ローマ人への手紙

第一章

1キリスト・イエスの僕(しもべ)、神(かみ)の福音(ふくいん)のために選(えら)び別(わか)たれ、召(め)されて使徒(しと)となったパウロから―― 2この福音(ふくいん)は、神(かみ)が、預言者(よげんしゃ)たちにより、聖書(せいしょ)の中(なか)で、あらかじめ約束(やくそく)されたものであって、 3御子(みこ)に関(かん)するものである。御子(みこ)は、肉(にく)によればダビデの子孫(しそん)から生(うま)れ、 4聖(せい)なる霊(れい)によれば、死人(しにん)からの復活(ふっかつ)により、御(み)力(ちから)をもって神(かみ)の御子(みこ)と定(さだ)められた。これがわたしたちの主(しゅ)イエス・キリストである。 5わたしたちは、その御名(みな)のために、すべての異邦人(いほうじん)を信仰(しんこう)の従順(じゅうじゅん)に至(いた)らせるようにと、彼(かれ)によって恵(めぐ)みと使徒(しと)の務(つとめ)とを受(う)けたのであり、 6あなたがたもまた、彼(かれ)らの中(なか)にあって、召(め)されてイエス・キリストに属(ぞく)する者(もの)となったのである―― 7ローマにいる、神(かみ)に愛(あい)され、召(め)された聖徒(せいと)一同(いちどう)へ。

わたしたちの父(ちち)なる神(かみ)および主(しゅ)イエス・キリストから、恵(めぐ)みと平安(へいあん)とが、あなたがたにあるように。

8まず第(だい)一に、わたしは、あなたがたの信仰(しんこう)が全(ぜん)世界(せかい)に言(い)い伝(つた)えられていることを、イエス・キリストによって、あなたがた一同(いちどう)のために、わたしの神(かみ)に感謝(かんしゃ)する。 10わたしは、祈(いのり)のたびごとに、絶(た)えずあなたがたを覚(おぼ)え、いつかは御旨(みむね)にかなって道(みち)が開(ひら)かれ、どうにかして、あなたがたの所(ところ)に行(い)けるようにと願(ねが)っている。このことについて、わたしのためにあかしをして下(くだ)さるのは、わたしが霊(れい)により、御子(みこ)の福音(ふくいん)を宣(の)べ伝(つた)えて仕(つか)えている神(かみ)である。 11わたしは、あなたがたに会(あ)うことを熱望(ねつぼう)している。あなたがたに霊(れい)の賜物(たまもの)を幾分(いくぶん)でも分(わ)け与(あた)えて、力(ちから)づけたいからである。 12それは、あなたがたの中(なか)にいて、あなたがたとわたしとのお互(たがい)の信仰(しんこう)によって、共(とも)に励(はげ)まし合(あ)うためにほかならない。 13兄弟(きょうだい)たちよ。このことを知(し)らずにいてもらいたくない。わたしはほかの異邦人(いほうじん)の間(あいだ)で得(え)たように、あなたがたの間(あいだ)でも幾分(いくぶん)かの実(み)を得(え)るために、あなたがたの所(ところ)に行(い)こうとしばしば企(くわだ)てたが、今(いま)まで妨(さまた)げられてきた。 14わたしには、ギリシヤ人(じん)にも未開(みかい)の人(ひと)にも、賢(かしこ)い者(もの)にも無知(むち)な者(もの)にも、果(はた)すべき責任(せきにん)がある。 15そこで、わたしとしての切(せつ)なる願(ねが)いは、ローマにいるあなたがたにも、福音(ふくいん)を宣(の)べ伝(つた)えることなのである。 16わたしは福音(ふくいん)を恥(はじ)としない。それは、ユダヤ人(じん)をはじめ、ギリシヤ人(じん)にも、すべて信(しん)じる者(もの)に、救(すくい)を得(え)させる神(かみ)の力(ちから)である。 17神(かみ)の義(ぎ)は、その福音(ふくいん)の中(なか)に啓示(けいじ)され、信仰(しんこう)に始(はじ)まり信仰(しんこう)に至(いた)らせる。これは、「信仰(しんこう)による義人(ぎじん)は生(い)きる」と書(か)いてあるとおりである。

18神(かみ)の怒(いか)りは、不義(ふぎ)をもって真理(しんり)をはばもうとする人間(にんげん)のあらゆる不信心(ふしんじん)と不義(ふぎ)とに対(たい)して、天(てん)から啓示(けいじ)される。 19なぜなら、神(かみ)について知(し)りうる事(こと)がらは、彼(かれ)らには明(あき)らかであり、神(かみ)がそれを彼(かれ)らに明(あき)らかにされたのである。 20神(かみ)の見(み)えない性質(せいしつ)、すなわち、神(かみ)の永遠(えいえん)の力(ちから)と神性(しんせい)とは、天地(てんち)創造(そうぞう)このかた、被(ひ)造物(ぞうぶつ)において知(し)られていて、明(あき)らかに認(みと)められるからである。したがって、彼(かれ)らには弁解(べんかい)の余地(よち)がない。 21なぜなら、彼(かれ)らは神(かみ)を知(し)っていながら、神(かみ)としてあがめず、感謝(かんしゃ)もせず、かえってその思(おも)いはむなしくなり、その無知(むち)な心(こころ)は暗(くら)くなったからである。 22彼(かれ)らは自(みずか)ら知者(ちしゃ)と称(しょう)しながら、愚(おろ)かになり、 23不朽(ふきゅう)の神(かみ)の栄光(えいこう)を変(か)えて、朽(く)ちる人間(にんげん)や鳥(とり)や獣(けもの)や這(は)うものの像(ぞう)に似(に)せたのである。

24ゆえに、神(かみ)は、彼(かれ)らが心(こころ)の欲情(よくじょう)にかられ、自分(じぶん)のからだを互(たがい)にはずかしめて、汚(けが)すままに任(まか)せられた。 25彼(かれ)らは神(かみ)の真理(しんり)を変(か)えて虚偽(きょぎ)とし、創造者(そうぞうしゃ)の代(かわ)りに被(ひ)造物(ぞうぶつ)を拝(おが)み、これに仕(つか)えたのである。創造者(そうぞうしゃ)こそ永遠(えいえん)にほむべきものである、アァメン。

26それゆえ、神(かみ)は彼(かれ)らを恥(は)ずべき情欲(じょうよく)に任(まか)せられた。すなわち、彼(かれ)らの中(なか)の女(おんな)は、その自然(しぜん)の関係(かんけい)を不自然(ふしぜん)なものに代(か)え、 27男(おとこ)もまた同(おな)じように女(おんな)との自然(しぜん)の関係(かんけい)を捨(す)てて、互(たがい)にその情欲(じょうよく)の炎(ほのお)を燃(も)やし、男(おとこ)は男(おとこ)に対(たい)して恥(は)ずべきことをなし、そしてその乱行(らんぎょう)の当然(とうぜん)の報(むく)いを、身(み)に受(う)けたのである。

28そして、彼(かれ)らは神(かみ)を認(みと)めることを正(ただ)しいとしなかったので、神(かみ)は彼(かれ)らを正(ただ)しからぬ思(おも)いにわたし、なすべからざる事(こと)をなすに任(まか)せられた。 29すなわち、彼(かれ)らは、あらゆる不義(ふぎ)と悪(あく)と貪欲(どんよく)と悪意(あくい)とにあふれ、ねたみと殺意(さつい)と争(あらそ)いと詐欺(さぎ)と悪念(あくねん)とに満(み)ち、また、ざん言(げん)する者(もの)、 30そしる者(もの)、神(かみ)を憎(にく)む者(もの)、不遜(ふそん)な者(もの)、高慢(こうまん)な者(もの)、大言壮語(たいげんそうご)する者(もの)、悪事(あくじ)をたくらむ者(もの)、親(おや)に逆(さか)らう者(もの)となり、 31無知(むち)、不誠実(ふせいじつ)、無情(むじょう)、無慈悲(むじひ)な者(もの)となっている。 32彼(かれ)らは、こうした事(こと)を行(おこな)う者(もの)どもが死(し)に価(あたい)するという神(かみ)の定(さだ)めをよく知(し)りながら、自(みずか)らそれを行(おこな)うばかりではなく、それを行(おこな)う者(もの)どもを是認(ぜにん)さえしている。

第二章

1だから、ああ、すべて人(ひと)をさばく者(もの)よ。あなたには弁解(べんかい)の余地(よち)がない。あなたは、他人(たにん)をさばくことによって、自分(じぶん)自身(じしん)を罪(つみ)に定(さだ)めている。さばくあなたも、同(おな)じことを行(おこな)っているからである。 2わたしたちは、神(かみ)のさばきが、このような事(こと)を行(おこな)う者(もの)どもの上(うえ)に正(ただ)しく下(くだ)ることを、知(し)っている。 3ああ、このような事(こと)を行(おこな)う者(もの)どもをさばきながら、しかも自(みずか)ら同(おな)じことを行(おこな)う人(ひと)よ。あなたは、神(かみ)のさばきをのがれうると思(おも)うのか。 4それとも、神(かみ)の慈愛(じあい)があなたを悔改(くいあらた)めに導(みちび)くことも知(し)らないで、その慈愛(じあい)と忍耐(にんたい)と寛容(かんよう)との富(とみ)を軽(かろ)んじるのか。 5あなたのかたくなな、悔改(くいあらた)めのない心(こころ)のゆえに、あなたは、神(かみ)の正(ただ)しいさばきの現(あらわ)れる怒(いか)りの日(ひ)のために神(かみ)の怒(いか)りを、自分(じぶん)の身(み)に積(つ)んでいるのである。 6神(かみ)は、おのおのに、そのわざにしたがって報(むく)いられる。 7すなわち、一方(いっぽう)では、耐(た)え忍(しの)んで善(ぜん)を行(おこな)って、光栄(こうえい)とほまれと朽(く)ちぬものとを求(もと)める人(ひと)に、永遠(えいえん)のいのちが与(あた)えられ、 8他方(たほう)では、党派心(とうはしん)をいだき、真理(しんり)に従(したが)わないで不義(ふぎ)に従(したが)う人(ひと)に、怒(いか)りと激(はげ)しい憤(いきどお)りとが加(くわ)えられる。 9悪(あく)を行(おこな)うすべての人(ひと)には、ユダヤ人(じん)をはじめギリシヤ人(じん)にも、患難(かんなん)と苦悩(くのう)とが与(あた)えられ、 10善(ぜん)を行(おこな)うすべての人(ひと)には、ユダヤ人(じん)をはじめギリシヤ人(じん)にも、光栄(こうえい)とほまれと平安(へいあん)とが与(あた)えられる。 11なぜなら、神(かみ)には、かたより見(み)ることがないからである。

12そのわけは、律法(りっぽう)なしに罪(つみ)を犯(おか)した者(もの)は、また律法(りっぽう)なしに滅(ほろ)び、律法(りっぽう)のもとで罪(つみ)を犯(おか)した者(もの)は、律法(りっぽう)によってさばかれる。 13なぜなら、律法(りっぽう)を聞(き)く者(もの)が、神(かみ)の前(まえ)に義(ぎ)なるものではなく、律法(りっぽう)を行(おこな)う者(もの)が、義(ぎ)とされるからである。 14すなわち、律法(りっぽう)を持(も)たない異邦人(いほうじん)が、自然(しぜん)のままで、律法(りっぽう)の命(めい)じる事(こと)を行(おこな)うなら、たとい律法(りっぽう)を持(も)たなくても、彼(かれ)らにとっては自分(じぶん)自身(じしん)が律法(りっぽう)なのである。 15彼(かれ)らは律法(りっぽう)の要求(ようきゅう)がその心(こころ)にしるされていることを現(あらわ)し、そのことを彼(かれ)らの良心(りょうしん)も共(とも)にあかしをして、その判断(はんだん)が互(たがい)にあるいは訴(うった)え、あるいは弁明(べんめい)し合(あ)うのである。 16そして、これらのことは、わたしの福音(ふくいん)によれば、神(かみ)がキリスト・イエスによって人々(ひとびと)の隠(かく)れた事(こと)がらをさばかれるその日(ひ)に、明(あき)らかにされるであろう。

