詩篇
第一篇
1悪しき者のはかりごとに歩まず、
罪びとの道に立たず、
あざける者の座にすわらぬ人はさいわいである。
2このような人は主のおきてをよろこび、
昼も夜もそのおきてを思う。
3このような人は流れのほとりに植えられた木の
時が来ると実を結び、
その葉もしぼまないように、
そのなすところは皆栄える。
4悪しき者はそうでない、
風の吹き去るもみがらのようだ。
5それゆえ、悪しき者はさばきに耐えない。
罪びとは正しい者のつどいに立つことができない。
6主は正しい者の道を知られる。
しかし、悪しき者の道は滅びる。
第二篇
1なにゆえ、もろもろの国びとは騒ぎたち、
もろもろの民はむなしい事をたくらむのか。
2地のもろもろの王は立ち構え、
もろもろのつかさはともに、はかり、
主とその油そそがれた者とに逆らって言う、
3「われらは彼らのかせをこわし、
彼らのきずなを解き捨てるであろう」と。
4天に座する者は笑い、
主は彼らをあざけられるであろう。
5そして主は憤りをもって彼らに語り、
激しい怒りをもって彼らを恐れ惑わせて言われる、
6「わたしはわが王を聖なる山シオンに立てた」と。
7わたしは主の詔をのべよう。
主はわたしに言われた、「おまえはわたしの子だ。
きょう、わたしはおまえを生んだ。
8わたしに求めよ、わたしはもろもろの国を
嗣業としておまえに与え、
地のはてまでもおまえの所有として与える。
9おまえは鉄のつえをもって彼らを打ち破り、
陶工の作る器物のように彼らを
打ち砕くであろう」と。
10それゆえ、もろもろの王よ、賢くあれ、
地のつかさらよ、戒めをうけよ。
11恐れをもって主に仕え、おののきをもって
12その足に口づけせよ。
さもないと主は怒って、
あなたがたを道で滅ぼされるであろう、
その憤りがすみやかに燃えるからである。
すべて主に寄り頼む者はさいわいである。
第三篇
1主よ、わたしに敵する者のいかに多いことでしょう。
わたしに逆らって立つ者が多く、
2「彼には神の助けがない」と、
わたしについて言う者が多いのです。〔セラ
3しかし主よ、あなたはわたしを囲む盾、わが栄え、
わたしの頭を、もたげてくださるかたです。
4わたしが声をあげて主を呼ばわると、
主は聖なる山からわたしに答えられる。〔セラ
5わたしはふして眠り、また目をさます。
主がわたしをささえられるからだ。
6わたしを囲んで立ち構える
ちよろずの民をもわたしは恐れない。
7主よ、お立ちください。
わが神よ、わたしをお救いください。
あなたはわたしのすべての敵のほおを打ち、
悪しき者の歯を折られるのです。
8救は主のものです。
どうかあなたの祝福が
あなたの民の上にありますように。〔セラ
第四篇
1わたしの義を助け守られる神よ、
わたしが呼ばわる時、お答えください。
あなたはわたしが悩んでいた時、
わたしをくつろがせてくださいました。
わたしをあわれみ、わたしの祈をお聞きください。
2人の子らよ、いつまでわたしの誉をはずかしめるのか。
いつまでむなしい言葉を愛し、
偽りを慕い求めるのか。〔セラ
3しかしあなたがたは知るがよい、
主は神を敬う人をご自分のために聖別されたことを。
主はわたしが呼ばわる時におききくださる。
4あなたがたは怒っても、罪を犯してはならない。
床の上で静かに自分の心に語りなさい。〔セラ
5義のいけにえをささげて主に寄り頼みなさい。
6多くの人は言う、
「どうか、わたしたちに良い事が見られるように。
主よ、どうか、み顔の光を
わたしたちの上に照されるように」と。
7あなたがわたしの心にお与えになった喜びは、
穀物と、ぶどう酒の豊かな時の喜びに
まさるものでした。
8わたしは安らかに伏し、また眠ります。
主よ、わたしを安らかにおらせてくださるのは、
ただあなただけです。
第五篇
1主よ、わたしの言葉に耳を傾け、
わたしの嘆きに、み心をとめてください。
2わが王、わが神よ、
わたしの叫びの声をお聞きください。
わたしはあなたに祈っています。
3主よ、朝ごとにあなたはわたしの声を聞かれます。
わたしは朝ごとにあなたのために
いけにえを備えて待ち望みます。
4あなたは悪しき事を喜ばれる神ではない。
悪人はあなたのもとに身を寄せることはできない。
5高ぶる者はあなたの目の前に立つことはできない。
あなたはすべて悪を行う者を憎まれる。
6あなたは偽りを言う者を滅ぼされる。
主は血を流す者と、人をだます者を忌みきらわれる。
7しかし、わたしはあなたの豊かないつくしみによって、
あなたの家に入り、
聖なる宮にむかって、かしこみ伏し拝みます。
8主よ、わたしのあだのゆえに、
あなたの義をもってわたしを導き、
わたしの前にあなたの道をまっすぐにしてください。
9彼らの口には真実がなく、彼らの心には滅びがあり、
そののどは開いた墓、
その舌はへつらいを言うのです。
10神よ、どうか彼らにその罪を負わせ、
そのはかりごとによって、みずから倒れさせ、
その多くのとがのゆえに彼らを追いだしてください。
彼らはあなたにそむいたからです。
11しかし、すべてあなたに寄り頼む者を喜ばせ、
とこしえに喜び呼ばわらせてください。
また、み名を愛する者があなたによって
喜びを得るように、彼らをお守りください。
12主よ、あなたは正しい者を祝福し、
盾をもってするように、
恵みをもってこれをおおい守られます。
第六篇
1主よ、あなたの怒りをもって、わたしを責めず、
あなたの激しい怒りをもって、
わたしを懲しめないでください。
2主よ、わたしをあわれんでください。
わたしは弱り衰えています。
主よ、わたしをいやしてください。
わたしの骨は悩み苦しんでいます。
3わたしの魂もまたいたく悩み苦しんでいます。
主よ、あなたはいつまでお怒りになるのですか。
4主よ、かえりみて、わたしの命をお救いください。
あなたのいつくしみにより、わたしをお助けください。
5死においては、あなたを覚えるものはなく、
陰府においては、だれがあなたを
ほめたたえることができましょうか。
6わたしは嘆きによって疲れ、
夜ごとに涙をもって、わたしのふしどをただよわせ、
わたしのしとねをぬらした。
7わたしの目は憂いによって衰え、
もろもろのあだのゆえに弱くなった。
8すべて悪を行う者よ、わたしを離れ去れ。
主はわたしの泣く声を聞かれた。
9主はわたしの願いを聞かれた。
主はわたしの祈をうけられる。
10わたしの敵は恥じて、いたく悩み苦しみ、
彼らは退いて、たちどころに恥をうけるであろう。
第七篇
1わが神、主よ、わたしはあなたに寄り頼みます。
どうかすべての追い迫る者からわたしを救い、
わたしをお助けください。
2さもないと彼らは、ししのように、わたしをかき裂き、
助ける者の来ないうちに、引いて行くでしょう。
3わが神、主よ、もしわたしがこの事を行ったならば、
もしわたしの手によこしまな事があるならば、
4もしわたしの友に悪をもって報いたことがあり、
ゆえなく、敵のものを略奪したことがあるならば、
5敵にわたしを追い捕えさせ、
わたしの命を地に踏みにじらせ、
わたしの魂をちりにゆだねさせてください。〔セラ
6主よ、怒りをもって立ち、
わたしの敵の憤りにむかって立ちあがり、
わたしのために目をさましてください。
あなたはさばきを命じられました。
7もろもろの民をあなたのまわりにつどわせ、
その上なる高みくらにおすわりください。
8主はもろもろの民をさばかれます。
主よ、わたしの義と、わたしにある誠実とに従って、
わたしをさばいてください。
9どうか悪しき者の悪を断ち、
正しき者を堅く立たせてください。
義なる神よ、あなたは人の心と思いとを調べられます。
10わたしを守る盾は神である。
神は心の直き者を救われる。
11神は義なるさばきびと、
日ごとに憤りを起される神である。
12もし人が悔い改めないならば、神はそのつるぎをとぎ、
その弓を張って構え、
13また死に至らせる武器を備え、
その矢を火矢とされる。
14見よ、悪しき者は邪悪をはらみ、
害毒をやどし、偽りを生む。
15彼は穴を掘って、それを深くし、
みずから作った穴に陥る。
16その害毒は自分のかしらに帰り、
その強暴は自分のこうべに下る。
17わたしは主にむかって、
その義にふさわしい感謝をささげ、
いと高き者なる主の名をほめ歌うであろう。
第八篇
1主、われらの主よ、あなたの名は地にあまねく、
いかに尊いことでしょう。
あなたの栄光は天の上にあり、
2みどりごと、ちのみごとの口によって、
ほめたたえられています。
あなたは敵と恨みを晴らす者とを静めるため、
あだに備えて、とりでを設けられました。
3わたしは、あなたの指のわざなる天を見、
あなたが設けられた月と星とを見て思います。
4人は何者なので、これをみ心にとめられるのですか、
人の子は何者なので、これを顧みられるのですか。
5ただ少しく人を神よりも低く造って、
栄えと誉とをこうむらせ、
6これにみ手のわざを治めさせ、
よろずの物をその足の下におかれました。
7すべての羊と牛、また野の獣、
8空の鳥と海の魚、海路を通うものまでも。
9主、われらの主よ、あなたの名は地にあまねく、
いかに尊いことでしょう。
第九篇
1わたしは心をつくして主に感謝し、
あなたのくすしきみわざを
ことごとく宣べ伝えます。
2いと高き者よ、あなたによって
わたしは喜びかつ楽しみ、
あなたの名をほめ歌います。
3わたしの敵は退くとき、
つまずき倒れてあなたの前に滅びました。
4あなたがわたしの正しい訴えを
助け守られたからです。
あなたはみくらに座して、
正しいさばきをされました。
5あなたはもろもろの国民を責め、
悪しき者を滅ぼし、
永久に彼らの名を消し去られました。
6敵は絶えはてて、とこしえに滅び、
あなたが滅ぼされたもろもろの町は
その記憶さえ消えうせました。
7しかし主はとこしえに、み位に座し、
さばきのために、みくらを設けられました。
8主は正義をもって世界をさばき、
公平をもってもろもろの民をさばかれます。
9主はしえたげられる者のとりで、
なやみの時のとりでです。
10み名を知る者はあなたに寄り頼みます。
主よ、あなたを尋ね求める者を
あなたは捨てられたことがないからです。
11シオンに住まわれる主にむかってほめうたい、
そのみわざをもろもろの民のなかに宣べ伝えよ。
12血を流す者にあだを報いられる主は彼らを心にとめ、
苦しむ者の叫びをお忘れにならないからです。
13主よ、わたしをあわれんでください。
死の門からわたしを引きあげられる主よ、
あだする者のわたしを悩ますのを
みそなわしてください。
14そうすれば、わたしはあなたのすべての誉を述べ、
シオンの娘の門で、
あなたの救を喜ぶことができましょう。
15もろもろの国民は自分の作った穴に陥り、
隠し設けた網に自分の足を捕えられる。
16主はみずからを知らせ、さばきを行われた。
悪しき者は自分の手で作ったわなに捕えられる。〔ヒガヨン、セラ
17悪しき者、また神を忘れるもろもろの国民は
陰府へ去って行く。
18貧しい者は常に忘れられるのではない。
苦しむ者の望みはとこしえに滅びるのではない。
19主よ、立ちあがってください。
人に勝利を得させず、もろもろの国民に、
み前でさばきを受けさせてください。
20主よ、彼らに恐れを起させ、もろもろの国民に
自分がただ、人であることを知らせてください。〔セラ
第一〇篇
1主よ、なにゆえ遠く離れて
立たれるのですか。
なにゆえ悩みの時に身を隠されるのですか。
2悪しき者は高ぶって貧しい者を激しく責めます。
どうぞ彼らがその企てたはかりごとに
みずから捕えられますように。
3悪しき者は自分の心の願いを誇り、
むさぼる者は主をのろい、かつ捨てる。
4悪しき者は誇り顔をして、神を求めない。
その思いに、すべて「神はない」という。
5彼の道は常に栄え、
あなたのさばきは彼を離れて高く、
彼はそのすべてのあだを口先で吹く。
6彼は心の内に言う、「わたしは動かされることはなく、
世々わざわいにあうことがない」と。
7その口はのろいと、欺きと、しえたげとに満ち、
その舌の下には害毒と不正とがある。
8彼は村里の隠れ場におり、
忍びやかな所で罪のない者を殺す。
その目は寄るべなき者をうかがい、
9隠れ場にひそむししのように、ひそかに待ち伏せする。
彼は貧しい者を捕えようと待ち伏せし、
貧しい者を網にひきいれて捕える。
10寄るべなき者は彼の力によって
打ちくじかれ、衰え、倒れる。
11彼は心のうちに言う、「神は忘れた、
神はその顔を隠した、
神は絶えて見ることはなかろう」と。
12主よ、立ちあがってください。
神よ、み手をあげてください。
苦しむ者を忘れないでください。
13なにゆえ、悪しき者は神を侮り、心のうちに
「あなたはとがめることをしない」と言うのですか。
14あなたはみそなわし、悩みと苦しみとを見て、
それをみ手に取られます。
寄るべなき者はあなたに身をゆだねるのです。
あなたはいつもみなしごを助けられました。
15悪しき者と悪を行う者の腕を折り、
その悪を一つも残さないまでに探り出してください。
16主はとこしえに王でいらせられる。
もろもろの国民は滅びて
主の国から跡を断つでしょう。
17主よ、あなたは柔和な者の願いを聞き、
その心を強くし、耳を傾けて、
18みなしごと、しえたげられる者とのために
さばきを行われます。
地に属する人は再び人を脅かすことはないでしょう。
第一一篇
1わたしは主に寄り頼む。
なにゆえ、あなたがたはわたしにむかって言うのか、
「鳥のように山にのがれよ。
2見よ、悪しき者は、暗やみで、
心の直き者を射ようと弓を張り、
弦に矢をつがえている。
3基が取りこわされるならば、
正しい者は何をなし得ようか」と。
4主はその聖なる宮にいまし、主のみくらは天にあり、
その目は人の子らをみそなわし、
そのまぶたは人の子らを調べられる。
5主は正しき者をも、悪しき者をも調べ、
そのみ心は乱暴を好む者を憎まれる。
6主は悪しき者の上に炭火と硫黄とを降らせられる。
燃える風は彼らがその杯にうくべきものである。
7主は正しくいまして、
正しい事を愛されるからである。
直き者は主のみ顔を仰ぎ見るであろう。
第一二篇
1主よ、お助けください。神を敬う人は絶え、
忠信な者は人の子らのなかから消えうせました。
2人はみなその隣り人に偽りを語り、
へつらいのくちびると、ふたごころとをもって語る。
3主はすべてのへつらいのくちびると、
大きな事を語る舌とを断たれるように。
4彼らは言う、「わたしたちは舌をもって勝を得よう、
わたしたちのくちびるはわたしたちのものだ、
だれがわたしたちの主人であるか」と。
5主は言われる、「貧しい者がかすめられ、
乏しい者が嘆くゆえに、わたしはいま立ちあがって、
彼らをその慕い求める安全な所に置こう」と。
6主のことばは清き言葉である。
地に設けた炉で練り、七たびきよめた銀のようである。
7主よ、われらを保ち、
とこしえにこの人々から免れさせてください。
8卑しい事が人の子のなかにあがめられている時、
悪しき者はいたる所でほしいままに歩いています。
第一三篇
1主よ、いつまでなのですか。
とこしえにわたしをお忘れになるのですか。
いつまで、み顔をわたしに隠されるのですか。
2いつまで、わたしは魂に痛みを負い、ひねもす心に
悲しみをいだかなければならないのですか。
いつまで敵はわたしの上にあがめられるのですか。
3わが神、主よ、みそなわして、わたしに答え、
わたしの目を明らかにしてください。
さもないと、わたしは死の眠りに陥り、
4わたしの敵は「わたしは敵に勝った」と言い、
わたしのあだは、わたしの動かされることによって喜ぶでしょう。
5しかしわたしはあなたのいつくしみに信頼し、
わたしの心はあなたの救を喜びます。
6主は豊かにわたしをあしらわれたゆえ、
わたしは主にむかって歌います。
第一四篇
1愚かな者は心のうちに「神はない」と言う。
彼らは腐れはて、憎むべき事をなし、
善を行う者はない。
2主は天から人の子らを見おろして、
賢い者、神をたずね求める者が
あるかないかを見られた。
3彼らはみな迷い、みなひとしく腐れた。
善を行う者はない、ひとりもない。
4すべて悪を行う者は悟りがないのか。
彼らは物食うようにわが民をくらい、
また主を呼ぶことをしない。
5その時、彼らは大いに恐れた。
神は正しい者のやからと共におられるからである。
6あなたがたは貧しい者の計画を
はずかしめようとする。
しかし主は彼の避け所である。
7どうか、シオンからイスラエルの救が出るように。
主がその民の繁栄を回復されるとき、
ヤコブは喜び、イスラエルは楽しむであろう。
第一五篇
1主よ、あなたの幕屋にやどるべき者はだれですか、
あなたの聖なる山に住むべき者はだれですか。
2直く歩み、義を行い、心から真実を語る者、
3その舌をもってそしらず、その友に悪をなさず、
隣り人に対するそしりを取りあげず、
4その目は神に捨てられた者を卑しめ、
主を恐れる者を尊び、
誓った事は自分の損害になっても変えることなく、
5利息をとって金銭を貸すことなく、まいないを取って
罪のない者の不利をはかることをしない人である。
これらの事を行う者は
とこしえに動かされることはない。
第一六篇
1神よ、わたしをお守りください。
わたしはあなたに寄り頼みます。
2わたしは主に言う、「あなたはわたしの主、
あなたのほかにわたしの幸はない」と。
3地にある聖徒は、
すべてわたしの喜ぶすぐれた人々である。
4おおよそ、ほかの神を選ぶ者は悲しみを増す。
わたしは彼らのささげる血の灌祭を注がず、
その名を口にとなえることをしない。
5主はわたしの嗣業、またわたしの杯にうくべきもの。
あなたはわたしの分け前を守られる。
6測りなわは、わたしのために好ましい所に落ちた。
まことにわたしは良い嗣業を得た。
7わたしにさとしをさずけられる主をほめまつる。
夜はまた、わたしの心がわたしを教える。
8わたしは常に主をわたしの前に置く。
主がわたしの右にいますゆえ、
わたしは動かされることはない。
9このゆえに、わたしの心は楽しみ、わたしの魂は喜ぶ。
わたしの身もまた安らかである。
10あなたはわたしを陰府に捨ておかれず、
あなたの聖者に墓を見させられないからである。
11あなたはいのちの道をわたしに示される。
あなたの前には満ちあふれる喜びがあり、
あなたの右には、とこしえにもろもろの楽しみがある。
第一七篇
1主よ、正しい訴えを聞き、わたしの叫びにみ心をとめ、
偽りのないくちびるから出るわたしの祈に
耳を傾けてください。
2どうかわたしについての宣告がみ前から出て、
あなたの目が公平をみられるように。
3あなたがわたしの心をためし、夜、わたしに臨み、
わたしを試みられても、わたしのうちに
なんの悪い思いをも見いだされないでしょう。
わたしの口も罪を犯しません。
4人のおこないの事をいえば、
あなたのくちびるの言葉によって、
わたしは不法な者の道を避けました。
5わたしの歩みはあなたの道に堅く立ち、
