞儀じぎし、それからヨセフとラケルが近寄ちかよってお辞儀じぎした。 8するとエサウはった、「わたしが出会であったあのすべてのれはどうしたのですか」。ヤコブはった、「わがしゅまえめぐみをるためです」。 9エサウはった、「おとうとよ、わたしはじゅうぶんもっている。あなたのものはあなたのものにしなさい」。 10ヤコブはった、「いいえ、もしわたしがあなたのまえめぐみをるなら、どうか、わたしのからおくものけてください。あなたがよろこんでわたしをむかえてくださるので、あなたのかおて、かみかおるようにおもいます。 11どうかわたしがってきたおくものけてください。かみがわたしをめぐまれたので、わたしはじゅうぶんもっていますから」。こうしてかれがしいたので、かれった。

12そしてエサウはった、「さあ、ってこう。わたしがさきく」。 13ヤコブはかれった、「ごぞんじのように、子供こどもたちは、かよわく、またちちませているひつじうしをわたしが世話せわをしています。もし一にちでもあるかせぎたられはみなんでしまいます。 14わがしゅよ、どうか、しもべのさきにおいでください。わたしはわたしのまえにいる家畜かちく子供こどもたちのあゆみにわせて、ゆっくりあるいてき、セイルでわがしゅ一緒いっしょになりましょう」。

15エサウはった、「それならわたしがれているものどものうちいくひとかをあなたのもとにのこしましょう」。ヤコブはった、「いいえ、それにはおよびません。わがしゅまえめぐみをさせてください」。 16そのエサウはセイルへの帰途きとについた。 17ヤコブはってスコテにき、自分じぶんのためにいえて、また家畜かちくのために小屋こやつくった。これによってそのところはスコテとばれている。

18こうしてヤコブはパダンアラムからきて、無事ぶじカナンののシケムのまちき、まちまえ宿営しゅくえいした。 19かれ天幕てんまくった一部いちぶをシケムのちちハモルのらのから百ケシタでり、 20そこに祭壇さいだんてて、これをエル・エロヘ・イスラエルとづけた。

第三四章

1レアがヤコブにんだむすめデナはそのおんなたちにおうとかけてったが、 2そののつかさ、ヒビびとハモルのシケムが彼女かのじょて、れ、これとてはずかしめた。 3かれふかくヤコブのむすめデナをしたい、このむすめあいして、ねんごろにむすめかたった。 4シケムはちちハモルにった、「このむすめをわたしのつまにめとってください」。 5さてヤコブはシケムが、むすめデナをけがしたことをいたけれども、そのらが家畜かちくれてにいたので、かれらのかえるまでだまっていた。 6シケムのちちハモルはヤコブとはなおうと、ヤコブのところてきた。 7ヤコブのらはからかえり、このこといて、かなしみ、かつ非常ひじょういかった。シケムがヤコブのむすめて、イスラエルにおろかなことをしたためで、こんなことは、してはならぬことだからである。

8ハモルはかれらとかたってった、「わたしのシケムはあなたがたのむすめこころしたっています。どうか彼女かのじょかれつまにください。 9あなたがたはわたしたちと婚姻こんいんし、あなたがたのむすめをわたしたちにあたえ、わたしたちのむすめをあなたがたにめとってください。 10こうしてあなたがたとわたしたちとは一緒いっしょみましょう。はあなたがたのまえにあります。ここにんで取引とりひきし、ここで財産ざいさんなさい」。 11シケムはまたデナのちち兄弟きょうだいたちとにった、「あなたがたのまえめぐみをさせてください。あなたがたがわたしにわれるものは、なんでもさしあげましょう。 12たくさんの結納ゆいのうきんおくものとをおもとめになっても、あなたがたのわれるとおりさしあげます。ただこのむすめはわたしのつまにください」。

13しかし、ヤコブのらはシケムがかれらのいもうとデナをけがしたので、シケムとそのちちハモルにいつわってこたえ、 14かれらにった、「われわれは割礼かつれいけないものいもうとをやることはできません。それはわれわれのはじとするところですから。 15ただ、こうなさればわれわれはあなたがたに同意どういします。もしあなたがたのうち男子だんしがみな割礼かつれいけて、われわれのようになるなら、 16われわれのむすめをあなたがたにあたえ、あなたがたのむすめをわれわれにめとりましょう。そしてわれわれはあなたがたと一緒いっしょんで一つのたみとなりましょう。 17けれども、もしあなたがたがわれわれにかず、割礼かつれいけないなら、われわれはむすめれてきます」。

18かれらの言葉ことばがハモルとハモルのシケムとのこころにかなったので、 19若者わかものは、ためらわずにこのことをした。かれがヤコブのむすめあいしたからである。またかれちちいえのうちで一ばんおもんじられたものであった。 20そこでハモルとそのシケムとはまちもんき、まち人々ひとびとかたってった、 21「この人々ひとびとはわれわれとしたしいから、このまわせて、ここで取引とりひきをさせよう。ひろく、かれらをいれるにじゅうぶんである。そしてわれわれはかれらのむすめつまにめとり、われわれのむすめかれらにあたえよう。 22かれらが割礼かつれいけているように、もしわれわれのうちの男子だんしみな割礼かつれいけるなら、ただこのことだけで、この人々ひとびとはわれわれに同意どういし、われわれと一緒いっしょんで一つのたみとなるのだ。 23そうすればかれらの家畜かちく財産ざいさんとすべてのけものとは、われわれのものとなるではないか。ただわれわれがかれらに同意どういすれば、かれらはわれわれと一緒いっしょむであろう」。 24そこでまちもん出入でいりするものはみなハモルとそのシケムとにしたがって、まちもん出入でいりするすべての男子だんし割礼かつれいけた。

25になってかれらがいたみをおぼえているとき、ヤコブのふたりの、すなわちデナの兄弟きょうだいシメオンとレビとは、おのおのつるぎをって、不意ふいまちおそい、男子だんしをことごとくころし、 26またつるぎのにかけてハモルとそのシケムとをころし、シケムのいえからデナをした。 27そしてヤコブのらはころされた人々ひとびとをはぎ、まちをかすめた。かれらがいもうとけがしたからである。 28すなわちひつじうし、ろばおよまちにあるものと、にあるもの、 29ならびにすべてのざいうばい、そのおんなつまたちをみなとりこにし、いえなかにあるものをことごとくかすめた。 30そこでヤコブはシメオンとレビとにった、「あなたがたはわたしをこの住民じゅうみん、カナンびととペリジびとにみきらわせ、わたしに迷惑めいわくをかけた。わたしは、人数にんずうすくないから、かれらがあつまってわたしをつならば、わたしも家族かぞくほろぼされるであろう」。 31かれらはった、「わたしたちのいもうと遊女ゆうじょのようにかれあつかってよいのですか」。

第三五章

1ときにかみはヤコブにわれた、「あなたはってベテルにのぼり、そこにんで、あなたがさきにあにエサウのかおけてのがれるとき、あなたにあらわれたかみ祭壇さいだんつくりなさい」。 2ヤコブは、その家族かぞくおよびともにいるすべてのものった、「あなたがたのうちにあることなる神々かみがみて、きよめて着物きもの着替きがえなさい。 3われわれはってベテルにのぼり、そのところでわたしの苦難くなんにわたしにこたえ、かつわたしのみちともにおられたかみ祭壇さいだんつくろう」。 4そこでかれらはっていることなる神々かみがみと、みみにつけている耳輪みみわをことごとくヤコブにあたえたので、ヤコブはこれをシケムのほとりにあるテレビンのしためた。

5そしてかれらは、いでったが、おおいなるおそれが周囲しゅうい町々まちまちったので、ヤコブのらのあとをものはなかった。 6こうしてヤコブはともにいたすべての人々ひとびと一緒いっしょにカナンのにあるルズ、すなわちベテルにきた。 7かれはそこに祭壇さいだんきずき、そのところをエル・ベテルとづけた。かれあにかおけてのがれるときかみがそこでかれあらわれたからである。 8ときにリベカのうばデボラがんで、ベテルのしもの、かしのしたほうむられた。これによってそのをアロン・バクテとばれた。

9さてヤコブがパダンアラムからかえってきたときかみふたたかれあらわれてかれ祝福しゅくふくされた。 10かみかれわれた、「あなたのはヤコブである。しかしあなたのをもはやヤコブとんではならない。あなたのをイスラエルとしなさい」。こうしてかれをイスラエルとづけられた。 11かみはまたかれわれた、
「わたしは全能ぜんのうかみである。
あなたはめよ、またふえよ。
一つの国民こくみん、またおおくの国民こくみんがあなたからて、
おうたちがあなたのからるであろう。
12わたしはアブラハムとイサクとにあたえたを、
あなたにあたえよう。
またあなたののち子孫しそんにそのあたえよう」。
13かみかれかたっておられたその場所ばしょからかれはなれてのぼられた。 14そこでヤコブはかみ自分じぶんかたられたその場所ばしょに、一ぽんいしはしらて、そのうえ灌祭かんさいをささげ、またあぶらそそいだ。 15そしてヤコブはかみ自分じぶんかたられたその場所ばしょをベテルとづけた。

