哀歌

第一章


1ああ、むかしは、
民(たみ)の満(み)ちみちていたこの都(みやこ)、
国々(くにぐに)の民(たみ)のうちで大(おお)いなる者(もの)であったこの町(まち)、
今(いま)は寂(さび)しいさまで座(ざ)し、やもめのようになった。
もろもろの町(まち)のうちで女王(じょおう)であった者(もの)、
今(いま)は奴隷(どれい)となった。
2これは夜(よ)もすがらいたく泣(な)き悲(かな)しみ、
そのほおには涙(なみだ)が流(なが)れている。
そのすべての愛(あい)する者(もの)のうちには、
これを慰(なぐさ)める者(もの)はひとりもなく、
そのすべての友(とも)はこれにそむいて、その敵(てき)となった。
3ユダは悩(なや)みのゆえに、
また激(はげ)しい苦役(くえき)のゆえに、のがれて行(い)って、
もろもろの国民(くにたみ)のうちに住(す)んでいるが、安息(あんそく)を得(え)ず、
これを追(お)う者(もの)がみな追(お)いついてみると、
悩(なや)みのうちにあった。
4シオンの道(みち)は祭(まつり)に上(のぼ)ってくる者(もの)のないために悲(かな)しみ、
その門(もん)はことごとく荒(あ)れ、
その祭司(さいし)たちは嘆(なげ)き、
そのおとめたちは引(ひ)かれて行(い)き、
シオンはみずからいたく苦(くる)しむ。
5そのあだはかしらとなり、その敵(てき)は栄(さか)えている。
そのとがが多(おお)いので、
主(しゅ)がこれを悩(なや)まされたからである。
その幼(おさ)な子(ご)たちは捕(とら)われて、あだの前(まえ)に行(い)った。
6シオンの娘(むすめ)の栄華(えいが)はことごとく彼女(かのじょ)を離(はな)れ去(さ)り、
その君(きみ)たちは牧草(ぼくそう)を得(え)ない、しかのようになり、
自分(じぶん)を追(お)う者(もの)の前(まえ)に力(ちから)なく逃(に)げ去(さ)った。
7エルサレムはその悩(なや)みと苦(くる)しみの日(ひ)に、
昔(むかし)から持(も)っていたもろもろの宝(たから)を思(おも)い出(だ)す。
その民(たみ)があだの手(て)に陥(おちい)り、
だれもこれを助(たす)ける者(もの)のない時(とき)、
あだはこれを見(み)て、その滅(ほろ)びをあざ笑(わら)った。
8エルサレムは、はなはだしく罪(つみ)を犯(おか)したので、
汚(けが)れたものとなった。
これを尊(たっと)んだ者(もの)も皆(みな)その裸(はだか)を見(み)たので、
これを卑(いや)しめる。
これもまたみずから嘆(なげ)き、顔(かお)をそむける。
9その汚(けが)れはその衣(ころも)のすそにあり、
これはその終(おわ)りを思(おも)わなかった。
それゆえ、これは驚(おどろ)くばかりに落(お)ちぶれ、
これを慰(なぐさ)める者(もの)はひとりもない。
「主(しゅ)よ、わが悩(なや)みを顧(かえり)みてください、
敵(てき)は勝(か)ち誇(ほこ)っていますから」。
10敵(てき)は手(て)を伸(の)べて、その財宝(ざいほう)をことごとく奪(うば)った。
あなたがさきに異邦人(いほうじん)らはあなたの公会(こうかい)に、
はいってはならないと命(めい)じられたのに、
彼(かれ)らがその聖所(せいじょ)にはいるのをシオンは見(み)た。
11その民(たみ)はみな嘆(なげ)いて食物(しょくもつ)を求(もと)め、
その命(いのち)をささえるために、財宝(ざいほう)を食物(しょくもつ)にかえた。
「主(しゅ)よ、みそなわして、
わたしの卑(いや)しめられるのを顧(かえり)みてください」。
12「すべて道行(みちゆ)く人(ひと)よ、
あなたがたはなんとも思(おも)わないのか。
主(しゅ)がその激(はげ)しい怒(いか)りの日(ひ)にわたしを悩(なや)まして、
わたしにくだされた苦(くる)しみのような苦(くる)しみが、
また世(よ)にあるだろうか、尋(たず)ねて見(み)よ。