わたしの足はすべることがなかったのです。
6神よ、わたしはあなたに呼ばわります。
あなたはわたしに答えられます。
どうか耳を傾けて、
わたしの述べることをお聞きください。
7寄り頼む者をそのあだから右の手で救われる者よ、
あなたのいつくしみを驚くばかりにあらわし、
8ひとみのようにわたしを守り、
みつばさの陰にわたしを隠し、
9わたしをしえたげる悪しき者から、
わたしを囲む恐ろしい敵から、のがれさせてください。
10彼らはその心を閉じて、あわれむことなく、
その口をもって高ぶって語るのです。
11彼らはわたしを追いつめ、わたしを囲み、
わたしを地に投げ倒さんと、その目をそそぎます。
12彼らはかき裂かんと、いらだつししのごとく、
隠れた所にひそみ待つ子じしのようです。
13主よ、立ちあがって、彼らに立ちむかい、
彼らを倒してください。
つるぎをもって悪しき者から
わたしのいのちをお救いください。
14主よ、み手をもって人々からわたしをお救いください。
すなわち自分の分け前をこの世で受け、
あなたの宝をもってその腹を満たされる
世の人々からわたしをお救いください。
彼らは多くの子に飽き足り、
その富を幼な子に残すのです。
15しかしわたしは義にあって、み顔を見、
目ざめる時、みかたちを見て、満ち足りるでしょう。
第一八篇
1わが力なる主よ、わたしはあなたを愛します。
2主はわが岩、わが城、わたしを救う者、
わが神、わが寄り頼む岩、
わが盾、わが救の角、わが高きやぐらです。
3わたしはほめまつるべき主に呼ばわって、
わたしの敵から救われるのです。
4死の綱は、わたしを取り巻き、
滅びの大水は、わたしを襲いました。
5陰府の綱は、わたしを囲み、
死のわなは、わたしに立ちむかいました。
6わたしは悩みのうちに主に呼ばわり、
わが神に叫び求めました。
主はその宮からわたしの声を聞かれ、
主にさけぶわたしの叫びがその耳に達しました。
7そのとき地は揺れ動き、山々の基は震い動きました。
主がお怒りになったからです。
8煙はその鼻から立ちのぼり、
火はその口から出て焼きつくし、
炭はそれによって燃えあがりました。
9主は天をたれて下られ、
暗やみがその足の下にありました。
10主はケルブに乗って飛び、風の翼をもってかけり、
11やみをおおいとして、自分のまわりに置き、
水を含んだ暗い濃き雲をその幕屋とされました。
12そのみ前の輝きから濃き雲を破って、
ひょうと燃える炭とが降ってきました。
13主はまた天に雷をとどろかせ、
いと高き者がみ声を出されると、
ひょうと燃える炭とが降ってきました。
14主は矢を放って彼らを散らし、
いなずまをひらめかして彼らを打ち敗られました。
15主よ、そのとき、あなたのとがめと、
あなたの鼻のいぶきとによって、海の底はあらわれ、
地の基があらわになったのです。
16主は高い所からみ手を伸べて、わたしを捕え、
大水からわたしを引きあげ、
17わたしの強い敵と、わたしを憎む者とから
わたしを助け出されました。
彼らはわたしにまさって強かったからです。
18彼らはわたしの災の日にわたしを襲いました。
しかし主はわたしのささえとなられました。
19主はわたしを広い所につれ出し、
わたしを喜ばれるがゆえに、わたしを助けられました。
20主はわたしの義にしたがってわたしに報い、
わたしの手の清きにしたがって
わたしに報いかえされました。
21わたしは主の道を守り、
悪意をもって、わが神を離れたことがなかったのです、
22そのすべてのおきてはわたしの前にあって、
わたしはその定めを捨てたことがなかったのです。
23わたしは主の前に欠けたところがなく、
自分を守って罪を犯しませんでした。
24このゆえに主はわたしの義にしたがい、
その目の前にわたしの手の清きにしたがって
わたしに報いられました。
25あなたはいつくしみある者には、
いつくしみある者となり、
欠けたところのない者には、
欠けたところのない者となり、
26清い者には、清い者となり、
ひがんだ者には、ひがんだ者となられます。
27あなたは苦しんでいる民を救われますが、
高ぶる目をひくくされるのです。
28あなたはわたしのともしびをともし、
わが神、主はわたしのやみを照されます。
29まことに、わたしはあなたによって敵軍を打ち破り、
わが神によって城壁をとび越えることができます。
30この神こそ、その道は完全であり、
主の言葉は真実です。
主はすべて寄り頼む者の盾です。
31主のほかに、だれが神でしょうか。
われらの神のほかに、だれが岩でしょうか。
32神はわたしに力を帯びさせ、
わたしの道を安全にされました。
33神はわたしの足をめじかの足のようにされ、
わたしを高い所に安全に立たせ、
34わたしの手を戦いに慣らされたので、
わたしの腕は青銅の弓をもひくことができます。
35あなたはその救の盾をわたしに与え、
あなたの右の手はわたしをささえ、
あなたの助けはわたしを大いなる者とされました。
36あなたがわたしの歩む所を広くされたので、
わたしの足はすべらなかったのです。
37わたしは敵を追って、これに追いつき、
これを滅ぼしつくすまでは帰らなかったのです。
38わたしが彼らを突き通したので、
彼らは立ちあがることができず、
わたしの足もとに倒れました。
39あなたは戦いのためにわたしに力を帯びさせ、
わたしに立ち向かう者らをわたしのもとに、
かがませられました。
40あなたは敵にその後をわたしに向けさせられたので、
わたしは自分を憎む者を滅ぼしました。
41彼らは助けを叫び求めたが、救う者はなく、
主にむかって叫んだけれども、
彼らに答えられなかったのです。
42わたしは彼らを風の前のちりのように細かに砕き、
ちまたの泥のように打ち捨てました。
43あなたは民の争いからわたしを救い、
わたしをもろもろの国民のかしらとされました。
わたしの知らなかった民がわたしに仕えました。
44彼らはわたしの事を聞くと、ただちにわたしに従い、
異邦の人々はきて、わたしにへつらいました。
45異邦の人々は打ちしおれて、
その城から震えながら出てきました。
46主は生きておられます。わが岩はほむべきかな。
わが救の神はあがむべきかな。
47神はわたしにあだを報いさせ、
もろもろの民をわたしのもとに従わせ、
48わたしの敵からわたしを救い出されました。
まことに、あなたはわたしに逆らって
起りたつ者の上にわたしをあげ、
不法の人からわたしを救い出されました。
49このゆえに主よ、
わたしはもろもろの国民のなかであなたをたたえ、
あなたのみ名をほめ歌います。
50主はその王に大いなる勝利を与え、
その油そそがれた者に、ダビデとその子孫とに、
とこしえにいつくしみを加えられるでしょう。
第一九篇
1もろもろの天は神の栄光をあらわし、
大空はみ手のわざをしめす。
2この日は言葉をかの日につたえ、
この夜は知識をかの夜につげる。
3話すことなく、語ることなく、
その声も聞えないのに、
4その響きは全地にあまねく、
その言葉は世界のはてにまで及ぶ。
神は日のために幕屋を天に設けられた。
5日は花婿がその祝のへやから出てくるように、
また勇士が競い走るように、その道を喜び走る。
6それは天のはてからのぼって、
天のはてにまで、めぐって行く。
その暖まりをこうむらないものはない。
7主のおきては完全であって、魂を生きかえらせ、
主のあかしは確かであって、無学な者を賢くする。
8主のさとしは正しくて、心を喜ばせ、
主の戒めはまじりなくて、眼を明らかにする。
9主を恐れる道は清らかで、
とこしえに絶えることがなく、
主のさばきは真実であって、ことごとく正しい。
10これらは金よりも、多くの純金よりも慕わしく、
また蜜よりも、蜂の巣のしたたりよりも甘い。
11あなたのしもべは、これらによって戒めをうける。
これらを守れば、大いなる報いがある。
12だれが自分のあやまちを知ることができましようか。
どうか、わたしを隠れたとがから解き放ってください。
13また、あなたのしもべを引きとめて、
故意の罪を犯させず、
これに支配されることのないようにしてください。
そうすれば、わたしはあやまちのない者となって、
大いなるとがを免れることができるでしょう。
14わが岩、わがあがないぬしなる主よ、
どうか、わたしの口の言葉と、心の思いが
あなたの前に喜ばれますように。
第二〇篇
1主が悩みの日にあなたに答え、
ヤコブの神のみ名があなたを守られるように。
2主が聖所から助けをあなたにおくり、
シオンからあなたをささえ、
3あなたのもろもろの供え物をみ心にとめ、
あなたの燔祭をうけられるように。〔セラ
4主があなたの心の願いをゆるし、
あなたのはかりごとを
ことごとく遂げさせられるように。
5われらがあなたの勝利を喜びうたい、
われらの神のみ名によって旗を揚げるように。
主があなたの求めをすべて遂げさせられるように。
6今わたしは知る、
主はその油そそがれた者を助けられることを。
主はその右の手による大いなる勝利をもって
その聖なる天から彼に答えられるであろう。
7ある者は戦車を誇り、ある者は馬を誇る。
しかしわれらは、われらの神、
主のみ名を誇る。
8彼らはかがみ、また倒れる。
しかしわれらは起きて、まっすぐに立つ。
9主よ、王に勝利をおさずけください。
われらが呼ばわる時、われらにお答えください。
第二一篇
1主よ、王はあなたの力によって喜び、
あなたの助けによって、
いかに大きな喜びをもつことでしょう。
2あなたは彼の心の願いをゆるし、
そのくちびるの求めをいなまれなかった。〔セラ
3あなたは大いなる恵みをもって彼を迎え、
そのかしらに純金の冠をいただかせられる。
4彼がいのちを求めると、あなたはそれを彼にさずけ、
世々限りなくそのよわいを長くされた。
5あなたの助けによって彼の栄光は大きい。
あなたは誉と威厳とを彼に与えられる。
6まことに、あなたは彼をとこしえに恵まれた者とし、
み前に喜びをもって楽しませられる。
7王は主に信頼するゆえ、
いと高き者のいつくしみをこうむって、
動かされることはない。
8あなたの手はもろもろの敵を尋ね出し、
あなたの右の手はあなたを憎む者を
尋ね出すであろう。
9あなたが怒る時、
彼らを燃える炉のようにするであろう。
主はみ怒りによって彼らをのみつくされる。
火は彼らを食いつくすであろう。
10あなたは彼らのすえを地から断ち、
彼らの種を人の子らの中から滅ぼすであろう。
11たとい彼らがあなたにむかって悪い事を企て、
悪いはかりごとを思いめぐらしても、
なし遂げることはできない。
12あなたは彼らを逃げ走らせ、
あなたの弓弦を張って、彼らの顔をねらうであろう。
13主よ、力をあらわして、みずからを高くしてください。
われらはあなたの大能をうたい、
かつほめたたえるでしょう。
第二二篇
1わが神、わが神、
なにゆえわたしを捨てられるのですか。
なにゆえ遠く離れてわたしを助けず、
わたしの嘆きの言葉を聞かれないのですか。
2わが神よ、わたしが昼よばわっても、
あなたは答えられず、
夜よばわっても平安を得ません。
3しかしイスラエルのさんびの上に座しておられる
あなたは聖なるおかたです。
4われらの先祖たちはあなたに信頼しました。
彼らが信頼したので、あなたは彼らを助けられました。
5彼らはあなたに呼ばわって救われ、
あなたに信頼して恥をうけなかったのです。
6しかし、わたしは虫であって、人ではない。
人にそしられ、民に侮られる。
7すべてわたしを見る者は、わたしをあざ笑い、
くちびるを突き出し、かしらを振り動かして言う、
8「彼は主に身をゆだねた、主に彼を助けさせよ。
主は彼を喜ばれるゆえ、主に彼を救わせよ」と。
9しかし、あなたはわたしを生れさせ、
母のふところにわたしを安らかに守られた方です。
10わたしは生れた時から、あなたにゆだねられました。
母の胎を出てからこのかた、
あなたはわたしの神でいらせられました。
11わたしを遠く離れないでください。
悩みが近づき、助ける者がないのです。
12多くの雄牛はわたしを取り巻き、
バシャンの強い雄牛はわたしを囲み、
13かき裂き、ほえたけるししのように、
わたしにむかって口を開く。
14わたしは水のように注ぎ出され、
わたしの骨はことごとくはずれ、
わたしの心臓は、ろうのように、胸のうちで溶けた。
15わたしの力は陶器の破片のようにかわき、
わたしの舌はあごにつく。
あなたはわたしを死のちりに伏させられる。
16まことに、犬はわたしをめぐり、
悪を行う者の群れがわたしを囲んで、
わたしの手と足を刺し貫いた。
17わたしは自分の骨をことごとく数えることができる。
彼らは目をとめて、わたしを見る。
18彼らは互にわたしの衣服を分け、
わたしの着物をくじ引にする。
19しかし主よ、遠く離れないでください。
わが力よ、速く来てわたしをお助けください。
20わたしの魂をつるぎから、
わたしのいのちを犬の力から助け出してください。
21わたしをししの口から、
苦しむわが魂を野牛の角から救い出してください。
22わたしはあなたのみ名を兄弟たちに告げ、
会衆の中であなたをほめたたえるでしょう。
23主を恐れる者よ、主をほめたたえよ。
ヤコブのもろもろのすえよ、主をあがめよ。
イスラエルのもろもろのすえよ、主をおじおそれよ。
24主が苦しむ者の苦しみをかろんじ、いとわれず、
またこれにみ顔を隠すことなく、
その叫ぶときに聞かれたからである。
25大いなる会衆の中で、
わたしのさんびはあなたから出るのです。
わたしは主を恐れる者の前で、
わたしの誓いを果します。
26貧しい者は食べて飽くことができ、
主を尋ね求める者は主をほめたたえるでしょう。
どうか、あなたがたの心がとこしえに生きるように。
27地のはての者はみな思い出して、主に帰り、
もろもろの国のやからはみな、
み前に伏し拝むでしょう。
28国は主のものであって、
主はもろもろの国民を統べ治められます。
29地の誇り高ぶる者はみな主を拝み、
ちりに下る者も、
おのれを生きながらえさせえない者も、
みなそのみ前にひざまずくでしょう。
30子々孫々、主に仕え、
人々は主のことをきたるべき代まで語り伝え、
31主がなされたその救を
後に生れる民にのべ伝えるでしょう。
第二三篇
1主はわたしの牧者であって、
わたしには乏しいことがない。
2主はわたしを緑の牧場に伏させ、
いこいのみぎわに伴われる。
3主はわたしの魂をいきかえらせ、
み名のためにわたしを正しい道に導かれる。
4たといわたしは死の陰の谷を歩むとも、
わざわいを恐れません。
あなたがわたしと共におられるからです。
あなたのむちと、あなたのつえはわたしを慰めます。
5あなたはわたしの敵の前で、わたしの前に宴を設け、
わたしのこうべに油をそそがれる。
わたしの杯はあふれます。
6わたしの生きているかぎりは
必ず恵みといつくしみとが伴うでしょう。
わたしはとこしえに主の宮に住むでしょう。
第二四篇
1地と、それに満ちるもの、
世界と、そのなかに住む者とは主のものである。
2主はその基を大海のうえにすえ、
大川のうえに定められた。
3主の山に登るべき者はだれか。
その聖所に立つべき者はだれか。
4手が清く、心のいさぎよい者、
その魂がむなしい事に望みをかけない者、
偽って誓わない者こそ、その人である。
5このような人は主から祝福をうけ、
その救の神から義をうける。
6これこそ主を慕う者のやから、
ヤコブの神の、み顔を求める者のやからである。〔セラ
7門よ、こうべをあげよ。とこしえの戸よ、あがれ。
栄光の王がはいられる。
8栄光の王とはだれか。
強く勇ましい主、戦いに勇ましい主である。
9門よ、こうべをあげよ。とこしえの戸よ、あがれ。
栄光の王がはいられる。
10この栄光の王とはだれか。万軍の主、これこそ栄光の王である。〔セラ
第二五篇
1主よ、わが魂はあなたを仰ぎ望みます。
2わが神よ、わたしはあなたに信頼します。
どうか、わたしをはずかしめず、
わたしの敵を勝ち誇らせないでください。
3すべてあなたを待ち望む者をはずかしめず、
みだりに信義にそむく者をはずかしめてください。
4主よ、あなたの大路をわたしに知らせ、
あなたの道をわたしに教えてください。
5あなたのまことをもって、わたしを導き、
わたしを教えてください。
あなたはわが救の神です。
わたしはひねもすあなたを待ち望みます。
6主よ、あなたのあわれみと、いつくしみとを
思い出してください。
これはいにしえから絶えることがなかったのです。
7わたしの若き時の罪と、とがとを
思い出さないでください。
主よ、あなたの恵みのゆえに、
あなたのいつくしみにしたがって、
わたしを思い出してください。
8主は恵みふかく、かつ正しくいらせられる。
それゆえ、主は道を罪びとに教え、
9へりくだる者を公義に導き、
へりくだる者にその道を教えられる。
10主のすべての道はその契約とあかしとを守る者には
いつくしみであり、まことである。
11主よ、み名のために、わたしの罪をおゆるしください。
わたしの罪は大きいのです。
12主を恐れる人はだれか。
主はその選ぶべき道をその人に教えられる。
13彼はみずからさいわいに住まい、
そのすえは地を継ぐであろう。
14主の親しみは主をおそれる者のためにあり、
主はその契約を彼らに知らせられる。
15わたしの目は常に主に向かっている。
主はわたしの足を網から取り出されるからである。
16わたしをかえりみ、わたしをあわれんでください。
わたしはひとりわびしく苦しんでいるのです。
17わたしの心の悩みをゆるめ、
わたしを苦しみから引き出してください。
18わたしの苦しみ悩みをかえりみ、
わたしのすべての罪をおゆるしください。
19わたしの敵がいかに多く、
かつ激しい憎しみをもって
わたしを憎んでいるかをごらんください。
20わたしの魂を守り、わたしをお助けください。
わたしをはずかしめないでください。
わたしはあなたに寄り頼んでいます。
21どうか、誠実と潔白とが、
わたしを守ってくれるように。
わたしはあなたを待ち望んでいます。
22神よ、イスラエルをあがない、
すべての悩みから救いだしてください。
第二六篇
1主よ、わたしをさばいてください。
わたしは誠実に歩み、
迷うことなく主に信頼しています。
2主よ、わたしをためし、わたしを試み、
わたしの心と思いとを練りきよめてください。
3あなたのいつくしみはわたしの目の前にあり、
わたしはあなたのまことによって歩みました。
4わたしは偽る人々と共にすわらず、
偽善者と交わらず、
5悪を行う者のつどいを憎み、
悪しき者と共にすわることをしません。
6主よ、わたしは手を洗って、罪のないことを示し、
あなたの祭壇をめぐって、
7感謝の歌を声高くうたい、
あなたのくすしきみわざをことごとくのべ伝えます。
8主よ、わたしはあなたの住まわれる家と、
あなたの栄光のとどまる所とを愛します。
9どうか、わたしを罪びとと共に、
わたしのいのちを、血を流す人々と共に、
取り去らないでください。