16こうしてかれらはベテルをったが、エフラタにくまでに、なおへだたりのあるところでラケルは産気さんけづき、そのさんおもかった。 17その難産なんざんあたって、産婆さんば彼女かのじょった、「心配しんぱいすることはありません。今度こんどおとこです」。 18彼女かのじょにのぞみ、たましいろうとするときをベノニとんだ。しかし、ちちはこれをベニヤミンとづけた。 19ラケルはんでエフラタ、すなわちベツレヘムのみちほうむられた。 20ヤコブはそのはかはしらてた。これはラケルのはかはしらであって、今日こんにちいたっている。 21イスラエルはまた、いでってミグダル・エダルのこうに天幕てんまくった。

22イスラエルがそのんでいたとき、ルベンはちちのそばめビルハのところへって、これとた。イスラエルはこれをいた。

さてヤコブのらは十二にんであった。 23すなわちレアのらはヤコブの長子ちょうしルベンとシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。 24ラケルのらはヨセフとベニヤミン。 25ラケルのつかえめビルハのらはダンとナフタリ。 26レアのつかえめジルパのらはガドとアセル。これらはヤコブのらであって、パダンアラムでかれうまれたものである。

27ヤコブはキリアテ・アルバ、すなわちヘブロンのマムレにいるちちイサクのもとへった。ここはアブラハムとイサクとが寄留きりゅうしたところである。 28イサクのとしは百八十さいであった。 29イサクは年老としおい、ちていきえ、んで、そのたみくわえられた。そのエサウとヤコブとは、これをほうむった。

第三六章

1エサウ、すなわちエドムの系図けいずつぎのとおりである。 2エサウはカナンのむすめたちのうちからつまをめとった。すなわちヘテびとエロンのむすめアダと、ヒビびとヂベオンのアナのむすめアホリバマとである。 3また、イシマエルのむすめネバヨテのいもうとバスマテをめとった。 4アダはエリパズをエサウにみ、バスマテはリウエルをみ、 5アホリバマはエウシ、ヤラム、コラをんだ。これらはエサウのであって、カナンのかれうまれたものである。

6エサウはつまむすめいえのすべてのひと家畜かちくとすべてのけもの、またカナンのたすべての財産ざいさんたずさえ、兄弟きょうだいヤコブをはなれてほかのった。 7かれらの財産ざいさんおおくて、一緒いっしょにいることができなかったからである。すなわちかれらが寄留きりゅうしたかれらの家畜かちくのゆえに、かれらをささえることができなかったのである。 8こうしてエサウはセイルの山地さんちんだ。エサウはすなわちエドムである。

9セイルの山地さんちにおったエドムびとの先祖せんぞエサウの系図けいずつぎのとおりである。 10エサウのらのつぎのとおりである。すなわちエサウのつまアダのはエリパズ。エサウのつまバスマテのはリウエル。 11エリパズのらはテマン、オマル、ゼポ、ガタム、ケナズである。 12テムナはエサウのエリパズのそばめで、アマレクをエリパズにんだ。これらはエサウのつまアダのらである。 13リウエルのらはつぎのとおりである。すなわちナハテ、ゼラ、シャンマ、ミザであって、これらはエサウのつまバスマテのらである。 14ヂベオンのアナのむすめで、エサウのつまアホリバマのらはつぎのとおりである。すなわち彼女かのじょはエウシ、ヤラム、コラをエサウにんだ。

15エサウのらのなかで、ぞくちょうたるものつぎのとおりである。すなわちエサウの長子ちょうしエリパズのらはテマンの族長ぞくちょう、オマルの族長ぞくちょう、ゼポの族長ぞくちょう、ケナズの族長ぞくちょう 16コラの族長ぞくちょう、ガタムの族長ぞくちょう、アマレクの族長ぞくちょうである。これらはエリパズから族長ぞくちょうで、エドムのにおった。これらはアダのらである。 17エサウのリウエルのらはつぎのとおりである。すなわちナハテの族長ぞくちょう、ゼラの族長ぞくちょう、シャンマの族長ぞくちょう、ミザの族長ぞくちょう。これらはリウエルから族長ぞくちょうで、エドムのにおった。これらはエサウのつまバスマテのらである。 18エサウのつまアホリバマのらはつぎのとおりである。すなわちエウシの族長ぞくちょう、ヤラムの族長ぞくちょう、コラの族長ぞくちょう。これらはアナのむすめで、エサウのつまアホリバマから族長ぞくちょうである。 19これらはエサウすなわちエドムのらで、ぞくちょうたるものである。

20この住民じゅうみんホリびとセイルのらはつぎのとおりである。すなわちロタン、ショバル、ヂベオン、アナ、 21デション、エゼル、デシャン。これらはセイルのホリびとから族長ぞくちょうで、エドムのにおった。 22ロタンのらはホリ、ヘマムであり、ロタンのいもうとはテムナであった。 23ショバルのらはつぎのとおりである。すなわちアルワン、マナハテ、エバル、シポ、オナム。 24ヂベオンのらはつぎのとおりである。すなわちアヤとアナ。このアナはちちヂベオンのろばをっていたとき荒野あらの温泉おんせん発見はっけんしたものである。 25アナのらはつぎのとおりである。すなわちデションとアホリバマ。アホリバマはアナのむすめである。 26デションのらはつぎのとおりである。すなわちヘムダン、エシバン、イテラン、ケラン。 27エゼルのらはつぎのとおりである。すなわちビルハン、ザワン、アカン。 28デシャンのらはつぎのとおりである。すなわちウズとアラン。 29ホリびとから族長ぞくちょうつぎのとおりである。すなわちロタンの族長ぞくちょう、ショバルの族長ぞくちょう、ヂベオンの族長ぞくちょう、アナの族長ぞくちょう 30デションの族長ぞくちょう、エゼルの族長ぞくちょう、デシャンの族長ぞくちょう。これらはホリびとから族長ぞくちょうであって、その氏族しぞくしたがってセイルのにおったものである。

31イスラエルの人々ひとびとおさめるおうがまだなかったとき、エドムのおさめたおうたちはつぎのとおりである。 32ベオルのベラはエドムをおさめ、そのみやこはデナバであった。 33ベラがんで、ボズラのゼラのヨバブがこれにかわっておうとなった。 34ヨバブがんで、テマンびとののホシャムがこれにかわっておうとなった。 35ホシャムがんで、ベダデのハダデがこれにかわっておうとなった。かれはモアブのでミデアンをったものである。そのみやこはアビテであった。 36ハダデがんで、マスレカのサムラがこれにかわっておうとなった。 37サムラがんでユフラテかわのほとりにあるレホボテのサウルがこれにかわっておうとなった。 38サウルがんでアクボルのバアル・ハナンがこれにかわっておうとなった。 39アクボルのバアル・ハナンがんで、ハダルがこれにかわっておうとなった。そのみやこはパウであった。そのつまはメヘタベルといって、メザハブのむすめマテレデのむすめであった。

40エサウから族長ぞくちょうは、その氏族しぞく住所じゅうしょしたがってえばつぎのとおりである。すなわちテムナの族長ぞくちょう、アルワの族長ぞくちょう、エテテの族長ぞくちょう 41アホリバマの族長ぞくちょう、エラの族長ぞくちょう、ピノンの族長ぞくちょう 42ケナズの族長ぞくちょう、テマンの族長ぞくちょう、ミブザルの族長ぞくちょう 43マグデエルの族長ぞくちょう、イラムの族長ぞくちょう。これらはエドムの族長ぞくちょうたちであって、その領地りょうちうち住所じゅうしょしたがっていったものである。エドムびとの先祖せんぞはエサウである。

第三七章

1ヤコブはちち寄留きりゅう、すなわちカナンのんだ。 2ヤコブの子孫しそんつぎのとおりである。

ヨセフは十七さいとき兄弟きょうだいたちとともひつじれをっていた。かれはまだ子供こどもで、ちちつまたちビルハとジルパとのらとともにいたが、ヨセフはかれらのわるいうわさをちちげた。 3ヨセフは年寄としよであったから、イスラエルはのどのよりもかれあいして、かれのためにながそでの着物きものをつくった。 4兄弟きょうだいたちはちちがどの兄弟きょうだいよりもかれあいするのをて、かれにくみ、おだやかにかれかたることができなかった。

