士師記

第一章

1ヨシュアが死(し)んだ後(のち)、イスラエルの人々(ひとびと)は主(しゅ)に問(と)うて言(い)った、「わたしたちのうち、だれが先(さき)に攻(せ)め上(のぼ)って、カナンびとと戦(たたか)いましょうか」。 2主(しゅ)は言(い)われた、「ユダが上(のぼ)るべきである。わたしはこの国(くに)を彼(かれ)の手(て)にわたした」。 3ユダはその兄弟(きょうだい)シメオンに言(い)った、「わたしと一緒(いっしょ)に、わたしに割(わ)り当(あ)てられた領地(りょうち)へ上(のぼ)って行(い)って、カナンびとと戦(たたか)ってください。そうすればわたしもあなたと一緒(いっしょ)に、あなたに割(わ)り当(あ)てられた領地(りょうち)へ行(い)きましょう」。そこでシメオンは彼(かれ)と一緒(いっしょ)に行(い)った。 4ユダが上(のぼ)って行(い)くと、主(しゅ)は彼(かれ)らの手(て)にカナンびととペリジびととをわたされたので、彼(かれ)らはベゼクで一万人(にん)を撃(う)ち破(やぶ)り、 5またベゼクでアドニベゼクに会(あ)い、彼(かれ)と戦(たたか)ってカナンびととペリジびととを撃(う)ち破(やぶ)った。 6アドニベゼクは逃(に)げたが、彼(かれ)らはそのあとを追(お)って彼(かれ)を捕(とら)え、その手足(てあし)の親指(おやゆび)を切(き)り放(はな)った。 7アドニベゼクは言(い)った、「かつて七十人(にん)の王(おう)たちが手足(てあし)の親指(おやゆび)を切(き)られて、わたしの食卓(しょくたく)の下(した)で、くずを拾(ひろ)ったことがあったが、神(かみ)はわたしがしたように、わたしに報(むく)いられたのだ」。人々(ひとびと)は彼(かれ)をエルサレムへ連(つ)れて行(い)ったが、彼(かれ)はそこで死(し)んだ。

8ユダの人々(ひとびと)はエルサレムを攻(せ)めて、これを取(と)り、つるぎをもってこれを撃(う)ち、町(まち)に火(ひ)を放(はな)った。 9その後(のち)、ユダの人々(ひとびと)は山地(さんち)とネゲブと平地(へいち)に住(す)んでいるカナンびとと戦(たたか)うために下(くだ)ったが、 10ユダはまずヘブロンに住(す)んでいるカナンびとを攻(せ)めて、セシャイとアヒマンとタルマイを撃(う)ち破(やぶ)った。ヘブロンのもとの名(な)はキリアテ・アルバであった。

11またそこから進(すす)んでデビルの住民(じゅうみん)を攻(せ)めた。(デビルのもとの名(な)はキリアテ・セペルであった。) 12時(とき)にカレブは言(い)った、「キリアテ・セペルを撃(う)って、これを取(と)る者(もの)には、わたしの娘(むすめ)アクサを妻(つま)として与(あた)えるであろう」。 13カレブの弟(おとうと)ケナズの子(こ)オテニエルがそれを取(と)ったので、カレブは娘(むすめ)アクサを妻(つま)として彼(かれ)に与(あた)えた。 14アクサは行(い)くとき彼女(かのじょ)の父(ちち)に畑(はたけ)を求(もと)めることを夫(おっと)にすすめられたので、アクサがろばから降(お)りると、カレブは彼女(かのじょ)に言(い)った、「あなたは何(なに)を望(のぞ)むのか」。 15アクサは彼(かれ)に言(い)った、「わたしに贈(おく)り物(もの)をください。あなたはわたしをネゲブの地(ち)へやられるのですから、泉(いずみ)をもください」。それでカレブは上(うえ)の泉(いずみ)と下(した)の泉(いずみ)とを彼女(かのじょ)に与(あた)えた。

16モーセのしゅうとであるケニびとの子孫(しそん)はユダの人々(ひとびと)と共(とも)に、しゅろの町(まち)からアラドに近(ちか)いネゲブにあるユダの野(の)に上(のぼ)ってきて、アマレクびとと共(とも)に住(す)んだ。 17そしてユダはその兄弟(きょうだい)シメオンと共(とも)に行(い)って、ゼパテに住(す)んでいたカナンびとを撃(う)ち、それをことごとく滅(ほろ)ぼした。これによってその町(まち)の名(な)はホルマと呼(よ)ばれた。 18ユダはまたガザとその地域(ちいき)、アシケロンとその地域(ちいき)、エクロンとその地域(ちいき)を取(と)った。 19主(しゅ)がユダと共(とも)におられたので、ユダはついに山地(さんち)を手(て)に入(い)れたが、平地(へいち)に住(す)んでいた民(たみ)は鉄(てつ)の戦車(せんしゃ)をもっていたので、これを追(お)い出(だ)すことができなかった。 20人々(ひとびと)はモーセがかつて言(い)ったように、ヘブロンをカレブに与(あた)えたので、カレブはその所(ところ)からアナクの三人(にん)の子(こ)を追(お)い出(だ)した。 21ベニヤミンの人々(ひとびと)はエルサレムに住(す)んでいたエブスびとを追(お)い出(だ)さなかったので、エブスびとは今日(こんにち)までベニヤミンの人々(ひとびと)と共(とも)にエルサレムに住(す)んでいる。

22ヨセフの一族(いちぞく)はまたベテルに攻(せ)め上(のぼ)ったが、主(しゅ)は彼(かれ)らと共(とも)におられた。 23すなわちヨセフの一族(いちぞく)は人(ひと)をやってベテルを探(さぐ)らせた。この町(まち)のもとの名(な)はルズであった。 24その斥候(せっこう)たちは町(まち)から出(で)てきた人(ひと)を見(み)て、言(い)った、「どうぞこの町(まち)にはいる道(みち)を教(おし)えてください。そうすればわたしたちはあなたに恵(めぐ)みを施(ほどこ)しましょう」。 25彼(かれ)が町(まち)にはいる道(みち)を教(おし)えたので、彼(かれ)らはつるぎをもって町(まち)を撃(う)った。しかし、かの人(ひと)とその家族(かぞく)は自由(じゆう)に去(さ)らせた。 26その人(ひと)はヘテびとの地(ち)に行(い)って町(まち)を建(た)て、それをルズと名(な)づけた。これは今日(こんにち)までその名(な)である。

27マナセはベテシャンとその村里(むらざと)の住民(じゅうみん)、タアナクとその村里(むらざと)の住民(じゅうみん)、ドルとその村里(むらざと)の住民(じゅうみん)、イブレアムとその村里(むらざと)の住民(じゅうみん)、メギドとその村里(むらざと)の住民(じゅうみん)を追(お)い出(だ)さなかったので、カナンびとは引(ひ)き続(つづ)いてその地(ち)に住(す)んでいたが、 28イスラエルは強(つよ)くなったとき、カナンびとを強制(きょうせい)労働(ろうどう)に服(ふく)させ、彼(かれ)らをことごとくは追(お)い出(だ)さなかった。

29またエフライムはゲゼルに住(す)んでいたカナンびとを追(お)い出(だ)さなかったので、カナンびとはゲゼルにおいて彼(かれ)らのうちに住(す)んでいた。

30ゼブルンはキテロンの住民(じゅうみん)およびナハラルの住民(じゅうみん)を追(お)い出(だ)さなかったので、カナンびとは彼(かれ)らのうちに住(す)んで強制(きょうせい)労働(ろうどう)に服(ふく)した。

31アセルはアッコの住民(じゅうみん)およびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブの住民(じゅうみん)を追(お)い出(だ)さなかったので、 32アセルびとは、その地(ち)の住民(じゅうみん)であるカナンびとのうちに住(す)んでいた。彼(かれ)らが追(お)い出(だ)さなかったからである。

33ナフタリはベテシメシの住民(じゅうみん)およびベテアナテの住民(じゅうみん)を追(お)い出(だ)さずに、その地(ち)の住民(じゅうみん)であるカナンびとのうちに住(す)んでいた。しかしベテシメシとベテアナテの住民(じゅうみん)は、ついに彼(かれ)らの強制(きょうせい)労働(ろうどう)に服(ふく)した。

34アモリびとはダンの人々(ひとびと)を山地(さんち)に追(お)い込(こ)んで平地(へいち)に下(くだ)ることを許(ゆる)さなかった。 35アモリびとは引(ひ)き続(つづ)いてハルヘレス、アヤロン、シャラビムに住(す)んでいたが、ヨセフの一族(いちぞく)の手(て)が強(つよ)くなったので、彼(かれ)らは強制(きょうせい)労働(ろうどう)に服(ふく)した。 36アモリびとの境(さかい)はアクラビムの坂(さか)からセラを経(へ)て上(うえ)の方(ほう)に及(およ)んだ。

第二章

1主(しゅ)の使(つかい)がギルガルからボキムに上(のぼ)って言(い)った、「わたしはあなたがたをエジプトから上(のぼ)らせて、あなたがたの先祖(せんぞ)に誓(ちか)った地(ち)に連(つ)れてきて、言(い)った、『わたしはあなたと結(むす)んだ契約(けいやく)を決(けっ)して破(やぶ)ることはない。 2あなたがたはこの国(くに)の住民(じゅうみん)と契約(けいやく)を結(むす)んではならない。彼(かれ)らの祭壇(さいだん)をこぼたなければならない』と。しかし、あなたがたはわたしの命令(めいれい)に従(したが)わなかった。あなたがたは、なんということをしたのか。 3それでわたしは言(い)う、『わたしはあなたがたの前(まえ)から彼(かれ)らを追(お)い払(はら)わないであろう。彼(かれ)らはかえってあなたがたの敵(てき)となり、彼(かれ)らの神々(かみがみ)はあなたがたのわなとなるであろう』と」。 4主(しゅ)の使(つかい)がこれらの言葉(ことば)をイスラエルのすべての人々(ひとびと)に告(つ)げたので、民(たみ)は声(こえ)をあげて泣(な)いた。 5それでその所(ところ)の名(な)をボキムと呼(よ)んだ。そして彼(かれ)らはその所(ところ)で主(しゅ)に犠牲(ぎせい)をささげた。

6ヨシュアが民(たみ)を去(さ)らせたので、イスラエルの人々(ひとびと)はおのおのその領地(りょうち)へ行(い)って土地(とち)を獲(え)た。 7民(たみ)はヨシュアの在世中(ざいせいちゅう)も、またヨシュアのあとに生(い)き残(のこ)った長老(ちょうろう)たち、すなわち主(しゅ)がかつてイスラエルのために行(おこな)われたすべての大(おお)いなるわざを見(み)た人々(ひとびと)の在世中(ざいせいちゅう)も主(しゅ)に仕(つか)えた。 8こうして主(しゅ)のしもべヌンの子(こ)ヨシュアは百十歳(さい)で死(し)んだ。 9人々(ひとびと)は彼(かれ)をエフライムの山地(さんち)のガアシ山(やま)の北(きた)のテムナテ・ヘレスにある彼(かれ)の領地(りょうち)内(うち)に葬(ほうむ)った。 10そしてその時代(じだい)の者(もの)もまたことごとくその先祖(せんぞ)たちのもとにあつめられた。その後(のち)ほかの時代(じだい)が起(た)ったが、これは主(しゅ)を知(し)らず、また主(しゅ)がイスラエルのために行(おこな)われたわざをも知(し)らなかった。

11イスラエルの人々(ひとびと)は主(しゅ)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、もろもろのバアルに仕(つか)え、 12かつてエジプトの地(ち)から彼(かれ)らを導(みちび)き出(だ)された先祖(せんぞ)たちの神(かみ)、主(しゅ)を捨(す)てて、ほかの神々(かみがみ)すなわち周囲(しゅうい)にある国民(こくみん)の神々(かみがみ)に従(したが)い、それにひざまずいて、主(しゅ)の怒(いか)りをひき起(おこ)した。 13すなわち彼(かれ)らは主(しゅ)を捨(す)てて、バアルとアシタロテに仕(つか)えたので、 14主(しゅ)の怒(いか)りがイスラエルに対(たい)して燃(も)え、かすめ奪(うば)う者(もの)の手(て)にわたして、かすめ奪(うば)わせ、かつ周囲(しゅうい)のもろもろの敵(てき)の手(て)に売(う)られたので、彼(かれ)らは再(ふたた)びその敵(てき)に立(た)ち向(む)かうことができなかった。 15彼(かれ)らがどこへ行(い)っても、主(しゅ)の手(て)は彼(かれ)らに災(わざわい)をした。これは主(しゅ)がかつて言(い)われ、また主(しゅ)が彼(かれ)らに誓(ちか)われたとおりで、彼(かれ)らはひどく悩(なや)んだ。

16その時(とき)、主(しゅ)はさばきづかさを起(おこ)して、彼(かれ)らをかすめ奪(うば)う者(もの)の手(て)から救(すく)い出(だ)された。 17しかし彼(かれ)らはそのさばきづかさにも従(したが)わず、かえってほかの神々(かみがみ)を慕(した)ってそれと姦淫(かんいん)を行(おこな)い、それにひざまずき、先祖(せんぞ)たちが主(しゅ)の命令(めいれい)に従(したが)って歩(あゆ)んだ道(みち)を、いちはやく離(はな)れ去(さ)って、そのようには行(おこな)わなかった。 18主(しゅ)が彼(かれ)らのためにさばきづかさを起(おこ)されたとき、そのさばきづかさの在世中(ざいせいちゅう)、主(しゅ)はさばきづかさと共(とも)におられて、彼(かれ)らを敵(てき)の手(て)から救(すく)い出(だ)された。これは彼(かれ)らが自分(じぶん)をしえたげ悩(なや)ました者(もの)のゆえに、うめき悲(かな)しんだので、主(しゅ)が彼(かれ)らをあわれまれたからである。 19しかしさばきづかさが死(し)ぬと、彼(かれ)らはそむいて、先祖(せんぞ)たちにまさって悪(あく)を行(おこな)い、ほかの神々(かみがみ)に従(したが)ってそれに仕(つか)え、それにひざまずいてそのおこないをやめず、かたくなな道(みち)を離(はな)れなかった。 20それで主(しゅ)はイスラエルに対(たい)し激(はげ)しく怒(いか)って言(い)われた、「この民(たみ)はわたしがかつて先祖(せんぞ)たちに命(めい)じた契約(けいやく)を犯(おか)し、わたしの命令(めいれい)に従(したが)わないゆえ、 21わたしもまたヨシュアが死(し)んだときに残(のこ)しておいた国民(こくみん)を、この後(のち)、彼(かれ)らの前(まえ)から追(お)い払(はら)わないであろう。 22これはイスラエルが、先祖(せんぞ)たちの守(まも)ったように主(しゅ)の道(みち)を守(まも)ってそれに歩(あゆ)むかどうかをわたしが試(こころ)みるためである」。 23それゆえ主(しゅ)はこれらの国民(こくみん)を急(いそ)いで追(お)い払(はら)わずに残(のこ)しておいて、ヨシュアの手(て)にわたされなかったのである。

第三章

1すべてカナンのもろもろの戦争(せんそう)を知(し)らないイスラエルの人々(ひとびと)を試(こころ)みるために、主(しゅ)が残(のこ)しておかれた国民(こくみん)は次(つぎ)のとおりである。 2これはただイスラエルの代々(よよ)の子孫(しそん)、特(とく)にまだ戦争(せんそう)を知(し)らないものに、それを教(おし)え知(し)らせるためである。 3すなわちペリシテびとの五人(にん)の君(きみ)たちと、すべてのカナンびとと、シドンびとおよびレバノン山(やま)に住(す)んで、バアル・ヘルモン山(やま)からハマテの入口(いりぐち)までを占(し)めていたヒビびとなどであって、 4これらをもってイスラエルを試(こころ)み、主(しゅ)がモーセによって先祖(せんぞ)たちに命(めい)じられた命令(めいれい)に、彼(かれ)らが従(したが)うかどうかを知(し)ろうとされたのである。 5しかるにイスラエルの人々(ひとびと)はカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのうちに住(す)んで、 6彼(かれ)らの娘(むすめ)を妻(つま)にめとり、また自分(じぶん)たちの娘(むすめ)を彼(かれ)らのむすこに与(あた)えて、彼(かれ)らの神々(かみがみ)に仕(つか)えた。

7こうしてイスラエルの人々(ひとびと)は主(しゅ)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、自分(じぶん)たちの神(かみ)、主(しゅ)を忘(わす)れて、バアルおよびアシラに仕(つか)えた。 8そこで主(しゅ)はイスラエルに対(たい)して激(はげ)しく怒(いか)り、彼(かれ)らをメソポタミヤの王(おう)クシャン・リシャタイムの手(て)に売(う)りわたされたので、イスラエルの人々(ひとびと)は八年(ねん)の間(あいだ)、クシャン・リシャタイムに仕(つか)えた。 9しかし、イスラエルの人々(ひとびと)が主(しゅ)に呼(よ)ばわったとき、主(しゅ)はイスラエルの人々(ひとびと)のために、ひとりの救助者(きゅうじょしゃ)を起(おこ)して彼(かれ)らを救(すく)われた。すなわちカレブの弟(おとうと)、ケナズの子(こ)オテニエルである。 10主(しゅ)の霊(れい)がオテニエルに臨(のぞ)んだので、彼(かれ)はイスラエルをさばいた。彼(かれ)が戦(たたか)いに出(で)ると、主(しゅ)はメソポタミヤの王(おう)クシャン・リシャタイムをその手(て)にわたされたので、オテニエルの手(て)はクシャン・リシャタイムに勝(か)ち、 11国(くに)は四十年(ねん)のあいだ太平(たいへい)であった。ケナズの子(こ)オテニエルはついに死(し)んだ。

12イスラエルの人々(ひとびと)はまた主(しゅ)の前(まえ)に悪(あく)をおこなった。すなわち彼(かれ)らが主(しゅ)の前(まえ)に悪(あく)をおこなったので、主(しゅ)はモアブの王(おう)エグロンを強(つよ)めて、イスラエルに敵対(てきたい)させられた。 13エグロンはアンモンおよびアマレクの人々(ひとびと)を集(あつ)め、きてイスラエルを撃(う)ち、しゅろの町(まち)を占領(せんりょう)した。 14こうしてイスラエルの人々(ひとびと)は十八年(ねん)の間(あいだ)モアブの王(おう)エグロンに仕(つか)えた。

15しかしイスラエルの人々(ひとびと)が主(しゅ)に呼(よ)ばわったとき、主(しゅ)は彼(かれ)らのために、ひとりの救助者(きゅうじょしゃ)を起(おこ)された。すなわちベニヤミンびと、ゲラの子(こ)、左(ひだり)ききのエホデである。イスラエルの人々(ひとびと)は彼(かれ)によってモアブの王(おう)エグロンに、みつぎ物(もの)を送(おく)った。 16エホデは長(なが)さ一キュビトのもろ刃(は)のつるぎを作(つく)らせ、それを衣(ころも)の下(した)、右(みぎ)のももの上(うえ)に帯(お)びて、 17モアブの王(おう)エグロンにみつぎ物(もの)をもってきた。エグロンは非常(ひじょう)に肥(こ)えた人(ひと)であった。 18エホデがみつぎ物(もの)をささげ終(おわ)ったとき、彼(かれ)はみつぎ物(もの)をになってきた民(たみ)を帰(かえ)らせ、 19かれ自身(じしん)はギルガルに近(ちか)い石像(せきぞう)のある所(ところ)から引(ひ)きかえして言(い)った、「王(おう)よ、わたしはあなたに申(もう)しあげる機密(きみつ)をもっています」。そこで王(おう)は「さがっておれ」と言(い)ったので、かたわらに立(た)っている者(もの)は皆(みな)出(で)て行(い)った。 20エホデが王(おう)のところにはいって来(く)ると、王(おう)はひとりで涼(すず)みの高殿(たかどの)に座(ざ)していたので、エホデが「わたしは神(かみ)の命(いのち)によってあなたに申(もう)しあげることがあります」と言(い)うと、王(おう)は座(ざ)から立(た)ちあがった。 21そのときエホデは左(ひだり)の手(て)を伸(の)ばし、右(みぎ)のももからつるぎをとって王(おう)の腹(はら)を刺(さ)した。 22つるぎのつかも刃(は)と共(とも)にはいったが、つるぎを腹(はら)から抜(ぬ)き出(だ)さなかったので、脂肪(しぼう)が刃(は)をふさいだ。そして汚物(おぶつ)が出(で)た。 23エホデは廊下(ろうか)に出(で)て、王(おう)のおる高殿(たかどの)の戸(と)を閉(と)じ、錠(じょう)をおろした。

24彼(かれ)が出(で)た後(のち)、王(おう)のしもべどもがきて、高殿(たかどの)の戸(と)に錠(じょう)のおろされてあるのを見(み)て、「王(おう)はきっと涼(すず)み殿(どの)のへやで足(あし)をおおっておられるのだ」と思(おも)った。 25しもべどもは長(なが)いあいだ待(ま)っていたが、王(おう)がなお高殿(たかどの)の戸(と)を開(ひら)かないので、心配(しんぱい)してかぎをとって開(ひら)いて見(み)ると、王(おう)は床(ゆか)にたおれて死(し)んでいた。