10彼らの手には悪い企てがあり、
彼らの右の手は、まいないで満ちています。
11しかしわたしは誠実に歩みます。
わたしをあがない、わたしをあわれんでください。
12わたしの足は平らかな所に立っています。
わたしは会衆のなかで主をたたえましょう。
第二七篇
1主はわたしの光、わたしの救だ、
わたしはだれを恐れよう。
主はわたしの命のとりでだ。
わたしはだれをおじ恐れよう。
2わたしのあだ、わたしの敵である悪を行う者どもが、
襲ってきて、わたしをそしり、わたしを攻めるとき、
彼らはつまずき倒れるであろう。
3たとい軍勢が陣営を張って、わたしを攻めても、
わたしの心は恐れない。
たといいくさが起って、わたしを攻めても、
なおわたしはみずから頼むところがある。
4わたしは一つの事を主に願った、
わたしはそれを求める。
わたしの生きるかぎり、主の家に住んで、
主のうるわしきを見、その宮で尋ねきわめることを。
5それは主が悩みの日に、
その仮屋のうちにわたしを潜ませ、
その幕屋の奥にわたしを隠し、
岩の上にわたしを高く置かれるからである。
6今わたしのこうべはわたしをめぐる敵の上に
高くあげられる。
それゆえ、わたしは主の幕屋で
喜びの声をあげて、いけにえをささげ、
歌って、主をほめたたえるであろう。
7主よ、わたしが声をあげて呼ばわるとき、
聞いて、わたしをあわれみ、わたしに答えてください。
8あなたは仰せられました、
「わが顔をたずね求めよ」と。
あなたにむかって、わたしの心は言います、
「主よ、わたしはみ顔をたずね求めます」と。
9み顔をわたしに隠さないでください。
怒ってあなたのしもべを退けないでください。
あなたはわたしの助けです。
わが救の神よ、わたしを追い出し、
わたしを捨てないでください。
10たとい父母がわたしを捨てても、
主がわたしを迎えられるでしょう。
11主よ、あなたの道をわたしに教え、
わたしのあだのゆえに、
わたしを平らかな道に導いてください。
12わたしのあだの望むがままに、
わたしを引き渡さないでください。
偽りのあかしをする者がわたしに逆らって起り、
暴言を吐くからです。
13わたしは信じます、
生ける者の地でわたしは主の恵みを見ることを。
14主を待ち望め、強く、かつ雄々しくあれ。
主を待ち望め。
第二八篇
1主よ、わたしはあなたにむかって呼ばわります。
わが岩よ、わたしにむかって
耳しいとならないでください。
もしあなたが黙っておられるならば、おそらく、
わたしは墓に下る者と等しくなるでしょう。
2わたしがあなたにむかって助けを求め、
あなたの至聖所にむかって手をあげるとき、
わたしの願いの声を聞いてください。
3悪しき者および悪を行う者らと共に
わたしを引き行かないでください。
彼らはその隣り人とむつまじく語るけれども、
その心には害悪をいだく者です。
4どうぞ、そのわざにしたがい、
その悪しき行いにしたがって彼らに報い、
その手のわざにしたがって彼らに報い、
その受くべき罰を彼らに与えてください。
5彼らは主のもろもろのみわざと、
み手のわざとを顧みないゆえに、
主は彼らを倒して、再び建てられることはない。
6主はほむべきかな。
主はわたしの願いの声を聞かれた。
7主はわが力、わが盾。
わたしの心は主に寄り頼む。
わたしは助けを得たので、わたしの心は大いに喜び、
歌をもって主をほめたたえる。
8主はその民の力、
その油そそがれた者の救のとりでである。
9どうぞ、あなたの民を救い、あなたの嗣業を恵み、
彼らの牧者となって、とこしえに彼らをいだき導いてください。
第二九篇
1神の子らよ、主に帰せよ、
栄光と力とを主に帰せよ。
2み名の栄光を主に帰せよ、
聖なる装いをもって主を拝め。
3主のみ声は水の上にあり、
栄光の神は雷をとどろかせ、
主は大水の上におられる。
4主のみ声は力があり、
主のみ声は威厳がある。
5主のみ声は香柏を折り砕き、
主はレバノンの香柏を折り砕かれる。
6主はレバノンを子牛のように踊らせ、
シリオンを若い野牛のように踊らされる。
7主のみ声は炎をひらめかす。
8主のみ声は荒野を震わせ、
主はカデシの荒野を震わされる。
9主のみ声はかしの木を巻きあげ、また林を裸にする。
その宮で、すべてのものは呼ばわって言う、
「栄光」と。
10主は洪水の上に座し、
主はみくらに座して、とこしえに王であらせられる。
11主はその民に力を与え、
平安をもってその民を祝福されるであろう。
第三〇篇
1主よ、わたしはあなたをあがめます。
あなたはわたしを引きあげ、
敵がわたしの事によって喜ぶのを、
ゆるされなかったからです。
2わが神、主よ、
わたしがあなたにむかって助けを叫び求めると、
あなたはわたしをいやしてくださいました。
3主よ、あなたはわたしの魂を陰府からひきあげ、
墓に下る者のうちから、
わたしを生き返らせてくださいました。
4主の聖徒よ、主をほめうたい、
その聖なるみ名に感謝せよ。
5その怒りはただつかのまで、
その恵みはいのちのかぎり長いからである。
夜はよもすがら泣きかなしんでも、
朝と共に喜びが来る。
6わたしは安らかな時に言った、
「わたしは決して動かされることはない」と。
7主よ、あなた恵みをもって、
わたしをゆるがない山のように堅くされました。
あなたがみ顔をかくされたので、
わたしはおじ惑いました。
8主よ、わたしはあなたに呼ばわりました。
ひたすら主に請い願いました、
9「わたしが墓に下るならば、
わたしの死になんの益があるでしょうか。
ちりはあなたをほめたたえるでしょうか。
あなたのまことをのべ伝えるでしょうか。
10主よ、聞いてください、わたしをあわれんでください。
主よ、わたしの助けとなってください」と。
11あなたはわたしのために、嘆きを踊りにかえ、
荒布を解き、喜びをわたしの帯とされました。
12これはわたしの魂があなたをほめたたえて、
口をつぐむことのないためです。
わが神、主よ、
わたしはとこしえにあなたに感謝します。
第三一篇
1主よ、わたしはあなたに寄り頼みます。
とこしえにわたしをはずかしめず、
あなたの義をもってわたしをお助けください。
2あなたの耳をわたしに傾けて、
すみやかにわたしをお救いください。
わたしのためにのがれの岩となり、
わたしを救う堅固な城となってください。
3まことに、あなたはわたしの岩、わたしの城です。
み名のためにわたしを引き、わたしを導き、
4わたしのためにひそかに設けた網から
わたしを取り出してください。
あなたはわたしの避け所です。
5わたしは、わが魂をみ手にゆだねます。
主、まことの神よ、
あなたはわたしをあがなわれました。
6あなたはむなしい偶像に心を寄せる者を憎まれます。
しかしわたしは主に信頼し、
7あなたのいつくしみを喜び楽しみます。
あなたがわたしの苦しみをかえりみ、
わたしの悩みにみこころをとめ、
8わたしを敵の手にわたさず、
わたしの足を広い所に立たせられたからです。
9主よ、わたしをあわれんでください。
わたしは悩み苦しんでいます。
わたしの目は憂いによって衰え、
わたしの魂も、からだもまた衰えました。
10わたしのいのちは悲しみによって消えゆき、
わたしの年は嘆きによって消えさり、
わたしの力は苦しみによって尽き、
わたしの骨は枯れはてました。
11わたしはすべてのあだにそしられる者となり、
隣り人には恐れられ、
知り人には恐るべき者となり、
ちまたでわたしを見る者は避けて逃げます。
12わたしは死んだ者のように人の心に忘れられ、
破れた器のようになりました。
13まことに、わたしは多くの人のささやくのを聞きます、
「至る所に恐るべきことがある」と。
彼らはわたしに逆らってともに計り、
わたしのいのちを取ろうと、たくらむのです。
14しかし、主よ、わたしはあなたに信頼して、言います、
「あなたはわたしの神である」と。
15わたしの時はあなたのみ手にあります。
わたしをわたしの敵の手と、
わたしを責め立てる者から救い出してください。
16み顔をしもべの上に輝かせ、
いつくしみをもってわたしをお救いください。
17主よ、わたしはあなたに呼ばわります、
わたしをはずかしめないでください。
悪しき者に恥をうけさせ、
彼らに声をあげさせずに陰府に行かせてください。
18高ぶりと侮りとをもって正しい者をみだりにそしる
偽りのくちびるをつぐませてください。
19あなたを恐れる者のためにたくわえ、
あなたに寄り頼む者のために
人の子らの前に施されたあなたの恵みは
いかに大いなるものでしょう。
20あなたは彼らをみ前のひそかな所に隠して
人々のはかりごとを免れさせ、
また仮屋のうちに潜ませて
舌の争いを避けさせられます。
21主はほむべきかな、
包囲された町のようにわたしが囲まれたとき、
主は驚くばかりに、いつくしみをわたしに示された。
22わたしは驚きあわてて言った、
「わたしはあなたの目の前から断たれた」と。
しかしわたしがあなたに助けを呼び求めたとき、
わたしの願いを聞きいれられた。
23すべての聖徒よ、主を愛せよ。
主は真実な者を守られるが、
おごりふるまう者にはしたたかに報いられる。
24すべて主を待ち望む者よ、
強くあれ、心を雄々しくせよ。
第三二篇
1そのとががゆるされ、
その罪がおおい消される者はさいわいである。
2主によって不義を負わされず、
その霊に偽りのない人はさいわいである。
3わたしが自分の罪を言いあらわさなかった時は、
ひねもす苦しみうめいたので、
わたしの骨はふるび衰えた。
4あなたのみ手が昼も夜も、
わたしの上に重かったからである。
わたしの力は、夏のひでりによってかれるように、
かれ果てた。〔セラ
5わたしは自分の罪をあなたに知らせ、
自分の不義を隠さなかった。
わたしは言った、
「わたしのとがを主に告白しよう」と。
その時あなたはわたしの犯した罪をゆるされた。〔セラ
6このゆえに、すべて神を敬う者はあなたに祈る。
大水の押し寄せる悩みの時にも
その身に及ぶことはない。
7あなたはわたしの隠れ場であって、
わたしを守って悩みを免れさせ、
救をもってわたしを囲まれる。〔セラ
8わたしはあなたを教え、あなたの行くべき道を示し、
わたしの目をあなたにとめて、さとすであろう。
9あなたはさとりのない馬のようであってはならない。
また騾馬のようであってはならない。
彼らはくつわ、たづなをもっておさえられなければ、
あなたに従わないであろう。
10悪しき者は悲しみが多い。
しかし主に信頼する者はいつくしみで囲まれる。
11正しき者よ、主によって喜び楽しめ、
すべて心の直き者よ、喜びの声を高くあげよ。
第三三篇
1正しき者よ、主によって喜べ、
さんびは直き者にふさわしい。
2琴をもって主をさんびせよ、
十弦の立琴をもって主をほめたたえよ。
3新しい歌を主にむかって歌い、
喜びの声をあげて巧みに琴をかきならせ。
4主のみことばは直く、
そのすべてのみわざは真実だからである。
5主は正義と公平とを愛される。
地は主のいつくしみで満ちている。
6もろもろの天は主のみことばによって造られ、
天の万軍は主の口の息によって造られた。
7主は海の水を水がめの中に集めるように集め、
深い淵を倉におさめられた。
8全地は主を恐れ、
世に住むすべての者は主を恐れかしこめ。
9主が仰せられると、そのようになり、
命じられると、堅く立ったからである。
10主はもろもろの国のはかりごとをむなしくし、
もろもろの民の企てをくじかれる。
11主のはかりごとはとこしえに立ち、
そのみこころの思いは世々に立つ。
12主をおのが神とする国はさいわいである。
主がその嗣業として選ばれた民はさいわいである。
13主は天から見おろされ、
すべての人の子らを見、
14そのおられる所から
地に住むすべての人をながめられる。
15主はすべて彼らの心を造り、
そのすべてのわざに心をとめられる。
16王はその軍勢の多きによって救を得ない。
勇士はその力の大いなるによって助けを得ない。
17馬は勝利に頼みとならない。
その大いなる力も人を助けることはできない。
18見よ、主の目は主を恐れる者の上にあり、
そのいつくしみを望む者の上にある。
19これは主が彼らの魂を死から救い、
ききんの時にも生きながらえさせるためである。
20われらの魂は主を待ち望む。
主はわれらの助け、われらの盾である。
21われらは主の聖なるみ名に信頼するがゆえに、
われらの心は主にあって喜ぶ。
22主よ、われらが待ち望むように、
あなたのいつくしみをわれらの上にたれてください。
第三四篇
1わたしは常に主をほめまつる。
そのさんびはわたしの口に絶えない。
2わが魂は主によって誇る。
苦しむ者はこれを聞いて喜ぶであろう。
3わたしと共に主をあがめよ、
われらは共にみ名をほめたたえよう。
4わたしが主に求めたとき、主はわたしに答え、
すべての恐れからわたしを助け出された。
5主を仰ぎ見て、光を得よ、
そうすれば、あなたがたは、
恥じて顔を赤くすることはない。
6この苦しむ者が呼ばわったとき、主は聞いて、
すべての悩みから救い出された。
7主の使は主を恐れる者のまわりに
陣をしいて彼らを助けられる。
8主の恵みふかきことを味わい知れ、
主に寄り頼む人はさいわいである。
9主の聖徒よ、主を恐れよ、
主を恐れる者には乏しいことがないからである。
10若きししは乏しくなって飢えることがある。
しかし主を求める者は良き物に欠けることはない。
11子らよ、来てわたしに聞け、
わたしは主を恐るべきことをあなたがたに教えよう。
12さいわいを見ようとして、いのちを慕い、
ながらえることを好む人はだれか。
13あなたの舌をおさえて悪を言わせず、
あなたのくちびるをおさえて偽りを言わすな。
14悪を離れて善をおこない、
やわらぎを求めて、これを努めよ。
15主の目は正しい人をかえりみ、
その耳は彼らの叫びに傾く。
16主のみ顔は悪を行う者にむかい、
その記憶を地から断ち滅ぼされる。
17正しい者が助けを叫び求めるとき、主は聞いて、
彼らをそのすべての悩みから助け出される。
18主は心の砕けた者に近く、
たましいの悔いくずおれた者を救われる。
19正しい者には災が多い。
しかし、主はすべてその中から彼を助け出される。
20主は彼の骨をことごとく守られる。
その一つだに折られることはない。
21悪は悪しき者を殺す。
正しい者を憎む者は罪に定められる。
22主はそのしもべらの命をあがなわれる。
主に寄り頼む者はひとりだに
罪に定められることはない。
第三五篇
1主よ、わたしと争う者とあらそい、
わたしと戦う者と戦ってください。
2盾と大盾とを執って、
わたしを助けるために立ちあがってください。
3やりと投げやりとを抜いて、
わたしに追い迫る者に立ちむかい、
「わたしはおまえの救である」と、
わたしに言ってください。
4どうか、わたしの命を求める者を
はずかしめ、いやしめ、
わたしにむかって悪をたくらむ者を退け、
あわてふためかせてください。
5彼らを風の前のもみがらのようにし、
主の使に彼らを追いやらせてください。
6彼らの道を暗く、なめらかにし、
主の使に彼らを追い行かせてください。
7彼らはゆえなくわたしのために網を隠し、
ゆえなくわたしのために穴を掘ったからです。
8不意に滅びを彼らに臨ませ、
みずから隠した網にとらえられ、
彼らを滅びに陥らせてください。
9そのときわが魂は主によって喜び、
その救をもって楽しむでしょう。
10わたしの骨はことごとく言うでしょう、
「主よ、だれかあなたにたぐうべき者がありましょう。
あなたは弱い者を強い者から助け出し、
弱い者と貧しい者を、
かすめ奪う者から助け出される方です」と。
11悪意のある証人が起って、
わたしの知らない事をわたしに尋ねる。
12彼らは悪をもってわたしの善に報い、
わが魂を寄るべなき者とした。
13しかし、わたしは彼らが病んだとき、
荒布をまとい、断食してわが身を苦しめた。
わたしは胸にこうべをたれて祈った、
14ちょうど、わが友、わが兄弟のために
悲しんだかのように。
わたしは母をいたむ者のように
悲しみうなだれて歩きまわった。
15しかし彼らはわたしのつまずくとき、喜びつどい、
ともに集まってわたしを責めた。
わたしの知らない他国の者は
わたしをののしってやめなかった。
16彼らはますます、けがす言葉をもってあざけり、
わたしにむかって歯をかみならした。
17主よ、いつまであなたはながめておられますか、
わたしを彼らの破壊から、
わたしのいのちを若きししから救い出してください。
18わたしは大いなるつどいの中で、あなたに感謝し、
多くの民の中で、あなたをほめたたえるでしょう。
19偽ってわたしの敵となった者どもの
わたしについて喜ぶことを許さないでください。
ゆえなく、わたしを憎む者どもの
たがいに目くばせすることを許さないでください。
20彼らは平和を語らず、
国のうちに穏やかに住む者にむかって
欺きの言葉をたくらむからです。
21彼らはわたしにむかって口をあけひろげ、
「あはぁ、あはぁ、われらの目はそれを見た」と
言います。
22主よ、あなたはこれを見られました。
もださないでください。
主よ、わたしに遠ざからないでください。
23わが神、わが主よ、
わがさばきのため、わが訴えのために奮いたち、
目をさましてください。
24わが神、主よ、
あなたの義にしたがってわたしをさばき、
わたしの事について彼らを喜ばせないでください。
25彼らにその心のうちで、
「あはぁ、われらの願ったことが達せられた」と
言わせないでください。
また彼らに「われらは彼を滅ぼしつくした」と
言わせないでください。
26わたしの災を喜ぶ者どもを
ともに恥じ、あわてふためかせてください。
わたしにむかって誇りたかぶる者どもに
恥と、はずかしめとを着せてください。
27わたしの義を喜ぶ者をば
喜びの声をあげて喜ばせ、
「そのしもべの幸福を喜ばれる主は大いなるかな」と
つねに言わせてください。
28わたしの舌はひねもすあなたの義と、
あなたの誉とを語るでしょう。
第三六篇
1とがは悪しき者にむかい、その心のうちに言う。
その目の前に神を恐れる恐れはない。
2彼は自分の不義があらわされないため、
また憎まれないために、みずからその目でおもねる。
3その口の言葉はよこしまと欺きである。
彼は知恵を得ることと、善を行う事とをやめた。
4彼はその床の上でよこしまな事をたくらみ、
よからぬ道に身をおいて、悪をきらわない。
5主よ、あなたのいつくしみは天にまで及び、
あなたのまことは雲にまで及ぶ。
6あなたの義は神の山のごとく、
あなたのさばきは大きな淵のようだ。
主よ、あなたは人と獣とを救われる。
7神よ、あなたのいつくしみはいかに尊いことでしょう。
人の子らはあなたの翼のかげに避け所を得、
8あなたの家の豊かなのによって飽き足りる。
あなたはその楽しみの川の水を彼らに飲ませられる。
9いのちの泉はあなたのもとにあり、
われらはあなたの光によって光を見る。
10どうか、あなたを知る者に絶えずいつくしみを施し、
