箴言

第一章


1ダビデの子(こ)、イスラエルの王(おう)ソロモンの箴言(しんげん)。
2これは人(ひと)に知恵(ちえ)と教訓(きょうくん)とを知(し)らせ、
悟(さと)りの言葉(ことば)をさとらせ、
3賢(かしこ)い行(おこな)いと、正義(せいぎ)と公正(こうせい)と
公平(こうへい)の教訓(きょうくん)をうけさせ、
4思慮(しりょ)のない者(もの)に悟(さと)りを与(あた)え、
若(わか)い者(もの)に知識(ちしき)と慎(つつし)みを得(え)させるためである。
5賢(かしこ)い者(もの)はこれを聞(き)いて学(がく)に進(すす)み、
さとい者(もの)は指導(しどう)を得(え)る。
6人(ひと)はこれによって箴言(しんげん)と、たとえと、
賢(かしこ)い者(もの)の言葉(ことば)と、そのなぞとを悟(さと)る。

7主(しゅ)を恐(おそ)れることは知識(ちしき)のはじめである、
愚(おろ)かな者(もの)は知恵(ちえ)と教訓(きょうくん)を軽(かろ)んじる。
8わが子(こ)よ、あなたは父(ちち)の教訓(きょうくん)を聞(き)き、
母(はは)の教(おしえ)を捨(す)ててはならない。
9それらは、あなたの頭(あたま)の麗(うるわ)しい冠(かんむり)となり、
あなたの首(くび)の飾(かざ)りとなるからである。
10わが子(こ)よ、悪者(わるもの)があなたを誘(さそ)っても、
それに従(したが)ってはならない。
11彼(かれ)らがあなたに向(む)かって、「一緒(いっしょ)に来(き)なさい。
われわれは待(ま)ち伏(ぶ)せして、人(ひと)の血(ち)を流(なが)し、
罪(つみ)のない者(もの)を、ゆえなく伏(ふ)してねらい、
12陰府(よみ)のように、彼(かれ)らを生(い)きたままで、のみ尽(つく)し、
健(すこ)やかな者(もの)を、墓(はか)に下(くだ)る者(もの)のようにしよう。
13われわれは、さまざまの尊(たっと)い貨(か)財(ざい)を得(え)、
奪(うば)い取(と)った物(もの)で、われわれの家(いえ)を満(み)たそう。
14あなたもわれわれの仲間(なかま)に加(くわ)わりなさい、
われわれは共(とも)に一つの金(かね)袋(ぶくろ)を持(も)とう」と言(い)っても、
15わが子(こ)よ、彼(かれ)らの仲間(なかま)になってはならない、
あなたの足(あし)をとどめて、彼(かれ)らの道(みち)に行(い)ってはならない。
16彼(かれ)らの足(あし)は悪(あく)に走(はし)り、
血(ち)を流(なが)すことに速(はや)いからだ。
17すべて鳥(とり)の目(め)の前(まえ)で
網(あみ)を張(は)るのは、むだである。
18彼(かれ)らは自分(じぶん)の血(ち)を待(ま)ち伏(ぶ)せし、
自分(じぶん)の命(いのち)を伏(ふ)してねらうのだ。
19すべて利(り)をむさぼる者(もの)の道(みち)はこのようなものである。
これはその持(も)ち主(ぬし)の命(いのち)を取(と)り去(さ)るのだ。

20知恵(ちえ)は、ちまたに呼(よ)ばわり、
市場(しじょう)にその声(こえ)をあげ、
21城壁(じょうへき)の頂(いただき)で叫(さけ)び、町(まち)の門(もん)の入口(いりぐち)で語(かた)る。
22「思慮(しりょ)のない者(もの)たちよ、あなたがたは、いつまで思慮(しりょ)のないことを好(この)むのか。
あざける者(もの)は、いつまで、あざけり楽(たの)しみ、
愚(おろ)かな者(もの)は、いつまで、知識(ちしき)を憎(にく)むのか。
23わたしの戒(いまし)めに心(こころ)をとめよ、
見(み)よ、わたしは自分(じぶん)の思(おも)いを、あなたがたに告(つ)げ、
わたしの言葉(ことば)を、あなたがたに知(し)らせる。
24わたしは呼(よ)んだが、あなたがたは聞(き)くことを拒(こば)み、
手(て)を伸(の)べたが、顧(かえり)みる者(もの)はなく、
25かえって、あなたがたはわたしのすべての勧(すす)めを捨(す)て、
わたしの戒(いまし)めを受(う)けなかったので、
26わたしもまた、あなたがたが災(わざわい)にあう時(とき)に、笑(わら)い、
あなたがたが恐慌(きょうこう)にあう時(とき)、あざけるであろう。
27これは恐慌(きょうこう)が、あらしのようにあなたがたに臨(のぞ)み、
災(わざわい)が、つむじ風(かぜ)のように臨(のぞ)み、
悩(なや)みと悲(かな)しみとが、あなたがたに臨(のぞ)む時(とき)である。
28その時(とき)、彼(かれ)らはわたしを呼(よ)ぶであろう、
しかし、わたしは答(こた)えない。
ひたすら、わたしを求(もと)めるであろう、
しかし、わたしに会(あ)えない。
29彼(かれ)らは知識(ちしき)を憎(にく)み、主(しゅ)を恐(おそ)れることを選(えら)ばず、
30わたしの勧(すす)めに従(したが)わず、
すべての戒(いまし)めを軽(かろ)んじたゆえ、
31自分(じぶん)の行(おこな)いの実(み)を食(く)らい、
自分(じぶん)の計(はか)りごとに飽(あ)きる。
32思慮(しりょ)のない者(もの)の不(ふ)従順(じゅうじゅん)はおのれを殺(ころ)し、
愚(おろ)かな者(もの)の安楽(あんらく)はおのれを滅(ほろ)ぼす。
33しかし、わたしに聞(き)き従(したが)う者(もの)は安(やす)らかに住(す)まい、
災(わざわい)に会(あ)う恐(おそ)れもなく、安全(あんぜん)である」。

第二章


1わが子(こ)よ、もしあなたが
わたしの言葉(ことば)を受(う)け、
わたしの戒(いまし)めを、あなたの心(こころ)におさめ、
2あなたの耳(みみ)を知恵(ちえ)に傾(かたむ)け、
あなたの心(こころ)を悟(さと)りに向(む)け、
3しかも、もし知識(ちしき)を呼(よ)び求(もと)め、
悟(さと)りを得(え)ようと、あなたの声(こえ)をあげ、
4銀(ぎん)を求(もと)めるように、これを求(もと)め、
かくれた宝(たから)を尋(たず)ねるように、これを尋(たず)ねるならば、
5あなたは、主(しゅ)を恐(おそ)れることを悟(さと)り、
神(かみ)を知(し)ることができるようになる。
6これは、主(しゅ)が知恵(ちえ)を与(あた)え、
知識(ちしき)と悟(さと)りとは、み口(くち)から出(で)るからである。
7彼(かれ)は正(ただ)しい人(ひと)のために、確(たし)かな知恵(ちえ)をたくわえ、
誠実(せいじつ)に歩(あゆ)む者(もの)の盾(たて)となって、
8公正(こうせい)の道(みち)を保(たも)ち、その聖徒(せいと)たちの道筋(みちすじ)を守(まも)られる。
9そのとき、あなたは、ついに正義(せいぎ)と公正(こうせい)、
公平(こうへい)とすべての良(よ)い道(みち)を悟(さと)る。
10これは知恵(ちえ)が、あなたの心(こころ)にはいり、
知識(ちしき)があなたの魂(たましい)に楽(たの)しみとなるからである。
11慎(つつし)みはあなたを守(まも)り、
悟(さと)りはあなたを保(たも)って、
12悪(あく)の道(みち)からあなたを救(すく)い、
偽(いつわ)りをいう者(もの)から救(すく)う。
13彼(かれ)らは正(ただ)しい道(みち)を離(はな)れて、暗(くら)い道(みち)に歩(あゆ)み、
14悪(あく)を行(おこな)うことを楽(たの)しみ、悪人(あくにん)の偽(いつわ)りを喜(よろこ)び、
15その道(みち)は曲(まが)り、その行(おこな)いは、よこしまである。
16慎(つつし)みと悟(さと)りはまたあなたを遊女(ゆうじょ)から救(すく)い、
言葉(ことば)の巧(たく)みな、みだらな女(おんな)から救(すく)う。
17彼女(かのじょ)は若(わか)い時(とき)の友(とも)を捨(す)て、
その神(かみ)に契約(けいやく)したことを忘(わす)れている。
18その家(いえ)は死(し)に下(くだ)り、その道(みち)は陰府(よみ)におもむく。
19すべて彼女(かのじょ)のもとへ行(い)く者(もの)は、帰(かえ)らない、
また命(いのち)の道(みち)にいたらない。
20こうして、あなたは善良(ぜんりょう)な人々(ひとびと)の道(みち)に歩(あゆ)み、
正(ただ)しい人々(ひとびと)の道(みち)を守(まも)ることができる。
21正(ただ)しい人(ひと)は地(ち)にながらえ、
誠実(せいじつ)な人(ひと)は地(ち)にとどまる。
22しかし悪(あ)しき者(もの)は地(ち)から断(た)ち滅(ほろ)ぼされ、
不信実(ふしんじつ)な者(もの)は地(ち)から抜(ぬ)き捨(す)てられる。

第三章


1わが子(こ)よ、わたしの教(おしえ)を忘(わす)れず、
わたしの戒(いまし)めを心(こころ)にとめよ。
2そうすれば、これはあなたの日(ひ)を長(なが)くし、
命(いのち)の年(とし)を延(の)べ、あなたに平安(へいあん)を増(ま)し加(くわ)える。
3いつくしみと、まこととを捨(す)ててはならない、
それをあなたの首(くび)に結(むす)び、心(こころ)の碑(ひ)にしるせ。
4そうすれば、あなたは神(かみ)と人(ひと)との前(まえ)に
恵(めぐ)みと、誉(ほまれ)とを得(え)る。
5心(こころ)をつくして主(しゅ)に信頼(しんらい)せよ、
自分(じぶん)の知識(ちしき)にたよってはならない。
6すべての道(みち)で主(しゅ)を認(みと)めよ、
そうすれば、主(しゅ)はあなたの道(みち)をまっすぐにされる。
7自分(じぶん)を見(み)て賢(かしこ)いと思(おも)ってはならない、
主(しゅ)を恐(おそ)れて、悪(あく)を離(はな)れよ。
8そうすれば、あなたの身(み)を健(すこ)やかにし、
あなたの骨(ほね)に元気(げんき)を与(あた)える。
9あなたの財産(ざいさん)と、
すべての産物(さんぶつ)の初(はつ)なりをもって主(しゅ)をあがめよ。
10そうすれば、あなたの倉(くら)は満(み)ちて余(あま)り、
あなたの酒(さか)ぶねは新(あたら)しい酒(さけ)であふれる。
11わが子(こ)よ、主(しゅ)の懲(こら)しめを軽(かろ)んじてはならない、
その戒(いまし)めをきらってはならない。
12主(しゅ)は、愛(あい)する者(もの)を、戒(いまし)められるからである、
あたかも父(ちち)がその愛(あい)する子(こ)を戒(いまし)めるように。

13知恵(ちえ)を求(もと)めて得(え)る人(ひと)、
悟(さと)りを得(え)る人(ひと)はさいわいである。
14知恵(ちえ)によって得(え)るものは、
銀(ぎん)によって得(え)るものにまさり、
その利益(りえき)は精(せい)金(きん)よりも良(よ)いからである。
15知恵(ちえ)は宝石(ほうせき)よりも尊(たっと)く、
あなたの望(のぞ)む何(なに)物(もの)も、これと比(くら)べるに足(た)りない。
16その右(みぎ)の手(て)には長寿(ちょうじゅ)があり、
左(ひだり)の手(て)には富(とみ)と、誉(ほまれ)がある。
17その道(みち)は楽(たの)しい道(みち)であり、
その道(みち)筋(すじ)はみな平安(へいあん)である。
18知恵(ちえ)は、これを捕(とら)える者(もの)には命(いのち)の木(き)である、
これをしっかり捕(とら)える人(ひと)はさいわいである。
19主(しゅ)は知恵(ちえ)をもって地(ち)の基(もとい)をすえ、
悟(さと)りをもって天(てん)を定(さだ)められた。
20その知識(ちしき)によって海(うみ)はわきいで、雲(くも)は露(つゆ)をそそぐ。

21わが子(こ)よ、確(たし)かな知恵(ちえ)と、慎(つつし)みとを守(まも)って、
それをあなたの目(め)から離(はな)してはならない。
22それはあなたの魂(たましい)の命(いのち)となり
あなたの首(くび)の飾(かざ)りとなる。
23こうして、あなたは安(やす)らかに自分(じぶん)の道(みち)を行(い)き、
あなたの足(あし)はつまずくことがない。
24あなたは座(ざ)しているとき、恐(おそ)れることはなく、
伏(ふ)すとき、あなたの眠(ねむ)りはここちよい。
25あなたはにわかに起(おこ)る恐怖(きょうふ)を恐(おそ)れることなく、
悪(あ)しき者(もの)の滅(ほろ)びが来(き)ても、それを恐(おそ)れることはない。
26これは、主(しゅ)があなたの信頼(しんらい)する者(もの)であり、
あなたの足(あし)を守(まも)って、
わなに捕(とら)われさせられないからである。
27あなたの手(て)に善(ぜん)をなす力(ちから)があるならば、
これをなすべき人(ひと)になすことを
さし控(ひか)えてはならない。
28あなたが物(もの)を持(も)っている時(とき)、その隣(とな)り人(びと)に向(む)かい、
「去(さ)って、また来(き)なさい。
あす、それをあげよう」と言(い)ってはならない。
29あなたの隣(とな)り人(びと)がかたわらに安(やす)らかに住(す)んでいる時(とき)、
これに向(む)かって、悪(あく)を計(はか)ってはならない。
30もし人(ひと)があなたに悪(あく)を行(おこな)ったのでなければ、
ゆえなく、これと争(あらそ)ってはならない。
31暴虐(ぼうぎゃく)な人(ひと)を、うらやんではならない、
そのすべての道(みち)を選(えら)んではならない。
32よこしまな者(もの)は主(しゅ)に憎(にく)まれるからである、
しかし、正(ただ)しい者(もの)は主(しゅ)に信任(しんにん)される。
33主(しゅ)の、のろいは悪(あ)しき者(もの)の家(いえ)にある、
しかし、正(ただ)しい人(ひと)のすまいは主(しゅ)に恵(めぐ)まれる。
34彼(かれ)はあざける者(もの)をあざけり、
へりくだる者(もの)に恵(めぐ)みを与(あた)えられる。
35知恵(ちえ)ある者(もの)は、誉(ほまれ)を得(え)る、
しかし、愚(おろ)かな者(もの)ははずかしめを得(え)る。

第四章


1子供(こども)らよ、父(ちち)の教(おしえ)を聞(き)き、
悟(さと)りを得(え)るために耳(みみ)を傾(かたむ)けよ。
2わたしは、良(よ)い教訓(きょうくん)を、あなたがたにさずける。
わたしの教(おしえ)を捨(す)ててはならない。
3わたしもわが父(ちち)には子(こ)であり、
わが母(はは)の目(め)には、ひとりのいとし子(こ)であった。
4父(ちち)はわたしを教(おし)えて言(い)った、
「わたしの言葉(ことば)を、心(こころ)に留(と)め、
わたしの戒(いまし)めを守(まも)って、命(いのち)を得(え)よ。
5それを忘(わす)れることなく、
またわが口(くち)の言葉(ことば)にそむいてはならない、
知恵(ちえ)を得(え)よ、悟(さと)りを得(え)よ。
6知恵(ちえ)を捨(す)てるな、それはあなたを守(まも)る。
それを愛(あい)せよ、それはあなたを保(たも)つ。
7知恵(ちえ)の初(はじ)めはこれである、知恵(ちえ)を得(え)よ、
あなたが何(なに)を得(え)るにしても、悟(さと)りを得(え)よ。
8それを尊(たっと)べ、そうすれば、それはあなたを高(たか)くあげる、
もしそれをいだくならば、それはあなたを尊(たっと)くする。
9それはあなたの頭(あたま)に麗(うるわ)しい飾(かざ)りを置(お)き、
栄(さか)えの冠(かんむり)をあなたに与(あた)える」。

10わが子(こ)よ、聞(き)け、わたしの言葉(ことば)をうけいれよ、
そうすれば、あなたの命(いのち)の年(とし)は多(おお)くなる。
11わたしは知恵(ちえ)の道(みち)をあなたに教(おし)え、
正(ただ)しい道筋(みちすじ)にあなたを導(みちび)いた。
12あなたが歩(ある)くとき、その歩(あゆ)みは妨(さまた)げられず、
走(はし)る時(とき)にも、つまずくことはない。
13教訓(きょうくん)をかたくとらえて、離(はな)してはならない、
それを守(まも)れ、それはあなたの命(いのち)である。
14よこしまな者(もの)の道(みち)に、はいってはならない、
悪(あ)しき者(もの)の道(みち)を歩(あゆ)んではならない。
15それを避(さ)けよ、通(とお)ってはならない、
それを離(はな)れて進(すす)め。
16彼(かれ)らは悪(あく)を行(おこな)わなければ眠(ねむ)ることができず、
人(ひと)をつまずかせなければ、寝(ね)ることができず、
17不正(ふせい)のパンを食(く)らい、暴虐(ぼうぎゃく)の酒(さけ)を飲(の)むからである。
18正(ただ)しい者(もの)の道(みち)は、夜明(よあ)けの光(ひかり)のようだ、
いよいよ輝(かがや)きを増(ま)して真昼(まひる)となる。
19悪(あ)しき人(ひと)の道(みち)は暗(くら)やみのようだ、
彼(かれ)らは何(なに)につまずくかを知(し)らない。

20わが子(こ)よ、わたしの言葉(ことば)に心(こころ)をとめ、
わたしの語(かた)ることに耳(みみ)を傾(かたむ)けよ。
21それを、あなたの目(め)から離(はな)さず、
あなたの心(こころ)のうちに守(まも)れ。
22それは、これを得(え)る者(もの)の命(いのち)であり、
またその全身(ぜんしん)を健(すこ)やかにするからである。
23油断(ゆだん)することなく、あなたの心(こころ)を守(まも)れ、
命(いのち)の泉(いずみ)は、これから流(なが)れ出(で)るからである。
24曲(まが)った言葉(ことば)をあなたから捨(す)てさり、
よこしまな談話(だんわ)をあなたから遠(とお)ざけよ。
25あなたの目(め)は、まっすぐに正面(しょうめん)を見(み)、
あなたのまぶたはあなたの前(まえ)を、まっすぐに見(み)よ。
26あなたの足(あし)の道(みち)に気(き)をつけよ、
そうすれば、あなたのすべての道(みち)は安全(あんぜん)である。
27右(みぎ)にも左(ひだり)にも迷(まよ)い出(で)てはならない、
あなたの足(あし)を悪(あく)から離(はな)れさせよ。

第五章


1わが子(こ)よ、わたしの知恵(ちえ)に心(こころ)をとめ、
わたしの悟(さと)りに耳(みみ)をかたむけよ。
2これは、あなたが慎(つつし)みを守(まも)り、
あなたのくちびるに知識(ちしき)を保(たも)つためである。
3遊女(ゆうじょ)のくちびるは蜜(みつ)をしたたらせ、
その言葉(ことば)は油(あぶら)よりもなめらかである。
4しかしついには、彼女(かのじょ)はにがよもぎのように苦(にが)く、
もろ刃(は)のつるぎのように鋭(するど)くなる。
5その足(あし)は死(し)に下(くだ)り、
その歩(あゆ)みは陰府(よみ)の道(みち)におもむく。
6彼女(かのじょ)はいのちの道(みち)に心(こころ)をとめず、
その道(みち)は人(ひと)を迷(まよ)わすが、彼女(かのじょ)はそれを知(し)らない。