26エホデは彼(かれ)らのためらうまに、のがれて石像(せきぞう)のある所(ところ)を過(す)ぎ、セイラに逃(に)げていった。 27彼(かれ)が行(い)ってエフライムの山地(さんち)にラッパを吹(ふ)き鳴(な)らしたので、イスラエルの人々(ひとびと)は彼(かれ)と共(とも)に山地(さんち)から下(くだ)ってエホデに従(したが)った。 28エホデは彼(かれ)らに言(い)った、「わたしについてきなさい。主(しゅ)はあなたがたの敵(てき)モアブびとをあなたがたの手(て)にわたされます」。そこで彼(かれ)らはエホデに従(したが)って下(くだ)り、ヨルダンの渡(わた)し場(ば)をおさえ、モアブびとをひとりも渡(わた)らせなかった。 29そのとき彼(かれ)らはモアブびとおおよそ一万人(にん)を殺(ころ)した。これはいずれも肥(こ)え太(ふと)った勇士(ゆうし)であって、ひとりも、のがれた者(もの)がなかった。 30こうしてモアブはその日(ひ)イスラエルの手(て)に服(ふく)し、国(くに)は八十年(ねん)のあいだ太平(たいへい)であった。

31エホデの後(のち)、アナテの子(こ)シャムガルが起(おこ)り、牛(うし)のむちをもってペリシテびと六百人(にん)を殺(ころ)した。この人(ひと)もまたイスラエルを救(すく)った。

第四章

1エホデが死(し)んだ後(のち)、イスラエルの人々(ひとびと)がまた主(しゅ)の前(まえ)に悪(あく)をおこなったので、 2主(しゅ)は、ハゾルで世(よ)を治(おさ)めていたカナンの王(おう)ヤビンの手(て)に彼(かれ)らを売(う)りわたされた。ヤビンの軍勢(ぐんぜい)の長(ちょう)はハロセテ・ゴイムに住(す)んでいたシセラであった。 3彼(かれ)は鉄(てつ)の戦車(せんしゃ)九百両(りょう)をもち、二十年(ねん)の間(あいだ)イスラエルの人々(ひとびと)を激(はげ)しくしえたげたので、イスラエルの人々(ひとびと)は主(しゅ)に向(む)かって呼(よ)ばわった。

4そのころラピドテの妻(つま)、女(おんな)預言者(よげんしゃ)デボラがイスラエルをさばいていた。 5彼女(かのじょ)はエフライムの山地(さんち)のラマとベテルの間(あいだ)にあるデボラのしゅろの木(き)の下(した)に座(ざ)し、イスラエルの人々(ひとびと)は彼女(かのじょ)のもとに上(のぼ)ってきて、さばきをうけた。 6デボラは人(ひと)をつかわして、ナフタリのケデシからアビノアムの子(こ)バラクを招(まね)いて言(い)った、「イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はあなたに、こう命(めい)じられるではありませんか、『ナフタリの部族(ぶぞく)とゼブルンの部族(ぶぞく)から一万人(にん)を率(ひき)い、行(い)って、タボル山(やま)に陣(じん)をしけ。 7わたしはヤビンの軍勢(ぐんぜい)の長(ちょう)シセラとその戦車(せんしゃ)と軍隊(ぐんたい)とをキション川(かわ)に引(ひ)き寄(よ)せて、あなたに出(で)あわせ、彼(かれ)をあなたの手(て)にわたすであろう』」。 8バラクは彼女(かのじょ)に言(い)った、「あなたがもし一緒(いっしょ)に行(い)ってくだされば、わたしは行(い)きます。しかし、一緒(いっしょ)に行(い)ってくださらないならば、行(い)きません」。 9デボラは言(い)った、「必(かなら)ずあなたと一緒(いっしょ)に行(い)きます。しかしあなたは今(いま)行(い)く道(みち)では誉(ほまれ)を得(え)ないでしょう。主(しゅ)はシセラを女(おんな)の手(て)にわたされるからです」。デボラは立(た)ってバラクと一緒(いっしょ)にケデシに行(い)った。 10バラクはゼブルンとナフタリをケデシに呼(よ)び集(あつ)め、一万人(にん)を従(したが)えて上(のぼ)った。デボラも彼(かれ)と共(とも)に上(のぼ)った。

11時(とき)にケニびとヘベルはモーセのしゅうとホバブの子孫(しそん)であるケニびとから分(わか)れて、ケデシに近(ちか)いザアナイムのかしの木(き)までも遠(とお)く行(い)って天幕(てんまく)を張(は)っていた。

12アビノアムの子(こ)バラクがタボル山(やま)に上(のぼ)ったと、人々(ひとびと)がシセラに告(つ)げたので、 13シセラは自分(じぶん)の戦車(せんしゃ)の全部(ぜんぶ)すなわち鉄(てつ)の戦車(せんしゃ)九百両(りょう)と、自分(じぶん)と共(とも)におるすべての民(たみ)をハロセテ・ゴイムからキション川(かわ)に呼(よ)び集(あつ)めた。 14デボラはバラクに言(い)った、「さあ、立(た)ちあがりなさい。きょうは主(しゅ)がシセラをあなたの手(て)にわたされる日(ひ)です。主(しゅ)はあなたに先立(さきだ)って出(で)られるではありませんか」。そこでバラクは一万人(にん)を従(したが)えてタボル山(やま)から下(くだ)った。 15主(しゅ)はつるぎをもってシセラとすべての戦車(せんしゃ)および軍勢(ぐんぜい)をことごとくバラクの前(まえ)に撃(う)ち敗(やぶ)られたので、シセラは戦車(せんしゃ)から飛(と)びおり、徒歩(とほ)で逃(に)げ去(さ)った。 16バラクは戦車(せんしゃ)と軍勢(ぐんぜい)とを追撃(ついげき)してハロセテ・ゴイムまで行(い)った。シセラの軍勢(ぐんぜい)はことごとくつるぎにたおれて、残(のこ)ったものはひとりもなかった。

17しかしシセラは徒歩(とほ)で逃(に)げ去(さ)って、ケニびとヘベルの妻(つま)ヤエルの天幕(てんまく)に行(い)った。ハゾルの王(おう)ヤビンとケニびとヘベルの家(いえ)とは互(たがい)にむつまじかったからである。 18ヤエルは出(で)てきてシセラを迎(むか)え、彼(かれ)に言(い)った、「おはいりください。主(しゅ)よ、どうぞうちへおはいりください。恐(おそ)れるにはおよびません」。シセラが天幕(てんまく)にはいったので、ヤエルは毛布(もうふ)をもって彼(かれ)をおおった。 19シセラはヤエルに言(い)った、「どうぞ、わたしに水(みず)を少(すこ)し飲(の)ませてください。のどがかわきましたから」。ヤエルは乳(ちち)の皮(かわ)袋(ぶくろ)を開(ひら)いて彼(かれ)に飲(の)ませ、また彼(かれ)をおおった。 20シセラはまたヤエルに言(い)った、「天幕(てんまく)の入口(いりぐち)に立(た)っていてください。もし人(ひと)がきて、あなたに『だれか、ここにおりますか』と問(と)うならば『おりません』と答(こた)えてください」。 21しかし彼(かれ)が疲(つか)れて熟睡(じゅくすい)したとき、ヘベルの妻(つま)ヤエルは天幕(てんまく)のくぎを取(と)り、手(て)に槌(つち)を携(たずさ)えて彼(かれ)に忍(しの)び寄(よ)り、こめかみにくぎを打(う)ち込(こ)んで地(ち)に刺(さ)し通(とお)したので、彼(かれ)は息(いき)絶(た)えて死(し)んだ。 22バラクがシセラを追(お)ってきたとき、ヤエルは彼(かれ)を出迎(でむか)えて言(い)った、「おいでなさい。あなたが求(もと)めている人(ひと)をお見(み)せしましょう」。彼(かれ)がヤエルの天幕(てんまく)にはいって見(み)ると、シセラはこめかみにくぎを打(う)たれて倒(たお)れて死(し)んでいた。

23こうしてその日(ひ)、神(かみ)はカナンの王(おう)ヤビンをイスラエルの人々(ひとびと)の前(まえ)に撃(う)ち敗(やぶ)られた。 24そしてイスラエルの人々(ひとびと)の手(て)はますますカナンびとの王(おう)ヤビンの上(うえ)に重(おも)くなって、ついにカナンの王(おう)ヤビンを滅(ほろ)ぼすに至(いた)った。

第五章

1その日(ひ)デボラとアビノアムの子(こ)バラクは歌(うた)って言(い)った。
2「イスラエルの指導者(しどうしゃ)たちは先(さき)に立(た)ち、
民(たみ)は喜(よろこ)び勇(いさ)んで進(すす)み出(で)た。
主(しゅ)をさんびせよ。
3もろもろの王(おう)よ聞(き)け、
もろもろの君(きみ)よ、耳(みみ)を傾(かたむ)けよ。
わたしは主(しゅ)に向(む)かって歌(うた)おう、
わたしはイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)をほめたたえよう。
4主(しゅ)よ、あなたがセイルを出(で)、
エドムの地(ち)から進(すす)まれたとき、
地(ち)は震(ふる)い、天(てん)はしたたり、
雲(くも)は水(みず)をしたたらせた。
5もろもろの山(やま)は主(しゅ)の前(まえ)に揺(ゆ)り動(うご)き、
シナイの主(しゅ)、すなわちイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)の前(まえ)に揺(ゆ)り動(うご)いた。
6アナテの子(こ)シャムガルのとき、
ヤエルの時(とき)には隊商(たいしょう)は絶(た)え、
旅人(たびびと)はわき道(みち)をとおった。
7イスラエルには農民(のうみん)が絶(た)え、
かれらは絶(た)え果(は)てたが、
デボラよ、ついにあなたは立(た)ちあがり、
立(た)ってイスラエルの母(はは)となった。
8人々(ひとびと)が新(あたら)しい神々(かみがみ)を選(えら)んだとき、
戦(たたか)いは門(もん)に及(およ)んだ。
イスラエルの四万人(にん)のうちに、
盾(たて)あるいは槍(やり)の見(み)られたことがあったか。
9わたしの心(こころ)は民(たみ)のうちの喜(よろこ)び勇(いさ)んで
進(すす)み出(で)たイスラエルのつかさたちと共(とも)にある。
主(しゅ)をさんびせよ。
10茶色(ちゃいろ)のろばに乗(の)るもの、
毛氈(もうせん)の上(うえ)にすわるもの、
および道(みち)を歩(あゆ)むものよ、共(とも)に歌(うた)え。
11楽人(がくじん)の調(しら)べは水(みず)くむ所(ところ)に聞(きこ)える。
かれらはそこで主(しゅ)の救(すくい)を唱(とな)え、
イスラエルの農民(のうみん)の救(すくい)を唱(とな)えている。
その時(とき)、主(しゅ)の民(たみ)は門(もん)に下(くだ)って行(い)った。
12起(お)きよ、起(お)きよ、デボラ。
起(お)きよ、起(お)きよ、歌(うた)をうたえ。
立(た)てよ、バラク、とりこを捕(とら)えよ、
アビノアムの子(こ)よ。
13その時(とき)、残(のこ)った者(もの)は尊(たっと)い者(もの)のように下(くだ)って行(い)き、
主(しゅ)の民(たみ)は勇士(ゆうし)のように下(くだ)って行(い)った。
14彼(かれ)らはエフライムから出(で)て谷(たに)に進(すす)み、
兄弟(きょうだい)ベニヤミンはあなたの民(たみ)のうちにある。
マキルからはつかさたちが下(くだ)って行(い)き、
ゼブルンからは指揮(しき)を執(と)るものが下(くだ)って行(い)った。
15イッサカルの君(きみ)たちはデボラと共(とも)におり、
イッサカルはバラクと同(おな)じく、
直(ただ)ちにそのあとについて谷(たに)に突進(とっしん)した。
しかしルベンの氏族(しぞく)は大(おお)いに思案(しあん)した。
16なぜ、あなたは、おりの間(あいだ)にとどまって、
羊(ひつじ)の群(む)れに笛(ふえ)吹(ふ)くのを聞(き)いているのか。
ルベンの氏族(しぞく)は大(おお)いに思案(しあん)した。
17ギレアデはヨルダンの向(む)こうにとどまっていた。
なぜ、ダンは舟(ふね)のかたわらにとどまったか。
アセルは浜(はま)べに座(ざ)し、
その波止場(はとば)のかたわらにとどまっていた。
18ゼブルンは命(いのち)をすてて、死(し)を恐(おそ)れぬ民(たみ)である。
野(の)の高(たか)い所(ところ)におるナフタリもまたそうであった。
19もろもろの王(おう)たちはきて戦(たたか)った。
その時(とき)カナンの王(おう)たちは、
メギドの水(みず)のほとりのタアナクで戦(たたか)った。
彼(かれ)らは一片(いっぺん)の銀(ぎん)をも獲(え)なかった。
20もろもろの星(ほし)は天(てん)より戦(たたか)い、
その軌道(きどう)をはなれてシセラと戦(たたか)った。
21キションの川(かわ)は彼(かれ)らを押(お)し流(なが)した、
激(はげ)しく流(なが)れる川(かわ)、キションの川(かわ)。
わが魂(たましい)よ、勇(いさ)ましく進(すす)め。
22その時(とき)、軍馬(ぐんば)ははせ駆(か)けり、
馬(うま)のひずめは地(ち)を踏(ふ)みならした。
23主(しゅ)の使(つかい)は言(い)った、『メロズをのろえ、
激(はげ)しくその民(たみ)をのろえ、
彼(かれ)らはきて主(しゅ)を助(たす)けず、
主(しゅ)を助(たす)けて勇士(ゆうし)を攻(せ)めなかったからである』。
24ケニびとヘベルの妻(つま)ヤエルは、
女(おんな)のうちの最(もっと)も恵(めぐ)まれた者(もの)、
天幕(てんまく)に住(す)む女(おんな)のうち最(もっと)も恵(めぐ)まれた者(もの)である。
25シセラが水(みず)を求(もと)めると、ヤエルは乳(ちち)を与(あた)えた。
すなわち貴重(きちょう)な鉢(はち)に凝乳(ぎょうにゅう)を盛(も)ってささげた。
26ヤエルはくぎに手(て)をかけ、
右手(みぎて)に重(おも)い槌(つち)をとって、
シセラを打(う)ち、その頭(あたま)を砕(くだ)き、
粉々(こなごな)にして、そのこめかみを打(う)ち貫(つらぬ)いた。
27シセラはヤエルの足(あし)もとにかがんで倒(たお)れ伏(ふ)し、
その足(あし)もとにかがんで倒(たお)れ、
そのかがんだ所(ところ)に倒(たお)れて死(し)んだ。
28シセラの母(はは)は窓(まど)からながめ、
格子(こうし)窓(まど)から叫(さけ)んで言(い)った、
『どうして彼(かれ)の車(くるま)の来(く)るのがおそいのか、
どうして彼(かれ)の車(くるま)の歩(あゆ)みがはかどらないのか』。
29その侍女(じじょ)たちの賢(かしこ)い者(もの)は答(こた)え、
母(はは)またみずからおのれに答(こた)えて言(い)った、
30『彼(かれ)らは獲物(えもの)を得(え)て、
それを分(わ)けているのではないか、
人(ひと)ごとにひとり、ふたりのおなごを取(と)り、
シセラの獲物(えもの)は色(いろ)染(ぞ)めの衣(ころも)、
縫(ぬ)い取(と)りした色(いろ)染(ぞ)めの衣(ころも)の獲物(えもの)であろう。
すなわち縫(ぬ)い取(と)りした色(いろ)染(ぞ)めの衣(ころも)二つを、
獲物(えもの)としてそのくびにまとうであろう』。
31主(しゅ)よ、あなたの敵(てき)はみなこのように滅(ほろ)び、
あなたを愛(あい)する者(もの)を
太陽(たいよう)の勢(いきお)いよく上(のぼ)るようにしてください」。
こうして後(のち)、国(くに)は四十年(ねん)のあいだ太平(たいへい)であった。

第六章

1イスラエルの人々(ひとびと)はまた主(しゅ)の前(まえ)に悪(あく)をおこなったので、主(しゅ)は彼(かれ)らを七年(ねん)の間(あいだ)ミデアンびとの手(て)にわたされた。 2ミデアンびとの手(て)はイスラエルに勝(か)った。イスラエルの人々(ひとびと)はミデアンびとのゆえに、山(やま)にある岩屋(いわや)と、ほら穴(あな)と要害(ようがい)とを自分(じぶん)たちのために造(つく)った。 3イスラエルびとが種(たね)をまいた時(とき)には、いつもミデアンびと、アマレクびとおよび東方(とうほう)の民(たみ)が上(のぼ)ってきてイスラエルびとを襲(おそ)い、 4イスラエルびとに向(む)かって陣(じん)を取(と)り、地(ち)の産物(さんぶつ)を荒(あら)してガザの附近(ふきん)にまで及(およ)び、イスラエルのうちに命(いのち)をつなぐべき物(もの)を残(のこ)さず、羊(ひつじ)も牛(うし)もろばも残(のこ)さなかった。 5彼(かれ)らが家畜(かちく)と天幕(てんまく)を携(たずさ)えて、いなごのように多(おお)く上(のぼ)ってきたからである。すなわち彼(かれ)らとそのらくだは無数(むすう)であって、彼(かれ)らは国(くに)を荒(あら)すためにはいってきたのであった。 6こうしてイスラエルはミデアンびとのために非常(ひじょう)に衰(おとろ)え、イスラエルの人々(ひとびと)は主(しゅ)に呼(よ)ばわった。

7イスラエルの人々(ひとびと)がミデアンびとのゆえに、主(しゅ)に呼(よ)ばわったとき、 8主(しゅ)はひとりの預言者(よげんしゃ)をイスラエルの人々(ひとびと)につかわして彼(かれ)らに言(い)われた、「イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はこう言(い)われる、『わたしはかつてあなたがたをエジプトから導(みちび)き上(のぼ)り、あなたがたを奴隷(どれい)の家(いえ)から携(たずさ)え出(だ)し、 9エジプトびとの手(て)およびすべてあなたがたをしえたげる者(もの)の手(て)から救(すく)い出(だ)し、あなたがたの前(まえ)から彼(かれ)らを追(お)い払(はら)って、その国(くに)をあなたがたに与(あた)えた。 10そしてあなたがたに言(い)った、「わたしはあなたがたの神(かみ)、主(しゅ)である。あなたがたが住(す)んでいる国(くに)のアモリびとの神々(かみがみ)を恐(おそ)れてはならない」と。しかし、あなたがたはわたしの言葉(ことば)に従(したが)わなかった』」。

11さて主(しゅ)の使(つかい)がきて、アビエゼルびとヨアシに属(ぞく)するオフラにあるテレビンの木(き)の下(した)に座(ざ)した。時(とき)にヨアシの子(こ)ギデオンはミデアンびとの目(め)を避(さ)けるために酒(さか)ぶねの中(なか)で麦(むぎ)を打(う)っていたが、 12主(しゅ)の使(つかい)は彼(かれ)に現(あらわ)れて言(い)った、「大(だい)勇士(ゆうし)よ、主(しゅ)はあなたと共(とも)におられます」。 13ギデオンは言(い)った、「ああ、君(きみ)よ、主(しゅ)がわたしたちと共(とも)におられるならば、どうしてこれらの事(こと)がわたしたちに臨(のぞ)んだのでしょう。わたしたちの先祖(せんぞ)が『主(しゅ)はわれわれをエジプトから導(みちび)き上(のぼ)られたではないか』といって、わたしたちに告(つ)げたそのすべての不思議(ふしぎ)なみわざはどこにありますか。今(いま)、主(しゅ)はわたしたちを捨(す)てて、ミデアンびとの手(て)にわたされました」。 14主(しゅ)はふり向(む)いて彼(かれ)に言(い)われた、「あなたはこのあなたの力(ちから)をもって行(い)って、ミデアンびとの手(て)からイスラエルを救(すく)い出(だ)しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか」。 15ギデオンは主(しゅ)に言(い)った、「ああ主(しゅ)よ、わたしはどうしてイスラエルを救(すく)うことができましょうか。わたしの氏族(しぞく)はマナセのうちで最(もっと)も弱(よわ)いものです。わたしはまたわたしの父(ちち)の家族(かぞく)のうちで最(もっと)も小(ちい)さいものです」。 16主(しゅ)は言(い)われた、「しかし、わたしがあなたと共(とも)におるから、ひとりを撃(う)つようにミデアンびとを撃(う)つことができるでしょう」。 17ギデオンはまた主(しゅ)に言(い)った、「わたしがもしあなたの前(まえ)に恵(めぐ)みを得(え)ていますならば、どうぞ、わたしと語(かた)るのがあなたであるというしるしを見(み)せてください。 18どうぞ、わたしが供(そな)え物(もの)を携(たずさ)えてあなたのもとにもどってきて、あなたの前(まえ)に供(そな)えるまで、ここを去(さ)らないでください」。主(しゅ)は言(い)われた、「わたしはあなたがもどって来(く)るまで待(ま)ちましょう」。