心の直き者に絶えず救を施してください。
11高ぶる者の足がわたしを踏み、
悪しき者の手がわたしを追い出すことを
ゆるさないでください。
12悪を行う者はそこに倒れ、
彼らは打ち伏せられて、起きあがることはできない。
第三七篇
1悪をなす者のゆえに、心を悩ますな。
不義を行う者のゆえに、ねたみを起すな。
2彼らはやがて草のように衰え、
青菜のようにしおれるからである。
3主に信頼して善を行え。
そうすればあなたはこの国に住んで、安きを得る。
4主によって喜びをなせ。
主はあなたの心の願いをかなえられる。
5あなたの道を主にゆだねよ。
主に信頼せよ、主はそれをなしとげ、
6あなたの義を光のように明らかにし、
あなたの正しいことを真昼のように明らかにされる。
7主の前にもだし、耐え忍びて主を待ち望め。
おのが道を歩んで栄える者のゆえに、
悪いはかりごとを遂げる人のゆえに、心を悩ますな。
8怒りをやめ、憤りを捨てよ。
心を悩ますな、これはただ悪を行うに至るのみだ。
9悪を行う者は断ち滅ぼされ、
主を待ち望む者は国を継ぐからである。
10悪しき者はただしばらくで、うせ去る。
あなたは彼の所をつぶさに尋ねても彼はいない。
11しかし柔和な者は国を継ぎ、
豊かな繁栄をたのしむことができる。
12悪しき者は正しい者にむかって
はかりごとをめぐらし、これにむかって歯がみする。
13しかし主は悪しき者を笑われる、
彼の日の来るのを見られるからである。
14悪しき者はつるぎを抜き、弓を張って、
貧しい者と乏しい者とを倒し、
直く歩む者を殺そうとする。
15しかしそのつるぎはおのが胸を刺し、
その弓は折られる。
16正しい人の持ち物の少ないのは、
多くの悪しきの者の豊かなのにまさる。
17悪しき者の腕は折られるが、
主は正しい者を助けささえられるからである。
18主は全き者のもろもろの日を知られる。
彼らの嗣業はとこしえに続く。
19彼らは災の時にも恥をこうむらず、
ききんの日にも飽き足りる。
20しかし、悪しき者は滅び、
主の敵は牧場の栄えの枯れるように消え、
煙のように消えうせる。
21悪しき者は物を借りて返すことをしない。
しかし正しい人は寛大で、施し与える。
22主に祝福された者は国を継ぎ、
主にのろわれた者は断ち滅ぼされる。
23人の歩みは主によって定められる。
主はその行く道を喜ばれる。
24たといその人が倒れても、
全く打ち伏せられることはない、
主がその手を助けささえられるからである。
25わたしは、むかし年若かった時も、年老いた今も、
正しい人が捨てられ、あるいはその子孫が
食物を請いあるくのを見たことがない。
26正しい人は常に寛大で、物を貸し与え、
その子孫は祝福を得る。
27悪をさけて、善を行え。
そうすれば、あなたはとこしえに住むことができる。
28主は公義を愛し、
その聖徒を見捨てられないからである。
正しい者はとこしえに助け守られる。
しかし、悪しき者の子孫は断ち滅ぼされる。
29正しい者は国を継ぎ、
とこしえにその中に住むことができる。
30正しい者の口は知恵を語り、
その舌は公義を述べる。
31その心には神のおきてがあり、
その歩みはすべることがない。
32悪しき者は正しい人をうかがい、
これを殺そうとはかる。
33主は正しい人を悪しき者の手にゆだねられない、
またさばかれる時、これを罪に定められることはない。
34主を待ち望め、その道を守れ。
そうすれば、主はあなたを上げて、国を継がせられる。
あなたは悪しき者の
断ち滅ぼされるのを見るであろう。
35わたしは悪しき者が勝ち誇って、
レバノンの香柏のようにそびえたつのを見た。
36しかし、わたしが通り過ぎると、
見よ、彼はいなかった。
わたしは彼を尋ねたけれども見つからなかった。
37全き人に目をそそぎ、直き人を見よ。
おだやかな人には子孫がある。
38しかし罪を犯す者どもは共に滅ぼされ、
悪しき者の子孫は断たれる。
39正しい人の救は主から出る。
主は彼らの悩みの時の避け所である。
40主は彼らを助け、彼らを解き放ち、
彼らを悪しき者どもから解き放って救われる。
彼らは主に寄り頼むからである。
第三八篇
1主よ、あなたの憤りをもってわたしを責めず、
激しい怒りをもってわたしを懲らさないでください。
2あなたの矢がわたしに突き刺さり、
あなたの手がわたしの上にくだりました。
3あなたの怒りによって、
わたしの肉には全きところなく、
わたしの罪によって、
わたしの骨には健やかなところはありません。
4わたしの不義はわたしの頭を越え、
重荷のように重くて負うことができません。
5わたしの愚かによって、
わたしの傷は悪臭を放ち、腐れただれました。
6わたしは折れかがんで、いたくうなだれ、
ひねもす悲しんで歩くのです。
7わたしの腰はことごとく焼け、
わたしの肉には全きところがありません。
8わたしは衰えはて、いたく打ちひしがれ、
わたしの心の激しい騒ぎによってうめき叫びます。
9主よ、わたしのすべての願いはあなたに知られ、
わたしの嘆きはあなたに隠れることはありません。
10わたしの胸は激しく打ち、わたしの力は衰え、
わたしの目の光もまた、わたしを離れ去りました。
11わが友、わがともがらは
わたしの災を見て離れて立ち、
わが親族もまた遠く離れて立っています。
12わたしのいのちを求める者はわなを設け、
わたしをそこなおうとする者は滅ぼすことを語り、
ひねもす欺くことをはかるのです。
13しかしわたしは耳しいのように聞かず、
おしのように口を開きません。
14まことに、わたしは聞かない人のごとく、
議論を口にしない人のようです。
15しかし、主よ、わたしはあなたを待ち望みます。
わが神、主よ、
あなたこそわたしに答えられるのです。
16わたしは祈ります、「わが足のすべるとき、
わたしにむかって高ぶる彼らに
わたしのことによって喜ぶことを
ゆるさないでください」と。
17わたしは倒れるばかりになり、
わたしの苦しみは常にわたしと共にあります。
18わたしは、みずから不義を言いあらわし、
わが罪のために悲しみます。
19ゆえなく、わたしに敵する者は強く、
偽ってわたしを憎む者は多いのです。
20悪をもって善に報いる者は、
わたしがよい事に従うがゆえに、わがあだとなります。
21主よ、わたしを捨てないでください。
わが神よ、わたしに遠ざからないでください。
22主、わが救よ、
すみやかにわたしをお助けください。
第三九篇
1わたしは言った、「舌をもって罪を犯さないために、
わたしの道を慎み、
悪しき者のわたしの前にある間は
わたしの口にくつわをかけよう」と。
2わたしは黙して物言わず、むなしく沈黙を守った。
しかし、わたしの悩みはさらにひどくなり、
3わたしの心はわたしのうちに熱し、
思いつづけるほどに火が燃えたので、
わたしは舌をもって語った。
4「主よ、わが終りと、
わが日の数のどれほどであるかをわたしに知らせ、
わが命のいかにはかないかを知らせてください。
5見よ、あなたはわたしの日をつかのまとされました。
わたしの一生はあなたの前では無にひとしいのです。
まことに、すべての人はその盛んな時でも
息にすぎません。〔セラ
6まことに人は影のように、さまよいます。
まことに彼らはむなしい事のために
騒ぎまわるのです。
彼は積みたくわえるけれども、
だれがそれを収めるかを知りません。
7主よ、今わたしは何を待ち望みましょう。
わたしの望みはあなたにあります。
8わたしをすべてのとがから助け出し、
愚かな者にわたしをあざけらせないでください。
9わたしは黙して口を開きません。
あなたがそれをなされたからです。
10あなたが下された災を
わたしから取り去ってください。
わたしはあなたのみ手に打ち懲らされることにより
滅びるばかりです。
11あなたは罪を責めて人を懲らされるとき、
その慕い喜ぶものを、しみが食うように、
消し滅ぼされるのです。
まことにすべての人は息にすぎません。〔セラ
12主よ、わたしの祈を聞き、
わたしの叫びに耳を傾け、
わたしの涙を見て、もださないでください。
わたしはあなたに身を寄せる旅びと、
わがすべての先祖たちのように寄留者です。
13わたしが去って、うせない前に、
み顔をそむけて、わたしを喜ばせてください」。
第四〇篇
1わたしは耐え忍んで主を待ち望んだ。
主は耳を傾けて、わたしの叫びを聞かれた。
2主はわたしを滅びの穴から、泥の沼から引きあげて、
わたしの足を岩の上におき、
わたしの歩みをたしかにされた。
3主は新しい歌をわたしの口に授け、
われらの神にささげるさんびの歌を
わたしの口に授けられた。
多くの人はこれを見て恐れ、
かつ主に信頼するであろう。
4主をおのが頼みとする人、
高ぶる者にたよらず、
偽りの神に迷う者にたよらない人はさいわいである。
5わが神、主よ、あなたのくすしきみわざと、
われらを思うみおもいとは多くて、
くらべうるものはない。
わたしはこれを語り述べようとしても
多くて数えることはできない。
6あなたはいけにえと供え物とを喜ばれない。
あなたはわたしの耳を開かれた。
あなたは燔祭と罪祭とを求められない。
7その時わたしは言った、「見よ、わたしはまいります。
書の巻に、わたしのためにしるされています。
8わが神よ、わたしはみこころを行うことを喜びます。
あなたのおきてはわたしの心のうちにあります」と。
9わたしは大いなる集会で、
救についての喜びのおとずれを告げ示しました。
見よ、わたしはくちびるを閉じませんでした。
主よ、あなたはこれをご存じです。
10わたしはあなたの救を心のうちに隠しおかず、
あなたのまことと救とを告げ示しました。
わたしはあなたのいつくしみとまこととを
大いなる集会に隠しませんでした。
11主よ、あなたのあわれみをわたしに惜しまず、
あなたのいつくしみとまこととをもって
常にわたしをお守りください。
12数えがたい災がわたしを囲み、
わたしの不義がわたしに追い迫って、
物見ることができないまでになりました。
それはわたしの頭の毛よりも多く、
わたしの心は消えうせるばかりになりました。
13主よ、みこころならばわたしをお救いください。
主よ、すみやかにわたしをお助けください。
14わたしのいのちを奪おうと尋ね求める者どもを
ことごとく恥じあわてさせてください。
わたしのそこなわれることを願う者どもを
うしろに退かせ、恥を負わせてください。
15わたしにむかって「あはぁ、あはぁ」と言う者どもを
自分の恥によって恐れおののかせてください。
16しかし、すべてあなたを尋ね求める者は
あなたによって喜び楽しむように。
あなたの救を愛する者は
常に「主は大いなるかな」ととなえるように。
17わたしは貧しく、かつ乏しい。
しかし主はわたしをかえりみられます。
あなたはわが助け、わが救主です。
わが神よ、ためらわないでください。
第四一篇
1貧しい者をかえりみる人はさいわいである。
主はそのような人を悩みの日に救い出される。
2主は彼を守って、生きながらえさせられる。
彼はこの地にあって、さいわいな者と呼ばれる。
あなたは彼をその敵の欲望にわたされない。
3主は彼をその病の床でささえられる。
あなたは彼の病む時、その病をことごとくいやされる。
4わたしは言った、「主よ、わたしをあわれみ、
わたしをいやしてください。
わたしはあなたにむかって罪を犯しました」と。
5わたしの敵はわたしをそしって言う、
「いつ彼は死に、その名がほろびるであろうか」と。
6そのひとりがわたしを見ようとして来るとき、
彼は偽りを語り、その心によこしまを集め、
外に出てはそれを言いふらす。
7すべてわたしを憎む者は
わたしについて共にささやき、
わたしのために災を思いめぐらす。
8彼らは言う、「彼に一つのたたりがつきまとったから、
倒れ伏して再び起きあがらないであろう」と。
9わたしの信頼した親しい友、
わたしのパンを食べた親しい友さえも
わたしにそむいてくびすをあげた。
10しかし主よ、わたしをあわれみ、
わたしを助け起してください。
そうすればわたしは彼らに報い返すことができます。
11わたしの敵がわたしに打ち勝てないことによって、
あなたがわたしを喜ばれることを
わたしは知ります。
12あなたはわたしの全きによって、
わたしをささえ、とこしえにみ前に置かれます。
13イスラエルの神、主は
とこしえからとこしえまでほむべきかな。
アァメン、アァメン。
第四二篇
1神よ、しかが谷川を慕いあえぐように、
わが魂もあなたを慕いあえぐ。
2わが魂はかわいているように神を慕い、
いける神を慕う。
いつ、わたしは行って神のみ顔を
見ることができるだろうか。
3人々がひねもすわたしにむかって
「おまえの神はどこにいるのか」と言いつづける間は
わたしの涙は昼も夜もわたしの食物であった。
4わたしはかつて祭を守る多くの人と共に
群れをなして行き、
喜びと感謝の歌をもって彼らを神の家に導いた。
今これらの事を思い起して、
わが魂をそそぎ出すのである。
5わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。
何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか。
神を待ち望め。
わたしはなおわが助け、
わが神なる主をほめたたえるであろう。
6わが魂はわたしのうちにうなだれる。
それで、わたしはヨルダンの地から、またヘルモンから、
ミザルの山からあなたを思い起す。
7あなたの大滝の響きによって淵々呼びこたえ、
あなたの波、あなたの大波は
ことごとくわたしの上を越えていった。
8昼には、主はそのいつくしみをほどこし、
夜には、その歌すなわちわがいのちの神にささげる
祈がわたしと共にある。
9わたしはわが岩なる神に言う、
「何ゆえわたしをお忘れになりましたか。
何ゆえわたしは敵のしえたげによって
悲しみ歩くのですか」と。
10わたしのあだは骨も砕けるばかりに
わたしをののしり、
ひねもすわたしにむかって
「おまえの神はどこにいるのか」と言う。
11わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。
何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか。
神を待ち望め。
わたしはなおわが助け、
わが神なる主をほめたたえるであろう。
第四三篇
1神よ、わたしをさばき、
神を恐れない民にむかって、
わたしの訴えをあげつらい、
たばかりをなすよこしまな人から
わたしを助け出してください。
2あなたはわたしの寄り頼む神です。
なぜわたしを捨てられたのですか。
なぜわたしは敵のしえたげによって
悲しみ歩くのですか。
3あなたの光とまこととを送ってわたしを導き、
あなたの聖なる山と、あなたの住まわれる所に
わたしをいたらせてください。
4その時わたしは神の祭壇へ行き、
わたしの大きな喜びである神へ行きます。
神よ、わが神よ、
わたしは琴をもってあなたをほめたたえます。
5わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。
何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか。
神を待ち望め。
わたしはなおわが助け、
わが神なる主をほめたたえるであろう。
第四四篇
1神よ、いにしえ、われらの先祖たちの日に、
あなたがなされたみわざを
彼らがわれらに語ったのを耳で聞きました。
2すなわちあなたはみ手をもって、もろもろの国民を
追い払ってわれらの先祖たちを植え、
またもろもろの民を悩まして、
われらの先祖たちをふえ広がらせられました。
3彼らは自分のつるぎによって国を獲たのでなく、
また自分の腕によって勝利を得たのでもありません。
ただあなたの右の手、あなたの腕、
あなたのみ顔の光によるのでした。
あなたが彼らを恵まれたからです。
4あなたはわが王、わが神、
ヤコブのために勝利を定められる方です。
5われらはあなたによって、あだを押し倒し、
われらに立ちむかう者を、
み名によって踏みにじるのです。
6わたしは自分の弓を頼まず、わたしのつるぎもまた、
わたしを救うことができないからです。
7しかしあなたはわれらをあだから救い、
われらを憎む者をはずかしめられました。
8われらは常に神によって誇り、
とこしえにあなたのみ名に感謝するでしょう。〔セラ
9ところがあなたはわれらを捨てて恥を負わせ、
われらの軍勢と共に出て行かれませんでした。
10あなたがわれらをあだの前から退かせられたので、
われらの敵は心のままにかすめ奪いました。
11あなたはわれらをほふられる羊のようにし、
またもろもろの国民のなかに散らされました。
12あなたはわずかの金であなたの民を売り、
彼らのために高い価を求められませんでした。
13あなたはわれらを隣り人にそしらせ、
われらをめぐる者どもに侮らせ、
あざけらせられました。
14またもろもろの国民のなかにわれらを笑い草とし、
もろもろの民のなかに笑い者とされました。
15わがはずかしめはひねもすわたしの前にあり、
恥はわたしの顔をおおいました。
16これはそしる者と、ののしる者の言葉により、
敵と、恨みを報いる者のゆえによるのです。
17これらの事が皆われらに臨みましたが、
われらはあなたを忘れず、
あなたの契約にそむくことがありませんでした。
18われらの心はたじろがず、
またわれらの歩みはあなたの道を離れませんでした。
19それでもあなたは山犬の住む所でわれらを砕き、
暗やみをもってわれらをおおわれました。
20われらがもしわれらの神の名を忘れ、
ほかの神に手を伸べたことがあったならば、
21神はこれを見あらわされないでしょうか。
神は心の秘密をも知っておられるからです。
22ところがわれらはあなたのためにひねもす殺されて、
ほふられる羊のようにみなされました。
23主よ、起きてください。なぜ眠っておられるのですか。
目をさましてください。
われらをとこしえに捨てないでください。
24なぜあなたはみ顔を隠されるのですか。
なぜわれらの悩みと、しえたげを
お忘れになるのですか。
25まことにわれらの魂はかがんで、ちりに伏し、
われらのからだは土につきました。
26起きて、われらをお助けください。
あなたのいつくしみのゆえに、
われらをあがなってください。
第四五篇
1わたしの心はうるわしい言葉であふれる。
わたしは王についてよんだわたしの詩を語る。
わたしの舌はすみやかに物書く人の筆のようだ。
2あなたは人の子らにまさって麗しく、
気品がそのくちびるに注がれている。
このゆえに神はとこしえにあなたを祝福された。
3ますらおよ、光栄と威厳とをもって、
つるぎを腰に帯びよ。
4真理のため、また正義を守るために
威厳をもって、勝利を得て乗り進め。
あなたの右の手はあなたに恐るべきわざを
教えるであろう。
5あなたの矢は鋭くて、王の敵の胸をつらぬき、
もろもろの民はあなたのもとに倒れる。