13主(しゅ)は上(うえ)から火(ひ)を送(おく)り、
それをわが骨(ほね)にくだし、
網(あみ)を張(は)ってわが足(あし)を捕(とら)え、
わたしを引(ひ)き返(かえ)させ、
ひねもす心(こころ)わびしく、かつ病(や)み衰(おとろ)えさせられた。
14わたしのとがは、つかねられて、
一つのくびきとせられ、
主(しゅ)のみ手(て)により固(かた)く締(し)められて、
わたしの首(くび)におかれ、
わたしの力(ちから)を衰(おとろ)えさせられた。
主(しゅ)はわたしを、立(た)ちむかい得(とく)ざる者(もの)の手(て)に渡(わた)された。
15主(しゅ)はわたしのうちにあるすべての勇士(ゆうし)を無視(むし)し、
聖(せい)会(かい)を召集(しょうしゅう)して、わたしを攻(せ)め、
わが若(わか)き人々(ひとびと)を打(う)ち滅(ほろ)ぼされた。
主(しゅ)は酒(さか)ぶねを踏(ふ)むように、
ユダの娘(むすめ)なるおとめを踏(ふ)みつけられた。
16このために、わたしは泣(な)き悲(かな)しみ、
わたしの目(め)は涙(なみだ)であふれる。
わたしを慰(なぐさ)める者(もの)、わたしを勇気(ゆうき)づける者(もの)が
わたしから遠(とお)く離(はな)れたからである。
わが子(こ)らは敵(てき)が勝(か)ったために、
わびしい者(もの)となった」。
17シオンは手(て)を伸(の)ばしても、
これを慰(なぐさ)める者(もの)はひとりもない。
ヤコブについては、主(しゅ)は命(めい)じて、
その周囲(しゅうい)の者(もの)を、これがあだとせられた。
エルサレムは彼(かれ)らの中(なか)にあって、
汚(けが)れた物(もの)のようになった。
18「主(しゅ)は正(ただ)しい、
わたしは、み言葉(ことば)にそむいた。
すべての民(たみ)よ、聞(き)け、
わが苦(くる)しみを顧(かえり)みよ。
わがおとめらも、わが若人(わこうど)らも捕(とら)われて行(い)った。
19わたしはわが愛(あい)する者(もの)を呼(よ)んだが、
彼(かれ)らはわたしを欺(あざむ)いた。
わが祭司(さいし)および長老(ちょうろう)たちは、その命(いのち)をささえようと、
食物(しょくもつ)を求(もと)めている間(あいだ)に、町(まち)のうちで息(いき)絶(た)えた。
20主(しゅ)よ、顧(かえり)みてください、
わたしは悩(なや)み、わがはらわたはわきかえり、
わが心臓(しんぞう)はわたしの内(うち)に転倒(てんとう)しています。
わたしは、はなはだしくそむいたからです。
外(そと)にはつるぎがあって、わが子(こ)を奪(うば)い、
家(いえ)の内(うち)には死(し)のようなものがある。
21わたしがどんなに嘆(なげ)くかを聞(き)いてください。
わたしを慰(なぐさ)める者(もの)はひとりもなく、
敵(てき)はみなわたしの悩(なや)みを聞(き)いて、
あなたがこれをなされたのを喜(よろこ)んだ。
あなたがさきに告(つ)げ知(し)らせたその日(ひ)をきたらせ、
彼(かれ)らをも、わたしのようにしてください。
22彼(かれ)らの悪(あく)をことごとくあなたの前(まえ)にあらわし、
さきにわがもろもろのとがのために、
わたしに行(おこな)われたように、彼(かれ)らにも行(おこな)ってください。
わが嘆(なげ)きは多(おお)く、
わが心(こころ)は弱(よわ)りはてているからです」。

第二章


1ああ、主(しゅ)は怒(いか)りを起(おこ)し、
黒雲(くろくも)をもってシオンの娘(むすめ)をおおわれた。
主(しゅ)はイスラエルの栄光(えいこう)を天(てん)から地(ち)に投(な)げ落(おと)し、
その怒(いか)りの日(ひ)に、
おのれの足(あし)台(だい)を心(こころ)にとめられなかった。
2主(しゅ)はヤコブのすべてのすまいを
滅(ほろ)ぼして、あわれまず、
その怒(いか)りによって、ユダの娘(むすめ)のとりでをこわし、
これを地(ち)に倒(たお)して、