19そこでギデオンは自分(じぶん)の家(いえ)に行(い)って、やぎの子(こ)を整(ととの)え、一エパの粉(こな)で種(たね)入(い)れぬパンをつくり、肉(にく)をかごに入(い)れ、あつものをつぼに盛(も)り、テレビンの木(き)の下(した)におる彼(かれ)のもとに持(も)ってきて、それを供(そな)えた。 20神(かみ)の使(つかい)は彼(かれ)に言(い)った、「肉(にく)と種(たね)入(い)れぬパンをとって、この岩(いわ)の上(うえ)に置(お)き、それにあつものを注(そそ)ぎなさい」。彼(かれ)はそのようにした。 21すると主(しゅ)の使(つかい)が手(て)にもっていたつえの先(さき)を出(だ)して、肉(にく)と種(たね)入(い)れぬパンに触(ふ)れると、岩(いわ)から火(ひ)が燃(も)えあがって、肉(にく)と種(たね)入(い)れぬパンとを焼(や)きつくした。そして主(しゅ)の使(つかい)は去(さ)って見(み)えなくなった。 22ギデオンはその人(ひと)が主(しゅ)の使(つかい)であったことをさとって言(い)った、「ああ主(しゅ)なる神(かみ)よ、どうなることでしょう。わたしは顔(かお)をあわせて主(しゅ)の使(つかい)を見(み)たのですから」。 23主(しゅ)は彼(かれ)に言(い)われた、「安心(あんしん)せよ、恐(おそ)れるな。あなたは死(し)ぬことはない」。 24そこでギデオンは主(しゅ)のために祭壇(さいだん)をそこに築(きず)いて、それを「主(しゅ)は平安(へいあん)」と名(な)づけた。これは今日(こんにち)までアビエゼルびとのオフラにある。

25その夜(よ)、主(しゅ)はギデオンに言(い)われた、「あなたの父(ちち)の雄牛(おうし)と七歳(さい)の第(だい)二の雄牛(おうし)とを取(と)り、あなたの父(ちち)のもっているバアルの祭壇(さいだん)を打(う)ちこわし、そのかたわらにあるアシラ像(ぞう)を切(き)り倒(たお)し、 26あなたの神(かみ)、主(しゅ)のために、このとりでの頂(いただき)に、石(いし)を並(なら)べて祭壇(さいだん)を築(きず)き、第(だい)二の雄牛(おうし)を取(と)り、あなたが切(き)り倒(たお)したアシラの木(き)をもって燔祭(はんさい)をささげなさい」。 27ギデオンはしもべ十人(にん)を連(つ)れて、主(しゅ)が言(い)われたとおりにおこなった。ただし彼(かれ)は父(ちち)の家族(かぞく)のもの、および町(まち)の人々(ひとびと)を恐(おそ)れたので、昼(ひる)それを行(おこな)うことができず、夜(よる)それを行(おこな)った。

28町(まち)の人々(ひとびと)が朝(あさ)早(はや)く起(お)きて見(み)ると、バアルの祭壇(さいだん)は打(う)ちこわされ、そのかたわらのアシラ像(ぞう)は切(き)り倒(たお)され、新(あら)たに築(きず)いた祭壇(さいだん)の上(うえ)に、第(だい)二の雄牛(おうし)がささげられてあった。 29そこで彼(かれ)らは互(たがい)に「これはだれのしわざか」と言(い)って問(と)い尋(たず)ねたすえ、「これはヨアシの子(こ)ギデオンのしわざだ」と言(い)った。 30町(まち)の人々(ひとびと)はヨアシに言(い)った、「あなたのむすこを引(ひ)き出(だ)して殺(ころ)しなさい。彼(かれ)はバアルの祭壇(さいだん)を打(う)ちこわしそのかたわらにあったアシラ像(ぞう)を切(き)り倒(たお)したのです」。 31しかしヨアシは自分(じぶん)に向(む)かって立(た)っているすべての者(もの)に言(い)った、「あなたがたはバアルのために言(い)い争(あらそ)うのですか。あるいは彼(かれ)を弁護(べんご)しようとなさるのですか。バアルのために言(い)い争(あらそ)う者(もの)は、あすの朝(あさ)までに殺(ころ)されるでしょう。バアルがもし神(かみ)であるならば、自分(じぶん)の祭壇(さいだん)が打(う)ちこわされたのだから、彼(かれ)みずから言(い)い争(あらそ)うべきです」。 32そこでその日(ひ)、「自分(じぶん)の祭壇(さいだん)が打(う)ちこわされたのだから、バアルみずからその人(ひと)と言(い)い争(あらそ)うべきです」と言(い)ったので、ギデオンはエルバアルと呼(よ)ばれた。 33時(とき)にミデアンびと、アマレクびとおよび東方(とうほう)の民(たみ)がみな集(あつ)まってヨルダン川(がわ)を渡(わた)り、エズレルの谷(たに)に陣(じん)を取(と)ったが、 34主(しゅ)の霊(れい)がギデオンに臨(のぞ)み、ギデオンがラッパを吹(ふ)いたので、アビエゼルびとは集(あつ)まって彼(かれ)に従(したが)った。 35次(つぎ)に彼(かれ)があまねくマナセに使者(ししゃ)をつかわしたので、マナセびともまた集(あつ)まって彼(かれ)に従(したが)った。彼(かれ)がまたアセル、ゼブルンおよびナフタリに使者(ししゃ)をつかわすと、その人々(ひとびと)も上(のぼ)って彼(かれ)を迎(むか)えた。

36ギデオンは神(かみ)に言(い)った、「あなたがかつて言(い)われたように、わたしの手(て)によってイスラエルを救(すく)おうとされるならば、 37わたしは羊(ひつじ)の毛(け)一頭(とう)分(ぶん)を打(う)ち場(ば)に置(お)きますから、露(つゆ)がその羊(ひつじ)の毛(け)の上(うえ)にだけあって、地(ち)がすべてかわいているようにしてください。これによってわたしは、あなたがかつて言(い)われたように、わたしの手(て)によってイスラエルをお救(すく)いになることを知(し)るでしょう」。 38すなわちそのようになった。彼(かれ)が翌朝(よくあさ)早(はや)く起(お)きて、羊(ひつじ)の毛(け)をかき寄(よ)せ、その毛(け)から露(つゆ)を絞(しぼ)ると、鉢(はち)に満(み)ちるほどの水(みず)が出(で)た。 39ギデオンは神(かみ)に言(い)った、「わたしをお怒(いか)りにならないように願(ねが)います。わたしにもう一度(ど)だけ言(い)わせてください。どうぞ、もう一度(ど)だけ羊(ひつじ)の毛(け)をもってためさせてください。どうぞ、羊(ひつじ)の毛(け)だけをかわかして、地(ち)にはことごとく露(つゆ)があるようにしてください」。 40神(かみ)はその夜(よる)、そうされた。すなわち羊(ひつじ)の毛(け)だけかわいて、地(ち)にはすべて露(つゆ)があった。

第七章

1さてエルバアルと呼(よ)ばれるギデオンおよび彼(かれ)と共(とも)にいたすべての民(たみ)は朝(あさ)早(はや)く起(お)き、ハロデの泉(いずみ)のほとりに陣(じん)を取(と)った。ミデアンびとの陣(じん)は彼(かれ)らの北(きた)の方(ほう)にあり、モレの丘(おか)に沿(そ)って谷(たに)の中(なか)にあった。

2主(しゅ)はギデオンに言(い)われた、「あなたと共(とも)におる民(たみ)はあまりに多(おお)い。ゆえにわたしは彼(かれ)らの手(て)にミデアンびとをわたさない。おそらくイスラエルはわたしに向(む)かってみずから誇(ほこ)り、『わたしは自身(じしん)の手(て)で自分(じぶん)を救(すく)ったのだ』と言(い)うであろう。 3それゆえ、民(たみ)の耳(みみ)に触(ふ)れ示(しめ)して、『だれでも恐(おそ)れおののく者(もの)は帰(かえ)れ』と言(い)いなさい」。こうしてギデオンは彼(かれ)らを試(こころ)みたので、民(たみ)のうち帰(かえ)った者(もの)は二万二千人(にん)あり、残(のこ)った者(もの)は一万人(にん)であった。

4主(しゅ)はまたギデオンに言(い)われた、「民(たみ)はまだ多(おお)い。彼(かれ)らを導(みちび)いて水(みず)ぎわに下(くだ)りなさい。わたしはそこで、あなたのために彼(かれ)らを試(こころ)みよう。わたしがあなたに告(つ)げて『この人(ひと)はあなたと共(とも)に行(い)くべきだ』と言(い)う者(もの)は、あなたと共(とも)に行(い)くべきである。またわたしがあなたに告(つ)げて『この人(ひと)はあなたと共(とも)に行(い)ってはならない』と言(い)う者(もの)は、だれも行(い)ってはならない」。 5そこでギデオンが民(たみ)を導(みちび)いて水(みず)ぎわに下(くだ)ると、主(しゅ)は彼(かれ)に言(い)われた、「すべて犬(いぬ)のなめるように舌(した)をもって水(みず)をなめる者(もの)はそれを別(べつ)にしておきなさい。またすべてひざを折(お)り、かがんで水(みず)を飲(の)む者(もの)もそうしなさい」。 6そして手(て)を口(くち)にあてて水(みず)をなめた者(もの)の数(かず)は三百人(にん)であった。残(のこ)りの民(たみ)はみなひざを折(お)り、かがんで水(みず)を飲(の)んだ。 7主(しゅ)はギデオンに言(い)われた、「わたしは水(みず)をなめた三百人(にん)の者(もの)をもって、あなたがたを救(すく)い、ミデアンびとをあなたの手(て)にわたそう。残(のこ)りの民(たみ)はおのおのその家(いえ)に帰(かえ)らせなさい」。 8そこで彼(かれ)はかの三百人(にん)を留(と)めおき、残(のこ)りのイスラエルびとの手(て)から、つぼとラッパを取(と)り、民(たみ)をおのおのその天幕(てんまく)に帰(かえ)らせた。時(とき)にミデアンびとの陣(じん)は下(した)の谷(たに)の中(なか)にあった。

9その夜(よる)、主(しゅ)はギデオンに言(い)われた、「立(た)てよ、下(くだ)っていって敵陣(てきじん)に攻(せ)め入(い)れ。わたしはそれをあなたの手(て)にわたす。 10もしあなたが下(くだ)って行(い)くことを恐(おそ)れるならば、あなたのしもべプラと共(とも)に敵陣(てきじん)に下(くだ)っていって、 11彼(かれ)らの言(い)うところを聞(き)け。そうすればあなたの手(て)が強(つよ)くなって、敵陣(てきじん)に攻(せ)め下(くだ)ることができるであろう」。ギデオンがしもべプラと共(とも)に下(くだ)って、敵陣(てきじん)にある兵隊(へいたい)たちの前哨(ぜんしょう)地点(ちてん)に行(い)ってみると、 12ミデアンびと、アマレクびとおよびすべての東方(とうほう)の民(たみ)はいなごのように数多(かずおお)く谷(たに)に沿(そ)って伏(ふ)していた。そのらくだは海(うみ)べの砂(すな)のように多(おお)くて数(かぞ)えきれなかった。 13ギデオンがそこへ行(い)ったとき、ある人(ひと)がその仲間(なかま)に夢(ゆめ)を語(かた)っていた。その人(ひと)は言(い)った、「わたしは夢(ゆめ)を見(み)た。大麦(おおむぎ)のパン一つがミデアンの陣中(じんちゅう)にころがってきて、天幕(てんまく)に達(たっ)し、それを打(う)ち倒(たお)し、くつがえしたので、天幕(てんまく)は倒(たお)れ伏(ふ)した」。 14仲間(なかま)は答(こた)えて言(い)った、「それはイスラエルの人(ひと)、ヨアシの子(こ)ギデオンのつるぎにちがいない。神(かみ)はミデアンとすべての軍勢(ぐんぜい)を彼(かれ)の手(て)にわたされるのだ」。

15ギデオンは夢(ゆめ)の物語(ものがたり)とその解(と)き明(あ)かしとを聞(き)いたので、礼拝(れいはい)し、イスラエルの陣営(じんえい)に帰(かえ)り、そして言(い)った、「立(た)てよ、主(しゅ)はミデアンの軍勢(ぐんぜい)をあなたがたの手(て)にわたされる」。 16そして彼(かれ)は三百人(にん)を三組(くみ)に分(わ)け、手(て)に手(て)にラッパと、からつぼとを取(と)らせ、つぼの中(なか)にたいまつをともさせ、 17彼(かれ)らに言(い)った、「わたしを見(み)て、わたしのするようにしなさい。わたしが敵陣(てきじん)のはずれに達(たっ)したとき、あなたがたもわたしのするようにしなさい。 18わたしと共(とも)におる者(もの)がみなラッパを吹(ふ)くと、あなたがたもまたすべての陣営(じんえい)の四方(しほう)でラッパを吹(ふ)き、『主(しゅ)のためだ、ギデオンのためだ』と言(い)いなさい」。

19こうしてギデオンと、彼(かれ)と共(とも)にいた百人(にん)の者(もの)が、中更(ちゅうこう)の初(はじ)めに敵陣(てきじん)のはずれに行(い)ってみると、ちょうど番兵(ばんぺい)を交代(こうたい)した時(とき)であったので、彼(かれ)らはラッパを吹(ふ)き、手(て)に携(たずさ)えていたつぼを打(う)ち砕(くだ)いた。 20すなわち三組(くみ)の者(もの)がラッパを吹(ふ)き、つぼを打(う)ち砕(くだ)き、左(ひだり)の手(て)にはたいまつをとり、右(みぎ)の手(て)にはラッパを持(も)ってそれを吹(ふ)き、「主(しゅ)のためのつるぎ、ギデオンのためのつるぎ」と叫(さけ)んだ。 21そしておのおのその持(も)ち場(ば)に立(た)ち、敵陣(てきじん)を取(と)り囲(かこ)んだので、敵(てき)軍(ぐん)はみな走(はし)り、大声(おおごえ)をあげて逃(に)げ去(さ)った。 22三百人(にん)のものがラッパを吹(ふ)くと、主(しゅ)は敵(てき)軍(ぐん)をしてみな互(たがい)に同志(どうし)打(う)ちさせられたので、敵(てき)軍(ぐん)はゼレラの方(ほう)、ベテシッタおよびアベルメホラの境(さかい)、タバテの近(ちか)くまで逃(に)げ去(さ)った。 23イスラエルの人々(ひとびと)はナフタリ、アセルおよび全(ぜん)マナセから集(あつ)まってきて、ミデアンびとを追撃(ついげき)した。

24ギデオンは使者(ししゃ)をあまねくエフライムの山地(さんち)につかわし、「下(くだ)ってきて、ミデアンびとを攻(せ)め、ベタバラに至(いた)るまでの流(なが)れを取(と)り、またヨルダンをも取(と)れ」と言(い)わせた。そこでエフライムの人々(ひとびと)はみな集(あつ)まってきて、ベタバラに至(いた)るまでの流(なが)れを取(と)り、またヨルダンをも取(と)った。 25彼(かれ)らはまたミデアンびとのふたりの君(きみ)オレブとゼエブを捕(とら)え、オレブをオレブ岩(いわ)のほとりで殺(ころ)し、ゼエブをゼエブの酒(さか)ぶねのほとりで殺(ころ)した。またミデアンびとを追撃(ついげき)し、オレブとゼエブの首(くび)を携(たずさ)えてヨルダンの向(む)こうのギデオンのもとへ行(い)った。

第八章

1エフライムの人々(ひとびと)はギデオンに向(む)かい「あなたが、ミデアンびとと戦(たたか)うために行(い)かれたとき、われわれを呼(よ)ばれなかったが、どうしてそういうことをされたのですか」と言(い)って激(はげ)しく彼(かれ)を責(せ)めた。 2ギデオンは彼(かれ)らに言(い)った、「今(いま)わたしのした事(こと)は、あなたがたのした事(こと)と比(くら)べものになりましょうか。エフライムの拾(ひろ)い集(あつ)めた取(と)り残(のこ)りのぶどうはアビエゼルの収穫(しゅうかく)したぶどうにもまさるではありませんか。 3神(かみ)はミデアンの君(きみ)オレブとゼエブをあなたがたの手(て)にわたされました。わたしのなし得(え)た事(こと)は、あなたがたのした事(こと)と比(くら)べものになりましょうか」。ギデオンがこの言葉(ことば)を述(の)べると、彼(かれ)らの憤(いきどお)りは解(と)けた。

4ギデオンは自分(じぶん)に従(したが)っていた三百人(にん)と共(とも)にヨルダンに行(い)ってこれを渡(わた)り、疲(つか)れながらもなお追撃(ついげき)したが、 5彼(かれ)はスコテの人々(ひとびと)に言(い)った、「どうぞわたしに従(したが)っている民(たみ)にパンを与(あた)えてください。彼(かれ)らが疲(つか)れているのに、わたしはミデアンの王(おう)ゼバとザルムンナを追撃(ついげき)しているのですから」。 6スコテのつかさたちは言(い)った、「ゼバとザルムンナは、すでにあなたの手(て)のうちにあるのですか。われわれはどうしてあなたの軍勢(ぐんぜい)にパンを与(あた)えねばならないのですか」。 7ギデオンは言(い)った、「それならば主(しゅ)がわたしの手(て)にゼバとザルムンナをわたされるとき、わたしは野(の)のいばらと、おどろをもって、あなたがたの肉(にく)を打(う)つであろう」。 8そしてギデオンはそこからペヌエルに上(のぼ)り、同(おな)じことをペヌエルの人々(ひとびと)に述(の)べると、彼(かれ)らもスコテの人々(ひとびと)が答(こた)えたように答(こた)えたので、 9ペヌエルの人々(ひとびと)に言(い)った、「わたしが安(やす)らかに帰(かえ)ってきたとき、このやぐらを打(う)ちこわすであろう」。

10さてゼバとザルムンナは軍勢(ぐんぜい)おおよそ一万五千人(にん)を率(ひき)いて、カルコルにいた。これは皆(みな)、東方(とうほう)の民(たみ)の全(ぜん)軍(ぐん)のうち生(い)き残(のこ)ったもので、戦死(せんし)した者(もの)は、つるぎを帯(お)びているものが十二万人(にん)あった。 11ギデオンはノバとヨグベハの東(ひがし)の隊商(たいしょう)の道(みち)を上(のぼ)って、敵(てき)軍(ぐん)の油断(ゆだん)しているところを撃(う)った。 12ゼバとザルムンナは逃(に)げたが、ギデオンは追撃(ついげき)して、ミデアンのふたりの王(おう)ゼバとザルムンナを捕(とら)え、その軍勢(ぐんぜい)をことごとく撃(う)ち敗(やぶ)った。

13こうしてヨアシの子(こ)ギデオンはヘレスの坂(さか)をとおって戦(たたか)いから帰(かえ)り、 14スコテの若者(わかもの)ひとりを捕(とら)えて、尋(たず)ねたところ、彼(かれ)はスコテのつかさたち及(およ)び長老(ちょうろう)たち七十七人(にん)の名(な)をギデオンのために書(か)きしるした。 15ギデオンはスコテの人々(ひとびと)のところへ行(い)って言(い)った、「あなたがたがかつて『ゼバとザルムンナはすでにあなたの手(て)のうちにあるのか。われわれはどうしてあなたの疲(つか)れた人々(ひとびと)にパンを与(あた)えねばならないのか』と言(い)って、わたしをののしったそのゼバとザルムンナを見(み)なさい」。 16そして彼(かれ)は、その町(まち)の長老(ちょうろう)たちを捕(とら)え、野(の)のいばらと、おどろとを取(と)り、それをもってスコテの人々(ひとびと)を懲(こ)らし、 17またペヌエルのやぐらを打(う)ちこわして町(まち)の人々(ひとびと)を殺(ころ)した。

18そしてギデオンはゼバとザルムンナに言(い)った、「あなたがたがタボルで殺(ころ)したのは、どんな人々(ひとびと)であったか」。彼(かれ)らは答(こた)えた、「彼(かれ)らはあなたに似(に)てみな王子(おうじ)のように見(み)えました」。 19ギデオンは言(い)った、「彼(かれ)らはわたしの兄弟(きょうだい)、わたしの母(はは)の子(こ)たちだ。主(しゅ)は生(い)きておられる。もしあなたがたが彼(かれ)らを生(い)かしておいたならば、わたしはあなたがたを殺(ころ)さないのだが」。 20そして長子(ちょうし)エテルに言(い)った、「立(た)って、彼(かれ)らを殺(ころ)しなさい」。しかしその若者(わかもの)はなお年(とし)が若(わか)かったので、恐(おそ)れてつるぎを抜(ぬ)かなかった。 21そこでゼバとザルムンナは言(い)った、「あなた自身(じしん)が立(た)って、わたしたちを撃(う)ってください。人(ひと)によってそれぞれ力(ちから)も違(ちが)いますから」。ギデオンは立(た)ちあがってゼバとザルムンナを殺(ころ)し、彼(かれ)らのらくだの首(くび)に掛(か)けてあった月形(つきがた)の飾(かざ)りを取(と)った。

22イスラエルの人々(ひとびと)はギデオンに言(い)った、「あなたはミデアンの手(て)からわれわれを救(すく)われたのですから、あなたも、あなたの子(こ)も孫(まご)もわれわれを治(おさ)めてください」。 23ギデオンは彼(かれ)らに言(い)った、「わたしはあなたがたを治(おさ)めることはいたしません。またわたしの子(こ)もあなたがたを治(おさ)めてはなりません。主(しゅ)があなたがたを治(おさ)められます」。 24ギデオンはまた彼(かれ)らに言(い)った、「わたしはあなたがたに一つの願(ねが)いがあります。あなたがたのぶんどった耳輪(みみわ)をめいめいわたしにください」。ミデアンびとはイシマエルびとであったゆえに、金(きん)の耳輪(みみわ)を持(も)っていたからである。 25彼(かれ)らは答(こた)えた、「わたしどもは喜(よろこ)んでそれをさしあげます」。そして衣(ころも)をひろげ、めいめいぶんどった耳輪(みみわ)をその中(なか)に投(な)げ入(い)れた。 26こうしてギデオンが求(もと)めて得(え)た金(きん)の耳輪(みみわ)の重(おも)さは一千七百金(きん)シケルであった。ほかに月形(つきがた)の飾(かざ)りと耳飾(みみかざ)りと、ミデアンの王(おう)たちの着(き)た紫(むらさき)の衣(ころも)およびらくだの首(くび)に掛(か)けた首飾(くびかざ)りなどもあった。 27ギデオンはそれをもって一つのエポデを作(つく)り、それを自分(じぶん)の町(まち)オフラに置(お)いた。イスラエルは皆(みな)それを慕(した)って姦淫(かんいん)をおこなった。それはギデオンとその家(いえ)にとって、わなとなった。 28このようにしてミデアンはイスラエルの人々(ひとびと)に征服(せいふく)されて、再(ふたた)びその頭(あたま)をあげることができなかった。そして国(くに)はギデオンの世(よ)にあるうち、四十年(ねん)のあいだ太平(たいへい)であった。