7子供(こども)らよ、今(いま)わたしの言(い)うことを聞(き)け、
わたしの口(くち)の言葉(ことば)から、離(はな)れ去(さ)ってはならない。
8あなたの道(みち)を彼女(かのじょ)から遠(とお)く離(はな)し、
その家(いえ)の門(もん)に近(ちか)づいてはならない。
9おそらくはあなたの誉(ほまれ)を他人(たにん)にわたし、
あなたの年(とし)を無慈悲(むじひ)な者(もの)にわたすに至(いた)る。
10おそらくは他人(たにん)があなたの資産(しさん)によって満(み)たされ、
あなたの労苦(ろうく)は他人(たにん)の家(いえ)に行(い)く。
11そしてあなたの終(おわ)りが来(き)て、
あなたの身(み)と、からだが滅(ほろ)びるとき、泣(な)き悲(かな)しんで、
12言(い)うであろう、「わたしは教訓(きょうくん)をいとい、
心(こころ)に戒(いまし)めを軽(かろ)んじ、
13教師(きょうし)の声(こえ)に聞(き)き従(したが)わず、
わたしを教(おし)える者(もの)に耳(みみ)を傾(かたむ)けず、
14集(あつ)まりの中(なか)、会衆(かいしゅう)のうちにあって、
わたしは、破滅(はめつ)に陥(おちい)りかけた」と。
15あなたは自分(じぶん)の水(みず)ためから水(みず)を飲(の)み、
自分(じぶん)の井戸(いど)から、わき出(で)す水(みず)を飲(の)むがよい。
16あなたの泉(いずみ)を、外(そと)にまきちらし、
水(みず)の流(なが)れを、ちまたに流(なが)してよかろうか。
17それを自分(じぶん)だけのものとし、
他人(たにん)を共(とも)にあずからせてはならない。
18あなたの泉(いずみ)に祝福(しゅくふく)を受(う)けさせ、
あなたの若(わか)い時(とき)の妻(つま)を楽(たの)しめ。
19彼女(かのじょ)は愛(あい)らしい雌(め)じか、美(うつく)しいしかのようだ。
いつも、その乳(ち)ぶさをもって満足(まんぞく)し、
その愛(あい)をもって常(つね)に喜(よろこ)べ。
20わが子(こ)よ、どうして遊女(ゆうじょ)に迷(まよ)い、
みだらな女(おんな)の胸(むね)をいだくのか。
21人(ひと)の道(みち)は主(しゅ)の目(め)の前(まえ)にあり、
主(しゅ)はすべて、その行(おこな)いを見守(みまも)られる。
22悪(あ)しき者(もの)は自分(じぶん)のとがに捕(とら)えられ、
自分(じぶん)の罪(つみ)のなわにつながれる。
23彼(かれ)は、教訓(きょうくん)がないために死(し)に、
その愚(おろ)かさの大(おお)きいことによって滅(ほろ)びる。

第六章


1わが子(こ)よ、あなたがもし
隣(とな)り人(びと)のために保証人(ほしょうにん)となり、
他人(たにん)のために手(て)をうって誓(ちか)ったならば、
2もしあなたのくちびるの言葉(ことば)によって、わなにかかり、
あなたの口(くち)の言葉(ことば)によって捕(とら)えられたならば、
3わが子(こ)よ、その時(とき)はこうして、おのれを救(すく)え、
あなたは隣(とな)り人(びと)の手(て)に陥(おちい)ったのだから。
急(いそ)いで行(い)って、隣(とな)り人(びと)にひたすら求(もと)めよ。
4あなたの目(め)を眠(ねむ)らせず、
あなたのまぶたを、まどろませず、
5かもしかが、かりゅうどの手(て)からのがれるように、
鳥(とり)が鳥(とり)を取(と)る者(もの)の手(て)からのがれるように、
おのれを救(すく)え。

6なまけ者(もの)よ、ありのところへ行(い)き、
そのすることを見(み)て、知恵(ちえ)を得(え)よ。
7ありは、かしらなく、つかさなく、王(おう)もないが、
8夏(なつ)のうちに食物(しょくもつ)をそなえ、
刈入(かりい)れの時(とき)に、かてを集(あつ)める。
9なまけ者(もの)よ、いつまで寝(ね)ているのか、
いつ目(め)をさまして起(お)きるのか。
10しばらく眠(ねむ)り、しばらくまどろみ、
手(て)をこまぬいて、またしばらく休(やす)む。
11それゆえ、貧(まず)しさは盗(ぬす)びとのようにあなたに来(きた)り、
乏(とぼ)しさは、つわもののようにあなたに来(く)る。
12よこしまな人(ひと)、悪(あ)しき人(ひと)は
偽(いつわ)りの言葉(ことば)をもって行(い)きめぐり、
13目(め)でめくばせし、足(あし)で踏(ふ)み鳴(な)らし、指(ゆび)で示(しめ)し、
14よこしまな心(こころ)をもって悪(あく)を計(はか)り、
絶(た)えず争(あらそ)いをおこす。
15それゆえ、災(わざわい)は、にわかに彼(かれ)に臨(のぞ)み、
たちまちにして打(う)ち敗(やぶ)られ、助(たす)かることはない。

16主(しゅ)の憎(にく)まれるものが六つある、
否(いな)、その心(こころ)に、忌(い)みきらわれるものが七つある。
17すなわち、高(たか)ぶる目(め)、偽(いつわ)りを言(い)う舌(した)、
罪(つみ)なき人(ひと)の血(ち)を流(なが)す手(て)、
18悪(あ)しき計(はか)りごとをめぐらす心(こころ)、
すみやかに悪(あく)に走(はし)る足(あし)、
19偽(いつわ)りをのべる証人(しょうにん)、
また兄弟(きょうだい)のうちに争(あらそ)いをおこす人(ひと)がこれである。

20わが子(こ)よ、あなたの父(ちち)の戒(いまし)めを守(まも)り、
あなたの母(はは)の教(おしえ)を捨(す)てるな。
21つねに、これをあなたの心(こころ)に結(むす)び、
あなたの首(くび)のまわりにつけよ。
22これは、あなたが歩(ある)くとき、あなたを導(みちび)き、
あなたが寝(ね)るとき、あなたを守(まも)り、
あなたが目(め)ざめるとき、あなたと語(かた)る。
23戒(いまし)めはともしびである、教(おしえ)は光(ひかり)である、
教訓(きょうくん)の懲(こら)しめは命(いのち)の道(みち)である。
24これは、あなたを守(まも)って、悪(わる)い女(おんな)に近(ちか)づかせず、
みだらな女(おんな)の、巧(たく)みな舌(した)に惑(まど)わされぬようにする。
25彼女(かのじょ)の麗(うるわ)しさを心(こころ)に慕(した)ってはならない、
そのまぶたに捕(とら)えられてはならない。
26遊女(ゆうじょ)は一(いっ)塊(かい)のパンのために雇(やと)われる、
しかし、みだらな女(おんな)は人(ひと)の尊(たっと)い命(いのち)を求(もと)める。
27人(ひと)は火(ひ)を、そのふところにいだいて
その着物(きもの)が焼(や)かれないであろうか。
28また人(ひと)は、熱(あつ)い火(ひ)を踏(ふ)んで、
その足(あし)が、焼(や)かれないであろうか。
29その隣(となり)の妻(つま)と不義(ふぎ)を行(おこな)う者(もの)も、それと同(おな)じだ。
すべて彼女(かのじょ)に触(ふ)れる者(もの)は罰(ばつ)を免(まぬか)れることはできない。
30盗(ぬす)びとが飢(う)えたとき、
その飢(う)えを満(み)たすために盗(ぬす)むならば、
人(ひと)は彼(かれ)を軽(かろ)んじないであろうか。
31もし捕(とら)えられたなら、その七倍(ばい)を償(つぐな)い、
その家(いえ)の貨(か)財(ざい)を、ことごとく出(だ)さなければならない。
32女(おんな)と姦淫(かんいん)を行(おこな)う者(もの)は思慮(しりょ)がない。
これを行(おこな)う者(もの)はおのれを滅(ほろ)ぼし、
33傷(きず)と、はずかしめとを受(う)けて、
その恥(はじ)をすすぐことができない。
34ねたみは、その夫(おっと)を激(はげ)しく怒(いか)らせるゆえ、
恨(うら)みを報(むく)いるとき、容赦(ようしゃ)することはない。
35どのようなあがない物(もの)をも顧(かえり)みず、
多(おお)くの贈(おく)り物(もの)をしても、和(やわ)らがない。

第七章


1わが子(こ)よ、わたしの言葉(ことば)を守(まも)り、
わたしの戒(いまし)めをあなたの心(こころ)にたくわえよ。
2わたしの戒(いまし)めを守(まも)って命(いのち)を得(え)よ、
わたしの教(おしえ)を守(まも)ること、ひとみを守(まも)るようにせよ。
3これをあなたの指(ゆび)にむすび、
これをあなたの心(こころ)の碑(いしぶみ)にしるせ。
4知恵(ちえ)に向(む)かって、「あなたはわが姉妹(しまい)だ」と言(い)い、
悟(さと)りに向(む)かっては、あなたの友(とも)と呼(よ)べ。
5そうすれば、これはあなたを守(まも)って遊女(ゆうじょ)に迷(まよ)わせず、
言葉(ことば)巧(たく)みな、みだらな女(おんな)に近(ちか)づかせない。
6わたしはわが家(いえ)の窓(まど)により、
格子(こうし)窓(まど)から外(そと)をのぞいて、
7思慮(しりょ)のない者(もの)のうちに、若(わか)い者(もの)のうちに、
ひとりの知恵(ちえ)のない若者(わかもの)のいるのを見(み)た。
8彼(かれ)はちまたを過(す)ぎ、女(おんな)の家(いえ)に行(い)く曲(まが)りかどに近(ちか)づき、
その家(いえ)に行(い)く道(みち)を、
9たそがれに、よいに、
また夜中(よなか)に、また暗(くら)やみに歩(ある)いていった。
10見(み)よ、遊女(ゆうじょ)の装(よそお)いをした陰険(いんけん)な女(おんな)が彼(かれ)に会(あ)う。
11この女(おんな)は、騒(さわ)がしくて、慎(つつし)みなく、
その足(あし)は自分(じぶん)の家(いえ)にとどまらず、
12ある時(とき)はちまたにあり、ある時(とき)は市場(いちば)にあり、
すみずみに立(た)って人(ひと)をうかがう。
13この女(おんな)は彼(かれ)を捕(とら)えて口(くち)づけし、
恥(はじ)しらぬ顔(かお)で彼(かれ)に言(い)う、
14「わたしは酬恩祭(しゅうおんさい)をささげなければならなかったが、
きょう、その誓(ちか)いを果(はた)しました。
15それでわたしはあなたを迎(むか)えようと出(で)て、
あなたを尋(たず)ね、あなたに会(あ)いました。
16わたしは床(とこ)に美(うつく)しい、しとねと、
エジプトのあや布(ぬの)を敷(し)き、
17没薬(もつやく)、ろかい、桂皮(けいひ)をもって
わたしの床(とこ)をにおわせました。
18さあ、わたしたちは夜(よる)が明(あ)けるまで、
情(じょう)をつくし、愛(あい)をかわして楽(たの)しみましょう。
19夫(おっと)は家(いえ)にいません、
遠(とお)くへ旅立(たびだ)ち、
20手(て)に金(かね)袋(ぶくろ)を持(も)って出(で)ました。
満月(まんげつ)になるまでは帰(かえ)りません」と。
21女(おんな)が多(おお)くの、なまめかしい言葉(ことば)をもって彼(かれ)を惑(まど)わし、
巧(たく)みなくちびるをもって、いざなうと、
22若(わか)い人(ひと)は直(ただ)ちに女(おんな)に従(したが)った、
あたかも牛(うし)が、ほふり場(ば)に行(い)くように、
雄(お)じかが、すみやかに捕(とら)えられ、
23ついに、矢(や)がその内臓(ないぞう)を突(つ)き刺(さ)すように、
鳥(とり)がすみやかに網(あみ)にかかるように、
彼(かれ)は自分(じぶん)が命(いのち)を失(うしな)うようになることを知(し)らない。

24子供(こども)らよ、今(いま)わたしの言(い)うことを聞(き)き、
わが口(くち)の言葉(ことば)に耳(みみ)を傾(かたむ)けよ。
25あなたの心(こころ)を彼女(かのじょ)の道(みち)に傾(かたむ)けてはならない、
またその道(みち)に迷(まよ)ってはならない。
26彼女(かのじょ)は多(おお)くの人(ひと)を傷(きず)つけて倒(たお)した、
まことに、彼女(かのじょ)に殺(ころ)された者(もの)は多(おお)い。
27その家(いえ)は陰府(よみ)へ行(い)く道(みち)であって、
死(し)のへやへ下(くだ)って行(い)く。

第八章


1知恵(ちえ)は呼(よ)ばわらないのか、
悟(さと)りは声(こえ)をあげないのか。
2これは道(みち)のほとりの高(たか)い所(ところ)の頂(いただき)、
また、ちまたの中(なか)に立(た)ち、
3町(まち)の入口(いりぐち)にあるもろもろの門(もん)のかたわら、
正門(せいもん)の入口(いりぐち)で呼(よ)ばわって言(い)う、
4「人々(ひとびと)よ、わたしはあなたがたに呼(よ)ばわり、
声(こえ)をあげて人(ひと)の子(こ)らを呼(よ)ぶ。
5思慮(しりょ)のない者(もの)よ、悟(さと)りを得(え)よ、
愚(おろ)かな者(もの)よ、知恵(ちえ)を得(え)よ。
6聞(き)け、わたしは高貴(こうき)な事(こと)を語(かた)り、
わがくちびるは正(ただ)しい事(こと)を語(かた)り出(だ)す。
7わが口(くち)は真実(しんじつ)を述(の)べ、
わがくちびるは悪(あ)しき事(こと)を憎(にく)む。
8わが口(くち)の言葉(ことば)はみな正(ただ)しい、
そのうちに偽(いつわ)りと、よこしまはない。
9これはみな、さとき者(もの)の明(あき)らかにするところ、
知識(ちしき)を得(え)る者(もの)の正(ただ)しとするところである。
10あなたがたは銀(ぎん)を受(う)けるよりも、わたしの教(おしえ)を受(う)けよ、
精(せい)金(きん)よりも、むしろ知識(ちしき)を得(え)よ。
11知恵(ちえ)は宝石(ほうせき)にまさり、
あなたがたの望(のぞ)むすべての物(もの)は、
これと比(くら)べるにたりない。
12知恵(ちえ)であるわたしは悟(さと)りをすみかとし、
知識(ちしき)と慎(つつし)みとをもつ。
13主(しゅ)を恐(おそ)れるとは悪(あく)を憎(にく)むことである。
わたしは高(たか)ぶりと、おごりと、悪(あ)しき道(みち)と、
偽(いつわ)りの言葉(ことば)とを憎(にく)む。
14計(はか)りごとと、確(たし)かな知恵(ちえ)とは、わたしにある、
わたしには悟(さと)りがあり、わたしには力(ちから)がある。
15わたしによって、王(おう)たる者(もの)は世(よ)を治(おさ)め、
君(きみ)たる者(もの)は正(ただ)しい定(さだ)めを立(た)てる。
16わたしによって、主(しゅ)たる者(もの)は支配(しはい)し、
つかさたる者(もの)は地(ち)を治(おさ)める。
17わたしは、わたしを愛(あい)する者(もの)を愛(あい)する、
わたしをせつに求(もと)める者(もの)は、わたしに出会(であ)う。
18富(とみ)と誉(ほまれ)とはわたしにあり、
すぐれた宝(たから)と繁栄(はんえい)もまたそうである。
19わたしの実(み)は金(きん)よりも精(せい)金(きん)よりも良(よ)く、
わたしの産物(さんぶつ)は精(せい)銀(ぎん)にまさる。
20わたしは正義(せいぎ)の道(みち)、公正(こうせい)な道筋(みちすじ)の中(なか)を歩(あゆ)み、
21わたしを愛(あい)する者(もの)に宝(たから)を得(え)させ、
またその倉(くら)を満(み)ちさせる。

22主(しゅ)が昔(むかし)そのわざをなし始(はじ)められるとき、
そのわざの初(はじ)めとして、わたしを造(つく)られた。
23いにしえ、地(ち)のなかった時(とき)、
初(はじ)めに、わたしは立(た)てられた。
24まだ海(うみ)もなく、また大(おお)いなる水(みず)の泉(いずみ)もなかった時(とき)、
わたしはすでに生(うま)れ、
25山(やま)もまだ定(さだ)められず、丘(おか)もまだなかった時(とき)、
わたしはすでに生(うま)れた。
26すなわち神(かみ)がまだ地(ち)をも野(の)をも、
地(ち)のちりのもとをも造(つく)られなかった時(とき)である。
27彼(かれ)が天(てん)を造(つく)り、海(うみ)のおもてに、大空(おおぞら)を張(は)られたとき、
わたしはそこにあった。
28彼(かれ)が上(うえ)に空(そら)を堅(かた)く立(た)たせ、
淵(ふち)の泉(いずみ)をつよく定(さだ)め、
29海(うみ)にその限界(げんかい)をたて、
水(みず)にその岸(きし)を越(こ)えないようにし、
また地(ち)の基(もとい)を定(さだ)められたとき、
30わたしは、そのかたわらにあって、名匠(めいしょう)となり、
日々(ひび)に喜(よろこ)び、常(つね)にその前(まえ)に楽(たの)しみ、
31その地(ち)で楽(たの)しみ、
また世(よ)の人(ひと)を喜(よろこ)んだ。

32それゆえ、子供(こども)らよ、今(いま)わたしの言(い)うことを聞(き)け、
わたしの道(みち)を守(まも)る者(もの)はさいわいである。
33教訓(きょうくん)を聞(き)いて、知恵(ちえ)を得(え)よ、
これを捨(す)ててはならない。
34わたしの言(い)うことを聞(き)き、
日々(ひび)わたしの門(もん)のかたわらでうかがい、
わたしの戸口(とぐち)の柱(はしら)のわきで待(ま)つ人(ひと)はさいわいである。
35それは、わたしを得(え)る者(もの)は命(いのち)を得(え)、
主(しゅ)から恵(めぐ)みを得(え)るからである。
36わたしを失(うしな)う者(もの)は自分(じぶん)の命(いのち)をそこなう、
すべてわたしを憎(にく)む者(もの)は死(し)を愛(あい)する者(もの)である」。

第九章


1知恵(ちえ)は自分(じぶん)の家(いえ)を建(た)て、
その七つの柱(はしら)を立(た)て、
2獣(けもの)をほふり、酒(さけ)を混(ま)ぜ合(あ)わせて、
ふるまいを備(そな)え、
3はしためをつかわして、
町(まち)の高(たか)い所(ところ)で呼(よ)ばわり言(い)わせた、
4「思慮(しりょ)のない者(もの)よ、ここに来(きた)れ」と。
また、知恵(ちえ)のない者(もの)に言(い)う、
5「来(き)て、わたしのパンを食(た)べ、
わたしの混(ま)ぜ合(あ)わせた酒(さけ)をのみ、
6思慮(しりょ)のないわざを捨(す)てて命(いのち)を得(え)、
悟(さと)りの道(みち)を歩(あゆ)め」と。

7あざける者(もの)を戒(いまし)める者(もの)は、自(みずか)ら恥(はじ)を得(え)、
悪(あ)しき者(もの)を責(せ)める者(もの)は自(みずか)ら傷(きず)を受(う)ける。
8あざける者(もの)を責(せ)めるな、
おそらく彼(かれ)はあなたを憎(にく)むであろう。
知恵(ちえ)ある者(もの)を責(せ)めよ、彼(かれ)はあなたを愛(あい)する。
9知恵(ちえ)ある者(もの)に教訓(きょうくん)を授(さづ)けよ、
彼(かれ)はますます知恵(ちえ)を得(え)る。
正(ただ)しい者(もの)を教(おし)えよ、彼(かれ)は学(がく)に進(すす)む。
10主(しゅ)を恐(おそ)れることは知恵(ちえ)のもとである、
聖(せい)なる者(もの)を知(し)ることは、悟(さと)りである。
11わたしによって、あなたの日(ひ)は多(おお)くなり、
あなたの命(いのち)の年(とし)は増(ま)す。
12もしあなたに知恵(ちえ)があるならば、
あなた自身(じしん)のために知恵(ちえ)があるのである。
もしあなたがあざけるならば、
あなたひとりがその責(せ)めを負(お)うことになる。