その国(くに)とそのつかさたちをはずかしめられた。
3主(しゅ)は激(はげ)しい怒(いか)りをもって、
イスラエルのすべての力(ちから)を断(た)ち、
敵(てき)の前(まえ)で、おのれの右(みぎ)の手(て)を引(ひ)きもどし、
周囲(しゅうい)を焼(や)きつくす燃(も)える火(ひ)のように、
ヤコブを焼(や)かれた。
4主(しゅ)は敵(てき)のように弓(ゆみ)を張(は)り、
あだのように右(みぎ)の手(て)を伸(の)べて立(た)ち、
シオンの娘(むすめ)の天幕(てんまく)におるわれわれの目(め)に誇(ほこ)る者(もの)を、
ことごとく殺(ころ)し、
火(ひ)のようにその怒(いか)りを注(そそ)がれた。
5主(しゅ)は敵(てき)のようになって、イスラエルを滅(ほろ)ぼし、
そのすべての宮殿(きゅうでん)を滅(ほろ)ぼし、そのとりでをこわし、
ユダの娘(むすめ)の上(うえ)に憂(うれ)いと悲(かな)しみとを増(ま)し加(くわ)えられた。
6主(しゅ)は園(その)の小屋(こや)のようにおのれの幕屋(まくや)を倒(たお)し、
その祭(まつり)の場所(ばしょ)をこわされた。
主(しゅ)は祭(まつり)と安息日(あんそくにち)とをシオンに忘(わす)れさせ、
激(はげ)しい怒(いか)りによって、王(おう)と祭司(さいし)とを捨(す)てられた。
7主(しゅ)はその祭壇(さいだん)を忌(い)み、その聖所(せいじょ)をきらって、
もろもろの宮殿(きゅうでん)の石(いし)がきを敵(てき)の手(て)に渡(わた)された。
彼(かれ)らは祭(まつり)の日(ひ)のように、主(しゅ)の宮(みや)で声(こえ)をあげた。
8主(しゅ)はシオンの娘(むすめ)の城壁(じょうへき)を破壊(はかい)しようと
思(おも)い定(さだ)めて、なわを張(は)り、
打(う)ちこわして、その手(て)をひかず、
城壁(じょうへき)と石(いし)がきとを悲(かな)しませられた。
これらは共(とも)に衰(おとろ)える。
9その門(もん)は地(ち)にうずもれ、
主(しゅ)はその貫(かん)の木(き)をこわし砕(くだ)かれた。
その王(おう)と君(きみ)たちはもろもろの国民(くにたみ)の中(なか)におり、
もはや律法(りっぽう)はなく、
またその預言者(よげんしゃ)は主(しゅ)から幻(まぼろし)を得(え)ない。
10シオンの娘(むすめ)の長老(ちょうろう)たちは地(ち)に座(ざ)して黙(もく)し、
頭(あたま)にちりをかぶり、身(み)に荒布(あらぬの)をまとった。
エルサレムのおとめたちはこうべを地(ち)にたれた。
11わが目(め)は涙(なみだ)のためにつぶれ、
わがはらわたはわきかえり、
わが肝(きも)はわが民(たみ)の娘(むすめ)の滅(ほろ)びのために、
地(ち)に注(そそ)ぎ出(だ)される。
幼(おさ)な子(こ)や乳(ち)のみ子(ご)が町(まち)のちまたに
息(いき)も絶(た)えようとしているからである。
12彼(かれ)らが、傷(きず)ついた者(もの)のように町(まち)のちまたで
息(いき)も絶(た)えようとするとき、
その母(はは)のふところにその命(いのち)を注(そそ)ぎ出(だ)そうとするとき、
母(はは)にむかって、「パンとぶどう酒(しゅ)とは
どこにありますか」と叫(さけ)ぶ。
13エルサレムの娘(むすめ)よ、わたしは何(なに)をあなたに言(い)い、
何(なに)にあなたを比(くら)べることができようか。
シオンの娘(むすめ)なるおとめよ、
わたしは何(なに)をもってあなたになぞらえて、
あなたを慰(なぐさ)めることができようか。
あなたの破(やぶ)れは海(うみ)のように大(おお)きい、
だれがあなたをいやすことができようか。
14あなたの預言者(よげんしゃ)たちはあなたのために
人(ひと)を欺(あざむ)く偽(いつわ)りの幻(まぼろし)を見(み)た。
彼(かれ)らはあなたの不義(ふぎ)をあらわして
捕(とら)われを免(まぬか)れさせようとはせず、