17もしあなたが、自(みずか)らユダヤ人(じん)と称(しょう)し、律法(りっぽう)に安(やす)んじ、神(かみ)を誇(ほこり)とし、 18御旨(みむね)を知(し)り、律法(りっぽう)に教(おし)えられて、なすべきことをわきまえており、 20さらに、知識(ちしき)と真理(しんり)とが律法(りっぽう)の中(なか)に形(かたち)をとっているとして、自(みずか)ら盲人(もうじん)の手引(てび)き、やみにおる者(もの)の光(ひかり)、愚(おろ)かな者(もの)の導(みちび)き手(て)、幼(おさ)な子(ご)の教師(きょうし)をもって任(にん)じているのなら、 21なぜ、人(ひと)を教(おし)えて自分(じぶん)を教(おし)えないのか。盗(ぬす)むなと人(ひと)に説(と)いて、自(みずか)らは盗(ぬす)むのか。 22姦淫(かんいん)するなと言(い)って、自(みずか)らは姦淫(かんいん)するのか。偶像(ぐうぞう)を忌(い)みきらいながら、自(みずか)らは宮(みや)の物(もの)をかすめるのか。 23律法(りっぽう)を誇(ほこり)としながら、自(みずか)らは律法(りっぽう)に違反(いはん)して、神(かみ)を侮(あなど)っているのか。 24聖書(せいしょ)に書(か)いてあるとおり、「神(かみ)の御名(みな)は、あなたがたのゆえに、異邦人(いほうじん)の間(あいだ)で汚(けが)されている」。 25もし、あなたが律法(りっぽう)を行(おこな)うなら、なるほど、割礼(かつれい)は役(やく)に立(た)とう。しかし、もし律法(りっぽう)を犯(おか)すなら、あなたの割礼(かつれい)は無(む)割礼(かつれい)となってしまう。 26だから、もし無(む)割礼(かつれい)の者(もの)が律法(りっぽう)の規定(きてい)を守(まも)るなら、その無(む)割礼(かつれい)は割礼(かつれい)と見(み)なされるではないか。 27かつ、生(うま)れながら無(む)割礼(かつれい)の者(もの)であって律法(りっぽう)を全(まっと)うする者(もの)は、律法(りっぽう)の文字(もんじ)と割礼(かつれい)とを持(も)ちながら律法(りっぽう)を犯(おか)しているあなたを、さばくのである。 28というのは、外見(がいけん)上(うえ)のユダヤ人(じん)がユダヤ人(じん)ではなく、また、外見(がいけん)上(うえ)の肉(にく)における割礼(かつれい)が割礼(かつれい)でもない。 29かえって、隠(かく)れたユダヤ人(じん)がユダヤ人(じん)であり、また、文字(もんじ)によらず霊(れい)による心(こころ)の割礼(かつれい)こそ割礼(かつれい)であって、そのほまれは人(ひと)からではなく、神(かみ)から来(く)るのである。

第三章

1では、ユダヤ人(じん)のすぐれている点(てん)は何(なに)か。また割礼(かつれい)の益(えき)は何(なに)か。 2それは、いろいろの点(てん)で数多(かずおお)くある。まず第(だい)一に、神(かみ)の言(ことば)が彼(かれ)らにゆだねられたことである。 3すると、どうなるのか。もし、彼(かれ)らのうちに不(ふ)真実(しんじつ)の者(もの)があったとしたら、その不(ふ)真実(しんじつ)によって、神(かみ)の真実(しんじつ)は無(む)になるであろうか。 4断(だん)じてそうではない。あらゆる人(ひと)を偽(いつわ)り者(もの)としても、神(かみ)を真実(しんじつ)なものとすべきである。それは、
「あなたが言葉(ことば)を述(の)べるときは、義(ぎ)とせられ、
あなたがさばきを受(う)けるとき、勝利(しょうり)を得(え)るため」
と書(か)いてあるとおりである。

5しかし、もしわたしたちの不義(ふぎ)が、神(かみ)の義(ぎ)を明(あき)らかにするとしたら、なんと言(い)うべきか。怒(いか)りを下(くだ)す神(かみ)は、不義(ふぎ)であると言(い)うのか(これは人間(にんげん)的(てき)な言(い)い方(かた)ではある)。 6断(だん)じてそうではない。もしそうであったら、神(かみ)はこの世(よ)を、どうさばかれるだろうか。 7しかし、もし神(かみ)の真実(しんじつ)が、わたしの偽(いつわ)りによりいっそう明(あき)らかにされて、神(かみ)の栄光(えいこう)となるなら、どうして、わたしはなおも罪人(つみびと)としてさばかれるのだろうか。 8むしろ、「善(ぜん)をきたらせるために、わたしたちは悪(あく)をしようではないか」(わたしたちがそう言(い)っていると、ある人々(ひとびと)はそしっている)。彼(かれ)らが罰(ばっ)せられるのは当然(とうぜん)である。

9すると、どうなるのか。わたしたちには何(なに)かまさったところがあるのか。絶対(ぜったい)にない。ユダヤ人(じん)もギリシヤ人(じん)も、ことごとく罪(つみ)の下(もと)にあることを、わたしたちはすでに指摘(してき)した。 10次(つぎ)のように書(か)いてある、
「義人(ぎじん)はいない、ひとりもいない。
11悟(さと)りのある人(ひと)はいない、
神(かみ)を求(もと)める人(ひと)はいない。
12すべての人(ひと)は迷(まよ)い出(で)て、
ことごとく無益(むえき)なものになっている。
善(ぜん)を行(おこな)う者(もの)はいない、
ひとりもいない。
13彼(かれ)らののどは、開(ひら)いた墓(はか)であり、
彼(かれ)らは、その舌(した)で人(ひと)を欺(あざむ)き、
彼(かれ)らのくちびるには、まむしの毒(どく)があり、
14彼(かれ)らの口(くち)は、のろいと苦(にが)い言葉(ことば)とで満(み)ちている。
15彼(かれ)らの足(あし)は、血(ち)を流(なが)すのに速(はや)く、
16彼(かれ)らの道(みち)には、破壊(はかい)と悲惨(ひさん)とがある。
17そして、彼(かれ)らは平和(へいわ)の道(みち)を知(し)らない。

18彼(かれ)らの目(め)の前(まえ)には、神(かみ)に対(たい)する恐(おそ)れがない」。 19さて、わたしたちが知(し)っているように、すべて律法(りっぽう)の言(い)うところは、律法(りっぽう)のもとにある者(もの)たちに対(たい)して語(かた)られている。それは、すべての口(くち)がふさがれ、全(ぜん)世界(せかい)が神(かみ)のさばきに服(ふく)するためである。 20なぜなら、律法(りっぽう)を行(おこな)うことによっては、すべての人間(にんげん)は神(かみ)の前(まえ)に義(ぎ)とせられないからである。律法(りっぽう)によっては、罪(つみ)の自覚(じかく)が生(しょう)じるのみである。

21しかし今(いま)や、神(かみ)の義(ぎ)が、律法(りっぽう)とは別(べつ)に、しかも律法(りっぽう)と預言者(よげんしゃ)とによってあかしされて、現(あらわ)された。 22それは、イエス・キリストを信(しん)じる信仰(しんこう)による神(かみ)の義(ぎ)であって、すべて信(しん)じる人(ひと)に与(あた)えられるものである。そこにはなんらの差別(さべつ)もない。 23すなわち、すべての人(ひと)は罪(つみ)を犯(おか)したため、神(かみ)の栄光(えいこう)を受(う)けられなくなっており、 24彼(かれ)らは、価(あたい)なしに、神(かみ)の恵(めぐ)みにより、キリスト・イエスによるあがないによって義(ぎ)とされるのである。 25神(かみ)はこのキリストを立(た)てて、その血(ち)による、信仰(しんこう)をもって受(う)くべきあがないの供(そな)え物(もの)とされた。それは神(かみ)の義(ぎ)を示(しめ)すためであった。すなわち、今(いま)までに犯(おか)された罪(つみ)を、神(かみ)は忍耐(にんたい)をもって見(み)のがしておられたが、 26それは、今(いま)の時(とき)に、神(かみ)の義(ぎ)を示(しめ)すためであった。こうして、神(かみ)みずからが義(ぎ)となり、さらに、イエスを信(しん)じる者(もの)を義(ぎ)とされるのである。 27すると、どこにわたしたちの誇(ほこり)があるのか。全(まった)くない。なんの法則(ほうそく)によってか。行(おこな)いの法則(ほうそく)によってか。そうではなく、信仰(しんこう)の法則(ほうそく)によってである。 28わたしたちは、こう思(おも)う。人(ひと)が義(ぎ)とされるのは、律法(りっぽう)の行(おこな)いによるのではなく、信仰(しんこう)によるのである。 29それとも、神(かみ)はユダヤ人(じん)だけの神(かみ)であろうか。また、異邦人(いほうじん)の神(かみ)であるのではないか。確(たし)かに、異邦人(いほうじん)の神(かみ)でもある。 30まことに、神(かみ)は唯一(ゆいいつ)であって、割礼(かつれい)のある者(もの)を信仰(しんこう)によって義(ぎ)とし、また、無(む)割礼(かつれい)の者(もの)をも信仰(しんこう)のゆえに義(ぎ)とされるのである。 31すると、信仰(しんこう)のゆえに、わたしたちは律法(りっぽう)を無効(むこう)にするのであるか。断(だん)じてそうではない。かえって、それによって律法(りっぽう)を確立(かくりつ)するのである。

第四章

1それでは、肉(にく)によるわたしたちの先祖(せんぞ)アブラハムの場合(ばあい)については、なんと言(い)ったらよいか。 2もしアブラハムが、その行(おこな)いによって義(ぎ)とされたのであれば、彼(かれ)は誇(ほこ)ることができよう。しかし、神(かみ)のみまえでは、できない。 3なぜなら、聖書(せいしょ)はなんと言(い)っているか、「アブラハムは神(かみ)を信(しん)じた。それによって、彼(かれ)は義(ぎ)と認(みと)められた」とある。 4いったい、働(はたら)く人(ひと)に対(たい)する報酬(ほうしゅう)は、恩恵(おんけい)としてではなく、当然(とうぜん)の支払(しはら)いとして認(みと)められる。 5しかし、働(はたら)きはなくても、不信心(ふしんじん)な者(もの)を義(ぎ)とするかたを信(しん)じる人(ひと)は、その信仰(しんこう)が義(ぎ)と認(みと)められるのである。 6ダビデもまた、行(おこな)いがなくても神(かみ)に義(ぎ)と認(みと)められた人(ひと)の幸福(こうふく)について、次(つぎ)のように言(い)っている、
7「不法(ふほう)をゆるされ、罪(つみ)をおおわれた人(ひと)たちは、
さいわいである。
8罪(つみ)を主(しゅ)に認(みと)められない人(ひと)は、さいわいである」。

9さて、この幸福(こうふく)は、割礼(かつれい)の者(もの)だけが受(う)けるのか。それとも、無(む)割礼(かつれい)の者(もの)にも及(およ)ぶのか。わたしたちは言(い)う、「アブラハムには、その信仰(しんこう)が義(ぎ)と認(みと)められた」のである。 10それでは、どういう場合(ばあい)にそう認(みと)められたのか。割礼(かつれい)を受(う)けてからか、それとも受(う)ける前(まえ)か。割礼(かつれい)を受(う)けてからではなく、無(む)割礼(かつれい)の時(とき)であった。 11そして、アブラハムは割礼(かつれい)というしるしを受(う)けたが、それは、無(む)割礼(かつれい)のままで信仰(しんこう)によって受(う)けた義(ぎ)の証印(しょういん)であって、彼(かれ)が、無(む)割礼(かつれい)のままで信(しん)じて義(ぎ)とされるに至(いた)るすべての人(ひと)の父(ちち)となり、 12かつ、割礼(かつれい)の者(もの)の父(ちち)となるためなのである。割礼(かつれい)の者(もの)というのは、割礼(かつれい)を受(う)けた者(もの)ばかりではなく、われらの父(ちち)アブラハムが無(む)割礼(かつれい)の時(とき)に持(も)っていた信仰(しんこう)の足跡(あしあと)を踏(ふ)む人々(ひとびと)をもさすのである。 13なぜなら、世界(せかい)を相続(そうぞく)させるとの約束(やくそく)が、アブラハムとその子孫(しそん)とに対(たい)してなされたのは、律法(りっぽう)によるのではなく、信仰(しんこう)の義(ぎ)によるからである。 14もし、律法(りっぽう)に立(た)つ人々(ひとびと)が相続人(そうぞくにん)であるとすれば、信仰(しんこう)はむなしくなり、約束(やくそく)もまた無効(むこう)になってしまう。 15いったい、律法(りっぽう)は怒(いか)りを招(まね)くものであって、律法(りっぽう)のないところには違反(いはん)なるものはない。 16このようなわけで、すべては信仰(しんこう)によるのである。それは恵(めぐ)みによるのであって、すべての子孫(しそん)に、すなわち、律法(りっぽう)に立(た)つ者(もの)だけにではなく、アブラハムの信仰(しんこう)に従(したが)う者(もの)にも、この約束(やくそく)が保証(ほしょう)されるのである。アブラハムは、神(かみ)の前(まえ)で、わたしたちすべての者(もの)の父(ちち)であって、 17「わたしは、あなたを立(た)てて多(おお)くの国民(こくみん)の父(ちち)とした」と書(か)いてあるとおりである。彼(かれ)はこの神(かみ)、すなわち、死人(しにん)を生(い)かし、無(む)から有(ゆう)を呼(よ)び出(だ)される神(かみ)を信(しん)じたのである。 18彼(かれ)は望(のぞ)み得(え)ないのに、なおも望(のぞ)みつつ信(しん)じた。そのために、「あなたの子孫(しそん)はこうなるであろう」と言(い)われているとおり、多(おお)くの国民(こくみん)の父(ちち)となったのである。 19すなわち、およそ百歳(さい)となって、彼(かれ)自身(じしん)のからだが死(し)んだ状態(じょうたい)であり、また、サラの胎(たい)が不妊(ふにん)であるのを認(みと)めながらも、なお彼(かれ)の信仰(しんこう)は弱(よわ)らなかった。 20彼(かれ)は、神(かみ)の約束(やくそく)を不(ふ)信仰(しんこう)のゆえに疑(うたが)うようなことはせず、かえって信仰(しんこう)によって強(つよ)められ、栄光(えいこう)を神(かみ)に帰(き)し、 21神(かみ)はその約束(やくそく)されたことを、また成就(じょうじゅ)することができると確信(かくしん)した。 22だから、彼(かれ)は義(ぎ)と認(みと)められたのである。 23しかし「義(ぎ)と認(みと)められた」と書(か)いてあるのは、アブラハムのためだけではなく、 24わたしたちのためでもあって、わたしたちの主(しゅ)イエスを死人(しにん)の中(なか)からよみがえらせたかたを信(しん)じるわたしたちも、義(ぎ)と認(みと)められるのである。 25主(しゅ)は、わたしたちの罪過(ざいか)のために死(し)に渡(わた)され、わたしたちが義(ぎ)とされるために、よみがえらされたのである。