6神から賜わったあなたの位は永遠にかぎりなく続き、
あなたの王のつえは公平のつえである。
7あなたは義を愛し、悪を憎む。
このゆえに神、あなたの神は喜びの油を
あなたのともがらにまさって、あなたに注がれた。
8あなたの衣はみな没薬、芦薈、肉桂で、
よいかおりを放っている。
琴の音は象牙の殿から出て、あなたを喜ばせる。
9あなたの愛する女たちのうちには王の娘たちがあり、
王妃はオフルの金を飾って、あなたの右に立つ。
10娘よ、聞け、かえりみて耳を傾けよ。
あなたの民と、あなたの父の家とを忘れよ。
11王はあなたのうるわしさを慕うであろう。
彼はあなたの主であるから、彼を伏しおがめ。
12ツロの民は贈り物をもちきたり、
民のうちの富める者もあなたの好意を請い求める。
13王の娘は殿のうちで栄えをきわめ、
こがねを織り込んだ衣を着飾っている。
14彼女は縫い取りした衣を着て王のもとに導かれ、
その供びとなるおとめらは
彼女に従ってその行列にある。
15彼らは喜びと楽しみとをもって導かれ行き、
王の宮殿にはいる。
16あなたの子らは父祖に代って立ち、
あなたは彼らを全地に君とするであろう。
17わたしはあなたの名をよろず代におぼえさせる。
このゆえにもろもろの民は世々かぎりなく
あなたをほめたたえるであろう。
第四六篇
1神はわれらの避け所また力である。
悩める時のいと近き助けである。
2このゆえに、たとい地は変り、
山は海の真中に移るとも、われらは恐れない。
3たといその水は鳴りとどろき、あわだつとも、
そのさわぎによって山は震え動くとも、
われらは恐れない。〔セラ
4一つの川がある。
その流れは神の都を喜ばせ、
いと高き者の聖なるすまいを喜ばせる。
5神がその中におられるので、都はゆるがない。
神は朝はやく、これを助けられる。
6もろもろの民は騒ぎたち、もろもろの国は揺れ動く、
神がその声を出されると地は溶ける。
7万軍の主はわれらと共におられる、
ヤコブの神はわれらの避け所である。〔セラ
8来て、主のみわざを見よ、
主は驚くべきことを地に行われた。
9主は地のはてまでも戦いをやめさせ、
弓を折り、やりを断ち、戦車を火で焼かれる。
10「静まって、わたしこそ神であることを知れ。
わたしはもろもろの国民のうちにあがめられ、
全地にあがめられる」。
11万軍の主はわれらと共におられる、
ヤコブの神はわれらの避け所である。〔セラ
第四七篇
1もろもろの民よ、手をうち、
喜びの声をあげ、神にむかって叫べ。
2いと高き主は恐るべく、
全地をしろしめす大いなる王だからである。
3主はもろもろの民をわれらに従わせ、
もろもろの国をわれらの足の下に従わせられた。
4主はその愛されたヤコブの誇を
われらの嗣業として、われらのために選ばれた。〔セラ
5神は喜び叫ぶ声と共にのぼり、
主はラッパの声と共にのぼられた。
6神をほめうたえよ、ほめうたえよ、
われらの王をほめうたえよ、ほめうたえよ。
7神は全地の王である。
巧みな歌をもってほめうたえよ。
8神はもろもろの国民を統べ治められる。
神はその聖なるみくらに座せられる。
9もろもろの民の君たちはつどい来て、
アブラハムの神の民となる。
10地のもろもろの盾は神のものである。
神は大いにあがめられる。
第四八篇
1主は大いなる神であって、
われらの神の都、その聖なる山で、
大いにほめたたえらるべき方である。
2シオンの山は北の端が高くて、うるわしく、
全地の喜びであり、大いなる王の都である。
3そのもろもろの殿のうちに神はみずからを
高きやぐらとして現された。
4見よ、王らは相会して共に進んできたが、
5彼らは都を見るや驚き、
あわてふためき、急ぎ逃げ去った。
6おののきは彼らに臨み、
その苦しみは産みの苦しみをする女のようであった。
7あなたは東風を起してタルシシの舟を破られた。
8さきにわれらが聞いたように、
今われらは万軍の主の都、
われらの神の都でこれを見ることができた。
神はとこしえにこの都を堅くされる。〔セラ
9神よ、われらはあなたの宮のうちで
あなたのいつくしみを思いました。
10神よ、あなたの誉は、あなたのみ名のように、
地のはてにまで及びます。
あなたの右の手は勝利で満ちています。
11あなたのさばきのゆえに、
シオンの山を喜ばせ、ユダの娘を楽しませてください。
12シオンのまわりを歩き、あまねくめぐって、
そのやぐらを数え、
13その城壁に心をとめ、そのもろもろの殿をしらべよ。
これはあなたがたが後の代に語り伝えるためである。
14これこそ神であり、
世々かぎりなくわれらの神であって、
とこしえにわれらを導かれるであろう。
第四九篇
1もろもろの民よ、これを聞け、
すべて世に住む者よ、耳を傾けよ。
2低きも高きも、富めるも貧しきも、共に耳を傾けよ。
3わが口は知恵を語り、わが心は知識を思う。
4わたしは耳をたとえに傾け、
琴を鳴らして、わたしのなぞを解き明かそう。
5わたしをしえたげる者の不義が
わたしを取り囲む悩みの日に、
どうして恐れなければならないのか。
6彼らはおのが富をたのみ、
そのたからの多いのを誇る人々である。
7まことに人はだれも自分をあがなうことはできない。
そのいのちの価を神に払うことはできない。
9とこしえに生きながらえて、墓を見ないために
そのいのちをあがなうには、あまりに価高くて、
それを満足に払うことができないからである。
10まことに賢い人も死に、
愚かな者も、獣のような者も、ひとしく滅んで、
その富を他人に残すことは人の見るところである。
11たとい彼らはその地を自分の名をもって呼んでも、
墓こそ彼らのとこしえのすまい、
世々彼らのすみかである。
12人は栄華のうちに長くとどまることはできない、
滅びうせる獣にひとしい。
13これぞ自分をたのむ愚かな者どもの成りゆき、
自分の分け前を喜ぶ者どもの果である。〔セラ
14彼らは陰府に定められた羊のように
死が彼らを牧するであろう。
彼らはまっすぐに墓に下り、そのかたちは消えうせ、
陰府が彼らのすまいとなるであろう。
15しかし神はわたしを受けられるゆえ、
わたしの魂を陰府の力からあがなわれる。〔セラ
16人が富を得るときも、
その家の栄えが増し加わるときも、恐れてはならない。
17彼が死ぬときは何ひとつ携え行くことができず、
その栄えも彼に従って下って行くことは
ないからである。
18たとい彼が生きながらえる間、自分を幸福と思っても、
またみずから幸な時に、人々から称賛されても、
19彼はついにおのれの先祖の仲間に連なる。
彼らは絶えて光を見ることがない。
20人は栄華のうちに長くとどまることはできない。
滅びうせる獣にひとしい。
第五〇篇
1全能者なる神、主は詔して、
日の出るところから日の入るところまで
あまねく地に住む者を召し集められる。
2神は麗しさのきわみであるシオンから光を放たれる。
3われらの神は来て、もだされない。
み前には焼きつくす火があり、
そのまわりには、はげしい暴風がある。
4神はその民をさばくために、
上なる天および地に呼ばわれる、
5「いけにえをもってわたしと契約を結んだ
わが聖徒をわたしのもとに集めよ」と。
6天は神の義をあらわす、
神はみずから、さばきぬしだからである。〔セラ
7「わが民よ、聞け、わたしは言う。
イスラエルよ、わたしはあなたにむかって
あかしをなす。
わたしは神、あなたの神である。
8わたしがあなたを責めるのは、
あなたのいけにえのゆえではない。
あなたの燔祭はいつもわたしの前にある。
9わたしはあなたの家から雄牛を取らない。
またあなたのおりから雄やぎを取らない。
10林のすべての獣はわたしのもの、
丘の上の千々の家畜もわたしのものである。
11わたしは空の鳥をことごとく知っている。
野に動くすべてのものはわたしのものである。
12たといわたしは飢えても、あなたに告げない、
世界とその中に満ちるものとは
わたしのものだからである。
13わたしは雄牛の肉を食べ、
雄やぎの血を飲むだろうか。
14感謝のいけにえを神にささげよ。
あなたの誓いをいと高き者に果せ。
15悩みの日にわたしを呼べ、わたしはあなたを助け、
あなたはわたしをあがめるであろう」。
16しかし神は悪しき者に言われる、
「あなたはなんの権利があってわたしの定めを述べ、
わたしの契約を口にするのか。
17あなたは教を憎み、わたしの言葉を捨て去った。
18あなたは盗びとを見ればこれとむつみ、
姦淫を行う者と交わる。
19あなたはその口を悪にわたし、
あなたの舌はたばかりを仕組む。
20あなたは座してその兄弟をそしり、
自分の母の子をののしる。
21あなたがこれらの事をしたのを、わたしが黙っていたので、
あなたはわたしを全く自分とひとしい者と思った。
しかしわたしはあなたを責め、
あなたの目の前にその罪をならべる。
22神を忘れる者よ、このことを思え。
さもないとわたしはあなたをかき裂く。
そのときだれも助ける者はないであろう。
23感謝のいけにえをささげる者はわたしをあがめる。
自分のおこないを慎む者にはわたしは神の救を示す」。
第五一篇
1神よ、あなたのいつくしみによって、
わたしをあわれみ、
あなたの豊かなあわれみによって、
わたしのもろもろのとがをぬぐい去ってください。
2わたしの不義をことごとく洗い去り、
わたしの罪からわたしを清めてください。
3わたしは自分のとがを知っています。
わたしの罪はいつもわたしの前にあります。
4わたしはあなたにむかい、ただあなたに罪を犯し、
あなたの前に悪い事を行いました。
それゆえ、あなたが宣告をお与えになるときは正しく、
あなたが人をさばかれるときは誤りがありません。
5見よ、わたしは不義のなかに生れました。
わたしの母は罪のうちにわたしをみごもりました。
6見よ、あなたは真実を心のうちに求められます。
それゆえ、わたしの隠れた心に知恵を教えてください。
7ヒソプをもって、わたしを清めてください、
わたしは清くなるでしょう。
わたしを洗ってください、
わたしは雪よりも白くなるでしょう。
8わたしに喜びと楽しみとを満たし、
あなたが砕いた骨を喜ばせてください。
9み顔をわたしの罪から隠し、
わたしの不義をことごとくぬぐい去ってください。
10神よ、わたしのために清い心をつくり、
わたしのうちに新しい、正しい霊を与えてください。
11わたしをみ前から捨てないでください。
あなたの聖なる霊をわたしから取らないでください。
12あなたの救の喜びをわたしに返し、
自由の霊をもって、わたしをささえてください。
13そうすればわたしは、とがを犯した者に
あなたの道を教え、
罪びとはあなたに帰ってくるでしょう。
14神よ、わが救の神よ、
血を流した罪からわたしを助け出してください。
わたしの舌は声高らかにあなたの義を歌うでしょう。
15主よ、わたしのくちびるを開いてください。
わたしの口はあなたの誉をあらわすでしょう。
16あなたはいけにえを好まれません。
たといわたしが燔祭をささげても
あなたは喜ばれないでしょう。
17神の受けられるいけにえは砕けた魂です。
神よ、あなたは砕けた悔いた心を
かろしめられません。
18あなたのみこころにしたがってシオンに恵みを施し、
エルサレムの城壁を築きなおしてください。
19その時あなたは義のいけにえと燔祭と、
全き燔祭とを喜ばれるでしょう。
その時あなたの祭壇に雄牛がささげられるでしょう。
第五二篇
1力ある者よ、何ゆえあなたは
神を敬う人に与えた災について誇るのか。
あなたはひねもす人を滅ぼすことをたくらむ。
2虚偽を行う者よ、あなたの舌は鋭いかみそりのようだ。
3あなたは善よりも悪を好み、
まことを語るよりも偽りを語ることを好む。〔セラ
4欺きの舌よ、あなたはすべての滅ぼす言葉を好む。
5しかし神はとこしえにあなたを砕き、
あなたを捕えて、その天幕から引き離し、
生ける者の地から、あなたの根を絶やされる。〔セラ
6正しい者はこれを見て恐れ、彼を笑って言うであろう、
7「神をおのが避け所とせず、その富の豊かなるを頼み、
その宝に寄り頼む人を見よ」と。
8しかし、わたしは神の家にある
緑のオリブの木のようだ。
わたしは世々かぎりなく神のいつくしみを頼む。
9あなたがこの事をなされたので、
わたしはとこしえに、あなたに感謝し、
聖徒の前であなたのみ名をふれ示そう。
これはよいことだからである。
第五三篇
1愚かな者は心のうちに「神はない」と言う。
彼らは腐れはて、憎むべき不義をおこなった。
善を行う者はない。
2神は天から人の子を見おろして、
賢い者、神を尋ね求める者があるかないかを見られた。
3彼らは皆そむき、みなひとしく堕落した。
善を行う者はない、ひとりもない。
4悪を行う者は悟りがないのか。
彼らは物食うようにわが民を食らい、
また神を呼ぶことをしない。
5彼らは恐るべきことのない時に大いに恐れた。
神はよこしまな者の骨を散らされるからである。
神が彼らを捨てられるので、
彼らは恥をこうむるであろう。
6どうか、シオンからイスラエルの救が出るように。
神がその民の繁栄を回復される時、
ヤコブは喜び、イスラエルは楽しむであろう。
第五四篇
1神よ、み名によってわたしを救い、
み力によってわたしをさばいてください。
2神よ、わたしの祈をきき、
わが口の言葉に耳を傾けてください。
3高ぶる者がわたしに逆らって起り、
あらぶる者がわたしのいのちを求めています。
彼らは神をおのが前に置くことをしません。〔セラ
4見よ、神はわが助けぬし、
主はわがいのちを守られるかたです。
5神はわたしのあだに災をもって報いられるでしょう。
あなたのまことをもって彼らを滅ぼしてください。
6わたしは喜んであなたにいけにえをささげます。
主よ、わたしはみ名に感謝します。
これはよい事だからです。
7あなたはすべての悩みからわたしを救い、
わたしの目に敵の敗北を見させられたからです。
第五五篇
1神よ、わたしの祈に耳を傾けてください。
わたしの願いを避けて身を隠さないでください。
2わたしにみこころをとめ、わたしに答えてください。
わたしは悩みによって弱りはて、
3敵の声と、悪しき者のしえたげとによって
気が狂いそうです。
彼らはわたしに悩みを臨ませ、
怒ってわたしを苦しめるからです。
4わたしの心はわがうちにもだえ苦しみ、
死の恐れがわたしの上に落ちました。
5恐れとおののきがわたしに臨み、
はなはだしい恐れがわたしをおおいました。
6わたしは言います、
「どうか、はとのように翼をもちたいものだ。
そうすればわたしは飛び去って安きを得るであろう。
7わたしは遠くのがれ去って、野に宿ろう。〔セラ
8わたしは急ぎ避難して、
はやてとあらしをのがれよう」と。
9主よ、彼らのはかりごとを打ち破ってください。
彼らの舌を混乱させてください。
わたしは町のうちに暴力と争いとを見るからです。
10彼らは昼も夜も町の城壁の上を歩きめぐり、
町のうちには害悪と悩みとがあります。
11また滅ぼす事が町のうちにあり、
しえたげと欺きとはその市場を
離れることがありません。
12わたしをののしる者は敵ではありません。
もしそうであるならば忍ぶことができます。
わたしにむかって高ぶる者はあだではありません。
もしそうであるならば身を隠して
彼を避けることができます。
13しかしそれはあなたです、わたしと同じ者、
わたしの同僚、わたしの親しい友です。
14われらはたがいに楽しく語らい、
つれだって神の宮に上りました。
15どうぞ、死を彼らに臨ませ、
生きたままで陰府に下らせ、
恐れをもって彼らを墓に去らせてください。
16しかしわたしが神に呼ばわれば、
主はわたしを救われます。
17夕べに、あしたに、真昼にわたしが嘆きうめけば、
主はわたしの声を聞かれます。
18たといわたしを攻める者が多くとも、
主はわたしがたたかう戦いから
わたしを安らかに救い出されます。
19昔からみくらに座しておられる神は
聞いて彼らを悩まされるでしょう。〔セラ
彼らはおきてを守らず、神を恐れないからです。
20わたしの友はその親しき者に手を伸ばして、
その契約を破った。
21その口は牛酪よりもなめらかだが、
その心には戦いがある。
その言葉は油よりもやわらかだが、
それは抜いたつるぎである。
22あなたの荷を主にゆだねよ。
主はあなたをささえられる。
主は正しい人の動かされるのを決してゆるされない。
23しかし主よ、あなたは彼らを
滅びの穴に投げ入れられます。
血を流す者と欺く者とは
おのが日の半ばも生きながらえることはできません。
しかしわたしはあなたに寄り頼みます。
第五六篇
1神よ、どうかわたしをあわれんでください。
人々がわたしを踏みつけ、
あだする人々がひねもすわたしをしえたげます。
2わたしの敵はひねもすわたしを踏みつけ、
誇りたかぶって、わたしと戦う者が多いのです。
3わたしが恐れるときは、あなたに寄り頼みます。
4わたしは神によって、そのみ言葉をほめたたえます。
わたしは神に信頼するゆえ、恐れることはありません。
肉なる者はわたしに何をなし得ましょうか。
5彼らはひねもすわたしの事を妨害し、
その思いはことごとくわたしにわざわいします。
6彼らは共に集まって身をひそめ、
わたしの歩みに目をとめ、
わたしのいのちをうかがい求めます。
7神よ、彼らにその罪を報い、
憤りをもってもろもろの民を倒してください。
8あなたはわたしのさすらいを数えられました。
わたしの涙をあなたの皮袋にたくわえてください。
これは皆あなたの書に
しるされているではありませんか。
9わたしが呼び求める日に、わたしの敵は退きます。
これによって神がわたしを守られることを知ります。
10わたしは神によってそのみ言葉をほめたたえ、
主によってそのみ言葉をほめたたえます。
11わたしは神に信頼するゆえ、恐れることはありません。
人はわたしに何をなし得ましょうか。
12神よ、わたしがあなたに立てた誓いは
果さなければなりません。
わたしは感謝の供え物をあなたにささげます。
13あなたはわたしの魂を死から救い、
わたしの足を守って倒れることなく、
いのちの光のうちで神の前に
わたしを歩ませられたからです。
第五七篇
1神よ、わたしをあわれんでください。
わたしをあわれんでください。
わたしの魂はあなたに寄り頼みます。
滅びのあらしの過ぎ去るまでは
あなたの翼の陰をわたしの避け所とします。
2わたしはいと高き神に呼ばわります。
わたしのためにすべての事をなしとげられる神に
呼ばわります。
3神は天から送ってわたしを救い、
わたしを踏みつける者をはずかしめられます。〔セラ
すなわち神はそのいつくしみとまこととを
送られるのです。
4わたしは人の子らをむさぼり食らうししの中に
横たわっています。
彼らの歯はほこ、また矢、彼らの舌は鋭いつるぎです。
5神よ、みずからを天よりも高くし、
みさかえを全地の上にあげてください。
6彼らはわたしの足を捕えようと網を設けました。
わたしの魂はうなだれました。
彼らはわたしの前に穴を掘りました。
しかし彼らはみずからその中に陥ったのです。〔セラ