5あるとき、ヨセフはゆめて、それを兄弟きょうだいたちにはなしたので、かれらは、ますますかれにくんだ。 6ヨセフはかれらにった、「どうぞわたしがゆめいてください。 7わたしたちがはたけなかたばわえていたとき、わたしのたばきてつと、あなたがたのたばがまわりにきて、わたしのたばおがみました」。 8すると兄弟きょうだいたちはかれかって、「あなたはほんとうにわたしたちのおうになるのか。あなたは実際じっさいわたしたちをおさめるのか」とって、かれゆめとその言葉ことばのゆえにますますかれにくんだ。 9ヨセフはまた一つのゆめて、それを兄弟きょうだいたちにかたってった、「わたしはまたゆめました。つきと十一のほしとがわたしをおがみました」。 10かれはこれをちち兄弟きょうだいたちにかたったので、ちちかれをとがめてった、「あなたがたそのゆめはどういうのか。ほんとうにわたしとあなたのははと、兄弟きょうだいたちとがってし、あなたをおがむのか」。 11兄弟きょうだいたちはかれをねたんだ。しかしちちはこの言葉ことばこころにとめた。

12さて兄弟きょうだいたちがシケムにって、ちちひつじれをっていたとき、 13イスラエルはヨセフにった、「あなたの兄弟きょうだいたちはシケムでひつじっているではないか。さあ、あなたをかれらのところへつかわそう」。ヨセフはちちった、「はい、きます」。 14ちちかれった、「どうか、って、あなたの兄弟きょうだいたちは無事ぶじであるか、またれは無事ぶじであるかてきて、わたしにらせてください」。ちちかれをヘブロンのたにからつかわしたので、かれはシケムにった。 15ひとりのひとかれい、かれをさまよっていたので、そのひとかれたずねてった、「あなたはなにさがしているのですか」。 16かれった、「兄弟きょうだいたちをさがしているのです。かれらが、どこでひつじっているのか、どうぞわたしにらせてください」。 17そのひとった、「かれらはここをりました。かれらが『ドタンへこう』とうのをわたしはきました」。そこでヨセフは兄弟きょうだいたちのあとをってって、ドタンでかれらにった。 18ヨセフがかれらにちかづかないうちに、かれらははるかにヨセフをて、これをころそうとはかり、 19たがいった、「あの夢見ゆめみものがやってる。 20さあ、かれころしてあなれ、わるけものかれったとおう。そしてかれゆめがどうなるかよう」。 21ルベンはこれをいて、ヨセフをかれらのからすくそうとしてった、「われわれはかれいのちってはならない」。 22ルベンはまたかれらにった、「ながしてはいけない。かれ荒野あらののこのあなれよう。かれをくだしてはならない」。これはヨセフをかれらのからすくいだしてちちかえすためであった。 23さて、ヨセフが兄弟きょうだいたちのもとへくと、かれらはヨセフの着物きものかれていたながそでの着物きものをはぎとり、 24かれとらえてあなれた。そのあなはからで、そのなかみずはなかった。

25こうしてかれらはすわってパンをべた。ときかれらがをあげてると、イシマエルびとの隊商たいしょうが、らくだに香料こうりょうと、乳香にゅうこうと、もつやくとをわせてエジプトへくだこうとギレアデからやってきた。   26そこでユダは兄弟きょうだいたちにった、「われわれがおとうところし、そのかくしてなにえきがあろう。 27さあ、われわれはかれをイシマエルびとにろう。かれはわれわれの兄弟きょうだい、われわれのにくだから、かれくだしてはならない」。兄弟きょうだいたちはこれをれた。 28ときにミデアンびとの商人しょうにんたちがとおりかかったので、かれらはヨセフをあなからげ、ぎん二十シケルでヨセフをイシマエルびとにった。かれらはヨセフをエジプトへれてった。

29さてルベンはあなかえってたが、ヨセフがあななかにいなかったので、かれ衣服いふくき、 30兄弟きょうだいたちのもとにかえってった、「あのはいない。ああ、わたしはどこへくことができよう」。 31かれらはヨセフの着物きものり、やぎをころして、着物きものをそのひたし、 32そのながそでの着物きものちちかえってった、「わたしたちはこれをつけましたが、これはあなたの着物きものか、どうかさだめてください」。 33ちちはこれをさだめてった、「わが着物きものだ。わるけものかれったのだ。たしかにヨセフはかみかれたのだ」。 34そこでヤコブは衣服いふくき、荒布あらぬのこしにまとって、ながあいだそののためになげいた。 35らとむすめらとはみなってかれなぐさめようとしたが、かれなぐさめられるのをこばんでった、「いや、わたしはなげきながら陰府よみくだって、わがのもとへこう」。こうしてちちかれのためにいた。 36さて、かのミデアンびとらはエジプトでパロの役人やくにん侍衛じえいちょうポテパルにヨセフをった。

第三八章

1そのころユダは兄弟きょうだいたちをはなれてくだり、アドラムびとで、をヒラというものところった。 2ユダはそのところで、をシュアというカナンびとのむすめて、これをめとり、そのところにはいった。 3彼女かのじょはみごもっておとこんだので、ユダはをエルとづけた。 4彼女かのじょふたたびみごもっておとこみ、をオナンとづけた。 5またかさねて、おとこみ、をシラとづけた。彼女かのじょはこのおとこんだとき、クジブにおった。 6ユダは長子ちょうしエルのために、をタマルというつまむかえた。 7しかしユダの長子ちょうしエルはしゅまえわるものであったので、しゅかれころされた。 8そこでユダはオナンにった、「あにつまところにはいって、彼女かのじょをめとり、あに子供こどもさせなさい」。 9しかしオナンはその自分じぶんのものとならないのをっていたので、あにつまところにはいったときあにさせないためにらした。 10かれのしたことしゅまえわるかったので、しゅかれをもころされた。 11そこでユダはそのつまタマルにった、「わたしのシラが成人せいじんするまで、寡婦かふのままで、あなたのちちいえにいなさい」。かれは、シラもまた兄弟きょうだいたちのようにぬかもしれないと、おもったからである。それでタマルはってちちいえにおった。

12がたってシュアのむすめユダのつまんだ。そののち、ユダはおわってそのともアドラムびとヒラとともにテムナにのぼり、自分じぶんひつじもののところへった。 13ときに、ひとりのひとがタマルにげて、「あなたのしゅうとがひつじるためにテムナにのぼってる」とったので、 14彼女かのじょ寡婦かふ衣服いふくぎすて、被衣かずきをおおいかくして、テムナへみちのかたわらにあるエナイムの入口いりぐちにすわっていた。彼女かのじょはシラが成人せいじんしたのに、自分じぶんがそのつまにされないのをったからである。 15ユダは彼女かのじょたとき、彼女かのじょかおをおおっていたため、遊女ゆうじょだとおもい、 16みちのかたわらで彼女かのじょかってった、「さあ、あなたのところにはいらせておくれ」。かれはこのおんながわがつまであることをらなかったからである。彼女かのじょった、「わたしのところにはいるため、なにをくださいますか」。 17ユダはった、「れのうちのやぎのをあなたにあげよう」。彼女かのじょった、「それをくださるまで、しるしをわたしにくださいますか」。 18ユダはった、「どんなしるしをあげようか」。彼女かのじょった、「あなたのいんひもと、あなたのにあるつえとを」。かれはこれらをあたえて彼女かのじょところにはいった。彼女かのじょはユダによってみごもった。 19彼女かのじょきてり、被衣かずきいで寡婦かふ衣服いふくた。

20やがてユダはそのおんなからしるしをりもどそうと、そのともアドラムびとにたくしてやぎのおくったけれども、そのおんないだせなかった。 21そこでかれはそのところ人々ひとびとたずねてった、「エナイムでみちのかたわらにいた遊女ゆうじょはどこにいますか」。かれらはった、「ここには遊女ゆうじょはいません」。 22かれはユダのもとにかえってった、「わたしは彼女かのじょいだせませんでした。またそのところ人々ひとびとは、『ここには遊女ゆうじょはいない』といました」。 23そこでユダはった、「おんなたせておこう。わたしたちははじをかくといけないから。とにかく、わたしはこのやぎのおくったが、あなたは彼女かのじょいだせなかったのだ」。

24ところが三がつほどたって、ひとりのひとがユダにった、「あなたのよめタマルは姦淫かんいんしました。そのうえ、彼女かのじょ姦淫かんいんによってみごもりました」。ユダはった、「彼女かのじょしていてしまえ」。 25彼女かのじょされたとき、そのしゅうとにひとをつかわしてった、「わたしはこれをもっているひとによって、みごもりました」。彼女かのじょはまたった、「どうか、このいんと、ひもと、つえとはだれのものか、見定みさだめてください」。 26ユダはこれを見定みさだめてった、「彼女かのじょはわたしよりもただしい。わたしが彼女かのじょをわがシラにあたえなかったためである」。かれふたた彼女かのじょらなかった。

27さて彼女かのじょ出産しゅっさんときがきたが、胎内たいないには、ふたごがあった。 28出産しゅっさんときに、ひとりのしたので、産婆さんばは、「これがさきにた」とい、いとって、そのむすんだ。 29そして、そのをひっこめると、そのおとうとたので、「どうしてあなたは自分じぶんやぶってるのか」とった。これによってはペレヅとばれた。 30そののちいとのあるあにたので、はゼラとばれた。