13愚(おろ)かな女(おんな)は、騒(さわ)がしく、みだらで、恥(はじ)を知(し)らない。
14彼女(かのじょ)はその家(いえ)の戸口(とぐち)に座(ざ)し、
町(まち)の高(たか)い所(ところ)にある座(ざ)にすわり、
15道(みち)を急(いそ)ぐ行(い)き来(き)の人(ひと)を招(まね)いて言(い)う、
16「思慮(しりょ)のない者(もの)よ、ここに来(きた)れ」と。
また知恵(ちえ)のない人(ひと)に向(む)かってこれに言(い)う、
17「盗(ぬす)んだ水(みず)は甘(あま)く、
ひそかに食(た)べるパンはうまい」と。
18しかしその人(ひと)は、死(し)の影(かげ)がそこにあることを知(し)らず、
彼女(かのじょ)の客(きゃく)は陰府(よみ)の深(ふか)みにおることを知(し)らない。

第一〇章


1ソロモンの箴言(しんげん)。
知恵(ちえ)ある子(こ)は父(ちち)を喜(よろこ)ばせ、
愚(おろ)かな子(こ)は母(はは)の悲(かな)しみとなる。
2不義(ふぎ)の宝(たから)は益(えき)なく、
正義(せいぎ)は人(ひと)を救(すく)い出(だ)して、死(し)を免(まぬか)れさせる。
3主(しゅ)は正(ただ)しい人(ひと)を飢(う)えさせず、
悪(あ)しき者(もの)の欲望(よくぼう)をくじかれる。
4手(て)を動(うご)かすことを怠(おこた)る者(もの)は貧(まず)しくなり、
勤(つと)め働(はたら)く者(もの)の手(て)は富(とみ)を得(え)る。
5夏(なつ)のうちに集(あつ)める者(もの)は賢(かしこ)い子(こ)であり、
刈入(かりい)れの時(とき)に眠(ねむ)る者(もの)は恥(はじ)をきたらせる子(こ)である。
6正(ただ)しい者(もの)のこうべには祝福(しゅくふく)があり、
悪(あ)しき者(もの)の口(くち)は暴虐(ぼうぎゃく)を隠(かく)す。
7正(ただ)しい者(もの)の名(な)はほめられ、
悪(あ)しき者(もの)の名(な)は朽(く)ちる。
8心(こころ)のさとき者(もの)は戒(いまし)めを受(う)ける、
むだ口(くち)をたたく愚(おろ)かな者(もの)は滅(ほろ)ぼされる。
9まっすぐに歩(あゆ)む者(もの)の歩(あゆ)みは安全(あんぜん)である、
しかし、その道(みち)を曲(ま)げる者(もの)は災(わざわい)にあう。
10目(め)で、めくばせする者(もの)は憂(うれ)いをおこし、
あからさまに、戒(いまし)める者(もの)は平和(へいわ)をきたらせる。
11正(ただ)しい者(もの)の口(くち)は命(いのち)の泉(いずみ)である、
悪(あ)しき者(もの)の口(くち)は暴虐(ぼうぎゃく)を隠(かく)す。
12憎(にく)しみは、争(あらそ)いを起(おこ)し、
愛(あい)はすべてのとがをおおう。
13さとき者(もの)のくちびるには知恵(ちえ)があり、
知恵(ちえ)のない者(もの)の背(せ)にはむちがある。
14知恵(ちえ)ある者(もの)は知識(ちしき)をたくわえる、
愚(おろ)かな者(もの)のむだ口(くち)は、今(いま)にも滅(ほろ)びをきたらせる。
15富(と)める者(もの)の宝(たから)は、その堅(かた)き城(しろ)であり、
貧(まず)しい者(もの)の乏(とぼ)しきは、その滅(ほろ)びである。
16正(ただ)しい者(もの)の受(う)ける賃銀(ちんぎん)は命(いのち)に導(みちび)き、
悪(あ)しき者(もの)の利得(りとく)は罪(つみ)に至(いた)る。
17教訓(きょうくん)を守(まも)る者(もの)は命(いのち)の道(みち)にあり、
懲(こら)しめを捨(す)てる者(もの)は道(みち)をふみ迷(まよ)う。
18憎(にく)しみを隠(かく)す者(もの)には偽(いつわ)りのくちびるがあり、
そしりを口(くち)に出(だ)す者(もの)は愚(おろ)かな者(もの)である。
19言葉(ことば)が多(おお)ければ、とがを免(まぬか)れない、
自分(じぶん)のくちびるを制(せい)する者(もの)は知恵(ちえ)がある。
20正(ただ)しい者(もの)の舌(した)は精(せい)銀(ぎん)である、
悪(あ)しき者(もの)の心(こころ)は価値(かち)が少(すく)ない。
21正(ただ)しい者(もの)のくちびるは多(おお)くの人(ひと)を養(やしな)い、
愚(おろ)かな者(もの)は知恵(ちえ)がなくて死(し)ぬ。
22主(しゅ)の祝福(しゅくふく)は人(ひと)を富(と)ませる、
主(しゅ)はこれになんの悲(かな)しみをも加(くわ)えない。
23愚(おろ)かな者(もの)は、戯(たわむ)れ事(ごと)のように悪(あく)を行(おこな)う、
さとき人(ひと)には賢(かしこ)い行(おこな)いが楽(たの)しみである。
24悪(あ)しき者(もの)の恐(おそ)れることは自分(じぶん)に来(きた)り、
正(ただ)しい者(もの)の願(ねが)うことは与(あた)えられる。
25あらしが通(とお)りすぎる時(とき)、
悪(あ)しき者(もの)は、もはや、いなくなり、
正(ただ)しい者(もの)は永久(えいきゅう)に堅(かた)く立(た)てられる。
26なまけ者(もの)は、これをつかわす者(もの)にとっては、
酢(す)が歯(は)をいため、煙(けむり)が目(め)を悩(なや)ますようなものだ。
27主(しゅ)を恐(おそ)れることは人(ひと)の命(いのち)の日(ひ)を多(おお)くする、
悪(あ)しき者(もの)の年(とし)は縮(ちぢ)められる。
28正(ただ)しい者(もの)の望(のぞ)みは喜(よろこ)びに終(おわ)り、
悪(あ)しき者(もの)の望(のぞ)みは絶(た)える。
29主(しゅ)は、まっすぐに歩(あゆ)む者(もの)には城(しろ)であり、
悪(あく)を行(おこな)う者(もの)には滅(ほろ)びである。
30正(ただ)しい者(もの)はいつまでも動(うご)かされることはない、
悪(あ)しき者(もの)は、地(ち)に住(す)むことができない。
31正(ただ)しい者(もの)の口(くち)は知恵(ちえ)をいだし、
偽(いつわ)りの舌(した)は抜(ぬ)かれる。
32正(ただ)しい者(もの)のくちびるは喜(よろこ)ばるべきことをわきまえ、
悪(あ)しき者(もの)の口(くち)は偽(いつわ)りを語(かた)る。

第一一章


1偽(いつわ)りのはかりは主(しゅ)に憎(にく)まれ、
正(ただ)しいふんどうは彼(かれ)に喜(よろこ)ばれる。
2高(たか)ぶりが来(く)れば、恥(はじ)もまた来(く)る、
へりくだる者(もの)には知恵(ちえ)がある。
3正(ただ)しい者(もの)の誠実(せいじつ)はその人(ひと)を導(みちび)き、
不信実(ふしんじつ)な者(もの)のよこしまはその人(ひと)を滅(ほろ)ぼす。
4宝(たから)は怒(いか)りの日(ひ)に益(えき)なく、
正義(せいぎ)は人(ひと)を救(すく)い出(だ)して、死(し)を免(まぬか)れさせる。
5誠実(せいじつ)な者(もの)は、その正義(せいぎ)によって、
その道(みち)をまっすぐにせられ、
悪(あ)しき者(もの)は、その悪(あく)によって倒(たお)れる。
6正(ただ)しい者(もの)はその正義(せいぎ)によって救(すく)われ、
不信実(ふしんじつ)な者(もの)は自分(じぶん)の欲(よく)によって捕(とら)えられる。
7悪(あ)しき者(もの)は死(し)ぬとき、その望(のぞ)みは絶(た)え、
不信心(ふしんじん)な者(もの)の望(のぞ)みもまた絶(た)える。
8正(ただ)しい者(もの)は、悩(なや)みから救(すく)われ、
悪(あ)しき者(もの)は代(かわ)ってそれに陥(おちい)る。
9不信心(ふしんじん)な者(もの)はその口(くち)をもって隣(とな)り人(びと)を滅(ほろ)ぼす、
正(ただ)しい者(もの)は知識(ちしき)によって救(すく)われる。
10正(ただ)しい者(もの)が、しあわせになれば、その町(まち)は喜(よろこ)び、
悪(あ)しき者(もの)が滅(ほろ)びると、喜(よろこ)びの声(こえ)がおこる。
11町(まち)は正(ただ)しい者(もの)の祝福(しゅくふく)によって、高(たか)くあげられ、
悪(あ)しき者(もの)の口(くち)によって、滅(ほろ)ぼされる。
12隣(とな)り人(びと)を侮(あなど)る者(もの)は知恵(ちえ)がない、
さとき人(ひと)は口(くち)をつぐむ。
13人(ひと)のよしあしを言(い)いあるく者(もの)は秘密(ひみつ)をもらす、
心(こころ)の忠信(ちゅうしん)なる者(もの)は事(こと)を隠(かく)す。
14指導者(しどうしゃ)がなければ民(たみ)は倒(たお)れ、
助言者(じょげんしゃ)が多(おお)ければ安全(あんぜん)である。
15他人(たにん)のために保証(ほしょう)をする者(もの)は苦(くる)しみをうけ、
保証(ほしょう)をきらう者(もの)は安全(あんぜん)である。
16しとやかな女(おんな)は、誉(ほまれ)を得(え)、
強暴(きょうぼう)な男(おとこ)は富(とみ)を得(え)る。
17いつくしみある者(もの)はおのれ自身(じしん)に益(えき)を得(え)、
残忍(ざんにん)な者(もの)はおのれの身(み)をそこなう。
18悪(あ)しき者(もの)の得(え)る報(むく)いはむなしく、
正義(せいぎ)を播(ま)く者(もの)は確(たし)かな報(むく)いを得(え)る。
19正義(せいぎ)を堅(かた)く保(たも)つ者(もの)は命(いのち)に至(いた)り、
悪(あく)を追(お)い求(もと)める者(もの)は死(し)を招(まね)く。
20心(こころ)のねじけた者(もの)は主(しゅ)に憎(にく)まれ、
まっすぐに道(みち)を歩(あゆ)む者(もの)は彼(かれ)に喜(よろこ)ばれる。
21確(たし)かに、悪人(あくにん)は罰(ばつ)を免(まぬか)れない、
しかし正(ただ)しい人(ひと)は救(すくい)を得(え)る。
22美(うつく)しい女(おんな)の慎(つつし)みがないのは、
金(きん)の輪(わ)の、ぶたの鼻(はな)にあるようだ。
23正(ただ)しい者(もの)の願(ねが)いは、すべて良(よ)い結果(けっか)を得(え)、
悪(あ)しき者(もの)の望(のぞ)みは怒(いか)りに至(いた)る。
24施(ほどこ)し散(ち)らして、なお富(とみ)を増(ま)す人(ひと)があり、
与(あた)えるべきものを惜(お)しんで、
かえって貧(まず)しくなる者(もの)がある。
25物惜(ものお)しみしない者(もの)は富(と)み、
人(ひと)を潤(うるお)す者(もの)は自分(じぶん)も潤(うるお)される。
26穀物(こくもつ)を、しまい込(こ)んで売(う)らない者(もの)は民(たみ)にのろわれる、
それを売(う)る者(もの)のこうべには祝福(しゅくふく)がある。
27善(ぜん)を求(もと)める者(もの)は恵(めぐ)みを得(え)る、
悪(あく)を求(もと)める者(もの)には悪(あく)が来(く)る。
28自分(じぶん)の富(とみ)を頼(たの)む者(もの)は衰(おとろ)える、
正(ただ)しい者(もの)は木(き)の青葉(あおば)のように栄(さか)える。
29自分(じぶん)の家族(かぞく)を苦(くる)しめる者(もの)は風(かぜ)を所有(しょゆう)とする、
愚(おろ)かな者(もの)は心(こころ)のさとき者(もの)のしもべとなる。
30正(ただ)しい者(もの)の結(むす)ぶ実(み)は命(いのち)の木(き)である、
不法(ふほう)な者(もの)は人(ひと)の命(いのち)をとる。
31もし正(ただ)しい者(もの)がこの世(よ)で罰(ばっ)せられるならば、
悪(あ)しき者(もの)と罪(つみ)びととは、なおさらである。

第一二章


1戒(いまし)めを愛(あい)する人(ひと)は知識(ちしき)を愛(あい)する、
懲(こら)しめを憎(にく)む者(もの)は愚(おろ)かである。
2善人(ぜんにん)は主(しゅ)の恵(めぐ)みをうけ、
悪(わる)い計(はか)りごとを設(もう)ける人(ひと)は主(しゅ)に罰(ばっ)せられる。
3人(ひと)は悪(あく)をもって堅(かた)く立(た)つことはできない、
正(ただ)しい人(ひと)の根(ね)は動(うご)くことはない。
4賢(かしこ)い妻(つま)はその夫(おっと)の冠(かんむり)である、
恥(はじ)をこうむらせる妻(つま)は
夫(おっと)の骨(ほね)に生(しょう)じた腐(くさ)れのようなものである。
5正(ただ)しい人(ひと)の考(かんが)えは公正(こうせい)である、
悪(あ)しき者(もの)の計(はか)ることは偽(いつわ)りである。
6悪(あ)しき者(もの)の言葉(ことば)は、人(ひと)の血(ち)を流(なが)そうとうかがう、
正(ただ)しい人(ひと)の口(くち)は人(ひと)を救(すく)う。
7悪(あ)しき者(もの)は倒(たお)されて、うせ去(さ)る、
正(ただ)しい人(ひと)の家(いえ)は堅(かた)く立(た)つ。
8人(ひと)はその悟(さと)りにしたがって、ほめられ、
心(こころ)のねじけた者(もの)は、卑(いや)しめられる。
9身分(みぶん)の低(ひく)い人(ひと)でも自分(じぶん)で働(はたら)く者(もの)は、
みずから高(たか)ぶって食(しょく)に乏(とぼ)しい者(もの)にまさる。
10正(ただ)しい人(ひと)はその家畜(かちく)の命(いのち)を顧(かえり)みる、
悪(あ)しき者(もの)は残忍(ざんにん)をもって、あわれみとする。
11自分(じぶん)の田地(でんち)を耕(たがや)す者(もの)は食糧(しょくりょう)に飽(あ)きる、
無益(むえき)な事(こと)に従(したが)う者(もの)は知恵(ちえ)がない。
12悪(あ)しき者(もの)の堅固(けんご)なやぐらは崩壊(ほうかい)する、
正(ただ)しい人(ひと)の根(ね)は堅(かた)く立(た)つ。
13悪人(あくにん)はくちびるのとがによって、わなに陥(おちい)る、
しかし正(ただ)しい人(ひと)は悩(なや)みをのがれる。
14人(ひと)はその口(くち)の実(み)によって、幸福(こうふく)に満(み)ち足(た)り、
人(ひと)の手(て)のわざは、その人(ひと)の身(み)に帰(かえ)る。
15愚(おろ)かな人(ひと)の道(みち)は、自分(じぶん)の目(め)に正(ただ)しく見(み)える、
しかし知恵(ちえ)ある者(もの)は勧(すす)めをいれる。
16愚(おろ)かな人(ひと)は、すぐに怒(いか)りをあらわす、
しかし賢(かしこ)い人(ひと)は、はずかしめをも気(き)にとめない。
17真実(しんじつ)を語(かた)る人(ひと)は正(ただ)しい証言(しょうげん)をなし、
偽(いつわ)りの証人(しょうにん)は偽(いつわ)りを言(い)う。
18つるぎをもって刺(さ)すように、
みだりに言葉(ことば)を出(だ)す者(もの)がある、
しかし知恵(ちえ)ある人(ひと)の舌(した)は人(ひと)をいやす。
19真実(しんじつ)を言(い)うくちびるは、いつまでも保(たも)つ、
偽(いつわ)りを言(い)う舌(した)は、ただ、まばたきの間(あいだ)だけである。
20悪(あく)をたくらむ者(もの)の心(こころ)には欺(あざむ)きがあり、
善(ぜん)をはかる人(ひと)には喜(よろこ)びがある。
21正(ただ)しい人(ひと)にはなんの害悪(がいあく)も生(しょう)じない、
しかし悪(あ)しき者(もの)は災(わざわい)をもって満(み)たされる。
22偽(いつわ)りを言(い)うくちびるは主(しゅ)に憎(にく)まれ、
真実(しんじつ)を行(おこな)う者(もの)は彼(かれ)に喜(よろこ)ばれる。
23さとき人(ひと)は知識(ちしき)をかくす、
しかし愚(おろ)かな者(もの)は自分(じぶん)の愚(おろ)かなことをあらわす。
24勤(つと)め働(はたら)く者(もの)の手(て)はついに人(ひと)を治(おさ)める、
怠(おこた)る者(もの)は人(ひと)に仕(つか)えるようになる。
25心(こころ)に憂(うれ)いがあればその人(ひと)をかがませる、
しかし親切(しんせつ)な言葉(ことば)はその人(ひと)を喜(よろこ)ばせる。
26正(ただ)しい人(ひと)は悪(あく)を離(はな)れ去(さ)る、
しかし悪(あ)しき者(もの)は自(みずか)ら道(みち)に迷(まよ)う。
27怠(おこた)る者(もの)は自分(じぶん)の獲物(えもの)を捕(とら)えない、
しかし勤(つと)め働(はたら)く人(ひと)は尊(たっと)い宝(たから)を獲(え)る。
28正義(せいぎ)の道(みち)には命(いのち)がある、
しかし誤(あやま)りの道(みち)は死(し)に至(いた)る。