7神よ、わたしの心は定まりました。
わたしの心は定まりました。
わたしは歌い、かつほめたたえます。
8わが魂よ、さめよ。立琴よ、琴よ、さめよ。
わたしはしののめを呼びさまします。
9主よ、わたしはもろもろの民の中であなたに感謝し、
もろもろの国の中であなたをほめたたえます。
10あなたのいつくしみは大きく、天にまで及び、
あなたのまことは雲にまで及びます。
11神よ、みずからを天よりも高くし、
みさかえを全地の上にあげてください。
第五八篇
1あなたがた力ある者よ、
まことにあなたがたは正しい事を語り、
公平をもって人の子らをさばくのか。
2否、あなたがたは心のうちに悪い事をたくらみ、
その手は地に暴虐を行う。
3悪しき者は胎を出た時から、そむき去り、
生れ出た時から、あやまちを犯し、偽りを語る。
5彼らはへびの毒のような毒をもち、
魔法使または巧みに呪文を唱える者の声を聞かない
耳をふさぐ耳しいのまむしのようである。
6神よ、彼らの口の歯を折ってください。
主よ、若いししのきばを抜き砕いてください。
7彼らを流れゆく水のように消え去らせ、
踏み倒される若草のように衰えさせてください。
8また溶けてどろどろになるかたつむりのように、
時ならず生れた日を見ぬ子のようにしてください。
9あなたがたの釜がまだいばらの熱を感じない前に
青いのも、燃えているのも共につむじ風に
吹き払われるように彼らを吹き払ってください。
10正しい者は復讐を見て喜び、
その足を悪しき者の血で洗うであろう。
11そして人々は言うであろう、
「まことに正しい者には報いがある。
まことに地にさばきを行われる神がある」と。
第五九篇
1わが神よ、どうかわたしをわが敵から助け出し、
わたしに逆らって起りたつ者からお守りください。
2悪を行う者からわたしを助け出し、
血を流す人からわたしをお救いください。
3見よ、彼らはひそみかくれて、わたしの命をうかがい、
力ある人々が共に集まってわたしを攻めます。
主よ、わたしにとがも罪もなく、
4わたしにあやまちもないのに、
彼らは走りまわって備えをします。
わたしを助けるために目をさまして、ごらんください。
5万軍の神、主よ、あなたはイスラエルの神です。
目をさまして、もろもろの国民を罰し、
悪をたくらむ者どもに、
あわれみを施さないでください。〔セラ
6彼らは夕ごとに帰ってきて、
犬のようにほえて町をあさりまわる。
7見よ、彼らはその口をもってほえ叫び、
そのくちびるをもってうなり、
「だれが聞くものか」と言う。
8しかし、主よ、あなたは彼らを笑い、
もろもろの国民をあざけり笑われる。
9わが力よ、わたしはあなたにむかってほめ歌います。
神よ、あなたはわたしの高きやぐらです。
10わが神はそのいつくしみをもって
わたしを迎えられる。
わが神はわたしに敵の敗北を見させられる。
11どうぞ、わが民の忘れることのないために、
彼らを殺さないでください。
主、われらの盾よ、み力をもって彼らをよろめかせ、
彼らを倒れさせないでください。
12彼らの口の罪、そのくちびるの言葉のために
彼らをその高ぶりに捕われさせてください。
彼らが語るのろいと偽りのために
13憤りをもって彼らを滅ぼし、
もはやながらえることのないまでに、
彼らを滅ぼしてください。
そうすれば地のはてまで、
人々は神がヤコブを治められることを
知るに至るでしょう。〔セラ
14彼らは夕ごとに帰ってきて、
犬のようにほえて町をあさりまわる。
15彼らは食い物のためにあるきまわり、
飽くことを得なければ怒りうなる。
16しかし、わたしはあなたのみ力をうたい、
朝には声をあげてみいつくしみを歌います。
あなたはわたしの悩みの日にわが高きやぐらとなり、
わたしの避け所となられたからです。
17わが力よ、わたしはあなたにむかってほめうたいます。
神よ、あなたはわが高きやぐら、
わたしにいつくしみを賜わる神であられるからです。
第六〇篇
1神よ、あなたはわれらを捨て、
われらを打ち破られました。
あなたは憤られました。
再びわれらをかえしてください。
2あなたは国を震わせ、これを裂かれました。
その破れをいやしてください。
国が揺れ動くのです。
3あなたはその民に耐えがたい事をさせ、
人をよろめかす酒をわれらに飲ませられました。
4あなたは弓の前からのがれた者を再び集めようと
あなたを恐れる者のために
一つの旗を立てられました。〔セラ
5あなたの愛される者が助けを得るために、
右の手をもって勝利を与え、
われらに答えてください。
6神はその聖所で言われた、
「わたしは大いなる喜びをもってシケムを分かち、
スコテの谷を分かち与えよう。
7ギレアデはわたしのもの、
マナセもわたしのものである。
エフライムはわたしのかぶと、
ユダはわたしのつえである。
8モアブはわたしの足だらい、
エドムにはわたしのくつを投げる。
ペリシテについては、かちどきをあげる」と。
9だれがわたしを堅固な町に至らせるでしょうか。
だれがわたしをエドムに導くでしょうか。
10神よ、あなたはわれらを捨てられたではありませんか。
神よ、あなたはわれらの軍勢と共に出て行かれません。
11われらに助けを与えて、あだにむかわせてください。
人の助けはむなしいのです。
12われらは神によって勇ましく働きます。
われらのあだを踏みにじる者は神だからです。
第六一篇
1神よ、わたしの叫びを聞いてください。
わたしの祈に耳を傾けてください。
2わが心のくずおれるとき、
わたしは地のはてからあなたに呼ばわります。
わたしを導いて
わたしの及びがたいほどの高い岩に
のぼらせてください。
3あなたはわたしの避け所、
敵に対する堅固なやぐらです。
4わたしをとこしえにあなたの幕屋に住まわせ、
あなたの翼の陰にのがれさせてください。〔セラ
5神よ、あなたはわたしのもろもろの誓いを聞き、
み名を恐れる者に賜わる嗣業を
わたしに与えられました。
6どうか王のいのちを延ばし、
そのよわいをよろずよに至らせてください。
7彼をとこしえに神の前に王たらしめ、
いつくしみとまこととに命じて
彼を守らせてください。
8そうすればわたしはとこしえにみ名をほめうたい、
日ごとにわたしのもろもろの誓いを果すでしょう。
第六二篇
1わが魂はもだしてただ神をまつ。
わが救は神から来る。
2神こそわが岩、わが救、
わが高きやぐらである。
わたしはいたく動かされることはない。
3あなたがたは、いつまで人に押し迫るのか。
あなたがたは皆、傾いた石がきのように、
揺り動くまがきのように人を倒そうとするのか。
4彼らは人を尊い地位から落そうとのみはかり、
偽りを喜び、その口では祝福し、
心のうちではのろうのである。〔セラ
5わが魂はもだしてただ神をまつ。
わが望みは神から来るからである。
6神こそわが岩、わが救、
わが高きやぐらである。
わたしは動かされることはない。
7わが救とわが誉とは神にある。
神はわが力の岩、わが避け所である。
8民よ、いかなる時にも神に信頼せよ。
そのみ前にあなたがたの心を注ぎ出せ。
神はわれらの避け所である。〔セラ
9低い人はむなしく、高い人は偽りである。
彼らをはかりにおけば、彼らは共に息よりも軽い。
10あなたがたは、しえたげにたよってはならない。
かすめ奪うことに、むなしい望みをおいてはならない。
富の増し加わるとき、これに心をかけてはならない。
11神はひとたび言われた、
わたしはふたたびこれを聞いた、
力は神に属することを。
12主よ、いつくしみもまたあなたに属することを。
あなたは人おのおののわざにしたがって
報いられるからである。
第六三篇
1神よ、あなたはわたしの神、
わたしは切にあなたをたずね求め、
わが魂はあなたをかわき望む。
水なき、かわき衰えた地にあるように、
わが肉体はあなたを慕いこがれる。
2それでわたしはあなたの力と栄えとを見ようと、
聖所にあって目をあなたに注いだ。
3あなたのいつくしみは、いのちにもまさるゆえ、
わがくちびるはあなたをほめたたえる。
4わたしは生きながらえる間、あなたをほめ、
手をあげて、み名を呼びまつる。
6わたしが床の上であなたを思いだし、
夜のふけるままにあなたを深く思うとき、
わたしの魂は髄とあぶらとをもって
もてなされるように飽き足り、
わたしの口は喜びのくちびるをもって
あなたをほめたたえる。
7あなたはわたしの助けとなられたゆえ、
わたしはあなたの翼の陰で喜び歌う。
8わたしの魂はあなたにすがりつき、
あなたの右の手はわたしをささえられる。
9しかしわたしの魂を滅ぼそうとたずね求める者は
地の深き所に行き、
10つるぎの力にわたされ、山犬のえじきとなる。
11しかし王は神にあって喜び、
神によって誓う者はみな誇ることができる。
偽りを言う者の口はふさがれるからである。
第六四篇
1神よ、わたしが嘆き訴えるとき、
わたしの声をお聞きください。
敵の恐れからわたしの命をお守りください。
2わたしを隠して、悪を行う者の
ひそかなはかりごとから免れさせ、
不義を行う者のはかりごとから免れさせてください。
3彼らはその舌をつるぎのようにとぎ、
苦い言葉を矢のように放ち、
4隠れた所から罪なき者を射ようとする。
にわかに彼を射て恐れることがない。
5彼らは悪い企てを固くたもち、
共にはかり、ひそかにわなをかけて言う、
「だれがわれらを見破ることができるか。
6だれがわれらの罪をたずね出すことができるか。
われらは巧みに、
はかりごとを考えめぐらしたのだ」と。
人の内なる思いと心とは深い。
7しかし神は矢をもって彼らを射られる。
彼らはにわかに傷をうけるであろう。
8神は彼らの舌のゆえに彼らを滅ぼされる。
彼らを見る者は皆そのこうべを振るであろう。
9その時すべての人は恐れ、神のみわざを宣べ伝え、
そのなされた事を考えるであろう。
10正しい人は主にあって喜び、かつ主に寄り頼む。
すべて心の直き者は誇ることができる。
第六五篇
1神よ、シオンにて、あなたをほめたたえることは
ふさわしいことである。
人はあなたに誓いを果すであろう。
3祈を聞かれる方よ、
すべての肉なる者は罪のゆえにあなたに来る。
われらのとががわれらに打ち勝つとき、
あなたはこれをゆるされる。
4あなたに選ばれ、あなたに近づけられて、
あなたの大庭に住む人はさいわいである。
われらはあなたの家、あなたの聖なる宮の
恵みによって飽くことができる。
5われらの救の神よ、
地のもろもろのはてと、遠き海の望みであるあなたは
恐るべきわざにより、
救をもってわれらに答えられる。
6あなたは大能を帯び、
そのみ力によって、もろもろの山を堅く立たせられる。
7あなたは海の響き、大波の響き、
もろもろの民の騒ぎを静められる。
8それゆえ、地のはてに住む人々も、
あなたのもろもろのしるしを見て恐れる。
あなたは朝と夕の出る所をして
喜び歌わせられる。
9あなたは地に臨んで、これに水をそそぎ、
これを大いに豊かにされる。
神の川は水で満ちている。
あなたはそのように備えして
彼らに穀物を与えられる。
10あなたはその田みぞを豊かにうるおし、
そのうねを整え、夕立ちをもってそれを柔らかにし、
そのもえ出るのを祝福し、
11またその恵みをもって年の冠とされる。
あなたの道にはあぶらがしたたる。
12野の牧場はしたたり、小山は喜びをまとい、
13牧場は羊の群れを着、
もろもろの谷は穀物をもっておおわれ、
彼らは喜び呼ばわって共に歌う。
第六六篇
1全地よ、神にむかって喜び呼ばわれ。
2そのみ名の栄光を歌え。
栄えあるさんびをささげよ。
3神に告げよ。
「あなたのもろもろのみわざは恐るべきかな。
大いなるみ力によって、あなたの敵はみ前に屈服し、
4全地はあなたを拝み、あなたをほめうたい、
み名をほめうたうであろう」と。〔セラ
5来て、神のみわざを見よ。
人の子らにむかってなされることは恐るべきかな。
6神は海を変えて、かわいた地とされた。
人々は徒歩で川を渡った。
その所でわれらは神を喜んだ。
7神は大能をもって、とこしえに統べ治め、
その目はもろもろの国民を監視される。
そむく者はみずからを高くしてはならない。〔セラ
8もろもろの民よ、われらの神をほめよ。
神をほめたたえる声を聞えさせよ。
9神はわれらを生きながらえさせ、
われらの足のすべるのをゆるされない。
10神よ、あなたはわれらを試み、
しろがねを練るように、われらを練られた。
11あなたはわれらを網にひきいれ、
われらの腰に重き荷を置き、
12人々にわれらの頭の上を乗り越えさせられた。
われらは火の中、水の中を通った。
しかしあなたはわれらを広い所に導き出された。
13わたしは燔祭をもってあなたの家に行き、
わたしの誓いをあなたに果します。
14これはわたしが悩みにあったとき、
わたしのくちびるの言い出したもの、
わたしの口が約束したものです。
15わたしは肥えたものの燔祭を
雄羊のいけにえの煙と共にあなたにささげ、
雄牛と雄やぎとをささげます。〔セラ
16すべて神を恐れる者よ、来て聞け。
神がわたしのためになされたことを告げよう。
17わたしは声をあげて神に呼ばわり、
わが舌をもって神をあがめた。
18もしわたしが心に不義をいだいていたならば、
主はお聞きにならないであろう。
19しかし、まことに神はお聞きになり、
わが祈の声にみこころをとめられた。
20神はほむべきかな。
神はわが祈をしりぞけず、
そのいつくしみをわたしから取り去られなかった。
第六七篇
1どうか、神がわれらをあわれみ、われらを祝福し、
そのみ顔をわれらの上に照されるように。〔セラ
2これはあなたの道があまねく地に知られ、
あなたの救の力がもろもろの国民のうちに
知られるためです。
3神よ、民らにあなたをほめたたえさせ、
もろもろの民にあなたをほめたたえさせてください。
4もろもろの国民を楽しませ、
また喜び歌わせてください。
あなたは公平をもってもろもろの民をさばき、
地の上なるもろもろの国民を導かれるからです。〔セラ
5神よ、民らにあなたをほめたたえさせ、
もろもろの民にあなたをほめたたえさせてください。
6地はその産物を出しました。
神、われらの神はわれらを祝福されました。
7神はわれらを祝福されました。
地のもろもろのはてにことごとく
神を恐れさせてください。
第六八篇
1神よ、立ちあがって、その敵を散らし、
神を憎む者をみ前から逃げ去らせてください。
2煙の追いやられるように彼らを追いやり、
ろうの火の前に溶けるように
悪しき者を神の前に滅ぼしてください。
3しかし正しい者を喜ばせ、
神の前に喜び踊らせ、喜び楽しませてください。
4神にむかって歌え、そのみ名をほめうたえ。
雲に乗られる者にむかって歌声をあげよ。
その名は主、そのみ前に喜び踊れ。
5その聖なるすまいにおられる神は
みなしごの父、やもめの保護者である。
6神は寄るべなき者に住むべき家を与え、
めしゅうどを解いて幸福に導かれる。
しかしそむく者はかわいた地に住む。
7神よ、あなたが民に先だち出て、
荒野を進み行かれたとき、〔セラ
8シナイの主なる神の前に、
イスラエルの神なる神の前に、
地は震い、天は雨を降らせました。
9神よ、あなたは豊かな雨を降らせて、
疲れ衰えたあなたの嗣業の地を回復され、
10あなたの群れは、そのうちにすまいを得ました。
神よ、あなたは恵みをもって
貧しい者のために備えられました。
11主は命令を下される。
おとずれを携えた女たちの大いなる群れは言う、
12「もろもろの軍勢の王たちは
逃げ去り、逃げ去った」と。
家にとどまる女たちは獲物を分ける、
13たとい彼らは羊のおりの中にとどまるとも。
はとの翼は、しろがねをもっておおわれ、
その羽はきらめくこがねをもっておおわれる。
14全能者がかしこで王たちを散らされたとき、
ザルモンに雪が降った。
15神の山、バシャンの山、
峰かさなる山、バシャンの山よ。
16峰かさなるもろもろの山よ、
何ゆえ神がすまいにと望まれた山をねたみ見るのか。
まことに主はとこしえにそこに住まわれる。
17主は神のいくさ車幾千万をもって、
シナイから聖所に来られた。
18あなたはとりこを率い、
人々のうちから、またそむく者のうちから
贈り物をうけて、高い山に登られた。
主なる神がそこに住まわれるためである。
19日々にわれらの荷を負われる主はほむべきかな。
神はわれらの救である。〔セラ
20われらの神は救の神である。
死からのがれ得るのは主なる神による。
21神はその敵のこうべを打ち砕き、
おのがとがの中に歩む者の
毛深い頭のいただきを打ち砕かれる。
22主は言われた、
「わたしはバシャンから彼らを携え帰り、
海の深い所から彼らを携え帰る。
23あなたはその足を彼らの血に浸し、
あなたの犬の舌はその分け前を
敵から得るであろう」と。
24神よ、人々はあなたのこうごうしい行列を見た。
わが神、わが王の、聖所に進み行かれるのを見た。
25歌う者は前に行き、琴をひく者はあとになり、
おとめらはその間にあって手鼓を打って言う、
26「大いなる集会で神をほめよ。
イスラエルの源から出た者よ、主をほめまつれ」と。
27そこに彼らを導く年若いベニヤミンがおり、
その群れの中にユダの君たちがおり、
ゼブルンの君たち、ナフタリの君たちがいる。
28神よ、あなたの大能を奮い起してください。
われらのために事をなされた神よ、
あなたの力をお示しください。
29エルサレムにあるあなたの宮のために、
王たちはあなたに贈り物をささげるでしょう。
30葦の中に住む獣、
もろもろの民の子牛を率いる雄牛の群れを
いましめてください。
みつぎ物をむさぼる者たちを足の下に踏みつけ、
戦いを好むもろもろの民を散らしてください。
31青銅をエジプトから持ちきたらせ、
エチオピヤには急いでその手を
神に伸べさせてください。
32地のもろもろの国よ、神にむかって歌え、
主をほめうたえ。〔セラ
33いにしえからの天の天に乗られる
主にむかってほめうたえ。
見よ、主はみ声を出し、力あるみ声を出される。
34力を神に帰せよ。その威光はイスラエルの上にあり、
その力は雲の中にある。
35神はその聖所で恐るべく、
イスラエルの神はその民に力と勢いとを与えられる。
神はほむべきかな。
第六九篇
1神よ、わたしをお救いください。
大水が流れ来て、わたしの首にまで達しました。
2わたしは足がかりもない深い泥の中に沈みました。
わたしは深い水に陥り、
大水がわたしの上を流れ過ぎました。
3わたしは叫びによって疲れ、わたしののどはかわき、
わたしの目は神を待ちわびて衰えました。
4ゆえなく、わたしを憎む者は
わたしの頭の毛よりも多く、
偽ってわたしの敵となり、
わたしを滅ぼそうとする者は強いのです。
わたしは盗まなかった物をも
償わなければならないのですか。
5神よ、あなたはわたしの愚かなことを
知っておられます。
わたしのもろもろのとがは
あなたに隠れることはありません。
6万軍の神、主よ、あなたを待ち望む者が
わたしの事によって、
はずかしめられることのないようにしてください。