あなたのために人(ひと)を迷(まよ)わす偽(いつわ)りの託宣(たくせん)を見(み)た。
15すべて道行(みちゆ)く人(ひと)は、あなたにむかって手(て)を打(う)ち、
エルサレムの娘(むすめ)にむかって、あざ笑(わら)い、
かつ頭(あたま)を振(ふ)って言(い)う、
「麗(うるわ)しさのきわみ、全(ぜん)地(ち)の喜(よろこ)びと
となえられた町(まち)はこれなのか」と。
16あなたのもろもろの敵(てき)は、あなたをののしり、
あざ笑(わら)い、歯(は)がみして言(い)う、
「われわれはこれを滅(ほろ)ぼした、
ああ、これはわれわれが望(のぞ)んだ日(ひ)だ、
今(いま)われわれはこれにあい、これを見(み)た」と。
17主(しゅ)はその計画(けいかく)されたことを行(おこな)い、
警告(けいこく)されたことをなし遂(と)げ、
いにしえから命(めい)じておかれたように、
滅(ほろ)ぼして、あわれむことをせず、
あなたについて敵(てき)を喜(よろこ)ばせ、
あなたのあだの力(ちから)を高(たか)められた。
18シオンの娘(むすめ)よ、声(こえ)高(たか)らかに主(しゅ)に呼(よ)ばわれ、
夜(よる)も昼(ひる)も川(かわ)のように涙(なみだ)を流(なが)せ。
みずから安(やす)んじることをせず、
あなたのひとみを休(やす)ませるな。
19夜(よる)、初更(しょこう)に起(お)きて叫(さけ)べ。
主(しゅ)の前(まえ)にあなたの心(こころ)を水(みず)のように注(そそ)ぎ出(だ)せ。
町(まち)のかどで、飢(う)えて
息(いき)も絶(た)えようとする幼(おさ)な子(こ)の命(いのち)のために、
主(しゅ)にむかって両手(りょうて)をあげよ。
20主(しゅ)よ、みそなわして、顧(かえり)みてください。
あなたはだれにむかって
このように行(おこな)われたのですか。
女(おんな)は自分(じぶん)の産(う)んだ子(こ)、
その大事(だいじ)に育(そだ)てた幼(おさ)な子(ご)を食(た)べるでしょうか。
祭司(さいし)と預言者(よげんしゃ)が主(しゅ)の聖所(せいじょ)で殺(ころ)されていいでしょうか。
21老(お)いも若(わか)きも、ちまたのちりに伏(ふ)し、
わがおとめも、若人(わこうど)も、
つるぎで倒(たお)されてしまった。
あなたは、その怒(いか)りの日(ひ)にこれを殺(ころ)し、
これをほふって、あわれむことをされなかった。
22あなたは、わたしの恐(おそ)れるものを、
祭(まつり)の日(ひ)のように四方(しほう)から呼(よ)び集(あつ)められた。
主(しゅ)の怒(いか)りの日(ひ)には、
のがれた者(もの)も残(のこ)った者(もの)もなかった。
わたしが、いだき育(そだ)てた者(もの)を
わたしの敵(てき)は滅(ほろ)ぼし尽(つく)した。

第三章


1わたしは彼(かれ)の怒(いか)りのむちによって、
悩(なや)みにあった人(ひと)である。
2彼(かれ)はわたしをかり立(た)てて、光(ひかり)のない暗(くら)い中(なか)を歩(ある)かせ、
3まことにその手(て)をしばしばかえて、
ひねもすわたしを攻(せ)められた。
4彼(かれ)はわが肉(にく)と皮(かわ)を衰(おとろ)えさせ、わが骨(ほね)を砕(くだ)き、
5苦(くる)しみと悩(なや)みをもって、
わたしを囲(かこ)み、わたしを閉(と)じこめ、
6遠(とお)い昔(むかし)に死(し)んだ者(もの)のように、
暗(くら)い所(ところ)に住(す)まわせられた。
7彼(かれ)はわたしのまわりに、かきをめぐらして、
出(で)ることのできないようにし、
重(おも)い鎖(くさり)でわたしをつながれた。
8わたしは叫(さけ)んで助(たす)けを求(もと)めたが、
彼(かれ)はわたしの祈(いのり)をしりぞけ、
9切(き)り石(いし)をもって、わたしの行(い)く道(みち)をふさぎ、
わたしの道筋(みちすじ)を曲(ま)げられた。
10彼(かれ)はわたしに対(たい)して待(ま)ち伏(ぶ)せするくまのように、