29ヨアシの子(こ)エルバアルは行(い)って自分(じぶん)の家(いえ)に住(す)んだ。 30ギデオンは多(おお)くの妻(つま)をもっていたので、自分(じぶん)の子供(こども)だけで七十人(にん)あった。 31シケムにいた彼(かれ)のめかけがまたひとりの子(こ)を産(う)んだので、アビメレクと名(な)づけた。 32ヨアシの子(こ)ギデオンは高齢(こうれい)に達(たっ)して死(し)に、アビエゼルびとのオフラにある父(ちち)ヨアシの墓(はか)に葬(ほうむ)られた。

33ギデオンが死(し)ぬと、イスラエルの人々(ひとびと)はまたバアルを慕(した)って、これと姦淫(かんいん)を行(おこな)い、バアル・ベリテを自分(じぶん)たちの神(かみ)とした。 34すなわちイスラエルの人々(ひとびと)は周囲(しゅうい)のもろもろの敵(てき)の手(て)から自分(じぶん)たちを救(すく)われた彼(かれ)らの神(かみ)、主(しゅ)を覚(おぼ)えず、 35またエルバアルすなわちギデオンがイスラエルのためにしたもろもろの善行(ぜんこう)に応(おう)じて彼(かれ)の家族(かぞく)に親切(しんせつ)をつくすこともしなかった。

第九章

1さてエルバアルの子(こ)アビメレクはシケムに行(い)き、母(はは)の身内(みうち)の人(ひと)たちのもとに行(い)って、彼(かれ)らと母(はは)の父(ちち)の家(いえ)の一族(いちぞく)とに言(い)った、 2「どうぞ、シケムのすべての人々(ひとびと)の耳(みみ)に告(つ)げてください、『エルバアルのすべての子(こ)七十人(にん)であなたがたを治(おさ)めるのと、ただひとりであなたがたを治(おさ)めるのと、どちらがよいか。わたしがあなたがたの骨肉(こつにく)であることを覚(おぼ)えてください』と」。 3そこで母(はは)の身内(みうち)の人(ひと)たちがアビメレクに代(かわ)ってこれらの言葉(ことば)をことごとくシケムのすべての人々(ひとびと)の耳(みみ)に告(つ)げると、彼(かれ)らは心(こころ)をアビメレクに傾(かたむ)け、「彼(かれ)はわれわれの兄弟(きょうだい)だ」と言(い)って、 4バアル・ベリテの宮(みや)から銀(ぎん)七十シケルを取(と)って彼(かれ)に与(あた)えた。アビメレクはそれをもって、やくざのならず者(もの)を雇(やと)って自分(じぶん)に従(したが)わせ、 5オフラにある父(ちち)の家(いえ)に行(い)って、エルバアルの子(こ)で、自分(じぶん)の兄弟(きょうだい)である七十人(にん)を、一つの石(いし)の上(うえ)で殺(ころ)した。ただしエルバアルの末(すえ)の子(こ)ヨタムは身(み)を隠(かく)したので生(い)き残(のこ)った。 6そこでシケムのすべての人々(ひとびと)とベテミロのすべての人々(ひとびと)は集(あつ)まり、行(い)ってシケムにある石(いし)の柱(はしら)のかたわらのテレビンの木(き)のもとで、アビメレクを立(た)てて王(おう)とした。

7このことをヨタムに告(つ)げる者(もの)があったので、ヨタムは行(い)ってゲリジム山(やま)の頂(いただき)に立(た)ち、大声(おおごえ)に叫(さけ)んで彼(かれ)らに言(い)った、「シケムの人々(ひとびと)よ、わたしに聞(き)きなさい。そうすれば神(かみ)はあなたがたに聞(き)かれるでしょう。 8ある時(とき)、もろもろの木(き)が自分(じぶん)たちの上(うえ)に王(おう)を立(た)てようと出(で)て行(い)ってオリブの木(き)に言(い)った、『わたしたちの王(おう)になってください』。 9しかしオリブの木(き)は彼(かれ)らに言(い)った、『わたしはどうして神(かみ)と人(ひと)とをあがめるために用(もち)いられるわたしの油(あぶら)を捨(す)てて行(い)って、もろもろの木(き)を治(おさ)めることができましょう』。 10もろもろの木(き)はまたいちじくの木(き)に言(い)った、『きてわたしたちの王(おう)になってください』。 11しかしいちじくの木(き)は彼(かれ)らに言(い)った、『わたしはどうしてわたしの甘味(かんみ)と、わたしの良(よ)い果実(かじつ)とを捨(す)てて行(い)って、もろもろの木(き)を治(おさ)めることができましょう』。 12もろもろの木(き)はまたぶどうの木(き)に言(い)った、『きてわたしたちの王(おう)になってください』。 13しかし、ぶどうの木(き)は彼(かれ)らに言(い)った、『わたしはどうして神(かみ)と人(ひと)とを喜(よろこ)ばせるわたしのぶどう酒(しゅ)を捨(す)てて行(い)って、もろもろの木(き)を治(おさ)めることができましょう』。 14そこですべての木(き)はいばらに言(い)った、『きてわたしたちの王(おう)になってください』。 15いばらはもろもろの木(き)に言(い)った、『あなたがたが真実(しんじつ)にわたしを立(た)てて王(おう)にするならば、きてわたしの陰(かげ)に難(なん)を避(さ)けなさい。そうしなければ、いばらから火(ひ)が出(で)てレバノンの香柏(こうはく)を焼(や)きつくすでしょう』。

16あなたがたがアビメレクを立(た)てて王(おう)にしたことは、真実(しんじつ)と敬意(けいい)とをもってしたものですか。あなたがたはエルバアルとその家(いえ)をよく扱(あつか)い、彼(かれ)のおこないに応(おう)じてしたのですか。 17わたしの父(ちち)はあなたがたのために戦(たたか)い、自分(じぶん)の命(いのち)を投(な)げ出(だ)して、あなたがたをミデアンの手(て)から救(すく)い出(だ)したのに、 18あなたがたは、きょう、わたしの父(ちち)の家(いえ)に反抗(はんこう)して起(おこ)り、その子(こ)七十人(にん)を一つの石(いし)の上(うえ)で殺(ころ)し、その腰元(こしもと)の子(こ)アビメレクをあなたがたの身内(みうち)の者(もの)であるゆえに立(た)てて、シケムの人々(ひとびと)の王(おう)にしました。 19あなたがたが、きょう、エルバアルとその家(いえ)になされたことが真実(しんじつ)と敬意(けいい)をもってしたものであるならば、アビメレクのために喜(よろこ)びなさい。彼(かれ)もまたあなたがたのために喜(よろこ)ぶでしょう。 20しかし、そうでなければ、アビメレクから火(ひ)が出(で)て、シケムの人々(ひとびと)とベテミロとを焼(や)きつくし、またシケムの人々(ひとびと)とベテミロからも火(ひ)が出(で)てアビメレクを焼(や)きつくすでしょう」。 21こうしてヨタムは走(はし)って逃(に)げ去(さ)り、ベエルに行(い)き、兄弟(きょうだい)アビメレクの顔(かお)をさけてそこに住(す)んだ。

22アビメレクは三年(ねん)の間(あいだ)イスラエルを治(おさ)めたが、 23神(かみ)はアビメレクとシケムの人々(ひとびと)の間(あいだ)に悪霊(あくれい)をおくられたので、シケムの人々(ひとびと)はアビメレクを欺(あざむ)くようになった。 24これはエルバアルの七十人(にん)の子(こ)が受(う)けた暴虐(ぼうぎゃく)と彼(かれ)らの血(ち)が、彼(かれ)らを殺(ころ)した兄弟(きょうだい)アビメレクの上(うえ)と、彼(かれ)の手(て)を強(つよ)めてその兄弟(きょうだい)を殺(ころ)させたシケムの人々(ひとびと)の上(うえ)とに報(むく)いとなってきたのである。 25シケムの人々(ひとびと)は彼(かれ)に敵(てき)して待(ま)ち伏(ぶ)せする者(もの)を山々(やまやま)の頂(いただき)におき、すべてその道(みち)を通(とお)り過(す)ぎる者(もの)を略奪(りゃくだつ)させた。このことがアビメレクに告(つ)げ知(し)らされた。

26さてエベデの子(こ)ガアルはその身内(みうち)の人々(ひとびと)と一緒(いっしょ)にシケムに移住(いじゅう)したが、シケムの人々(ひとびと)は彼(かれ)を信用(しんよう)した。 27人々(ひとびと)は畑(はたけ)に出(で)てぶどうを取(と)り入(い)れ、それを踏(ふ)み絞(しぼ)って祭(まつり)をし、神(かみ)の宮(みや)に行(い)って飲(の)み食(く)いしてアビメレクをのろった。 28そしてエベデの子(こ)ガアルは言(い)った、「アビメレクは何(なに)ものか。シケムのわれわれは何(なに)ものなれば彼(かれ)に仕(つか)えなければならないのか。エルバアルの子(こ)とその役人(やくにん)ゼブルはシケムの先祖(せんぞ)ハモルの一族(いちぞく)に仕(つか)えたではないか。われわれはどうして彼(かれ)に仕(つか)えなければならないのか。 29ああ、この民(たみ)がわたしの手(て)の下(した)にあったらよいのだが。そうすればわたしはアビメレクをやめさせ、アビメレクに向(む)かって『おまえの軍勢(ぐんぜい)を増(ま)して出(で)てこい』と言(い)うであろう」。

30町(まち)のつかさゼブルはエベデの子(こ)ガアルの言葉(ことば)を聞(き)いて怒(いか)りを発(はっ)し、 31使者(ししゃ)をアルマにおるアビメレクにつかわして言(い)わせた、「エベデの子(こ)ガアルとその身内(みうち)の人々(ひとびと)がシケムにきて、町(まち)を騒(さわ)がせ、あなたにそむかせようとしています。 32それであなたと、あなたと共(とも)におる人々(ひとびと)が夜(よる)のうちに行(い)って、野(の)に身(み)を伏(ふ)せ、 33朝(あさ)になって、日(ひ)ののぼるとき、早(はや)く起(お)き出(で)て町(まち)を襲(おそ)うならば、ガアルと、彼(かれ)と共(とも)におる民(たみ)は出(で)てきて、あなたに抵抗(ていこう)するでしょう。その時(とき)あなたは機(はた)を得(え)て、彼(かれ)らを撃(う)つことができるでしょう」。

34アビメレクと、彼(かれ)と共(とも)にいたすべての民(たみ)は夜(よる)のうちに起(お)き出(で)て、四組(くみ)に分(わか)れ、身(み)を伏(ふ)せてシケムをうかがった。 35エベデの子(こ)ガアルが出(で)て、町(まち)の門(もん)の入口(いりぐち)に立(た)ったとき、アビメレクと、彼(かれ)と共(とも)にいた民(たみ)が身(み)を伏(ふ)せていたところから立(た)ちあがったので、 36ガアルは民(たみ)を見(み)てゼブルに言(い)った、「ごらんなさい。民(たみ)が山々(やまやま)の頂(いただき)からおりてきます」。ゼブルは彼(かれ)に言(い)った、「あなたは山々(やまやま)の影(かげ)を人(ひと)のように見(み)るのです」。 37ガアルは再(ふたた)び言(い)った、「ごらんなさい。民(たみ)が国(くに)の中央(ちゅうおう)部(ぶ)からおりてきます。一組(くみ)は占(うらな)い師(し)のテレビンの木(き)の方(ほう)からきます」。 38ゼブルは彼(かれ)に言(い)った、「あなたがかつて『アビメレクは何(なに)ものか。われわれは何(なに)ものなれば彼(かれ)に仕(つか)えなければならないのか』と言(い)ったあなたの口(くち)は今(いま)どこにありますか。これはあなたが侮(あなど)った民(たみ)ではありませんか。今(いま)、出(で)て彼(かれ)らと戦(たたか)いなさい」。 39そこでガアルはシケムの人々(ひとびと)を率(ひき)い、出(で)てアビメレクと戦(たたか)ったが、 40アビメレクは彼(かれ)を追(お)ったので、ガアルは彼(かれ)の前(まえ)から逃(に)げた。そして傷(きず)つき倒(たお)れる者(もの)が多(おお)く、門(もん)の入口(いりぐち)にまで及(およ)んだ。 41こうしてアビメレクは引(ひ)き続(つづ)いてアルマにいたが、ゼブルはガアルとその身内(みうち)の人々(ひとびと)を追(お)い出(だ)してシケムにおらせなかった。

42翌日(よくじつ)、民(たみ)が畑(はたけ)に出(で)ると、そのことがアビメレクに聞(きこ)えた。 43アビメレクは自分(じぶん)の民(たみ)を率(ひき)い、それを三組(くみ)に分(わ)け、野(の)に身(み)を伏(ふ)せて、うかがっていると、民(たみ)が町(まち)から出(で)てきたので、たちあがってこれを撃(う)った。 44アビメレクと、彼(かれ)と共(とも)にいた組(くみ)の者(もの)は襲(おそ)って行(い)って、町(まち)の門(もん)の入口(いりぐち)に立(た)ち、他(た)の二組(くみ)は野(の)にいたすべてのものを襲(おそ)って、それを殺(ころ)した。 45アビメレクはその日(ひ)、終日(しゅうじつ)、町(まち)を攻(せ)め、ついに町(まち)を取(と)って、そのうちの民(たみ)を殺(ころ)し、町(まち)を破壊(はかい)して、塩(しお)をまいた。

46シケムのやぐらの人々(ひとびと)は皆(みな)これを聞(き)いて、エルベリテの宮(みや)の塔(とう)にはいった。 47シケムのやぐらの人々(ひとびと)が皆(みな)集(あつ)まったことがアビメレクに聞(きこ)えたので、 48アビメレクは自分(じぶん)と一緒(いっしょ)にいた民(たみ)をことごとく率(ひき)いてザルモン山(さん)にのぼり、アビメレクは手(て)におのを取(と)って、木(き)の枝(えだ)を切(き)り落(おと)し、それを取(と)りあげて自分(じぶん)の肩(かた)にのせ、一緒(いっしょ)にいた民(たみ)にむかって言(い)った、「あなたがたはわたしがしたことを見(み)たとおりに急(いそ)いでしなさい」。 49そこで民(たみ)もまた皆(みな)おのおのその枝(えだ)を切(き)り落(おと)し、アビメレクに従(したが)って行(い)って、枝(えだ)を塔(とう)によせかけ、塔(とう)に火(ひ)をつけて彼(かれ)らを攻(せ)めた。こうしてシケムのやぐらの人々(ひとびと)もまたことごとく死(し)んだ。男女(だんじょ)おおよそ一千人(にん)であった。

50ついでアビメレクはテベツに行(い)き、テベツに向(む)かって陣(じん)を張(は)り、これを攻(せ)め取(と)ったが、 51町(まち)の中(なか)に一つの堅固(けんご)なやぐらがあって、すべての男女(だんじょ)すなわち町(まち)の人々(ひとびと)が皆(みな)そこに逃(に)げ込(こ)み、あとを閉(と)ざして、やぐらの屋根(やね)に上(のぼ)ったので、 52アビメレクはやぐらのもとに押(お)し寄(よ)せてこれを攻(せ)め、やぐらの入口(いりぐち)に近(ちか)づいて、火(ひ)をつけて焼(や)こうとしたとき、 53ひとりの女(おんな)がアビメレクの頭(あたま)に、うすの上石(うわいし)を投(な)げて、その頭(ず)骸骨(がいこつ)を砕(くだ)いた。 54アビメレクは自分(じぶん)の武器(ぶき)を持(も)つ若者(わかもの)を急(いそ)ぎ呼(よ)んで言(い)った、「つるぎを抜(ぬ)いてわたしを殺(ころ)せ。さもないと人々(ひとびと)はわたしを、女(おんな)に殺(ころ)されたのだと言(い)うであろう」。その若者(わかもの)が彼(かれ)を刺(さ)し通(とお)したので彼(かれ)は死(し)んだ。 55イスラエルの人々(ひとびと)はアビメレクの死(し)んだのを見(み)て、おのおの去(さ)って家(いえ)に帰(かえ)った。 56このように神(かみ)はアビメレクがその兄弟(きょうだい)七十人(にん)を殺(ころ)して、自分(じぶん)の父(ちち)に対(たい)して犯(おか)した悪(あく)に報(むく)いられた。 57また神(かみ)はシケムの人々(ひとびと)のすべての悪(あく)を彼(かれ)らのこうべに報(むく)いられた。こうしてエルバアルの子(こ)ヨタムののろいが、彼(かれ)らに臨(のぞ)んだのである。

第一〇章

1アビメレクの後(のち)、イッサカルの人(ひと)で、ドドの子(こ)であるプワの子(こ)トラが起(た)ってイスラエルを救(すく)った。彼(かれ)はエフライムの山地(さんち)のシャミルに住(す)み、 2二十三年(ねん)の間(あいだ)イスラエルをさばいたが、ついに死(し)んでシャミルに葬(ほうむ)られた。

3彼(かれ)の後(のち)にギレアデびとヤイルが起(た)って二十二年(ねん)の間(あいだ)イスラエルをさばいた。 4彼(かれ)に三十人(にん)の子(こ)があった。彼(かれ)らは三十頭(とう)のろばに乗(の)り、また三十の町(まち)をもっていた。ギレアデの地(ち)で今日(こんにち)まで、ハボテ・ヤイルと呼(よ)ばれているものがそれである。 5ヤイルは死(し)んで、カモンに葬(ほうむ)られた。

6イスラエルの人々(ひとびと)は再(ふたた)び主(しゅ)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)い、バアルとアシタロテおよびスリヤの神々(かみがみ)、シドンの神々(かみがみ)、モアブの神々(かみがみ)、アンモンびとの神々(かみがみ)、ペリシテびとの神々(かみがみ)に仕(つか)え、主(しゅ)を捨(す)ててこれに仕(つか)えなかった。 7主(しゅ)はイスラエルに対(たい)して怒(いか)りを発(はっ)し、彼(かれ)らをペリシテびとの手(て)およびアンモンびとの手(て)に売(う)りわたされたので、 8彼(かれ)らはその年(ねん)イスラエルの人々(ひとびと)をしえたげ悩(なや)ました。すなわち彼(かれ)らはヨルダンの向(む)こうのギレアデにあるアモリびとの地(ち)にいたすべてのイスラエルびとを十八年(ねん)のあいだ悩(なや)ました。 9またアンモンの人々(ひとびと)がユダとベニヤミンとエフライムの氏族(しぞく)を攻(せ)めるためにヨルダンを渡(わた)ってきたので、イスラエルは非常(ひじょう)に悩(なや)まされた。

10そこでイスラエルの人々(ひとびと)は主(しゅ)に呼(よ)ばわって言(い)った、「わたしたちはわたしたちの神(かみ)を捨(す)ててバアルに仕(つか)え、あなたに罪(つみ)を犯(おか)しました」。 11主(しゅ)はイスラエルの人々(ひとびと)に言(い)われた、「わたしはかつてエジプトびと、アモリびと、アンモンびと、ペリシテびとからあなたがたを救(すく)い出(だ)したではないか。 12またシドンびと、アマレクびとおよびマオンびとがあなたがたをしえたげた時(とき)、わたしに呼(よ)ばわったので、あなたがたを彼(かれ)らの手(て)から救(すく)い出(だ)した。 13しかしあなたがたはわたしを捨(す)てて、ほかの神々(かみがみ)に仕(つか)えた。それゆえ、わたしはかさねてあなたがたを救(すく)わないであろう。 14あなたがたが選(えら)んだ神々(かみがみ)に行(い)って呼(よ)ばわり、あなたがたの悩(なや)みの時(とき)、彼(かれ)らにあなたがたを救(すく)わせるがよい」。 15イスラエルの人々(ひとびと)は主(しゅ)に言(い)った、「わたしたちは罪(つみ)を犯(おか)しました。なんでもあなたが良(よ)いと思(おも)われることをしてください。ただどうぞ、きょう、わたしたちを救(すく)ってください」。 16そうして彼(かれ)らは自分(じぶん)たちのうちから異(こと)なる神々(かみがみ)を取(と)り除(のぞ)いて、主(しゅ)に仕(つか)えた。それで主(しゅ)の心(こころ)はイスラエルの悩(なや)みを見(み)るに忍(しの)びなくなった。

17時(とき)にアンモンの人々(ひとびと)は召集(しょうしゅう)されてギレアデに陣(じん)を取(と)ったが、イスラエルの人々(ひとびと)は集(あつ)まってミヅパに陣(じん)を取(と)った。 18その時(とき)、民(たみ)とギレアデの君(きみ)たちとは互(たがい)に言(い)った、「だれがアンモンの人々(ひとびと)に向(む)かって戦(たたか)いを始(はじ)めるか。その人(ひと)はギレアデのすべての民(たみ)のかしらとなるであろう」。