第三九章

1さてヨセフはれられてエジプトにくだったが、パロの役人やくにん侍衛じえいちょうであったエジプトびとポテパルは、かれをそこにくだったイシマエルびとらのからった。 2しゅがヨセフとともにおられたので、かれ幸運こううんものとなり、その主人しゅじんエジプトびとのいえにおった。 3その主人しゅじんしゅかれとともにおられることと、しゅかれのすることをすべてさかえさせられるのをた。 4そこで、ヨセフはかれまえめぐみを、そのそばちかつかえた。かれはヨセフにいえをつかさどらせ、ものをみなかれにゆだねた。 5かれがヨセフにいえとすべてのものをつかさどらせたときから、しゅはヨセフのゆえにそのエジプトびとのいえめぐまれたので、しゅめぐみはかれいえはたけとにあるすべてのものおよんだ。 6そこでかれものをみなヨセフのにゆだねて、自分じぶんべるもののほかは、なにをもかえりみなかった。

さてヨセフは姿すがたがよく、かおうつくしかった。 7これらのことのち主人しゅじんつまはヨセフにをつけてった、「わたしとなさい」。 8ヨセフはこばんで、主人しゅじんつまった、「主人しゅじんはわたしがいるのでいえなかなにをもかえりみず、そのものをみなわたしのにゆだねられました。 9このいえにはわたしよりもおおいなるものはありません。また主人しゅじんはあなたをのぞいては、なにをもわたしにきんじられませんでした。あなたが主人しゅじんつまであるからです。どうしてわたしはこのおおきなあくをおこなって、かみつみおかすことができましょう」。 10彼女かのじょ毎日まいにちヨセフにったけれども、ヨセフはきいれず、彼女かのじょなかった。またともにいなかった。 11あるヨセフがつとめをするためにいえにはいったときいえものがひとりもそこにいなかったので、 12彼女かのじょはヨセフの着物きものとらえて、「わたしとなさい」とった。ヨセフは着物きもの彼女かのじょのこしてそとにのがれた。 13彼女かのじょはヨセフが着物きもの自分じぶんのこしてそとにのがれたのをて、 14そのいえものどもをび、かれらにげてった、「主人しゅじんがわたしたちのところれてきたヘブルびとは、わたしたちにたわむれます。かれはわたしとようとして、わたしのところにはいったので、わたしは大声おおごえさけびました。 15かれはわたしがこえをあげてさけぶのをくと、着物きものをわたしのところのこしてそとにのがれました」。 16彼女かのじょはその着物きものをかたわらにいて、主人しゅじんかえってるのをった。 17そして彼女かのじょつぎのように主人しゅじんげた、「あなたがわたしたちにれてこられたヘブルのしもべはわたしにたわむれようとして、わたしのところにはいってきました。 18わたしがこえをあげてさけんだので、かれ着物きものをわたしのところのこしてそとにのがれました」。

19主人しゅじんはそのつまが「あなたのしもべは、わたしにこんなことをした」とげる言葉ことばいて、はげしくいかった。 20そしてヨセフの主人しゅじんかれとらえて、おう囚人しゅうじんをつなぐ獄屋ごくやれた。こうしてヨセフは獄屋ごくやなかにおったが、 21しゅはヨセフとともにおられてかれにいつくしみをれ、獄屋ごくやばんめぐみをうけさせられた。 22獄屋ごくやばん獄屋ごくやにおるすべての囚人しゅうじんをヨセフのにゆだねたので、かれはそこでするすべてのことをおこなった。 23獄屋ごくやばんかれにゆだねたことはいっさいかえりみなかった。しゅがヨセフとともにおられたからである。しゅかれのなすことさかえさせられた。

第四〇章

1これらのことのち、エジプトおう給仕きゅうじやく料理りょうりやくとがその主君しゅくんエジプトおうつみおかした。 2パロはふたりの役人やくにん、すなわち給仕きゅうじやくちょう料理りょうりやくちょうかっていきどおり、 3侍衛じえいちょういえ監禁所かんきんじょ、すなわちヨセフがつながれている獄屋ごくやれた。 4侍衛じえいちょうはヨセフにめいじてかれらとともにおらせたので、ヨセフはかれらにつかえた。こうしてかれらは監禁所かんきんじょ幾日いくにちかをごした。 5さて獄屋ごくやにつながれたエジプトおう給仕きゅうじやく料理りょうりやくのふたりは一夜いちやのうちにそれぞれ意味いみのあるゆめた。 6ヨセフがあさかれらのところへってると、かれらはかなしみにしずんでいた。 7そこでヨセフは自分じぶん一緒いっしょ主人しゅじんいえ監禁所かんきんじょにいるパロの役人やくにんたちにたずねてった、「どうして、きょう、あなたがたの顔色かおいろわるいのですか」。 8かれらはった、「わたしたちはゆめましたが、いてくれるものがいません」。ヨセフはかれらにった、「くことはかみによるのではありませんか。どうぞ、わたしにはなしてください」。

9給仕きゅうじやくちょうはそのゆめをヨセフにはなしてった、「わたしがゆめで、わたしのまえに一ぽんのぶどうのがありました。 10そのぶどうのに三つのえだがあって、し、はなき、ぶどうのふさがじゅくしました。 11ときにわたしのに、パロのさかずきがあって、わたしはそのぶどうをり、それをパロのさかずきにしぼり、そのさかずきをパロのにささげました」。 12ヨセフはった、「そのかしはこうです。三つのえだは三です。 13いまから三のうちにパロはあなたのあたまげて、あなたをもと役目やくめかえすでしょう。あなたはさきに給仕きゅうじやくだったときにされたように、パロのさかずきをささげられるでしょう。 14それで、あなたがしあわせになられたら、わたしをおぼえていて、どうかわたしにめぐみをほどこし、わたしのことをパロにはなして、このいえからわたしをしてください。 15わたしは、はヘブルびとのからさらわれてきたものです。またここでもわたしは地下ちか獄屋ごくやれられるようなことはしなかったのです」。

16料理りょうりやくちょうはそのかしのかったのをて、ヨセフにった、「わたしもゆめたが、しろいパンのかごが三つ、わたしのあたまうえにあった。 17ばんうえのかごには料理りょうりやくがパロのためにつくったさまざまの食物しょくもつがあったが、とりがわたしのあたまうえのかごからそれをべていた」。 18ヨセフはこたえてった、「そのかしはこうです。三つのかごは三です。 19いまから三のうちにパロはあなたのあたまはなして、あなたをけるでしょう。そしてとりがあなたのにくるでしょう」。

20さて三はパロの誕生たんじょうであったので、パロはすべての家来けらいのためにふるまいをもうけ、家来けらいのうちの給仕きゅうじやくちょうあたまと、料理りょうりやくちょうあたまげた。 21すなわちパロは給仕きゅうじやくちょう給仕きゅうじやくしょくかえしたので、かれはパロのさかずきをささげた。 22しかしパロは料理りょうりやくちょうけた。ヨセフがかれらにかしたとおりである。 23ところが、給仕きゅうじやくちょうはヨセフをおもさず、わすれてしまった。

第四一章

1ねんのちパロはゆめた。ゆめに、かれはナイルかわのほとりにっていた。 2すると、そのかわからうつくしい、ふとった七とう雌牛めうしがってきてあしっていた。 3そののち、またみにくい、やせほそったの七とう雌牛めうしかわからがってきて、かわきしにいた雌牛めうしのそばにち、 4そのみにくい、やせほそった雌牛めうしが、あのうつくしい、えた七とう雌牛めうしいつくした。ここでパロはめた。 5かれはまたねむって、ふたたゆめた。ゆめに、一ぽんくきふとったい七つのてきた。 6そののちまた、やせて、東風ひがしかぜけた七つのてきて、 7そのやせたが、あのふとってみのった七つのをのみつくした。ここでパロはめたが、それはゆめであった。 8あさになって、パロはこころさわぎ、ひとをつかわして、エジプトのすべての魔術まじゅつとすべての知者ちしゃとをせ、かれらにゆめげたが、これをパロにかしうるものがなかった。

9そのとき給仕きゅうじやくちょうはパロにげてった、「わたしはきょう、自分じぶんのあやまちをおもしました。 10かつてパロがしもべらにかっていきどおり、わたしと料理りょうりやくちょうとを侍衛じえいちょういえ監禁所かんきんじょにおれになったとき 11わたしもかれ一夜いちやのうちにゆめ、それぞれ意味いみのあるゆめましたが、 12そこに侍衛じえいちょうのしもべで、ひとりのわかいヘブルびとがわれわれとともにいたので、かれはなしたところ、かれはわれわれのゆめかし、そのゆめによって、それぞれかしをしました。 13そしてかれかしたとおりになって、パロはわたしをしょくかえし、かれけられました」。