第一三章


1知恵(ちえ)ある子(こ)は父(ちち)の教訓(きょうくん)をきく、
あざける者(もの)は、懲(こら)しめをきかない。
2善良(ぜんりょう)な人(ひと)はその口(くち)の実(み)によって、幸福(こうふく)を得(え)る、
不信実(ふしんじつ)な者(もの)の願(ねが)いは、暴虐(ぼうぎゃく)である。
3口(くち)を守(まも)る者(もの)はその命(いのち)を守(まも)る、
くちびるを大(おお)きく開(ひら)く者(もの)には滅(ほろ)びが来(く)る。
4なまけ者(もの)の心(こころ)は、願(ねが)い求(もと)めても、何(なに)も得(え)ない、
しかし勤(つと)め働(はたら)く者(もの)の心(こころ)は豊(ゆた)かに満(み)たされる。
5正(ただ)しい人(ひと)は偽(いつわ)りを憎(にく)む、
しかし悪(あ)しき人(ひと)は恥(は)ずべく、忌(い)まわしくふるまう。
6正義(せいぎ)は道(みち)をまっすぐ歩(あゆ)む者(もの)を守(まも)り、
罪(つみ)は悪(あ)しき者(もの)を倒(たお)す。
7富(と)んでいると偽(いつわ)って、何(なに)も持(も)たない者(もの)がいる、
貧(まず)しいと偽(いつわ)って、多(おお)くの富(とみ)を持(も)つ者(もの)がいる。
8人(ひと)の富(とみ)はその命(いのち)をあがなう、
しかし貧(まず)しい者(もの)にはあがなうべき富(とみ)がない。
9正(ただ)しい者(もの)の光(ひかり)は輝(かがや)き、
悪(あ)しき者(もの)のともしびは消(け)される。
10高(たか)ぶりはただ争(あらそ)いを生(しょう)じる、
勧告(かんこく)をきく者(もの)は知恵(ちえ)がある。
11急(いそ)いで得(え)た富(とみ)は減(へ)る、
少(すこ)しずつたくわえる者(もの)はそれを増(ま)すことができる。
12望(のぞ)みを得(え)ることが長(なが)びくときは、心(こころ)を悩(なや)ます、
願(ねが)いがかなうときは、命(いのち)の木(き)を得(え)たようだ。
13み言葉(ことば)を軽(かろ)んじる者(もの)は滅(ほろ)ぼされ、
戒(いまし)めを重(おも)んじる者(もの)は報(むく)いを得(え)る。
14知恵(ちえ)ある人(ひと)の教(おしえ)は命(いのち)の泉(いずみ)である、
これによって死(し)のわなをのがれることができる。
15善良(ぜんりょう)な賢(かしこ)い者(もの)は恵(めぐ)みを得(え)る、
しかし、不信実(ふしんじつ)な者(もの)の道(みち)は滅(ほろ)びである。
16おおよそ、さとき者(もの)は知識(ちしき)によって事(こと)をおこない、
愚(おろ)かな者(もの)は自分(じぶん)の愚(ぐ)を見(み)せびらかす。
17悪(あ)しき使者(ししゃ)は人(ひと)を災(わざわい)におとしいれる、
しかし忠実(ちゅうじつ)な使者(ししゃ)は人(ひと)を救(すく)う。
18貧乏(びんぼう)と、はずかしめとは教訓(きょうくん)を捨(す)てる者(もの)に来(く)る、
しかし戒(いまし)めを守(まも)る者(もの)は尊(たっと)ばれる。
19願(ねが)いがかなえば、心(こころ)は楽(たの)しい、
愚(おろ)かな者(もの)は悪(あく)を捨(す)てることをきらう。
20知恵(ちえ)ある者(もの)とともに歩(あゆ)む者(もの)は知恵(ちえ)を得(え)る。
愚(おろ)かな者(もの)の友(とも)となる者(もの)は害(がい)をうける。
21災(わざわい)は罪(つみ)びとを追(お)い、
正(ただ)しい者(もの)は良(よ)い報(むく)いを受(う)ける。
22善良(ぜんりょう)な人(ひと)はその嗣(し)業(ぎょう)を子孫(しそん)にのこす、
しかし罪(つみ)びとの富(とみ)は正(ただ)しい人(ひと)のためにたくわえられる。
23貧(まず)しい人(ひと)の新田(しんでん)は多(おお)くの食糧(しょくりょう)を産(さん)する、
しかし不正(ふせい)によれば押(お)し流(なが)される。
24むちを加(くわ)えない者(もの)はその子(こ)を憎(にく)むのである、
子(こ)を愛(あい)する者(もの)は、つとめてこれを懲(こ)らしめる。
25正(ただ)しい者(もの)は食(た)べてその食欲(しょくよく)を満(み)たす、
しかし悪(あ)しき者(もの)の腹(はら)は満(み)たされない。

第一四章


1知恵(ちえ)はその家(いえ)を建(た)て、
愚(おろ)かさは自分(じぶん)の手(て)でそれをこわす。
2まっすぐに歩(あゆ)む者(もの)は主(しゅ)を恐(おそ)れる、
曲(まが)って歩(あゆ)む者(もの)は主(しゅ)を侮(あなど)る。
3愚(おろ)かな者(もの)の言葉(ことば)は自分(じぶん)の背(せ)にむちを当(あ)てる、
知恵(ちえ)ある者(もの)のくちびるはその身(み)を守(まも)る。
4牛(うし)がなければ穀物(こくもつ)はない、
牛(うし)の力(ちから)によって農作物(のうさくもつ)は多(おお)くなる。
5真実(しんじつ)な証人(しょうにん)はうそをいわない、
偽(いつわ)りの証人(しょうにん)はうそをつく。
6あざける者(もの)は知恵(ちえ)を求(もと)めても得(え)られない、
さとき者(もの)は知識(ちしき)を得(え)ることがたやすい。
7愚(おろ)かな者(もの)の前(まえ)を離(はな)れ去(さ)れ、
そこには知識(ちしき)の言葉(ことば)がないからである。
8さとき者(もの)の知恵(ちえ)は自分(じぶん)の道(みち)をわきまえることにあり、
愚(おろ)かな者(もの)の愚(おろ)かは、欺(あざむ)くことにある。
9神(かみ)は悪(あ)しき者(もの)をあざけられる、
正(ただ)しい者(もの)は、その恵(めぐ)みを受(う)ける。
10心(こころ)の苦(くる)しみは心(こころ)みずからが知(し)る、
その喜(よろこ)びには他人(たにん)はあずからない。
11悪(あ)しき者(もの)の家(いえ)は滅(ほろ)ぼされ、
正(ただ)しい者(もの)の幕屋(まくや)は栄(さか)える。
12人(ひと)が見(み)て自(みずか)ら正(ただ)しいとする道(みち)でも、
その終(おわ)りはついに死(し)に至(いた)る道(みち)となるものがある。
13笑(わら)う時(とき)にも心(こころ)に悲(かな)しみがあり、
喜(よろこ)びのはてに憂(うれ)いがある。
14心(こころ)のもとれる者(もの)はそのしわざの実(み)を刈(か)り取(と)り、
善良(ぜんりょう)な人(ひと)もまたその行(おこな)いの実(み)を刈(か)り取(と)る。
15思慮(しりょ)のない者(もの)はすべてのことを信(しん)じる、
さとき者(もの)は自分(じぶん)の歩(あゆ)みを慎(つつし)む。
16知恵(ちえ)ある者(もの)は用心(ようじん)ぶかく、悪(あく)を離(はな)れる、
愚(おろ)かな者(もの)は高(たか)ぶって用心(ようじん)しない。
17怒(いか)りやすい者(もの)は愚(おろ)かなことを行(おこな)い、
賢(かしこ)い者(もの)は忍耐(にんたい)強(づよ)い。
18思慮(しりょ)のない者(もの)は愚(おろ)かなことを自分(じぶん)のものとする、
さとき者(もの)は知識(ちしき)をもって冠(かんむり)とする。
19悪人(あくにん)は善人(ぜんにん)の前(まえ)にひれ伏(ふ)し、
悪(あ)しき者(もの)は正(ただ)しい者(もの)の門(もん)にひれ伏(ふ)す。
20貧(まず)しい者(もの)はその隣(となり)にさえも憎(にく)まれる、
しかし富(と)める者(もの)は多(おお)くの友(とも)をもつ。
21隣(とな)り人(びと)を卑(いや)しめる者(もの)は罪(つみ)びとである、
貧(まず)しい人(ひと)をあわれむ者(もの)はさいわいである。
22悪(あく)を計(はか)る者(もの)はおのれを誤(あやま)るではないか、
善(ぜん)を計(はか)る者(もの)にはいつくしみと、まこととがある。
23すべての勤労(きんろう)には利益(りえき)がある、
しかし口先(くちさき)だけの言葉(ことば)は貧乏(びんぼう)をきたらせるだけだ。
24知恵(ちえ)ある者(もの)の冠(かんむり)はその知恵(ちえ)である、
愚(おろ)かな者(もの)の花(はな)の冠(かんむり)はただ愚(おろ)かさである。
25まことの証人(しょうにん)は人(ひと)の命(いのち)を救(すく)う、
偽(いつわ)りを吐(は)く者(もの)は裏(うら)切(ぎり)者(もの)である。
26主(しゅ)を恐(おそ)れることによって人(ひと)は安心(あんしん)を得(え)、
その子(こ)らはのがれ場(ば)を得(え)る。
27主(しゅ)を恐(おそ)れることは命(いのち)の泉(いずみ)である、
人(ひと)を死(し)のわなからのがれさせる。
28王(おう)の栄(さか)えは民(たみ)の多(おお)いことにあり、
君(きみ)の滅(ほろ)びは民(たみ)を失(うしな)うことにある。
29怒(いか)りをおそくする者(もの)は大(おお)いなる悟(さと)りがあり、
気(き)の短(みじか)い者(もの)は愚(おろ)かさをあらわす。
30穏(おだ)やかな心(こころ)は身(み)の命(いのち)である、
しかし興奮(こうふん)は骨(ほね)を腐(くさ)らせる。
31貧(まず)しい者(もの)をしえたげる者(もの)はその造(つく)り主(ぬし)を侮(あなど)る、
乏(とぼ)しい者(もの)をあわれむ者(もの)は、主(しゅ)をうやまう。
32悪(あ)しき者(もの)はその悪(あ)しき行(おこな)いによって滅(ほろ)ぼされ、
正(ただ)しい者(もの)はその正(ただ)しきによって、のがれ場(ば)を得(え)る。
33知恵(ちえ)はさとき者(もの)の心(こころ)にとどまり、
愚(おろ)かな者(もの)の心(こころ)に知(し)られない。
34正義(せいぎ)は国(くに)を高(たか)くし、
罪(つみ)は民(たみ)をはずかしめる。
35賢(かしこ)いしもべは王(おう)の恵(めぐ)みをうけ、
恥(はじ)をきたらす者(もの)はその怒(いか)りにあう。

第一五章


1柔(やわら)かい答(こたえ)は憤(いきどお)りをとどめ、
激(はげ)しい言葉(ことば)は怒(いか)りをひきおこす。
2知恵(ちえ)ある者(もの)の舌(した)は知識(ちしき)をわかち与(あた)え、
愚(おろ)かな者(もの)の口(くち)は愚(おろ)かを吐(は)き出(だ)す。
3主(しゅ)の目(め)はどこにでもあって、
悪人(あくにん)と善人(ぜんにん)とを見張(みは)っている。
4優(やさ)しい舌(した)は命(いのち)の木(き)である、
乱暴(らんぼう)な言葉(ことば)は魂(たましい)を傷(きず)つける。
5愚(おろ)かな者(もの)は父(ちち)の教訓(きょうくん)を軽(かろ)んじる、
戒(いまし)めを守(まも)る者(もの)は賢(かしこ)い者(もの)である。
6正(ただ)しい者(もの)の家(いえ)には多(おお)くの宝(たから)がある、
悪(あ)しき者(もの)の所得(しょとく)には煩(わずら)いがある。
7知恵(ちえ)ある者(もの)のくちびるは知識(ちしき)をひろめる、
愚(おろ)かな者(もの)の心(こころ)はそうでない。
8悪(あ)しき者(もの)の供(そな)え物(もの)は主(しゅ)に憎(にく)まれ、
正(ただ)しい者(もの)の祈(いのり)は彼(かれ)に喜(よろこ)ばれる。
9悪(あ)しき者(もの)の道(みち)は主(しゅ)に憎(にく)まれ、
正義(せいぎ)を求(もと)める者(もの)は彼(かれ)に愛(あい)せられる。
10道(みち)を捨(す)てる者(もの)には、きびしい懲(こら)しめがあり、
戒(いまし)めを憎(にく)む者(もの)は死(し)に至(いた)る。
11陰府(よみ)と滅(ほろ)びとは主(しゅ)の目(め)の前(まえ)にあり、
人(ひと)の心(こころ)はなおさらである。
12あざける者(もの)は戒(いまし)められることを好(この)まない、
また知恵(ちえ)ある者(もの)に近(ちか)づかない。
13心(こころ)に楽(たの)しみがあれば顔色(かおいろ)も喜(よろこ)ばしい、
心(こころ)に憂(うれ)いがあれば気(き)はふさぐ。
14さとき者(もの)の心(こころ)は知識(ちしき)をたずね、
愚(おろ)かな者(もの)の口(くち)は愚(おろ)かさを食物(しょくもつ)とする。
15悩(なや)んでいる者(もの)の日々(ひび)はことごとくつらく、
心(こころ)の楽(たの)しい人(ひと)は常(つね)に宴会(えんかい)をもつ。
16少(すこ)しの物(もの)を所有(しょゆう)して主(しゅ)を恐(おそ)れるのは、
多(おお)くの宝(たから)をもって苦(く)労(ろう)するのにまさる。
17野菜(やさい)を食(た)べて互(たがい)に愛(あい)するのは、
肥(こ)えた牛(うし)を食(た)べて互(たがい)に憎(にく)むのにまさる。
18憤(いきどお)りやすい者(もの)は争(あらそ)いをおこし、
怒(いか)りをおそくする者(もの)は争(あらそ)いをとどめる。
19なまけ者(もの)の道(みち)には、いばらがはえしげり、
正(ただ)しい者(もの)の道(みち)は平(たい)らかである。
20知恵(ちえ)ある子(こ)は父(ちち)を喜(よろこ)ばせる、
愚(おろ)かな人(ひと)はその母(はは)を軽(かろ)んじる。
21無知(むち)な者(もの)は愚(おろ)かなことを喜(よろこ)び、
さとき者(もの)はまっすぐに歩(あゆ)む。
22相(あい)はかることがなければ、計画(けいかく)は破(やぶ)れる、
はかる者(もの)が多(おお)ければ、それは必(かなら)ず成(な)る。
23人(ひと)は口(くち)から出(で)る好(この)ましい答(こたえ)によって喜(よろこ)びを得(え)る、
時(とき)にかなった言葉(ことば)は、いかにも良(よ)いものだ。
24知恵(ちえ)ある人(ひと)の道(みち)は上(のぼ)って命(いのち)に至(いた)る、
こうしてその人(ひと)は下(した)にある陰府(よみ)を離(はな)れる。
25主(しゅ)は高(たか)ぶる者(もの)の家(いえ)を滅(ほろ)ぼし、
やもめの地境(じざかい)を定(さだ)められる。
26悪人(あくにん)の計(はか)りごとは主(しゅ)に憎(にく)まれ、
潔白(けっぱく)な人(ひと)の言葉(ことば)は彼(かれ)に喜(よろこ)ばれる。
27不正(ふせい)な利(り)をむさぼる者(もの)はその家(いえ)を煩(わず)らわせる、
まいないを憎(にく)む者(もの)は生(い)きながらえる。
28正(ただ)しい者(もの)の心(こころ)は答(こた)えるべきことを考(かんが)える、
悪(あ)しき者(もの)の口(くち)は悪(あく)を吐(は)き出(だ)す。
29主(しゅ)は悪(あ)しき者(もの)に遠(とお)ざかり、正(ただ)しい者(もの)の祈(いのり)を聞(き)かれる。
30目(め)の光(ひかり)は心(こころ)を喜(よろこ)ばせ、
よい知(し)らせは骨(ほね)を潤(うるお)す。
31ためになる戒(いまし)めを聞(き)く耳(みみ)をもつ者(もの)は、
知恵(ちえ)ある者(もの)の中(なか)にとどまる。
32教訓(きょうくん)を捨(す)てる者(もの)はおのれの命(いのち)を軽(かろ)んじ、
戒(いまし)めを重(おも)んじる者(もの)は悟(さと)りを得(え)る。
33主(しゅ)を恐(おそ)れることは知恵(ちえ)の教訓(きょうくん)である、
謙遜(けんそん)は、栄誉(えいよ)に先(さき)だつ。

第一六章


1心(こころ)にはかることは人(ひと)に属(ぞく)し、
舌(した)の答(こたえ)は主(しゅ)から出(で)る。
2人(ひと)の道(みち)は自分(じぶん)の目(め)にことごとく潔(いさぎよ)しと見(み)える、
しかし主(しゅ)は人(ひと)の魂(たましい)をはかられる。
3あなたのなすべき事(こと)を主(しゅ)にゆだねよ、
そうすれば、あなたの計(はか)るところは必(かなら)ず成(な)る。
4主(しゅ)はすべての物(もの)をおのおのその用(よう)のために造(つく)り、
悪(あ)しき人(ひと)をも災(わざわい)の日(ひ)のために造(つく)られた。
5すべて心(こころ)に高(たか)ぶる者(もの)は主(しゅ)に憎(にく)まれる、
確(たし)かに、彼(かれ)は罰(ばつ)を免(まぬか)れない。
6いつくしみとまことによって、とがはあがなわれる、
主(しゅ)を恐(おそ)れることによって、人(ひと)は悪(あく)を免(まぬか)れる。
7人(ひと)の道(みち)が主(しゅ)を喜(よろこ)ばせる時(とき)、
主(しゅ)はその人(ひと)の敵(てき)をもその人(ひと)と和(やわ)らがせられる。
8正義(せいぎ)によって得(え)たわずかなものは、
不義(ふぎ)によって得(え)た多(おお)くの宝(たから)にまさる。
9人(ひと)は心(こころ)に自分(じぶん)の道(みち)を考(かんが)え計(はか)る、
しかし、その歩(あゆ)みを導(みちび)く者(もの)は主(しゅ)である。
10王(おう)のくちびるには神(かみ)の決定(けってい)がある、
さばきをするとき、その口(くち)に誤(あやま)りがない。
11正(ただ)しいはかりと天(てん)びんとは主(しゅ)のものである、
袋(ふくろ)にあるふんどうもすべて彼(かれ)の造(つく)られたものである。
12悪(あく)を行(おこな)うことは王(おう)の憎(にく)むところである、
その位(くらい)が正義(せいぎ)によって堅(かた)く立(た)っているからである。
13正(ただ)しいくちびるは王(おう)に喜(よろこ)ばれる、
彼(かれ)は正(ただ)しい事(こと)を言(い)う者(もの)を愛(あい)する。
14王(おう)の怒(いか)りは死(し)の使者(ししゃ)である、
知恵(ちえ)ある人(ひと)はこれをなだめる。
15王(おう)の顔(かお)の光(ひかり)には命(いのち)がある、
彼(かれ)の恵(めぐ)みは春雨(はるさめ)をもたらす雲(くも)のようだ。
16知恵(ちえ)を得(え)るのは金(きん)を得(え)るのにまさる、
悟(さと)りを得(え)るのは銀(ぎん)を得(え)るよりも望(のぞ)ましい。
17悪(あく)を離(はな)れることは正(ただ)しい人(ひと)の道(みち)である、
自分(じぶん)の道(みち)を守(まも)る者(もの)はその魂(たましい)を守(まも)る。
18高(たか)ぶりは滅(ほろ)びにさきだち、
誇(ほこ)る心(こころ)は倒(たお)れにさきだつ。
19へりくだって貧(まず)しい人々(ひとびと)と共(とも)におるのは、
高(たか)ぶる者(もの)と共(とも)にいて、獲物(えもの)を分(わ)けるにまさる。
20慎(つつし)んで、み言葉(ことば)をおこなう者(もの)は栄(さか)える、
主(しゅ)に寄(よ)り頼(たの)む者(もの)はさいわいである。
21心(こころ)に知恵(ちえ)ある者(もの)はさとき者(もの)ととなえられる、
くちびるが甘(あま)ければ、
その教(おしえ)に人(ひと)を説(と)きつける力(ちから)を増(ま)す。
22知恵(ちえ)はこれを持(も)つ者(もの)に命(いのち)の泉(いずみ)となる、
しかし、愚(おろ)かさは愚(おろ)かな者(もの)の受(う)ける懲(こら)しめである。
23知恵(ちえ)ある者(もの)の心(こころ)はその言(い)うところを賢(かしこ)くし、
またそのくちびるに人(ひと)を説(と)きつける力(ちから)を増(ま)す。
24ここちよい言葉(ことば)は蜂蜜(はちみつ)のように、
魂(たましい)に甘(あま)く、からだを健(すこ)やかにする。
25人(ひと)が見(み)て自分(じぶん)で正(ただ)しいとする道(みち)があり、
その終(おわ)りはついに死(し)にいたる道(みち)となるものがある。
26ほねおる者(もの)は飲食(いんしょく)のためにほねおる、
その口(くち)が自分(じぶん)に迫(せま)るからである。
27よこしまな人(ひと)は悪(あく)を企(くわだ)てる、
そのくちびるには激(はげ)しい火(ひ)のようなものがある。
28偽(いつわ)る者(もの)は争(あらそ)いを起(おこ)し、
つげ口(ぐち)する者(もの)は親(した)しい友(とも)を離(はな)れさせる。
29しえたげる者(もの)はその隣(とな)り人(びと)をいざない、
これを良(よ)くない道(みち)に導(みちび)く。
30めくばせする者(もの)は悪(あく)を計(はか)り、
くちびるを縮(ちぢ)める者(もの)は悪事(あくじ)をなし遂(と)げる。
31しらがは栄(さか)えの冠(かんむり)である、
正(ただ)しく生(い)きることによってそれが得(え)られる。
32怒(いか)りをおそくする者(もの)は勇士(ゆうし)にまさり、
自分(じぶん)の心(こころ)を治(おさ)める者(もの)は城(しろ)を攻(せ)め取(と)る者(もの)にまさる。
33人(ひと)はくじをひく、
しかし事(こと)を定(さだ)めるのは全(まった)く主(しゅ)のことである。