第一一章

1さてギレアデびとエフタは強(つよ)い勇士(ゆうし)であったが遊女(ゆうじょ)の子(こ)で、エフタの父(ちち)はギレアデであった。 2ギレアデの妻(つま)も子供(こども)を産(う)んだが、その妻(つま)の子供(こども)たちが成長(せいちょう)したとき、彼(かれ)らはエフタを追(お)い出(だ)して彼(かれ)に言(い)った、「あなたはほかの女(おんな)の産(う)んだ子(こ)だから、わたしたちの父(ちち)の家(いえ)を継(つ)ぐことはできません」。 3それでエフタはその兄弟(きょうだい)たちのもとから逃(に)げ去(さ)って、トブの地(ち)に住(す)んでいると、やくざ者(もの)がエフタのもとに集(あつ)まってきて、彼(かれ)と一緒(いっしょ)に出(で)かけて略奪(りゃくだつ)を事(こと)としていた。

4日(ひ)がたって後(のち)、アンモンの人々(ひとびと)はイスラエルと戦(たたか)うことになり、 5アンモンの人々(ひとびと)がイスラエルと戦(たたか)ったとき、ギレアデの長老(ちょうろう)たちは行(い)ってエフタをトブの地(ち)から連(つ)れてこようとして、 6エフタに言(い)った、「きて、わたしたちの大将(たいしょう)になってください。そうすればわたしたちはアンモンの人々(ひとびと)と戦(たたか)うことができます」。 7エフタはギレアデの長老(ちょうろう)たちに言(い)った、「あなたがたはわたしを憎(にく)んで、わたしの父(ちち)の家(いえ)から追(お)い出(だ)したではありませんか。しかるに今(いま)あなたがたが困(こま)っている時(とき)とはいえ、わたしのところに来(く)るとはどういうわけですか」。 8ギレアデの長老(ちょうろう)たちはエフタに言(い)った、「それでわたしたちは今(いま)、あなたに帰(かえ)ったのです。どうぞ、わたしたちと一緒(いっしょ)に行(い)って、アンモンの人々(ひとびと)と戦(たたか)ってください。そしてわたしたちとギレアデに住(す)んでいるすべてのものとのかしらになってください」。 9エフタはギレアデの長老(ちょうろう)たちに言(い)った、「もしあなたがたが、わたしをつれて帰(かえ)って、アンモンの人々(ひとびと)と戦(たたか)わせるとき、主(しゅ)が彼(かれ)らをわたしにわたされるならば、わたしはあなたがたのかしらとなりましょう」。 10ギレアデの長老(ちょうろう)たちはエフタに言(い)った、「主(しゅ)はあなたとわたしたちの間(あいだ)の証人(しょうにん)です。わたしたちは必(かなら)ずあなたの言(い)われるとおりにしましょう」。 11そこでエフタはギレアデの長老(ちょうろう)たちと一緒(いっしょ)に行(い)った。民(たみ)は彼(かれ)を立(た)てて自分(じぶん)たちのかしらとし、大将(たいしょう)とした。それでエフタはミヅパで、自分(じぶん)の言葉(ことば)をことごとく主(しゅ)の前(まえ)に述(の)べた。

12かくてエフタはアンモンの人々(ひとびと)の王(おう)に使者(ししゃ)をつかわして言(い)った、「あなたはわたしとなんのかかわりがあって、わたしのところへ攻(せ)めてきて、わたしの国(くに)と戦(たたか)おうとするのですか」。 13アンモンの人々(ひとびと)の王(おう)はエフタの使者(ししゃ)に答(こた)えた、「昔(むかし)、イスラエルがエジプトから上(のぼ)ってきたとき、アルノンからヤボクに及(およ)び、またヨルダンに及(およ)ぶわたしの国(くに)を奪(うば)い取(と)ったからです。それゆえ今(いま)、穏(おだ)やかにそれを返(かえ)しなさい」。 14エフタはまた使者(ししゃ)をアンモンの人々(ひとびと)の王(おう)につかわして、 15言(い)わせた、「エフタはこう申(もう)します、『イスラエルはモアブの地(ち)も、またアンモンの人々(ひとびと)の地(ち)も取(と)りませんでした。 16イスラエルはエジプトから上(のぼ)ってきたとき、荒野(あらの)をとおって紅海(こうかい)にいたり、カデシにきました。 17そしてイスラエルは使者(ししゃ)をエドムの王(おう)につかわして「どうぞ、われわれにあなたの国(くに)を通(とお)らせてください」と言(い)わせましたが、エドムの王(おう)は聞(き)きいれませんでした。また同(おな)じように人(ひと)をモアブの王(おう)につかわしたが、彼(かれ)も承諾(しょうだく)しなかったので、イスラエルはカデシにとどまりました。 18それから荒野(あらの)をとおって、エドムの地(ち)とモアブの地(ち)を回(まわ)り、モアブの地(ち)の東部(とうぶ)に達(たっ)し、アルノンの向(む)こうに宿営(しゅくえい)しましたがモアブの領域(りょういき)には、はいりませんでした。アルノンはモアブの境(さかい)だからです。 19次(つぎ)にイスラエルはヘシボンの王(おう)すなわちアモリびとの王(おう)シホンに使者(ししゃ)をつかわし、シホンに向(む)かって「どうぞ、われわれにあなたの国(くに)をとおって、われわれの目的(もくてき)地(ち)へ行(い)かせてください」と言(い)わせました。 20ところがシホンはイスラエルを信(しん)ぜず、その領域(りょういき)を通(とお)らせないばかりか、かえってすべての民(たみ)を集(あつ)めてヤハヅに陣(じん)を取(と)り、イスラエルと戦(たたか)いましたが、 21イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はシホンとそのすべての民(たみ)をイスラエルの手(て)にわたされたので、イスラエルは彼(かれ)らを撃(う)ち破(やぶ)って、その土地(とち)に住(す)んでいたアモリびとの地(ち)をことごとく占領(せんりょう)し、 22アルノンからヤボクまでと、荒野(あらの)からヨルダンまで、アモリびとの領域(りょういき)をことごとく占領(せんりょう)しました。 23このようにイスラエルの神(かみ)、主(しゅ)はその民(たみ)イスラエルの前(まえ)からアモリびとを追(お)い払(はら)われたのに、あなたはそれを取(と)ろうとするのですか。 24あなたは、あなたの神(かみ)ケモシがあなたに取(と)らせるものを取(と)らないのですか。われわれはわれわれの神(かみ)、主(しゅ)がわれわれの前(まえ)から追(お)い払(はら)われたものの土地(とち)を取(と)るのです。 25あなたはモアブの王(おう)チッポルの子(こ)バラクにまさる者(もの)ですか。バラクはかつてイスラエルと争(あらそ)ったことがありますか。かつて彼(かれ)らと戦(たたか)ったことがありますか。 26イスラエルはヘシボンとその村里(むらざと)に住(す)み、またアロエルとその村里(むらざと)およびアルノンの岸(きし)に沿(そ)うすべての町々(まちまち)に住(す)むこと三百年(ねん)になりますが、あなたがたはどうしてその間(かん)にそれを取(と)りもどさなかったのですか。 27わたしはあなたに何(なに)も悪(わる)い事(こと)をしたこともないのに、あなたはわたしと戦(たたか)って、わたしに害(がい)を加(くわ)えようとします。審判者(しんぱんしゃ)であられる主(しゅ)よ、どうぞ、きょう、イスラエルの人々(ひとびと)とアンモンの人々(ひとびと)との間(あいだ)をおさばきください』」。 28しかしアンモンの人々(ひとびと)の王(おう)はエフタが言(い)いつかわした言葉(ことば)をききいれなかった。

29時(とき)に主(しゅ)の霊(れい)がエフタに臨(のぞ)み、エフタはギレアデおよびマナセをとおって、ギレアデのミヅパに行(い)き、ギレアデのミヅパから進(すす)んでアンモンの人々(ひとびと)のところに行(い)った。 30エフタは主(しゅ)に誓願(せいがん)を立(た)てて言(い)った、「もしあなたがアンモンの人々(ひとびと)をわたしの手(て)にわたされるならば、 31わたしがアンモンの人々(ひとびと)に勝(か)って帰(かえ)るときに、わたしの家(いえ)の戸口(とぐち)から出(で)てきて、わたしを迎(むか)えるものはだれでも主(しゅ)のものとし、その者(もの)を燔祭(はんさい)としてささげましょう」。 32エフタはアンモンの人々(ひとびと)のところに進(すす)んで行(い)って、彼(かれ)らと戦(たたか)ったが、主(しゅ)は彼(かれ)らをエフタの手(て)にわたされたので、 33アロエルからミンニテの附近(ふきん)まで、二十の町(まち)を撃(う)ち敗(はい)り、アベル・ケラミムに至(いた)るまで、非常(ひじょう)に多(おお)くの人(ひと)を殺(ころ)した。こうしてアンモンの人々(ひとびと)はイスラエルの人々(ひとびと)の前(まえ)に攻(せ)め伏(ふ)せられた。

34やがてエフタはミヅパに帰(かえ)り、自分(じぶん)の家(いえ)に来(く)ると、彼(かれ)の娘(むすめ)が鼓(つづみ)をもち、舞(ま)い踊(おど)って彼(かれ)を出迎(でむか)えた。彼女(かのじょ)はエフタのひとり子(こ)で、ほかに男子(だんし)も女子(じょし)もなかった。 35エフタは彼女(かのじょ)を見(み)ると、衣(ころも)を裂(さ)いて言(い)った、「ああ、娘(むすめ)よ、あなたは全(まった)くわたしを打(う)ちのめした。わたしを悩(なや)ますものとなった。わたしが主(しゅ)に誓(ちか)ったのだから改(あらた)めることはできないのだ」。 36娘(むすめ)は言(い)った、「父(ちち)よ、あなたは主(しゅ)に誓(ちか)われたのですから、主(しゅ)があなたのために、あなたの敵(てき)アンモンの人々(ひとびと)に報復(ほうふく)された今(いま)、あなたが言(い)われたとおりにわたしにしてください」。 37娘(むすめ)はまた父(ちち)に言(い)った、「どうぞ、この事(こと)をわたしにさせてください。すなわち二か月(げつ)の間(あいだ)わたしをゆるし、友(とも)だちと一緒(いっしょ)に行(い)って、山々(やまやま)をゆきめぐり、わたしの処女(しょじょ)であることを嘆(なげ)かせてください」。 38エフタは「行(い)きなさい」と言(い)って、彼女(かのじょ)を二か月(げつ)の間(あいだ)、出(だ)してやった。彼女(かのじょ)は友(とも)だちと一緒(いっしょ)に行(い)って、山(やま)の上(うえ)で自分(じぶん)の処女(しょじょ)であることを嘆(なげ)いたが、 39二か月(げつ)の後(のち)、父(ちち)のもとに帰(かえ)ってきたので、父(ちち)は誓(ちか)った誓願(せいがん)のとおりに彼女(かのじょ)におこなった。彼女(かのじょ)はついに男(おとこ)を知(し)らなかった。 40これによって年々(ねんねん)イスラエルの娘(むすめ)たちは行(い)って、年(ねん)に四日(か)ほどギレアデびとエフタの娘(むすめ)のために嘆(なげ)くことがイスラエルのならわしとなった。

第一二章

1エフライムの人々(ひとびと)は集(あつ)まってザポンに行(い)き、エフタに言(い)った、「なぜあなたは進(すす)んで行(い)ってアンモンの人々(ひとびと)と戦(たたか)いながら、われわれを招(まね)いて一緒(いっしょ)に行(い)かせませんでしたか。われわれはあなたの家(いえ)に火(ひ)をつけてあなたを一緒(いっしょ)に焼(や)いてしまいます」。 2エフタは彼(かれ)らに言(い)った、「かつてわたしとわたしの民(たみ)がアンモンの人々(ひとびと)と大(おお)いに争(あらそ)ったとき、あなたがたを呼(よ)んだが、あなたがたはわたしを彼(かれ)らの手(て)から救(すく)ってくれませんでした。 3あなたがたが救(すく)ってくれないのを見(み)たから、わたしは命(いのち)がけでアンモンの人々(ひとびと)のところへ攻(せ)めて行(い)きますと、主(しゅ)は彼(かれ)らをわたしの手(て)にわたされたのです。どうしてあなたがたは、きょう、わたしのところに上(のぼ)ってきて、わたしと戦(たたか)おうとするのですか」。 4そこでエフタはギレアデの人々(ひとびと)をことごとく集(あつ)めてエフライムと戦(たたか)い、ギレアデの人々(ひとびと)はエフライムを撃(う)ち破(やぶ)った。これはエフライムが「ギレアデびとよ、あなたがたはエフライムとマナセのうちにいるエフライムの落人(おちうど)だ」と言(い)ったからである。 5そしてギレアデびとはエフライムに渡(わた)るヨルダンの渡(わた)し場(ば)を押(おさ)えたので、エフライムの落人(おちうど)が「渡(わた)らせてください」と言(い)うとき、ギレアデの人々(ひとびと)は「あなたはエフライムびとですか」と問(と)い、その人(ひと)がもし「そうではありません」と言(い)うならば、 6またその人(ひと)に「では『シボレテ』と言(い)ってごらんなさい」と言(い)い、その人(ひと)がそれを正(ただ)しく発音(はつおん)することができないで「セボレテ」と言(い)うときは、その人(ひと)を捕(とら)えて、ヨルダンの渡(わた)し場(ば)で殺(ころ)した。その時(とき)エフライムびとの倒(たお)れたものは四万二千人(にん)であった。

7エフタは六年(ねん)の間(あいだ)イスラエルをさばいた。ギレアデびとエフタはついに死(し)んで、ギレアデの自分(じぶん)の町(まち)に葬(ほうむ)られた。

8彼(かれ)の後(のち)にベツレヘムのイブザンがイスラエルをさばいた。 9彼(かれ)に三十人(にん)のむすこがあった。また三十人(にん)の娘(むすめ)があったが、それを自分(じぶん)の氏族(しぞく)以外(いがい)の者(もの)にとつがせ、むすこたちのためには三十人(にん)の娘(むすめ)をほかからめとった。彼(かれ)は七年(ねん)の間(あいだ)イスラエルをさばいた。 10イブザンはついに死(し)んで、ベツレヘムに葬(ほうむ)られた。

11彼(かれ)の後(のち)にゼブルンびとエロンがイスラエルをさばいた。彼(かれ)は十年(ねん)の間(あいだ)イスラエルをさばいた。 12ゼブルンびとエロンはついに死(し)んで、ゼブルンの地(ち)のアヤロンに葬(ほうむ)られた。

13彼(かれ)の後(のち)にピラトンびとヒレルの子(こ)アブドンがイスラエルをさばいた。 14彼(かれ)に四十人(にん)のむすこ及(およ)び三十人(にん)の孫(まご)があり、七十頭(とう)のろばに乗(の)った。彼(かれ)は八年(ねん)の間(あいだ)イスラエルをさばいた。 15ピラトンびとヒレルの子(こ)アブドンはついに死(し)んで、エフライムの地(ち)のアマレクびとの山地(さんち)にあるピラトンに葬(ほうむ)られた。

第一三章

1イスラエルの人々(ひとびと)がまた主(しゅ)の前(まえ)に悪(あく)を行(おこな)ったので、主(しゅ)は彼(かれ)らを四十年(ねん)の間(あいだ)ペリシテびとの手(て)にわたされた。

2ここにダンびとの氏族(しぞく)の者(もの)で、名(な)をマノアというゾラの人(ひと)があった。その妻(つま)はうまずめで、子(こ)を産(う)んだことがなかった。 3主(しゅ)の使(つかい)がその女(おんな)に現(あらわ)れて言(い)った、「あなたはうまずめで、子(こ)を産(う)んだことがありません。しかし、あなたは身(み)ごもって男(おとこ)の子(こ)を産(う)むでしょう。 4それであなたは気(き)をつけて、ぶどう酒(しゅ)または濃(こ)い酒(さけ)を飲(の)んではなりません。またすべて汚(けが)れたものを食(た)べてはなりません。 5あなたは身(み)ごもって男(おとこ)の子(こ)を産(う)むでしょう。その頭(あたま)にかみそりをあててはなりません。その子(こ)は生(うま)れた時(とき)から神(かみ)にささげられたナジルびとです。彼(かれ)はペリシテびとの手(て)からイスラエルを救(すく)い始(はじ)めるでしょう」。 6そこでその女(おんな)はきて夫(おっと)に言(い)った、「神(かみ)の人(ひと)がわたしのところにきました。その顔(かお)かたちは神(かみ)の使(つかい)の顔(かお)かたちのようで、たいそう恐(おそ)ろしゅうございました。わたしはその人(ひと)が、どこからきたのか尋(たず)ねませんでしたが、その人(ひと)もわたしに名(な)を告(つ)げませんでした。 7しかしその人(ひと)はわたしに『あなたは身(み)ごもって男(おとこ)の子(こ)を産(う)むでしょう。それであなたはぶどう酒(しゅ)または濃(こ)い酒(さけ)を飲(の)んではなりません。またすべて汚(けが)れたものを食(た)べてはなりません。その子(こ)は生(うま)れた時(とき)から死(し)ぬ日(ひ)まで神(かみ)にささげられたナジルびとです』と申(もう)しました」。

8そこでマノアは主(しゅ)に願(ねが)い求(もと)めて言(い)った、「ああ、主(しゅ)よ、どうぞ、あなたがさきにつかわされた神(かみ)の人(ひと)をもう一度(ど)わたしたちに臨(のぞ)ませて、わたしたちがその生(うま)れる子(こ)になすべきことを教(おし)えさせてください」。 9神(かみ)がマノアの願(ねが)いを聞(き)かれたので、神(かみ)の使(つかい)は女(おんな)が畑(はたけ)に座(ざ)していた時(とき)、ふたたび彼女(かのじょ)に臨(のぞ)んだ。しかし夫(おっと)マノアは一緒(いっしょ)にいなかった。 10女(おんな)は急(いそ)ぎ走(はし)って行(い)って夫(おっと)に言(い)った、「さきごろ、わたしに臨(のぞ)まれた人(ひと)がまたわたしに現(あらわ)れました」。 11マノアは立(た)って妻(つま)のあとについて行(い)き、その人(ひと)のもとに行(い)って言(い)った、「あなたはかつてこの女(おんな)にお告(つ)げになったおかたですか」。その人(ひと)は言(い)った、「そうです」。 12マノアは言(い)った、「あなたの言(い)われたことが事実(じじつ)となったとき、その子(こ)の育(そだ)て方(かた)およびこれになすべき事(こと)はなんでしょうか」。 13主(しゅ)の使(つかい)はマノアに言(い)った、「わたしがさきに女(おんな)に言(い)ったことは皆(みな)、守(まも)らせなければなりません。 14すなわちぶどうの木(き)から産(さん)するものはすべて食(た)べてはなりません。またぶどう酒(しゅ)と濃(こ)い酒(さけ)を飲(の)んではなりません。またすべて汚(けが)れたものを食(た)べてはなりません。わたしが彼女(かのじょ)に命(めい)じたことは皆(みな)、守(まも)らせなければなりません」。

15マノアは主(しゅ)の使(つかい)に言(い)った、「どうぞ、わたしたちに、あなたを引(ひ)き留(と)めさせ、あなたのために子(こ)やぎを備(そな)えさせてください」。 16主(しゅ)の使(つかい)はマノアに言(い)った、「あなたがわたしを引(ひ)き留(と)めても、わたしはあなたの食物(しょくもつ)をたべません。しかしあなたが燔祭(はんさい)を備(そな)えようとなさるのであれば、主(しゅ)にそれをささげなさい」。マノアは彼(かれ)が主(しゅ)の使(つかい)であるのを知(し)らなかったからである。 17マノアは主(しゅ)の使(つかい)に言(い)った、「あなたの名(な)はなんといいますか。あなたの言(い)われたことが事実(じじつ)となったとき、わたしたちはあなたをあがめましょう」。 18主(しゅ)の使(つかい)は彼(かれ)に言(い)った、「わたしの名(な)は不思議(ふしぎ)です。どうしてあなたはそれをたずねるのですか」。 19そこでマノアは子(こ)やぎと素祭(そさい)とをとり、岩(いわ)の上(うえ)でそれを主(しゅ)にささげた。主(しゅ)は不思議(ふしぎ)なことをされ、マノアとその妻(つま)はそれを見(み)た。 20すなわち炎(ほのお)が祭壇(さいだん)から天(てん)にあがったとき、主(しゅ)の使(つかい)は祭壇(さいだん)の炎(ほのお)のうちにあってのぼった。マノアとその妻(つま)は見(み)て、地(ち)にひれ伏(ふ)した。

21主(しゅ)の使(つかい)はふたたびマノアとその妻(つま)に現(あらわ)れなかった。その時(とき)マノアは彼(かれ)が主(しゅ)の使(つかい)であることを知(し)った。 22マノアは妻(つま)に向(む)かって言(い)った、「わたしたちは神(かみ)を見(み)たから、きっと死(し)ぬであろう」。 23妻(つま)は彼(かれ)に言(い)った、「主(しゅ)がもし、わたしたちを殺(ころ)そうと思(おも)われたのならば、わたしたちの手(て)から燔祭(はんさい)と素祭(そさい)をおうけにならなかったでしょう。またこれらのすべての事(こと)をわたしたちにお示(しめ)しになるはずはなく、また今(いま)わたしたちにこのような事(こと)をお告(つ)げにならなかったでしょう」。 24やがて女(おんな)は男(おとこ)の子(こ)を産(う)んで、その名(な)をサムソンと呼(よ)んだ。その子(こ)は成長(せいちょう)し、主(しゅ)は彼(かれ)を恵(めぐ)まれた。 25主(しゅ)の霊(れい)はゾラとエシタオルの間(あいだ)のマハネダンにおいて初(はじ)めて彼(かれ)を感動(かんどう)させた。