第五章

1このように、わたしたちは、信仰(しんこう)によって義(ぎ)とされたのだから、わたしたちの主(しゅ)イエス・キリストにより、神(かみ)に対(たい)して平和(へいわ)を得(え)ている。 2わたしたちは、さらに彼(かれ)により、いま立(た)っているこの恵(めぐ)みに信仰(しんこう)によって導(みちび)き入(い)れられ、そして、神(かみ)の栄光(えいこう)にあずかる希望(きぼう)をもって喜(よろこ)んでいる。 3それだけではなく、患難(かんなん)をも喜(よろこ)んでいる。なぜなら、患難(かんなん)は忍耐(にんたい)を生(う)み出(だ)し、 4忍耐(にんたい)は錬達(れんたつ)を生(う)み出(だ)し、錬達(れんたつ)は希望(きぼう)を生(う)み出(だ)すことを、知(し)っているからである。 5そして、希望(きぼう)は失望(しつぼう)に終(おわ)ることはない。なぜなら、わたしたちに賜(たま)わっている聖霊(せいれい)によって、神(かみ)の愛(あい)がわたしたちの心(こころ)に注(そそ)がれているからである。 6わたしたちがまだ弱(よわ)かったころ、キリストは、時(とき)いたって、不信心(ふしんじん)な者(もの)たちのために死(し)んで下(くだ)さったのである。 7正(ただ)しい人(ひと)のために死(し)ぬ者(もの)は、ほとんどいないであろう。善人(ぜんにん)のためには、進(すす)んで死(し)ぬ者(もの)もあるいはいるであろう。 8しかし、まだ罪人(つみびと)であった時(とき)、わたしたちのためにキリストが死(し)んで下(くだ)さったことによって、神(かみ)はわたしたちに対(たい)する愛(あい)を示(しめ)されたのである。 9わたしたちは、キリストの血(ち)によって今(いま)は義(ぎ)とされているのだから、なおさら、彼(かれ)によって神(かみ)の怒(いか)りから救(すく)われるであろう。 10もし、わたしたちが敵(てき)であった時(とき)でさえ、御子(みこ)の死(し)によって神(かみ)との和解(わかい)を受(う)けたとすれば、和解(わかい)を受(う)けている今(いま)は、なおさら、彼(かれ)のいのちによって救(すく)われるであろう。 11そればかりではなく、わたしたちは、今(いま)や和解(わかい)を得(え)させて下(くだ)さったわたしたちの主(しゅ)イエス・キリストによって、神(かみ)を喜(よろこ)ぶのである。

12このようなわけで、ひとりの人(ひと)によって、罪(つみ)がこの世(よ)にはいり、また罪(つみ)によって死(し)がはいってきたように、こうして、すべての人(ひと)が罪(つみ)を犯(おか)したので、死(し)が全(ぜん)人類(じんるい)にはいり込(こ)んだのである。 13というのは、律法(りっぽう)以前(いぜん)にも罪(つみ)は世(よ)にあったが、律法(りっぽう)がなければ、罪(つみ)は罪(つみ)として認(みと)められないのである。 14しかし、アダムからモーセまでの間(あいだ)においても、アダムの違反(いはん)と同(おな)じような罪(つみ)を犯(おか)さなかった者(もの)も、死(し)の支配(しはい)を免(まぬが)れなかった。このアダムは、きたるべき者(もの)の型(かた)である。 15しかし、恵(めぐ)みの賜物(たまもの)は罪過(ざいか)の場合(ばあい)とは異(こと)なっている。すなわち、もしひとりの罪過(ざいか)のために多(おお)くの人(ひと)が死(し)んだとすれば、まして、神(かみ)の恵(めぐ)みと、ひとりの人(ひと)イエス・キリストの恵(めぐ)みによる賜物(たまもの)とは、さらに豊(ゆた)かに多(おお)くの人々(ひとびと)に満(み)ちあふれたはずではないか。 16かつ、この賜物(たまもの)は、ひとりの犯(おか)した罪(つみ)の結果(けっか)とは異(こと)なっている。なぜなら、さばきの場合(ばあい)は、ひとりの罪過(ざいか)から、罪(つみ)に定(さだ)めることになったが、恵(めぐ)みの場合(ばあい)には、多(おお)くの人(ひと)の罪過(ざいか)から、義(ぎ)とする結果(けっか)になるからである。 17もし、ひとりの罪過(ざいか)によって、そのひとりをとおして死(し)が支配(しはい)するに至(いた)ったとすれば、まして、あふれるばかりの恵(めぐ)みと義(ぎ)の賜物(たまもの)とを受(う)けている者(もの)たちは、ひとりのイエス・キリストをとおし、いのちにあって、さらに力強(ちからづよ)く支配(しはい)するはずではないか。 18このようなわけで、ひとりの罪過(ざいか)によってすべての人(ひと)が罪(つみ)に定(さだ)められたように、ひとりの義(ぎ)なる行為(こうい)によって、いのちを得(え)させる義(ぎ)がすべての人(ひと)に及(およ)ぶのである。 19すなわち、ひとりの人(ひと)の不(ふ)従順(じゅうじゅん)によって、多(おお)くの人(ひと)が罪人(つみびと)とされたと同(おな)じように、ひとりの従順(じゅうじゅん)によって、多(おお)くの人(ひと)が義人(ぎじん)とされるのである。 20律法(りっぽう)がはいり込(こ)んできたのは、罪過(ざいか)の増(ま)し加(くわ)わるためである。しかし、罪(つみ)の増(ま)し加(くわ)わったところには、恵(めぐ)みもますます満(み)ちあふれた。 21それは、罪(つみ)が死(し)によって支配(しはい)するに至(いた)ったように、恵(めぐ)みもまた義(ぎ)によって支配(しはい)し、わたしたちの主(しゅ)イエス・キリストにより、永遠(えいえん)のいのちを得(え)させるためである。

第六章

1では、わたしたちは、なんと言(い)おうか。恵(めぐ)みが増(ま)し加(くわ)わるために、罪(つみ)にとどまるべきであろうか。 2断(だん)じてそうではない。罪(つみ)に対(たい)して死(し)んだわたしたちが、どうして、なお、その中(なか)に生(い)きておれるだろうか。 3それとも、あなたがたは知(し)らないのか。キリスト・イエスにあずかるバプテスマを受(う)けたわたしたちは、彼(かれ)の死(し)にあずかるバプテスマを受(う)けたのである。 4すなわち、わたしたちは、その死(し)にあずかるバプテスマによって、彼(かれ)と共(とも)に葬(ほうむ)られたのである。それは、キリストが父(ちち)の栄光(えいこう)によって、死人(しにん)の中(なか)からよみがえらされたように、わたしたちもまた、新(あたら)しいいのちに生(い)きるためである。 5もしわたしたちが、彼(かれ)に結(むす)びついてその死(し)の様(さま)にひとしくなるなら、さらに、彼(かれ)の復活(ふっかつ)の様(さま)にもひとしくなるであろう。 6わたしたちは、この事(こと)を知(し)っている。わたしたちの内(うち)の古(ふる)き人(ひと)はキリストと共(とも)に十字架(じゅうじか)につけられた。それは、この罪(つみ)のからだが滅(ほろ)び、わたしたちがもはや、罪(つみ)の奴隷(どれい)となることがないためである。 7それは、すでに死(し)んだ者(もの)は、罪(つみ)から解放(かいほう)されているからである。 8もしわたしたちが、キリストと共(とも)に死(し)んだなら、また彼(かれ)と共(とも)に生(い)きることを信(しん)じる。 9キリストは死人(しにん)の中(なか)からよみがえらされて、もはや死(し)ぬことがなく、死(し)はもはや彼(かれ)を支配(しはい)しないことを、知(し)っているからである。 10なぜなら、キリストが死(し)んだのは、ただ一度(ど)罪(つみ)に対(たい)して死(し)んだのであり、キリストが生(い)きるのは、神(かみ)に生(い)きるのだからである。 11このように、あなたがた自身(じしん)も、罪(つみ)に対(たい)して死(し)んだ者(もの)であり、キリスト・イエスにあって神(かみ)に生(い)きている者(もの)であることを、認(みと)むべきである。 12だから、あなたがたの死(し)ぬべきからだを罪(つみ)の支配(しはい)にゆだねて、その情欲(じょうよく)に従(したが)わせることをせず、 13また、あなたがたの肢体(したい)を不義(ふぎ)の武器(ぶき)として罪(つみ)にささげてはならない。むしろ、死人(しにん)の中(なか)から生(い)かされた者(もの)として、自分(じぶん)自身(じしん)を神(かみ)にささげ、自分(じぶん)の肢体(したい)を義(ぎ)の武器(ぶき)として神(かみ)にささげるがよい。 14なぜなら、あなたがたは律法(りっぽう)の下(もと)にあるのではなく、恵(めぐ)みの下(もと)にあるので、罪(つみ)に支配(しはい)されることはないからである。

15それでは、どうなのか。律法(りっぽう)の下(もと)にではなく、恵(めぐ)みの下(もと)にあるからといって、わたしたちは罪(つみ)を犯(おか)すべきであろうか。断(だん)じてそうではない。 16あなたがたは知(し)らないのか。あなたがた自身(じしん)が、だれかの僕(しもべ)になって服従(ふくじゅう)するなら、あなたがたは自分(じぶん)の服従(ふくじゅう)するその者(もの)の僕(しもべ)であって、死(し)に至(いた)る罪(つみ)の僕(しもべ)ともなり、あるいは、義(ぎ)にいたる従順(じゅうじゅん)の僕(しもべ)ともなるのである。 17しかし、神(かみ)は感謝(かんしゃ)すべきかな。あなたがたは罪(つみ)の僕(しもべ)であったが、伝(つた)えられた教(おしえ)の基準(きじゅん)に心(こころ)から服従(ふくじゅう)して、 18罪(つみ)から解放(かいほう)され、義(ぎ)の僕(しもべ)となった。 19わたしは人間(にんげん)的(てき)な言(い)い方(かた)をするが、それは、あなたがたの肉(にく)の弱(よわ)さのゆえである。あなたがたは、かつて自分(じぶん)の肢体(したい)を汚(けが)れと不法(ふほう)との僕(しもべ)としてささげて不法(ふほう)に陥(おちい)ったように、今(いま)や自分(じぶん)の肢体(したい)を義(ぎ)の僕(しもべ)としてささげて、きよくならねばならない。 20あなたがたが罪(つみ)の僕(しもべ)であった時(とき)は、義(ぎ)とは縁(えん)のない者(もの)であった。 21その時(とき)あなたがたは、どんな実(み)を結(むす)んだのか。それは、今(いま)では恥(はじ)とするようなものであった。それらのものの終極(しゅうきょく)は、死(し)である。 22しかし今(いま)や、あなたがたは罪(つみ)から解放(かいほう)されて神(かみ)に仕(つか)え、きよきに至(いた)る実(み)を結(むす)んでいる。その終極(しゅうきょく)は永遠(えいえん)のいのちである。 23罪(つみ)の支払(しはら)う報酬(ほうしゅう)は死(し)である。しかし神(かみ)の賜物(たまもの)は、わたしたちの主(しゅ)キリスト・イエスにおける永遠(えいえん)のいのちである。