第一七章


1平穏(へいおん)であって、
ひとかたまりのかわいたパンのあるのは、
争(あらそ)いがあって、食物(しょくもつ)の豊(ゆた)かな家(いえ)にまさる。
2賢(かしこ)いしもべは身持(みもち)の悪(わる)いむすこを治(おさ)め、
かつ、その兄弟(きょうだい)たちの中(なか)にあって、
資産(しさん)の分(わ)け前(まえ)を獲(え)る。
3銀(ぎん)を試(こころ)みるものはるつぼ、金(きん)を試(こころ)みるものは炉(ろ)、
人(ひと)の心(こころ)を試(こころ)みるものは主(しゅ)である。
4悪(あく)を行(おこな)う者(もの)は偽(いつわ)りのくちびるに聞(き)き、
偽(いつわ)りをいう者(もの)は悪(あ)しき舌(した)に耳(みみ)を傾(かたむ)ける。
5貧(まず)しい者(もの)をあざける者(もの)はその造(つく)り主(ぬし)を侮(あなど)る、
人(ひと)の災(わざわい)を喜(よろこ)ぶ者(もの)は罰(ばつ)を免(まぬか)れない。
6孫(まご)は老人(ろうじん)の冠(かんむり)である、
父(ちち)は子(こ)の栄(さか)えである。
7すぐれた言葉(ことば)は愚(おろ)かな者(もの)には似合(にあ)わない、
まして偽(いつわ)りを言(い)うくちびるは
君(きみ)たる者(もの)には似合(にあ)わない。
8まいないはこれを贈(おく)る人(ひと)の目(め)には幸運(こううん)の玉(たま)のようだ、
その向(む)かう所(ところ)、どこでも彼(かれ)は栄(さか)える。
9愛(あい)を追(お)い求(もと)める人(ひと)は人(ひと)のあやまちをゆるす、
人(ひと)のことを言(い)いふらす者(もの)は友(とも)を離(はな)れさせる。
10一度(ど)の戒(いまし)めがさとき人(ひと)に徹(てっ)するのは、
百度(ど)の懲(こら)しめが愚(おろ)かな人(ひと)に徹(てっ)するよりも深(ふか)い。
11悪(あ)しき者(もの)はただ、そむく事(こと)のみを求(もと)める、
それゆえ、彼(かれ)に向(む)かっては残忍(ざんにん)な使者(ししゃ)がつかわされる。
12愚(おろ)かな者(もの)が愚(おろ)かな事(こと)をするのに会(あ)うよりは、
子(こ)をとられた雌(め)ぐまに会(あ)うほうがよい。
13悪(あく)をもて善(ぜん)に報(むく)いる者(もの)は、
悪(あく)がその家(いえ)を離(はな)れることがない。
14争(あらそ)いの初(はじ)めは水(みず)がもれるのに似(に)ている、
それゆえ、けんかの起(おこ)らないうちにそれをやめよ。
15悪(あ)しき者(もの)を正(ただ)しいとする者(もの)、正(ただ)しい者(もの)を悪(わる)いとする者(もの)、
この二つの者(もの)はともに主(しゅ)に憎(にく)まれる。
16愚(おろ)かな者(もの)はすでに心(こころ)がないのに、
どうして知恵(ちえ)を買(か)おうとして
手(て)にその代金(だいきん)を持(も)っているのか。
17友(とも)はいずれの時(とき)にも愛(あい)する、
兄弟(きょうだい)はなやみの時(とき)のために生(うま)れる。
18知恵(ちえ)のない人(ひと)は手(て)をうって、
その隣(とな)り人(びと)の前(まえ)で保証(ほしょう)をする。
19争(あらそ)いを好(この)む者(もの)は罪(つみ)を好(この)む、
その門(もん)を高(たか)くする者(もの)は滅(ほろ)びを求(もと)める。
20曲(まが)った心(こころ)の者(もの)はさいわいを得(え)ない、
みだりに舌(した)をもって語(かた)る者(もの)は災(わざわい)に陥(おちい)る。
21愚(おろ)かな子(こ)を生(う)む者(もの)は嘆(なげ)きを得(え)る、
愚(おろ)か者(もの)の父(ちち)は喜(よろこ)びを得(え)ない。
22心(こころ)の楽(たの)しみは良(よ)い薬(くすり)である、
たましいの憂(うれ)いは骨(ほね)を枯(か)らす。
23悪(あ)しき者(もの)は人(ひと)のふところからまいないを受(う)けて、
さばきの道(みち)をまげる。
24さとき者(もの)はその顔(かお)を知恵(ちえ)にむける、
しかし、愚(おろ)かな者(もの)は目(め)を地(ち)の果(はて)にそそぐ。
25愚(おろ)かな子(こ)はその父(ちち)の憂(うれ)いである、
またこれを産(う)んだ母(はは)の痛(いた)みである。
26正(ただ)しい人(ひと)を罰(ばっ)するのはよくない、
尊(たっと)い人(ひと)を打(う)つのは悪(わる)い。
27言葉(ことば)を少(すく)なくする者(もの)は知識(ちしき)のある者(もの)、
心(こころ)の冷静(れいせい)な人(ひと)はさとき人(ひと)である。
28愚(おろ)かな者(もの)も黙(だま)っているときは、知恵(ちえ)ある者(もの)と思(おも)われ、
そのくちびるを閉(と)じている時(とき)は、さとき者(もの)と思(おも)われる。

第一八章


1人(ひと)と交(まじ)わりをしない者(もの)は口実(こうじつ)を捜(さが)し、
すべてのよい考(かんが)えに激(はげ)しく反対(はんたい)する。
2愚(おろ)かな者(もの)は悟(さと)ることを喜(よろこ)ばず、
ただ自分(じぶん)の意見(いけん)を言(い)い表(あら)わすことを喜(よろこ)ぶ。
3悪(あ)しき者(もの)が来(く)ると、卑(いや)しめもまた来(く)る、
不名誉(ふめいよ)が来(く)ると、はずかしめも共(とも)にくる。
4人(ひと)の口(くち)の言葉(ことば)は深(ふか)い水(みず)のようだ、
知恵(ちえ)の泉(いずみ)は、わいて流(なが)れる川(かわ)である。
5悪(あ)しき者(もの)をえこひいきすることは良(よ)くない、
正(ただ)しい者(もの)をさばいて、悪(あ)しき者(もの)とすることも良(よ)くない。
6愚(おろ)かな者(もの)のくちびるは争(あらそ)いを起(おこ)し、
その口(くち)はむち打(う)たれることを招(まね)く。
7愚(おろ)かな者(もの)の口(くち)は自分(じぶん)の滅(ほろ)びとなり、
そのくちびるは自分(じぶん)を捕(とら)えるわなとなる。
8人(ひと)のよしあしをいう者(もの)の言葉(ことば)は
おいしい食物(しょくもつ)のようで、腹(はら)の奥(おく)にしみこむ。
9その仕事(しごと)を怠(おこた)る者(もの)は、滅(ほろ)ぼす者(もの)の兄弟(きょうだい)である。
10主(しゅ)の名(な)は堅固(けんご)なやぐらのようだ、
正(ただ)しい者(もの)はその中(なか)に走(はし)りこんで救(すくい)を得(え)る。
11富(と)める者(もの)の富(とみ)はその堅(かた)き城(しろ)である、
それは高(たか)き城壁(じょうへき)のように彼(かれ)を守(まも)る。
12人(ひと)の心(こころ)の高(たか)ぶりは滅(ほろ)びにさきだち、
謙遜(けんそん)は栄誉(えいよ)にさきだつ。
13事(こと)をよく聞(き)かないで答(こた)える者(もの)は、
愚(おろ)かであって恥(はじ)をこうむる。
14人(ひと)の心(こころ)は病苦(びょうく)をも忍(しの)ぶ、
しかし心(こころ)の痛(いた)むときは、だれがそれに耐(た)えようか。
15さとき者(もの)の心(こころ)は知識(ちしき)を得(え)、
知恵(ちえ)ある者(もの)の耳(みみ)は知識(ちしき)を求(もと)める。
16人(ひと)の贈(おく)り物(もの)は、その人(ひと)のために道(みち)をひらき、
また尊(たっと)い人(ひと)の前(まえ)に彼(かれ)を導(みちび)く。
17先(さき)に訴(うった)え出(で)る者(もの)は正(ただ)しいように見(み)える、
しかしその訴(うった)えられた人(ひと)が来(き)て、それを調(しら)べて、事(こと)は明(あき)らかになる。
18くじは争(あらそ)いをとどめ、
かつ強(つよ)い争(あらそ)い相手(あいて)の間(あいだ)を決定(けってい)する。
19助(たす)けあう兄弟(きょうだい)は堅固(けんご)な城(しろ)のようだ、
しかし争(あらそ)いは、やぐらの貫(かん)の木(き)のようだ。
20人(ひと)は自分(じぶん)の言葉(ことば)の結(むす)ぶ実(み)によって、
満(み)ち足(た)り、そのくちびるの産物(さんぶつ)によって自(みずか)ら飽(あ)きる。
21死(し)と生(せい)とは舌(した)に支配(しはい)される、
これを愛(あい)する者(もの)はその実(み)を食(た)べる。
22妻(つま)を得(え)る者(もの)は、良(よ)き物(もの)を得(え)る、
かつ主(しゅ)から恵(めぐ)みを与(あた)えられる。
23貧(まず)しい者(もの)は、あわれみを請(こ)い、
富(と)める者(もの)は、はげしい答(こたえ)をする。
24世(よ)には友(とも)らしい見(み)せかけの友(とも)がある、
しかし兄弟(きょうだい)よりもたのもしい友(とも)もある。

第一九章


1正(ただ)しく歩(あゆ)む貧(まず)しい者(もの)は、
曲(まが)ったことを言(い)う愚(おろ)かな者(もの)にまさる。
2人(ひと)が知識(ちしき)のないのは良(よ)くない、
足(あし)で急(いそ)ぐ者(もの)は道(みち)に迷(まよ)う。
3人(ひと)は自分(じぶん)の愚(おろ)かさによって道(みち)につまずき、
かえって心(こころ)のうちに主(しゅ)をうらむ。
4富(とみ)は多(おお)くの新(あたら)しい友(とも)を作(つく)る、
しかし貧(まず)しい人(ひと)はその友(とも)に捨(す)てられる。
5偽(いつわ)りの証人(しょうにん)は罰(ばつ)を免(まぬか)れない、
偽(いつわ)りをいう者(もの)はのがれることができない。
6気前(きまえ)のよい人(ひと)にこびる者(もの)は多(おお)い、
人(ひと)はみな贈(おく)り物(もの)をする人(ひと)の友(とも)となる。
7貧(まず)しい者(もの)はその兄弟(きょうだい)すらもみなこれを憎(にく)む、
ましてその友(とも)はこれに遠(とお)ざからないであろうか。
言葉(ことば)をかけてこれを呼(よ)んでも、
去(さ)って帰(かえ)らないのである。
8知恵(ちえ)を得(え)る者(もの)は自分(じぶん)の魂(たましい)を愛(あい)し、
悟(さと)りを保(たも)つ者(もの)は幸(さいわい)を得(え)る。
9偽(いつわ)りの証人(しょうにん)は罰(ばつ)を免(まぬか)れない、
偽(いつわ)りをいう者(もの)は滅(ほろ)びる。
10愚(おろ)かな者(もの)が、ぜいたくな暮(くら)しをするのは、
ふさわしいことではない、
しもべたる者(もの)が、君(きみ)たる者(もの)を治(おさ)めるなどは、
なおさらである。
11悟(さと)りは人(ひと)に怒(いか)りを忍(しの)ばせる、
あやまちをゆるすのは人(ひと)の誉(ほまれ)である。
12王(おう)の怒(いか)りは、ししのほえるようであり、
その恵(めぐ)みは草(くさ)の上(うえ)におく露(つゆ)のようである。
13愚(おろ)かな子(こ)はその父(ちち)の災(わざわい)である、
妻(つま)の争(あらそ)うのは、雨漏(あまも)りの絶(た)えないのとひとしい。
14家(いえ)と富(とみ)とは先祖(せんぞ)からうけつぐもの、
賢(かしこ)い妻(つま)は主(しゅ)から賜(たま)わるものである。
15怠(おこた)りは人(ひと)を熟睡(じゅくすい)させる、
なまけ者(もの)は飢(う)える。
16戒(いまし)めを守(まも)る者(もの)は自分(じぶん)の魂(たましい)を守(まも)る、
み言葉(ことば)を軽(かろ)んじる者(もの)は死(し)ぬ。
17貧(まず)しい者(もの)をあわれむ者(もの)は主(しゅ)に貸(か)すのだ、
その施(ほどこ)しは主(しゅ)が償(つぐな)われる。
18望(のぞ)みのあるうちに、自分(じぶん)の子(こ)を懲(こ)らせ、
これを滅(ほろ)ぼす心(こころ)を起(おこ)してはならない。
19怒(いか)ることの激(はげ)しい者(もの)は罰(ばつ)をうける、
たとい彼(かれ)を救(すく)ってやっても、
さらにくり返(かえ)さねばならない。
20勧(すす)めを聞(き)き、教訓(きょうくん)をうけよ、
そうすれば、ついには知恵(ちえ)ある者(もの)となる。
21人(ひと)の心(こころ)には多(おお)くの計画(けいかく)がある、
しかしただ主(しゅ)の、み旨(むね)だけが堅(かた)く立(た)つ。
22人(ひと)に望(のぞ)ましいのは、いつくしみ深(ふか)いことである、
貧(まず)しい人(ひと)は偽(いつわ)りをいう人(ひと)にまさる。
23主(しゅ)を恐(おそ)れることは人(ひと)を命(いのち)に至(いた)らせ、
常(つね)に飽(あ)き足(た)りて、災(わざわい)にあうことはない。
24なまけ者(もの)は、手(て)を皿(さら)に入(い)れても、
それを口(くち)に持(も)ってゆくことをしない。
25あざける者(もの)を打(う)て、そうすれば思慮(しりょ)のない者(もの)も慎(つつし)む。
さとき者(もの)を戒(いまし)めよ、そうすれば彼(かれ)は知識(ちしき)を得(え)る。
26父(ちち)に乱暴(らんぼう)をはたらき、母(はは)を追(お)い出(だ)す者(もの)は、
恥(はじ)をきたらし、はずかしめをまねく子(こ)である。
27わが子(こ)よ、知識(ちしき)の言葉(ことば)をはなれて人(ひと)を迷(まよ)わせる
教訓(きょうくん)を聞(き)くことをやめよ。
28悪(わる)い証人(しょうにん)はさばきをあざけり、
悪(あ)しき者(もの)の口(くち)は悪(あく)をむさぼり食(く)う。
29さばきはあざける者(もの)のために備(そな)えられ、
むちは愚(おろ)かな者(もの)の背(せ)のために備(そな)えられる。

第二〇章


1酒(さけ)は人(ひと)をあざける者(もの)とし、
濃(こ)い酒(さけ)は人(ひと)をあばれ者(もの)とする、
これに迷(まよ)わされる者(もの)は無知(むち)である。
2王(おう)の怒(いか)りは、ししがほえるようだ、
彼(かれ)を怒(いか)らせる者(もの)は自分(じぶん)の命(いのち)をそこなう。
3争(あらそ)いに関係(かんけい)しないことは人(ひと)の誉(ほまれ)である、
すべて愚(おろ)かな者(もの)は怒(いか)り争(あらそ)う。
4なまけ者(もの)は寒(さむ)いときに耕(たがや)さない、
それゆえ刈入(かりい)れのときになって、求(もと)めても何(なに)もない。
5人(ひと)の心(こころ)にある計(はか)りごとは深(ふか)い井戸(いど)の水(みず)のようだ、
しかし、さとき人(ひと)はこれをくみ出(だ)す。
6自分(じぶん)は真実(しんじつ)だという人(ひと)が多(おお)い、
しかし、だれが忠信(ちゅうしん)な人(ひと)に会(あ)うであろうか。
7欠(か)けた所(ところ)なく、正(ただ)しく歩(あゆ)む人(ひと)――
その後(のち)の子孫(しそん)はさいわいである。
8さばきの座(ざ)にすわる王(おう)は
その目(め)をもって、すべての悪(あく)をふるいわける。
9だれが「わたしは自分(じぶん)の心(こころ)を清(きよ)めた、
わたしの罪(つみ)は清(きよ)められた」ということができようか。
10互(たがい)に違(ちが)った二種(しゅ)のはかり、二種(しゅ)のますは、
ひとしく主(しゅ)に憎(にく)まれる。
11幼(おさ)な子(ご)でさえも、その行(おこな)いによって自(みずか)らを示(しめ)し、
そのすることの清(きよ)いか正(ただ)しいかを現(あらわ)す。
12聞(き)く耳(みみ)と、見(み)る目(め)とは、
ともに主(しゅ)が造(つく)られたものである。
13眠(ねむ)りを愛(あい)してはならない、そうすれば貧(まず)しくなる、
目(め)を開(ひら)け、そうすればパンに飽(あ)くことができる。
14買(か)う者(もの)は、「悪(わる)い、悪(わる)い」という、
しかし去(さ)って後(のち)、彼(かれ)は自(みずか)ら誇(ほこ)る。
15金(きん)もあり、価(あたい)の高(たか)い宝石(ほうせき)も多(おお)くあるが、
尊(たっと)い器(うつわ)は知識(ちしき)のくちびるである。
16人(ひと)のために保証(ほしょう)する者(もの)からは、まずその着物(きもの)を取(と)れ、
他人(たにん)のために保証(ほしょう)する者(もの)をば抵当(ていとう)に取(と)れ。
17欺(あざむ)き取(と)ったパンはおいしい、
しかし後(のち)にはその口(くち)は砂利(じゃり)で満(み)たされる。
18計(はか)りごとは共(とも)に議(ぎ)することによって成(な)る、
戦(たたか)おうとするならば、まずよく議(ぎ)しなければならない。
19歩(ある)きまわって人(ひと)のよしあしをいう者(もの)は秘密(ひみつ)をもらす、
くちびるを開(ひら)いて歩(ある)く者(もの)と交(まじ)わってはならない。
20自分(じぶん)の父母(ふぼ)をののしる者(もの)は、
そのともしびは暗(くら)やみの中(なか)に消(き)える。
21初(はじ)めに急(いそ)いで得(え)た資産(しさん)は、
その終(おわ)りがさいわいでない。
22「わたしが悪(あく)に報(むく)いる」と言(い)ってはならない、
主(しゅ)を待(ま)ち望(のぞ)め、主(しゅ)はあなたを助(たす)けられる。
23互(たがい)に違(ちが)った二種(しゅ)のふんどうは主(しゅ)に憎(にく)まれる、
偽(いつわ)りのはかりは良(よ)くない。
24人(ひと)の歩(あゆ)みは主(しゅ)によって定(さだ)められる、
人(ひと)はどうして自(みずか)らその道(みち)を、
明(あき)らかにすることができようか。
25軽々(かるがる)しく「これは聖(せい)なるささげ物(もの)だ」と言(い)い、
また誓(ちか)いを立(た)てて後(のち)に考(かんが)えることは、
その人(ひと)のわなとなる。
26知恵(ちえ)ある王(おう)は、
箕(みの)をもってあおぎ分(わ)けるように悪人(あくにん)を散(ち)らし、
車(くるま)をもって脱穀(だっこく)するように、これを罰(ばっ)する。
27人(ひと)の魂(たましい)は主(しゅ)のともしびであり、人(ひと)の心(こころ)の奥(おく)を探(さぐ)る。
28いつくしみと、まこととは王(おう)を守(まも)る、
その位(くらい)もまた正義(せいぎ)によって保(たも)たれる。
29若(わか)い人(ひと)の栄(さか)えはその力(ちから)、
老人(ろうじん)の美(うつく)しさはそのしらがである。
30傷(きず)つくまでに打(う)てば悪(わる)い所(ところ)は清(きよ)くなり、
むちで打(う)てば心(こころ)の底(そこ)までも清(きよ)まる。