潜(ひそ)み隠(かく)れるししのように、
11わが道(みち)を離(はな)れさせ、わたしを引(ひ)き裂(さ)いて、
見(み)るかげもないみじめな者(もの)とし、
12その弓(ゆみ)を張(は)って、
わたしを矢(や)の的(まと)のようにされた。
13彼(かれ)はその箙(えびら)の矢(や)を
わたしの心臓(しんぞう)に打(う)ち込(こ)まれた。
14わたしはすべての民(たみ)の物笑(ものわら)いとなり、
ひねもす彼(かれ)らの歌(うた)となった。
15彼(かれ)はわたしを苦(にが)い物(もの)で飽(あ)かせ、
にがよもぎをわたしに飲(の)ませられた。
16彼(かれ)は小石(こいし)をもって、わたしの歯(は)を砕(くだ)き、
灰(はい)の中(なか)にわたしをころがされた。
17わが魂(たましい)は平和(へいわ)を失(うしな)い、
わたしは幸福(こうふく)を忘(わす)れた。
18そこでわたしは言(い)った、「わが栄(さか)えはうせ去(さ)り、
わたしが主(しゅ)に望(のぞ)むところのものもうせ去(さ)った」と。
19どうか、わが悩(なや)みと苦(くる)しみ、
にがよもぎと胆汁(たんじゅう)とを心(こころ)に留(と)めてください。
20わが魂(たましい)は絶(た)えずこれを思(おも)って、
わがうちにうなだれる。
21しかし、わたしはこの事(こと)を心(こころ)に思(おも)い起(おこ)す。
それゆえ、わたしは望(のぞ)みをいだく。
22主(しゅ)のいつくしみは絶(た)えることがなく、
そのあわれみは尽(つ)きることがない。
23これは朝(あさ)ごとに新(あたら)しく、
あなたの真実(しんじつ)は大(おお)きい。
24わが魂(たましい)は言(い)う、「主(しゅ)はわたしの受(う)くべき分(ぶん)である、
それゆえ、わたしは彼(かれ)を待(ま)ち望(のぞ)む」と。
25主(しゅ)はおのれを待(ま)ち望(のぞ)む者(もの)と、
おのれを尋(たず)ね求(もと)める者(もの)にむかって恵(めぐ)みふかい。
26主(しゅ)の救(すくい)を静(しず)かに待(ま)ち望(のぞ)むことは、良(よ)いことである。
27人(ひと)が若(わか)い時(とき)にくびきを負(お)うことは、良(よ)いことである。
28主(しゅ)がこれを負(お)わせられるとき、
ひとりすわって黙(もく)しているがよい。
29口(くち)をちりにつけよ、
あるいはなお望(のぞ)みがあるであろう。
30おのれを撃(う)つ者(もの)にほおを向(む)け、
満(み)ち足(た)りるまでに、はずかしめを受(う)けよ。
31主(しゅ)はとこしえにこのような人(ひと)を
捨(す)てられないからである。
32彼(かれ)は悩(なや)みを与(あた)えられるが、
そのいつくしみが豊(ゆた)かなので、
またあわれみをたれられる。
33彼(かれ)は心(こころ)から人(ひと)の子(こ)を
苦(くる)しめ悩(なや)ますことをされないからである。
34地(ち)のすべての捕(とら)われ人(びと)を足(あし)の下(した)に踏(ふ)みにじり、
35いと高(たか)き者(もの)の前(まえ)に人(ひと)の公義(こうぎ)をまげ、
36人(ひと)の訴(うった)えをくつがえすことは、
主(しゅ)のよみせられないことである。
37主(しゅ)が命(めい)じられたのでなければ、
だれが命(めい)じて、その事(こと)の成(な)ったことがあるか。
38災(わざわい)もさいわいも、
いと高(たか)き者(もの)の口(くち)から出(で)るではないか。
39生(い)ける人(ひと)はどうしてつぶやかねばならないのか、
人(ひと)は自分(じぶん)の罪(つみ)の罰(ばっ)せられるのを、
つぶやくことができようか。
40われわれは、自分(じぶん)の行(おこな)いを調(しら)べ、
かつ省(かえり)みて、主(しゅ)に帰(かえ)ろう。
41われわれは天(てん)にいます神(かみ)にむかって、
手(て)と共(とも)に心(こころ)をもあげよう。