第一四章

1サムソンはテムナに下(くだ)って行(い)き、ペリシテびとの娘(むすめ)で、テムナに住(す)むひとりの女(おんな)を見(み)た。 2彼(かれ)は帰(かえ)ってきて父母(ふぼ)に言(い)った、「わたしはペリシテびとの娘(むすめ)で、テムナに住(す)むひとりの女(おんな)を見(み)ました。彼女(かのじょ)をめとってわたしの妻(つま)にしてください」。 3父母(ふぼ)は言(い)った、「あなたが行(い)って、割礼(かつれい)をうけないペリシテびとのうちから妻(つま)を迎(むか)えようとするのは、身内(みうち)の娘(むすめ)たちのうちに、あるいはわたしたちのすべての民(たみ)のうちに女(おんな)がないためなのですか」。しかしサムソンは父(ちち)に言(い)った、「彼女(かのじょ)をわたしにめとってください。彼女(かのじょ)はわたしの心(こころ)にかないますから」。

4父母(ふぼ)はこの事(こと)が主(しゅ)から出(で)たものであることを知(し)らなかった。サムソンはペリシテびとを攻(せ)めようと、おりをうかがっていたからである。そのころペリシテびとはイスラエルを治(おさ)めていた。

5かくてサムソンは父母(ふぼ)と共(とも)にテムナに下(くだ)って行(い)った。彼(かれ)がテムナのぶどう畑(はたけ)に着(つ)くと、一頭(とう)の若(わか)いししがほえたけって彼(かれ)に向(む)かってきた。 6時(とき)に主(しゅ)の霊(れい)が激(はげ)しく彼(かれ)に臨(のぞ)んだので、彼(かれ)はあたかも子(こ)やぎを裂(さ)くようにそのししを裂(さ)いたが、手(て)にはなんの武器(ぶき)も持(も)っていなかった。しかしサムソンはそのしたことを父(ちち)にも母(はは)にも告(つ)げなかった。 7サムソンは下(くだ)って行(い)って女(おんな)と話(はな)し合(あ)ったが、女(おんな)はサムソンの心(こころ)にかなった。 8日(ひ)がたって後(のち)、サムソンは彼女(かのじょ)をめとろうとして帰(かえ)ったが、道(みち)を転(てん)じて、かのししのしかばねを見(み)ると、ししのからだに、はちの群(む)れと、蜜(みつ)があった。 9彼(かれ)はそれをかきあつめ、手(て)にとって歩(ある)きながら食(た)べ、父母(ふぼ)のもとに帰(かえ)って、彼(かれ)らに与(あた)えたので、彼(かれ)らもそれを食(た)べた。しかし、ししのからだからその蜜(みつ)をかきあつめたことは彼(かれ)らに告(つ)げなかった。

10そこで父(ちち)が下(くだ)って、女(おんな)のもとに行(い)ったので、サムソンはそこにふるまいを設(もう)けた。そうすることは花婿(はなむこ)のならわしであったからである。 11人々(ひとびと)はサムソンを見(み)ると、三十人(にん)の客(きゃく)を連(つ)れてきて、同席(どうせき)させた。 12サムソンは彼(かれ)らに言(い)った、「わたしはあなたがたに一つのなぞを出(だ)しましょう。あなたがたがもし七日(なぬか)のふるまいのうちにそれを解(と)いて、わたしに告(つ)げることができたなら、わたしはあなたがたに亜麻(あま)の着物(きもの)三十と、晴(は)れ着(ぎ)三十をさしあげましょう。 13しかしあなたがたが、それをわたしに告(つ)げることができなければ、亜麻(あま)の着物(きもの)三十と晴(は)れ着(ぎ)三十をわたしにくれなければなりません」。彼(かれ)らはサムソンに言(い)った、「なぞを出(だ)しなさい。わたしたちはそれを聞(き)きましょう」。 14サムソンは彼(かれ)らに言(い)った、
「食(く)らう者(もの)から食(く)い物(もの)が出(で)、
強(つよ)い者(もの)から甘(あま)い物(もの)が出(で)た」。
彼(かれ)らは三日(か)のあいだなぞを解(と)くことができなかった。

15四日(か)目(め)になって、彼(かれ)らはサムソンの妻(つま)に言(い)った、「あなたの夫(おっと)を説(と)きすすめて、なぞをわたしたちに明(あ)かすようにしてください。そうしなければ、わたしたちは火(ひ)をつけてあなたとあなたの父(ちち)の家(いえ)を焼(や)いてしまいます。あなたはわたしたちの物(もの)を取(と)るために、わたしたちを招(まね)いたのですか」。 16そこでサムソンの妻(つま)はサムソンの前(まえ)に泣(な)いて言(い)った、「あなたはただわたしを憎(にく)むだけで、愛(あい)してくれません。あなたはわたしの国(くに)の人々(ひとびと)になぞを出(だ)して、それをわたしに解(と)き明(あ)かしませんでした」。サムソンは彼女(かのじょ)に言(い)った、「わたしは自分(じぶん)の父(ちち)にも母(はは)にも解(と)き明(あ)かさなかった。どうしてあなたに解(と)き明(あ)かせよう」。 17彼女(かのじょ)は七日(なぬか)のふるまいの間(あいだ)、彼(かれ)の前(まえ)に泣(な)いていたが、七日(なぬか)目(め)になって、サムソンはついに彼女(かのじょ)に解(と)き明(あ)かした。ひどく彼(かれ)に迫(せま)ったからである。そこで彼女(かのじょ)はなぞを自分(じぶん)の国(くに)の人々(ひとびと)にあかした。 18七日(なぬか)目(め)になって、日(ひ)の没(ぼっ)する前(まえ)に町(まち)の人々(ひとびと)はサムソンに言(い)った、
「蜜(みつ)より甘(あま)いものに何(なに)があろう。
ししより強(つよ)いものに何(なに)があろう」。
サムソンは彼(かれ)らに言(い)った、
「わたしの若(わか)い雌牛(めうし)で耕(たがや)さなかったなら、
わたしのなぞは解(と)けなかった」。
19この時(とき)、主(しゅ)の霊(れい)が激(はげ)しくサムソンに臨(のぞ)んだので、サムソンはアシケロンに下(くだ)って行(い)って、その町(まち)の者(もの)三十人(にん)を殺(ころ)し、彼(かれ)らからはぎ取(と)って、かのなぞを解(と)いた人々(ひとびと)に、その晴(は)れ着(ぎ)を与(あた)え、激(はげ)しく怒(いか)って父(ちち)の家(いえ)に帰(かえ)った。 20サムソンの妻(つま)は花婿(はなむこ)付添人(つきそいにん)であった客(きゃく)の妻(つま)となった。

第一五章

1日(ひ)がたって後(のち)、麦(むぎ)刈(かり)の時(とき)にサムソンは子(こ)やぎを携(たずさ)えて妻(つま)をおとずれ、「へやにはいって、妻(つま)に会(あ)いましょう」と言(い)ったが、妻(つま)の父(ちち)ははいることを許(ゆる)さなかった。 2そして父(ちち)は言(い)った、「あなたが確(たし)かに彼女(かのじょ)をきらったに相違(そうい)ないと思(おも)ったので、わたしは彼女(かのじょ)をあなたの客(きゃく)であった者(もの)にやりました。彼女(かのじょ)の妹(いもうと)は彼女(かのじょ)よりもきれいではありませんか。どうぞ、彼女(かのじょ)の代(かわ)りに妹(いもうと)をめとってください」。 3サムソンは彼(かれ)らに言(い)った、「今度(こんど)はわたしがペリシテびとに害(がい)を加(くわ)えても、彼(かれ)らのことでは、わたしに罪(つみ)がない」。 4そこでサムソンは行(い)って、きつね三百匹(ひき)を捕(とら)え、たいまつをとり、尾(お)と尾(お)をあわせて、その二つの尾(お)の間(あいだ)に一つのたいまつを結(むす)びつけ、 5たいまつに火(ひ)をつけて、そのきつねをペリシテびとのまだ刈(か)らない麦(むぎ)の中(なか)に放(はな)し入(い)れ、そのたばね積(つ)んだものと、まだ刈(か)らないものとを焼(や)き、オリブ畑(はたけ)をも焼(や)いた。 6ペリシテびとは言(い)った、「これはだれのしわざか」。人々(ひとびと)は言(い)った、「テムナびとの婿(むこ)サムソンだ。そのしゅうとがサムソンの妻(つま)を取(と)り返(かえ)して、その客(きゃく)であった者(もの)に与(あた)えたからだ」。そこでペリシテびとは上(のぼ)ってきて彼女(かのじょ)とその父(ちち)の家(いえ)を火(ひ)で焼(や)き払(はら)った。 7サムソンは彼(かれ)らに言(い)った、「あなたがたがそんなことをするならば、わたしはあなたがたに仕返(しかえ)しせずにはおかない」。 8そしてサムソンは彼(かれ)らを、さんざんに撃(う)って大(だい)ぜい殺(ころ)した。こうしてサムソンは下(くだ)って行(い)って、エタムの岩(いわ)の裂(さ)け目(め)に住(す)んでいた。

9そこでペリシテびとは上(のぼ)ってきて、ユダに陣(じん)を取(と)り、レヒを攻(せ)めたので、 10ユダの人々(ひとびと)は言(い)った、「あなたがたはどうしてわれわれのところに攻(せ)めのぼってきたのですか」。彼(かれ)らは言(い)った、「われわれはサムソンを縛(しば)り、彼(かれ)がわれわれにしたように、彼(かれ)にするために上(のぼ)ってきたのです」。 11そこでユダの人々(ひとびと)三千人(にん)がエタムの岩(いわ)の裂(さ)け目(め)に下(くだ)って行(い)って、サムソンに言(い)った、「ペリシテびとはわれわれの支配者(しはいしゃ)であることをあなたは知(し)らないのですか。あなたはどうしてわれわれにこんな事(こと)をしたのですか」。サムソンは彼(かれ)らに言(い)った、「彼(かれ)らがわたしにしたように、わたしは彼(かれ)らにしたのです」。 12彼(かれ)らはまたサムソンに言(い)った、「われわれはあなたを縛(しば)って、ペリシテびとの手(て)にわたすために下(くだ)ってきたのです」。サムソンは彼(かれ)らに言(い)った、「あなたがた自身(じしん)はわたしを撃(う)たないということを誓(ちか)いなさい」。 13彼(かれ)らはサムソンに言(い)った、「いや、われわれはただ、あなたを縛(しば)って、ペリシテびとの手(て)にわたすだけです。決(けっ)してあなたを殺(ころ)しません」。彼(かれ)らは二本(ほん)の新(あたら)しい綱(つな)をもって彼(かれ)を縛(しば)って、岩(いわ)からひきあげた。

14サムソンがレヒにきたとき、ペリシテびとは声(こえ)をあげて、彼(かれ)に近(ちか)づいた。その時(とき)、主(しゅ)の霊(れい)が激(はげ)しく彼(かれ)に臨(のぞ)んだので、彼(かれ)の腕(うで)にかかっていた綱(つな)は火(ひ)に焼(や)けた亜麻(あま)のようになって、そのなわめが手(て)から解(と)けて落(お)ちた。 15彼(かれ)はろばの新(あたら)しいあご骨(ほね)一つを見(み)つけたので、手(て)を伸(の)べて取(と)り、それをもって一千人(にん)を打(う)ち殺(ころ)した。 16そしてサムソンは言(い)った、
「ろばのあご骨(ほね)をもって山(やま)また山(やま)を築(きず)き、
ろばのあご骨(ほね)をもって一千人(にん)を打(う)ち殺(ころ)した」。
17彼(かれ)は言(い)い終(おわ)ると、その手(て)からあご骨(ほね)を投(な)げすてた。これがためにその所(ところ)は「あご骨(ほね)の丘(おか)」と呼(よ)ばれた。

18時(とき)に彼(かれ)はひどくかわきを覚(おぼ)えたので、主(しゅ)に呼(よ)ばわって言(い)った、「あなたはしもべの手(て)をもって、この大(おお)きな救(すくい)を施(ほどこ)されたのに、わたしは今(いま)、かわいて死(し)に、割礼(かつれい)をうけないものの手(て)に陥(おちい)ろうとしています」。 19そこで神(かみ)はレヒにあるくぼんだ所(ところ)を裂(さ)かれたので、そこから水(みず)が流(なが)れ出(で)た。サムソンがそれを飲(の)むと彼(かれ)の霊(れい)はもとにかえって元(もと)気(き)づいた。それでその名(な)を「呼(よ)ばわった者(もの)の泉(いずみ)」と呼(よ)んだ。これは今日(こんにち)までレヒにある。 20サムソンはペリシテびとの時代(じだい)に二十年(ねん)の間(あいだ)イスラエルをさばいた。

第一六章

1サムソンはガザへ行(い)って、そこでひとりの遊女(ゆうじょ)を見(み)、その女(おんな)のところにはいった。 2「サムソンがここにきた」と、ガザの人々(ひとびと)に告(つ)げるものがあったので、ガザの人々(ひとびと)はその所(ところ)を取(と)り囲(かこ)み、夜通(よどお)し町(まち)の門(もん)で待(ま)ち伏(ぶ)せし、「われわれは朝(あさ)まで待(ま)って彼(かれ)を殺(ころ)そう」と言(い)って、夜通(よどお)し静(しず)かにしていた。 3サムソンは夜中(よなか)まで寝(ね)たが、夜中(よなか)に起(お)きて、町(まち)の門(もん)のとびらと二つの門柱(もんちゅう)に手(て)をかけて、貫(かん)の木(き)もろともに引(ひ)き抜(ぬ)き、肩(かた)に載(の)せて、ヘブロンの向(む)かいにある山(やま)の頂(いただき)に運(はこ)んで行(い)った。

4この後(のち)、サムソンはソレクの谷(たに)にいるデリラという女(おんな)を愛(あい)した。 5ペリシテびとの君(きみ)たちはその女(おんな)のところにきて言(い)った、「あなたはサムソンを説(と)きすすめて、彼(かれ)の大力(だいりき)はどこにあるのか、またわれわれはどうすれば彼(かれ)に勝(か)って、彼(かれ)を縛(しば)り苦(くる)しめることができるかを見(み)つけなさい。そうすればわれわれはおのおの銀(ぎん)千百枚(まい)ずつをあなたにさしあげましょう」。 6そこでデリラはサムソンに言(い)った、「あなたの大力(だいりき)はどこにあるのか、またどうすればあなたを縛(しば)って苦(くる)しめることができるか、どうぞわたしに聞(き)かせてください」。 7サムソンは女(おんな)に言(い)った、「人々(ひとびと)がもし、かわいたことのない七本(ほん)の新(あたら)しい弓弦(ゆみづる)をもってわたしを縛(しば)るなら、わたしは弱(よわ)くなってほかの人(ひと)のようになるでしょう」。 8そこでペリシテびとの君(きみ)たちが、かわいたことのない七本(ほん)の新(あたら)しい弓弦(ゆみづる)を女(おんな)に持(も)ってきたので、女(おんな)はそれをもってサムソンを縛(しば)った。 9女(おんな)はかねて奥(おく)のへやに人(ひと)を忍(しの)ばせておいて、サムソンに言(い)った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫(せま)っています」。しかしサムソンはその弓弦(ゆみづる)を、あたかも亜麻(あま)糸(いと)が火(ひ)にあって断(た)たれるように断(た)ち切(き)った。こうして彼(かれ)の力(ちから)の秘密(ひみつ)は知(し)れなかった。

10デリラはサムソンに言(い)った、「あなたはわたしを欺(あざむ)いて、うそを言(い)いました。どうしたらあなたを縛(しば)ることができるか、どうぞ今(いま)わたしに聞(き)かせてください」。 11サムソンは女(おんな)に言(い)った、「もし人々(ひとびと)がまだ用(もち)いたことのない新(あたら)しい綱(つな)をもって、わたしを縛(しば)るなら、弱(よわ)くなってほかの人(ひと)のようになるでしょう」。 12そこでデリラは新(あたら)しい綱(つな)をとり、それをもって彼(かれ)を縛(しば)り、そして彼(かれ)に言(い)った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫(せま)っています」。時(とき)に人々(ひとびと)は奥(おく)のへやに忍(しの)んでいたが、サムソンはその綱(つな)を糸(いと)のように腕(うで)から断(た)ち落(おと)した。

13そこでデリラはサムソンに言(い)った、「あなたは今(いま)まで、わたしを欺(あざむ)いて、うそを言(い)いましたが、どうしたらあなたを縛(しば)ることができるか、わたしに聞(き)かせてください」。彼(かれ)は女(おんな)に言(い)った、「あなたがもし、わたしの髪(かみ)の毛(け)七ふさを機(はた)の縦糸(たていと)と一緒(いっしょ)に織(お)って、くぎでそれを留(と)めておくならば、わたしは弱(よわ)くなってほかの人(ひと)のようになるでしょう」。そこで彼(かれ)が眠(ねむ)ったとき、デリラはサムソンの髪(かみ)の毛(け)、七ふさをとって、それを機(はた)の縦糸(たていと)に織(お)り込(こ)み、 14くぎでそれを留(と)めておいて、彼(かれ)に言(い)った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫(せま)っています」。しかしサムソンは目(め)をさまして、くぎと機(はた)と縦糸(たていと)とを引(ひ)き抜(ぬ)いた。

15そこで女(おんな)はサムソンに言(い)った、「あなたの心(こころ)がわたしを離(はな)れているのに、どうして『おまえを愛(あい)する』と言(い)うことができますか。あなたはすでに三度(ど)もわたしを欺(あざむ)き、あなたの大力(だいりき)がどこにあるかをわたしに告(つ)げませんでした」。 16女(おんな)は毎日(まいにち)その言葉(ことば)をもって彼(かれ)に迫(せま)り促(うなが)したので、彼(かれ)の魂(たましい)は死(し)ぬばかりに苦(くる)しんだ。 17彼(かれ)はついにその心(こころ)をことごとく打(う)ち明(あ)けて女(おんな)に言(い)った、「わたしの頭(あたま)にはかみそりを当(あ)てたことがありません。わたしは生(うま)れた時(とき)から神(かみ)にささげられたナジルびとだからです。もし髪(かみ)をそり落(おと)されたなら、わたしの力(ちから)は去(さ)って弱(よわ)くなり、ほかの人(ひと)のようになるでしょう」。

18デリラはサムソンがその心(こころ)をことごとく打(う)ち明(あ)けたのを見(み)、人(ひと)をつかわしてペリシテびとの君(きみ)たちを呼(よ)んで言(い)った、「サムソンはその心(こころ)をことごとくわたしに打(う)ち明(あ)けましたから、今度(こんど)こそ上(のぼ)っておいでなさい」。そこでペリシテびとの君(きみ)たちは、銀(ぎん)を携(たずさ)えて女(おんな)のもとに上(のぼ)ってきた。 19女(おんな)は自分(じぶん)のひざの上(うえ)にサムソンを眠(ねむ)らせ、人(ひと)を呼(よ)んで髪(かみ)の毛(け)、七ふさをそり落(おと)させ、彼(かれ)を苦(くる)しめ始(はじ)めたが、その力(ちから)は彼(かれ)を去(さ)っていた。 20そして女(おんな)が「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫(せま)っています」と言(い)ったので、彼(かれ)は目(め)をさまして言(い)った、「わたしはいつものように出(で)て行(い)って、からだをゆすろう」。彼(かれ)は主(しゅ)が自分(じぶん)を去(さ)られたことを知(し)らなかった。 21そこでペリシテびとは彼(かれ)を捕(とら)えて、両(りょう)眼(め)をえぐり、ガザに引(ひ)いて行(い)って、青銅(せいどう)の足(あし)かせをかけて彼(かれ)をつないだ。こうしてサムソンは獄屋(ごくや)の中(なか)で、うすをひいていたが、 22その髪(かみ)の毛(け)はそり落(おと)された後(のち)、ふたたび伸(の)び始(はじ)めた。

23さてペリシテびとの君(きみ)たちは、彼(かれ)らの神(かみ)ダゴンに大(おお)いなる犠牲(ぎせい)をささげて祝(しゅく)をしようと、共(とも)に集(あつ)まって言(い)った、「われわれの神(かみ)は、敵(てき)サムソンをわれわれの手(て)にわたされた」。 24民(たみ)はサムソンを見(み)て、自分(じぶん)たちの神(かみ)をほめたたえて言(い)った、「われわれの神(かみ)は、われわれの国(くに)を荒(あら)し、われわれを多(おお)く殺(ころ)した敵(てき)をわれわれの手(て)にわたされた」。 25彼(かれ)らはまた心(こころ)に喜(よろこ)んで言(い)った、「サムソンを呼(よ)んで、われわれのために戯(ざ)れ事(ごと)をさせよう」。彼(かれ)らは獄屋(ごくや)からサムソンを呼(よ)び出(だ)して、彼(かれ)らの前(まえ)に戯(ざ)れ事(ごと)をさせた。彼(かれ)らがサムソンを柱(はしら)のあいだに立(た)たせると、 26サムソンは自分(じぶん)の手(て)をひいている若者(わかもの)に言(い)った、「わたしの手(て)を放(はな)して、この家(いえ)をささえている柱(はしら)をさぐらせ、それに寄(よ)りかからせてください」。 27その家(いえ)には男女(だんじょ)が満(み)ち、ペリシテびとの君(きみ)たちも皆(みな)そこにいた。また屋根(やね)の上(うえ)には三千人(にん)ばかりの男女(だんじょ)がいて、サムソンの戯(ざ)れ事(ごと)をするのを見(み)ていた。