第二一章


1王(おう)の心(こころ)は、主(しゅ)の手(て)のうちにあって、
水(みず)の流(なが)れのようだ、
主(しゅ)はみこころのままにこれを導(みちび)かれる。
2人(ひと)の道(みち)は自分(じぶん)の目(め)には正(ただ)しく見(み)える、
しかし主(しゅ)は人(ひと)の心(こころ)をはかられる。
3正義(せいぎ)と公平(こうへい)を行(おこな)うことは、
犠牲(ぎせい)にもまさって主(しゅ)に喜(よろこ)ばれる。
4高(たか)ぶる目(め)とおごる心(こころ)とは、
悪(あ)しき人(ひと)のともしびであって、罪(つみ)である。
5勤勉(きんべん)な人(ひと)の計画(けいかく)は、ついにその人(ひと)を豊(ゆた)かにする、
すべて怠(おこた)るものは貧(まず)しくなる。
6偽(いつわ)りの舌(した)をもって宝(たから)を得(え)るのは、
吹(ふ)きはらわれる煙(けむり)、死(し)のわなである。
7悪(あ)しき者(もの)の暴虐(ぼうぎゃく)はその身(み)を滅(ほろ)ぼす、
彼(かれ)らは公平(こうへい)を行(おこな)うことを好(この)まないからである。
8罪(つみ)びとの道(みち)は曲(まが)っている、
潔白(けっぱく)な人(ひと)の行(おこな)いはまっすぐである。
9争(あらそ)いを好(この)む女(おんな)と一緒(いっしょ)に家(いえ)におるよりは
屋根(やね)のすみにおるほうがよい。
10悪(あ)しき者(もの)の魂(たましい)は悪(あく)を行(おこな)うことを願(ねが)う、
その隣(とな)り人(びと)にも好意(こうい)をもって見(み)られない。
11あざけるものが罰(ばつ)をうけるならば、
思慮(しりょ)のない者(もの)は知恵(ちえ)を得(え)る。
知恵(ちえ)ある者(もの)が教(おしえ)をうけるならば知識(ちしき)を得(え)る。
12正(ただ)しい神(かみ)は、悪(あ)しき者(もの)の家(いえ)をみとめて、
悪(あ)しき者(もの)を滅(ほろ)びに投(な)げいれられる。
13耳(みみ)を閉(と)じて貧(まず)しい者(もの)の呼(よ)ぶ声(こえ)を聞(き)かない者(もの)は、
自分(じぶん)が呼(よ)ぶときに、聞(き)かれない。
14ひそかな贈(おく)り物(もの)は憤(いきどお)りをなだめる、
ふところのまいないは激(はげ)しい怒(いか)りを和(やわ)らげる。
15公義(こうぎ)を行(おこな)うことは、正(ただ)しい者(もの)には喜(よろこ)びであるが、
悪(あく)を行(おこな)う者(もの)には滅(ほろ)びである。
16悟(さと)りの道(みち)を離(はな)れる人(ひと)は、
死人(しにん)の集会(しゅうかい)の中(なか)におる。
17快楽(かいらく)を好(この)む者(もの)は貧(まず)しい人(ひと)となり、
酒(さけ)と油(あぶら)とを好(この)む者(もの)は富(と)むことがない。
18悪(あ)しき者(もの)は正(ただ)しい者(もの)のあがないとなり、
不信実(ふしんじつ)な者(もの)は正(ただ)しい人(ひと)に代(かわ)る。
19争(あらそ)い怒(いか)る女(おんな)と共(とも)におるよりは、
荒野(あらの)に住(す)むほうがましだ。
20知恵(ちえ)ある者(もの)の家(いえ)には尊(たっと)い宝(たから)があり、
愚(おろ)かな人(ひと)はこれを、のみ尽(つく)す。
21正義(せいぎ)といつくしみとを追(お)い求(もと)める者(もの)は、
命(いのち)と誉(ほまれ)とを得(え)る。
22知恵(ちえ)ある者(もの)は強(つよ)い者(もの)の城(しろ)にのぼって、
その頼(たの)みとするとりでをくずす。
23口(くち)と舌(した)とを守(まも)る者(もの)は
その魂(たましい)を守(まも)って、悩(なや)みにあわせない。
24高(たか)ぶりおごる者(もの)を「あざける者(もの)」となづける、
彼(かれ)は高慢(こうまん)無礼(ぶれい)な行(おこな)いをするものである。
25なまけ者(もの)の欲望(よくぼう)は自分(じぶん)の身(み)を殺(ころ)す、
これはその手(て)を働(はたら)かせないからである。
26悪(あ)しき者(もの)はひねもす人(ひと)の物(もの)をむさぼる、
正(ただ)しい者(もの)は与(あた)えて惜(お)しまない。
27悪(あ)しき者(もの)の供(そな)え物(もの)は憎(にく)まれる、
悪意(あくい)をもってささげる時(とき)はなおさらである。
28偽(いつわ)りの証人(しょうにん)は滅(ほろ)ぼされる、
よく聞(き)く人(ひと)の言葉(ことば)はすたることがない。
29悪(あ)しき者(もの)はあつかましくし、
正(ただ)しい人(ひと)はその道(みち)をつつしむ。
30主(しゅ)に向(む)かっては知恵(ちえ)も悟(さと)りも、
計(はか)りごとも、なんの役(やく)にも立(た)たない。
31戦(たたか)いの日(ひ)のために馬(うま)を備(そな)える、
しかし勝利(しょうり)は主(しゅ)による。

第二二章


1令名(れいめい)は大(おお)いなる富(とみ)にまさり、
恩恵(おんけい)は銀(ぎん)や金(きん)よりも良(よ)い。
2富(と)める者(もの)と貧(まず)しい者(もの)とは共(とも)に世(よ)におる、
すべてこれを造(つく)られたのは主(しゅ)である。
3賢(かしこ)い者(もの)は災(わざわい)を見(み)て自(みずか)ら避(さ)け、
思慮(しりょ)のない者(もの)は進(すす)んでいって、罰(ばつ)をうける。
4謙遜(けんそん)と主(しゅ)を恐(おそ)れることとの報(むく)いは、
富(とみ)と誉(ほまれ)と命(いのち)とである。
5よこしまな者(もの)の道(みち)にはいばらとわながあり、
たましいを守(まも)る者(もの)は遠(とお)くこれを離(はな)れる。
6子(こ)をその行(い)くべき道(みち)に従(したが)って教(おし)えよ、
そうすれば年老(としお)いても、それを離(はな)れることがない。
7富(と)める者(もの)は貧(まず)しき者(もの)を治(おさ)め、
借(か)りる者(もの)は貸(か)す人(ひと)の奴隷(どれい)となる。
8悪(あく)をまく者(もの)は災(わざわい)を刈(か)り、
その怒(いか)りのつえはすたれる。
9人(ひと)を見(み)て恵(めぐ)む者(もの)はめぐまれる、
自分(じぶん)のパンを貧(まず)しい人(ひと)に与(あた)えるからである。
10あざける者(もの)を追放(ついほう)すれば争(あらそ)いもまた去(さ)り、
かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。
11心(こころ)の潔白(けっぱく)を愛(あい)する者(もの)、その言葉(ことば)の上品(じょうひん)な者(もの)は、
王(おう)がその友(とも)となる。
12主(しゅ)の目(め)は知識(ちしき)ある者(もの)を守(まも)る、
しかし主(しゅ)は不信実(ふしんじつ)な者(もの)の言葉(ことば)を敗(やぶ)られる。
13なまけ者(もの)は言(い)う、「ししがそとにいる、
わたしは、ちまたで殺(ころ)される」と。
14遊女(ゆうじょ)の口(くち)は深(ふか)い落(おと)し穴(あな)である、
主(しゅ)に憎(にく)まれる者(もの)はその中(なか)に陥(おちい)る。
15愚(おろ)かなことが子供(こども)の心(こころ)の中(なか)につながれている、
懲(こら)しめのむちは、これを遠(とお)く追(お)いだす。
16貧(まず)しい者(もの)をしえたげて自分(じぶん)の富(とみ)を増(ま)そうとする者(もの)と、
富(と)める者(もの)に与(あた)える者(もの)とは、ついに必(かなら)ず貧(まず)しくなる。

17あなたの耳(みみ)を傾(かたむ)けて知恵(ちえ)ある者(もの)の言葉(ことば)を聞(き)き、
かつ、わたしの知識(ちしき)にあなたの心(こころ)を用(もち)いよ。
18これをあなたのうちに保(たも)ち、
ことごとく、あなたのくちびるに備(そな)えておくなら、
楽(たの)しいことである。
19あなたが主(しゅ)に、寄(よ)り頼(たの)むことのできるように、
わたしはきょう、これをあなたにも教(おし)える。
20わたしは、勧(すす)めと知識(ちしき)との三十の言葉(ことば)を
あなたのためにしるしたではないか。
21それは正(ただ)しいこと、真実(しんじつ)なことをあなたに示(しめ)し、
あなたをつかわした者(もの)に
真実(しんじつ)の答(こたえ)をさせるためであった。

22貧(まず)しい者(もの)を、貧(まず)しいゆえに、かすめてはならない、
悩(なや)む者(もの)を、町(まち)の門(もん)でおさえつけてはならない。
23それは主(しゅ)が彼(かれ)らの訴(うった)えをただし、
かつ彼(かれ)らをそこなう者(もの)の命(いのち)を、
そこなわれるからである。
24怒(いか)る者(もの)と交(まじ)わるな、憤(いきどお)る人(ひと)と共(とも)に行(い)くな。
25それはあなたがその道(みち)にならって、
みずから、わなに陥(おちい)ることのないためである。
26あなたは人(ひと)と手(て)を打(う)つ者(もの)となってはならない、
人(ひと)の負債(ふさい)の保証(ほしょう)をしてはならない。
27あなたが償(つぐな)うものがないとき、
あなたの寝(ね)ている寝床(ねどこ)までも、
人(ひと)が奪(うば)い取(と)ってよかろうか。
28あなたの先祖(せんぞ)が立(た)てた古(ふる)い地境(じざかい)を移(うつ)してはならない。
29あなたはそのわざに巧(たく)みな人(ひと)を見(み)るか、
そのような人(ひと)は王(おう)の前(まえ)に立(た)つが、
卑(いや)しい人々(ひとびと)の前(まえ)には立(た)たない。

第二三章


1治(おさ)める人(ひと)と共(とも)に座(ざ)して食事(しょくじ)するとき、
あなたの前(まえ)にあるものを、よくわきまえ、
2あなたがもし食(しょく)をたしなむ者(もの)であるならば、
あなたののどに刀(かたな)をあてよ。
3そのごちそうをむさぼり食(た)べてはならない、
これは人(ひと)を欺(あざむ)く食物(しょくもつ)だからである。
4富(とみ)を得(え)ようと苦労(くろう)してはならない、
かしこく思(おも)いとどまるがよい。
5あなたの目(め)をそれにとめると、それはない、
富(とみ)はたちまち自(みずか)ら翼(つばさ)を生(しょう)じて、
わしのように天(てん)に飛(と)び去(さ)るからだ。
6物惜(ものお)しみする人(ひと)のパンを食(た)べてはならない、
そのごちそうをむさぼり願(ねが)ってはならない。
7彼(かれ)は心(こころ)のうちで勘定(かんじょう)する人(ひと)のように、
「食(く)え、飲(の)め」とあなたに言(い)うけれども、
その心(こころ)はあなたに真実(しんじつ)ではない。
8あなたはついにその食(た)べた物(もの)を吐(は)き出(だ)すようになり、
あなたのねんごろな言葉(ことば)もむだになる。
9愚(おろ)かな者(もの)の耳(みみ)に語(かた)ってはならない、
彼(かれ)はあなたの言葉(ことば)が示(しめ)す知恵(ちえ)をいやしめるからだ。
10古(ふる)い地境(じざかい)を移(うつ)してはならない、
みなしごの畑(はたけ)を侵(おか)してはならない。
11彼(かれ)らのあがない主(しゅ)は強(つよ)くいらせられ、
あなたに逆(さか)らって彼(かれ)らの訴(うった)えを弁護(べんご)されるからだ。
12あなたの心(こころ)を教訓(きょうくん)に用(もち)い、
あなたの耳(みみ)を知識(ちしき)の言葉(ことば)に傾(かたむ)けよ。
13子(こ)を懲(こ)らすことを、さし控(ひか)えてはならない、
むちで彼(かれ)を打(う)っても死(し)ぬことはない。
14もし、むちで彼(かれ)を打(う)つならば、
その命(いのち)を陰府(よみ)から救(すく)うことができる。
15わが子(こ)よ、もしあなたの心(こころ)が賢(かしこ)くあれば、
わたしの心(こころ)もまた喜(よろこ)び、
16もしあなたのくちびるが正(ただ)しい事(こと)を言(い)うならば、
わたしの心(こころ)も喜(よろこ)ぶ。
17心(こころ)に罪(つみ)びとをうらやんではならない、
ただ、ひねもす主(しゅ)を恐(おそ)れよ。
18かならず後(のち)のよい報(むく)いがあって、
あなたの望(のぞ)みは、すたらない。
19わが子(こ)よ、よく聞(き)いて、知恵(ちえ)を得(え)よ、
かつ、あなたの心(こころ)を道(みち)に向(む)けよ。
20酒(さけ)にふけり、
肉(にく)をたしなむ者(もの)と交(まじ)わってはならない。
21酒(さけ)にふける者(もの)と、肉(にく)をたしなむ者(もの)とは貧(まず)しくなり、
眠(ねむ)りをむさぼる者(もの)は、ぼろを身(み)にまとうようになる。
22あなたを生(う)んだ父(ちち)のいうことを聞(き)き、
年老(としお)いた母(はは)を軽(かろ)んじてはならない。
23真理(しんり)を買(か)え、これを売(う)ってはならない、
知恵(ちえ)と教訓(きょうくん)と悟(さと)りをも買(か)え。
24正(ただ)しい人(ひと)の父(ちち)は大(おお)いによろこび、
知恵(ちえ)ある子(こ)を生(う)む者(もの)は子(こ)のために楽(たの)しむ。
25あなたの父母(ふぼ)を楽(たの)しませ、
あなたを産(う)んだ母(はは)を喜(よろこ)ばせよ。
26わが子(こ)よ、あなたの心(こころ)をわたしに与(あた)え、
あなたの目(め)をわたしの道(みち)に注(そそ)げ。
27遊女(ゆうじょ)は深(ふか)い穴(あな)のごとく、
みだらな女(おんな)は狭(せま)い井戸(いど)のようだ。
28彼女(かのじょ)は盗(ぬす)びとのように人(ひと)をうかがい、
かつ世(よ)の人(ひと)のうちに、不信実(ふしんじつ)な者(もの)を多(おお)くする。
29災(わざわい)ある者(もの)はだれか、憂(うれ)いある者(もの)はだれか、
争(あらそ)いをする者(もの)はだれか、煩(わずら)いある者(もの)はだれか、
ゆえなく傷(きず)をうける者(もの)はだれか、
赤(あか)い目(め)をしている者(もの)はだれか。
30酒(さけ)に夜(よる)をふかす者(もの)、
行(い)って、混(ま)ぜ合(あ)わせた酒(さけ)を味(あじ)わう者(もの)である。
31酒(さけ)はあかく、杯(はい)の中(なか)にあわだち、なめらかにくだる、
あなたはこれを見(み)てはならない。
32これはついに、へびのようにかみ、
まむしのように刺(さ)す。
33あなたの目(め)は怪(あや)しいものを見(み)、
あなたの心(こころ)は偽(いつわ)りを言(い)う。
34あなたは海(うみ)の中(なか)に寝(ね)ている人(ひと)のように、
帆柱(ほばしら)の上(うえ)に寝(ね)ている人(ひと)のようになる。
35あなたは言(い)う、
「人(ひと)がわたしを撃(う)ったが、わたしは痛(いた)くはなかった。
わたしを、たたいたが、わたしは何(なに)も覚(おぼ)えはない。
いつわたしはさめるのか、
また酒(さけ)を求(もと)めよう」と。

第二四章


1悪(あく)を行(おこな)う人(ひと)をうらやんではならない、
また彼(かれ)らと共(とも)におることを願(ねが)ってはならない。
2彼(かれ)らはその心(こころ)に強奪(ごうだつ)を計(はか)り、
そのくちびるに人(ひと)をそこなうことを語(かた)るからである。
3家(いえ)は知恵(ちえ)によって建(た)てられ、悟(さと)りによって堅(かた)くせられ、
4また、へやは知識(ちしき)によってさまざまの尊(たっと)く、
麗(うるわ)しい宝(たから)で満(み)たされる。
5知恵(ちえ)ある者(もの)は強(つよ)い人(ひと)よりも強(つよ)く、
知識(ちしき)ある人(ひと)は力(ちから)ある人(ひと)よりも強(つよ)い。
6良(よ)い指揮(しき)によって戦(たたか)いをすることができ、
勝利(しょうり)は多(おお)くの議(ぎ)する者(もの)がいるからである。
7知恵(ちえ)は高(たか)くて愚(おろ)かな者(もの)の及(およ)ぶところではない、
愚(おろ)かな者(もの)は門(もん)で口(くち)を開(ひら)くことができない。
8悪(あく)を行(おこな)うことを計(はか)る者(もの)を
人(ひと)はいたずら者(もの)ととなえる。
9愚(おろ)かな者(もの)の計(はか)るところは罪(つみ)であり、
あざける者(もの)は人(ひと)に憎(にく)まれる。

10もしあなたが悩(なや)みの日(ひ)に気(き)をくじくならば、
あなたの力(ちから)は弱(よわ)い。
11死地(しち)にひかれゆく者(もの)を助(たす)け出(だ)せ、
滅(ほろ)びによろめきゆく者(もの)を救(すく)え。
12あなたが、われわれはこれを知(し)らなかったといっても、
心(こころ)をはかる者(もの)はそれを悟(さと)らないであろうか。
あなたの魂(たましい)を守(まも)る者(もの)はそれを知(し)らないであろうか。
彼(かれ)はおのおのの行(おこな)いにより、人(ひと)に報(むく)いないであろうか。