14そこでパロはひとをつかわしてヨセフをんだ。人々ひとびといそいでかれ地下ちか獄屋ごくやからした。ヨセフは、ひげをそり、着物きもの着替きがえてパロのもとにった。 15パロはヨセフにった、「わたしはゆめたが、これをかすものがない。くところによると、あなたはゆめいて、かしができるそうだ」。 16ヨセフはパロにこたえてった、「いいえ、わたしではありません。かみがパロに平安へいあんをおげになりましょう」。 17パロはヨセフにった、「ゆめにわたしはかわきしっていた。 18そのかわからふとった、うつくしい七とう雌牛めうしがってきてあしっていた。 19そののちよわく、非常ひじょうみにくい、やせほそったの七とう雌牛めうしがまたうえがってきた。わたしはエジプト全国ぜんこくで、このようなみにくいものをまだたことがない。 20ところがそのやせたみにく雌牛めうしが、はじめの七とうえた雌牛めうしいつくしたが、 21はらにはいっても、はらにはいったことれず、やはりはじめのようにみにくかった。ここでわたしはめた。 22わたしはまたゆめをみた。一ぽんくきに七つのったてきた。 23そののち、やせおとろえて、東風ひがしかぜけた七つのてきたが、 24そのやせたが、あの七つのをのみつくした。わたしは魔術まじゅつはなしたが、わたしにそのわけをしめしうるものはなかった」。

25ヨセフはパロにった、「パロのゆめは一つです。かみがこれからしようとすることをパロにしめされたのです。 26とう雌牛めうしは七ねんです。七つのも七ねんで、ゆめは一つです。 27あとにつづいて、がってきた七とうのやせたみにく雌牛めうしは七ねんで、東風ひがしかぜけたらない七つのは七ねんのききんです。 28わたしがパロにもうげたように、かみがこれからしようとすることをパロにしめされたのです。 29エジプト全国ぜんこくに七ねんだい豊作ほうさくがあり、 30そののちねんのききんがおこり、その豊作ほうさくはみなエジプトのくにわすれられて、そのききんはくにほろぼすでしょう。 31のちるそのききんが、非常ひじょうはげしいから、その豊作ほうさくくにのうちで記憶きおくされなくなるでしょう。 32パロが二かさねてゆめられたのは、このことかみによってさだめられ、かみがすみやかにこれをされるからです。 33それゆえパロはいま、さとく、かつかしこひとたずしてエジプトのくにおさめさせなさい。 34パロはこうして国中くにぢゅう監督かんとくき、その七ねん豊作ほうさくのうちに、エジプトのくに産物さんぶつの五ぶんの一をり、 35つづいて年々ねんねんのすべての食糧しょくりょうかれらにあつめさせ、穀物こくもつ食糧しょくりょうとして、パロの町々まちまちにたくわえまもらせなさい。 36こうすれば食糧しょくりょうは、エジプトのくにのぞむ七ねんのききんにそなえて、このくにのためにたくわえとなり、このくにはききんによってほろびることがないでしょう」。

37このことはパロとそのすべての家来けらいたちのにかなった。 38そこでパロは家来けらいたちにった、「われわれはかみれいをもつこのようなひとを、ほかにいだしようか」。 39またパロはヨセフにった、「かみがこれをみなあなたにしめされた。あなたのようにさとくかしこものはない。 40あなたはわたしのいえおさめてください。わたしのたみはみなあなたの言葉ことばしたがうでしょう。わたしはただおうくらいでだけあなたにまさる」。 41パロはさらにヨセフにった、「わたしはあなたをエジプト全国ぜんこくのつかさとする」。 42そしてパロは指輪ゆびわからはずして、ヨセフのにはめ、亜麻あまぬの衣服いふくせ、きんくさりをくびにかけ、 43自分じぶんだい二のくるまかれせ、「ひざまずけ」とそのまえばわらせ、こうしてかれをエジプト全国ぜんこくのつかさとした。 44ついでパロはヨセフにった、「わたしはパロである。あなたのゆるしがなければエジプト全国ぜんこくで、だれも手足てあしげることはできない」。 45パロはヨセフのをザフナテ・パネアとび、オンの祭司さいしポテペラのむすめアセナテをつまとしてかれあたえた。ヨセフはエジプトのくにめぐった。

46ヨセフがエジプトのおうパロのまえったときは三十さいであった。ヨセフはパロのまえて、エジプト全国ぜんこくをあまねくめぐった。 47さて七ねん豊作ほうさくのうちにゆたかにものさんした。 48そこでヨセフはエジプトのくににできたその七年間ねんかん食糧しょくりょうをことごとくあつめ、その食糧しょくりょう町々まちまちおさめさせた。すなわちまち周囲しゅういにあるはたけ食糧しょくりょうをそのまちなかおさめさせた。 49ヨセフは穀物こくもつうみすなのように、非常ひじょうおおくたくわえ、はかりきれなくなったので、ついにはかることをやめた。

50ききんのとしまえにヨセフにふたりのうまれた。これらはオンの祭司さいしポテペラのむすめアセナテがんだのである。 51ヨセフは長子ちょうしをマナセとづけてった、「かみがわたしにすべての苦難くなんちちいえのすべてのことわすれさせられた」。 52またつぎをエフライムとづけてった、「かみがわたしをなやみのゆたかにせられた」。

53エジプトのくににあった七ねん豊作ほうさくおわり、 54ヨセフのったように七ねんのききんがはじまった。そのききんはすべてのくににあったが、エジプト全国ぜんこくには食物しょくもつがあった。 55やがてエジプト全国ぜんこくえたときたみはパロに食物しょくもつさけもとめた。そこでパロはすべてのエジプトびとにった、「ヨセフのもとにき、かれうようにせよ」。 56ききんが全面ぜんめんにあったので、ヨセフはすべての穀倉こくぐらひらいて、エジプトびとにった。ききんはますますエジプトのくにはげしくなった。 57ききんがぜんはげしくなったので、諸国しょこく人々ひとびとがエジプトのヨセフのもとに穀物こくもつうためにきた。

第四二章

1ヤコブはエジプトに穀物こくもつがあるとって、むすこたちにった、「あなたがたはなぜかお見合みあわせているのですか」。 2またった、「エジプトに穀物こくもつがあるということだが、あなたがたはそこへくだってって、そこから、われわれのため穀物こくもつってきなさい。そうすれば、われわれはきながらえて、まぬかれるであろう」。 3そこでヨセフの十にん兄弟きょうだい穀物こくもつうためにエジプトへくだった。 4しかし、ヤコブはヨセフのおとうとベニヤミンを兄弟きょうだいたちと一緒いっしょにやらなかった。かれわざわいうのをおそれたからである。 5こうしてイスラエルのらは穀物こくもつおうと人々ひとびとじってやってきた。カナンのにききんがあったからである。

6ときにヨセフはくにのつかさであって、くにのすべてのたみ穀物こくもつることをしていた。ヨセフの兄弟きょうだいたちはきて、にひれし、かれはいした。 7ヨセフは兄弟きょうだいたちをて、それとったが、かれらにかってはらぬもののようにし、荒々あらあらしくかたった。すなわちかれらにった、「あなたがたはどこからきたのか」。かれらはこたえた、「食糧しょくりょううためにカナンのからきました」。 8ヨセフは、兄弟きょうだいたちであるのをっていたが、かれらはヨセフとはらなかった。 9ヨセフはかつてかれらについてゆめおもして、かれらにった、「あなたがたはまわもので、このくにのすきをうかがうためにきたのです」。 10かれらはヨセフにこたえた、「いいえ、わがしゅよ、しもべらはただ食糧しょくりょううためにきたのです。 11われわれはみな、ひとりのひとで、真実しんじつものです。しもべらはまわものではありません」。 12ヨセフはかれらにった、「いや、あなたがたはこのくにのすきをうかがうためにきたのです」。 13かれらはった、「しもべらは十二にん兄弟きょうだいで、カナンのにいるひとりのひとです。すえおとうといまちち一緒いっしょにいますが、のひとりはいなくなりました」。 14ヨセフはかれらにった、「わたしがったとおり、あなたがたはまわものです。 15あなたがたをこうしてためしてみよう。パロのいのちにかけてちかいます。すえおとうとがここにこなければ、あなたがたはここをることはできません。 16あなたがたのひとりをやっておとうとれてこさせなさい。それまであなたがたをつないでおいて、あなたがたに誠実せいじつがあるかどうか、あなたがたの言葉ことばをためしてみよう。パロのいのちにかけてちかいます。あなたがたはたしかにまわものです」。 17ヨセフはかれらをみな一緒いっしょに三あいだ監禁所かんきんじょれた。