第七章

1それとも、兄弟(きょうだい)たちよ。あなたがたは知(し)らないのか。わたしは律法(りっぽう)を知(し)っている人々(ひとびと)に語(かた)るのであるが、律法(りっぽう)は人(ひと)をその生(い)きている期間(きかん)だけ支配(しはい)するものである。 2すなわち、夫(おっと)のある女(おんな)は、夫(おっと)が生(い)きている間(あいだ)は、律法(りっぽう)によって彼(かれ)につながれている。しかし、夫(おっと)が死(し)ねば、夫(おっと)の律法(りっぽう)から解放(かいほう)される。 3であるから、夫(おっと)の生存(せいぞん)中(ちゅう)に他(た)の男(おとこ)に行(い)けば、その女(おんな)は淫婦(いんぷ)と呼(よ)ばれるが、もし夫(おっと)が死(し)ねば、その律法(りっぽう)から解(と)かれるので、他(た)の男(おとこ)に行(い)っても、淫婦(いんぷ)とはならない。 4わたしの兄弟(きょうだい)たちよ。このように、あなたがたも、キリストのからだをとおして、律法(りっぽう)に対(たい)して死(し)んだのである。それは、あなたがたが他(た)の人(ひと)、すなわち、死人(しにん)の中(なか)からよみがえられたかたのものとなり、こうして、わたしたちが神(かみ)のために実(み)を結(むす)ぶに至(いた)るためなのである。 5というのは、わたしたちが肉(にく)にあった時(とき)には、律法(りっぽう)による罪(つみ)の欲情(よくじょう)が、死(し)のために実(み)を結(むす)ばせようとして、わたしたちの肢体(したい)のうちに働(はたら)いていた。 6しかし今(いま)は、わたしたちをつないでいたものに対(たい)して死(し)んだので、わたしたちは律法(りっぽう)から解放(かいほう)され、その結果(けっか)、古(ふる)い文字(もんじ)によってではなく、新(あたら)しい霊(れい)によって仕(つか)えているのである。

7それでは、わたしたちは、なんと言(い)おうか。律法(りっぽう)は罪(つみ)なのか。断(だん)じてそうではない。しかし、律法(りっぽう)によらなければ、わたしは罪(つみ)を知(し)らなかったであろう。すなわち、もし律法(りっぽう)が「むさぼるな」と言(い)わなかったら、わたしはむさぼりなるものを知(し)らなかったであろう。 8しかるに、罪(つみ)は戒(いまし)めによって機会(きかい)を捕(とら)え、わたしの内(うち)に働(はたら)いて、あらゆるむさぼりを起(おこ)させた。すなわち、律法(りっぽう)がなかったら、罪(つみ)は死(し)んでいるのである。 9わたしはかつては、律法(りっぽう)なしに生(い)きていたが、戒(いまし)めが来(く)るに及(およ)んで、罪(つみ)は生(い)き返(かえ)り、 10わたしは死(し)んだ。そして、いのちに導(みちび)くべき戒(いまし)めそのものが、かえってわたしを死(し)に導(みちび)いて行(い)くことがわかった。 11なぜなら、罪(つみ)は戒(いまし)めによって機会(きかい)を捕(とら)え、わたしを欺(あざむ)き、戒(いまし)めによってわたしを殺(ころ)したからである。 12このようなわけで、律法(りっぽう)そのものは聖(せい)なるものであり、戒(いまし)めも聖(せい)であって、正(ただ)しく、かつ善(ぜん)なるものである。 13では、善(ぜん)なるものが、わたしにとって死(し)となったのか。断(だん)じてそうではない。それはむしろ、罪(つみ)の罪(つみ)たることが現(あらわ)れるための、罪(つみ)のしわざである。すなわち、罪(つみ)は、戒(いまし)めによって、はなはだしく悪性(あくせい)なものとなるために、善(ぜん)なるものによってわたしを死(し)に至(いた)らせたのである。 14わたしたちは、律法(りっぽう)は霊的(れいてき)なものであると知(し)っている。しかし、わたしは肉(にく)につける者(もの)であって、罪(つみ)の下(もと)に売(う)られているのである。 15わたしは自分(じぶん)のしていることが、わからない。なぜなら、わたしは自分(じぶん)の欲(ほっ)する事(こと)は行(おこな)わず、かえって自分(じぶん)の憎(にく)む事(こと)をしているからである。 16もし、自分(じぶん)の欲(ほっ)しない事(こと)をしているとすれば、わたしは律法(りっぽう)が良(よ)いものであることを承認(しょうにん)していることになる。 17そこで、この事(こと)をしているのは、もはやわたしではなく、わたしの内(うち)に宿(やど)っている罪(つみ)である。 18わたしの内(うち)に、すなわち、わたしの肉(にく)の内(うち)には、善(ぜん)なるものが宿(やど)っていないことを、わたしは知(し)っている。なぜなら、善(ぜん)をしようとする意志(いし)は、自分(じぶん)にあるが、それをする力(ちから)がないからである。 19すなわち、わたしの欲(ほっ)している善(ぜん)はしないで、欲(ほっ)していない悪(あく)は、これを行(おこな)っている。 20もし、欲(ほっ)しないことをしているとすれば、それをしているのは、もはやわたしではなく、わたしの内(うち)に宿(やど)っている罪(つみ)である。 21そこで、善(ぜん)をしようと欲(ほっ)しているわたしに、悪(あく)がはいり込(こ)んでいるという法則(ほうそく)があるのを見(み)る。 22すなわち、わたしは、内(うち)なる人(ひと)としては神(かみ)の律法(りっぽう)を喜(よろこ)んでいるが、 23わたしの肢体(したい)には別(べつ)の律法(りっぽう)があって、わたしの心(こころ)の法則(ほうそく)に対(たい)して戦(たたか)いをいどみ、そして、肢体(したい)に存在(そんざい)する罪(つみ)の法則(ほうそく)の中(なか)に、わたしをとりこにしているのを見(み)る。 24わたしは、なんというみじめな人間(にんげん)なのだろう。だれが、この死(し)のからだから、わたしを救(すく)ってくれるだろうか。 25わたしたちの主(しゅ)イエス・キリストによって、神(かみ)は感謝(かんしゃ)すべきかな。このようにして、わたし自身(じしん)は、心(こころ)では神(かみ)の律法(りっぽう)に仕(つか)えているが、肉(にく)では罪(つみ)の律法(りっぽう)に仕(つか)えているのである。

第八章

1こういうわけで、今(いま)やキリスト・イエスにある者(もの)は罪(つみ)に定(さだ)められることがない。 2なぜなら、キリスト・イエスにあるいのちの御霊(みたま)の法則(ほうそく)は、罪(つみ)と死(し)との法則(ほうそく)からあなたを解放(かいほう)したからである。 3律法(りっぽう)が肉(にく)により無力(むりょく)になっているためになし得(え)なかった事(こと)を、神(かみ)はなし遂(と)げて下(くだ)さった。すなわち、御子(みこ)を、罪(つみ)の肉(にく)の様(さま)で罪(つみ)のためにつかわし、肉(にく)において罪(つみ)を罰(ばっ)せられたのである。 4これは律法(りっぽう)の要求(ようきゅう)が、肉(にく)によらず霊(れい)によって歩(ある)くわたしたちにおいて、満(み)たされるためである。 5なぜなら、肉(にく)に従(したが)う者(もの)は肉(にく)のことを思(おも)い、霊(れい)に従(したが)う者(もの)は霊(れい)のことを思(おも)うからである。 6肉(にく)の思(おも)いは死(し)であるが、霊(れい)の思(おも)いは、いのちと平安(へいあん)とである。 7なぜなら、肉(にく)の思(おも)いは神(かみ)に敵(てき)するからである。すなわち、それは神(かみ)の律法(りっぽう)に従(したが)わず、否(いな)、従(したが)い得(え)ないのである。 8また、肉(にく)にある者(もの)は、神(かみ)を喜(よろこ)ばせることができない。 9しかし、神(かみ)の御霊(みたま)があなたがたの内(うち)に宿(やど)っているなら、あなたがたは肉(にく)におるのではなく、霊(れい)におるのである。もし、キリストの霊(れい)を持(も)たない人(ひと)がいるなら、その人(ひと)はキリストのものではない。 10もし、キリストがあなたがたの内(うち)におられるなら、からだは罪(つみ)のゆえに死(し)んでいても、霊(れい)は義(ぎ)のゆえに生(い)きているのである。 11もし、イエスを死人(しにん)の中(なか)からよみがえらせたかたの御霊(みたま)が、あなたがたの内(うち)に宿(やど)っているなら、キリスト・イエスを死人(しにん)の中(なか)からよみがえらせたかたは、あなたがたの内(うち)に宿(やど)っている御霊(みたま)によって、あなたがたの死(し)ぬべきからだをも、生(い)かしてくださるであろう。

12それゆえに、兄弟(きょうだい)たちよ。わたしたちは、果(はた)すべき責任(せきにん)を負(お)っている者(もの)であるが、肉(にく)に従(したが)って生(い)きる責任(せきにん)を肉(にく)に対(たい)して負(お)っているのではない。 13なぜなら、もし、肉(にく)に従(したが)って生(い)きるなら、あなたがたは死(し)ぬ外(ほか)はないからである。しかし、霊(れい)によってからだの働(はたら)きを殺(ころ)すなら、あなたがたは生(い)きるであろう。 14すべて神(かみ)の御霊(みたま)に導(みちび)かれている者(もの)は、すなわち、神(かみ)の子(こ)である。 15あなたがたは再(ふたた)び恐(おそ)れをいだかせる奴隷(どれい)の霊(れい)を受(う)けたのではなく、子(こ)たる身分(みぶん)を授(さづ)ける霊(れい)を受(う)けたのである。その霊(れい)によって、わたしたちは「アバ、父(ちち)よ」と呼(よ)ぶのである。 16御霊(みたま)みずから、わたしたちの霊(れい)と共(とも)に、わたしたちが神(かみ)の子(こ)であることをあかしして下(くだ)さる。 17もし子(こ)であれば、相続人(そうぞくにん)でもある。神(かみ)の相続人(そうぞくにん)であって、キリストと栄光(えいこう)を共(とも)にするために苦難(くなん)をも共(とも)にしている以上(いじょう)、キリストと共同(きょうどう)の相続人(そうぞくにん)なのである。

18わたしは思(おも)う。今(いま)のこの時(とき)の苦(くる)しみは、やがてわたしたちに現(あらわ)されようとする栄光(えいこう)に比(くら)べると、言(い)うに足(た)りない。 19被(ひ)造物(ぞうぶつ)は、実(じつ)に、切(せつ)なる思(おも)いで神(かみ)の子(こ)たちの出現(しゅつげん)を待(ま)ち望(のぞ)んでいる。 20なぜなら、被(ひ)造物(ぞうぶつ)が虚無(きょむ)に服(ふく)したのは、自分(じぶん)の意志(いし)によるのではなく、服従(ふくじゅう)させたかたによるのであり、 21かつ、被(ひ)造物(ぞうぶつ)自身(じしん)にも、滅(ほろ)びのなわめから解放(かいほう)されて、神(かみ)の子(こ)たちの栄光(えいこう)の自由(じゆう)に入(はい)る望(のぞ)みが残(のこ)されているからである。 22実(じつ)に、被(ひ)造物(ぞうぶつ)全体(ぜんたい)が、今(いま)に至(いた)るまで、共(とも)にうめき共(とも)に産(う)みの苦(くる)しみを続(つづ)けていることを、わたしたちは知(し)っている。 23それだけではなく、御霊(みたま)の最初(さいしょ)の実(み)を持(も)っているわたしたち自身(じしん)も、心(こころ)の内(うち)でうめきながら、子(こ)たる身分(みぶん)を授(さづ)けられること、すなわち、からだのあがなわれることを待(ま)ち望(のぞ)んでいる。 24わたしたちは、この望(のぞ)みによって救(すく)われているのである。しかし、目(め)に見(み)える望(のぞ)みは望(のぞ)みではない。なぜなら、現(げん)に見(み)ている事(こと)を、どうして、なお望(のぞ)む人(ひと)があろうか。 25もし、わたしたちが見(み)ないことを望(のぞ)むなら、わたしたちは忍耐(にんたい)して、それを待(ま)ち望(のぞ)むのである。