42「わたしたちは罪(つみ)を犯(おか)し、そむきました、
あなたはおゆるしになりませんでした。
43あなたは怒(いか)りをもってご自分(じぶん)をおおい、
わたしたちを追(お)い攻(せ)め、殺(ころ)して、あわれまず、
44また雲(くも)をもってご自分(じぶん)をおおい、
祈(いのり)を通(つう)じないようにし、
45もろもろの民(たみ)の中(なか)に、
わたしたちをちりあくたとなさいました。
46敵(てき)はみなわたしたちをののしり、
47恐(おそ)れと落(おと)し穴(あな)と、荒廃(こうはい)と滅亡(めつぼう)とが、
わたしたちに臨(のぞ)みました。
48わが民(たみ)の娘(むすめ)の滅(ほろ)びによって、
わたしの目(め)には涙(なみだ)の川(かわ)が流(なが)れています。
49わが目(め)は絶(た)えず涙(なみだ)を注(そそ)ぎ出(だ)して、やむことなく、
50主(しゅ)が天(てん)から見(み)おろして、
顧(かえり)みられる時(とき)にまで及(およ)ぶでしょう。
51わが目(め)はわが町(まち)のすべての娘(むすめ)の最期(さいご)のゆえに、
わたしを痛(いた)ませます。
52ゆえなくわたしに敵(てき)する者(もの)どもによって、
わたしは鳥(とり)のように追(お)われました。
53彼(かれ)らは生(い)きているわたしを穴(あな)の中(なか)に投(な)げ入(い)れ、
わたしの上(うえ)に石(いし)を投(な)げつけました。
54水(みず)はわたしの頭(あたま)の上(うえ)にあふれ、
わたしは『断(た)ち滅(ほろ)ぼされた』と言(い)いました。
55主(しゅ)よ、わたしは深(ふか)い穴(あな)からみ名(な)を呼(よ)びました。
56あなたはわが声(こえ)を聞(き)かれました、
『わが嘆(なげ)きと叫(さけ)びに耳(みみ)をふさがないでください』。
57わたしがあなたに呼(よ)ばわったとき、
あなたは近寄(ちかよ)って、『恐(おそ)れるな』と言(い)われました。
58主(しゅ)よ、あなたはわが訴(うった)えを取(と)りあげて、
わたしの命(いのち)をあがなわれました。
59主(しゅ)よ、あなたはわたしがこうむった不義(ふぎ)を
ごらんになりました。
わたしの訴(うった)えをおさばきください。
60あなたはわたしに対(たい)する彼(かれ)らの報復(ほうふく)と、
陰謀(いんぼう)とを、ことごとくごらんになりました。
61主(しゅ)よ、あなたはわたしに対(たい)する彼(かれ)らのそしりと、
陰謀(いんぼう)とを、ことごとく聞(き)かれました。
62立(た)ってわたしに逆(さか)らう者(もの)どものくちびると、
その思(おも)いは、ひねもすわたしを攻(せ)めています。
63どうか、彼(かれ)らのすわるをも、立(た)つをも、
みそなわしてください。
わたしは彼(かれ)らの歌(うた)となっています。
64主(しゅ)よ、彼(かれ)らの手(て)のわざにしたがって、彼(かれ)らに報(むく)い、
65彼(かれ)らの心(こころ)をかたくなにし、
あなたののろいを彼(かれ)らに注(そそ)いでください。
66主(しゅ)よ、怒(いか)りをもって彼(かれ)らを追(お)い、
天(あめ)が下(した)から彼(かれ)らを滅(ほろ)ぼしてください」。

第四章


1ああ、黄金(おうごん)は光(ひかり)を失(うしな)い、
純金(じゅんきん)は色(いろ)を変(へん)じ、
聖所(せいじょ)の石(いし)は
すべてのちまたのかどに投(な)げ捨(す)てられた。
2ああ、精(せい)金(きん)にも比(ひ)すべきシオンのいとし子(ご)らは、
陶器(とうき)師(し)の手(て)のわざである土(つち)の器(うつわ)のようにみなされる。
3山犬(やまいぬ)さえも乳(ち)ぶさをたれて、その子(こ)に乳(ちち)を飲(の)ませる。
ところが、わが民(たみ)の娘(むすめ)は、
荒野(あらの)のだちょうのように無慈悲(むじひ)になった。