18にヨセフはかれらにった、「こうすればあなたがたはたすかるでしょう。わたしはかみおそれます。 19もしあなたがたが真実しんじつものなら、兄弟きょうだいのひとりをあなたがたのいる監禁所かんきんじょのこし、あなたがたは穀物こくもつたずさえてって、家族かぞくえをすくいなさい。 20そしてすえおとうとをわたしのもとにれてきなさい。そうすればあなたがたの言葉ことばのほんとうであることがわかって、まぬかれるでしょう」。かれらはそのようにした。 21かれらはたがいった、「たしかにわれわれはおとうとことつみがある。かれがしきりにねがったとき、そのこころくるしみをながら、われわれはれなかった。それでこのくるしみにうのだ」。 22ルベンがかれらにこたえてった、「わたしはあなたがたに、この子供こどもつみおかすなとったではないか。それにもかかわらず、あなたがたはれなかった。それでかれむくいをけるのです」。 23かれらはヨセフがきわけているのをらなかった。相互そうごあいだ通訳者つうやくしゃがいたからである。 24ヨセフはかれらをはなれてってき、またかえってきてかれらとかたり、そのひとりシメオンをとらえて、かれらのまえしばった。 25そしてヨセフは人々ひとびとめいじて、かれらのふくろ穀物こくもつたし、めいめいのぎんふくろかえし、道中どうちゅう食料しょくりょうあたえさせた。ヨセフはこのようにかれらにした。

26かれらは穀物こくもつをろばにわせてそこをった。 27そのひとりが宿やどで、ろばに飼葉かいばをやるためふくろをあけてると、ふくろくち自分じぶんぎんがあった。 28かれ兄弟きょうだいたちにった、「わたしのぎんかえしてある。しかもよ、それはふくろなかにある」。そこでかれらは非常ひじょうおどろき、たがいふるえながらった、「かみがわれわれにされたこのことは何事なにごとだろう」。

29こうしてかれらはカナンのにいるちちヤコブのもとにかえり、そのったことをことごとくげてった、 30「あのくにきみは、われわれに荒々あらあらしくかたり、くにをうかがうまわものだといました。 31われわれはかれこたえました、『われわれは真実しんじつものであってまわものではない。 32われわれは十二にん兄弟きょうだいで、おなちちである。ひとりはいなくなり、すえおとうといまちちともにカナンのにいる』。 33そのくにきみであるそのひとはわれわれにいました、『わたしはこうしてあなたがたの真実しんじつものであるのをろう。あなたがたは兄弟きょうだいのひとりをわたしのもとにのこし、穀物こくもつたずさえてって、家族かぞくえをすくいなさい。 34そしてすえおとうとをわたしのもとにれてきなさい。そうすればあなたがたがまわものではなく、真実しんじつものであるのをって、あなたがたの兄弟きょうだいかえし、このくにであなたがたに取引とりひきさせましょう』」。

35かれらがふくろのものをしてると、めいめいのかねつつみがふくろなかにあったので、かれらもちちかねつつみをおそれた。 36ちちヤコブはかれらにった、「あなたがたはわたしにうしなわせた。ヨセフはいなくなり、シメオンもいなくなった。今度こんどはベニヤミンをもる。これらはみなわたしのにふりかかってるのだ」。 37ルベンはちちった、「もしわたしがかれをあなたのもとにれてかえらなかったら、わたしのふたりのころしてください。ただかれをわたしのにまかせてください。わたしはきっと、あなたのもとにかれれてかえります」。 38ヤコブはった、「わたしのはあなたがたとともくだってってはならない。かれあにに、ただひとりかれのこっているのだから。もしあなたがたのみちかれわざわいえば、あなたがたは、しらがのわたしをかなしんで陰府よみくだらせるであろう」。

第四三章

1ききんはそのはげしかった。 2かれらがエジプトからたずさえてきた穀物こくもつつくしたときちちかれらにった、「またって、われわれのためにすこしの食糧しょくりょうってきなさい」。 3ユダはちちこたえてった、「あのひとはわれわれをきびしくいましめて、おとうと一緒いっしょでなければ、わたしのかおてはならないといました。 4もしあなたがおとうとをわれわれと一緒いっしょにやってくださるなら、われわれはくだってって、あなたのために食糧しょくりょうってきましょう。 5しかし、もしかれをやられないなら、われわれはくだってきません。あのひとがわれわれに、おとうと一緒いっしょでなければわたしのかおてはならないとったのですから」。 6イスラエルはった、「なぜ、もうひとりのおとうとがあるとあのひとって、わたしをくるしめるのか」。 7かれらはった、「あのひとがわれわれと一族いちぞくとのことをいただして、ちちはまだきているか、もうひとりのおとうとがあるかとったので、われるままにこたえましたが、そのひとが、おとうとれてこいとおうとは、どうしてることができたでしょう」。 8ユダはちちイスラエルにった、「あのをわたしと一緒いっしょにやってくだされば、われわれはってきましょう。そしてわれわれもあなたも、われわれの子供こどもらもきながらえ、まぬかれましょう。 9わたしがかれいます。わたしのからかれもとめなさい。もしわたしがかれをあなたのもとにかえって、あなたのまえかなかったら、わたしはあなたにたいして永久えいきゅうつみいましょう。 10もしわれわれがこんなにためらわなかったら、いまごろは二ってきたでしょう」。

11ちちイスラエルはかれらにった、「それではこうしなさい。このくに名産めいさんうつわれ、たずさくだってそのひとおくものにしなさい。すなわちすこしの乳香にゅうこうすこしのみつ香料こうりょう、もつやく、ふすだしう、あめんどう。 12そしてそのうえに、倍額ばいがくぎんってきなさい。またふくろくちかえしてあったぎんってってかえしなさい。たぶんそれはあやまりであったのでしょう。 13おとうとれ、って、またそのひとところきなさい。 14どうか全能ぜんのうかみがそのひとまえであなたがたをあわれみ、もうひとりの兄弟きょうだいとベニヤミンとを、かえさせてくださるように。もしわたしがうしなわなければならないのなら、うしなってもよい」。 15そこでその人々ひとびとおくものり、また倍額ばいがくぎんたずさえ、ベニヤミンをれ、ってエジプトへくだり、ヨセフのまえった。

16ヨセフはベニヤミンがかれらとともにいるのをて、いえづかさにった、「この人々ひとびといえれてき、けものをほふって、したくするように。この人々ひとびとひる、わたしと一緒いっしょ食事しょくじをします」。 17そのひとはヨセフのったようにして、この人々ひとびとをヨセフのいえれてった。 18ところがこの人々ひとびとはヨセフのいえれてかれたのでおそれてった、「はじめのときふくろかえしてあったあのぎんのゆえに、われわれをれたのです。そしてわれわれをおそい、め、とらえて奴隷どれいとし、われわれのろばをもうばうのです」。 19かれらはヨセフのいえづかさにちかづいて、いえ入口いりぐちで、った、 20「ああ、わがしゅよ、われわれは最初さいしょ食糧しょくりょううためにくだってきたのです。 21ところが宿やどってふくろをあけてると、めいめいのぎんふくろくちにあって、ぎんおもさはもとのままでした。それでわれわれはそれをってまいりました。 22そして食糧しょくりょううために、ほかのぎんをもってくだってきました。われわれのぎんふくろれたものが、だれであるかはわかりません」。 23かれった、「安心あんしんしなさい。おそれてはいけません。そのたからはあなたがたのかみ、あなたがたのちちかみが、あなたがたのふくろれてあなたがたにたまわったのです。あなたがたのぎんはわたしがりました」。そしてかれはシメオンをかれらのところれてきた。 24こうしてそのひとはこの人々ひとびとをヨセフのいえみちびき、みずあたえてあしあらわせ、また、ろばに飼葉かいばあたえた。 25かれらはそのところ食事しょくじをするのだとき、おくものととのえて、ひるにヨセフのるのをった。

26さてヨセフがいえかえってきたので、かれらはそのいえたずさえてきたおくものをヨセフにささげ、して、かれはいした。 27ヨセフはかれらの安否あんぴうてった、「あなたがたのちち、あなたがたがさきにはなしていたその老人ろうじん無事ぶじですか。なおきながらえておられますか」。 28かれらはこたえた、「あなたのしもべ、われわれのちち無事ぶじで、なおきながらえています」。そしてかれらは、とうをさげてはいした。 29ヨセフはをあげておなははであるおとうとベニヤミンをった、「これはあなたがたがまえにわたしにはなしたすえおとうとですか」。またった、「わがよ、どうかかみがあなたをめぐまれるように」。 30ヨセフはおとうとなつかしさにこころがせまり、いそいで場所ばしょをたずね、へやにはいっていた。 31やがてかれかおあらっててきた。そして自分じぶんせいしてった、「食事しょくじにしよう」。 32そこでヨセフはヨセフ、かれらはかれら、陪食ばいしょくのエジプトびとはエジプトびと、と別々べつべつせきいた。エジプトびとはヘブルびとととも食事しょくじすることができなかった。それはエジプトびとのむところであったからである。 33こうしてかれらはヨセフのまえに、長子ちょうし長子ちょうしとして、おとうとおとうととしてすわらせられたので、その人々ひとびとたがいおどろいた。 34またヨセフのまえから、めいめいのぶんはこばれたが、ベニヤミンのぶんのいずれのものぶんよりも五ばいおおかった。こうしてかれらはみ、ヨセフとともたのしんだ。