13わが子(こ)よ、蜜(みつ)を食(た)べよ、これは良(よ)いものである、
また、蜂(はち)の巣(す)のしたたりはあなたの口(くち)に甘(あま)い。
14知恵(ちえ)もあなたの魂(たましい)にはそのようであることを知(し)れ。
それを得(え)るならば、かならず報(むく)いがあって、あなたの望(のぞ)みは、すたらない。
15悪(あ)しき者(もの)がするように、
正(ただ)しい者(もの)の家(いえ)をうかがってはならない、
その住(す)む所(ところ)に乱暴(らんぼう)をしてはならない。
16正(ただ)しい者(もの)は七たび倒(たお)れても、また起(お)きあがる、
しかし、悪(あ)しき者(もの)は災(わざわい)によって滅(ほろ)びる。
17あなたのあだが倒(たお)れるとき楽(たの)しんではならない、
彼(かれ)のつまずくとき心(こころ)に喜(よろこ)んではならない。
18主(しゅ)はそれを見(み)て悪(わる)いこととし、
その怒(いか)りを彼(かれ)から転(てん)じられる。
19悪(あく)を行(おこな)う者(もの)のゆえに心(こころ)を悩(なや)ましてはならない、
よこしまな者(もの)をうらやんではならない。
20悪(あ)しき者(もの)には後(のち)の良(よ)い報(むく)いはない、
よこしまな者(もの)のともしびは消(け)される。
21わが子(こ)よ、主(しゅ)と王(おう)とを恐(おそ)れよ、
そのいずれにも不(ふ)従順(じゅうじゅん)であってはならない。
22その災(わざわい)はたちまち起(おこ)るからである。
この二つの者(もの)からくる滅(ほろ)びをだれが知(し)り得(え)ようか。

23これらもまた知恵(ちえ)ある者(もの)の箴言(しんげん)である。

片寄(かたよ)ったさばきをするのは、よくない。
24悪(あ)しき者(もの)に向(む)かって、「あなたは正(ただ)しい」という者(もの)を、
人々(ひとびと)はのろい、諸民(しょみん)は憎(にく)む。
25悪(あ)しき者(もの)をせめる者(もの)は恵(めぐ)みを得(え)る、
また幸福(こうふく)が与(あた)えられる。
26正(ただ)しい答(こたえ)をする者(もの)は、
くちびるに、口(くち)づけするのである。
27外(そと)で、あなたの仕事(しごと)を整(ととの)え、
畑(はたけ)で、すべての物(もの)をおのれのために備(そな)え、
その後(のち)あなたの家(いえ)を建(た)てるがよい。
28ゆえなく隣(とな)り人(びと)に敵(てき)して、証言(しょうげん)をしてはならない、
くちびるをもって欺(あざむ)いてはならない。
29「彼(かれ)がわたしにしたように、わたしも彼(かれ)にしよう、
わたしは人(ひと)がしたところにしたがって、
その人(ひと)に報(むく)いよう」と言(い)ってはならない。

30わたしはなまけ者(もの)の畑(はたけ)のそばと、
知恵(ちえ)のない人(ひと)のぶどう畑(はたけ)のそばを通(とお)ってみたが、
31いばらが一面(いちめん)に生(は)え、あざみがその地面(じめん)をおおい、
その石(いし)がきはくずれていた。
32わたしはこれをみて心(こころ)をとどめ、
これを見(み)て教訓(きょうくん)を得(え)た。
33「しばらく眠(ねむ)り、しばらくまどろみ、
手(て)をこまぬいて、またしばらく休(やす)む」。
34それゆえ、貧(まず)しさは盗(ぬす)びとのように、あなたに来(き)、
乏(とぼ)しさは、つわもののように、あなたに来(く)る。

第二五章


1これらもまたソロモンの箴言(しんげん)であり、
ユダの王(おう)ヒゼキヤに属(ぞく)する人々(ひとびと)がこれを書(か)き写(うつ)した。
2事(こと)を隠(かく)すのは神(かみ)の誉(ほまれ)であり、
事(こと)を窮(きわ)めるのは王(おう)の誉(ほまれ)である。
3天(てん)の高(たか)さと地(ち)の深(ふか)さと、
王(おう)たる者(もの)の心(こころ)とは測(はか)ることができない。
4銀(ぎん)から、かなくそを除(のぞ)け、
そうすれば、銀(ぎん)細工人(ざいくにん)が器(うつわ)を造(つく)る材料(ざいりょう)となる。
5王(おう)の前(まえ)から悪(あ)しき者(もの)を除(のぞ)け、
そうすれば、その位(くらい)は正義(せいぎ)によって堅(かた)く立(た)つ。
6王(おう)の前(まえ)で自(みずか)ら高(たか)ぶってはならない、
偉(えら)い人(ひと)の場(ば)に立(た)ってはならない。
7尊(たっと)い人(ひと)の前(まえ)で下(した)にさげられるよりは、
「ここに上(あ)がれ」といわれるほうがましだ。
8あなたが目(め)に見(み)たことを、
軽々(かるがる)しく法廷(ほうてい)に出(だ)してはならない。
あとになり、あなたが隣(とな)り人(びと)にはずかしめられるとき、
あなたはどうしようとするのか。
9隣(とな)り人(びと)と争(あらそ)うことがあるならば、ただその人(ひと)と争(あらそ)え、
他人(たにん)の秘密(ひみつ)をもらしてはならない。
10そうでないと、聞(き)く者(もの)があなたをいやしめ、
あなたは、いつまでもそしられる。

11おりにかなって語(かた)る言葉(ことば)は、
銀(ぎん)の彫(ほ)り物(もの)に金(きん)のりんごをはめたようだ。
12知恵(ちえ)をもって戒(いまし)める者(もの)は、これをきく者(もの)の耳(みみ)にとって、
金(きん)の耳輪(みみわ)、精(せい)金(きん)の飾(かざ)りのようだ。
13忠実(ちゅうじつ)な使者(ししゃ)はこれをつかわす者(もの)にとって、
刈入(かりい)れの日(ひ)に冷(ひや)やかな雪(ゆき)があるようだ、
よくその主人(しゅじん)の心(こころ)を喜(よろこ)ばせる。
14贈(おく)り物(もの)をすると偽(いつわ)って誇(ほこ)る人(ひと)は、
雨(あめ)のない雲(くも)と風(かぜ)のようだ。

15忍耐(にんたい)をもって説(と)けば君(きみ)も言葉(ことば)をいれる、
柔(やわ)らかな舌(した)は骨(ほね)を砕(くだ)く。
16蜜(みつ)を得(え)たならば、ただ足(た)るほどにこれを食(た)べよ、
おそらくは食(た)べすごして、それを吐(は)き出(だ)すであろう。
17隣(とな)り人(びと)の家(いえ)に足(あし)をしげくしてはならない、
おそらくは彼(かれ)は煩(わずら)わしくなって、
あなたを憎(にく)むようになろう。
18隣(とな)り人(びと)に敵(てき)して偽(いつわ)りのあかしを立(た)てる人(ひと)は、
こん棒(ぼう)、つるぎ、または鋭(するど)い矢(や)のようだ。
19悩(なや)みに会(あ)うとき不信実(ふしんじつ)な者(もの)を頼(たの)みにするのは、
悪(わる)い歯(は)、またはなえた足(あし)を頼(たの)みとするようなものだ。
20心(こころ)の痛(いた)める人(ひと)の前(まえ)で歌(うた)をうたうのは、
寒(さむ)い日(ひ)に着物(きもの)を脱(ぬ)ぐようであり、
また傷(きず)の上(うえ)に酢(す)をそそぐようだ。
21もしあなたのあだが飢(う)えているならば、
パンを与(あた)えて食(た)べさせ、
もしかわいているならば水(みず)を与(あた)えて飲(の)ませよ。
22こうするのは、火(ひ)を彼(かれ)のこうべに積(つ)むのである、
主(しゅ)はあなたに報(むく)いられる。
23北風(きたかぜ)は雨(あめ)を起(おこ)し、
陰言(かげごと)をいう舌(した)は人(ひと)の顔(かお)を怒(いか)らす。
24争(あらそ)いを好(この)む女(おんな)と一緒(いっしょ)に家(いえ)におるよりは、
屋根(やね)のすみにおるほうがよい。
25遠(とお)い国(くに)から来(く)るよい消息(しょうそく)は、
かわいている人(ひと)が飲(の)む冷(ひや)やかな水(みず)のようだ。
26正(ただ)しい者(もの)が悪(わる)い者(もの)の前(まえ)に屈服(くっぷく)するのは、
井戸(いど)が濁(にご)ったよう、また泉(いずみ)がよごれたようなものだ。
27蜜(みつ)を多(おお)く食(た)べるのはよくない、
ほめる言葉(ことば)は控(ひか)え目(め)にするがよい。
28自分(じぶん)の心(こころ)を制(せい)しない人(ひと)は、
城壁(じょうへき)のない破(やぶ)れた城(しろ)のようだ。

第二六章


1誉(ほまれ)が愚(おろ)かな者(もの)にふさわしくないのは、
夏(なつ)に雪(ゆき)が降(ふ)り、刈入(かりい)れの時(とき)に雨(あめ)が降(ふ)るようなものだ。
2いわれのないのろいは、飛(と)びまわるすずめや、
飛(と)びかけるつばめのようなもので、止(と)まらない。
3馬(うま)のためにはむちがあり、
ろばのためにはくつわがあり、
愚(おろ)かな者(もの)の背(せ)のためにはつえがある。
4愚(おろ)かな者(もの)にその愚(おろ)かさにしたがって答(こたえ)をするな、
自分(じぶん)も彼(かれ)と同(おな)じようにならないためだ。
5愚(おろ)かな者(もの)にその愚(おろ)かさにしたがって答(こたえ)をせよ、
彼(かれ)が自分(じぶん)の目(め)に自(みずか)らを知恵(ちえ)ある者(もの)と見(み)ないためだ。
6愚(おろ)かな者(もの)に託(たく)して事(こと)を言(い)い送(おく)る者(もの)は、
自分(じぶん)の足(あし)を切(き)り去(さ)り、身(み)に害(がい)をうける。
7あしなえの足(あし)は用(よう)がない、
愚(おろ)かな者(もの)の口(くち)には箴言(しんげん)もそれにひとしい。
8誉(ほまれ)を愚(おろ)かな者(もの)に与(あた)えるのは、
石(いし)を石(いし)投(な)げにつなぐようだ。
9愚(おろ)かな者(もの)の口(くち)に箴言(しんげん)があるのは、
酔(よ)った者(もの)が、とげのあるつえを手(て)で振(ふ)り上(あ)げるようだ。
10通(とお)りがかりの愚(おろ)か者(もの)や、酔(よ)った者(もの)を雇(やと)う者(もの)は、
すべての人(ひと)を傷(きず)つける射手(いて)のようだ。
11犬(いぬ)が帰(かえ)って来(き)てその吐(は)いた物(もの)を食(た)べるように、
愚(おろ)かな者(もの)はその愚(おろ)かさをくり返(かえ)す。
12自分(じぶん)の目(め)に自(みずか)らを知恵(ちえ)ある者(もの)とする人(ひと)を、
あなたは見(み)るか、
彼(かれ)よりもかえって愚(おろ)かな人(ひと)に望(のぞ)みがある。
13なまけ者(もの)は、「道(みち)にししがいる、
ちまたにししがいる」という。
14戸(と)がちょうつがいによって回(まわ)るように、
なまけ者(もの)はその寝床(ねどこ)で寝返(ねがえ)りをする。
15なまけ者(もの)は手(て)を皿(さら)に入(い)れても、
それを口(くち)に持(も)ってゆくことをいとう。
16なまけ者(もの)は自分(じぶん)の目(め)に、
良(よ)く答(こた)えることのできる七人(にん)の者(もの)よりも、
自(みずか)らを知恵(ちえ)ありとする。
17自分(じぶん)に関係(かんけい)のない争(あらそ)いにたずさわる者(もの)は、
通(とお)りすぎる犬(いぬ)の耳(みみ)をとらえる者(もの)のようだ。
19隣(とな)り人(びと)を欺(あざむ)いて、
「わたしはただ戯(たわむ)れにした」という者(もの)は、
燃(も)え木(ぎ)または矢(や)、または死(し)を、
投(な)げつける気違(きちが)いのようだ。
20たきぎがなければ火(ひ)は消(き)え、
人(ひと)のよしあしを言(い)う者(もの)がなければ争(あらそ)いはやむ。
21おき火(ひ)に炭(すみ)をつぎ、火(ひ)にたきぎをくべるように、
争(あらそ)いを好(この)む人(ひと)は争(あらそ)いの火(ひ)をおこす。
22人(ひと)のよしあしをいう者(もの)の言葉(ことば)は
おいしい食物(しょくもつ)のようで、腹(はら)の奥(おく)にしみこむ。
23くちびるはなめらかであっても、心(こころ)の悪(わる)いのは
上(うえ)ぐすりをかけた土(つち)の器(うつわ)のようだ。
24憎(にく)む者(もの)はくちびるをもって自(みずか)ら飾(かざ)るけれども、
心(こころ)のうちには偽(いつわ)りをいだく。
25彼(かれ)が声(こえ)をやわらげて語(かた)っても、信(しん)じてはならない。
その心(こころ)に七つの憎(にく)むべきものがあるからだ。
26たとい偽(いつわ)りをもってその憎(にく)しみをかくしても、
彼(かれ)の悪(あく)は会衆(かいしゅう)の中(なか)に現(あらわ)れる。
27穴(あな)を掘(ほ)る者(もの)は自(みずか)らその中(なか)に陥(おちい)る、
石(いし)をまろばしあげる者(もの)の上(うえ)に、その石(いし)はまろびかえる。
28偽(いつわ)りの舌(した)は自分(じぶん)が傷(きず)つけた者(もの)を憎(にく)み、
へつらう口(くち)は滅(ほろ)びをきたらせる。

第二七章


1あすのことを誇(ほこ)ってはならない、
一日(にち)のうちに何(なに)がおこるかを
知(し)ることができないからだ。
2自分(じぶん)の口(くち)をもって自(みずか)らをほめることなく、
他人(たにん)にほめさせよ。
自分(じぶん)のくちびるをもってせず、
ほかの人(ひと)にあなたをほめさせよ。
3石(いし)は重(おも)く、砂(すな)も軽(かる)くはない、
しかし愚(おろ)かな者(もの)の怒(いか)りはこの二つよりも重(おも)い。
4憤(いきどお)りはむごく、怒(いか)りははげしい、
しかしねたみの前(まえ)には、だれが立(た)ちえよう。
5あからさまに戒(いまし)めるのは、
ひそかに愛(あい)するのにまさる。
6愛(あい)する者(もの)が傷(きず)つけるのは、まことからであり、
あだの口(くち)づけするのは偽(いつわ)りからである。
7飽(あ)いている者(もの)は蜂蜜(はちみつ)をも踏(ふ)みつける、
しかし飢(う)えた者(もの)には苦(にが)い物(もの)でさえ、みな甘(あま)い。
8その家(いえ)を離(はな)れてさまよう人(ひと)は、
巣(す)を離(はな)れてさまよう鳥(とり)のようだ。
9油(あぶら)と香(こう)とは人(ひと)の心(こころ)を喜(よろこ)ばせる、
しかし魂(たましい)は悩(なや)みによって裂(さ)かれる。
10あなたの友(とも)、あなたの父(ちち)の友(とも)を捨(す)てるな、
あなたが悩(なや)みにあう日(ひ)には兄弟(きょうだい)の家(いえ)に行(い)くな、
近(ちか)い隣(とな)り人(びと)は遠(とお)くにいる兄弟(きょうだい)にまさる。
11わが子(こ)よ、知恵(ちえ)を得(え)て、わたしの心(こころ)を喜(よろこ)ばせよ、
そうすればわたしをそしる者(もの)に答(こた)えることができる。
12賢(かしこ)い者(もの)は災(わざわい)を見(み)て自(みずか)ら避(さ)け、
思慮(しりょ)のない者(もの)は進(すす)んでいって、罰(ばつ)をうける。
13人(ひと)のために保証(ほしょう)する者(もの)からは、まずその着物(きもの)をとれ、
他人(たにん)のために保証(ほしょう)をする者(もの)をば抵当(ていとう)に取(と)れ。
14朝(あさ)はやく起(お)きて大声(おおごえ)にその隣(とな)り人(びと)を祝(しゅく)すれば、
かえってのろいと見(み)なされよう。
15雨(あめ)の降(ふ)る日(ひ)に雨漏(あまも)りの絶(た)えないのと、
争(あらそ)い好(す)きな女(おんな)とは同(おな)じだ。
16この女(おんな)を制(せい)するのは風(かぜ)を制(せい)するのとおなじく、
右(みぎ)の手(て)に油(あぶら)をつかむのとおなじだ。
17鉄(てつ)は鉄(てつ)をとぐ、
そのように人(ひと)はその友(とも)の顔(かお)をとぐ。
18いちじくの木(き)を守(まも)る者(もの)はその実(み)を食(た)べる、
主人(しゅじん)を尊(たっと)ぶ者(もの)は誉(ほまれ)を得(え)る。
19水(みず)にうつせば顔(かお)と顔(かお)とが応(おう)じるように、
人(ひと)の心(こころ)はその人(ひと)をうつす。
20陰府(よみ)と滅(ほろ)びとは飽(あ)くことなく、
人(ひと)の目(め)もまた飽(あ)くことがない。
21るつぼによって銀(ぎん)をためし、
炉(ろ)によって金(きん)をためす、
人(ひと)はその称賛(しょうさん)によってためされる。
22愚(おろ)かな者(もの)をうすに入(い)れ、
きねをもって、麦(むぎ)と共(とも)にこれをついても、
その愚(おろ)かさは去(さ)ることがない。

23あなたの羊(ひつじ)の状態(じょうたい)をよく知(し)り、
あなたの群(む)れに心(こころ)をとめよ。
24富(とみ)はいつまでも続(つづ)くものではない、
どうして位(くらい)が末代(まつだい)までも保(たも)つであろうか。
25草(くさ)が刈(か)り取(と)られ、新(あたら)しい芽(め)がのび、
山(やま)の牧草(ぼくそう)も集(あつ)められると、
26小羊(こひつじ)はあなたの衣料(いりょう)を出(だ)し、
やぎは畑(はたけ)を買(か)う価(あたい)となり、
27やぎの乳(ちち)は多(おお)くて、
あなたと、あなたの家(いえ)のものの食物(しょくもつ)となり、
おとめらを養(やしな)うのにじゅうぶんである。