イスラエルの神よ、あなたを求める者が
わたしの事によって、
恥を負わせられることのないようにしてください。
7わたしはあなたのためにそしりを負い、
恥がわたしの顔をおおったのです。
8わたしはわが兄弟には、知らぬ者となり、
わが母の子らには、のけ者となりました。
9あなたの家を思う熱心がわたしを食いつくし、
あなたをそしる者のそしりが
わたしに及んだからです。
10わたしが断食をもってわたしの魂を悩ませば、
かえってそれによってそしりをうけました。
11わたしが荒布を衣とすれば、
かえって彼らのことわざとなりました。
12わたしは門に座する者の話題となり、
酔いどれの歌となりました。
13しかし主よ、わたしはあなたに祈ります。
神よ、恵みの時に、
あなたのいつくしみの豊かなるにより、
わたしにお答えください。
14あなたのまことの救により、
わたしを泥の中に沈まぬよう助け出してください。
わたしを憎む者から、
また深い水からわたしを助け出してください。
15大水がわたしの上を流れ過ぎることなく、
淵がわたしをのむことなく、
穴がその口をわたしの上に閉じることのないように
してください。
16主よ、あなたのいつくしみの深きにより、
わたしにお答えください。
あなたのあわれみの豊かなるにより、
わたしを顧みてください。
17あなたの顔をしもべに隠さないでください。
わたしは悩んでいるのです。
すみやかにわたしにお答えください。
18わたしに近く寄って、わたしをあがない、
わが敵のゆえにわたしをお救いください。
19あなたはわたしの受けるそしりと、
恥と、はずかしめとを知っておられます。
わたしのあだは皆あなたの前にあります。
20そしりがわたしの心を砕いたので、
わたしは望みを失いました。
わたしは同情する者を求めたけれども、ひとりもなく、
慰める者を求めたけれども、ひとりも見ませんでした。
21彼らはわたしの食物に毒を入れ、
わたしのかわいた時に酢を飲ませました。
22彼らの前の食卓を網とし、
彼らが犠牲をささげる祭を、わなとしてください。
23彼らの目を暗くして見えなくし、
彼らの腰を常に震わせ、
24あなたの憤りを彼らの上にそそぎ、
あなたの激しい怒りを彼らに追いつかせてください。
25彼らの宿営を荒し、
ひとりもその天幕に住まわせないでください。
26彼らはあなたが撃たれた者を迫害し、
あなたが傷つけられた者をさらに苦しめるからです。
27彼らに、罰に罰を加え、
あなたの赦免にあずからせないでください。
28彼らをいのちの書から消し去って、
義人のうちに記録されることのないように
してください。
29しかしわたしは悩み苦しんでいます。
神よ、あなたの救が
わたしを高い所に置かれますように。
30わたしは歌をもって神の名をほめたたえ、
感謝をもって神をあがめます。
31これは雄牛または角とひずめのある雄牛にまさって
主を喜ばせるでしょう。
32へりくだる者は、これを見て喜べ。
神を求める者よ、あなたがたの心を生きかえらせよ。
33主は乏しい者に聞き、
その捕われ人をかろしめられないからである。
34天と地は主をほめたたえ、
海とその中に動くあらゆるものは主をほめたたえよ。
35神はシオンを救い、
ユダの町々を建て直されるからである。
そのしもべらはそこに住んでこれを所有し、
36そのしもべらの子孫はこれを継ぎ、
み名を愛する者はその中に住むであろう。
第七〇篇
1神よ、みこころならばわたしをお救いください。
主よ、すみやかにわたしをお助けください。
2わたしのいのちをたずね求める者どもを
恥じあわてさせてください。
わたしのそこなわれることを願う者どもを
うしろに退かせ、恥を負わせてください。
3「あはぁ、あはぁ」と言う者どもを
自分の恥によって恐れおののかせてください。
4すべてあなたを尋ね求める者は
あなたによって喜び楽しむように。
あなたの救を愛する者は
つねに「神は大いなるかな」ととなえるように。
5しかし、わたしは貧しく、かつ乏しい。
神よ、急いでわたしに来てください。
あなたはわが助け、わが救主です。
主よ、ためらわないでください。
第七一篇
1主よ、わたしはあなたに寄り頼む。
とこしえにわたしをはずかしめないでください。
2あなたの義をもってわたしを助け、
わたしを救い出してください。
あなたの耳を傾けて、わたしをお救いください。
3わたしのためにのがれの岩となり、
わたしを救う堅固な城となってください。
あなたはわが岩、わが城だからです。
4わが神よ、悪しき者の手からわたしを救い、
不義、残忍な人の支配から、
わたしを救い出してください。
5主なる神よ、あなたはわたしの若い時からの
わたしの望み、わたしの頼みです。
6わたしは生れるときからあなたに寄り頼みました。
あなたはわたしを母の胎から取り出されたかたです。
わたしは常にあなたをほめたたえます。
7わたしは多くの人に
怪しまれるような者となりました。
しかしあなたはわたしの堅固な避け所です。
8わたしの口はひねもす、あなたをたたえるさんびと、
頌栄とをもって満たされています。
9わたしが年老いた時、わたしを見離さないでください。
わたしが力衰えた時、わたしを見捨てないでください。
10わたしの敵はわたしについて語り、
わたしのいのちをうかがう者は共にはかって、
11「神は彼を見捨てた。彼を助ける者がないから
彼を追って捕えよ」と言います。
12神よ、わたしに遠ざからないでください。
わが神よ、すみやかに来てわたしを助けてください。
13わたしにあだする者を恥じさせ、滅ぼしてください。
わたしをそこなわんとする者を、
そしりと、はずかしめとをもっておおってください。
14しかしわたしは絶えず望みをいだいて、
いよいよあなたをほめたたえるでしょう。
15わたしの口はひねもすあなたの義と、
あなたの救とを語るでしょう。
わたしはその数を知らないからです。
16わたしは主なる神の大能のみわざを携えゆき、
ただあなたの義のみを、ほめたたえるでしょう。
17神よ、あなたはわたしを若い時から教えられました。
わたしはなお、
あなたのくすしきみわざを宣べ伝えます。
18神よ、わたしが年老いて、しらがとなるとも、
あなたの力をきたらんとするすべての代に
宣べ伝えるまで、わたしを見捨てないでください。
19神よ、あなたの大能と義とは高い天にまで及ぶ。
あなたは大いなる事をなされました。
神よ、だれかあなたに等しい者があるでしょうか。
20あなたはわたしを多くの重い悩みに
あわされましたが、再びわたしを生かし、
地の深い所から引きあげられるでしょう。
21あなたはわたしの誉を増し、
再びわたしを慰められるでしょう。
22わが神よ、わたしはまた立琴をもって
あなたと、あなたのまこととをほめたたえます。
イスラエルの聖者よ、
わたしは琴をもってあなたをほめ歌います。
23わたしがあなたにむかってほめ歌うとき、
わがくちびるは喜び呼ばわり、
あなたがあがなわれたわが魂もまた
喜び呼ばわるでしょう。
24わたしの舌もまたひねもす
あなたの義を語るでしょう。
わたしをそこなわんとした者が
恥じあわてたからです。
第七二篇
1神よ、あなたの公平を王に与え、
あなたの義を王の子に与えてください。
2彼は義をもってあなたの民をさばき、
公平をもってあなたの貧しい者をさばくように。
3もろもろの山と丘とは義によって
民に平和を与えるように。
4彼は民の貧しい者の訴えを弁護し、
乏しい者に救を与え、
しえたげる者を打ち砕くように。
5彼は日と月とのあらんかぎり、
世々生きながらえるように。
6彼は刈り取った牧草の上に降る雨のごとく、
地を潤す夕立ちのごとく臨むように。
7彼の世に義は栄え、
平和は月のなくなるまで豊かであるように。
8彼は海から海まで治め、
川から地のはてまで治めるように。
9彼のあだは彼の前にかがみ、
彼の敵はちりをなめるように。
10タルシシおよび島々の王たちはみつぎを納め、
シバとセバの王たちは贈り物を携えて来るように。
11もろもろの王は彼の前にひれ伏し、
もろもろの国民は彼に仕えるように。
12彼は乏しい者をその呼ばわる時に救い、
貧しい者と、助けなき者とを救う。
13彼は弱い者と乏しい者とをあわれみ、
乏しい者のいのちを救い、
14彼らのいのちを、しえたげと暴力とからあがなう。
彼らの血は彼の目に尊い。
15彼は生きながらえ、
シバの黄金が彼にささげられ、
彼のために絶えず祈がささげられ、
ひねもす彼のために祝福が求められるように。
16国のうちには穀物が豊かにみのり、
その実はレバノンのように山々の頂に波打ち、
人々は野の草のごとく町々に栄えるように。
17彼の名はとこしえに続き、
その名声は日のあらん限り、絶えることのないように。
人々は彼によって祝福を得、
もろもろの国民は彼をさいわいなる者と
となえるように。
18イスラエルの神、主はほむべきかな。
ただ主のみ、くすしきみわざをなされる。
19その光栄ある名はとこしえにほむべきかな。
全地はその栄光をもって満たされるように。
アァメン、アァメン。
20エッサイの子ダビデの祈は終った。
第七三篇
1神は正しい者にむかい、
心の清い者にむかって、まことに恵みふかい。
2しかし、わたしは、わたしの足がつまずくばかり、
わたしの歩みがすべるばかりであった。
3これはわたしが、悪しき者の栄えるのを見て、
その高ぶる者をねたんだからである。
4彼らには苦しみがなく、
その身はすこやかで、つやがあり、
5ほかの人々のように悩むことがなく、
ほかの人々のように打たれることはない。
6それゆえ高慢は彼らの首飾となり、
暴力は衣のように彼らをおおっている。
7彼らは肥え太って、その目はとびいで、
その心は愚かな思いに満ちあふれている。
8彼らはあざけり、悪意をもって語り、
高ぶって、しえたげを語る。
9彼らはその口を天にさからって置き、
その舌は地をあるきまわる。
10それゆえ民は心を変えて彼らをほめたたえ、
彼らのうちにあやまちを認めない。
11彼らは言う、「神はどうして知り得ようか、
いと高き者に知識があろうか」と。
12見よ、これらは悪しき者であるのに、
常に安らかで、その富が増し加わる。
13まことに、わたしはいたずらに心をきよめ、
罪を犯すことなく手を洗った。
14わたしはひねもす打たれ、
朝ごとに懲しめをうけた。
15もしわたしが「このような事を語ろう」と言ったなら、
わたしはあなたの子らの代を誤らせたであろう。
16しかし、わたしがこれを知ろうと思いめぐらしたとき、
これはわたしにめんどうな仕事のように思われた。
17わたしが神の聖所に行って、
彼らの最後を悟り得たまではそうであった。
18まことにあなたは彼らをなめらかな所に置き、
彼らを滅びに陥らせられる。
19なんと彼らはまたたくまに滅ぼされ、
恐れをもって全く一掃されたことであろう。
20あなたが目をさまして
彼らの影をかろしめられるとき、
彼らは夢みた人の目をさました時のようである。
21わたしの魂が痛み、わたしの心が刺されたとき、
22わたしは愚かで悟りがなく、
あなたに対しては獣のようであった。
23けれどもわたしは常にあなたと共にあり、
あなたはわたしの右の手を保たれる。
24あなたはさとしをもってわたしを導き、
その後わたしを受けて栄光にあずからせられる。
25わたしはあなたのほかに、だれを天にもち得よう。
地にはあなたのほかに慕うものはない。
26わが身とわが心とは衰える。
しかし神はとこしえにわが心の力、わが嗣業である。
27見よ、あなたに遠い者は滅びる。
あなたは、あなたにそむく者を滅ぼされる。
28しかし神に近くあることはわたしに良いことである。
わたしは主なる神をわが避け所として、
あなたのもろもろのみわざを宣べ伝えるであろう。
第七四篇
1神よ、なぜ、われらをとこしえに捨てられるのですか。
なぜ、あなたの牧の羊に怒りを燃やされるのですか。
2昔あなたが手に入れられたあなたの公会、
すなわち、あなたの嗣業の部族となすために
あがなわれたものを思い出してください。
あなたが住まわれたシオンの山を
思い出してください。
3とこしえの滅びの跡に、あなたの足を向けてください。
敵は聖所で、すべての物を破壊しました。
4あなたのあだは聖所の中でほえさけび、
彼らのしるしを立てて、しるしとしました。
5彼らは上の入口では、おのをもって
木の格子垣を切り倒しました。
6また彼らは手おのと鎚とをもって
聖所の彫り物をことごとく打ち落しました。
7彼らはあなたの聖所に火をかけ、
み名のすみかをけがして、地に倒しました。
8彼らは心のうちに言いました、
「われらはことごとくこれを滅ぼそう」と。
彼らは国のうちの神の会堂をことごとく焼きました。
9われらは自分たちのしるしを見ません。
預言者も今はいません。
そしていつまで続くのか、われらのうちには、
知る者がありません。
10神よ、あだはいつまであざけるでしょうか。
敵はとこしえにあなたの名をののしるでしょうか。
11なぜあなたは手を引かれるのですか。
なぜあなたは右の手を
ふところに入れておかれるのですか。
12神はいにしえからわたしの王であって、
救を世の中に行われた。
13あなたはみ力をもって海をわかち、
水の上の龍の頭を砕かれた。
14あなたはレビヤタンの頭をくだき、
これを野の獣に与えてえじきとされた。
15あなたは泉と流れとを開き、
絶えず流れるもろもろの川をからされた。
16昼はあなたのもの、夜もまたあなたのもの。
あなたは光と太陽とを設けられた。
17あなたは地のもろもろの境を定め、
夏と冬とを造られた。
18主よ、敵はあなたをあざけり、
愚かな民はあなたのみ名をののしります。
この事を思い出してください。
19どうかあなたのはとの魂を
野の獣にわたさないでください。
貧しい者のいのちをとこしえに忘れないでください。
20あなたの契約をかえりみてください。
地の暗い所は暴力のすまいで満ちています。
21しえたげられる者を恥じさせないでください。
貧しい者と乏しい者とに
み名をほめたたえさせてください。
22神よ、起きてあなたの訴えをあげつらい、
愚かな者のひねもすあなたをあざけるのを
みこころにとめてください。
23あなたのあだの叫びを忘れないでください。
あなたの敵の絶えずあげる騒ぎを
忘れないでください。
第七五篇
1神よ、われらはあなたに感謝します。
われらは感謝します。
われらはあなたのみ名を呼び、
あなたのくすしきみわざを語ります。
2定まった時が来れば、
わたしは公平をもってさばく。
3地とすべてこれに住むものがよろめくとき、
わたしはその柱を堅くする。〔セラ
4わたしは、誇る者には「誇るな」と言い、
悪しき者には「角をあげるな、
5角を高くあげるな、
高慢な態度をもって語るな」と言う。
6上げることは東からでなく、西からでなく、
また荒野からでもない。
7それはさばきを行われる神であって、
神はこれを下げ、かれを上げられる。
8主の手には杯があって、
よく混ぜた酒があわだっている。
主がこれを注ぎ出されると、
地のすべての悪しき者は
これを一滴も残さずに飲みつくすであろう。
9しかしわたしはとこしえに喜び、
ヤコブの神をほめうたいます。
10悪しき者の角はことごとく切り離されるが
正しい者の角はあげられるであろう。
第七六篇
1神はユダに知られ、
そのみ名はイスラエルにおいて偉大である。
2その幕屋はサレムにあり、
そのすまいはシオンにある。
3かしこで神は弓の火矢を折り、
盾とつるぎと戦いの武器をこわされた。〔セラ
4あなたは永久の山々にまさって
光栄あり、威厳がある。
5雄々しい者はかすめられ、彼らは眠りに沈み、
いくさびとは皆その手を施すことができなかった。
6ヤコブの神よ、あなたのとがめによって、
乗り手と馬とは深い眠りに陥った。
7しかし、あなたこそは恐るべき方である。
あなたが怒りを発せられるとき、
だれがみ前に立つことができよう。
9あなたは天からさばきを仰せられた。
神が地のしえたげられた者を救うために、
さばきに立たれたとき、地は恐れて、沈黙した。〔セラ
10まことに人の怒りはあなたをほめたたえる。
怒りの余りをあなたは帯とされる。
11あなたがたの神、主に誓いを立てて、それを償え。
その周囲のすべての者は
恐るべき主に贈り物をささげよ。
12主はもろもろの君たちのいのちを断たれる。
主は地の王たちの恐るべき者である。
第七七篇
1わたしは神にむかい声をあげて叫ぶ。
わたしが神にむかって声をあげれば、
神はわたしに聞かれる。
2わたしは悩みの日に主をたずね求め、
夜はわが手を伸べてたゆむことなく、
わが魂は慰められるのを拒む。
3わたしは神を思うとき、嘆き悲しみ、
深く思うとき、わが魂は衰える。〔セラ
4あなたはわたしのまぶたをささえて閉じさせず、
わたしは物言うこともできないほどに悩む。
5わたしは昔の日を思い、
いにしえの年を思う。
6わたしは夜、わが心と親しく語り、
深く思うてわが魂を探り、言う、
7「主はとこしえにわれらを捨てられるであろうか。
ふたたび、めぐみを施されないであろうか。
8そのいつくしみはとこしえに絶え、
その約束は世々ながくすたれるであろうか。
9神は恵みを施すことを忘れ、怒りをもって
そのあわれみを閉じられたであろうか」と。〔セラ
10その時わたしは言う、「わたしの悲しみは
いと高き者の右の手が変ったことである」と。
11わたしは主のみわざを思い起す。
わたしは、いにしえからの
あなたのくすしきみわざを思いいだす。
12わたしは、あなたのすべてのみわざを思い、
あなたの力あるみわざを深く思う。
13神よ、あなたの道は聖である。
われらの神のように大いなる神はだれか。
14あなたは、くすしきみわざを行われる神である。
あなたは、もろもろの民の間に、その大能をあらわし、
15その腕をもっておのれの民をあがない、
ヤコブとヨセフの子らをあがなわれた。〔セラ
16神よ、大水はあなたを見た。
大水はあなたを見ておののき、淵もまた震えた。
17雲は水を注ぎいだし、空は雷をとどろかし、
あなたの矢は四方にきらめいた。
18あなたの雷のとどろきは、つむじ風の中にあり、
あなたのいなずまは世を照し、地は震い動いた。
19あなたの大路は海の中にあり、
あなたの道は大水の中にあり、
あなたの足跡はたずねえなかった。
20あなたは、その民をモーセとアロンの手によって
羊の群れのように導かれた。
第七八篇
1わが民よ、わが教を聞き、
わが口の言葉に耳を傾けよ。
2わたしは口を開いて、たとえを語り、
いにしえからの、なぞを語ろう。
3これはわれらがさきに聞いて知ったこと、
またわれらの先祖たちが
われらに語り伝えたことである。
4われらはこれを子孫に隠さず、主の光栄あるみわざと、
その力と、主のなされたくすしきみわざとを
きたるべき代に告げるであろう。
5主はあかしをヤコブのうちにたて、
おきてをイスラエルのうちに定めて、
その子孫に教うべきことを
われらの先祖たちに命じられた。