26御霊(みたま)もまた同(おな)じように、弱(よわ)いわたしたちを助(たす)けて下(くだ)さる。なぜなら、わたしたちはどう祈(いの)ったらよいかわからないが、御霊(みたま)みずから、言葉(ことば)にあらわせない切(せつ)なるうめきをもって、わたしたちのためにとりなして下(くだ)さるからである。 27そして、人(ひと)の心(こころ)を探(さぐ)り知(し)るかたは、御霊(みたま)の思(おも)うところがなんであるかを知(し)っておられる。なぜなら、御霊(みたま)は、聖徒(せいと)のために、神(かみ)の御旨(みむね)にかなうとりなしをして下(くだ)さるからである。 28神(かみ)は、神(かみ)を愛(あい)する者(もの)たち、すなわち、ご計画(けいかく)に従(したが)って召(め)された者(もの)たちと共(とも)に働(はたら)いて、万事(ばんじ)を益(えき)となるようにして下(くだ)さることを、わたしたちは知(し)っている。 29神(かみ)はあらかじめ知(し)っておられる者(もの)たちを、更(さら)に御子(みこ)のかたちに似(に)たものとしようとして、あらかじめ定(さだ)めて下(くだ)さった。それは、御子(みこ)を多(おお)くの兄弟(きょうだい)の中(なか)で長子(ちょうし)とならせるためであった。 30そして、あらかじめ定(さだ)めた者(もの)たちを更(さら)に召(め)し、召(め)した者(もの)たちを更(さら)に義(ぎ)とし、義(ぎ)とした者(もの)たちには、更(さら)に栄光(えいこう)を与(あた)えて下(くだ)さったのである。

31それでは、これらの事(こと)について、なんと言(い)おうか。もし、神(かみ)がわたしたちの味方(みかた)であるなら、だれがわたしたちに敵(てき)し得(え)ようか。 32ご自身(じしん)の御子(みこ)をさえ惜(お)しまないで、わたしたちすべての者(もの)のために死(し)に渡(わた)されたかたが、どうして、御子(みこ)のみならず万物(ばんぶつ)をも賜(たま)わらないことがあろうか。 33だれが、神(かみ)の選(えら)ばれた者(もの)たちを訴(うった)えるのか。神(かみ)は彼(かれ)らを義(ぎ)とされるのである。 34だれが、わたしたちを罪(つみ)に定(さだ)めるのか。キリスト・イエスは、死(し)んで、否(いな)、よみがえって、神(かみ)の右(みぎ)に座(ざ)し、また、わたしたちのためにとりなして下(くだ)さるのである。 35だれが、キリストの愛(あい)からわたしたちを離(はな)れさせるのか。患難(かんなん)か、苦悩(くのう)か、迫害(はくがい)か、飢(う)えか、裸(はだか)か、危難(きなん)か、剣(つるぎ)か。
36「わたしたちはあなたのために終日(しゅうじつ)、
死(し)に定(さだ)められており、
ほふられる羊(ひつじ)のように見(み)られている」
と書(か)いてあるとおりである。 37しかし、わたしたちを愛(あい)して下(くだ)さったかたによって、わたしたちは、これらすべての事(こと)において勝(か)ち得(え)て余(あま)りがある。 38わたしは確信(かくしん)する。死(し)も生(せい)も、天使(てんし)も支配者(しはいしゃ)も、現在(げんざい)のものも将来(しょうらい)のものも、力(ちから)あるものも、 39高(たか)いものも深(ふか)いものも、その他(た)どんな被(ひ)造物(ぞうぶつ)も、わたしたちの主(しゅ)キリスト・イエスにおける神(かみ)の愛(あい)から、わたしたちを引(ひ)き離(はな)すことはできないのである。

第九章

1わたしはキリストにあって真実(しんじつ)を語(かた)る。偽(いつわ)りは言(い)わない。わたしの良心(りょうしん)も聖霊(せいれい)によって、わたしにこうあかしをしている。 2すなわち、わたしに大(おお)きな悲(かな)しみがあり、わたしの心(こころ)に絶(た)えざる痛(いた)みがある。 3実際(じっさい)、わたしの兄弟(きょうだい)、肉(にく)による同族(どうぞく)のためなら、わたしのこの身(み)がのろわれて、キリストから離(はな)されてもいとわない。 4彼(かれ)らはイスラエル人(びと)であって、子(こ)たる身分(みぶん)を授(さづ)けられることも、栄光(えいこう)も、もろもろの契約(けいやく)も、律法(りっぽう)を授(さづ)けられることも、礼拝(れいはい)も、数々(かずかず)の約束(やくそく)も彼(かれ)らのもの、 5また父祖(ふそ)たちも彼(かれ)らのものであり、肉(にく)によればキリストもまた彼(かれ)らから出(で)られたのである。万物(ばんぶつ)の上(うえ)にいます神(かみ)は、永遠(えいえん)にほむべきかな、アァメン。

6しかし、神(かみ)の言(ことば)が無効(むこう)になったというわけではない。なぜなら、イスラエルから出(で)た者(もの)が全部(ぜんぶ)イスラエルなのではなく、 7また、アブラハムの子孫(しそん)だからといって、その全部(ぜんぶ)が子(こ)であるのではないからである。かえって「イサクから出(で)る者(もの)が、あなたの子孫(しそん)と呼(よ)ばれるであろう」。 8すなわち、肉(にく)の子(こ)がそのまま神(かみ)の子(こ)なのではなく、むしろ約束(やくそく)の子(こ)が子孫(しそん)として認(みと)められるのである。 9約束(やくそく)の言葉(ことば)はこうである。「来年(らいねん)の今(いま)ごろ、わたしはまた来(く)る。そして、サラに男子(だんし)が与(あた)えられるであろう」。 10そればかりではなく、ひとりの人(ひと)、すなわち、わたしたちの父祖(ふそ)イサクによって受胎(じゅたい)したリベカの場合(ばあい)も、また同様(どうよう)である。 11まだ子供(こども)らが生(うま)れもせず、善(ぜん)も悪(あく)もしない先(さき)に、神(かみ)の選(えら)びの計画(けいかく)が、 12わざによらず、召(め)したかたによって行(おこな)われるために、「兄(あに)は弟(おとうと)に仕(つか)えるであろう」と、彼女(かのじょ)に仰(おお)せられたのである。 13「わたしはヤコブを愛(あい)しエサウを憎(にく)んだ」と書(か)いてあるとおりである。

14では、わたしたちはなんと言(い)おうか。神(かみ)の側(がわ)に不正(ふせい)があるのか。断(だん)じてそうではない。 15神(かみ)はモーセに言(い)われた、「わたしは自分(じぶん)のあわれもうとする者(もの)をあわれみ、いつくしもうとする者(もの)を、いつくしむ」。 16ゆえに、それは人間(にんげん)の意志(いし)や努力(どりょく)によるのではなく、ただ神(かみ)のあわれみによるのである。 17聖書(せいしょ)はパロにこう言(い)っている、「わたしがあなたを立(た)てたのは、この事(こと)のためである。すなわち、あなたによってわたしの力(ちから)をあらわし、また、わたしの名(な)が全(ぜん)世界(せかい)に言(い)いひろめられるためである」。 18だから、神(かみ)はそのあわれもうと思(おも)う者(もの)をあわれみ、かたくなにしようと思(おも)う者(もの)を、かたくなになさるのである。

19そこで、あなたは言(い)うであろう、「なぜ神(かみ)は、なおも人(ひと)を責(せ)められるのか。だれが、神(かみ)の意図(いと)に逆(さか)らい得(え)ようか」。 20ああ人(ひと)よ。あなたは、神(かみ)に言(い)い逆(さか)らうとは、いったい、何者(なにもの)なのか。造(つく)られたものが造(つく)った者(もの)に向(む)かって、「なぜ、わたしをこのように造(つく)ったのか」と言(い)うことがあろうか。 21陶器(とうき)を造(つく)る者(もの)は、同(おな)じ土(つち)くれから、一つを尊(たっと)い器(うつわ)に、他(ほか)を卑(いや)しい器(うつわ)に造(つく)りあげる権能(けんのう)がないのであろうか。 22もし、神(かみ)が怒(いか)りをあらわし、かつ、ご自身(じしん)の力(ちから)を知(し)らせようと思(おも)われつつも、滅(ほろ)びることになっている怒(いか)りの器(うつわ)を、大(おお)いなる寛容(かんよう)をもって忍(しの)ばれたとすれば、 23かつ、栄光(えいこう)にあずからせるために、あらかじめ用意(ようい)されたあわれみの器(うつわ)にご自身(じしん)の栄光(えいこう)の富(とみ)を知(し)らせようとされたとすれば、どうであろうか。 24神(かみ)は、このあわれみの器(うつわ)として、またわたしたちをも、ユダヤ人(じん)の中(なか)からだけではなく、異邦人(いほうじん)の中(なか)からも召(め)されたのである。 25それは、ホセアの書(しょ)でも言(い)われているとおりである、
「わたしは、わたしの民(たみ)でない者(もの)を、
わたしの民(たみ)と呼(よ)び、
愛(あい)されなかった者(もの)を、愛(あい)される者(もの)と呼(よ)ぶであろう。
26あなたがたはわたしの民(たみ)ではないと、
彼(かれ)らに言(い)ったその場所(ばしょ)で、
彼(かれ)らは生(い)ける神(かみ)の子(こ)らであると、
呼(よ)ばれるであろう」。
27また、イザヤはイスラエルについて叫(さけ)んでいる、
「たとい、イスラエルの子(こ)らの数(かず)は、
浜(はま)の砂(すな)のようであっても、
救(すく)われるのは、残(のこ)された者(もの)だけであろう。
28主(しゅ)は、御言(みことば)をきびしくまたすみやかに、
地上(ちじょう)になしとげられるであろう」。
29さらに、イザヤは預言(よげん)した、
「もし、万軍(ばんぐん)の主(しゅ)がわたしたちに
子孫(しそん)を残(のこ)されなかったなら、
わたしたちはソドムのようになり、
ゴモラと同(おな)じようになったであろう」。
30では、わたしたちはなんと言(い)おうか。義(ぎ)を追(お)い求(もと)めなかった異邦人(いほうじん)は、義(ぎ)、すなわち、信仰(しんこう)による義(ぎ)を得(え)た。 31しかし、義(ぎ)の律法(りっぽう)を追(お)い求(もと)めていたイスラエルは、その律法(りっぽう)に達(たっ)しなかった。 32なぜであるか。信仰(しんこう)によらないで、行(おこな)いによって得(え)られるかのように、追(お)い求(もと)めたからである。彼(かれ)らは、つまずきの石(いし)につまずいたのである。
33「見(み)よ、わたしはシオンに、
つまずきの石(いし)、さまたげの岩(いわ)を置(お)く。
それにより頼(たの)む者(もの)は、失望(しつぼう)に終(おわ)ることがない」
と書(か)いてあるとおりである。

第一〇章

1兄弟(きょうだい)たちよ。わたしの心(こころ)の願(ねが)い、彼(かれ)らのために神(かみ)にささげる祈(いのり)は、彼(かれ)らが救(すく)われることである。 2わたしは、彼(かれ)らが神(かみ)に対(たい)して熱心(ねっしん)であることはあかしするが、その熱心(ねっしん)は深(ふか)い知識(ちしき)によるものではない。 3なぜなら、彼(かれ)らは神(かみ)の義(ぎ)を知(し)らないで、自分(じぶん)の義(ぎ)を立(た)てようと努(つと)め、神(かみ)の義(ぎ)に従(したが)わなかったからである。 4キリストは、すべて信(しん)じる者(もの)に義(ぎ)を得(え)させるために、律法(りっぽう)の終(おわ)りとなられたのである。

5モーセは、律法(りっぽう)による義(ぎ)を行(おこな)う人(ひと)は、その義(ぎ)によって生(い)きる、と書(か)いている。 6しかし、信仰(しんこう)による義(ぎ)は、こう言(い)っている、「あなたは心(こころ)のうちで、だれが天(てん)に上(のぼ)るであろうかと言(い)うな」。それは、キリストを引(ひ)き降(お)ろすことである。 7また、「だれが底(そこ)知(し)れぬ所(ところ)に下(くだ)るであろうかと言(い)うな」。それは、キリストを死人(しにん)の中(なか)から引(ひ)き上(あ)げることである。 8では、なんと言(い)っているか。「言葉(ことば)はあなたの近(ちか)くにある。あなたの口(くち)にあり、心(こころ)にある」。この言葉(ことば)とは、わたしたちが宣(の)べ伝(つた)えている信仰(しんこう)の言葉(ことば)である。 9すなわち、自分(じぶん)の口(くち)で、イエスは主(しゅ)であると告白(こくはく)し、自分(じぶん)の心(こころ)で、神(かみ)が死人(しにん)の中(なか)からイエスをよみがえらせたと信(しん)じるなら、あなたは救(すく)われる。 10なぜなら、人(ひと)は心(こころ)に信(しん)じて義(ぎ)とされ、口(くち)で告白(こくはく)して救(すく)われるからである。 11聖書(せいしょ)は、「すべて彼(かれ)を信(しん)じる者(もの)は、失望(しつぼう)に終(おわ)ることがない」と言(い)っている。 12ユダヤ人(じん)とギリシヤ人(じん)との差別(さべつ)はない。同一(どういつ)の主(しゅ)が万民(ばんみん)の主(しゅ)であって、彼(かれ)を呼(よ)び求(もと)めるすべての人(ひと)を豊(ゆた)かに恵(めぐ)んで下(くだ)さるからである。 13なぜなら、「主(しゅ)の御名(みな)を呼(よ)び求(もと)める者(もの)は、すべて救(すく)われる」とあるからである。