28サムソンは主(しゅ)に呼(よ)ばわって言(い)った、「ああ、主(しゅ)なる神(かみ)よ、どうぞ、わたしを覚(おぼ)えてください。ああ、神(かみ)よ、どうぞもう一度(ど)、わたしを強(つよ)くして、わたしの二つの目(め)の一つのためにでもペリシテびとにあだを報(むく)いさせてください」。 29そしてサムソンは、その家(いえ)をささえている二つの中(なか)柱(はしら)の一つを右(みぎ)の手(て)に、一つを左(ひだり)の手(て)にかかえて、身(み)をそれに寄(よ)せ、 30「わたしはペリシテびとと共(とも)に死(し)のう」と言(い)って、力(ちから)をこめて身(み)をかがめると、家(いえ)はその中(なか)にいた君(きみ)たちと、すべての民(たみ)の上(うえ)に倒(たお)れた。こうしてサムソンが死(し)ぬときに殺(ころ)したものは、生(い)きているときに殺(ころ)したものよりも多(おお)かった。 31やがて彼(かれ)の身内(みうち)の人(ひと)たちおよび父(ちち)の家族(かぞく)の者(もの)がみな下(くだ)ってきて、彼(かれ)を引(ひ)き取(と)り、携(たずさ)え上(のぼ)って、ゾラとエシタオルの間(あいだ)にある父(ちち)マノアの墓(はか)に葬(ほうむ)った。サムソンがイスラエルをさばいたのは二十年(ねん)であった。

第一七章

1ここにエフライムの山地(さんち)の人(ひと)で、名(な)をミカと呼(よ)ぶものがあった。 2彼(かれ)は母(はは)に言(い)った、「あなたはかつて銀(ぎん)千百枚(まい)を取(と)られたので、それをのろい、わたしにも話(はな)されましたが、その銀(ぎん)はわたしが持(も)っています。わたしがそれを取(と)ったのです」。母(はは)は言(い)った、「どうぞ主(しゅ)がわが子(こ)を祝福(しゅくふく)されますように」。 3そして彼(かれ)が銀(ぎん)千百枚(まい)を母(はは)に返(かえ)したので、母(はは)は言(い)った、「わたしはわたしの子(こ)のために一つの刻(きざ)んだ像(ぞう)と、一つの鋳(い)た像(ぞう)を造(つく)るためにその銀(ぎん)をわたしの手(て)から主(しゅ)に献納(けんのう)します。それで今(いま)それをあなたに返(かえ)しましょう」。 4ミカがその銀(ぎん)を母(はは)に返(かえ)したので、母(はは)はその銀(ぎん)二百枚(まい)をとって、それを銀(ぎん)細工人(ざいくにん)に与(あた)え、一つの刻(きざ)んだ像(ぞう)と、一つの鋳(い)た像(ぞう)を造(つく)らせた。その像(ぞう)はミカの家(いえ)にあった。 5このミカという人(ひと)は神(かみ)の宮(みや)をもち、エポデとテラピムを造(つく)り、その子(こ)のひとりを立(た)てて、自分(じぶん)の祭司(さいし)とした。 6そのころイスラエルには王(おう)がなかったので、人々(ひとびと)はおのおの自分(じぶん)たちの目(め)に正(ただ)しいと思(おも)うことを行(おこな)った。

7さてここにユダの氏族(しぞく)のもので、ユダのベツレヘムからきたひとりの若者(わかもの)があった。彼(かれ)はレビびとであって、そこに寄留(きりゅう)していたのである。 8この人(ひと)は自分(じぶん)の住(す)むべきところを尋(たず)ねて、ユダのベツレヘムの町(まち)を去(さ)り、旅(たび)してエフライムの山地(さんち)のミカの家(いえ)にきた。 9ミカは彼(かれ)に言(い)った、「あなたはどこからおいでになりましたか」。彼(かれ)は言(い)った、「わたしはユダのベツレヘムのレビびとですが、住(す)むべきところを尋(たず)ねて旅(たび)をしているのです」。 10ミカは言(い)った、「わたしと一緒(いっしょ)にいて、わたしのために父(ちち)とも祭司(さいし)ともなってください。そうすれば年(ねん)に銀(ぎん)十枚(まい)と衣服(いふく)ひとそろいと食物(しょくもつ)とをさしあげましょう」。 11レビびとはついにその人(ひと)と一緒(いっしょ)に住(す)むことを承諾(しょうだく)した。そしてその若者(わかもの)は彼(かれ)の子(こ)のひとりのようになった。 12ミカはレビびとであるこの若者(わかもの)を立(た)てて自分(じぶん)の祭司(さいし)としたので、彼(かれ)はミカの家(いえ)にいた。 13それでミカは言(い)った、「今(いま)わたしはレビびとを祭司(さいし)に持(も)つようになったので、主(しゅ)がわたしをお恵(めぐ)みくださることがわかりました」。

第一八章

1そのころイスラエルには王(おう)がなかった。そのころダンびとの部族(ぶぞく)はイスラエルの部族(ぶぞく)のうちにあって、その日(ひ)までまだ嗣(し)業(ぎょう)の地(ち)を得(え)なかったので自分(じぶん)たちの住(す)むべき嗣(し)業(ぎょう)の地(ち)を求(もと)めていた。 2それでダンの人々(ひとびと)は自分(じぶん)の部族(ぶぞく)の総勢(そうぜい)のうちから、勇者(ゆうしゃ)五人(にん)をゾラとエシタオルからつかわして土地(とち)をうかがい探(さぐ)らせた。すなわち彼(かれ)らに言(い)った、「行(い)って土地(とち)を探(さぐ)ってきなさい」。彼(かれ)らはエフライムの山地(さんち)に行(い)き、ミカの家(いえ)に着(つ)いて、そこに宿(やど)ろうとした。 3彼(かれ)らがミカの家(いえ)に近(ちか)づいたとき、レビびとである若者(わかもの)の声(こえ)を聞(き)きわけたので、身(み)をめぐらしてそこにはいって彼(かれ)に言(い)った、「だれがあなたをここに連(つ)れてきたのですか。あなたはここで何(なに)をしているのですか。ここになんの用(よう)があるのですか」。 4若者(わかもの)は彼(かれ)らに言(い)った、「ミカが、かようかようにしてわたしを雇(やと)ったので、わたしはその祭司(さいし)となったのです」。 5彼(かれ)らは言(い)った、「どうぞ、神(かみ)に伺(うかが)って、われわれが行(い)く道(みち)にしあわせがあるかどうかを知(し)らせてください」。 6その祭司(さいし)は彼(かれ)らに言(い)った、「安心(あんしん)して行(い)きなさい。あなたがたが行(い)く道(みち)は主(しゅ)が見守(みまも)っておられます」。

7そこで五人(にん)の者(もの)は去(さ)ってライシに行(い)き、そこにいる民(たみ)を見(み)ると、彼(かれ)らは安(やす)らかに住(す)まい、その穏(おだ)やかで安(やす)らかなことシドンびとのようであって、この国(くに)には一つとして欠(か)けたものがなく、富(とみ)を持(も)ち、またシドンびとと遠(とお)く離(はな)れており、ほかの民(たみ)と交(まじ)わることがなかった。 8かくて彼(かれ)らがゾラとエシタオルにおる兄弟(きょうだい)たちのもとに帰(かえ)ってくると、兄弟(きょうだい)たちは彼(かれ)らに言(い)った、「いかがでしたか」。 9彼(かれ)らは言(い)った、「立(た)って彼(かれ)らのところに攻(せ)め上(のぼ)りましょう。われわれはかの地(ち)を見(み)たが、非常(ひじょう)に豊(ゆた)かです。あなたがたはなぜじっとしているのですか。ためらわずに進(すす)んで行(い)って、かの地(ち)を取(と)りなさい。 10あなたがたが行(い)けば、安(やす)らかにおる民(たみ)の所(ところ)に行(い)くでしょう。その地(ち)は広(ひろ)く、神(かみ)はそれをあなたがたの手(て)に賜(たま)わるのです。そこには地(ち)にあるもの一つとして欠(か)けているものはありません」。

11そこでダンの氏族(しぞく)のもの六百人(にん)が武器(ぶき)を帯(お)びて、ゾラとエシタオルを出発(しゅっぱつ)し、 12上(のぼ)って行(い)ってユダのキリアテ・ヤリムに陣(じん)を張(は)った。このゆえに、その所(ところ)は今日(こんにち)までマハネダンと呼(よ)ばれる。それはキリアテ・ヤリムの西(にし)にある。 13彼(かれ)らはそこからエフライムの山地(さんち)に進(すす)み、ミカの家(いえ)に着(つ)いた。

14かのライシの国(くに)をうかがいに行(い)った五人(にん)の者(もの)はその兄弟(きょうだい)たちに言(い)った、「あなたがたはこれらの家(いえ)にエポデとテラピムと刻(きざ)んだ像(ぞう)と鋳(い)た像(ぞう)のあるのを知(し)っていますか。それであなたがたは今(いま)、なすべきことを決(き)めなさい」。 15そこで彼(かれ)らはその方(ほう)へ身(み)をめぐらして、かのレビびとの若者(わかもの)の家(いえ)すなわちミカの家(いえ)に行(い)って、彼(かれ)に安否(あんぴ)を問(と)うた。 16しかし武器(ぶき)を帯(お)びた六百人(にん)のダンの人々(ひとびと)は門(もん)の入口(いりぐち)に立(た)っていた。 17かの土地(とち)をうかがいに行(い)った五人(にん)の者(もの)は上(のぼ)って行(い)って、そこにはいり、刻(きざ)んだ像(ぞう)とエポデとテラピムと鋳(い)た像(ぞう)とを取(と)ったが、祭司(さいし)は武器(ぶき)を帯(お)びた六百人(にん)の者(もの)と共(とも)に門(もん)の入口(いりぐち)に立(た)っていた。 18彼(かれ)らがミカの家(いえ)にはいって刻(きざ)んだ像(ぞう)とエポデとテラピムと鋳(い)た像(ぞう)とを取(と)った時(とき)、祭司(さいし)は彼(かれ)らに言(い)った、「あなたがたは何(なに)をなさいますか」。 19彼(かれ)らは言(い)った、「黙(だま)りなさい。あなたの手(て)を口(くち)にあてて、われわれと一緒(いっしょ)にきて、われわれのために父(ちち)とも祭司(さいし)ともなりなさい。ひとりの家(いえ)の祭司(さいし)であるのと、イスラエルの一(いち)部族(ぶぞく)、一(いち)氏族(しぞく)の祭司(さいし)であるのと、どちらがよいですか」。 20祭司(さいし)は喜(よろこ)んで、エポデとテラピムと刻(きざ)んだ像(ぞう)とを取(と)り、民(たみ)のなかに加(くわ)わった。

21かくて彼(かれ)らは身(み)をめぐらして去(さ)り、その子(こ)供(とも)たちと家畜(かちく)と貨(か)財(ざい)をさきにたてて進(すす)んだが、 22ミカの家(いえ)をはるかに離(はな)れたとき、ミカは家(いえ)に近(ちか)い家(いえ)の人々(ひとびと)を集(あつ)め、ダンの人々(ひとびと)に追(お)いつき、 23ダンの人々(ひとびと)を呼(よ)んだので、彼(かれ)らはふり向(む)いてミカに言(い)った、「あなたがそのように仲間(なかま)を連(つ)れてきたのは、どうしたのですか」。 24彼(かれ)は言(い)った、「あなたがたが、わたしの造(つく)った神々(かみがみ)および祭司(さいし)を奪(うば)い去(さ)ったので、わたしに何(なに)が残(のこ)っていますか。しかるにあなたがたがわたしに向(む)かって『どうしたのですか』と言(い)われるとは何事(なにごと)ですか」。 25ダンの人々(ひとびと)は彼(かれ)に言(い)った、「あなたは大(おお)きな声(こえ)を出(だ)さないがよい。気(き)の荒(あら)い連中(れんちゅう)があなたに撃(う)ちかかって、あなたは自分(じぶん)の命(いのち)と家族(かぞく)の命(いのち)を失(うしな)うようになるでしょう」。 26こうしてダンの人々(ひとびと)は去(さ)って行(い)ったが、ミカは彼(かれ)らの強(つよ)いのを見(み)て、くびすをかえして自分(じぶん)の家(いえ)に帰(かえ)った。

27さて彼(かれ)らはミカが造(つく)った物(もの)と、ミカと共(とも)にいた祭司(さいし)とを奪(うば)ってライシにおもむき、穏(おだ)やかで、安(やす)らかな民(たみ)のところへ行(い)って、つるぎをもって彼(かれ)らを撃(う)ち、火(ひ)をつけてその町(まち)を焼(や)いたが、 28シドンを遠(とお)く離(はな)れており、ほかの民(たみ)との交(まじ)わりがなかったので、それを救(すく)うものがなかった。その町(まち)はベテレホブに属(ぞく)する谷(たに)にあった。彼(かれ)らは町(まち)を建(た)てなおしてそこに住(す)み、 29イスラエルに生(うま)れた先祖(せんぞ)ダンの名(な)にしたがって、その町(まち)の名(な)をダンと名(な)づけた。その町(まち)の名(な)はもとはライシであった。 30そしてダンの人々(ひとびと)は刻(きざ)んだ像(ぞう)を自分(じぶん)たちのために安置(あんち)し、モーセの孫(まご)すなわちゲルショムの子(こ)ヨナタンとその子孫(しそん)がダンびとの部族(ぶぞく)の祭司(さいし)となって、国(くに)が捕囚(ほしゅう)となる日(ひ)にまで及(およ)んだ。 31神(かみ)の家(いえ)がシロにあったあいだ、常(つね)に彼(かれ)らはミカが造(つく)ったその刻(きざ)んだ像(ぞう)を飾(かざ)って置(お)いた。

第一九章

1そのころ、イスラエルに王(おう)がなかった時(とき)、エフライムの山地(さんち)の奥(おく)にひとりのレビびとが寄留(きりゅう)していた。彼(かれ)はユダのベツレヘムからひとりの女(おんな)を迎(むか)えて、めかけとしていたが、 2そのめかけは怒(いか)って、彼(かれ)のところを去(さ)り、ユダのベツレヘムの父(ちち)の家(いえ)に帰(かえ)って、そこに四か月(げつ)ばかり過(す)ごした。 3そこで夫(おっと)は彼女(かのじょ)をなだめて連(つ)れ帰(かえ)ろうと、しもべと二頭(とう)のろばを従(したが)え、立(た)って彼女(かのじょ)のあとを追(お)って行(い)った。彼(かれ)が女(おんな)の父(ちち)の家(いえ)に着(つ)いた時(とき)、娘(むすめ)の父(ちち)は彼(かれ)を見(み)て、喜(よろこ)んで迎(むか)えた。 4娘(むすめ)の父(ちち)であるしゅうとが引(ひ)き留(と)めたので、彼(かれ)は三日(か)共(とも)におり、みな飲(の)み食(く)いしてそこに宿(やど)った。 5四日(か)目(め)に彼(かれ)らは朝(あさ)はやく起(お)き、彼(かれ)が立(た)ち去(さ)ろうとしたので、娘(むすめ)の父(ちち)は婿(むこ)に言(い)った、「少(すこ)し食事(しょくじ)をして元気(げんき)をつけ、それから出(で)かけなさい」。 6そこでふたりは座(ざ)して共(とも)に飲(の)み食(く)いしたが、娘(むすめ)の父(ちち)はその人(ひと)に言(い)った、「どうぞもう一晩(ひとばん)泊(と)まって楽(たの)しく過(す)ごしなさい」。 7その人(ひと)は立(た)って去(さ)ろうとしたが、しゅうとがしいたので、ついにまたそこに宿(やど)った。 8五日(か)目(め)になって、朝(あさ)はやく起(お)きて去(さ)ろうとしたが、娘(むすめ)の父(ちち)は言(い)った、「どうぞ、元気(げんき)をつけて、日(ひ)が傾(かたむ)くまでとどまりなさい」。そこで彼(かれ)らふたりは食事(しょくじ)をした。 9その人(ひと)がついにめかけおよびしもべと共(とも)に去(さ)ろうとして立(た)ちあがったとき、娘(むすめ)の父(ちち)であるしゅうとは彼(かれ)に言(い)った、「日(ひ)も暮(く)れようとしている。どうぞもう一晩(ばん)泊(と)まりなさい。日(ひ)は傾(かたむ)いた。ここに宿(やど)って楽(たの)しく過(す)ごしなさい。そしてあしたの朝(あさ)はやく起(お)きて出立(しゅったつ)し、家(いえ)に帰(かえ)りなさい」。

10しかし、その人(ひと)は泊(と)まることを好(この)まないので、立(た)って去(さ)り、エブスすなわちエルサレムの向(む)かいに着(つ)いた。くらをおいた二頭(とう)のろばと彼(かれ)のめかけも一緒(いっしょ)であった。 11彼(かれ)らがエブスに近(ちか)づいたとき、日(ひ)はすでに没(ぼっ)したので、しもべは主人(しゅじん)に言(い)った、「さあ、われわれは道(みち)を転(てん)じてエブスびとのこの町(まち)にはいって、そこに宿(やど)りましょう」。 12主人(しゅじん)は彼(かれ)に言(い)った、「われわれは道(みち)を転(てん)じて、イスラエルの人々(ひとびと)の町(まち)でない外国(がいこく)人(じん)の町(まち)に、はいってはならない。ギベアまで行(い)こう」。 13彼(かれ)はまたしもべに言(い)った、「さあ、われわれはギベアかラマか、そのうちの一つに着(つ)いてそこに宿(やど)ろう」。 14彼(かれ)らは進(すす)んで行(い)ったが、ベニヤミンに属(ぞく)するギベアの近(ちか)くで日(ひ)が暮(く)れたので、 15ギベアへ行(い)って宿(やど)ろうと、そこに道(みち)を転(てん)じ、町(まち)にはいって、その広場(ひろば)に座(ざ)した。だれも彼(かれ)らを家(いえ)に迎(むか)えて泊(と)めてくれる者(もの)がなかったからである。

16時(とき)にひとりの老人(ろうじん)が夕暮(ゆうぐれ)に畑(はたけ)の仕事(しごと)から帰(かえ)ってきた。この人(ひと)はエフライムの山地(さんち)の者(もの)で、ギベアに寄留(きりゅう)していたのである。ただしこの所(ところ)の人々(ひとびと)はベニヤミンびとであった。 17彼(かれ)は目(め)をあげて、町(まち)の広場(ひろば)に旅人(たびびと)のおるのを見(み)た。老人(ろうじん)は言(い)った、「あなたはどこへ行(い)かれるのですか。どこからおいでになりましたか」。 18その人(ひと)は言(い)った、「われわれはユダのベツレヘムから、エフライムの山地(さんち)の奥(おく)へ行(い)くものです。わたしはあそこの者(もの)で、ユダのベツレヘムへ行(い)き、今(いま)わたしの家(いえ)に帰(かえ)るところですが、だれもわたしを家(いえ)に泊(と)めてくれる者(もの)がありません。 19われわれには、ろばのわらも飼葉(かいば)もあり、またわたしと、はしためと、しもべと共(とも)にいる若者(わかもの)との食物(しょくもつ)も酒(さけ)もあって、何(なに)も欠(か)けているものはありません」。 20老人(ろうじん)は言(い)った、「安心(あんしん)しなさい。あなたの必要(ひつよう)なものはなんでも備(そな)えましょう。ただ広場(ひろば)で夜(よる)を過(す)ごしてはなりません」。 21そして彼(かれ)を家(いえ)に連(つ)れていって、ろばに飼葉(かいば)を与(あた)えた。彼(かれ)らは足(あし)を洗(あら)って飲(の)み食(く)いした。

22彼(かれ)らが楽(たの)しく過(す)ごしていた時(とき)、町(まち)の人々(ひとびと)の悪(わる)い者(もの)どもがその家(いえ)を取(と)り囲(かこ)み、戸(と)を打(う)ちたたいて、家(いえ)のあるじである老人(ろうじん)に言(い)った、「あなたの家(いえ)にきた人(ひと)を出(だ)しなさい。われわれはその者(もの)を知(し)るであろう」。 23しかし家(いえ)のあるじは彼(かれ)らのところに出(で)ていって言(い)った、「いいえ、兄弟(きょうだい)たちよ、どうぞ、そんな悪(わる)いことをしないでください。この人(ひと)はすでにわたしの家(いえ)にはいったのだから、そんなつまらない事(こと)をしないでください。 24ここに処女(しょじょ)であるわたしの娘(むすめ)と、この人(ひと)のめかけがいます。今(いま)それを出(だ)しますから、それをはずかしめ、あなたがたの好(す)きなようにしなさい。しかしこの人(ひと)にはそのようなつまらない事(こと)をしないでください」。 25しかし人々(ひとびと)が聞(き)きいれなかったので、その人(ひと)は自分(じぶん)のめかけをとって彼(かれ)らのところに出(だ)した。彼(かれ)らはその女(おんな)を犯(おか)して朝(あさ)まで終夜(しゅうや)はずかしめ、日(ひ)ののぼるころになって放(はな)し帰(かえ)らせた。 26朝(あさ)になって女(おんな)は自分(じぶん)の主人(しゅじん)を宿(やど)してくれた人(ひと)の家(いえ)の戸口(とぐち)にきて倒(たお)れ伏(ふ)し、夜(よる)のあけるまでに及(およ)んだ。