第四四章

1さてヨセフはいえづかさにめいじてった、「この人々ひとびとふくろに、はこべるだけおおくの食糧しょくりょうたし、めいめいのぎんふくろくちれておきなさい。 2またわたしのさかずきぎんさかずきをあの年下とししたものふくろくちに、穀物こくもつ代金だいきんともれておきなさい」。いえづかさはヨセフの言葉ことばのとおりにした。 3けると、その人々ひとびとと、ろばとはおくされたが、 4まちて、まだとおくへかないうちに、ヨセフはいえづかさにった、「って、あの人々ひとびとのあとをいなさい。いついて、かれらにいなさい、『あなたがたはなぜあくをもってぜんむくいるのですか。なぜわたしのぎんさかずきぬすんだのですか。 5これはわたしの主人しゅじんとき使つかい、またいつもうらないにもちいるものではありませんか。あなたがたのしたことわるいことです』」。

6いえづかさがかれらにいついて、これらの言葉ことばかれらにげたとき、 7かれらはった、「わがしゅは、どうしてそのようなことをわれるのですか。しもべらはけっしてそのようなことはいたしません。 8ふくろくちつけたぎんでさえ、カナンのからあなたのところかえったほどです。どうして、われわれは主人しゅじんいえからぎんきんぬすみましょう。 9しもべらのうちのだれのところでそれがつかっても、そのものに、またわれわれはわがしゅ奴隷どれいとなりましょう」。 10いえづかさはった、「それではあなたがたの言葉ことばのようにしよう。さかずきつかったものはわたしの奴隷どれいとならなければならない。ほかのもの無罪むざいです」。 11そこでかれらは、めいめいいそいでふくろにおろし、ひとりひとりそのふくろひらいた。 12いえづかさは年上としうえからさがはじめて年下とししたおわったが、さかずきはベニヤミンのふくろなかにあった。 13そこでかれらは衣服いふくき、おのおの、ろばにわせてまちかえした。

14ユダと兄弟きょうだいたちとは、ヨセフのいえにはいったが、ヨセフがなおそこにいたので、かれらはそのまえにひれした。 15ヨセフはかれらにった、「あなたがたのこのしわざは何事なにごとですか。わたしのようなひとは、かならうらなてることをらないのですか」。 16ユダはった、「われわれはわがしゅなにい、なにましょう。どうしてわれわれは潔白けっぱくをあらわしましょう。かみがしもべらのつみをあばかれました。われわれと、さかずきっていたものとはともにわがしゅ奴隷どれいとなりましょう」。 17ヨセフはった、「わたしはけっしてそのようなことはしない。さかずきっているものだけがわたしの奴隷どれいとならなければならない。ほかのもの安全あんぜんちちのもとへのぼってきなさい」。

18このときユダはかれちかづいてった、「ああ、わがしゅよ、どうぞわがしゅみみにひとことわせてください。しもべをおこらないでください。あなたはパロのようなかたです。 19わがしゅはしもべらにたずねて、『ちちがあるか、またおとうとがあるか』とわれたので、 20われわれはわがしゅいました、『われわれには老齢ろうれいちちがあり、また年寄としよおとうとがあります。そのあにんで、おなははのこっているのは、ただこれだけですからちちはこれをあいしています』。 21そのときあなたはしもべらにわれました、『そのものをわたしのところれてきなさい。わたしはこのかれよう』。 22われわれはわがしゅいました。『そのともちちはなれることができません。もしちちはなれたらちちぬでしょう』。 23しかし、あなたはしもべらにわれました、『すえおとうと一緒いっしょくだってこなければ、おまえたちはふたたびわたしのかおることはできない』。 24それであなたのしもべであるちちのもとにのぼって、わがしゅ言葉ことばかれげました。 25ところで、ちちが『おまえたちはふたたって、われわれのためにすこしの食糧しょくりょうってくるように』とったので、 26われわれはいました、『われわれはくだってけません。もしすえおとうと一緒いっしょであればきましょう。すえおとうと一緒いっしょでなければ、あのひとかおることができません』。 27あなたのしもべであるちちいました、『おまえたちのっているとおり、つまはわたしにふたりのんだ。 28ひとりはそとたが、きっところされたのだとおもう。わたしはいまになってもかれない。 29もしおまえたちがこのをもわたしからってって、かれわざわいえば、おまえたちは、しらがのわたしをかなしんで陰府よみくだらせるであろう』。 30わたしがあなたのしもべであるちちのもとにかえってくとき、もしこの子供こども一緒いっしょにいなかったら、どうなるでしょう。ちちたましい子供こどもたましいむすばれているのです。 31この子供こどもがわれわれと一緒いっしょにいないのをたら、ちちぬでしょう。そうすればしもべらは、あなたのしもべであるしらがのちちかなしんで陰府よみくだらせることになるでしょう。 32しもべはちちにこの子供こどもって『もしわたしがこのをあなたのもとにかえらなかったら、わたしはちちたいして永久えいきゅうつみいましょう』とったのです。 33どうか、しもべをこの子供こどもかわりに、わがしゅ奴隷どれいとしてとどまらせ、この子供こども兄弟きょうだいたちと一緒いっしょのぼかせてください、 34この子供こどもれずに、どうしてわたしはちちのもとにのぼくことができましょう。ちちわざわいうのをるにしのびません」。

第四五章

1そこでヨセフはそばにっているすべてのひとまえで、自分じぶんせいしきれなくなったので、「ひとみなここからてください」とばわった。それゆえヨセフが兄弟きょうだいたちに自分じぶんのことをかしたとき、ひとりもかれのそばにっているものはなかった。 2ヨセフはこえをあげていた。エジプトびとはこれをき、パロのいえもこれをいた。 3ヨセフは兄弟きょうだいたちにった、「わたしはヨセフです。ちちはまだきながらえていますか」。兄弟きょうだいたちはこたえることができなかった。かれらはおどろおそれたからである。

4ヨセフは兄弟きょうだいたちにった、「わたしに近寄ちかよってください」。かれらが近寄ちかよったのでかれった、「わたしはあなたがたのおとうとヨセフです。あなたがたがエジプトにったものです。 5しかしわたしをここにったのをなげくことも、くやむこともいりません。かみいのちすくうために、あなたがたよりさきにわたしをつかわされたのです。 6この二ねんあいだ国中くにぢゅうにききんがあったが、なお五ねんあいだたがやすこともれることもないでしょう。 7かみは、あなたがたのすえをのこすため、またおおいなるすくいをもってあなたがたのいのちたすけるために、わたしをあなたがたよりさきにつかわされたのです。 8それゆえわたしをここにつかわしたのはあなたがたではなく、かみです。かみはわたしをパロのちちとし、その全家ぜんかしゅとし、またエジプト全国ぜんこくのつかさとされました。 9あなたがたはちちのもとにいそのぼっていなさい、『あなたのヨセフが、こういました。かみがわたしをエジプト全国ぜんこくしゅとされたから、ためらわずにわたしのところくだってきなさい。 10あなたはゴセンのみ、あなたも、あなたのらも、まごたちも、ひつじうしも、そののものもみな、わたしのちかくにおらせます。 11ききんはなお五ねんつづきますから、あなたも、家族かぞくも、そののものも、みなこまらないように、わたしはそこでやしないましょう』。 12あなたがたとおとうとベニヤミンがるとおり、あなたがたにくちずかかたっているのはこのわたしです。 13あなたがたはエジプトでの、わたしのいっさいのさかえと、あなたがたがるいっさいのことをわたしのちちげ、いそいでわたしのちちをここへくだりなさい」。 14そしてヨセフはおとうとベニヤミンのくびをいてき、ベニヤミンもかれのくびをいていた。 15またヨセフはすべての兄弟きょうだいたちにくちづけし、かれらをいていた。そしてのち兄弟きょうだいたちはかれかたった。

16ときに、「ヨセフの兄弟きょうだいたちがきた」とううわさがパロのいえきこえたので、パロとその家来けらいたちとはよろこんだ。 17パロはヨセフにった、「兄弟きょうだいたちにいなさい、『あなたがたは、こうしなさい。けものわせてカナンのき、 18ちち家族かぞくとをれてわたしのもとへきなさい。わたしはあなたがたに、エジプトのものあたえます。あなたがたは、このくにもっといものをべるでしょう』。 19またかれらにめいじなさい、『あなたがたは、こうしなさい。おさたちとつまたちのためにエジプトのからくるまをもってき、ちちれてきなさい。 20家財かざいこころかれてはなりません。エジプト全国ぜんこくものは、あなたがたのものだからです』」。