6これは次の代に生れる子孫がこれを知り、
みずから起って、そのまた子孫にこれを伝え、
7彼らをして神に望みをおき、
神のみわざを忘れず、その戒めを守らせるためである。
8またその先祖たちのようにかたくなで、
そむく者のやからとなり、その心が定まりなく、
その魂が神に忠実でないやからと
ならないためである。
9エフライムの人々は武装し、弓を携えたが、
戦いの日に引き返した。
10彼らは神の契約を守らず、
そのおきてにしたがって歩むことを拒み、
11神がなされた事と、
彼らに示されたくすしきみわざとを忘れた。
12神はエジプトの地と、ゾアンの野で
くすしきみわざを彼らの先祖たちの前に行われた。
13神は海を分けて彼らを通らせ、
水を立たせて山のようにされた。
14昼は雲をもって彼らを導き、
夜は、よもすがら火の光をもって彼らを導かれた。
15神は荒野で岩を裂き、
淵から飲むように豊かに彼らに飲ませ、
16また岩から流れを引いて、
川のように水を流れさせられた。
17ところが彼らはなお神にむかって罪をかさね、
荒野でいと高き者にそむき、
18おのが欲のために食物を求めて、
その心のうちに神を試みた。
19また彼らは神に逆らって言った、
「神は荒野に宴を設けることができるだろうか。
20見よ、神が岩を打たれると、
水はほとばしりいで、流れがあふれた。
神はまたパンを与えることができるだろうか。
民のために肉を備えることができるだろうか」と。
21それゆえ、主は聞いて憤られた。
火はヤコブにむかって燃えあがり、
怒りはイスラエルにむかって立ちのぼった。
22これは彼らが神を信ぜず、
その救の力を信用しなかったからである。
23しかし神は上なる大空に命じて天の戸を開き、
24彼らの上にマナを降らせて食べさせ、
天の穀物を彼らに与えられた。
25人は天使のパンを食べた。
神は彼らに食物をおくって飽き足らせられた。
26神は天に東風を吹かせ、
み力をもって南風を導かれた。
27神は彼らの上に肉をちりのように降らせ、
翼ある鳥を海の砂のように降らせて、
28その宿営のなか、そのすまいのまわりに落された。
29こうして彼らは食べて、飽き足ることができた。
神が彼らにその望んだものを与えられたからである。
30ところが彼らがまだその欲を離れず、
食物がなお口の中にあるうちに、
31神の怒りが彼らにむかって立ちのぼり、
彼らのうちの最も強い者を殺し、
イスラエルのうちのえり抜きの者を打ち倒された。
32すべてこれらの事があったにもかかわらず、
彼らはなお罪を犯し、
そのくすしきみわざを信じなかった。
33それゆえ神は彼らの日を息のように消えさせ、
彼らの年を恐れをもって過ごさせられた。
34神が彼らを殺されたとき、彼らは神をたずね、
悔いて神を熱心に求めた。
35こうして彼らは、神は彼らの岩、いと高き神は
彼らのあがないぬしであることを思い出した。
36しかし彼らはその口をもって神にへつらい、
その舌をもって神に偽りを言った。
37彼らの心は神にむかって堅実でなく、
神の契約に真実でなかった。
38しかし神はあわれみに富まれるので、
彼らの不義をゆるして滅ぼさず、
しばしばその怒りをおさえて、
その憤りをことごとくふり起されなかった。
39また神は、彼らがただ肉であって、
過ぎ去れば再び帰りこぬ風であることを
思い出された。
40幾たび彼らは野で神にそむき、
荒野で神を悲しませたことであろうか。
41彼らはかさねがさね神を試み、
イスラエルの聖者を怒らせた。
42彼らは神の力をも、
神が彼らをあだからあがなわれた日をも
思い出さなかった。
43神はエジプトでもろもろのしるしをおこない、
ゾアンの野でもろもろの奇跡をおこない、
44彼らの川を血に変らせて、
その流れを飲むことができないようにされた。
45神ははえの群れを彼らのうちに送って彼らを食わせ、
かえるを送って彼らを滅ぼされた。
46また神は彼らの作物を青虫にわたし、
彼らの勤労の実をいなごにわたされた。
47神はひょうをもって彼らのぶどうの木を枯らし、
霜をもって彼らのいちじく桑の木を枯らされた。
48神は彼らの家畜をひょうにわたし、
彼らの群れを燃えるいなずまにわたされた。
49神は彼らの上に激しい怒りと、憤りと、
恨みと、悩みと、滅ぼす天使の群れとを放たれた。
50神はその怒りのために道を設け、
彼らの魂を死から免れさせず、
そのいのちを疫病にわたされた。
51神はエジプトですべてのういごを撃ち、
ハムの天幕で彼らの力の初めの子を撃たれた。
52こうして神はおのれの民を羊のように引き出し、
彼らを荒野で羊の群れのように導き、
53彼らを安らかに導かれたので
彼らは恐れることがなかった。
しかし海は彼らの敵をのみつくした。
54神は彼らをその聖地に伴い、
その右の手をもって獲たこの山に伴いこられた。
55神は彼らの前からもろもろの国民を追い出し、
その地を分けて嗣業とし、
イスラエルの諸族を彼らの天幕に住まわせられた。
56しかし彼らはいと高き神を試み、これにそむいて、
そのもろもろのあかしを守らず、
57そむき去って、先祖たちのように真実を失い、
狂った弓のようにねじれた。
58彼らは高き所を設けて神を怒らせ、
刻んだ像をもって神のねたみを起した。
59神は聞いて大いに怒り、
イスラエルを全くしりぞけられた。
60神は人々のなかに設けた幕屋なる
シロのすまいを捨て、
61その力をとりことならせ、
その栄光をあだの手にわたされた。
62神はその民をつるぎにわたし、
その嗣業にむかって大いなる怒りをもらされた。
63火は彼らの若者たちを焼きつくし、
彼らのおとめたちは婚姻の歌を失い、
64彼らの祭司たちはつるぎによって倒れ、
彼らのやもめたちは嘆き悲しむことさえしなかった。
65そのとき主は眠った者のさめたように、
勇士が酒によって叫ぶように目をさまして、
66そのあだを撃ち退け、
とこしえの恥を彼らに負わせられた。
67神はヨセフの天幕をしりぞけ、
エフライムの部族を選ばず、
68ユダの部族を選び、
神の愛するシオンの山を選ばれた。
69神はその聖所を高い天のように建て、
とこしえに基を定められた地のように建てられた。
70神はそのしもべダビデを選んで、
羊のおりから取り、
71乳を与える雌羊の番をするところからつれて来て、
その民ヤコブ、その嗣業イスラエルの牧者とされた。
72こうして彼は直き心をもって彼らを牧し、
巧みな手をもって彼らを導いた。
第七九篇
1神よ、もろもろの異邦人はあなたの嗣業の地を侵し、
あなたの聖なる宮をけがし、
エルサレムを荒塚としました。
2彼らはあなたのしもべのしかばねを
空の鳥に与えてえさとし、
あなたの聖徒の肉を地の獣に与え、
3その血をエルサレムのまわりに水のように流し、
これを葬る人がありませんでした。
4われらは隣り人にそしられ、
まわりの人々に侮られ、あざけられる者となりました。
5主よ、いつまでなのですか。
とこしえにお怒りになられるのですか。
あなたのねたみは火のように燃えるのですか。
6どうか、あなたを知らない異邦人と、
あなたの名を呼ばない国々の上に
あなたの怒りを注いでください。
7彼らはヤコブを滅ぼし、
そのすみかを荒したからです。
8われらの先祖たちの不義をみこころにとめられず、
あわれみをもって、すみやかにわれらを
迎えてください。
われらは、はなはだしく低くされたからです。
9われらの救の神よ、
み名の栄光のためにわれらを助け、
み名のためにわれらを救い、
われらの罪をおゆるしください。
10どうして異邦人は言うのでしょう、
「彼らの神はどこにいるのか」と。
あなたのしもべらの流された血の報いを
われらのまのあたりになして、
異邦人に知らせてください。
11捕われ人の嘆きを
あなたのみ前にいたらせ、
あなたの大いなる力により、
死に定められた者を守りながらえさせてください。
12主よ、われらの隣り人があなたをそしったそしりを
七倍にして彼らのふところに報い返してください。
13そうすれば、あなたの民、あなたの牧の羊は、
とこしえにあなたに感謝し、
世々あなたをほめたたえるでしょう。
第八〇篇
1イスラエルの牧者よ、
羊の群れのようにヨセフを導かれる者よ、
耳を傾けてください。
ケルビムの上に座せられる者よ、
光を放ってください。
2エフライム、ベニヤミン、マナセの前に
あなたの力を振り起し、
来て、われらをお救いください。
3神よ、われらをもとに返し、
み顔の光を照してください。
そうすればわれらは救をえるでしょう。
4万軍の神、主よ、
いつまで、その民の祈にむかって
お怒りになるのですか。
5あなたは涙のパンを彼らに食わせ、
多くの涙を彼らに飲ませられました。
6あなたはわれらを隣り人のあざけりとし、
われらの敵はたがいにあざわらいました。
7万軍の神よ、われらをもとに返し、
われらの救われるため、み顔の光を照してください。
8あなたは、ぶどうの木をエジプトから携え出し、
もろもろの国民を追い出して、これを植えられました。
9あなたはこれがために地を開かれたので、
深く根ざして、国にはびこりました。
10山々はその影でおおわれ、
神の香柏はその枝でおおわれました。
11これはその枝を海にまでのべ、
その若枝を大川にまでのべました。
12あなたは何ゆえ、そのかきをくずして
道ゆくすべての人にその実を
摘み取らせられるのですか。
13林のいのししはこれを荒し、
野のすべての獣はこれを食べます。
14万軍の神よ、再び天から見おろして、
このぶどうの木をかえりみてください。
15あなたの右の手の植えられた幹と、
みずからのために強くされた枝とを
かえりみてください。
16彼らは火をもってこれを焼き、
これを切り倒しました。
彼らをみ顔のとがめによって滅ぼしてください。
17しかしあなたの手をその右の手の人の上におき、
みずからのために強くされた人の子の上に
おいてください。
18そうすれば、われらはあなたを
離れ退くことはありません。
われらを生かしてください。
われらはあなたのみ名を呼びます。
19万軍の神、主よ、われらをもとに返し、
み顔の光を照してください。
そうすればわれらは救をえるでしょう。
第八一篇
1われらの力なる神にむかって高らかに歌え。
ヤコブの神にむかって喜びの声をあげよ。
2歌をうたい、鼓を打て。
良い音の琴と立琴とをかきならせ。
3新月と満月とわれらの祭の日とに
ラッパを吹きならせ。
4これはイスラエルの定め、
ヤコブの神のおきてである。
5神が出てエジプトの国を攻められたとき、
ヨセフのなかにこれを立てて、あかしとされた。
わたしはかしこでまだ知らなかった言葉を聞いた、
6「わたしはあなたの肩から重荷をのぞき、
あなたの手をかごから免れさせた。
7あなたが悩んだとき、呼ばわったので
わたしはあなたを救った。
わたしは雷の隠れた所で、あなたに答え、
メリバの水のほとりで、あなたを試みた。〔セラ
8わが民よ、聞け、わたしはあなたに勧告する。
イスラエルよ、あなたがわたしに聞き従うことを望む。
9あなたのうちに他の神があってはならない。
あなたは外国の神を拝んではならない。
10わたしはエジプトの国から、
あなたをつれ出したあなたの神、主である。
あなたの口を広くあけよ、わたしはそれを満たそう。
11しかしわが民はわたしの声に聞き従わず、
イスラエルはわたしを好まなかった。
12それゆえ、わたしは彼らを
そのかたくなな心にまかせ、
その思いのままに行くにまかせた。
13わたしはわが民のわたしに聞き従い、
イスラエルのわが道に歩むことを欲する。
14わたしはすみやかに彼らの敵を従え、
わが手を彼らのあだに向けよう。
15主を憎む者も彼らに恐れ従い、
彼らの時はとこしえに続くであろう。
16わたしは麦の最も良いものをもってあなたを養い、
岩から出た蜜をもってあなたを飽かせるであろう」。
第八二篇
1神は神の会議のなかに立たれる。
神は神々のなかで、さばきを行われる。
2「あなたがたはいつまで不正なさばきをなし、
悪しき者に好意を示すのか。〔セラ
3弱い者と、みなしごとを公平に扱い、
苦しむ者と乏しい者の権利を擁護せよ。
4弱い者と貧しい者を救い、
彼らを悪しき者の手から助け出せ」。
5彼らは知ることなく、悟ることもなくて、
暗き中をさまよう。
地のもろもろの基はゆり動いた。
6わたしは言う、「あなたがたは神だ、
あなたがたは皆いと高き者の子だ。
7しかし、あなたがたは人のように死に、
もろもろの君のひとりのように倒れるであろう」。
8神よ、起きて、地をさばいてください。
すべての国民はあなたのものだからです。
第八三篇
1神よ、沈黙を守らないでください。
神よ、何も言わずに、黙っていないでください。
2見よ、あなたの敵は騒ぎたち、
あなたを憎む者は頭をあげました。
3彼らはあなたの民にむかって
巧みなはかりごとをめぐらし、
あなたの保護される者にむかって相ともに計ります。
4彼らは言います、
「さあ、彼らを断ち滅ぼして国を立てさせず、
イスラエルの名を
ふたたび思い出させないようにしよう」。
5彼らは心をひとつにして共にはかり、
あなたに逆らって契約を結びます。
6すなわちエドムの天幕に住む者とイシマエルびと、
モアブとハガルびと、
7ゲバルとアンモンとアマレク、
ペリシテとツロの住民などです。
8アッスリヤもまた彼らにくみしました。
彼らはロトの子孫を助けました。〔セラ
9あなたがミデアンにされたように、
キション川でシセラとヤビンにされたように、
彼らにしてください。
10彼らはエンドルで滅ぼされ、
地のために肥料となりました。
11彼らの貴人をオレブとゼエブのように、
そのすべての君たちを
ゼバとザルムンナのようにしてください。
12彼らは言いました、「われらは神の牧場を獲て、
われらの所有にしよう」と。
13わが神よ、彼らを巻きあげられるちりのように、
風の前のもみがらのようにしてください。
14林を焼く火のように、
山を燃やす炎のように、
15あなたのはやてをもって彼らを追い、
つむじかぜをもって彼らを恐れさせてください。
16彼らの顔に恥を満たしてください。
主よ、そうすれば彼らはあなたの名を求めるでしょう。
17彼らをとこしえに恥じ恐れさせ、
あわて惑って滅びうせさせてください。
18主という名をおもちになるあなたのみ、
全地をしろしめすいと高き者であることを
彼らに知らせてください。
第八四篇
1万軍の主よ、
あなたのすまいはいかに麗しいことでしょう。
2わが魂は絶えいるばかりに主の大庭を慕い、
わが心とわが身は生ける神にむかって喜び歌います。
3すずめがすみかを得、
つばめがそのひなをいれる巣を得るように、
万軍の主、わが王、わが神よ、
あなたの祭壇のかたわらに
わがすまいを得させてください。
4あなたの家に住み、
常にあなたをほめたたえる人はさいわいです。〔セラ
5その力があなたにあり、
その心がシオンの大路にある人はさいわいです。
6彼らはバカの谷を通っても、
そこを泉のある所とします。
また前の雨は池をもってそこをおおいます。
7彼らは力から力に進み、
シオンにおいて神々の神にまみえるでしょう。
8万軍の神、主よ、わが祈をおききください。
ヤコブの神よ、耳を傾けてください。〔セラ
9神よ、われらの盾をみそなわし、
あなたの油そそがれた者の顔をかえりみてください。
10あなたの大庭にいる一日は、
よそにいる千日にもまさるのです。
わたしは悪の天幕にいるよりは、
むしろ、わが神の家の門守となることを願います。
11主なる神は日です、盾です。
主は恵みと誉とを与え、
直く歩む者に良い物を拒まれることはありません。
12万軍の主よ、あなたに信頼する人はさいわいです。
第八五篇
1主よ、あなたはみ国にめぐみを示し、
ヤコブの繁栄を回復されました。
2あなたはその民の不義をゆるし、
彼らの罪をことごとくおおわれました。〔セラ
3あなたはすべての怒りを捨て、
激しい憤りを遠ざけられました。
4われらの救の神よ、われらを回復し、
われらに対するあなたの憤りをおやめください。
5あなたはとこしえにわれらを怒り、
よろずよまで、あなたの怒りを延ばされるのですか。
6あなたの民が、あなたによって喜びを得るため、
われらを再び生かされないのですか。
7主よ、あなたのいつくしみをわれらに示し、
あなたの救をわれらに与えてください。
8わたしは主なる神の語られることを聞きましょう。
主はその民、その聖徒、
ならびにその心を主に向ける者に、
平和を語られるからです。
9まことに、その救は神を恐れる者に近く、
その栄光はわれらの国にとどまるでしょう。
10いつくしみと、まこととは共に会い、
義と平和とは互に口づけし、
11まことは地からはえ、
義は天から見おろすでしょう。
12主が良い物を与えられるので、
われらの国はその産物を出し、
13義は主のみ前に行き、
その足跡を道とするでしょう。
第八六篇
1主よ、あなたの耳を傾けて、わたしにお答えください。
わたしは苦しみかつ乏しいからです。
2わたしのいのちをお守りください。
わたしは神を敬う者だからです。
あなたに信頼するあなたのしもべをお救いください。
あなたはわたしの神です。
3主よ、わたしをあわれんでください。
わたしはひねもすあなたに呼ばわります。
4あなたのしもべの魂を喜ばせてください。
主よ、わが魂はあなたを仰ぎ望みます。
5主よ、あなたは恵みふかく、寛容であって、
あなたに呼ばわるすべての者に
いつくしみを豊かに施されます。
6主よ、わたしの祈に耳を傾け、
わたしの願いの声をお聞きください。
7わたしの悩みの日にわたしはあなたに呼ばわります。
あなたはわたしに答えられるからです。
8主よ、もろもろの神のうちにあなたに等しい者はなく、
また、あなたのみわざに等しいものはありません。
9主よ、あなたが造られたすべての国民は
あなたの前に来て、伏し拝み、
み名をあがめるでしょう。
10あなたは大いなる神で、くすしきみわざをなされます。
ただあなたのみ、神でいらせられます。
11主よ、あなたの道をわたしに教えてください。
わたしはあなたの真理に歩みます。
心をひとつにしてみ名を恐れさせてください。
12わが神、主よ、わたしは心をつくしてあなたに感謝し、
とこしえに、み名をあがめるでしょう。
13わたしに示されたあなたのいつくしみは大きく、
わが魂を陰府の深い所から助け出されたからです。
14神よ、高ぶる者はわたしに逆らって起り、
荒ぶる者の群れはわたしのいのちを求め、
彼らは自分の前にあなたを置くことをしません。
15しかし主よ、あなたはあわれみと恵みに富み、
怒りをおそくし、いつくしみと、まこととに
豊かな神でいらせられます。
16わたしをかえりみ、わたしをあわれみ、
あなたのしもべにみ力を与え、
あなたのはしための子をお救いください。
17わたしに、あなたの恵みのしるしを
あらわしてください。
そうすれば、わたしを憎む者どもは
わたしを見て恥じるでしょう。
主よ、あなたはわたしを助け、
わたしを慰められたからです。