14しかし、信(しん)じたことのない者(もの)を、どうして呼(よ)び求(もと)めることがあろうか。聞(き)いたことのない者(もの)を、どうして信(しん)じることがあろうか。宣(の)べ伝(つた)える者(もの)がいなくては、どうして聞(き)くことがあろうか。 15つかわされなくては、どうして宣(の)べ伝(つた)えることがあろうか。「ああ、麗(うるわ)しいかな、良(よ)きおとずれを告(つ)げる者(もの)の足(あし)は」と書(か)いてあるとおりである。 16しかし、すべての人(ひと)が福音(ふくいん)に聞(き)き従(したが)ったのではない。イザヤは、「主(しゅ)よ、だれがわたしたちから聞(き)いたことを信(しん)じましたか」と言(い)っている。 17したがって、信仰(しんこう)は聞(き)くことによるのであり、聞(き)くことはキリストの言葉(ことば)から来(く)るのである。 18しかしわたしは言(い)う、彼(かれ)らには聞(きこ)えなかったのであろうか。否(いな)、むしろ
「その声(こえ)は全(ぜん)地(ち)にひびきわたり、
その言葉(ことば)は世界(せかい)のはてにまで及(およ)んだ」。
19なお、わたしは言(い)う、イスラエルは知(し)らなかったのであろうか。まずモーセは言(い)っている、
「わたしはあなたがたに、
国民(こくみん)でない者(もの)に対(たい)してねたみを起(おこ)させ、
無知(むち)な国民(こくみん)に対(たい)して、
怒(いか)りをいだかせるであろう」。
20イザヤも大胆(だいたん)に言(い)っている、
「わたしは、わたしを求(もと)めない者(もの)たちに見(み)いだされ、
わたしを尋(たず)ねない者(もの)に、自分(じぶん)を現(あらわ)した」。
21そして、イスラエルについては、
「わたしは服従(ふくじゅう)せずに反抗(はんこう)する民(たみ)に、
終日(しゅうじつ)わたしの手(て)をさし伸(の)べていた」
と言(い)っている。

第一一章

1そこで、わたしは問(と)う、「神(かみ)はその民(たみ)を捨(す)てたのであろうか」。断(だん)じてそうではない。わたしもイスラエル人(ひと)であり、アブラハムの子孫(しそん)、ベニヤミン族(ぞく)の者(もの)である。 2神(かみ)は、あらかじめ知(し)っておられたその民(たみ)を、捨(す)てることはされなかった。聖書(せいしょ)がエリヤについてなんと言(い)っているか、あなたがたは知(し)らないのか。すなわち、彼(かれ)はイスラエルを神(かみ)に訴(うった)えてこう言(い)った。 3「主(しゅ)よ、彼(かれ)らはあなたの預言者(よげんしゃ)たちを殺(ころ)し、あなたの祭壇(さいだん)をこぼち、そして、わたしひとりが取(と)り残(のこ)されたのに、彼(かれ)らはわたしのいのちをも求(もと)めています」。 4しかし、彼(かれ)に対(たい)する御(み)告(つ)げはなんであったか、「バアルにひざをかがめなかった七千人(にん)を、わたしのために残(のこ)しておいた」。 5それと同(おな)じように、今(いま)の時(とき)にも、恵(めぐ)みの選(えら)びによって残(のこ)された者(もの)がいる。 6しかし、恵(めぐ)みによるのであれば、もはや行(おこな)いによるのではない。そうでないと、恵(めぐ)みはもはや恵(めぐ)みでなくなるからである。 7では、どうなるのか。イスラエルはその追(お)い求(もと)めているものを得(え)ないで、ただ選(えら)ばれた者(もの)が、それを得(え)た。そして、他(た)の者(もの)たちはかたくなになった。
8「神(かみ)は、彼(かれ)らに鈍(にぶ)い心(こころ)と、
見(み)えない目(め)と、聞(きこ)えない耳(みみ)とを与(あた)えて、
きょう、この日(ひ)に及(およ)んでいる」
と書(か)いてあるとおりである。 9ダビデもまた言(い)っている、
「彼(かれ)らの食卓(しょくたく)は、彼(かれ)らのわなとなれ、網(あみ)となれ、
つまずきとなれ、報復(ほうふく)となれ。
10彼(かれ)らの目(め)は、くらんで見(み)えなくなれ、
彼(かれ)らの背(せ)は、いつまでも曲(まが)っておれ」。

11そこで、わたしは問(と)う、「彼(かれ)らがつまずいたのは、倒(たお)れるためであったのか」。断(だん)じてそうではない。かえって、彼(かれ)らの罪過(ざいか)によって、救(すくい)が異邦人(いほうじん)に及(およ)び、それによってイスラエルを奮起(ふんき)させるためである。 12しかし、もし、彼(かれ)らの罪過(ざいか)が世(よ)の富(とみ)となり、彼(かれ)らの失敗(しっぱい)が異邦人(いほうじん)の富(とみ)となったとすれば、まして彼(かれ)らが全部(ぜんぶ)救(すく)われたなら、どんなにかすばらしいことであろう。

13そこでわたしは、あなたがた異邦人(いほうじん)に言(い)う。わたし自身(じしん)は異邦人(いほうじん)の使徒(しと)なのであるから、わたしの務(つとめ)を光栄(こうえい)とし、 14どうにかしてわたしの骨肉(こつにく)を奮起(ふんき)させ、彼(かれ)らの幾人(いくにん)かを救(すく)おうと願(ねが)っている。 15もし彼(かれ)らの捨(す)てられたことが世(よ)の和解(わかい)となったとすれば、彼(かれ)らの受(う)けいれられることは、死人(しにん)の中(なか)から生(い)き返(かえ)ることではないか。 16もし、麦粉(むぎこ)の初穂(はつほ)がきよければ、そのかたまりもきよい。もし根(ね)がきよければ、その枝(えだ)もきよい。 17しかし、もしある枝(えだ)が切(き)り去(さ)られて、野生(やせい)のオリブであるあなたがそれにつがれ、オリブの根(ね)の豊(ゆた)かな養分(ようぶん)にあずかっているとすれば、 18あなたはその枝(えだ)に対(たい)して誇(ほこ)ってはならない。たとえ誇(ほこ)るとしても、あなたが根(ね)をささえているのではなく、根(ね)があなたをささえているのである。 19すると、あなたは、「枝(えだ)が切(き)り去(さ)られたのは、わたしがつがれるためであった」と言(い)うであろう。 20まさに、そのとおりである。彼(かれ)らは不(ふ)信仰(しんこう)のゆえに切(き)り去(さ)られ、あなたは信仰(しんこう)のゆえに立(た)っているのである。高(たか)ぶった思(おも)いをいだかないで、むしろ恐(おそ)れなさい。 21もし神(かみ)が元木(もとき)の枝(えだ)を惜(お)しまなかったとすれば、あなたを惜(お)しむようなことはないであろう。 22神(かみ)の慈愛(じあい)と峻厳(しゅんげん)とを見(み)よ。神(かみ)の峻厳(しゅんげん)は倒(たお)れた者(もの)たちに向(む)けられ、神(かみ)の慈愛(じあい)は、もしあなたがその慈愛(じあい)にとどまっているなら、あなたに向(む)けられる。そうでないと、あなたも切(き)り取(と)られるであろう。 23しかし彼(かれ)らも、不(ふ)信仰(しんこう)を続(つづ)けなければ、つがれるであろう。神(かみ)には彼(かれ)らを再(ふたた)びつぐ力(ちから)がある。 24なぜなら、もしあなたが自然(しぜん)のままの野生(やせい)のオリブから切(き)り取(と)られ、自然(しぜん)の性質(せいしつ)に反(はん)して良(よ)いオリブにつがれたとすれば、まして、これら自然(しぜん)のままの良(よ)い枝(えだ)は、もっとたやすく、元(もと)のオリブにつがれないであろうか。

25兄弟(きょうだい)たちよ。あなたがたが知者(ちしゃ)だと自負(じふ)することのないために、この奥義(おくぎ)を知(し)らないでいてもらいたくない。一部(いちぶ)のイスラエル人(びと)がかたくなになったのは、異邦人(いほうじん)が全部(ぜんぶ)救(すく)われるに至(いた)る時(とき)までのことであって、 26こうして、イスラエル人(びと)は、すべて救(すく)われるであろう。すなわち、次(つぎ)のように書(か)いてある、
「救(すく)う者(もの)がシオンからきて、
ヤコブから不信心(ふしんじん)を追(お)い払(はら)うであろう。
27そして、これが、彼(かれ)らの罪(つみ)を除(のぞ)き去(さ)る時(とき)に、
彼(かれ)らに対(たい)して立(た)てるわたしの契約(けいやく)である」。
28福音(ふくいん)について言(い)えば、彼(かれ)らは、あなたがたのゆえに、神(かみ)の敵(てき)とされているが、選(えら)びについて言(い)えば、父祖(ふそ)たちのゆえに、神(かみ)に愛(あい)せられる者(もの)である。 29神(かみ)の賜物(たまもの)と召(め)しとは、変(か)えられることがない。 30あなたがたが、かつては神(かみ)に不(ふ)従順(じゅうじゅん)であったが、今(いま)は彼(かれ)らの不(ふ)従順(じゅうじゅん)によってあわれみを受(う)けたように、 31彼(かれ)らも今(いま)は不(ふ)従順(じゅうじゅん)になっているが、それは、あなたがたの受(う)けたあわれみによって、彼(かれ)ら自身(じしん)も今(いま)あわれみを受(う)けるためなのである。 32すなわち、神(かみ)はすべての人(ひと)をあわれむために、すべての人(ひと)を不(ふ)従順(じゅうじゅん)のなかに閉(と)じ込(こ)めたのである。

33ああ深(ふか)いかな、神(かみ)の知恵(ちえ)と知識(ちしき)との富(とみ)は。そのさばきは窮(きわ)めがたく、その道(みち)は測(はか)りがたい。
34「だれが、主(しゅ)の心(こころ)を知(し)っていたか。
だれが、主(しゅ)の計画(けいかく)にあずかったか。
35また、だれが、まず主(しゅ)に与(あた)えて、
その報(むく)いを受(う)けるであろうか」。
36万物(ばんぶつ)は、神(かみ)からいで、神(かみ)によって成(な)り、神(かみ)に帰(き)するのである。栄光(えいこう)がとこしえに神(かみ)にあるように、アァメン。

第一二章

1兄弟(きょうだい)たちよ。そういうわけで、神(かみ)のあわれみによってあなたがたに勧(すす)める。あなたがたのからだを、神(かみ)に喜(よろこ)ばれる、生(い)きた、聖(せい)なる供(そな)え物(もの)としてささげなさい。それが、あなたがたのなすべき霊的(れいてき)な礼拝(れいはい)である。 2あなたがたは、この世(よ)と妥協(だきょう)してはならない。むしろ、心(こころ)を新(あら)たにすることによって、造(つく)りかえられ、何(なに)が神(かみ)の御旨(みむね)であるか、何(なに)が善(ぜん)であって、神(かみ)に喜(よろこ)ばれ、かつ全(まった)きことであるかを、わきまえ知(し)るべきである。