4乳(ち)のみ子(ご)の舌(した)はかわいて、上(うえ)あごに、ひたとつき、
幼(おさ)な子(ご)らはパンを求(もと)めても、これに与(あた)える者(もの)がない。
5うまい物(もの)を食(た)べていた者(もの)は、
落(お)ちぶれて、ちまたにおり、
紫(むらさき)の着物(きもの)で育(そだ)てられた者(もの)も、
今(いま)は灰(はい)だまりの上(うえ)に伏(ふ)している。
6わが民(たみ)の娘(むすめ)のうけた懲(こら)しめは、
ソドムの罰(ばつ)よりも大(おお)きかった。
ソドムは昔(むかし)、人(ひと)の手(て)によらないで、
またたくまに滅(ほろ)ぼされたのだ。
7わが民(たみ)の君(きみ)たちは雪(ゆき)よりも清(きよ)らかに、
乳(ちち)よりも白(しろ)く、
そのからだは、さんごよりも赤(あか)く、
その姿(すがた)の美(うつく)しさはサファイヤのようであった。
8今(いま)はその顔(かお)はすすよりも黒(くろ)く、
町(まち)の中(なか)にいても人(ひと)に知(し)られず、
その皮膚(ひふ)は縮(ちぢ)んで骨(ほね)につき、
かわいて枯(か)れ木(き)のようになった。
9つるぎで殺(ころ)される者(もの)は、
飢(う)えて死(し)ぬ者(もの)よりもさいわいである。
彼(かれ)らは田畑(たはた)の産物(さんぶつ)の欠乏(けつぼう)によって、
刺(さ)された者(もの)のように衰(おとろ)え行(い)くからである。
10わが民(たみ)の娘(むすめ)の滅(ほろ)びる時(とき)には
情深(なさけぶか)い女(おんな)たちさえも、
手(て)ずから自分(じぶん)の子(こ)どもを煮(に)て、それを食物(しょくもつ)とした。
11主(しゅ)はその憤(いきどお)りをことごとく漏(も)らし、
激(はげ)しい怒(いか)りをそそぎ、
シオンに火(ひ)を燃(も)やして、
その礎(いしずえ)までも焼(や)き払(はら)われた。
12地(ち)の王(おう)たちも、世(よ)の民(たみ)らもみな、
エルサレムの門(もん)に、あだや敵(てき)が、
討(う)ち入(はい)ろうとは信(しん)じなかった。
13これはその預言者(よげんしゃ)たちの罪(つみ)のため、
その祭司(さいし)たちの不義(ふぎ)のためであった。
彼(かれ)らは義人(ぎじん)の血(ち)をその町(まち)の中(なか)に流(なが)した者(もの)である。
14彼(かれ)らは盲人(もうじん)のように、ちまたにさまよい、
血(ち)で汚(けが)れている。
だれもその衣(ころも)にさわることができない。
15人々(ひとびと)は彼(かれ)らにむかって、「去(さ)れよ、けがらわしい」、
「去(さ)れよ、去(さ)れよ、さわるな」と叫(さけ)んだので、
彼(かれ)らは逃(に)げ去(さ)って放浪者(ほうろうしゃ)となったが、
異邦人(いほうじん)の中(なか)でも人々(ひとびと)は「もうわれわれのうちに
宿(やど)ってはならない」と言(い)った。
16主(しゅ)はみずから彼(かれ)らを散(ち)らして、
再(ふたた)び彼(かれ)らを顧(かえり)みず、
祭司(さいし)を尊(たっと)ばず、
長老(ちょうろう)をいたわられなかった。
17われわれの目(め)は、むなしく助(たす)けを待(ま)ち望(のぞ)んで
疲(つか)れ衰(おとろ)えた。
われわれは待(ま)ち望(のぞ)んだが、
救(すくい)を与(あた)え得(え)ない国(くに)びとを待(ま)ち望(のぞ)んだ。
18人々(ひとびと)がわれわれの歩(あゆ)みをうかがうので、
われわれは自分(じぶん)の町(まち)の中(なか)をも、
歩(ある)くことができなかった。
われわれの終(おわ)りは近(ちか)づいた、日(ひ)は尽(つ)きた。
われわれの終(おわ)りが来(き)たからである。
19われわれを追(お)う者(もの)は空(そら)のはげたかよりも速(はや)く、
彼(かれ)らは山(やま)でわれわれを追(お)い立(た)て、
野(の)でわれわれを待(ま)ち伏(ぶ)せる。