第二八章


1悪(あ)しき者(もの)は追(お)う人(ひと)もないのに逃(に)げる、
正(ただ)しい人(ひと)はししのように勇(いさ)ましい。
2国(くに)の罪(つみ)によって、治(おさ)める者(もの)は多(おお)くなり、
さとく、また知識(ちしき)ある人(ひと)によって、国(くに)はながく保(たも)つ。
3貧(まず)しい者(もの)をしえたげる貧(まず)しい人(ひと)は、
糧食(りょうしょく)を残(のこ)さない激(はげ)しい雨(あめ)のようだ。
4律法(りっぽう)を捨(す)てる者(もの)は悪(あ)しき者(もの)をほめる、
律法(りっぽう)を守(まも)る者(もの)はこれに敵対(てきたい)する。
5悪人(あくにん)は正(ただ)しいことを悟(さと)らない、
主(しゅ)を求(もと)める者(もの)はこれをことごとく悟(さと)る。
6正(ただ)しく歩(あゆ)む貧(まず)しい者(もの)は、
曲(まが)った道(みち)を歩(あゆ)む富(と)める者(もの)にまさる。
7律法(りっぽう)を守(まも)る者(もの)は賢(かしこ)い子(こ)である、
不品行(ふひんこう)な者(もの)と交(まじ)わるものは、父(ちち)をはずかしめる。
8利息(りそく)と高利(こうり)とによってその富(とみ)をます者(もの)は、
貧(まず)しい者(もの)を恵(めぐ)む者(もの)のために、それをたくわえる。
9耳(みみ)をそむけて律法(りっぽう)を聞(き)かない者(もの)は、
その祈(いのり)でさえも憎(にく)まれる。
10正(ただ)しい者(もの)を悪(わる)い道(みち)に惑(まど)わす者(もの)は、
みずから自分(じぶん)の穴(あな)に陥(おちい)る、
しかし誠実(せいじつ)な人(ひと)は幸福(こうふく)を継(つ)ぐ。
11富(と)める人(ひと)は自分(じぶん)の目(め)に自(みずか)らを知恵(ちえ)ある者(もの)と見(み)る、
しかし悟(さと)りのある貧(まず)しい者(もの)は彼(かれ)を見(み)やぶる。
12正(ただ)しい者(もの)が勝(か)つときは、大(おお)いなる栄(さか)えがある、
悪(あ)しき者(もの)が起(おこ)るときは、民(たみ)は身(み)をかくす。
13その罪(つみ)を隠(かく)す者(もの)は栄(さか)えることがない、
言(い)い表(あら)わしてこれを離(はな)れる者(もの)は、あわれみをうける。
14常(つね)に主(しゅ)を恐(おそ)れる人(ひと)はさいわいである、
心(こころ)をかたくなにする者(もの)は災(わざわい)に陥(おちい)る。
15貧(まず)しい民(たみ)を治(おさ)める悪(わる)いつかさは、
ほえるしし、または飢(う)えたくまのようだ。
16悟(さと)りのないつかさは残忍(ざんにん)な圧制者(あっせいしゃ)である、
不正(ふせい)の利(り)を憎(にく)む者(もの)は長命(ちょうめい)を得(え)る。
17人(ひと)を殺(ころ)してその血(ち)を身(み)に負(お)う者(もの)は
死(し)ぬまで、のがれびとである、
だれもこれを助(たす)けてはならない。
18正(ただ)しく歩(あゆ)む者(もの)は救(すくい)を得(え)、
曲(まが)った道(みち)に歩(あゆ)む者(もの)は穴(あな)に陥(おちい)る。
19自分(じぶん)の田地(でんち)を耕(たがや)す者(もの)は食糧(しょくりょう)に飽(あ)き、
無益(むえき)な事(こと)に従(したが)う者(もの)は貧乏(びんぼう)に飽(あ)きる。
20忠実(ちゅうじつ)な人(ひと)は多(おお)くの祝福(しゅくふく)を得(え)る、
急(いそ)いで富(とみ)を得(え)ようとする者(もの)は罰(ばつ)を免(まぬか)れない。
21人(ひと)を片寄(かたよ)り見(み)ることは良(よ)くない、
人(ひと)は一(いち)切(き)れのパンのために、とがを犯(おか)すことがある。
22欲(よく)の深(ふか)い人(ひと)は急(いそ)いで富(とみ)を得(え)ようとする、
かえって欠乏(けつぼう)が自分(じぶん)の所(ところ)に来(く)ることを知(し)らない。
23人(ひと)を戒(いまし)める者(もの)は舌(した)をもってへつらう者(もの)よりも、
大(おお)いなる感謝(かんしゃ)をうける。
24父(ちち)や母(はは)の物(もの)を盗(ぬす)んで「これは罪(つみ)ではない」と言(い)う者(もの)は、
滅(ほろ)ぼす者(もの)の友(とも)である。
25むさぼる者(もの)は争(あらそ)いを起(おこ)し、
主(しゅ)に信頼(しんらい)する者(もの)は豊(ゆた)かになる。
26自分(じぶん)の心(こころ)を頼(たの)む者(もの)は愚(おろ)かである、
知恵(ちえ)をもって歩(あゆ)む者(もの)は救(すくい)を得(え)る。
27貧(まず)しい者(もの)に施(ほどこ)す者(もの)は物(もの)に不足(ふそく)しない、
目(め)をおおって見(み)ない人(ひと)は多(おお)くののろいをうける。
28悪(あ)しき者(もの)が起(おこ)るときは、民(たみ)は身(み)をかくす、
その滅(ほろ)びるときは、正(ただ)しい人(ひと)が増(ま)す。

第二九章


1しばしばしかられても、
なおかたくなな者(もの)は、
たちまち打(う)ち敗(やぶ)られて助(たす)かることはない。
2正(ただ)しい者(もの)が権力(けんりょく)を得(え)れば民(たみ)は喜(よろこ)び、
悪(あ)しき者(もの)が治(おさ)めるとき、民(たみ)はうめき苦(くる)しむ。
3知恵(ちえ)を愛(あい)する人(ひと)はその父(ちち)を喜(よろこ)ばせ、
遊女(ゆうじょ)に交(まじ)わる者(もの)はその資産(しさん)を浪費(ろうひ)する。
4王(おう)は公儀(こうぎ)をもって国(くに)を堅(かた)くする、
しかし、重税(じゅうぜい)を取(と)り立(た)てる者(もの)はこれを滅(ほろ)ぼす。
5その隣(とな)り人(びと)にへつらう者(もの)は、
彼(かれ)の足(あし)の前(まえ)に網(あみ)を張(は)る。
6悪人(あくにん)は自分(じぶん)の罪(つみ)のわなに陥(おちい)る、
しかし正(ただ)しい人(ひと)は喜(よろこ)び楽(たの)しむ。
7正(ただ)しい人(ひと)は貧(まず)しい者(もの)の訴(うった)えをかえりみる、
悪(あ)しき人(ひと)はそれを知(し)ろうとはしない。
8あざける人(ひと)は町(まち)を乱(みだ)し、
知恵(ちえ)ある者(もの)は怒(いか)りを静(しず)める。
9知恵(ちえ)ある人(ひと)が愚(おろ)かな人(ひと)と争(あらそ)うと、
愚(おろ)かな者(もの)はただ怒(いか)り、
あるいは笑(わら)って、休(やす)むことがない。
10血(ち)に飢(う)えている人(ひと)は罪(つみ)のない者(もの)を憎(にく)む、
悪(あ)しき者(もの)は彼(かれ)の命(いのち)を求(もと)める。
11愚(おろ)かな者(もの)は怒(いか)りをことごとく表(あら)わし、
知恵(ちえ)ある者(もの)は静(しず)かにこれをおさえる。
12もし治(おさ)める者(もの)が偽(いつわ)りの言葉(ことば)に聞(き)くならば、
その役人(やくにん)らはみな悪(わる)くなる。
13貧(まず)しい者(もの)と、しえたげる者(もの)とは共(とも)に世(よ)におる、
主(しゅ)は彼(かれ)ら両者(りょうしゃ)の目(め)に光(ひかり)を与(あた)えられる。
14もし王(おう)が貧(まず)しい者(もの)を公平(こうへい)にさばくならば、
その位(くらい)はいつまでも堅(かた)く立(た)つ。
15むちと戒(いまし)めとは知恵(ちえ)を与(あた)える、
わがままにさせた子(こ)はその母(はは)に恥(はじ)をもたらす。
16悪(あ)しき者(もの)が権力(けんりょく)を得(え)ると罪(つみ)も増(ま)す、
正(ただ)しい者(もの)は彼(かれ)らの倒(たお)れるのを見(み)る。
17あなたの子(こ)を懲(こら)しめよ、
そうすれば彼(かれ)はあなたを安(やす)らかにし、
またあなたの心(こころ)に喜(よろこ)びを与(あた)える。
18預言(よげん)がなければ民(たみ)はわがままにふるまう、
しかし律法(りっぽう)を守(まも)る者(もの)はさいわいである。
19しもべは言葉(ことば)だけで訓練(くんれん)することはできない、
彼(かれ)は聞(き)いて知(し)っても、心(こころ)にとめないからである。
20言葉(ことば)の軽率(けいそつ)な人(ひと)を見(み)るか、
彼(かれ)よりもかえって愚(おろ)かな者(もの)のほうに望(のぞ)みがある。
21しもべをその幼(おさな)い時(とき)からわがままに育(そだ)てる人(ひと)は、
ついにはそれを自分(じぶん)のあとつぎにする。
22怒(いか)る人(ひと)は争(あらそ)いを起(おこ)し、
憤(いきどお)る人(ひと)は多(おお)くの罪(つみ)を犯(おか)す。
23人(ひと)の高(たか)ぶりはその人(ひと)を低(ひく)くし、
心(こころ)にへりくだる者(もの)は誉(ほまれ)を得(え)る。
24盗(ぬす)びとにくみする者(もの)は自分(じぶん)の魂(たましい)を憎(にく)む、
彼(かれ)はのろいを聞(き)いても何事(なにごと)をも口外(こうがい)しない。
25人(ひと)を恐(おそ)れると、わなに陥(おちい)る、
主(しゅ)に信頼(しんらい)する者(もの)は安(やす)らかである。
26治(おさ)める者(もの)の歓心(かんしん)を得(え)ようとする人(ひと)は多(おお)い、
しかし人(ひと)の事(こと)を定(さだ)めるのは主(しゅ)による。
27正(ただ)しい人(ひと)は不正(ふせい)を行(おこな)う人(ひと)を憎(にく)み、
悪(あ)しき者(もの)は正(ただ)しく歩(あゆ)む人(ひと)を憎(にく)む。

第三〇章


1マッサの人(ひと)ヤケの子(こ)アグルの言葉(ことば)。
その人(ひと)はイテエルに向(む)かって言(い)った、
すなわちイテエルと、ウカルとに向(む)かって言(い)った、
2わたしは確(たし)かに人(ひと)よりも愚(おろ)かであり、
わたしには人(ひと)の悟(さと)りがない。
3わたしはまだ知恵(ちえ)をならうことができず、
また、聖(せい)なる者(もの)を悟(さと)ることもできない。
4天(てん)にのぼったり、下(くだ)ったりしたのはだれか、
風(かぜ)をこぶしの中(なか)に集(あつ)めたのはだれか、
水(みず)を着物(きもの)に包(つつ)んだのはだれか、
地(ち)のすべての限界(げんかい)を定(さだ)めた者(もの)はだれか、
その名(な)は何(なに)か、その子(こ)の名(な)は何(なに)か、
あなたは確(たし)かにそれを知(し)っている。

5神(かみ)の言葉(ことば)はみな真実(しんじつ)である、
神(かみ)は彼(かれ)に寄(よ)り頼(たの)む者(もの)の盾(たて)である。
6その言葉(ことば)に付(つ)け加(くわ)えてはならない、
彼(かれ)があなたを責(せ)め、あなたを偽(いつわ)り者(もの)とされないためだ。

7わたしは二つのことをあなたに求(もと)めます、
わたしの死(し)なないうちに、これをかなえてください。
8うそ、偽(いつわ)りをわたしから遠(とお)ざけ、
貧(まず)しくもなく、また富(と)みもせず、
ただなくてならぬ食物(しょくもつ)でわたしを養(やしな)ってください。
9飽(あ)き足(た)りて、あなたを知(し)らないといい、
「主(しゅ)とはだれか」と言(い)うことのないため、
また貧(まず)しくて盗(ぬす)みをし、
わたしの神(かみ)の名(な)を汚(よご)すことのないためです。

10あなたは、しもべのことをその主人(しゅじん)に、
あしざまにいってはならない、
そうでないと彼(かれ)はあなたをのろい、
あなたは罪(つみ)をきせられる。

11世(よ)には父(ちち)をのろったり、母(はは)を祝福(しゅくふく)しない者(もの)がある。
12世(よ)には自分(じぶん)の目(め)にみずからを清(きよ)い者(もの)として、
なおその汚(けが)れを洗(あら)われないものがある。
13世(よ)にはまた、このような人(ひと)がある――
ああ、その目(め)のいかに高(たか)きことよ、
またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。
14世(よ)にはまたつるぎのような歯(は)をもち、
刀(かたな)のようなきばをもって、
貧(まず)しい者(もの)を地(ち)の上(うえ)から、
乏(とぼ)しい者(もの)を人(ひと)の中(なか)から食(く)い滅(ほろ)ぼすものがある。

15蛭(ひる)にふたりの娘(むすめ)があって、
「与(あた)えよ、与(あた)えよ」という。
飽(あ)くことを知(し)らないものが三つある、
いや、四つあって、
皆(みな)「もう、たくさんです」と言(い)わない。
16すなわち陰府(よみ)、不妊(ふにん)の胎(たい)、水(みず)にかわく地(ち)、
「もう、たくさんだ」といわない火(ひ)がそれである。
17自分(じぶん)の父(ちち)をあざけり、
母(はは)に従(したが)うのを卑(いや)しいこととする目(め)は、
谷(たに)のからすがこれをつつき出(だ)し、
はげたかがこれを食(た)べる。

18わたしにとって不思議(ふしぎ)にたえないことが三つある、
いや、四つあって、わたしには悟(さと)ることができない。
19すなわち空(そら)を飛(と)ぶはげたかの道(みち)、
岩(いわ)の上(うえ)を這(は)うへびの道(みち)、
海(うみ)をはしる舟(ふね)の道(みち)、
男(おとこ)の女(おんな)にあう道(みち)がそれである。
20遊女(ゆうじょ)の道(みち)もまたそうだ、
彼女(かのじょ)は食(た)べて、その口(くち)をぬぐって、
「わたしは何(なに)もわるいことはしない」と言(い)う。

21地(ち)は三つのことによって震(ふる)う、
いや、四つのことによって、耐(た)えることができない。
22すなわち奴隷(どれい)たる者(もの)が王(おう)となり、
愚(おろ)かな者(もの)が食物(しょくもつ)に飽(あ)き、
23忌(い)みきらわれた女(おんな)が嫁(よめ)に行(い)き、
はしためが女(おんな)主人(しゅじん)のあとにすわることである。

24この地上(ちじょう)に、小(ちい)さいけれども、
非常(ひじょう)に賢(かしこ)いものが四つある。
25ありは力(ちから)のない種類(しゅるい)だが、
その食糧(しょくりょう)を夏(なつ)のうちに備(そな)える。
26岩(いわ)だぬきは強(つよ)くない種類(しゅるい)だが、
その家(いえ)を岩(いわ)につくる。
27いなごは王(おう)がないけれども、
みな隊(たい)を組(く)んでいで立(た)つ。
28やもりは手(て)でつかまえられるが、
王(おう)の宮殿(きゅうでん)におる。

29歩(ある)きぶりの堂々(どうどう)たる者(もの)が三つある、
いや、四つあって、みな堂々(どうどう)と歩(ある)く。
30すなわち獣(けもの)のうちでもっとも強(つよ)く、
何(なに)ものの前(まえ)にも退(しりぞ)かない、しし、
31尾(お)を立(た)てて歩(ある)くおんどり、雄(お)やぎ、
その民(たみ)の前(まえ)をいばって歩(ある)く王(おう)がそれである。

32あなたがもし愚(おろ)かであって自(みずか)ら高(たか)ぶり、
あるいは悪事(あくじ)を計(はか)ったならば、
あなたの手(て)を口(くち)に当(あ)てるがよい。
33乳(ちち)をしめれば凝乳(ぎょうにゅう)が出(で)る、
鼻(はな)をしめれば血(ち)がでる、
怒(いか)りをしめれば争(あらそ)いが起(おこ)る。

第三一章


1マッサの王(おう)レムエルの言葉(ことば)、すなわちその母(はは)が彼(かれ)に教(おし)えたものである。
2わが子(こ)よ、何(なに)を言(い)おうか。
わが胎(たい)の子(こ)よ、何(なに)を言(い)おうか。
わたしが願(がん)をかけて得(え)た子(こ)よ、
何(なに)をいおうか。
3あなたの力(ちから)を女(おんな)についやすな、
王(おう)をも滅(ほろ)ぼすものに、あなたの道(みち)を任(まか)せるな。
4レムエルよ、酒(さけ)を飲(の)むのは、王(おう)のすることではない、
王(おう)のすることではない、
濃(こ)い酒(さけ)を求(もと)めるのは君(きみ)たる者(もの)のすることではない。
5彼(かれ)らは酒(さけ)を飲(の)んで、おきてを忘(わす)れ、
すべて悩(なや)む者(もの)のさばきを曲(ま)げる。
6濃(こ)い酒(さけ)を滅(ほろ)びようとしている者(もの)に与(あた)え、
酒(さけ)を心(こころ)の苦(くる)しむ人(ひと)に与(あた)えよ。
7彼(かれ)らは飲(の)んで自分(じぶん)の貧乏(びんぼう)を忘(わす)れ、
その悩(なや)みをもはや思(おも)い出(だ)さない。
8あなたは黙(だま)っている人(ひと)のために、
すべてのみなしごの訴(うった)えのために、口(くち)を開(ひら)くがよい。
9口(くち)を開(ひら)いて、正(ただ)しいさばきを行(おこな)い、
貧(まず)しい者(もの)と乏(とぼ)しい者(もの)の訴(うった)えをただせ。

10だれが賢(かしこ)い妻(つま)を見(み)つけることができるか、
彼女(かのじょ)は宝石(ほうせき)よりもすぐれて尊(たっと)い。
11その夫(おっと)の心(こころ)は彼女(かのじょ)を信頼(しんらい)して、
収益(しゅうえき)に欠(か)けることはない。
12彼女(かのじょ)は生(い)きながらえている間(あいだ)、
その夫(おっと)のために良(よ)いことをして、悪(わる)いことをしない。
13彼女(かのじょ)は羊(ひつじ)の毛(け)や亜麻(あま)を求(もと)めて、
手(て)ずから望(のぞ)みのように、それを仕上(しあ)げる。
14また商人(しょうにん)の舟(ふね)のように、
遠(とお)い国(くに)から食糧(しょくりょう)を運(はこ)んでくる。
15彼女(かのじょ)はまだ夜(よる)のあけぬうちに起(お)きて、
その家(いえ)の者(もの)の食(た)べ物(もの)を備(そな)え、
その女(おんな)たちに日用(にちよう)の分(ぶん)を与(あた)える。
16彼女(かのじょ)は畑(はたけ)をよく考(かんが)えてそれを買(か)い、
その手(て)の働(はたら)きの実(み)をもって、ぶどう畑(ばたけ)をつくり、
17力(ちから)をもって腰(こし)に帯(おび)し、その腕(うで)を強(つよ)くする。
18彼女(かのじょ)はその商品(しょうひん)のもうけのあるのを知(し)っている、
そのともしびは終夜(しゅうや)消(き)えることがない。
19彼女(かのじょ)は手(て)を糸取(いとと)り棒(ぼう)にのべ、
その手(て)に、つむを持(も)ち、
20手(て)を貧(まず)しい者(もの)に開(ひら)き、
乏(とぼ)しい人(ひと)に手(て)をさしのべる。
21彼女(かのじょ)はその家(いえ)の者(もの)のために雪(ゆき)を恐(おそ)れない、
その家(いえ)の者(もの)はみな紅(くれない)の着物(きもの)を着(き)ているからである。
22彼女(かのじょ)は自分(じぶん)のために美(うつく)しいしとねを作(つく)り、
亜麻(あま)布(ぬの)と紫(むらさき)布(ぬの)とをもってその着物(きもの)とする。
23その夫(おっと)はその地(ち)の長老(ちょうろう)たちと共(とも)に、
町(まち)の門(もん)に座(ざ)するので、人(ひと)に知(し)られている。
24彼女(かのじょ)は亜麻(あま)布(ぬの)の着物(きもの)をつくって、それを売(う)り、
帯(おび)をつくって商人(しょうにん)に渡(わた)す。
25力(ちから)と気品(きひん)とは彼女(かのじょ)の着物(きもの)である、
そして後(のち)の日(ひ)を笑(わら)っている。
26彼女(かのじょ)は口(くち)を開(ひら)いて知恵(ちえ)を語(かた)る、
その舌(した)にはいつくしみの教(おしえ)がある。
27彼女(かのじょ)は家(いえ)の事(こと)をよくかえりみ、
怠(おこた)りのかてを食(た)べることをしない。
28その子(こ)らは立(た)ち上(あ)がって彼女(かのじょ)を祝(しゅく)し、
その夫(おっと)もまた彼女(かのじょ)をほめたたえて言(い)う、
29「りっぱに事(こと)をなし遂(と)げる女(おんな)は多(おお)いけれども、
あなたはそのすべてにまさっている」と。
30あでやかさは偽(いつわ)りであり、美(うつく)しさはつかのまである、
しかし主(しゅ)を恐(おそ)れる女(おんな)はほめたたえられる。
31その手(て)の働(はたら)きの実(み)を彼女(かのじょ)に与(あた)え、
その行(おこな)いのために彼女(かのじょ)を町(まち)の門(もん)でほめたたえよ。