3わたしは、自分(じぶん)に与(あた)えられた恵(めぐ)みによって、あなたがたひとりびとりに言(い)う。思(おも)うべき限度(げんど)を越(こ)えて思(おも)いあがることなく、むしろ、神(かみ)が各自(かくじ)に分(わ)け与(あた)えられた信仰(しんこう)の量(はか)りにしたがって、慎(つつし)み深(ふか)く思(おも)うべきである。 4なぜなら、一つのからだにたくさんの肢体(したい)があるが、それらの肢体(したい)がみな同(おな)じ働(はたら)きをしてはいないように、 5わたしたちも数(かず)は多(おお)いが、キリストにあって一つのからだであり、また各自(かくじ)は互(たがい)に肢体(したい)だからである。 6このように、わたしたちは与(あた)えられた恵(めぐ)みによって、それぞれ異(こと)なった賜物(たまもの)を持(も)っているので、もし、それが預言(よげん)であれば、信仰(しんこう)の程度(ていど)に応(おう)じて預言(よげん)をし、 7奉仕(ほうし)であれば奉仕(ほうし)をし、また教(おし)える者(もの)であれば教(おし)え、 8勧(すす)めをする者(もの)であれば勧(すす)め、寄附(きふ)する者(もの)は惜(お)しみなく寄附(きふ)し、指導(しどう)する者(もの)は熱心(ねっしん)に指導(しどう)し、慈善(じぜん)をする者(もの)は快(こころよ)く慈善(じぜん)をすべきである。 9愛(あい)には偽(いつわ)りがあってはならない。悪(あく)は憎(にく)み退(しりぞ)け、善(ぜん)には親(した)しみ結(むす)び、 10兄弟(きょうだい)の愛(あい)をもって互(たがい)にいつくしみ、進(すす)んで互(たがい)に尊敬(そんけい)し合(あ)いなさい。 11熱心(ねっしん)で、うむことなく、霊(れい)に燃(も)え、主(しゅ)に仕(つか)え、 12望(のぞ)みをいだいて喜(よろこ)び、患難(かんなん)に耐(た)え、常(つね)に祈(いの)りなさい。 13貧(まず)しい聖徒(せいと)を助(たす)け、努(つと)めて旅人(たびびと)をもてなしなさい。 14あなたがたを迫害(はくがい)する者(もの)を祝福(しゅくふく)しなさい。祝福(しゅくふく)して、のろってはならない。 15喜(よろこ)ぶ者(もの)と共(とも)に喜(よろこ)び、泣(な)く者(もの)と共(とも)に泣(な)きなさい。 16互(たがい)に思(おも)うことをひとつにし、高(たか)ぶった思(おも)いをいだかず、かえって低(ひく)い者(もの)たちと交(まじ)わるがよい。自分(じぶん)が知者(ちしゃ)だと思(おも)いあがってはならない。 17だれに対(たい)しても悪(あく)をもって悪(あく)に報(むく)いず、すべての人(ひと)に対(たい)して善(ぜん)を図(はか)りなさい。 18あなたがたは、できる限(かぎ)りすべての人(ひと)と平和(へいわ)に過(す)ごしなさい。 19愛(あい)する者(もの)たちよ。自分(じぶん)で復讐(ふくしゅう)をしないで、むしろ、神(かみ)の怒(いか)りに任(まか)せなさい。なぜなら、「主(しゅ)が言(い)われる。復讐(ふくしゅう)はわたしのすることである。わたし自身(じしん)が報復(ほうふく)する」と書(か)いてあるからである。 20むしろ、「もしあなたの敵(てき)が飢(う)えるなら、彼(かれ)に食(く)わせ、かわくなら、彼(かれ)に飲(の)ませなさい。そうすることによって、あなたは彼(かれ)の頭(あたま)に燃(も)えさかる炭火(すみび)を積(つ)むことになるのである」。 21悪(あく)に負(ま)けてはいけない。かえって、善(ぜん)をもって悪(あく)に勝(か)ちなさい。

第一三章

1すべての人(ひと)は、上(うえ)に立(た)つ権威(けんい)に従(したが)うべきである。なぜなら、神(かみ)によらない権威(けんい)はなく、おおよそ存在(そんざい)している権威(けんい)は、すべて神(かみ)によって立(た)てられたものだからである。 2したがって、権威(けんい)に逆(さか)らう者(もの)は、神(かみ)の定(さだ)めにそむく者(もの)である。そむく者(もの)は、自分(じぶん)の身(み)にさばきを招(まね)くことになる。 3いったい、支配者(しはいしゃ)たちは、善事(ぜんじ)をする者(もの)には恐怖(きょうふ)でなく、悪事(あくじ)をする者(もの)にこそ恐怖(きょうふ)である。あなたは権威(けんい)を恐(おそ)れないことを願(ねが)うのか。それでは、善事(ぜんじ)をするがよい。そうすれば、彼(かれ)からほめられるであろう。 4彼(かれ)は、あなたに益(えき)を与(あた)えるための神(かみ)の僕(しもべ)なのである。しかし、もしあなたが悪事(あくじ)をすれば、恐(おそ)れなければならない。彼(かれ)はいたずらに剣(けん)を帯(お)びているのではない。彼(かれ)は神(かみ)の僕(しもべ)であって、悪事(あくじ)を行(おこな)う者(もの)に対(たい)しては、怒(いか)りをもって報(むく)いるからである。 5だから、ただ怒(いか)りをのがれるためだけではなく、良心(りょうしん)のためにも従(したが)うべきである。 6あなたがたが貢(みつぎ)を納(おさ)めるのも、また同(おな)じ理由(りゆう)からである。彼(かれ)らは神(かみ)に仕(つか)える者(もの)として、もっぱらこの務(つとめ)に携(たずさ)わっているのである。 7あなたがたは、彼(かれ)らすべてに対(たい)して、義務(ぎむ)を果(はた)しなさい。すなわち、貢(みつぎ)を納(おさめ)むべき者(もの)には貢(みつぎ)を納(おさ)め、税(ぜい)を納(おさめ)むべき者(もの)には税(ぜい)を納(おさ)め、恐(おそ)るべき者(もの)は恐(おそ)れ、敬(うやま)うべき者(もの)は敬(うやま)いなさい。

8互(たがい)に愛(あい)し合(あ)うことの外(そと)は、何人(なにびと)にも借(か)りがあってはならない。人(ひと)を愛(あい)する者(もの)は、律法(りっぽう)を全(まっと)うするのである。 9「姦淫(かんいん)するな、殺(ころ)すな、盗(ぬす)むな、むさぼるな」など、そのほかに、どんな戒(いまし)めがあっても、結局(けっきょく)「自分(じぶん)を愛(あい)するようにあなたの隣(とな)り人(ひと)を愛(あい)せよ」というこの言葉(ことば)に帰(き)する。 10愛(あい)は隣(とな)り人(ひと)に害(がい)を加(くわ)えることはない。だから、愛(あい)は律法(りっぽう)を完成(かんせい)するものである。

11なお、あなたがたは時(とき)を知(し)っているのだから、特(とく)に、この事(こと)を励(はげ)まねばならない。すなわち、あなたがたの眠(ねむ)りからさめるべき時(とき)が、すでにきている。なぜなら今(いま)は、わたしたちの救(すくい)が、初(はじ)め信(しん)じた時(とき)よりも、もっと近(ちか)づいているからである。 12夜(よ)はふけ、日(ひ)が近(ちか)づいている。それだから、わたしたちは、やみのわざを捨(す)てて、光(ひかり)の武具(ぶぐ)を着(つ)けようではないか。 13そして、宴楽(えんらく)と泥酔(でいすい)、淫乱(いんらん)と好色(こうしょく)、争(あらそ)いとねたみを捨(す)てて、昼(ひる)歩(ある)くように、つつましく歩(ある)こうではないか。 14あなたがたは、主(しゅ)イエス・キリストを着(き)なさい。肉(にく)の欲(よく)を満(み)たすことに心(こころ)を向(む)けてはならない。

第一四章

1信仰(しんこう)の弱(よわ)い者(もの)を受(う)けいれなさい。ただ、意見(いけん)を批評(ひひょう)するためであってはならない。 2ある人(ひと)は、何(なに)を食(た)べてもさしつかえないと信(しん)じているが、弱(よわ)い人(ひと)は野菜(やさい)だけを食(た)べる。 3食(た)べる者(もの)は食(た)べない者(もの)を軽(かろ)んじてはならず、食(た)べない者(もの)も食(た)べる者(もの)をさばいてはならない。神(かみ)は彼(かれ)を受(う)けいれて下(くだ)さったのであるから。 4他人(たにん)の僕(しもべ)をさばくあなたは、いったい、何者(なにもの)であるか。彼(かれ)が立(た)つのも倒(たお)れるのも、その主人(しゅじん)によるのである。しかし、彼(かれ)は立(た)つようになる。主(しゅ)は彼(かれ)を立(た)たせることができるからである。 5また、ある人(ひと)は、この日(ひ)がかの日(ひ)よりも大事(だいじ)であると考(かんが)え、ほかの人(ひと)はどの日(ひ)も同(おな)じだと考(かんが)える。各自(かくじ)はそれぞれ心(こころ)の中(なか)で、確信(かくしん)を持(も)っておるべきである。 6日(ひ)を重(おも)んじる者(もの)は、主(しゅ)のために重(おも)んじる。また食(た)べる者(もの)も主(しゅ)のために食(た)べる。神(かみ)に感謝(かんしゃ)して食(た)べるからである。食(た)べない者(もの)も主(しゅ)のために食(た)べない。そして、神(かみ)に感謝(かんしゃ)する。 7すなわち、わたしたちのうち、だれひとり自分(じぶん)のために生(い)きる者(もの)はなく、だれひとり自分(じぶん)のために死(し)ぬ者(もの)はない。 8わたしたちは、生(い)きるのも主(しゅ)のために生(い)き、死(し)ぬのも主(しゅ)のために死(し)ぬ。だから、生(い)きるにしても死(し)ぬにしても、わたしたちは主(しゅ)のものなのである。 9なぜなら、キリストは、死者(ししゃ)と生者(せいしゃ)との主(しゅ)となるために、死(し)んで生(い)き返(かえ)られたからである。 10それだのに、あなたは、なぜ兄弟(きょうだい)をさばくのか。あなたは、なぜ兄弟(きょうだい)を軽(かろ)んじるのか。わたしたちはみな、神(かみ)のさばきの座(ざ)の前(まえ)に立(た)つのである。 11すなわち、
「主(しゅ)が言(い)われる。わたしは生(い)きている。
すべてのひざは、わたしに対(たい)してかがみ、
すべての舌(した)は、神(かみ)にさんびをささげるであろう」
と書(か)いてある。 12だから、わたしたちひとりびとりは、神(かみ)に対(たい)して自分(じぶん)の言(い)いひらきをすべきである。

13それゆえ、今後(こんご)わたしたちは、互(たがい)にさばき合(あ)うことをやめよう。むしろ、あなたがたは、妨(さまた)げとなる物(もの)や、つまずきとなる物(もの)を兄弟(きょうだい)の前(まえ)に置(お)かないことに、決(き)めるがよい。 14わたしは、主(しゅ)イエスにあって知(し)りかつ確信(かくしん)している。それ自体(じたい)、汚(けが)れているものは一つもない。ただ、それが汚(けが)れていると考(かんが)える人(ひと)にだけ、汚(けが)れているのである。 15もし食物(しょくもつ)のゆえに兄弟(きょうだい)を苦(くる)しめるなら、あなたは、もはや愛(あい)によって歩(ある)いているのではない。あなたの食物(しょくもつ)によって、兄弟(きょうだい)を滅(ほろ)ぼしてはならない。キリストは彼(かれ)のためにも、死(し)なれたのである。 16それだから、あなたがたにとって良(よ)い事(こと)が、そしりの種(たね)にならぬようにしなさい。 17神(かみ)の国(くに)は飲食(いんしょく)ではなく、義(ぎ)と、平和(へいわ)と、聖霊(せいれい)における喜(よろこ)びとである。 18こうしてキリストに仕(つか)える者(もの)は、神(かみ)に喜(よろこ)ばれ、かつ、人(ひと)にも受(う)けいれられるのである。 19こういうわけで、平和(へいわ)に役立(やくだ)つことや、互(たがい)の徳(とく)を高(たか)めることを、追(お)い求(もと)めようではないか。 20食物(しょくもつ)のことで、神(かみ)のみわざを破壊(はかい)してはならない。すべての物(もの)はきよい。ただ、それを食(た)べて人(ひと)をつまずかせる者(もの)には、悪(あく)となる。 21肉(にく)を食(く)わず、酒(さけ)を飲(の)まず、そのほか兄弟(きょうだい)をつまずかせないのは、良(よ)いことである。 22あなたの持(も)っている信仰(しんこう)を、神(かみ)のみまえに、自分(じぶん)自身(じしん)に持(も)っていなさい。自(みずか)ら良(よ)いと定(さだ)めたことについて、やましいと思(おも)わない人(ひと)は、さいわいである。 23しかし、疑(うたが)いながら食(た)べる者(もの)は、信仰(しんこう)によらないから、罪(つみ)に定(さだ)められる。すべて信仰(しんこう)によらないことは、罪(つみ)である。

第一五章

1わたしたち強(つよ)い者(もの)は、強(つよ)くない者(もの)たちの弱(よわ)さをになうべきであって、自分(じぶん)だけを喜(よろこ)ばせることをしてはならない。 2わたしたちひとりびとりは、隣(とな)り人(ひと)の徳(とく)を高(たか)めるために、その益(えき)を図(はか)って彼(かれ)らを喜(よろこ)ばすべきである。 3キリストさえ、ご自身(じしん)を喜(よろこ)ばせることはなさらなかった。むしろ「あなたをそしる者(もの)のそしりが、わたしに降(ふ)りかかった」と書(か)いてあるとおりであった。 4これまでに書(か)かれた事(こと)がらは、すべてわたしたちの教(おしえ)のために書(か)かれたのであって、それは聖書(せいしょ)の与(あた)える忍耐(にんたい)と慰(なぐさ)めとによって、望(のぞ)みをいだかせるためである。 5どうか、忍耐(にんたい)と慰(なぐさ)めとの神(かみ)が、あなたがたに、キリスト・イエスにならって互(たがい)に同(おな)じ思(おも)いをいだかせ、 6こうして、心(こころ)を一(ひと)つにし、声(こえ)を合(あ)わせて、わたしたちの主(しゅ)イエス・キリストの父(ちち)なる神(かみ)をあがめさせて下(くだ)さるように。