27彼女(かのじょ)の主人(しゅじん)は朝(あさ)起(お)きて家(いえ)の戸(と)を開(ひら)き、出(で)て旅立(たびだ)とうとすると、そのめかけである女(おんな)が家(いえ)の戸口(とぐち)に、手(て)を敷居(しきい)にかけて倒(たお)れていた。 28彼(かれ)は女(おんな)に向(む)かって、「起(お)きよ、行(い)こう」と言(い)ったけれども、なんの答(こたえ)もなかった。そこでその人(ひと)は女(おんな)をろばに乗(の)せ、立(た)って自分(じぶん)の家(いえ)におもむいたが、 29その家(いえ)に着(つ)いたとき、刀(かたな)を執(と)り、めかけを捕(とら)えて、そのからだを十二切(き)れに断(た)ち切(き)り、それをイスラエルの全(ぜん)領域(りょういき)にあまねく送(おく)った。 30それを見(み)たものはみな言(い)った、「イスラエルの人々(ひとびと)がエジプトの地(ち)から上(のぼ)ってきた日(ひ)から今日(こんにち)まで、このような事(こと)は起(た)ったこともなく、また見(み)たこともない。この事(こと)をよく考(かんが)え、協議(きょうぎ)して言(い)うことを決(き)めよ」。

第二〇章

1そこでイスラエルの人々(ひとびと)は、ダンからベエルシバまで、またギレアデの地(ち)からもみな出(で)てきて、その会衆(かいしゅう)はひとりのようにミヅパで主(しゅ)のもとに集(あつ)まった。 2民(たみ)の首領(しゅりょう)たち、すなわちイスラエルのすべての部族(ぶぞく)の首領(しゅりょう)たちは、みずから神(かみ)の民(たみ)の集合(しゅうごう)に出(で)た。つるぎを帯(お)びている歩兵(ほへい)が四十万人(にん)あった。 3ベニヤミンの人々(ひとびと)は、イスラエルの人々(ひとびと)がミヅパに上(のぼ)ったことを聞(き)いた。イスラエルの人々(ひとびと)は言(い)った、「どうして、この悪事(あくじ)が起(おこ)ったのか、われわれに話(はな)してください」。 4殺(ころ)された女(おんな)の夫(おっと)であるレビびとは答(こた)えて言(い)った、「わたしは、めかけと一緒(いっしょ)にベニヤミンに属(ぞく)するギベアへ行(い)って宿(やど)りましたが、 5ギベアの人々(ひとびと)は立(た)ってわたしを攻(せ)め、夜(よ)の間(ま)に、わたしのおる家(いえ)を取(と)り囲(かこ)んで、わたしを殺(ころ)そうと企(くわだ)て、ついにわたしのめかけをはずかしめて、死(し)なせました。 6それでわたしはめかけを捕(とら)えて断(た)ち切(き)り、それをイスラエルの嗣(し)業(ぎょう)のすべての地方(ちほう)にあまねく送(おく)りました。彼(かれ)らがイスラエルにおいて憎(にく)むべきみだらなことを行(おこな)ったからです。 7イスラエルの人々(ひとびと)よ、あなたがたは皆(みな)自分(じぶん)の意見(いけん)と考(かんが)えをここに述(の)べてください」。

8民(たみ)は皆(みな)ひとりのように立(た)って言(い)った、「われわれはだれも自分(じぶん)の天幕(てんまく)に行(い)きません。まただれも自分(じぶん)の家(いえ)に帰(かえ)りません。 9われわれが今(いま)ギベアに対(たい)してしようとする事(こと)はこれです。われわれはくじを引(ひ)いて、ギベアに攻(せ)めのぼりましょう。 10すなわちイスラエルのすべての部族(ぶぞく)から百人(にん)について十人(にん)、千人(にん)について百人(にん)、万人(にん)について千人(にん)を選(えら)んで、民(たみ)の糧食(りょうしょく)をとらせ、民(たみ)はベニヤミンのギベアに行(い)って、ベニヤミンびとがイスラエルにおいておこなったすべてのみだらな事(こと)に対(たい)して、報復(ほうふく)しましょう」。 11こうしてイスラエルの人々(ひとびと)は皆(みな)集(あつ)まり、一致(いっち)結束(けっそく)して町(まち)を攻(せ)めようとした。

12イスラエルのもろもろの部族(ぶぞく)は人々(ひとびと)をあまねくベニヤミンの部族(ぶぞく)のうちにつかわして言(い)わせた、「あなたがたのうちに起(た)ったこの事(こと)は、なんたる悪事(あくじ)でしょうか。 13それで今(いま)ギベアにいるあの悪(わる)い人々(ひとびと)をわたしなさい。われわれは彼(かれ)らを殺(ころ)して、イスラエルから悪(あく)を除(のぞ)き去(さ)りましょう」。しかしベニヤミンの人々(ひとびと)はその兄弟(きょうだい)であるイスラエルの人々(ひとびと)の言葉(ことば)を聞(き)きいれなかった。 14かえってベニヤミンの人々(ひとびと)は町々(まちまち)からギベアに集(あつ)まり、出(で)てイスラエルの人々(ひとびと)と戦(たたか)おうとした。 15その日(ひ)、町々(まちまち)から集(あつ)まったベニヤミンの人々(ひとびと)はつるぎを帯(お)びている者(もの)二万六千人(にん)あり、ほかにギベアの住民(じゅうみん)で集(あつ)まった精兵(せいへい)が七百人(にん)あった。 16このすべての民(たみ)のうちに左(ひだり)ききの精兵(せいへい)が七百人(にん)あって、いずれも一本(ぽん)の毛(け)すじをねらって石(いし)を投(な)げても、はずれることがなかった。 17イスラエルの人々(ひとびと)の集(あつ)まった者(もの)はベニヤミンを除(のぞ)いて、つるぎを帯(お)びている者(もの)四十万人(にん)あり、いずれも軍人(ぐんじん)であった。

18イスラエルの人々(ひとびと)は立(た)ちあがってベテルにのぼり、神(かみ)に尋(たず)ねた、「われわれのうち、いずれがさきにのぼって、ベニヤミンの人々(ひとびと)と戦(たたか)いましょうか」。主(しゅ)は言(い)われた、「ユダがさきに」。

19そこでイスラエルの人々(ひとびと)は、朝(あさ)起(お)きて、ギベアに対(たい)し陣(じん)を取(と)った。 20すなわちイスラエルの人々(ひとびと)はベニヤミンと戦(たたか)うために出(で)て行(い)って、ギベアで彼(かれ)らに対(たい)して戦(たたか)いの備(そな)えをしたが、 21ベニヤミンの人々(ひとびと)はギベアから出(で)てきて、その日(ひ)イスラエルの人々(ひとびと)のうち二万二千人(にん)を地(ち)に撃(う)ち倒(たお)した。 22しかしイスラエルの民(たみ)の人々(ひとびと)は奮(ふる)いたって初(はじ)めの日(ひ)に備(そな)えをした所(ところ)にふたたび戦(たたか)いの備(そな)えをした。 23そしてイスラエルの人々(ひとびと)は上(のぼ)って行(い)って主(しゅ)の前(まえ)に夕暮(ゆうぐれ)まで泣(な)き、主(しゅ)に尋(たず)ねた、「われわれは再(ふたた)びわれわれの兄弟(きょうだい)であるベニヤミンの人々(ひとびと)と戦(たたか)いを交(まじ)えるべきでしょうか」。主(しゅ)は言(い)われた、「攻(せ)めのぼれ」。

24そこでイスラエルの人々(ひとびと)は、次(つぎ)の日(ひ)またベニヤミンの人々(ひとびと)の所(ところ)に攻(せ)めよせたが、 25ベニヤミンは次(つぎ)の日(ひ)またギベアから出(で)て、これを迎(むか)え、ふたたびイスラエルの人々(ひとびと)のうち一万八千人(にん)を地(ち)に撃(う)ち倒(たお)した。これらは皆(みな)つるぎを帯(お)びている者(もの)であった。 26これがためにイスラエルのすべての人々(ひとびと)すなわち全(ぜん)軍(ぐん)はベテルに上(のぼ)って行(い)って泣(な)き、その所(ところ)で主(しゅ)の前(まえ)に座(ざ)して、その日(ひ)夕暮(ゆうぐれ)まで断食(だんじき)し、燔祭(はんさい)と酬恩祭(しゅうおんさい)を主(しゅ)の前(まえ)にささげた。 27そしてイスラエルの人々(ひとびと)は主(しゅ)に尋(たず)ね、――そのころ神(かみ)の契約(けいやく)の箱(はこ)はそこにあって、 28アロンの子(こ)エレアザルの子(こ)であるピネハスが、それに仕(つか)えていた――そして言(い)った、「われわれはなおふたたび出(で)て、われわれの兄弟(きょうだい)であるベニヤミンの人々(ひとびと)と戦(たたか)うべきでしょうか。あるいはやめるべきでしょうか」。主(しゅ)は言(い)われた、「のぼれ。わたしはあす彼(かれ)らをあなたがたの手(て)にわたすであろう」。

29そこでイスラエルはギベアの周囲(しゅうい)に伏兵(ふくへい)を置(お)き、 30そしてイスラエルの人々(ひとびと)は三日(か)目(め)にまたベニヤミンの人々(ひとびと)のところに攻(せ)めのぼり、前(まえ)のようにギベアに対(たい)して備(そな)えをした。 31ベニヤミンの人々(ひとびと)は出(で)て、民(たみ)を迎(むか)えたが、ついに町(まち)からおびき出(だ)されたので、彼(かれ)らは前(まえ)のように大路(おおじ)で民(たみ)を撃(う)ちはじめ、また野(の)でイスラエルの人(ひと)を三十人(にん)ばかり殺(ころ)した。その大路(おおじ)は、一つはベテルに至(いた)り、一つはギベアに至(いた)るものであった。 32ベニヤミンの人々(ひとびと)は言(い)った、「彼(かれ)らは初(はじ)めのように、われわれの前(まえ)に撃(う)ち破(やぶ)られる」。しかしイスラエルの人々(ひとびと)は言(い)った、「われわれは逃(に)げて、彼(かれ)らを町(まち)から大路(おおじ)におびき出(だ)そう」。 33そしてイスラエルの人々(ひとびと)は皆(みな)その所(ところ)から立(た)ってバアル・タマルに備(そな)えをした。その間(かん)に待(ま)ち伏(ぶ)せていたイスラエルの人々(ひとびと)がその所(ところ)から、すなわちゲバの西(にし)から現(あらわ)れ出(で)た。 34すなわちイスラエルの全(ぜん)軍(ぐん)のうちから精兵(せいへい)一万人(にん)がきて、ギベアを襲(おそ)い、その戦(たたか)いは激(はげ)しかった。しかしベニヤミンの人々(ひとびと)は災(わざわい)の自分(じぶん)たちに迫(せま)っているのを知(し)らなかった。 35主(しゅ)がイスラエルの前(まえ)にベニヤミンを撃(う)ち敗(やぶ)られたので、イスラエルの人々(ひとびと)は、その日(ひ)ベニヤミンびと二万五千一百人(にん)を殺(ころ)した。これらは皆(みな)つるぎを帯(お)びている者(もの)であった。 36こうしてベニヤミンの人々(ひとびと)は自分(じぶん)たちの撃(う)ち敗(やぶ)られたのを見(み)た。

そこでイスラエルの人々(ひとびと)はギベアに対(たい)して設(もう)けた伏兵(ふくへい)をたのんで、ベニヤミンびとを避(さ)けて退(しりぞ)いた。 37伏兵(ふくへい)は急(いそ)いでギベアに突(つ)き入(い)り、進(すす)んでつるぎをもって町(まち)をことごとく撃(う)った。 38イスラエルの人々(ひとびと)と伏兵(ふくへい)の間(あいだ)に定(さだ)めた合図(あいず)は、町(まち)から大(おお)いなるのろしがあがるとき、 39イスラエルの人々(ひとびと)が戦(たたか)いに転(てん)じることであった。さてベニヤミンは初(はじ)めイスラエルの人々(ひとびと)を撃(う)って三十人(にん)ばかりを殺(ころ)したので言(い)った、「まことに彼(かれ)らは最初(さいしょ)の戦(たたか)いのようにわれわれの前(まえ)に撃(う)ち敗(やぶ)られる」。 40しかし、のろしが煙(けむり)の柱(はしら)となって町(まち)からのぼりはじめたので、ベニヤミンの人々(ひとびと)がうしろを見(み)ると、町(まち)はみな煙(けむり)となって天(てん)にのぼっていた。 41その時(とき)イスラエルの人々(ひとびと)が向(む)きを変(か)えたので、ベニヤミンの人々(ひとびと)は災(わざわい)が自分(じぶん)たちに迫(せま)ったのを見(み)て、うろたえ、 42イスラエルの人々(ひとびと)の前(まえ)から身(み)をめぐらして荒野(あらの)の方(ほう)に向(む)かったが、戦(たたか)いが彼(かれ)らに追(お)い迫(せま)り、町(まち)から出(で)てきた者(もの)どもは、彼(かれ)らを中(なか)にはさんで殺(ころ)した。 43すなわちイスラエルの人々(ひとびと)はベニヤミンの人々(ひとびと)を切(き)り倒(たお)し、追(お)い撃(う)ち、踏(ふ)みにじって、ノハから東(ひがし)の方(ほう)ギベアの向(む)かいにまで及(およ)んだ。 44ベニヤミンの倒(たお)れた者(もの)は一万八千人(にん)で、みな勇士(ゆうし)であった。 45彼(かれ)らは身(み)をめぐらして荒野(あらの)の方(ほう)、リンモンの岩(いわ)まで逃(に)げたが、イスラエルの人々(ひとびと)は大路(おおじ)でそのうち五千人(にん)を切(き)り倒(たお)し、なおも追撃(ついげき)してギドムに至(いた)り、そのうちの二千人(にん)を殺(ころ)した。 46こうしてその日(ひ)ベニヤミンの倒(たお)れた者(もの)はつるぎを帯(お)びている者(もの)合(あ)わせて二万五千人(にん)で、みな勇士(ゆうし)であった。 47しかし六百人(にん)の者(もの)は身(み)をめぐらして荒野(あらの)の方(ほう)、リンモンの岩(いわ)まで逃(に)げて、四か月(げつ)の間(あいだ)リンモンの岩(いわ)に住(す)んだ。 48そこでイスラエルの人々(ひとびと)はまた身(み)をかえしてベニヤミンの人々(ひとびと)を攻(せ)め、つるぎをもって人(ひと)も獣(けもの)もすべて見(み)つけたものを撃(う)ち殺(ころ)し、また見(み)つけたすべての町(まち)に火(ひ)をかけた。

第二一章

1かつてイスラエルの人々(ひとびと)はミヅパで、「われわれのうちひとりもその娘(むすめ)をベニヤミンびとの妻(つま)として与(あた)える者(もの)があってはならない」と言(い)って誓(ちか)ったので、 2民(たみ)はベテルに行(い)って、そこで夕暮(ゆうぐれ)まで神(かみ)の前(まえ)に座(ざ)し、声(こえ)をあげて激(はげ)しく泣(な)いて、 3言(い)った、「イスラエルの神(かみ)、主(しゅ)よ、どうしてイスラエルにこのような事(こと)が起(た)って、今日(こんにち)イスラエルに一つの部族(ぶぞく)が欠(か)けるようになったのですか」。 4翌日(よくじつ)、民(たみ)は早(はや)く起(お)きて、そこに祭壇(さいだん)を築(きず)き、燔祭(はんさい)と酬恩祭(しゅうおんさい)をささげた。 5そしてイスラエルの人々(ひとびと)は言(い)った、「イスラエルのすべての部族(ぶぞく)のうちで集会(しゅうかい)に上(のぼ)って、主(しゅ)のもとに行(い)かなかった者(もの)はだれか」。これは彼(かれ)らがミヅパにのぼって、主(しゅ)のもとに行(い)かない者(もの)のことについて大(おお)いなる誓(ちか)いを立(た)てて、「その人(ひと)は必(かなら)ず殺(ころ)されなければならない」と言(い)ったからである。 6しかしイスラエルの人々(ひとびと)は兄弟(きょうだい)ベニヤミンをあわれんで言(い)った、「今日(こんにち)イスラエルに一つの部族(ぶぞく)が絶(た)えた。 7われわれは主(しゅ)をさして、われわれの娘(むすめ)を彼(かれ)らに妻(つま)として与(あた)えないと誓(ちか)ったので、かの残(のこ)った者(もの)どもに妻(つま)をめとらせるにはどうしたらよいであろうか」。

8彼(かれ)らはまた言(い)った、「イスラエルの部族(ぶぞく)のうちで、ミヅパにのぼって主(しゅ)のもとに行(い)かなかったのはどの部族(ぶぞく)か」。ところがヤベシ・ギレアデからはひとりも陣営(じんえい)にきて集会(しゅうかい)に臨(のぞ)んだ者(もの)がなかった。 9すなわち民(たみ)を集(あつ)めて見(み)ると、ヤベシ・ギレアデの住民(じゅうみん)はひとりもそこにいなかった。 10そこで会衆(かいしゅう)は勇士(ゆうし)一万二千人(にん)をかしこにつかわし、これに命(めい)じて言(い)った、「ヤベシ・ギレアデに行(い)って、その住民(じゅうみん)を、女(おんな)、子供(こども)もろともつるぎをもって撃(う)て。 11そしてこのようにしなければならない。すなわち男(おとこ)および男(おとこ)と寝(ね)た女(おんな)はことごとく滅(ほろ)ぼさなければならない」。 12こうして彼(かれ)らはヤベシ・ギレアデの住民(じゅうみん)のうちで四百人(にん)の若(わか)い処女(しょじょ)を獲(え)た。これはまだ男(おとこ)と寝(ね)たことがなく、男(おとこ)を知(し)らない者(もの)である。彼(かれ)らはこれをカナンの地(ち)にあるシロの陣営(じんえい)に連(つ)れてきた。

13そこで全(ぜん)会衆(かいしゅう)は人(ひと)をつかわして、リンモンの岩(いわ)におるベニヤミンの人々(ひとびと)に平和(へいわ)を告(つ)げた。 14ベニヤミンの人々(ひとびと)がその時(とき)、帰(かえ)ってきたので、彼(かれ)らはヤベシ・ギレアデの女(おんな)のうちから生(い)かしておいた女(おんな)をこれに与(あた)えたが、なお足(た)りなかった。 15こうして民(たみ)は、主(しゅ)がイスラエルの部族(ぶぞく)のうちに欠陥(けっかん)をつくられたことのために、ベニヤミンをあわれんだ。

16会衆(かいしゅう)の長老(ちょうろう)たちは言(い)った、「ベニヤミンの女(おんな)が絶(た)えたので、かの残(のこ)りの者(もの)どもに妻(つま)をめとらせるにはどうしたらよいでしょうか」。 17彼(かれ)らはまた言(い)った、「イスラエルから一つの部族(ぶぞく)が消(き)えうせないためにベニヤミンのうちの残(のこ)りの者(もの)どもに、あとつぎがなければならない。 18しかし、われわれの娘(むすめ)を彼(かれ)らの妻(つま)に与(あた)えることはできない。イスラエルの人々(ひとびと)が『ベニヤミンに妻(つま)を与(あた)える者(もの)はのろわれる』と言(い)って誓(ちか)ったからである」。 19それで彼(かれ)らは言(い)った、「年々(ねんねん)シロに主(しゅ)の祭(まつり)がある」。シロはベテルの北(きた)にあって、ベテルからシケムにのぼる大路(おおじ)の東(ひがし)、レバナの南(みなみ)にある。 20そして彼(かれ)らはベニヤミンの人々(ひとびと)に命(めい)じて言(い)った、「あなたがたは行(い)って、ぶどう畑(はたけ)に待(ま)ち伏(ぶ)せして、 21うかがいなさい。もしシロの娘(むすめ)たちが踊(おど)りを踊(おど)りに出(で)てきたならば、ぶどう畑(はたけ)から出(で)て、シロの娘(むすめ)たちのうちから、めいめい自分(じぶん)の妻(つま)をとって、ベニヤミンの地(ち)に連(つ)れて行(い)きなさい。 22もしその父(ちち)あるいは兄弟(きょうだい)がきて、われわれに訴(うった)えるならば、われわれは彼(かれ)らに、『われわれのために彼(かれ)らをゆるしてください。戦争(せんそう)のときにわれわれは、彼(かれ)らおのおのに妻(つま)をとってやらなかったし、またあなたがたも彼(かれ)らに与(あた)えなかったからです。もし与(あた)えたならば、あなたがたは罪(つみ)を犯(おか)したことになるからでした』と言(い)いましょう」。 23ベニヤミンの人々(ひとびと)はそのように行(おこな)い、踊(おど)っている者(もの)どものうちから自分(じぶん)たちの数(かず)にしたがって妻(つま)を取(と)り、それを連(つ)れて領地(りょうち)に帰(かえ)り、町々(まちまち)を建(た)てなおして、そこに住(す)んだ。 24こうしてイスラエルの人々(ひとびと)は、その時(とき)そこを去(さ)って、おのおのその部族(ぶぞく)および氏族(しぞく)に帰(かえ)った。すなわちそこを立(た)って、おのおのその嗣(し)業(ぎょう)の地(ち)に帰(かえ)った。

25そのころ、イスラエルには王(おう)がなかったので、おのおの自分(じぶん)の目(め)に正(ただ)しいと見(み)るところをおこなった。