20われわれが鼻(はな)の息(いき)とたのんだ者(もの)、
主(しゅ)に油(あぶら)そそがれた者(もの)は、彼(かれ)らの落(おと)し穴(あな)で捕(とら)えられた。
彼(かれ)はわれわれが「異邦人(いほうじん)の中(なか)でも
その陰(かげ)に生(い)きるであろう」と思(おも)った者(もの)である。
21ウズの地(ち)に住(す)むエドムの娘(むすめ)よ、
喜(よろこ)び楽(たの)しめ、
あなたにもまた杯(さかずき)がめぐって行(い)く、
あなたも酔(よ)って裸(はだか)になる。
22シオンの娘(むすめ)よ、あなたの不義(ふぎ)の罰(ばつ)は終(おわ)った。
主(しゅ)は重(かさ)ねてあなたを捕(とら)え移(うつ)されない。
エドムの娘(むすめ)よ、主(しゅ)はあなたの不義(ふぎ)を罰(ばっ)し、
あなたの罪(つみ)をあらわされる。

第五章


1主(しゅ)よ、われわれに臨(のぞ)んだ事(こと)を
覚(おぼ)えてください。
われわれのはずかしめを顧(かえり)みてください。
2われわれの嗣(し)業(ぎょう)は他国(たこく)の人(ひと)に移(うつ)り、
家(いえ)は異邦人(いほうじん)のものとなった。
3われわれはみなしごとなって父(ちち)はなく、
母(はは)はやもめにひとしい。
4われわれは金(かね)を出(だ)して水(みず)を飲(の)み、
価(あたい)を払(はら)って、たきぎを獲(え)なければならない。
5われわれは首(くび)にくびきをかけられて追(お)い使(つか)われ、
疲(つか)れても休(やす)むことができない。
6われわれは足(た)りるだけの食物(しょくもつ)を獲(え)るために、
エジプトおよびアッスリヤに手(て)をさし伸(の)べた。
7われわれの先祖(せんぞ)は罪(つみ)を犯(おか)して、すでに世(よ)になく、
われわれはその不義(ふぎ)の責(せ)めを負(お)っている。
8奴隷(どれい)であった者(もの)がわれわれを治(おさ)めるが、
われわれをその手(て)から救(すく)い出(だ)す者(もの)がない。
9われわれは荒野(あらの)のつるぎのゆえに、
おのが命(いのち)をかけて食物(しょくもつ)を獲(え)る。
10われわれの皮膚(ひふ)は飢餓(きが)の激(はげ)しい熱(ねつ)のために、
炉(ろ)のように熱(あつ)い。
11女(おんな)たちはシオンで犯(おか)され、
おとめたちはユダの町々(まちまち)で汚(けが)された。
12君(きみ)たる者(もの)も彼(かれ)らの手(て)でつるされ、
長老(ちょうろう)たちも尊(たっと)ばれず、
13若者(わかもの)たちは、ひきうすをになわせられ、
わらべたちは、たきぎを負(お)って、よろめき、
14長老(ちょうろう)たちは門(もん)に集(あつ)まることをやめ、
若者(わかもの)たちはその音楽(おんがく)を廃(はい)した。
15われわれの心(こころ)の喜(よろこ)びはやみ、
踊(おど)りは悲(かな)しみに変(かわ)り、
16われわれの冠(かんむり)はこうべから落(お)ちた。
わざわいなるかな、われわれは罪(つみ)を犯(おか)したからである。
17このために、われわれの心(こころ)は衰(おとろ)え、
これらの事(こと)のために、われわれの目(め)はくらくなった。
18シオンの山(やま)は荒(あ)れはて、
山犬(やまいぬ)がその上(うえ)を歩(ある)いているからである。
19しかし主(しゅ)よ、あなたはとこしえに統(す)べ治(おさ)められる。
あなたの、み位(くらい)は世々(よよ)絶(た)えることがない。
20なぜ、あなたはわれわれをながく忘(わす)れ、
われわれを久(ひさ)しく捨(す)ておかれるのですか。
21主(しゅ)よ、あなたに帰(かえ)らせてください、
われわれは帰(かえ)ります。
われわれの日(ひ)を新(あら)たにして、
いにしえの日(ひ)のようにしてください。
22あなたは全(まった)くわれわれを捨(す)てられたのですか、
はなはだしく怒(いか)っていられるのですか。