21イスラエルのらはそのようにした。ヨセフはパロのいのちしたがってかれらにくるまあたえ、また途中とちゅう食料しょくりょうをもあたえた。 22まためいめいに晴着はれぎあたえたが、ベニヤミンにはぎん三百シケルと晴着はれぎちゃくとをあたえた。 23またかれちちつぎのようなものをおくった。すなわちエジプトのものわせたろば十とうと、穀物こくもつ、パンおよちち道中どうちゅう食料しょくりょうわせたろば十とう 24こうしてヨセフは兄弟きょうだいたちをおくらせ、かれらにった、「途中とちゅうあらそってはなりません」。 25かれらはエジプトからのぼってカナンのり、ちちヤコブのもとへって、 26かれった、「ヨセフはなおきていてエジプト全国ぜんこくのつかさです」。ヤコブはとおくなった。かれらのうことがしんじられなかったからである。 27そこでかれらはヨセフがかたった言葉ことばのこらずかれげた。ちちヤコブはヨセフが自分じぶんせるためにおくったくるまもとづいた。 28そしてイスラエルはった、「満足まんぞくだ。わがヨセフがまだきている。わたしはまえってかれよう」。

第四六章

1イスラエルはそのものをことごとくたずさえて旅立たびだち、ベエルシバにって、ちちイサクのかみ犠牲ぎせいをささげた。 2このときかみまぼろしのうちにイスラエルにかたってわれた、「ヤコブよ、ヤコブよ」。かれった、「ここにいます」。 3かみわれた、「わたしはかみ、あなたのちちかみである。エジプトにくだるのをおそれてはならない。わたしはあそこであなたをおおいなる国民こくみんにする。 4わたしはあなたと一緒いっしょにエジプトにくだり、またかならずあなたをみちびのぼるであろう。ヨセフがずからあなたのじるであろう」。 5そしてヤコブはベエルシバをった。イスラエルのらはヤコブをせるためにパロのおくったくるまに、ちちヤコブとおさたちとつまたちをせ、 6またその家畜かちくとカナンの財産ざいさんたずさえ、ヤコブとその子孫しそんみなともにエジプトへった。 7こうしてヤコブはそのと、まごおよびむすめ孫娘まごむすめなどその子孫しそんをみなれて、エジプトへった。

8イスラエルのらでエジプトへったものつぎのとおりである。すなわちヤコブとそのらであるが、ヤコブの長子ちょうしはルベン。 9ルベンのらはハノク、パル、ヘヅロン、カルミ。 10シメオンのらはエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハルおよびカナンのおんなんだシャウル。 11レビのらはゲルション、コハテ、メラリ。 12ユダのらはエル、オナン、シラ、ペレヅ、ゼラ。エルとオナンはカナンのんだ。ペレヅのらはヘヅロンとハムル。 13イッサカルのらはトラ、プワ、ヨブ、シムロン。 14ゼブルンのらはセレデ、エロン、ヤリエル。 15これらとむすめデナとはレアがパダンアラムでヤコブにんだらである。そのらとむすめらはわせて三十三にん 16ガドのらはゼポン、ハギ、シュニ、エヅボン、エリ、アロデ、アレリ。 17アセルのらはエムナ、イシワ、イスイ、ベリアおよびいもうとサラ。ベリアのらはヘベルとマルキエル。 18これらはラバンがむすめレアにあたえたジルパのらである。彼女かのじょはこれらをヤコブにんだ。わせて十六にん 19ヤコブのつまラケルのらはヨセフとベニヤミンとである。 20エジプトのくにでヨセフにマナセとエフライムとがうまれた。これはオンの祭司さいしポテペラのむすめアセナテがかれんだものである。 21ベニヤミンのらはベラ、ベケル、アシベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシ、ムッピム、ホパム、アルデ。 22これらはラケルがヤコブにんだらである。わせて十四にん 23ダンのはホシム。 24ナフタリのらはヤジエル、グニ、エゼル、シレム。 25これらはラバンがむすめラケルにあたえたビルハのらである。彼女かのじょはこれらをヤコブにんだ。わせて七にん 26ヤコブとともにエジプトへったすべてのもの、すなわちかれからものはヤコブのらのつまをのぞいて、わせて六十六にんであった。 27エジプトでヨセフにうまれたがふたりあった。エジプトへったヤコブのいえものわせて七十にんであった。

28さてヤコブはユダをさきにヨセフにつかわして、ゴセンでおうとわせた。そしてかれらはゴセンのった。 29ヨセフはくるまととのえて、ちちイスラエルをむかえるためにゴセンにのぼり、ちちい、そのくびをき、くびをかかえてひさしくいた。 30ときに、イスラエルはヨセフにった、「あなたがなおきていて、わたしはあなたのかおたのでいまんでもよい」。 31ヨセフは兄弟きょうだいたちとちち家族かぞくとにった、「わたしはのぼってパロにおう、『カナンのにいたわたしの兄弟きょうだいたちとちち家族かぞくとがわたしのところへきました。 32このものらはひつじもの家畜かちく牧者ぼくしゃで、そのひつじうしおよびものをみなたずさえてきました』。 33もしパロがあなたがたをして、『あなたがたの職業しょくぎょうなにか』とわれたら、 34『しもべらはおさなときから、ずっと家畜かちく牧者ぼくしゃです。われわれも、われわれの先祖せんぞもそうです』といなさい。そうすればあなたがたはゴセンのむことができましょう。羊飼ひつじかいはすべて、エジプトびとのものだからです」。

第四七章

1ヨセフはって、パロにった、「わたしのちち兄弟きょうだいたち、そのひつじうしおよびすべてのものがカナンのからきて、いまゴセンのにおります」。 2そしてその兄弟きょうだいのうちの五にんれてって、パロにわせた。 3パロはヨセフの兄弟きょうだいたちにった、「あなたがたの職業しょくぎょうなにか」。かれらはパロにった、「しもべらはひつじものです。われわれも、われわれの先祖せんぞもそうです」。 4かれらはまたパロにった、「このくに寄留きりゅうしようとしてきました。カナンのはききんがはげしく、しもべらのれのための牧草ぼくそうがないのです。どうかしもべらをゴセンのませてください」。 5パロはヨセフにった、「あなたのちち兄弟きょうだいたちとがあなたのところにきた。 6エジプトのはあなたのまえにある。もっとところにあなたのちち兄弟きょうだいたちとをませなさい。ゴセンのかれらをませなさい。もしあなたがかれらのうちに有能ゆうのうものがあるのをっているなら、そのものにわたしの家畜かちくをつかさどらせなさい」。

7そこでヨセフはちちヤコブをみちびいてパロのまえたせた。ヤコブはパロを祝福しゅくふくした。 8パロはヤコブにった、「あなたのとしはいくつか」。 9ヤコブはパロにった、「わたしの旅路たびじのとしつきは、百三十ねんです。わたしのよわいのはわずかで、ふしあわせで、わたしの先祖せんぞたちのよわいの旅路たびじにはおよびません」。 10ヤコブはパロを祝福しゅくふくし、パロのまえった。 11ヨセフはパロのめいじたように、ちち兄弟きょうだいたちとのすまいをさだめ、かれらにエジプトのくにもっと、ラメセスの所有しょゆうとしてあたえた。 12またヨセフはちち兄弟きょうだいたちとちち全家ぜんかとに、家族かぞくかずにしたがい、食物しょくもつあたえてやしなった。

13さて、ききんが非常ひじょうはげしかったので、ぜん食物しょくもつがなく、エジプトのくにもカナンのくにも、ききんのためにおとろえた。 14それでヨセフは人々ひとびとった穀物こくもつ代金だいきんとしてエジプトのくにとカナンのくににあったぎんをみなあつめ、そのぎんをパロのいえおさめた。 15こうしてエジプトのくにとカナンのくにぎんきたとき、エジプトびとはみなヨセフのもとにきてった、「食物しょくもつをください。ぎんきたからとて、どうしてあなたのまえんでよいでしょう」。 16ヨセフはった、「あなたがたの家畜かちくしなさい。ぎんきたのなら、あなたがたの家畜かちくえで食物しょくもつをわたそう」。 17かれらはヨセフのところ家畜かちくをひいてきたので、ヨセフはうまひつじれとうしおよびろばとえで、食物しょくもつかれらにわたした。こうしてかれはそのとし、すべての家畜かちくえた食物しょくもつかれらをやしなった。 18やがてそのとしれ、つぎとし人々ひとびとはまたヨセフのところへきてった、「わがしゅには何事なにごとかくしません。われわれのぎんき、けものれもわがしゅのものになって、われわれのからだと田地でんちのほかはわがしゅまえなにのこっていません。 19われわれはどうして田地でんち一緒いっしょに、あなたのまえほろんでよいでしょう。われわれと田地でんちとを食物しょくもつえでってください。われわれは田地でんち一緒いっしょにパロの奴隷どれいとなりましょう。またたねをください。そうすればわれわれはきながらえ、まぬかれて、田地でんちれないでしょう」。

20そこでヨセフはエジプトの田地でんちをみなパロのためにった。ききんがエジプトびとに、きびしかったので、めいめいその田畑たはたったからである。こうしてはパロのものとなった。