7こういうわけで、キリストもわたしたちを受(う)けいれて下(くだ)さったように、あなたがたも互(たがい)に受(う)けいれて、神(かみ)の栄光(えいこう)をあらわすべきである。 8わたしは言(い)う、キリストは神(かみ)の真実(しんじつ)を明(あき)らかにするために、割礼(かつれい)のある者(もの)の僕(しもべ)となられた。それは父祖(ふそ)たちの受(う)けた約束(やくそく)を保証(ほしょう)すると共(とも)に、 9異邦人(いほうじん)もあわれみを受(う)けて神(かみ)をあがめるようになるためである、
「それゆえ、わたしは、異邦人(いほうじん)の中(なか)で
あなたにさんびをささげ、
また、御名(みな)をほめ歌(うた)う」
と書(か)いてあるとおりである。

10また、こう言(い)っている、
「異邦人(いほうじん)よ、主(しゅ)の民(たみ)と共(とも)に喜(よろこ)べ」。
11また、
「すべての異邦人(いほうじん)よ、主(しゅ)をほめまつれ。
もろもろの民(たみ)よ、主(しゅ)をほめたたえよ」。
12またイザヤは言(い)っている、
「エッサイの根(ね)から芽(め)が出(で)て、
異邦人(いほうじん)を治(おさ)めるために立(た)ち上(あ)がる者(もの)が来(く)る。
異邦人(いほうじん)は彼(かれ)に望(のぞ)みをおくであろう」。
13どうか、望(のぞ)みの神(かみ)が、信仰(しんこう)から来(く)るあらゆる喜(よろこ)びと平安(へいあん)とを、あなたがたに満(み)たし、聖霊(せいれい)の力(ちから)によって、あなたがたを、望(のぞ)みにあふれさせて下(くだ)さるように。

14さて、わたしの兄弟(きょうだい)たちよ。あなたがた自身(じしん)が、善意(ぜんい)にあふれ、あらゆる知恵(ちえ)に満(み)たされ、そして互(たがい)に訓戒(くんかい)し合(あ)う力(ちから)のあることを、わたしは堅(かた)く信(しん)じている。 15しかし、わたしはあなたがたの記憶(きおく)を新(あら)たにするために、ところどころ、かなり思(おも)いきって書(か)いた。それは、神(かみ)からわたしに賜(たま)わった恵(めぐ)みによって、書(か)いたのである。 16このように恵(めぐ)みを受(う)けたのは、わたしが異邦人(いほうじん)のためにキリスト・イエスに仕(つか)える者(もの)となり、神(かみ)の福音(ふくいん)のために祭司(さいし)の役(やく)を勤(つと)め、こうして異邦人(いほうじん)を、聖霊(せいれい)によってきよめられた、御旨(みむね)にかなうささげ物(もの)とするためである。 17だから、わたしは神(かみ)への奉仕(ほうし)については、キリスト・イエスにあって誇(ほこ)りうるのである。 18わたしは、異邦人(いほうじん)を従順(じゅうじゅん)にするために、キリストがわたしを用(もち)いて、言葉(ことば)とわざ、 19しるしと不思議(ふしぎ)との力(ちから)、聖霊(せいれい)の力(ちから)によって、働(はたら)かせて下(くだ)さったことの外(ほか)には、あえて何(なに)も語(かた)ろうとは思(おも)わない。こうして、わたしはエルサレムから始(はじ)まり、巡(めぐ)りめぐってイルリコに至(いた)るまで、キリストの福音(ふくいん)を満(み)たしてきた。 20その際(さい)、わたしの切(せつ)に望(のぞ)んだところは、他人(たにん)の土台(どだい)の上(うえ)に建(た)てることをしないで、キリストの御名(みな)がまだ唱(とな)えられていない所(ところ)に福音(ふくいん)を宣(の)べ伝(つた)えることであった。 21すなわち、
「彼(かれ)のことを宣(の)べ伝(つた)えられていなかった人々(ひとびと)が見(み)、
聞(き)いていなかった人々(ひとびと)が悟(さと)るであろう」
と書(か)いてあるとおりである。

22こういうわけで、わたしはあなたがたの所(ところ)に行(い)くことを、たびたび妨(さまた)げられてきた。 23しかし今(いま)では、この地方(ちほう)にはもはや働(はたら)く余地(よち)がなく、かつイスパニヤに赴(おもむ)く場合(ばあい)、あなたがたの所(ところ)に行(い)くことを、多年(たねん)、熱望(ねつぼう)していたので、―― 24その途中(とちゅう)あなたがたに会(あ)い、まず幾分(いくぶん)でもわたしの願(ねが)いがあなたがたによって満(み)たされたら、あなたがたに送(おく)られてそこへ行(い)くことを、望(のぞ)んでいるのである。 25しかし今(いま)の場合(ばあい)、聖徒(せいと)たちに仕(つか)えるために、わたしはエルサレムに行(い)こうとしている。 26なぜなら、マケドニヤとアカヤとの人々(ひとびと)は、エルサレムにおる聖徒(せいと)の中(なか)の貧(まず)しい人々(ひとびと)を援助(えんじょ)することに賛成(さんせい)したからである。 27たしかに、彼(かれ)らは賛成(さんせい)した。しかし同時(どうじ)に、彼(かれ)らはかの人々(ひとびと)に負債(ふさい)がある。というのは、もし異邦人(いほうじん)が彼(かれ)らの霊(れい)の物(もの)にあずかったとすれば、肉(にく)の物(もの)をもって彼(かれ)らに仕(つか)えるのは、当然(とうぜん)だからである。 28そこでわたしは、この仕事(しごと)を済(す)ませて彼(かれ)らにこの実(み)を手渡(てわた)した後(のち)、あなたがたの所(ところ)をとおって、イスパニヤに行(い)こうと思(おも)う。 29そしてあなたがたの所(ところ)に行(ゆ)く時(とき)には、キリストの満(み)ちあふれる祝福(しゅくふく)をもって行(ゆ)くことと、信(しん)じている。

30兄弟(きょうだい)たちよ。わたしたちの主(しゅ)イエス・キリストにより、かつ御霊(みたま)の愛(あい)によって、あなたがたにお願(ねが)いする。どうか、共(とも)に力(ちから)をつくして、わたしのために神(かみ)に祈(いの)ってほしい。 31すなわち、わたしがユダヤにおる不信(ふしん)の徒(と)から救(すく)われ、そしてエルサレムに対(たい)するわたしの奉仕(ほうし)が聖徒(せいと)たちに受(う)けいれられるものとなるように、 32また、神(かみ)の御旨(みむね)により、喜(よろこ)びをもってあなたがたの所(ところ)に行(い)き、共(とも)になぐさめ合(あ)うことができるように祈(いの)ってもらいたい。 33どうか、平和(へいわ)の神(かみ)があなたがた一同(いちどう)と共(とも)にいますように、アァメン。

第一六章

1ケンクレヤにある教会(きょうかい)の執事(しつじ)、わたしたちの姉妹(しまい)フィベを、あなたがたに紹介(しょうかい)する。 2どうか、聖徒(せいと)たるにふさわしく、主(しゅ)にあって彼女(かのじょ)を迎(むか)え、そして、彼女(かのじょ)があなたがたにしてもらいたいことがあれば、何事(なにごと)でも、助(たす)けてあげてほしい。彼女(かのじょ)は多(おお)くの人(ひと)の援助者(えんじょしゃ)であり、またわたし自身(じしん)の援助者(えんじょしゃ)でもあった。

3キリスト・イエスにあるわたしの同労者(どうろうしゃ)プリスカとアクラとに、よろしく言(い)ってほしい。 4彼(かれ)らは、わたしのいのちを救(すく)うために、自分(じぶん)の首(くび)をさえ差(さ)し出(だ)してくれたのである。彼(かれ)らに対(たい)しては、わたしだけではなく、異邦人(いほうじん)のすべての教会(きょうかい)も、感謝(かんしゃ)している。 5また、彼(かれ)らの家(いえ)の教会(きょうかい)にも、よろしく。わたしの愛(あい)するエパネトに、よろしく言(い)ってほしい。彼(かれ)は、キリストにささげられたアジヤの初穂(はつほ)である。 6あなたがたのために一方(ひとかた)ならず労苦(ろうく)したマリヤに、よろしく言(い)ってほしい。 7わたしの同族(どうぞく)であって、わたしと一緒(いっしょ)に投獄(とうごく)されたことのあるアンデロニコとユニアスとに、よろしく。彼(かれ)らは使徒(しと)たちの間(あいだ)で評判(ひょうばん)がよく、かつ、わたしよりも先(さき)にキリストを信(しん)じた人々(ひとびと)である。 8主(しゅ)にあって愛(あい)するアムプリアトに、よろしく。 9キリストにあるわたしたちの同労者(どうろうしゃ)ウルバノと、愛(あい)するスタキスとに、よろしく。 10キリストにあって錬達(れんたつ)なアペレに、よろしく。アリストブロの家(いえ)の人(ひと)たちに、よろしく。 11同族(どうぞく)のヘロデオンに、よろしく。ナルキソの家(いえ)の、主(しゅ)にある人(ひと)たちに、よろしく。 12主(しゅ)にあって労苦(ろうく)しているツルパナとツルポサとに、よろしく。主(しゅ)にあって一方(ひとかた)ならず労苦(ろうく)した愛(あい)するペルシスに、よろしく。 13主(しゅ)にあって選(えら)ばれたルポスと、彼(かれ)の母(はは)とに、よろしく。彼(かれ)の母(はは)は、わたしの母(はは)でもある。 14アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマスおよび彼(かれ)らと一緒(いっしょ)にいる兄弟(きょうだい)たちに、よろしく。 15ピロロゴとユリヤとに、またネレオとその姉妹(しまい)とに、オルンパに、また彼(かれ)らと一緒(いっしょ)にいるすべての聖徒(せいと)たちに、よろしく言(い)ってほしい。 16きよい接吻(せっぷん)をもって、互(たがい)にあいさつをかわしなさい。キリストのすべての教会(きょうかい)から、あなたがたによろしく。

17さて兄弟(きょうだい)たちよ。あなたがたに勧告(かんこく)する。あなたがたが学(まな)んだ教(おしえ)にそむいて分裂(ぶんれつ)を引(ひ)き起(おこ)し、つまずきを与(あた)える人々(ひとびと)を警戒(けいかい)し、かつ彼(かれ)らから遠(とお)ざかるがよい。 18なぜなら、こうした人々(ひとびと)は、わたしたちの主(しゅ)キリストに仕(つか)えないで、自分(じぶん)の腹(はら)に仕(つか)え、そして甘言(かんげん)と美辞(びじ)とをもって、純朴(じゅんぼく)な人々(ひとびと)の心(こころ)を欺(あざむ)く者(もの)どもだからである。 19あなたがたの従順(じゅうじゅん)は、すべての人々(ひとびと)の耳(みみ)に達(たっ)しており、それをあなたがたのために喜(よろこ)んでいる。しかし、わたしの願(ねが)うところは、あなたがたが善(ぜん)にさとく、悪(あく)には、うとくあってほしいことである。 20平和(へいわ)の神(かみ)は、サタンをすみやかにあなたがたの足(あし)の下(した)に踏(ふ)み砕(くだ)くであろう。

どうか、わたしたちの主(しゅ)イエスの恵(めぐ)みが、あなたがたと共(とも)にあるように。

21わたしの同労者(どうろうしゃ)テモテおよび同族(どうぞく)のルキオ、ヤソン、ソシパテロから、あなたがたによろしく。 22(この手紙(てがみ)を筆記(ひっき)したわたしテルテオも、主(しゅ)にあってあなたがたにあいさつの言葉(ことば)をおくる。) 23わたしと全(ぜん)教会(きょうかい)との家主(やぬし)ガイオから、あなたがたによろしく。市(し)の会計(かいけい)係(がかり)エラストと兄弟(きょうだい)クワルトから、あなたがたによろしく。

〔 24わたしたちの主(しゅ)イエス・キリストの恵(めぐ)みが、あなたがた一同(いちどう)と共(とも)にあるように、アァメン。〕

26願(ねが)わくは、わたしの福音(ふくいん)とイエス・キリストの宣教(せんきょう)とにより、かつ、長(なが)き世々(よよ)にわたって、隠(かく)されていたが、今(いま)やあらわされ、預言(よげん)の書(しょ)をとおして、永遠(えいえん)の神(かみ)の命令(めいれい)に従(したが)い、信仰(しんこう)の従順(じゅうじゅん)に至(いた)らせるために、もろもろの国(くに)人(ひと)に告(つ)げ知(し)らされた奥義(おくぎ)の啓示(けいじ)によって、あなたがたを力(ちから)づけることのできるかた、 27すなわち、唯一(ゆいいつ)の知恵(ちえ)深(ふか)き神(かみ)に、イエス・キリストにより、栄光(えいこう)が永遠(えいえん)より永遠(えいえん)にあるように、アァメン。